JP3766384B2 - シール装置 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に装備され、作業装置のピン結合部等に設ける軸受装置に好適に用いられるシール装置に関する。
背景技術
一般に、油圧ショベル等の建設機械にあっては、作業用のフロント部を構成するブーム、アームおよびバケット等を互いに回動可能に連結するために軸受装置を設ける構成としている(例えば、特開平6−159346号公報等)。
この第1の従来技術による軸受装置は、前記ブーム、アームおよびバケット等のうち一方の部材に設けられ内周側にブッシュが嵌合固着されたボス部材と、このボス部材の左,右両側に配置された相手方部材となる一対のブラケットと、これら各ブラケット間にボス部材を回動可能に連結する軸としての連結軸とにより構成されている。
また、前記ブラケットの内周側には、連結軸が挿通される筒状のカラーを嵌合して設け、このカラーと前記ブッシュとの間には、前記連結軸の外周側に嵌合され前記ボス部材とブラケットとの間に軸方向の隙間を確保する筒状のスラストリングと、このスラストリングの径方向外側に位置して前記カラー側に取付けられ前記ブッシュとカラーとの間をシールするシールリングとを設ける構成としている。
この第1の従来技術にあっては、ボス部材とブラケットとを円滑に回動動作させるために、油圧ショベルの稼動時間が一定時間を経過する毎に、ブッシュと連結軸との間に外部から潤滑油を供給し、両者の間を常に潤滑状態に保持するようにしている。そして、前記シールリングには、ブッシュの端面に摺接するリップを設け、前記潤滑油がブッシュとカラーとの間から外部に漏洩するのを、前記リップにより防止する構成としている。
しかし、このような第1の従来技術では、シールリングのリップを単にブッシュの端面に摺接させているに過ぎないため、前記潤滑油がブッシュとカラーとの間から外部に漏洩することがあり、潤滑油を補給するための給脂間隔が短くなる傾向にある。
一方、このような潤滑油の給脂間隔を可能な限り延ばして、実質的に無給脂とするために、第2の従来技術による軸受装置として、ブッシュを多孔質な焼結金属材料により形成し、このブッシュの空孔内に高い粘度を有する潤滑油を含浸させる構成としたものが知られている(例えば、特開平8−105444号公報等)。
この場合、ブッシュの空孔内に含浸された高粘度の潤滑油は、ブッシュ内で連結軸が摺動(回動)するときの摩擦熱等により粘度が下がり、空孔内からブッシュと連結軸との摺動面間にしみ出すようになり、この状態で連結軸とブッシュとの摺動面に潤滑用の油膜を形成するものである。
ところで、上述した第1の従来技術では、ブッシュとカラーとの間にスラストリングとシールリングとを配置し、スラストリングによりボス部材とブラケットが軸方向の端面で互いに摺接するのを防止している。しかし、シールリングは、リップがブッシュの端面に摺接しているに過ぎないため、潤滑油がブッシュとカラーとの間から外部に漏洩するのを抑えることが難しい。このため、第1の従来技術では、このような潤滑油の漏洩を補うために、外部から潤滑油を補給する作業を繰返して行う必要が生じ、給脂間隔が短くなるという問題がある。
一方、第2の従来技術にあっては、ボス部材の内周側には、ブッシュの軸方向両端側に位置して弾性材からなる遮油部材とダストシールとを設け、ブッシュに含浸した潤滑油が外部に漏洩するのを防止している。
しかし、ブッシュに含浸した潤滑油の粘度は、ブッシュ内で連結軸が摺動するときの摩擦熱等により低下する。このため、第2の従来技術のように、前述の遮油部材、ダストシールを用いただけでは、潤滑油は、これら遮油部材と連結軸との間の隙間、ダストシールと連結軸との間の隙間を通じて外部に漏洩するという問題がある。また、このように漏洩した潤滑油は、軸受装置の周囲に付着し、この潤滑油にゴミ、埃等が付着して外観が低下するという問題がある。
また、前述した潤滑油の漏洩を防ぐために、ダストシールに加えてオイルシールを用いることも考えられる。しかし、この場合には、グリースガン等を用いて外部から潤滑油をブッシュと連結軸との間に供給する際に、例えばブッシュと連結軸との間に溜まったエアがオイルシールにより外部に抜けにくくなり、潤滑油の給脂作業を円滑に行うのが難しくなるという問題がある。
発明の開示
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ブッシュと軸との間に供給される潤滑油が外部に漏洩するのを防止できるようにした軸受装置に用いるシール装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ブッシュと軸との間に外部から潤滑油を円滑に供給でき、給脂作業を短時間で効率的に行うことができるようにしたシール装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明によるシール装置は、ボス部材の内周面に嵌合固着して設けた筒状のブッシュに対し、軸を相対的に回動可能に挿通して設けてなる軸受装置に用いられるものである。
そして、本発明が採用する構成の特徴は、前記軸の外周面に嵌合して設けられる筒状体からなり、軸方向一側の端面が環状のシール面となり軸方向の他側に前記ブッシュの端面に摺接するリップ部を有する第1のシールリングと、該第1のシールリングの径方向外側に位置して前記ボス部材の内周面に嵌合固着される筒状体からなり、軸方向一側に該第1のシールリングの前記シール面に摺接する摺接面を有する第2のシールリングとにより構成したことにある。
このように構成したことにより、軸の外周面に嵌合して設けられる第1のシールリングは、軸方向一側の端面が環状のシール面となり、軸方向の他側のリップ部はブッシュの端面に摺接しているから、第1のシールリングのリップ部によりブッシュと軸との摺動面間に供給した潤滑油が外部に漏洩するのを防止できる。また、第2のシールリングは、軸方向一側で第1のシールリングのシール面に摺接する摺接面を有しているので、第1のシールリングと第2のシールリングとの間を2段階でシールすることができる。このため、例え第1のシールリングのリップ部とブッシュとの間から潤滑油が漏洩したとしても、潤滑油が第1,第2のシールリング間から外部に漏洩するのを防止することができる。
また、本発明によると、第1のシールリングは、軸方向一側が軸の外周面に嵌合される円筒部となり軸方向他側に該円筒部から前記ブッシュの端面に向けて伸長するリップ部が形成されたリップシールと、該リップシールの円筒部側に設けられ軸方向一側の端面が第2のシールリングと摺接する前記シール面となった摺動部材とにより構成している。
このように構成したことにより、第1のシールリングをリップシールと摺動部材とにより形成でき、摺動部材の端面に形成されるシール面を第2のシールリングと摺接させ、第1のシールリングと第2のシールリングとの間を良好にシールすることができる。そして、ボス部材と相手方部材とが相対的に回動するときには、第1のシールリングに設けた摺動部材と第2のシールリングとの間の摺動抵抗を低減でき、第1のシールリングと第2のシールリングとを摺動部材を介して円滑に摺動させることができる。また、前記リップシールのリップ部は、円筒部から軸方向の他側に向けて伸長しているから、このリップ部をブッシュの端面に安定して摺接させることができ、リップ部とブッシュとの間のシール性を良好に保つことができる。
また、本発明によると、第1のシールリングは、リップシールを弾性を有する樹脂材料により形成し、摺動部材を自己潤滑性を有する樹脂材料により形成している。これにより、リップシールを弾性変形可能に形成でき、摺動部材には自己潤滑性を与えることができる。
また、本発明によると、摺動部材は、リップシールの円筒部外周側に配置される筒部と、該筒部の軸方向一側から径方向内向きに延び前記円筒部の端面を覆うことによって前記シール面を形成する環状部とにより構成している。これにより、リップシールの円筒部を軸方向一側から摺動部材によって覆うことができ、環状部の端面によりシール面を形成できる。
また、本発明は、第2のシールリングを、第1のシールリングを径方向外側から取囲むようにボス部材の内周面に嵌合固着される筒部と、ブッシュの端面との間で前記第1のシールリングを軸方向に位置決めするため前記筒部の軸方向一側から径方向内側に向けて延び前記第1のシールリングにシール面を介して摺接する摺接面を有した内向き突部とにより構成している。
このように構成した場合、第2のシールリングの内向き突部を第1のシールリングのシール面に摺接させることにより、第2のシールリングの内向き突部とブッシュの端面との間で第1のシールリングを軸方向に位置決めしつつ、シール性を確保することができる。
そして、本発明によると、第2のシールリングは、第1のシールリングに比較して硬質な材料により形成している。これによって、硬質な第2のシールリングに対し第1のシールリングを弾性的に摺接させることができ、第1,第2のシールリング間のシール性能と摺動性能を高めることができる。
一方、本発明は、ブッシュの端面には、第1のシールリングのリップ部が摺接する環状のスラストワッシャを設ける構成としている。このように構成したことにより、ボス部材と相手方部材とが相対的に回動するときには、第1のシールリングのリップ部は、ブッシュの端面に設けたスラストワッシャの表面に沿って円滑に摺動することができる。
また、本発明は、第2のシールリングには、第1のシールリングのシール面に摺接する環状のスラストワッシャを設ける構成としている。このように構成したことにより、ボス部材と相手方部材とが相対的に回動するときには、第1のシールリングは、第2のシールリングに設けたスラストワッシャに対して円滑に摺動することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施の形態による軸受装置用のシール装置が適用された油圧ショベルを示す正面図である。
図2は、第1の実施の形態による軸受装置用のシール装置を図1中の矢示II−II方向からみた拡大断面図である。
図3は、第1の実施の形態に係る軸受装置に用いるシール装置等を拡大して示す要部拡大断面図である。
図4は、図2中のシール装置を構成する第1,第2のシールリングを拡大して示す分解斜視図である。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る軸受装置に用いるシール装置等を拡大して示す要部断面図である。
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る軸受装置に用いるシール装置等を拡大して示す要部断面図である。
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る軸受装置に用いるシール装置等を拡大して示す要部断面図である。
図8は、本発明の第5の実施の形態に係る軸受装置に用いるシール装置等を拡大して示す要部断面図である。
図9は、本発明の第1の変形例に係る軸受装置に用いるシール装置等を拡大して示す要部断面図である。
図10は、本発明の第2の変形例に係る軸受装置に用いるシール装置等を拡大して示す要部断面図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態によるシール装置を、油圧ショベルのアームとバケットとの連結部における軸受装置に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図4は本発明の第1の実施の形態を示している。1は油圧ショベルの走行体、2はこの走行体1上に旋回可能に搭載された旋回体である。この旋回体2は、旋回フレーム3を有し、該旋回フレーム3上には、キャブ4、建屋カバー5およびカウンタウエイト6等が設けられている。
7は旋回体2の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置で、この作業装置7は、旋回体2の旋回フレーム3前部側にピン結合されたブーム8と、ブーム8の先端側にピン結合されたアーム9と、アーム9の先端側にピン結合されたバケット10とによって大略構成されている。
そして、作業装置7は、ブーム8がブームシリンダ11によって上,下に俯仰動され、アーム9はアームシリンダ12によりブーム8に対して俯仰動される。また、バケット10はバケットシリンダ13によりリンク14,15を介して回動されるものである。
ここで、作業装置7のうち例えばアーム9とバケット10との間のピン結合部には、図2に示す軸受装置21が装備されている。そして、この軸受装置21は、後述のボス22、ブッシュ23、ブラケット24,25、連結軸26およびシール装置31により大略構成されている。
22はアーム9の先端側に一体に設けられたボス部材となる筒状のボスで、このボス22内には、ブッシュ23が圧入により嵌合固着して設けられている。ここで、ブッシュ23は、例えば多孔質構造をなす多数の空孔をもった焼結金属材料を用いて形成され、その空孔には潤滑油が含浸されている。また、ブッシュ23は、内周側が軸穴23Aとなり、左,右の両端側には端面23B,23Bを有している。
24,25はバケット10に一体に設けられた一側,他側のブラケットで、このブラケット24,25は、ボス22を左,右両側から挟むように配設され、後述の連結軸26によりボス22に対して相対的に回動可能に連結されている。そして、ブラケット24,25には、ブッシュ23の軸穴23Aと対応する位置に軸穴24A,25Aが穿設されている。
26はボス22をブラケット24,25間に連結する軸となる連結軸で、この連結軸26は、長さ方向中間部がブッシュ23の軸穴23A内に摺動可能に挿嵌されている。そして、連結軸26は、両端側がブラケット24,25の軸穴24A,25A内に挿通され、例えばブラケット25側で係止ボルト27等により抜止めおよび廻止め状態に保持されている。
28,28はボス22の両端とブラケット24,25との隙間内に配設されたシム板で、このシム板28の内周側には連結軸26が挿通されている。そして、シム板28は、ボス22とブラケット24,25との間の隙間調整を行い、ボス22がブラケット24,25に対して相対的に回動するときに、両者が直接摺動するのを防止するものである。
31,31はブッシュ23の軸方向両端側に位置してボス22と連結軸26との間に設けられた本実施の形態に係る一側,他側のシール装置である。これらのシール装置31は、ボス22と連結軸26との間で相対的に回動可能に設けられた後述する第1のシールリング32と第2のシールリング35とにより構成されている。
32は連結軸26の外周側に嵌合して設けられた第1のシールリングで、この第1のシールリング32は、リップシール33と、このリップシール33に一体に設けられた後述の摺動筒34とにより構成されている。
ここで、リップシール33は、例えばニトリルブタジエンゴム(NBR)、ウレタンゴム等の弾性樹脂材料を用いることにより筒状体として形成されている。そして、リップシール33は、連結軸26よりも僅かに小さな内径を有して連結軸26の外周側に嵌合される。
この場合、リップシール33は、軸方向の一側で第2のシールリング35と摺接する摺動筒34が設けられた円筒部33Aと、この円筒部33Aから軸方向の他側に向け径方向外側へと斜めに拡径して伸長したリップ部33Bとにより構成されている。また、リップシール33の円筒部33Aには、その軸方向の一端側外周面と端面との角隅部に沿って略L字状の断面形状をもった取付溝33Cが設けられている。
そして、第1のシールリング32は、リップシール33のリップ部33Bが径方向外側へと斜めに傾いた弾性変形状態で、ブッシュ23の端面23Bに締代をもって摺接することにより端面23Bとの間を液密にシールしている。これにより、第1のシールリング32のリップ部33Bは、ブッシュ23と連結軸26との摺動面間にしみ出した潤滑油が外部に漏洩するのを防止するものである。
34はリップシール33と共に第1のシールリング32を構成する摺動部材としての摺動筒で、この摺動筒34は、リップシール33の取付溝33Cに設けられている。そして、摺動筒34は、例えばポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド樹脂等のように自己潤滑性を有した樹脂材料を用いて断面略L字状をなした筒状体として形成されている。
また、摺動筒34に用いる材料は、リップシール33よりも硬質であるが、後述する第2のシールリング35に比較して軟質な材料が選択されるものである。そして、摺動筒34は、リップシール33の円筒部33Aの外周面と端面との角隅側に位置する取付溝33Cに固着して設けられている。
ここで、摺動筒34は、リップシール33の外周側に位置する筒部34Aと、この筒部34Aの一側から径方向内向きに延びるように一体形成されリップシール33の円筒部33A端面を覆う環状部34Bとにより構成されている。この軸方向一側に位置する前記環状部34Bの端面は、環状のシール面34Cとなっている。そして、摺動筒34は、リップシール33の取付溝33C内に接着または一体成形等の手段を用いて固着されている。
また、第1のシールリング32の摺動筒34は、リップシール33のリップ部33Bがブッシュ23の端面23Bに接触して弾性変形することにより、軸方向の押付け力が与えられる。このため、前記摺動筒34のシール面34Cは、後述する第2のシールリング35の摺接面35Dに押付けられ、該シール面34Cは、シールリング35の摺接面35Dに締代をもって摺接するものである。
35は第1のシールリング32に対して相対的に回動可能となるようにボス22の内周側に嵌合固着して設けられた第2のシールリングである。この第2のシールリング35は、第1のシールリング32の径方向外側に配置され、第1のシールリング32のシール面34Cに対してリップ部33Bと軸方向の反対側で摺接するものである。そして、第2のシールリング35は、第1のシールリング32のリップシール33および摺動筒34に比較して硬質な材料、例えば金属材料、合成樹脂材料等を用いて断面略L字状をなした筒状体として形成されている。
ここで、第2のシールリング35は、薄肉筒部35Aと、この薄肉筒部35Aの一端側に一体形成された厚肉筒部35Bと、この厚肉筒部35Bから径方向内向きに延びた内向き突部としての環状内向突部35Cとにより構成されている。また、第2のシールリング35は、薄肉筒部35Aと厚肉筒部35Bの外周側がボス22の内周側に圧入により嵌合固着して取付けられ、厚肉筒部35Bの内周面と摺動筒34の外周面との間には、全周にわたって小さな隙間Sが形成されている。
また、第2のシールリング35は、環状内向突部35Cの内側面が第1のシールリング32のシール面34Cに摺接する摺接面35Dとなり、シールリング32,35間は、この摺接面35Dと摺動筒34のシール面34Cとの間で液密にシールされるものである。このため、第2のシールリング35は、潤滑油が摺動筒34との間から外部に漏洩するのを防止すると共に、外部のダスト等が両者の間からブッシュ23側に侵入するのを防止する構成となっている。
また、第2のシールリング35の環状内向突部35Cは、第1のシールリング32の摺動筒34と摺接することにより、ブッシュ23の端面23Bとの間で第1のシールリング32を軸方向に位置決めし、第1のシールリング32を抜止め状態に保持する。そして、第2のシールリング35は、第1のシールリング32のリップシール33に対してシール押えとして機能するものである。
なお、36,36は図2に示す如くボス22とブラケット24,25との外周側に装着されたOリングで、これら各Oリング36は、シム板28の径方向外側に位置してボス22とブラケット24,25との間の隙間内に外部のダスト等が侵入するのを防止している。
本実施の形態による油圧ショベルの軸受装置21は上述の如き構成を有するもので、油圧ショベルの掘削作業時には、軸受装置21を介してアーム9の先端側にピン結合されたバケット10が、バケットシリンダ13の伸縮動作に応じて連結軸26を中心として回動動作を行う。
そして、バケット10の回動時にはブッシュ23と連結軸26との間の摩擦熱等によりブッシュ23に含浸した潤滑油の粘度が下がるために、ブッシュ23からブッシュ23と連結軸26との摺動面には、潤滑油が滲み出すようになる。そして、この状態で、ブッシュ23と連結軸26との摺動面には、潤滑油による油膜を形成することができる。
ここで、本実施の形態によると、シール装置31は、互いに相対的に回動可能となった第1,第2のシールリング32,35により構成されている。そして、第1のシールリング32は、連結軸26の外周側に嵌合して設けられる筒状体からなり、第2のシールリング35は、第1のシールリング32を径方向外側から取り囲むようにボス22の内周面に嵌合固着して設けられている。
また、第1のシールリング32は、連結軸26の外周側に嵌合して設けられ径方向外側へと斜めに拡径して延びるリップ部33Bを有したリップシール33と、このリップシール33に一体に設けられリップ部33Bとは反対側となる端面がシール面34Cとなった摺動筒34とにより構成されている。
そして、第1のシールリング32は、リップシール33のリップ部33Bがブッシュ23の端面23Bに締代をもって摺接するときに、摺動筒34のシール面34Cを第2のシールリング35の環状内向突部35C側に向けて軸方向に押付ける構成となっている。
この結果、第1のシールリング32は、リップシール33のリップ部33Bによりリップ部33Bとブッシュ23の端面23Bとの間を液密にシールすることができ、ブッシュ23と連結軸26との間の潤滑油が外部に漏洩するのを防止することができる。
また、ボス22の内周面に嵌合固着して設けた第2のシールリング35は、環状内向突部35Cの摺接面35Dが摺動筒34のシール面34Cに締代をもって摺接することにより、第1のシールリング32の摺動筒34と第2のシールリング35との間も液密にシールすることができる。
このため、ブッシュ23と連結軸26との間の潤滑油が、仮に第1のシールリング32のリップ部33Bを通じてリップ部33Bと第2のシールリング35との間に漏洩したとしても、この潤滑油が外部に流出するような事態は、第1のシールリング32の摺動筒34と第2のシールリング35の環状内向突部35Cとの間で抑えることができ、軸受装置21の外観を良好に保つことができる。
このように、本実施の形態では、第1のシールリング32と第2のシールリング35とを用いることにより、潤滑油の漏洩を2段階で抑えるシール構造とすることができる。
一方、前述の如く構成されるシール装置31を軸受装置21に組付けるときには、第1のシールリング32を第2のシールリング35内に挿入した状態で、第2のシールリング35をボス2の内周側に予め組付けておく。次に、この状態で第2のシールリング35を、第1のシールリング32のリップ部33Bがブッシュ23に当接するまでボス22の内周側に押込むようにする。
これにより、第1のシールリング32をブッシュ23と第2のシールリング35の内周側との間に保持した状態で、これらの第1,第2のシールリング32,35をボス22の内周側に一緒に組付けることができる。
また、軸受装置21の組立時に連結軸26を挿入するときには、例えば第1のシールリング32の内周面、ブッシュ23の内周面に予めグリース等の潤滑油を塗布しておく。これにより、連結軸26は、シールリング32の内周側、ブッシュ23の内周側に容易に挿入でき、挿入作業を円滑に行うことができる。
また、ブッシュ23と連結軸26との間に外部から潤滑油を給脂するときには、例えば連結軸26の内部等に給脂通路(図示せず)を設けておき、ブッシュ23と連結軸26との摺動面間に外部からグリースガン等を用いてグリース等の潤滑剤を給脂する。この場合には、グリースの給脂圧力により第1のシールリング32のリップ部33Bを径方向外側へと撓み変形させ、リップ部33Bをブッシュ23の端面23Bから離間させることができる。
この結果、ブッシュ23と連結軸26との間に溜まったエアは、リップ部33Bからシール面34C、摺接面35D間を介して外部に逃がすことができ、潤滑油の給脂作業を円滑に行うことができる。また、このときに、ブッシュ23と連結軸26との摺動面間に溜まったスラッジ等は、外部に効率よく排出でき、ブッシュ23と連結軸26との摺動面間にグリースを円滑に供給することができる。
そして、ブッシュ23と連結軸26との間の摺動面等にグリースが十分に給脂された状態では、第1のシールリング32の摺動筒34のシール面34Cと第2のシールリング35の摺接面35Dとの間を互いに摺接させることより、グリースが外部に漏洩するのを防止できる。
かくして、本実施の形態では、相対的に回動可能な第1のシールリング32と第2のシールリング35とからなるシール装置31を用いることにより、ブッシュ23と連結軸26との間に潤滑油を、リップ部33B側とシール面34C側との2段階で密封することができる。
これにより、ブッシュ23と連結軸26との間を常に潤滑状態に保持しておくことができ、バケット10の回動時にはブッシュ23と連結軸26とを円滑に相対回動することができる。
また、第1のシールリング32には自己潤滑性を有する摺動筒34を設け、摺動筒34のシール面34Cを第2のシールリング35の環状内向突部35Cに摺接させる構成としている。これによって、バケット10の回動時には、摺動筒34により第1のシールリング32と第2のシールリング35との間で生じる摺動抵抗を低減でき、両者を円滑に相対回動することができる。この結果、第1,第2のシールリング32,35は、早期に摩耗することがなく、シール装置31の耐久性、寿命を高めることができる。
また、第2のシールリング35には、環状内向突部35Cを一体形成し、この環状内向突部35Cとブッシュ23との間で第1のシールリング32を軸方向に位置決めする構成としている。これによって、第2のシールリング35の環状内向突部35Cは、第1のシールリング32のリップ部33Bをブッシュ23の端面23Bに一定の面圧をもって安定して摺接させることができ、第1のシールリング32のシール性能、摺動性能を高めることができる。
そして、ブッシュ23と連結軸26との間に外部からグリース等の潤滑剤を給脂するときには、グリースの給脂圧力により第1のシールリング32のリップ部33Bを径方向外側へと撓み変形させ、リップ部33Bをブッシュ23の端面23Bから離間させることができる。
これにより、ブッシュ23と連結軸26との間に溜まったエアは、リップ部33Bから、シール面34C、摺接面35D間を介して外部に逃がすことができるので、潤滑油の給脂作業を円滑に行うことができる。また、このときには、ブッシュ23と連結軸26との摺動面間に溜まったスラッジ等は、外部に効率よく排出でき、ブッシュ23と連結軸26との摺動面間にグリースを円滑に供給することができる。
さらに、ブッシュ23と連結軸26との間の摺動面等にグリースが十分に給脂された状態では、第1のシールリング32の摺動筒34のシール面34Cと第2のシールリング35の摺接面35Dとの間を互いに摺接させることより、グリースが外部に漏洩するのを防止できる。
次に、図5は本発明の第2の実施の形態に係る軸受装置を示している。ここで、本実施の形態の特徴は、ブッシュの端面には第1のシールリングのリップ部が摺接する環状のスラストワッシャを設ける構成としたことにある。
なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
41は本実施の形態に係るシール装置で、このシール装置41は、第1の実施の形態で述べたシール装置31とほぼ同様に、第1のシールリング32と第2のシールリング35により大略構成されている。しかし、このシール装置41は、環状のスラストワッシャ42を有している点で第1の実施の形態のものとは異なっている。
ここで、スラストワッシャ42は、例えば金属材料により環状平板として形成され、その裏面側はブッシュ23の端面23Bに衝合状態で固定されている。また、スラストワッシャ42の表面は、全周に亘って平滑面として形成され、第1のシールリング32のリップ部33Bが摺接する摺接面を構成している。なお、スラストワッシャ42は、ブッシュ23の端面23Bに単に当接させた状態で設ける構成としてもよい。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
特に、本実施の形態では、ブッシュ23の端面23Bと第1のシールリング32のリップ部33Bとの間には、スラストワッシャ42を介在して設け、第1のシールリング32のリップ部33Bをスラストワッシャ42に摺接させる構成としている。これにより、ブッシュ23の加工時に端面23Bの表面粗さを比較的粗く形成した場合でも、表面が平滑なスラストワッシャ42に対し、第1のシールリング32のリップ部33Bを直接摺接させることができる。
このように、スラストワッシャ42を設けたことにより、リップ部33Bとスラストワッシャ42との間の摺動抵抗を小さく保つことができるので、リップ部33Bの摩耗量を低減することができ、第1のシールリング32の耐久性、寿命等を高めることができる。
次に、図6は本発明の第3の実施の形態に係る軸受装置を示している。ここで、本実施の形態の特徴は、シール装置を構成する第1のシールリングには、摺動部材としての摺動筒の軸方向一端側をリップシールの円筒部から突出して設け、この摺動筒の一側端面を第2のシールリングに摺接させるシール面として構成したことにある。
なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
51は本実施の形態に係るシール装置で、このシール装置51は、第1の実施の形態とほぼ同様に、後述する第1のシールリング52および第2のシールリング55により構成されている。
52は連結軸26の外周側に固定して設けられた本実施の形態に用いる第1のシールリングで、この第1のシールリング52は、第1の実施の形態で述べた第1のシールリング32とほぼ同様に、リップシール53と摺動筒54とにより構成されている。
ここで、リップシール53は、連結軸26の外周側に嵌合し軸方向の一側に摺動筒54が設けられた円筒部53Aと、この円筒部53Aから軸方向の他側に向けて伸長したリップ部53Bと、円筒部53Aの軸方向の一端側外周面と端面との角隅部に沿って設けられた取付溝53Cとにより構成されている。
一方、摺動筒54は、全体として段付きの筒状体として形成されている。また、摺動筒54は、大径筒部54Aと、この大径筒部54Aの一端側内周に一体形成された環状部54Bと、この環状部54Bの内周から軸方向一側に向けて突出した小径筒部54Cとにより構成されている。
そして、摺動筒54は、大径筒部54Aと環状部54Bがリップシール53の取付溝53Cに固着して取付けられると共に、小径筒部54Cはリップシール53から軸方向に突出している。また、摺動筒54は、大径筒部54Aと環状部54Bの軸方向一側に位置する端面が後述の摺接面55Cに摺接するシール面54Dとなっている。
55はボス22の内周側に嵌合固着して設けられた本実施の形態に用いる第2のシールリングで、この第2のシールリング55は、ボス22の内周側に嵌合固着した筒部55Aと、この筒部55Aの一端側から径方向内側に延びた内向き突部としての環状内向突部55Bとにより構成されている。
そして、第2のシールリング55は、環状内向突部55Bの内側面がシールリング52のシール面54Dに摺接する摺接面55Cとなっている。そして、第1,第2のシールリング52,55間は、この摺接面55Cと摺動筒54のシール面54Dとの間で液密にシールされるものである。
また、第2のシールリング55の環状内向突部55Bは、摺動筒54の小径筒部54Cよりも大径に形成され、環状内向突部55Bの内周と摺動筒54の小径筒部54C外周面との間には、全周にわたって隙間Sが形成されている。そして、第2のシールリング55は、環状内向突部55Bの摺接面55Cが摺動筒54のシール面54Dと摺接することにより、第2のシールリング52をブッシュ23との間で軸方向に位置決めしている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
次に、図7は本発明の第4の実施の形態に係る軸受装置を示している。ここで、本実施の形態の特徴は、シール装置を構成する第2のシールリングには、第1のシールリングが摺接する環状のスラストワッシャを設ける構成としたことにある。
なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
61は本実施の形態に係るシール装置で、このシール装置61は、第1の実施の形態とほぼ同様に、後述する第1のシールリング62および第2のシールリング65により構成されている。
62は連結軸26の外周側に嵌合して設けられた本実施の形態に用いる第1のシールリングで、この第1のシールリング62は、第1の実施の形態で述べた第1のシールリング32とほぼ同様に、リップシール63と摺動筒64とにより構成されている。
ここで、リップシール63は、連結軸26の外周側に嵌合し軸方向の一側に摺動筒64が設けられた円筒部63Aと、この円筒部63Aから軸方向の他側に向けて伸長したリップ部63Bと、円筒部63Aの軸方向の一端側外周面と端面との角隅部に沿って設けられた取付溝63Cとにより構成されている。
一方、摺動筒64は、大径筒部64Aと、この大径筒部64Aの一端側内周に一体形成された環状部64Bと、この環状部64Bの内周から軸方向に突出した小径筒部64Cとにより構成されている。
そして、摺動筒64は、大径筒部64A、環状部64Bおよび小径筒部64Cがリップシール63の取付溝63Cに固着して取付けられている。また、摺動筒64は、大径筒部64Aと環状部64Bの軸方向一側に位置する端面が後述のスラストワッシャ66に摺接するシール面64Dとなっている。
65はボス22の内周側に嵌合固着して設けられた本実施の形態に用いる第2のシールリングで、この第2のシールリング65は、ボス22の内周側に嵌合固着した筒部65Aと、この筒部65Aの一端側から径方向内側に延びた内向き突部としての環状内向突部65Bとにより構成されている。
66は第2のシールリング65の環状内向突部65B内側に設けられた環状のスラストワッシャである。このスラストワッシャ66は、環状内向突部65Bの内側面に当接または固着して設けられ、第1のシールリング62の摺動筒64と軸方向で対向して配置されている。そして、このスラストワッシャ66は、例えば環状の金属板、樹脂板等を用いて形成され、その表面は摺動筒64のシール面64Dと摺接する平滑面としての摺接面66Aとなっている。
そして、第2のシールリング65は、スラストワッシャ66の摺接面66Aが第1のシールリング62の軸方向一側で摺動筒64のシール面64Dと摺接する。これにより、スラストワッシャ66は、摺動筒64との間を液密にシールすると共に、第1のシールリング62をブッシュ23との間で軸方向に位置決めしている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
特に、本実施の形態では、第1のシールリング62の摺動筒64を表面が平滑なスラストワッシャ66と直接摺接させる構成としている。このため、スラストワッシャ66は、第1のシールリング62の摺動筒64と第2のシールリング65との間の摺動抵抗を低減でき、これらのシールリング62,65の摩耗量を減らしてその耐久性、寿命等を高めることができる。
次に、図8は本発明の第5の実施の形態に係る軸受装置を示している。ここで、本実施の形態の特徴は、第2のシールリングを断面L字状に形成し、内向き突部の内側面を第1のシールリングのシール面に摺接する摺接面として形成したことにある。
なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
71は本実施の形態に係るシール装置で、このシール装置71は、第1の実施の形態で述べたシール装置31とほぼ同様に、第1のシールリング32と後述する第2のシールリング72により大略構成されている。しかし、このシール装置71は、第2のシールリング72の形状が第1の実施の形態とは異なっている。
72はボス22の内周側に嵌合固着して設けられた本実施の形態で用いる第2のシールリングで、この第2のシールリング72は、ボス22の内周側に嵌合固着した筒部72Aと、この筒部72Aの一端側から径方向内側に延びた内向き突部としての環状内向突部72Bとにより構成され、全体として断面L字形状をなしている。
そして、第2のシールリング72は、環状内向突部72Bの内側面がシールリング32のシール面34Cに摺接する摺接面72Cとなっている。そして、第1、第2のシールリング32,72間は、この摺接面72Cと摺動筒34のシール面34Cとの間で液密にシールされるものである。
また、第2のシールリング72は、環状内向突部72Bの摺接面72Cが摺動筒34のシール面34Cと摺接することにより、第1のシールリング32をブッシュ23との間で軸方向に位置決めしている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に本実施の形態では、第2のシールリング72を筒部72Aと環状内向突部72Bとにより、全体として断面L字形状をなす単純な形状に形成でき、第2のシールリング72の成形、加工を容易に行うことができる。
なお、図6に示す前記第3の実施の形態では、摺動筒54の小径筒部54Cを、リップシール53の円筒部53A端面から第2のシールリング55の環状内向突部55Bの内側まで突出させる構成としている。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図9に示す第1の変形例のように、リップシール53′を、円筒部53A′、リップ部53B′および取付溝53C′から構成し、円筒部53A′の軸方向一側を、摺動筒54の小径筒部54Cの端面と同じ位置まで軸方向に延ばす構成としてもよい。
また、第1の実施の形態では、第1のシールリング32をリップシール33と摺動筒34とにより構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図10に示す第2の変形例のように、摺動筒を廃止すると共に、第1のシールリングを円筒部33A′とリップ部33B′からなるリップシール33′のみにより構成してもよい。
そして、この場合には、円筒部33A′の軸方向一側に位置するリップシール33′の端面をシール面33C′として形成し、このシール面33C′を第2のシールリング35の摺接面35Dと直接摺接させる構成としてもよい。このことは、第2,第3,第4,第5の実施の形態についても同様である。
また、各実施の形態では、軸受装置に用いるシール装置をアーム9とバケット10との間のピン結合部に適用する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明に係るシール装置はこれに限らず、例えば作業装置7を構成するブーム8の先端とアーム9との間のピン結合部、ブーム8の基端部と旋回フレーム3との間のピン結合部、各シリンダ11,12,13のピン結合部等に適用してもよい。
さらに、各実施の形態では、軸受装置に用いるシール装置を油圧ショベルに適用した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明に係るシール装置はこれに限らず、油圧クレーン等の他の建設機械、またはこれ以外の各種産業機械等に広く適用できるものである。

Claims (8)

  1. ボス部材の内周面に嵌合固着して設けた筒状のブッシュに対し、軸を相対的に回動可能に挿通して設けてなる軸受装置に用いられるシール装置において、
    前記軸の外周面に嵌合して設けられる筒状体からなり、軸方向一側の端面が環状のシール面となり軸方向の他側に前記ブッシュの端面に摺接するリップ部を有する第1のシールリングと、
    該第1のシールリングの径方向外側に位置して前記ボス部材の内周面に嵌合固着される筒状体からなり、軸方向一側に該第1のシールリングの前記シール面に摺接する摺接面を有する第2のシールリングとにより構成したことを特徴とするシール装置。
  2. 前記第1のシールリングは、軸方向一側が前記軸の外周面に嵌合される円筒部となり軸方向他側に該円筒部から前記ブッシュの端面に向けて伸長する前記リップ部が形成されたリップシールと、該リップシールの円筒部側に設けられ軸方向一側の端面が前記第2のシールリングと摺接する前記シール面となった摺動部材とにより構成してなる請求項1に記載のシール装置。
  3. 前記第1のシールリングは、前記リップシールを弾性を有する樹脂材料により形成し、前記摺動部材を自己潤滑性を有する樹脂材料により形成してなる請求項2に記載のシール装置。
  4. 前記摺動部材は、前記リップシールの円筒部外周側に配置される筒部と、該筒部の軸方向一側から径方向内向きに延び前記円筒部の端面を覆うことによって前記シール面を形成する環状部とにより構成してなる請求項2または3に記載のシール装置。
  5. 前記第2のシールリングは、前記第1のシールリングを径方向外側から取囲むように前記ボス部材の内周面に嵌合固着される筒部と、前記ブッシュの端面との間で前記第1のシールリングを軸方向に位置決めするため前記筒部の軸方向一側から径方向内側に向けて延び前記第1のシールリングに前記シール面を介して摺接する前記摺接面を有した内向き突部とにより構成してなる請求項1に記載のシール装置。
  6. 前記第2のシールリングは、前記第1のシールリングに比較して硬質な材料により形成してなる請求項1に記載のシール装置。
  7. 前記ブッシュの端面には、前記第1のシールリングのリップ部が摺接する環状のスラストワッシャを設けてなる請求項1に記載のシール装置。
  8. 前記第2のシールリングには、前記第1のシールリングのシール面に摺接する環状のスラストワッシャを設けてなる請求項1に記載のシール装置。
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