JP3561061B2 - ポリビニルアルコール系感光性樹脂および感光性樹脂組成物並びにそれを用いたパターン形成方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリビニルアルコール系感光性樹脂および感光性樹脂組成物並びにそれを用いたパターン形成方法に関し、特に、アニオン性の添加剤との相溶性が良好で、アニオン性基板上に良好にパターニングできる感光性樹脂および感光性樹脂組成物並びにそれを用いたパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水溶性のポリビニルアルコール系感光性樹脂としては、特公昭56−5761号公報、特公昭56−5762号公報、特開昭56−11906号公報、特開昭59−17550号公報、特開平2−118575号公報、特公平2−276806号公報および特開平6−43645号公報などに開示されている四級化芳香族含窒素複素環を有するスチリル誘導体をペンダントさせたポリビニルアルコール系感光性樹脂が知られている。これらの感光性樹脂は高感度であるが、耐水性が悪く、現像時に膨潤するため充分な解像度が得られないという欠点がある。更にこれらの感光性樹脂はカチオン性であるため、アニオン性の添加剤、例えばアニオン性の界面活性性剤やエマルジョンと混合すると増粘したりゲル化を起こしたりするという欠点がある。また、これらの感光性樹脂を用いて、アニオン性の表面を有する基板上にパターンを形成した場合、イオン的相互作用によりスカムが発生するなどの問題点もある。
【0003】
一方、このような問題点を解決したものとして、ポリビニルアルコール系感光性樹脂としてベタイン構造を持つ四級化芳香族含窒素複素環を有するスチリル誘導体をペンダントさせたポリビニルアルコールが特開平2−160807号公報に開示されている。しかしこの感光性樹脂は、水溶性が充分でない、および感度が若干低いなどの欠点を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のポリビニルアルコール系感光性樹脂は、例えば、耐水性が悪い、耐熱性が悪い、水溶性が充分でない、アニオン性の添加剤との混和性が悪いなどの欠点を有している。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑み、耐水性および耐熱性が良好で、水溶性も十分であり、アニオン性の添加剤との混和性もよい感光性樹脂および感光性樹脂組成物並びにそれを用いたパターン形成方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成する本発明の第1の態様は、下記一般式(I)および(II)で表される構成単位を有するポリビニルアルコール系高分子化合物であって、
【0007】
【化3】
(R1は四級化された芳香族含有窒素複素環残基、R2は水素原子または低級アルコキシル基、mは0または1、nは1〜6の整数を表す)
【0008】
【化4】
(X1およびX2は水素、Na、K、アンモニウムを表す)
前記一般式(I)の含有量が0.5〜10モル%であり、前記一般式(II)の含有量が0.1〜20モル%であるポリビニルアルコール系高分子化合物からなることを特徴とするポリビニルアルコール系感光性樹脂にある。
【0009】
ここで、前記一般式(I)の構成単位/一般式(II)の構成単位で示されるモル比が2より小さいのがこのましい。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、前記ポリビニル系感光性樹脂を含有することを特徴とするポリビニルアルコール系感光性樹脂組成物にある。
【0011】
ここで、前記ポリビニルアルコール系感光性樹脂の前記一般式(I)の構成単位/一般式(II)の構成単位で示されるモル比が2より小さいのが好ましい。
【0012】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、さらにアニオン性添加剤を含有してもよい。
【0013】
本発明の第3の態様は、上述した本発明のポリビニルアルコール系感光性樹脂組成物を基板上に塗布して感光性樹脂層を形成する工程と、この感光性樹脂層をパターン露光し、続いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法にある。
【0014】
本発明者らは、上述した課題を解決する優れた特性を有する感光性樹脂を開発するために鋭意研究を重ねた結果、感光性の四級化された芳香族含窒素複素環を有するスチリル化合物と、スルホン酸基を二つ有するフェニル化合物とを特定のモル比でペンダントさせることにより得られるポリビニルアルコール系高分子化合物が上記目的を達成することを知見し、本発明に至ったものである。
【0015】
本発明のポリビニルアルコール系感光性樹脂は、新規なものであり、耐水性が良好で、高感度のものである。
【0016】
また、特に、前記一般式(I)/一般式(II)で示されるモル比が2より小さいものは、アニオン性添加剤との相溶性が良好であり、アニオン性基板上に良好にパターニングすることができるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態と共に詳細に説明する。
【0018】
本発明の感光性樹脂を構成するポリビニルアルコール系高分子化合物は、ポリ酢酸ビニルケン化物または酢酸ビニルと他のビニル化合物との共重合体のケン化物に、下記一般式(III)で表されるアルデヒドまたはそのアセタールと、下記一般式(IV)で表されるアルデヒドとを、酸触媒存在下、水系溶媒中で反応させることにより容易に得ることができる。
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
一般式(III)におけるR1は四級化された芳香族含窒素複素環残基を表すが、かかるR1としては下記に示す例を挙げることができる。
【0022】
【化7】
【0023】
ここで、R3は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、低級アルコキシルカルボニルアルキル基、またはベンジル基を表し、Y−は、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、モノアルキル硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンなどのアニオンを表し、Zは、O、S、Se、またはNR4(R4は低級アルキル基を示す)を表す。
【0024】
本発明の感光性樹脂であるポリビニルアルコール系高分子化合物を合成する反応に用いる酸触媒としては、例えばリン酸、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、あるいは酸性イオン交換樹脂などを用いることができ、または一般式(IV)においてX1および/またはX2が水素の場合はこれ自身を当該触媒としても用いることができる。
【0025】
かかる反応は水性媒体中、好ましくは水中で行われる。反応条件は特に制限はないが、一般には、室温から100℃までの温度範囲で2〜72時間で行うことができる。
【0026】
反応後、反応混合物を多量の貧溶媒、例えば、アセトン、エタノール、ジオキサンなどに注ぎ、目的の樹脂を沈澱させ、これを分離してメタノールなどで洗い、乾燥することにより本発明の感光性樹脂を得ることができる。または、反応後、アルカリ水溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水等で中和するか、あるいは塩基性イオン交換樹脂で中和後、イオン交換樹脂をろ別することにより、目的の感光性樹脂の水溶液を得ることができる。
【0027】
かかる反応に用いられるポリ酢酸ビニルケン化物としては、例えば平均重合度200〜5000、好ましくは300〜3000、ケン化度60〜100%、好ましくは70〜99%のものが好適である。
【0028】
ここで、平均重合度を200〜5000としたのは、重合度が200より小さい場合、十分な感度が得られず、また一方、5000より大きい場合には感光性組成物としたときの溶液の粘度が高くなりすぎ、塗布性が悪くなるか、または水現像性が低下するかし、何れにしても好ましくないからである。
【0029】
また、ケン化度を60〜100%としたのは、ケン化度が60%より低いと十分な水溶性および水現像性が得られないためである。
【0030】
上述したように酢酸ビニルと他のビニル化合物との共重合体のケン化物をポリ酢酸ビニルケン化物の代わりに用いることができるが、かかる他のビニル化合物(ビニルモノマ)としては、例えばN−ビニルピロリドン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどを挙げることができる。
【0031】
このようなポリ酢酸ビニルケン化物類と、上記一般式(III)の化合物および/またはそのアセタール物と、一般式(IV)の化合物とを酸触媒の存在下に反応させる際には、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒドなどのアルドヒド類もしくはこれらのアセタール類を同時に反応させることもできる。
【0032】
ポリ酢酸ビニルケン化物類に対する一般式(III))の化合物またはそのアセタール物の導入率は、モノマ単位当たり、0.5〜10モル%、好ましくは0.8〜7モル%である。ここで、導入率を0.5〜10モル%としたのは、0.5モル%より少ない場合は感度が低く実用的でなく、10モル%より多いと水溶性が充分でないからである。一般的には、使用するポリ酢酸ビニルケン化物類の重合度が低いと導入率を高くしないと充分な感度が得られず、重合度が高い場合は導入率が低くても充分な感度が得られるという傾向がある。
【0033】
ポリ酢酸ビニルケン化物類に対する一般式(IV)の化合物の導入率は、モノマ単位当たり、0.1〜20モル%、好ましくは0.3〜15モル%である。ここで、導入率を0.1〜20モル%としたのは、この範囲を外れると耐水性が十分でなくなるからである。
【0034】
本発明の感光性樹脂では、特に、一般式(I)の構成単位/一般式(II)の構成単位で示されるモル比が2より小さいのが好ましい。この場合には、樹脂がアニオン性となるため、高感度で耐水性が良好であることに加えて、アニオン性の添加剤との相溶性が良い、アニオン性の基板上にパターンを形成した場合にスカムが残らないなどの特徴を有する感光性樹脂となる。
【0035】
本発明のポリビニルアルコール系感光性樹脂は、後述する合成例(3)で示すように、得られた樹脂をイオンクロマトグラフィーで陰イオンの分析をしても、触媒であるリン酸イオンおよびメチルサルフェートイオンが検出されないことから、分子内および/または分子間塩を形成していると考えられる。例えば、合成例(3)では、下記一般式(V)の構造であると考えられる。
【0036】
【化8】
【0037】
本発明の感光性樹脂組成物は、上述した本発明の感光性樹脂を含有するものであるが、特に、感光性樹脂の一般式(I)の構成単位/一般式(II)の構成単位で示されるモル比が2より小さいときにはアニオン性添加剤との相溶性が良好であるので、さらにアニオン性添加剤を含有することができる
アニオン性の疎水性重合体エマルジョンとしては、下記(1)〜(3)のものを挙げることができる。
【0038】
(1)アニオン活性剤を乳化剤として用いた疎水性重合体エマルジョン;
アニオン活性剤としては、高級脂肪酸塩、高級アルキル・ジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、高級アルキル・ジスルホン酸塩、硫酸化脂肪および脂肪酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、高級アルキルリン酸エステル塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩またはスルホン酸塩、高級アルコール・エーテルの硫酸エステル塩またはスルフォン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸との縮合物、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、高級脂肪酸アミドのアルキル化スルホン酸塩、高級アルキル・スルホナミドのアルキルカルボン酸塩、スルホ琥珀酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、アルキルテトラリンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩、ナフテン酸塩、ナフテニルアルコール硫酸エステル塩などを挙げることができる。
【0039】
(2)乳化剤としてアニオン性保護コロイドを用いた疎水性重合体エマルジョン;
アニオン性保護コロイドとしては、カルボキシルあるいはスルホン酸変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩などを挙げることができる。
【0040】
(3)その他として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、2−スルホエチルメタクリレート塩などの不飽和化合物を共重合成分とした疎水性重合体エマルジョン。
【0041】
アニオン性の界面活性剤としては、例えば、アニオン性の疎水性重合体エマルジョンの説明で挙げたようなものを挙げることができる。
【0042】
アニオン性染料としては、例えば、直接染料、酸性染料などを挙げることができる。
【0043】
アニオン性顔料としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基を持った顔料、またはアニオン性ポリマーなどで処理した顔料などを挙げることができる。
【0044】
アニオン性の水溶性高分子としては、カルボキシル基あるいはスルホン酸を有する水溶性高分子を挙げることができる。
【0045】
また、本発明の組成物の特徴の一つは、他のアニオン性の感光剤と併用できることである。アニオン性の感光剤としては、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジアジドジベンザルアセトン−2,2’−ジスルホン酸、2,5−ビス(4’−アジド−2’−スルホベンジリデン)シクロペンタノン、2,6−ビス(4’−アジド−2’−スルホベンジリデン)シクロヘキサノンおよびこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、有機第四級アンモニウム塩などを挙げることができる。
【0046】
本発明の組成物に上記アニオン性のアジド系感光剤を含有させる場合は、アジド基の光反応中間体と反応性のよい水溶性高分子をさらに加えることが特に好ましい。このような水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、アクリルアミドとダイアセトンアクリルアミドとの共重合体、アクリルアミドとN,N−ジメチルアクリルアミドとの共重合体、カチオン化セルロースなどを挙げることができる。
【0047】
本発明の組成物にはさらに少なくとも一種の光重合性不飽和化合物と、光重合開始剤系とを加えることにより、その特性を向上させることができる。
【0048】
かかる光重合性不飽和化合物は、疎水性あるいは親水性のどちらでもよく、その例として、アクリル基、メタクリル基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニル基、アクリルアミド基などの重合可能な不飽和基を少なくとも1つ持つ不飽和モノマあるいは不飽和プレポリマーを挙げることができる。
【0049】
また、光重合開始剤系は光照射により光重合活性のラジカルが生成する系であればよく、その例としては、ベンゾインエーテル、ヒドロキシアルキルケトン、ジアルコキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、ベンゾインオキシムケトンなどのα−開裂型開始剤、ベンゾフェノン、ベンジル、チオキサントン、ケトクマリンなどの芳香族ケトン並びにこれらの芳香族ケトンとアミンのような水素供与体との系、有機過酸化物、オニウム塩、トリフェニルアルキルホウ酸や鉄−アレーン錯体とチオキサンテン色素やケトクマリンのような電子供与体との系、N−アリールグリシンと電子吸引体との系、ポリハロゲン化合物などを挙げることができる。
【0050】
さらにこれらの光重合系には、通常、熱重合禁止剤を加えることが望ましい。
【0051】
本発明の組成物には、上記成分以外の非イオン性の疎水性重合体エマルジョン、界面活性剤、染料、顔料、無機充填剤、乳化安定剤、可塑剤、レベリング剤なども含有させることができる。また、組成物溶液が増粘したり、ゲル化したりしない程度のカチオン性の添加剤も含有させることができ、さらに蛍光体パターン形成用には各種蛍光体、ブラックマトリックス形成用には黒鉛などの光吸収物質を含有させることができる。
【0052】
本発明の組成物は、前記ポリビニルアルコール系高分子化合物に、必要により前記カチオン性添加剤並びに必要に応じて各種添加剤を添加し、水を主体とする溶剤に溶解あるいは分散させることにより調製することができる。
【0053】
この際用いられる溶剤としては、一般には水が用いられるが、これに50重量%以下の割合で水に可溶な溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノンなどの水可溶性剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等を加えることができる。
【0054】
上述したように得られた本発明の感光性樹脂組成物は、用途に応じて、アルミニウムやステンレス等の金属板、スクリーンメッシュ、紙、ガラス板、半導体基板、その他任意の基材上に、例えば、0.5〜1000μmの乾燥厚さとなるように塗布・乾燥するようにして使用される。
【0055】
これらの塗膜には、紫外線、例えば波長300〜500nmのような活性光線を照射して照射部を硬化させた後、非照射部を水等により除去すれば、パターン画像が得られ、例えば、スクリーン印刷板、カラーブラウン管のブラックマトリックスや蛍光体パターン形成、CCDやLCDのカラーフィルタ、印刷のカラープルーフや各種エッチングレジスト等として利用できる。
【0056】
本発明の組成物を用いるパターン形成で特に有利に用いられるのは、アニオン性表面を有する基板上にパターンを形成する場合である。従来より知られているカチオン性のポリビニルアルコール系感光性樹脂を用いて、アニオン性表面を有する基板上にパターンを形成すると、非露光部にスカムが残るが、本発明の組成物を用いてこのような基板上にパターンを形成すると、スカムのないきれいなパターンが形成される。
【0057】
次に、アニオン性表面を有する基板上に本組成物を用いたパターン形成の具体例を挙げる。カラーブラウン管はフェースプレート内面に設けられた赤、緑、青の蛍光体からなるストライプまたはドットパターンと、その空隙に埋められた黒鉛等からなる非発光性光吸収物質とからなる構造であり、その蛍光体パターンの空隙を埋めた非発光性光吸収部分をブラックマトリックスという。その作成方法は、まずブラックマトリックスを形成した後に各色の蛍光体パターンを形成するのであるが、ブラックマトリックスには黒鉛を分散した液が用いられる。この黒鉛の分散剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(特公昭46−218号公報)、カルボキシメチルセルロースのリチウム塩(特開平4−82140号公報)、β−ナフタレンスルホン酸ソーダなどのアニオン系が用いられる。従って、ブラックマトリックスの表面はアニオン性である。この上に蛍光体を分散させた感光性組成物を塗布、露光後、現像するのであるが、この感光性組成物がカチオン性であると、完全に現像されずにスカムが残り、非露光部のブラックマトリックス上の蛍光体が残ることになる。この蛍光体の分散させた感光性組成物に本発明のアニオン性の組成物を用いると、完全に現像され混色のないきれいな蛍光体のパターンが得られる。
【0058】
【実施例】
[合成例(1)]
ポリビニルアルコール(PVA)GH−17(日本合成化学工業製、重合度1700、ケン化率88%)10grを純水90grに溶解した。この溶液にN−メチル−4−ホルミルスチリルピリジニウムメトサルフェート0.581gr(以下SbQと略す;PVАのユニットモルに対して0.85モル%)、およびリン酸0.25grを添加し、30℃にて3時間撹拌した。続いてこの溶液にベンズアルデヒド−2,4−ジスルホン酸ナトリウム0.783gr(純度84.7%;以下diBАSと略す;SbQの1.235倍モル)を添加し、30℃にて20時間撹拌した。この反応液にアンバーライトIR−45(ローム&ハース社製のイオン交換樹脂)2.5grを添加して2時間撹拌した。pHが中性であることを確認後、400メッシュの紗にてろ過し、淡黄色のポリマー水溶液を得た。
【0059】
紫外分光光度法によりSbQおよびdiBАSのポリビニルアルコールへの結合率を測定したところ、各々、0.72モル%、0.76モル%であった。
【0060】
[合成例(2)]
ポリビニルアルコール(PVA)GH−17(日本合成化学工業製、重合度1700、ケン化率88%)10grを純水90grに溶解した。この溶液にSbQ0.581gr(PVАのユニットモルに対して0.85モル%)、およびリン酸0.25grを添加し、30℃にて3時間撹拌した。続いてこの溶液にdiBAS0.286gr(SbQの0.54倍モル)を添加し、30℃にて20時間撹拌した。この反応液にアンバーライトIR−45(ローム&ハース社製のイオン交換樹脂)2.5grを添加して2時間撹拌した。pHが中性であることを確認後、400メッシュの紗にてろ過し、淡黄色のポリマー水溶液を得た。
【0061】
紫外分光光度法によりSbQおよびdiBАSのポリビニルアルコールへの結合率を測定したところ、各々、0.72モル%、0.33モル%であった。
【0062】
[合成例(3)]
ポリビニルアルコール(PVA)GH−17(日本合成化学工業製、重合度1700、ケン化率88%)10grを純水90grに溶解した。この溶液にSbQ0.581gr(PVАのユニットモルに対して0.85モル%)、およびリン酸0.25grを添加し、30℃にて3時間撹拌した。続いてこの溶液にdiBAS0.783gr(SbQの1.235倍モル)を添加し、30℃にて20時間撹拌した。この反応液を大量のアセトンに注いで白色のポリマーを析出させた。この析出ポリマーをメタノールで十分に洗浄後、真空乾燥して9.5grのポリビニルアルコール誘導体を得た。
【0063】
紫外分光光度法によりSbQおよびdiBАSのポリビニルアルコールへの結合率を測定したところ、各々、0.72モル%、0.76モル%であった。
【0064】
また、イオンクロマト分析によりSbQ由来のメチル硫酸根、および触媒由来のリン酸根はトレース程度しか検出されず、この分析結果より上述した一般式(V)に示す内部塩構造が支持され、この結果、このポリマーはアニオン性であることが明らかとなった。
【0065】
[比較合成例(1)]
特開昭55−23163号公報に示される方法に従い、上記PVА(GH−17)にSbQが0.72モル%結合したポリビニルアルコール誘導体を得た。この物はアニオン成分を全く含まないため、完全にカチオン性ポリマーである。
【0066】
[実施例(1)]
合成例(1)の10重量%ポリマー水溶液にアニオン性エマルジョンであるファインテックスΕS−650(大日本インキ社製;ポリエステル系エマルジョン、固形分含量29重量%)を固形分比1:2で混合した。ごく少量の増粘は見られたが、きれいな感光性組成物が得られた。
【0067】
かかる感光性組成物を用い、250メッシュのスクリーン版にスクリーン紗上15μmの厚さで塗膜を形成し、2kWの超高圧水銀灯で60cmの距離から90秒露光し、水スプレー現像を行った。得られたパターンを観察すると、膨潤が少なく、解像度も良好だった。
【0068】
[比較例(2)]
実施例(1)と同様な比較合成例(1)で得られたポリマーを純水に溶解して10重量%の水溶液を得た。この水溶液に実施例(1)と同様にES−520を固形分比1:2で混合したところ、極端な増粘が見られ、実施例(1)と同様なスクリーン上でのテストは実施できなかった。
【0069】
[実施例(2)]
合成例(2)の10重量%ポリマー水溶液に酢酸ビニルエマルジョン(ヘキスト合成社製モビニールMA6)を固形分比1:2で混合した。250メッシュのスクリーン版にスクリーン紗上に15μmの厚さで塗膜を形成し、2kWの超高圧水銀灯で60cmの距離から110秒間露光し、水スプレー現像を行った。得られたパターンを観察すると、膨潤が少なく、解像度も良好であった。
【0070】
[比較例(2)]
合成例(2)の10重量%ポリマー水溶液に酢酸ビニルエマルジョン(ヘキスト合成社製モビニールMA6)を固形分比1:2で混合した。250メッシュのスクリーン版にスクリーン紗上に15μmの厚さで塗膜を形成し、2kWの超高圧水銀灯で60cmの距離から110秒間露光し、水スプレー現像を行った。得られたパターンを観察すると、実施例(2)と比較して膨潤が多く、解像度も悪いものであった。
【0071】
[実施例(3)]
10cm四方のソーダガラス板上に、特開昭48−90815号公報等に記載されている一般的な方法により、ポリビニルピロリドンと4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸ナトリウムとからなる感光液、エレクトロダック1530(日本アチソン社製;グラファイト分散液)、およびホール径135μmのシャドーマスクを使用して、ホール径105μmのブラウン管用ブラックマトリックスを作成した。
【0072】
続いて、上記ガラス板上に、下記処方のいわゆる蛍光体スラリーを塗布・乾燥して8〜10μm厚に塗工し、以下の条件にて蛍光体パターンを作成した。得られたパターンを観察すると、蛍光体の充填度は良好で、解像度も優れており、ブラックマトリックス上の蛍光体の残りもなかった。
【0073】
【0074】
(パターン作成条件)
シャドーマスク:ホール径135μm
シャドーマスク−ガラス板距離:10mm
光源−ガラス板距離:30cm
光源:超高圧水銀、350nm、照度0.15mw/cm2
露光時間:40秒
現像:水スプレー現像
【0075】
[比較例(3)]
同様な評価を比較合成例(1)のポリマーを用いて行った。但し、アニオン性界面活性剤であるタモール731との混和性が十分ではないので、実施例(3)の処方からタモール731を除いた蛍光体スラリーを作成した。
【0076】
これらの蛍光体スラリーを使用し、実施例(3)と同様な条件にて蛍光体パターンを作成したところ、蛍光体の充填度および解像度はほぼ実施例(3)同等であったが、ブラックマトリックス上に多量の蛍光体の現像残りが観察された。
【0077】
この結果より、比較合成例(1)のポリマーはカチオン性ポリマーであるため、アニオン性であるブラックマトリックス表面にイオン的な結合により残留しやすく、従って、蛍光体もブラックマトリックス表面に残り易くなっているものと推察される。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、感光性の四級化された芳香族含窒素複素環を有するスチリル化合物と、スルホン酸基を二つ有するフェニル化合物とを特定のモル比でペンダントさせることにより得られるポリビニルアルコール系高分子を感光性樹脂としているので、耐水性および耐熱性が良好で、水溶性も十分であるという効果を奏し、また、構成要素の比を適宜選択することにより、さらにアニオン性の添加剤との混和性もよいという効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明はポリビニルアルコール系感光性樹脂および感光性樹脂組成物並びにそれを用いたパターン形成方法に関し、特に、アニオン性の添加剤との相溶性が良好で、アニオン性基板上に良好にパターニングできる感光性樹脂および感光性樹脂組成物並びにそれを用いたパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水溶性のポリビニルアルコール系感光性樹脂としては、特公昭56−5761号公報、特公昭56−5762号公報、特開昭56−11906号公報、特開昭59−17550号公報、特開平2−118575号公報、特公平2−276806号公報および特開平6−43645号公報などに開示されている四級化芳香族含窒素複素環を有するスチリル誘導体をペンダントさせたポリビニルアルコール系感光性樹脂が知られている。これらの感光性樹脂は高感度であるが、耐水性が悪く、現像時に膨潤するため充分な解像度が得られないという欠点がある。更にこれらの感光性樹脂はカチオン性であるため、アニオン性の添加剤、例えばアニオン性の界面活性性剤やエマルジョンと混合すると増粘したりゲル化を起こしたりするという欠点がある。また、これらの感光性樹脂を用いて、アニオン性の表面を有する基板上にパターンを形成した場合、イオン的相互作用によりスカムが発生するなどの問題点もある。
【0003】
一方、このような問題点を解決したものとして、ポリビニルアルコール系感光性樹脂としてベタイン構造を持つ四級化芳香族含窒素複素環を有するスチリル誘導体をペンダントさせたポリビニルアルコールが特開平2−160807号公報に開示されている。しかしこの感光性樹脂は、水溶性が充分でない、および感度が若干低いなどの欠点を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のポリビニルアルコール系感光性樹脂は、例えば、耐水性が悪い、耐熱性が悪い、水溶性が充分でない、アニオン性の添加剤との混和性が悪いなどの欠点を有している。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑み、耐水性および耐熱性が良好で、水溶性も十分であり、アニオン性の添加剤との混和性もよい感光性樹脂および感光性樹脂組成物並びにそれを用いたパターン形成方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成する本発明の第1の態様は、下記一般式(I)および(II)で表される構成単位を有するポリビニルアルコール系高分子化合物であって、
【0007】
【化3】
(R1は四級化された芳香族含有窒素複素環残基、R2は水素原子または低級アルコキシル基、mは0または1、nは1〜6の整数を表す)
【0008】
【化4】
(X1およびX2は水素、Na、K、アンモニウムを表す)
前記一般式(I)の含有量が0.5〜10モル%であり、前記一般式(II)の含有量が0.1〜20モル%であるポリビニルアルコール系高分子化合物からなることを特徴とするポリビニルアルコール系感光性樹脂にある。
【0009】
ここで、前記一般式(I)の構成単位/一般式(II)の構成単位で示されるモル比が2より小さいのがこのましい。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、前記ポリビニル系感光性樹脂を含有することを特徴とするポリビニルアルコール系感光性樹脂組成物にある。
【0011】
ここで、前記ポリビニルアルコール系感光性樹脂の前記一般式(I)の構成単位/一般式(II)の構成単位で示されるモル比が2より小さいのが好ましい。
【0012】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、さらにアニオン性添加剤を含有してもよい。
【0013】
本発明の第3の態様は、上述した本発明のポリビニルアルコール系感光性樹脂組成物を基板上に塗布して感光性樹脂層を形成する工程と、この感光性樹脂層をパターン露光し、続いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法にある。
【0014】
本発明者らは、上述した課題を解決する優れた特性を有する感光性樹脂を開発するために鋭意研究を重ねた結果、感光性の四級化された芳香族含窒素複素環を有するスチリル化合物と、スルホン酸基を二つ有するフェニル化合物とを特定のモル比でペンダントさせることにより得られるポリビニルアルコール系高分子化合物が上記目的を達成することを知見し、本発明に至ったものである。
【0015】
本発明のポリビニルアルコール系感光性樹脂は、新規なものであり、耐水性が良好で、高感度のものである。
【0016】
また、特に、前記一般式(I)/一般式(II)で示されるモル比が2より小さいものは、アニオン性添加剤との相溶性が良好であり、アニオン性基板上に良好にパターニングすることができるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態と共に詳細に説明する。
【0018】
本発明の感光性樹脂を構成するポリビニルアルコール系高分子化合物は、ポリ酢酸ビニルケン化物または酢酸ビニルと他のビニル化合物との共重合体のケン化物に、下記一般式(III)で表されるアルデヒドまたはそのアセタールと、下記一般式(IV)で表されるアルデヒドとを、酸触媒存在下、水系溶媒中で反応させることにより容易に得ることができる。
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
一般式(III)におけるR1は四級化された芳香族含窒素複素環残基を表すが、かかるR1としては下記に示す例を挙げることができる。
【0022】
【化7】
【0023】
ここで、R3は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、低級アルコキシルカルボニルアルキル基、またはベンジル基を表し、Y−は、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、モノアルキル硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンなどのアニオンを表し、Zは、O、S、Se、またはNR4(R4は低級アルキル基を示す)を表す。
【0024】
本発明の感光性樹脂であるポリビニルアルコール系高分子化合物を合成する反応に用いる酸触媒としては、例えばリン酸、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、あるいは酸性イオン交換樹脂などを用いることができ、または一般式(IV)においてX1および/またはX2が水素の場合はこれ自身を当該触媒としても用いることができる。
【0025】
かかる反応は水性媒体中、好ましくは水中で行われる。反応条件は特に制限はないが、一般には、室温から100℃までの温度範囲で2〜72時間で行うことができる。
【0026】
反応後、反応混合物を多量の貧溶媒、例えば、アセトン、エタノール、ジオキサンなどに注ぎ、目的の樹脂を沈澱させ、これを分離してメタノールなどで洗い、乾燥することにより本発明の感光性樹脂を得ることができる。または、反応後、アルカリ水溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水等で中和するか、あるいは塩基性イオン交換樹脂で中和後、イオン交換樹脂をろ別することにより、目的の感光性樹脂の水溶液を得ることができる。
【0027】
かかる反応に用いられるポリ酢酸ビニルケン化物としては、例えば平均重合度200〜5000、好ましくは300〜3000、ケン化度60〜100%、好ましくは70〜99%のものが好適である。
【0028】
ここで、平均重合度を200〜5000としたのは、重合度が200より小さい場合、十分な感度が得られず、また一方、5000より大きい場合には感光性組成物としたときの溶液の粘度が高くなりすぎ、塗布性が悪くなるか、または水現像性が低下するかし、何れにしても好ましくないからである。
【0029】
また、ケン化度を60〜100%としたのは、ケン化度が60%より低いと十分な水溶性および水現像性が得られないためである。
【0030】
上述したように酢酸ビニルと他のビニル化合物との共重合体のケン化物をポリ酢酸ビニルケン化物の代わりに用いることができるが、かかる他のビニル化合物(ビニルモノマ)としては、例えばN−ビニルピロリドン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどを挙げることができる。
【0031】
このようなポリ酢酸ビニルケン化物類と、上記一般式(III)の化合物および/またはそのアセタール物と、一般式(IV)の化合物とを酸触媒の存在下に反応させる際には、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒドなどのアルドヒド類もしくはこれらのアセタール類を同時に反応させることもできる。
【0032】
ポリ酢酸ビニルケン化物類に対する一般式(III))の化合物またはそのアセタール物の導入率は、モノマ単位当たり、0.5〜10モル%、好ましくは0.8〜7モル%である。ここで、導入率を0.5〜10モル%としたのは、0.5モル%より少ない場合は感度が低く実用的でなく、10モル%より多いと水溶性が充分でないからである。一般的には、使用するポリ酢酸ビニルケン化物類の重合度が低いと導入率を高くしないと充分な感度が得られず、重合度が高い場合は導入率が低くても充分な感度が得られるという傾向がある。
【0033】
ポリ酢酸ビニルケン化物類に対する一般式(IV)の化合物の導入率は、モノマ単位当たり、0.1〜20モル%、好ましくは0.3〜15モル%である。ここで、導入率を0.1〜20モル%としたのは、この範囲を外れると耐水性が十分でなくなるからである。
【0034】
本発明の感光性樹脂では、特に、一般式(I)の構成単位/一般式(II)の構成単位で示されるモル比が2より小さいのが好ましい。この場合には、樹脂がアニオン性となるため、高感度で耐水性が良好であることに加えて、アニオン性の添加剤との相溶性が良い、アニオン性の基板上にパターンを形成した場合にスカムが残らないなどの特徴を有する感光性樹脂となる。
【0035】
本発明のポリビニルアルコール系感光性樹脂は、後述する合成例(3)で示すように、得られた樹脂をイオンクロマトグラフィーで陰イオンの分析をしても、触媒であるリン酸イオンおよびメチルサルフェートイオンが検出されないことから、分子内および/または分子間塩を形成していると考えられる。例えば、合成例(3)では、下記一般式(V)の構造であると考えられる。
【0036】
【化8】
【0037】
本発明の感光性樹脂組成物は、上述した本発明の感光性樹脂を含有するものであるが、特に、感光性樹脂の一般式(I)の構成単位/一般式(II)の構成単位で示されるモル比が2より小さいときにはアニオン性添加剤との相溶性が良好であるので、さらにアニオン性添加剤を含有することができる
アニオン性の疎水性重合体エマルジョンとしては、下記(1)〜(3)のものを挙げることができる。
【0038】
(1)アニオン活性剤を乳化剤として用いた疎水性重合体エマルジョン;
アニオン活性剤としては、高級脂肪酸塩、高級アルキル・ジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、高級アルキル・ジスルホン酸塩、硫酸化脂肪および脂肪酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、高級アルキルリン酸エステル塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩またはスルホン酸塩、高級アルコール・エーテルの硫酸エステル塩またはスルフォン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸との縮合物、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、高級脂肪酸アミドのアルキル化スルホン酸塩、高級アルキル・スルホナミドのアルキルカルボン酸塩、スルホ琥珀酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、アルキルテトラリンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩、ナフテン酸塩、ナフテニルアルコール硫酸エステル塩などを挙げることができる。
【0039】
(2)乳化剤としてアニオン性保護コロイドを用いた疎水性重合体エマルジョン;
アニオン性保護コロイドとしては、カルボキシルあるいはスルホン酸変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩などを挙げることができる。
【0040】
(3)その他として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、2−スルホエチルメタクリレート塩などの不飽和化合物を共重合成分とした疎水性重合体エマルジョン。
【0041】
アニオン性の界面活性剤としては、例えば、アニオン性の疎水性重合体エマルジョンの説明で挙げたようなものを挙げることができる。
【0042】
アニオン性染料としては、例えば、直接染料、酸性染料などを挙げることができる。
【0043】
アニオン性顔料としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基を持った顔料、またはアニオン性ポリマーなどで処理した顔料などを挙げることができる。
【0044】
アニオン性の水溶性高分子としては、カルボキシル基あるいはスルホン酸を有する水溶性高分子を挙げることができる。
【0045】
また、本発明の組成物の特徴の一つは、他のアニオン性の感光剤と併用できることである。アニオン性の感光剤としては、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジアジドジベンザルアセトン−2,2’−ジスルホン酸、2,5−ビス(4’−アジド−2’−スルホベンジリデン)シクロペンタノン、2,6−ビス(4’−アジド−2’−スルホベンジリデン)シクロヘキサノンおよびこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、有機第四級アンモニウム塩などを挙げることができる。
【0046】
本発明の組成物に上記アニオン性のアジド系感光剤を含有させる場合は、アジド基の光反応中間体と反応性のよい水溶性高分子をさらに加えることが特に好ましい。このような水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、アクリルアミドとダイアセトンアクリルアミドとの共重合体、アクリルアミドとN,N−ジメチルアクリルアミドとの共重合体、カチオン化セルロースなどを挙げることができる。
【0047】
本発明の組成物にはさらに少なくとも一種の光重合性不飽和化合物と、光重合開始剤系とを加えることにより、その特性を向上させることができる。
【0048】
かかる光重合性不飽和化合物は、疎水性あるいは親水性のどちらでもよく、その例として、アクリル基、メタクリル基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニル基、アクリルアミド基などの重合可能な不飽和基を少なくとも1つ持つ不飽和モノマあるいは不飽和プレポリマーを挙げることができる。
【0049】
また、光重合開始剤系は光照射により光重合活性のラジカルが生成する系であればよく、その例としては、ベンゾインエーテル、ヒドロキシアルキルケトン、ジアルコキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、ベンゾインオキシムケトンなどのα−開裂型開始剤、ベンゾフェノン、ベンジル、チオキサントン、ケトクマリンなどの芳香族ケトン並びにこれらの芳香族ケトンとアミンのような水素供与体との系、有機過酸化物、オニウム塩、トリフェニルアルキルホウ酸や鉄−アレーン錯体とチオキサンテン色素やケトクマリンのような電子供与体との系、N−アリールグリシンと電子吸引体との系、ポリハロゲン化合物などを挙げることができる。
【0050】
さらにこれらの光重合系には、通常、熱重合禁止剤を加えることが望ましい。
【0051】
本発明の組成物には、上記成分以外の非イオン性の疎水性重合体エマルジョン、界面活性剤、染料、顔料、無機充填剤、乳化安定剤、可塑剤、レベリング剤なども含有させることができる。また、組成物溶液が増粘したり、ゲル化したりしない程度のカチオン性の添加剤も含有させることができ、さらに蛍光体パターン形成用には各種蛍光体、ブラックマトリックス形成用には黒鉛などの光吸収物質を含有させることができる。
【0052】
本発明の組成物は、前記ポリビニルアルコール系高分子化合物に、必要により前記カチオン性添加剤並びに必要に応じて各種添加剤を添加し、水を主体とする溶剤に溶解あるいは分散させることにより調製することができる。
【0053】
この際用いられる溶剤としては、一般には水が用いられるが、これに50重量%以下の割合で水に可溶な溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノンなどの水可溶性剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等を加えることができる。
【0054】
上述したように得られた本発明の感光性樹脂組成物は、用途に応じて、アルミニウムやステンレス等の金属板、スクリーンメッシュ、紙、ガラス板、半導体基板、その他任意の基材上に、例えば、0.5〜1000μmの乾燥厚さとなるように塗布・乾燥するようにして使用される。
【0055】
これらの塗膜には、紫外線、例えば波長300〜500nmのような活性光線を照射して照射部を硬化させた後、非照射部を水等により除去すれば、パターン画像が得られ、例えば、スクリーン印刷板、カラーブラウン管のブラックマトリックスや蛍光体パターン形成、CCDやLCDのカラーフィルタ、印刷のカラープルーフや各種エッチングレジスト等として利用できる。
【0056】
本発明の組成物を用いるパターン形成で特に有利に用いられるのは、アニオン性表面を有する基板上にパターンを形成する場合である。従来より知られているカチオン性のポリビニルアルコール系感光性樹脂を用いて、アニオン性表面を有する基板上にパターンを形成すると、非露光部にスカムが残るが、本発明の組成物を用いてこのような基板上にパターンを形成すると、スカムのないきれいなパターンが形成される。
【0057】
次に、アニオン性表面を有する基板上に本組成物を用いたパターン形成の具体例を挙げる。カラーブラウン管はフェースプレート内面に設けられた赤、緑、青の蛍光体からなるストライプまたはドットパターンと、その空隙に埋められた黒鉛等からなる非発光性光吸収物質とからなる構造であり、その蛍光体パターンの空隙を埋めた非発光性光吸収部分をブラックマトリックスという。その作成方法は、まずブラックマトリックスを形成した後に各色の蛍光体パターンを形成するのであるが、ブラックマトリックスには黒鉛を分散した液が用いられる。この黒鉛の分散剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(特公昭46−218号公報)、カルボキシメチルセルロースのリチウム塩(特開平4−82140号公報)、β−ナフタレンスルホン酸ソーダなどのアニオン系が用いられる。従って、ブラックマトリックスの表面はアニオン性である。この上に蛍光体を分散させた感光性組成物を塗布、露光後、現像するのであるが、この感光性組成物がカチオン性であると、完全に現像されずにスカムが残り、非露光部のブラックマトリックス上の蛍光体が残ることになる。この蛍光体の分散させた感光性組成物に本発明のアニオン性の組成物を用いると、完全に現像され混色のないきれいな蛍光体のパターンが得られる。
【0058】
【実施例】
[合成例(1)]
ポリビニルアルコール(PVA)GH−17(日本合成化学工業製、重合度1700、ケン化率88%)10grを純水90grに溶解した。この溶液にN−メチル−4−ホルミルスチリルピリジニウムメトサルフェート0.581gr(以下SbQと略す;PVАのユニットモルに対して0.85モル%)、およびリン酸0.25grを添加し、30℃にて3時間撹拌した。続いてこの溶液にベンズアルデヒド−2,4−ジスルホン酸ナトリウム0.783gr(純度84.7%;以下diBАSと略す;SbQの1.235倍モル)を添加し、30℃にて20時間撹拌した。この反応液にアンバーライトIR−45(ローム&ハース社製のイオン交換樹脂)2.5grを添加して2時間撹拌した。pHが中性であることを確認後、400メッシュの紗にてろ過し、淡黄色のポリマー水溶液を得た。
【0059】
紫外分光光度法によりSbQおよびdiBАSのポリビニルアルコールへの結合率を測定したところ、各々、0.72モル%、0.76モル%であった。
【0060】
[合成例(2)]
ポリビニルアルコール(PVA)GH−17(日本合成化学工業製、重合度1700、ケン化率88%)10grを純水90grに溶解した。この溶液にSbQ0.581gr(PVАのユニットモルに対して0.85モル%)、およびリン酸0.25grを添加し、30℃にて3時間撹拌した。続いてこの溶液にdiBAS0.286gr(SbQの0.54倍モル)を添加し、30℃にて20時間撹拌した。この反応液にアンバーライトIR−45(ローム&ハース社製のイオン交換樹脂)2.5grを添加して2時間撹拌した。pHが中性であることを確認後、400メッシュの紗にてろ過し、淡黄色のポリマー水溶液を得た。
【0061】
紫外分光光度法によりSbQおよびdiBАSのポリビニルアルコールへの結合率を測定したところ、各々、0.72モル%、0.33モル%であった。
【0062】
[合成例(3)]
ポリビニルアルコール(PVA)GH−17(日本合成化学工業製、重合度1700、ケン化率88%)10grを純水90grに溶解した。この溶液にSbQ0.581gr(PVАのユニットモルに対して0.85モル%)、およびリン酸0.25grを添加し、30℃にて3時間撹拌した。続いてこの溶液にdiBAS0.783gr(SbQの1.235倍モル)を添加し、30℃にて20時間撹拌した。この反応液を大量のアセトンに注いで白色のポリマーを析出させた。この析出ポリマーをメタノールで十分に洗浄後、真空乾燥して9.5grのポリビニルアルコール誘導体を得た。
【0063】
紫外分光光度法によりSbQおよびdiBАSのポリビニルアルコールへの結合率を測定したところ、各々、0.72モル%、0.76モル%であった。
【0064】
また、イオンクロマト分析によりSbQ由来のメチル硫酸根、および触媒由来のリン酸根はトレース程度しか検出されず、この分析結果より上述した一般式(V)に示す内部塩構造が支持され、この結果、このポリマーはアニオン性であることが明らかとなった。
【0065】
[比較合成例(1)]
特開昭55−23163号公報に示される方法に従い、上記PVА(GH−17)にSbQが0.72モル%結合したポリビニルアルコール誘導体を得た。この物はアニオン成分を全く含まないため、完全にカチオン性ポリマーである。
【0066】
[実施例(1)]
合成例(1)の10重量%ポリマー水溶液にアニオン性エマルジョンであるファインテックスΕS−650(大日本インキ社製;ポリエステル系エマルジョン、固形分含量29重量%)を固形分比1:2で混合した。ごく少量の増粘は見られたが、きれいな感光性組成物が得られた。
【0067】
かかる感光性組成物を用い、250メッシュのスクリーン版にスクリーン紗上15μmの厚さで塗膜を形成し、2kWの超高圧水銀灯で60cmの距離から90秒露光し、水スプレー現像を行った。得られたパターンを観察すると、膨潤が少なく、解像度も良好だった。
【0068】
[比較例(2)]
実施例(1)と同様な比較合成例(1)で得られたポリマーを純水に溶解して10重量%の水溶液を得た。この水溶液に実施例(1)と同様にES−520を固形分比1:2で混合したところ、極端な増粘が見られ、実施例(1)と同様なスクリーン上でのテストは実施できなかった。
【0069】
[実施例(2)]
合成例(2)の10重量%ポリマー水溶液に酢酸ビニルエマルジョン(ヘキスト合成社製モビニールMA6)を固形分比1:2で混合した。250メッシュのスクリーン版にスクリーン紗上に15μmの厚さで塗膜を形成し、2kWの超高圧水銀灯で60cmの距離から110秒間露光し、水スプレー現像を行った。得られたパターンを観察すると、膨潤が少なく、解像度も良好であった。
【0070】
[比較例(2)]
合成例(2)の10重量%ポリマー水溶液に酢酸ビニルエマルジョン(ヘキスト合成社製モビニールMA6)を固形分比1:2で混合した。250メッシュのスクリーン版にスクリーン紗上に15μmの厚さで塗膜を形成し、2kWの超高圧水銀灯で60cmの距離から110秒間露光し、水スプレー現像を行った。得られたパターンを観察すると、実施例(2)と比較して膨潤が多く、解像度も悪いものであった。
【0071】
[実施例(3)]
10cm四方のソーダガラス板上に、特開昭48−90815号公報等に記載されている一般的な方法により、ポリビニルピロリドンと4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸ナトリウムとからなる感光液、エレクトロダック1530(日本アチソン社製;グラファイト分散液)、およびホール径135μmのシャドーマスクを使用して、ホール径105μmのブラウン管用ブラックマトリックスを作成した。
【0072】
続いて、上記ガラス板上に、下記処方のいわゆる蛍光体スラリーを塗布・乾燥して8〜10μm厚に塗工し、以下の条件にて蛍光体パターンを作成した。得られたパターンを観察すると、蛍光体の充填度は良好で、解像度も優れており、ブラックマトリックス上の蛍光体の残りもなかった。
【0073】
【0074】
(パターン作成条件)
シャドーマスク:ホール径135μm
シャドーマスク−ガラス板距離:10mm
光源−ガラス板距離:30cm
光源:超高圧水銀、350nm、照度0.15mw/cm2
露光時間:40秒
現像:水スプレー現像
【0075】
[比較例(3)]
同様な評価を比較合成例(1)のポリマーを用いて行った。但し、アニオン性界面活性剤であるタモール731との混和性が十分ではないので、実施例(3)の処方からタモール731を除いた蛍光体スラリーを作成した。
【0076】
これらの蛍光体スラリーを使用し、実施例(3)と同様な条件にて蛍光体パターンを作成したところ、蛍光体の充填度および解像度はほぼ実施例(3)同等であったが、ブラックマトリックス上に多量の蛍光体の現像残りが観察された。
【0077】
この結果より、比較合成例(1)のポリマーはカチオン性ポリマーであるため、アニオン性であるブラックマトリックス表面にイオン的な結合により残留しやすく、従って、蛍光体もブラックマトリックス表面に残り易くなっているものと推察される。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、感光性の四級化された芳香族含窒素複素環を有するスチリル化合物と、スルホン酸基を二つ有するフェニル化合物とを特定のモル比でペンダントさせることにより得られるポリビニルアルコール系高分子を感光性樹脂としているので、耐水性および耐熱性が良好で、水溶性も十分であるという効果を奏し、また、構成要素の比を適宜選択することにより、さらにアニオン性の添加剤との混和性もよいという効果を奏する。
Claims (6)
- 請求項1において、前記一般式(I)の構成単位/一般式(II)の構成単位で示されるモル比が2より小さいことを特徴とするポリビニルアルコール系感光性樹脂。
- 請求項1のポリビニル系感光性樹脂を含有することを特徴とするポリビニルアルコール系感光性樹脂組成物。
- 請求項3において、前記ポリビニルアルコール系感光性樹脂の前記一般式(I)の構成単位/一般式(II)の構成単位で示されるモル比が2より小さいことを特徴とするポリビニルアルコール系感光性樹脂組成物。
- 請求項4において、さらにアニオン性添加剤を含有することを特徴とするポリビニルアルコール系感光性樹脂組成物。
- 請求項3〜5の何れかのポリビニルアルコール系感光性樹脂組成物を基板上に塗布して感光性樹脂層を形成する工程と、この感光性樹脂層をパターン露光し、続いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
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