JP2806277B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体装置及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置に関し、特に
重金属のゲッタリング効果を有するSOI(シリコン
オン インシュレータ)基板に形成される半導体装置と
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】SOI基板は、高α線耐性、ラッチアッ
プフリー、寄生容量低減等が可能なことから高特性の各
種半導体デバイスを製造する際の基板として利用されて
いる。SOI基板をデバイスに適用する場合の一つの課
題として、重金属汚染に対するゲッタリングが挙げられ
る。通常のシリコン基板と異なり、SOI基板は素子領
域の直下に埋め込みの二酸化シリコン膜が存在してお
り、この二酸化シリコン膜中の重金属の拡散速度はシリ
コン中の拡散速度よりも遅いため、素子形成領域の重金
属をゲッタリングサイト領域に拡散させて捕獲すること
が困難となる。このため、従来ではゲッタリング効果を
有する各種のSOI基板が提案されている。
【0003】図11は特開平2−37771号公報に記
載されているものであり、シリコン基板54に対してI
G(イントリンシック ゲッタリング)処理、例えば、
450℃で5時間、及び1100℃で1時間の熱処理を
行うことで、SiO2 からなるBMD(バルク マイク
ロ デフェクト)56をゲッタリングサイトとして析出
させる。そして、このシリコン基板54の裏面に0.2
μm程度の厚さの二酸化シリコン膜52を形成し、かつ
その裏面を別のシリコン基板51に形成した二酸化シリ
コン膜55に対して貼り合わせる。また、シリコン基板
54の表面を研磨してシリコン基板を3μm程度にまて
薄膜化し、その上にエピタキシャルシリコン53を1μ
m程度の厚さに成長させたものである。
【0004】このSOI基板では、シリコン基板54が
ゲッター層として機能されるが、このシリコン基板54
は約3μmの薄膜に形成されているため、IGのゲッタ
リング効果が低いという問題がある。また、ゲッター層
54が素子領域となるエピタキシャルシリコン53に近
接されているため、ゲッター領域54に捕獲された重金
属がデバイス製造のための熱処理工程中に再放出され、
素子領域53に再混入してデバイス特性を劣化させてし
まうという問題が生じる。更に、IG処理、シリコンエ
ピタキシャル成長を行う必要があるために、コスト高な
ものとなる。
【0005】また、図12は特開平2−237121号
公報に記載されているものであり、シリコン基板61に
選択酸化法により部分的に二酸化シリコン膜62を形成
し、このシリコン基板61に対して二酸化シリコン膜と
同じエッチング速度のレジストを利用して二酸化シリコ
ン膜をエッチングすることでその表面を平坦化する。そ
の上で、シリコン基板63をシリコン基板61の表面に
貼り合わせ、熱処理して強固に接着し、かつシリコン基
板63の表面を研磨して30〜50μmの厚さに形成す
る。そして、IG処理を行うことでシリコン基板61の
内部にBMD64が析出されゲッター層が形成される。
【0006】このSOI基板は二酸化シリコン膜62を
エッチングして基板の表面を平坦化する技術が困難であ
り、特に段差を500Å以下にすることは極めて困難と
なる。このため、この表面にシリコン基板63を貼り合
わせる際に段差部にボイド(空隙)が発生し易く、この
ボイドはその後の熱処理工程において形成した素子の特
性の変動を生じる原因となり易い。また、素子間を絶縁
分離して素子を形成した場合、素子分離領域と二酸化シ
リコン膜62との位置関係によっては、素子領域に混入
した重金属をゲッタリングする効果が低減されてしまう
という問題もある。
【0007】更に、図13は特開平4−199632号
公報に記載されているものであり、シリコン基板71に
20μmの厚さの二酸化シリコン膜75を形成し、その
表面に多結晶シリコン膜74を500nm程度形成す
る。更に、その上に1μm程度の二酸化シリコン膜72
を形成し、その上に別のシリコン基板73を貼り合わ
せ、熱処理を行う。その後、シリコン基板73を研磨し
て厚さ1μmのシリコン活性層として形成する。
【0008】このSOI基板は、ゲッターサイトとして
多結晶シリコン膜74を用いているが、多結晶シリコン
によるゲッタリング効果は温度の影響を受け易く、多く
の熱処理工程が必要とされるデバイスに適用する際に
は、ゲッタリング効果が低下されてしまう。特に、多結
晶シリコンのゲッタリング効果は800℃程度の温度で
ゲッタリング効果が著しく低下されるため、デバイス製
造のプロセス条件が規制されてしまうという問題もあ
る。
【0009】このように前記した従来の各SOI基板で
は、実際にデバイスを製造する際の工程に対する制約が
多く、かつゲッタリング効果が低減され易いという問題
が生じている。そこで、本発明者が種々の検討を行った
結果、リンを含む層がゲッター層として有効に機能する
ものであることを見い出した。そこで、先に特願平4−
318983号(平成4年11月27日出願)におい
て、高濃度リン拡散層をゲッター層としたSOI基板を
提案している。
【0010】このSOI基板は、図14に示すように、
シリコン基板83の表面に高濃度リン拡散層84をイオ
ン注入または固相拡散により形成する。ついで、別のシ
リコン基板81の表面に二酸化シリコン膜82を形成
し、この二酸化シリコン膜82の表面と前記高濃度リン
拡散層84を向かい合わせた上で両シリコン基板81,
83を貼り合わせ、熱処理により強固に接着させる。そ
して、シリコン基板83を所要の厚さにまで研磨するこ
とで素子領域として構成する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このSOI基板によれ
ば、高濃度リン拡散層84が重金属に対してゲッター層
として有効に機能することが確認されている。しかしな
がら、本発明者が更に検討を加えたところ、このSOI
基板では、デバイスを形成した素子領域としてのシリコ
ン層83の直下にこれと接してゲッター層84が存在さ
れるため、シリコン基板の貼り合わせ時の熱処理や、そ
の後のデバイス製造工程等における熱処理によってリン
が素子領域にまで拡散することがあり、そのリン拡散濃
度のプロファイルを素子特性に影響を与えることがない
ように制御する必要があり、素子製造の工程に制約を与
えるおそれがあることが判明した。
【0012】
【発明の目的】本発明の目的は、有効なゲッタリング効
果を確保する一方で、ゲッター層を構成するリン等の不
純物の拡散による素子への影響を抑制することが可能な
SOI基板を含む半導体装置とその製造方法を提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体装置の製
造方法は、シリコン基板の一表面に酸化シリコン膜及び
この酸化シリコン膜の表面に活性層としてのシリコン層
を形成する工程と、前記シリコン層の表面を保護膜で保
護した状態で前記シリコン基板の反対側の表面にリン、
ボロン、砒素のいずれかの不純物を高濃度に含有するゲ
ッター層を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】本発明の半導体装置は、基板としてのシリ
コン層の表面にリン、ボロン、砒素のいずれかの不純物
を高濃度に含有するゲッター層を有し、このゲッター層
の表面に島状の凹部が形成され、この凹部を含む表面に
酸化シリコン膜を有し、この酸化シリコン膜の表面上の
前記凹部内に活性層としてのシリコン層を有することを
特徴とする
【0018】
【0019】
【0020】本発明の半導体装置の製造に際しては、活
性層としてのシリコン層の表面に溝を形成する工程と、
この溝を含む前記シリコン層の表面に酸化シリコン膜を
形成する工程と、この酸化膜の表面上に不純物を高濃度
に含有するゲッター層を形成する工程と、このゲッター
の表面を平坦化する工程と、この平坦化される面に基
板としてのシリコン層を貼り合わせる工程と、前記活性
層としてのシリコン層の裏面を前記酸化シリコン膜が露
呈されるまで研磨する工程とを含むことを特徴とする。
【0021】
【作用】シリコン基板に絶縁膜とシリコン層を形成し、
このシリコン層を保護した状態でゲッター層を形成する
ため、シリコン層に不純物が混入されるおそれは殆どな
い。また、第1のシリコン基板にゲッター層を形成した
のち、表面に絶縁膜を形成した第2のシリコン基板を貼
り付けているため、第2のシリコン基板に不純物が混入
されるおそれは殆どない。また、ゲッター層を形成した
シリコン層に島状の活性層を有する半導体装置において
も、低温から高温域まで有効に重金属をゲッタリングす
ることが可能となる。
【0022】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は本発明の第1実施例のSOI基板の断面図
である。支持基板としてのシリコン層11の表面に二酸
化シリコン膜12が形成され、この二酸化シリコン膜1
2の上に活性層としてのシリコン層13が形成される。
また、前記支持基板としてのシリコン層11の裏面側の
領域には高濃度リン拡散層14が形成され、この高濃度
リン拡散層がゲッター層として構成される。
【0023】ここで、前記活性層としてのシリコン層1
3と二酸化シリコン膜12の厚さは、形成されるデバイ
スにより設定される。パワーデバイス系では、シリコン
層13は数10μm、二酸化シリコン膜12は数μmで
ある。バイポーラやBiCMOS系ではシリコン層13
は数μm、二酸化シリコン膜12は0.1〜1μmであ
る。CMOS系ではシリコン層13は0.05〜0.5
μm、二酸化シリコン膜12は0.05〜0.5μm程
度である。また、高濃度リン拡散層14は、例えば、本
発明者の前記した先願のSOI基板の製造において行わ
れているドーズ量1×1015cm-2でリンをイオン注入
した高濃度リン拡散層に略等しいリン濃度の層として形
成される。
【0024】図2は前記した本発明の第1実施例のSO
I基板の製造方法を工程順に示す断面図である。先ず、
図2(a)のように、シリコン層11に対し貼り合わせ
法、或いはSIMOX(セパレーション バイ インプ
ランテッド オキシジェン)法により、埋め込み二酸化
シリコン膜12を有するシリコン基板を製造する。例え
ば、貼り合わせ法では、シリコン層11の表面を熱酸化
して二酸化シリコン膜12を形成したシリコン基板に、
シリコン層13を構成するシリコン基板を貼り合わせ
る。また、SIMOX法では、シリコン基板11の表面
からイオン注入を行い、埋め込み二酸化シリコン膜12
を形成する。
【0025】次いで、図2(b)のように、前記シリコ
ン基板の表裏面を熱酸化し、それぞれに500Å程度の
厚さの二酸化シリコン膜15を形成する。次いで、図2
(c)のように、表裏面の各二酸化シリコン膜15の上
にCVD法により0.1μm程度の窒化シリコン膜16
を形成する。そして、表面側の窒化シリコン膜16上に
図外のレジストを塗布し、これをマスクにしてエッチン
グを行うことで、裏面側の窒化シリコン膜16と二酸化
シリコン膜15をそれぞれ除去する。
【0026】次いで、図2(d)のように、シリコン層
11の裏面側にリンを拡散して高濃度リン拡散層14を
形成する。ここでは、POCl3 をN2 ガス(20l/
min)でバブリングし、そのガスとO2 ガス(2l/
min)とを約900℃の炉内へ供給し、シリコン層1
1の裏面にリンガラス17を形成し、このリンガラス1
7からリンをシリコン層11に拡散して形成する。しか
る上で、リンガラス17を除去し、かつシリコン層13
の表面の窒化シリコン膜16と二酸化シリコン膜15を
除去することで図1のSOI基板が製造される。
【0027】このSOI基板によれば、シリコン層11
に形成した高濃度リン拡散層14がゲッター層として機
能することで、低温から高温域(800℃以上)まで有
効に重金属をゲッタリングすることができる。因に、C
u含有溶液をスピンコート法にて約1014cm-2で汚染
したSOI基板を2段階熱処理(1150℃,2時間,
2 処理及び1000℃,4時間,O2 処理)したの
ち、Seccoエッチングし、表面の欠陥(エッチピッ
ト)観察を行ったところ、これまでのSOI基板に比較
してエッチピッチ密度が約1桁低減され、103 個/c
2 以下になったことが確認できた。
【0028】また、このSOI基板では、活性層として
のシリコン層の直下に二酸化シリコン膜が存在し、この
二酸化シリコン膜を介して高濃度リン拡散層が存在して
いるため、活性層へのリンの拡散が抑制される。即ち、
二酸化シリコン膜でのリンの拡散速度は800℃で10
-15 cm2 /sec、1000℃で10-13 cm2 /s
ecであるため、0.5μmの二酸化シリコン膜をリン
が透過するためには800℃で約340時間、1000
℃で約200分かかるため、800℃程度のプロセスで
はリンが活性層にまで拡散して製造するデバイスに影響
を与えることは殆どない。
【0029】更に、このSOI基板では、高濃度リン拡
散層14を形成するために、リンガラス17を形成する
工程と、このリンガラス17からリンをシリコン層11
に拡散する工程を備えればよいため、一般的なSOI基
板の製造工程をそのまま利用し、その工程の途中に前記
した工程を加えることで簡単にSOI基板を製造するこ
とができる。これにより、製造コストを抑制し、SOI
基板の低価格化が実現できる。
【0030】ここで、本発明の第1実施例においては、
図3に示すように、高濃度リン拡散層に代えて高濃度に
リンを含有する多結晶シリコン層14Aで構成してもよ
い。この場合には、図2(d)の工程において、リンガ
ラス17を製造する工程に代えて、LPCVD法により
645℃、SiH4 (600cc/min)+PH
3(1%)(100cc/min)、100torrの
条件でリンを含有する多結晶シリコンをシリコン層の裏
面に1μm程度の厚さに形成すればよい。
【0031】この図3の構成では、リンを含む多結晶シ
リコン層14Aを形成するだけでよいので、リンガラス
からリンを拡散するための工程が不要となり、工程数を
更に削減することができる。また、多結晶シリコン層を
ゲッター層とすることで、リンによるゲッタタング効果
に加えて多結晶シリコンによるゲッタリング効果を得る
ことができ、全体としてのゲッタリング効果を大きくす
ることができる。
【0032】図4は本発明の第2実施例のSOI基板の
断面図である。シリコン層21の上に1μm程度の厚さ
のリンを含有した多結晶シリコン層24を有し、その上
に0.1〜1μm程度の二酸化シリコン膜22を有し、
更にその上に0.1〜3μm程度のシリコン層23を有
している。そして、前記シリコン層23が活性層として
構成され、かつリンを含有した多結晶シリコン層24が
ゲッター層として構成される。
【0033】図5は図4のSOI基板の製造方法を工程
順に示す断面図である。先ず、図5(a)のように、シ
リコン基板で構成されるシリコン層21の表面にリンを
含有する多結晶シリコン層24を形成する。この多結晶
シリコン層24の形成方法としては、図3の実施例で示
した多結晶シリコン層の形成方法がそのまま利用でき
る。次いで、図5(b)のように、別のシリコン基板で
構成されるシリコン層23を用意し、そのシリコン基板
の裏面に熱酸化法等により二酸化シリコン膜22を0.
1〜1μmの厚さに形成する。
【0034】そして、前記多結晶シリコン層24と二酸
化シリコン膜22が合わさるようにして両シリコン基板
(シリコン層21,23)を貼り合わせ、800〜11
00℃、1〜3時間の熱処理を行い、両者を強固に接着
する。その後、図5(c)のようにシリコン層23の表
面を研磨し、厚さ0.1〜3μmにし、活性層を形成
し、SOI基板が製造される。
【0035】この実施例のSOI基板においても、活性
層となるシリコン層23の直下に二酸化シリコン膜22
が存在し、その下にリンを含む多結晶シリコン層24が
存在するために、多結晶シリコン層24のゲッタリング
効果が機能される。また、二酸化シリコン膜22によっ
てリンが活性層23に拡散されることが抑制される。更
に、このSOI基板では、デバイスを形成する活性層2
3に近い領域にゲッター層24が配置されるため、より
低温でのゲッタリング効果が期待できる。
【0036】ここで、前記図4のSOI基板の多結晶シ
リコン層に代えて、図6(a)に示すように、シリコン
層21の表面にリンを高濃度に含有させたリン拡散層2
4Aで構成してもよい。或いは、図6(b)のように、
リンを含有する酸化シリコン膜24Bで構成してもよ
い。この場合には、図5(a)の工程の多結晶シリコン
層24を形成する工程に代えてリンの拡散またはイオン
注入工程と、その後の熱酸化工程とに変更し、あるいは
リンを含む酸化シリコン膜をCVD法により形成する工
程に変更すればよい。このように構成すれば、図4のS
OI基板と同様に有効なゲッタリング効果が得られると
ともに、貼り合わせに際しては酸化シリコン膜どうしの
接着であるため、貼り合わせの熱処理を低温度で行うこ
とができ、シリコン基板におけるスリップや反りの低減
が可能となる。
【0037】図7は本発明の参照例のSOI基板の断面
図である。リンを含むN型シリコン基板で構成されるシ
リコン層31の表面に0.1〜1μm程度の二酸化シリ
コン膜32を有し、その上に0.1〜3μm程度のシリ
コン層33を有している。この構成のSOI基板の製造
方法の図示は省略するが、例えばシリコン層31の表面
を熱酸化して二酸化シリコン膜32を形成し、また別の
シリコン基板を用意してこれを二酸化シリコン膜32に
対して貼り合わせ、熱処理して接着する。その上で、こ
のシリコン基板のシリコン層33を表面側から所定の厚
さになるまで研磨することで製造できる。
【0038】この参照例のSOI基板では、厚いN型の
シリコン層31全体がゲッター層として機能されるた
め、多くのデバイスに対する熱処理工程に対しても持続
的なゲッタリング効果を得ることができる。また、その
一方でゲッター層を形成するためのリンを含有する層を
シリコン基板に形成する工程が不要なため、製造コスト
が低減できる。しかしながら、この参照例では、シリコ
ン層31から不純物がシリコン層33に混入され易い。
【0039】図8は本発明の第3実施例のSOI基板の
断面図である。シリコン層41の上に二酸化シリコン膜
45を有し、その上にリンを含有する多結晶シリコン層
44を有する。また、この多結晶シリコン層44の表面
には複数の凹部が島状に形成され、この島状領域を含む
表面に二酸化シリコン膜42を有する。そして、この二
酸化シリコン膜42で区画される各島状領域にそれぞれ
絶縁されたシリコン層43を有している。ここで、下側
の二酸化シリコン膜45は1〜2μmの膜厚とされ、上
側の二酸化シリコン膜42は0.1〜1μm程度の膜厚
とされる。
【0040】図9は図8のSOI基板の製造方法を工程
順に示す断面図である。図9(a)のように、シリコン
層43を構成するシリコン基板の裏面をエッチングして
V溝またはU溝46を形成する。このエッチングはKO
H系溶液による異方性エッチングや反応性エッチングに
よる等方性エッチングにより行う。そして、シリコン層
43の裏面に1〜2μmの二酸化シリコン膜42を形成
する。
【0041】次いで、図9(b)のように、リンを含有
する多結晶シリコン層44を1〜2μmの厚さに成長
し、その表面を平坦に研磨する。そして、この多結晶シ
リコン層44の表面に二酸化シリコン膜45を0.1〜
1μmの厚さに形成する。更に、図9(c)のように、
この二酸化シリコン膜45の表面に別のシリコン層41
を構成するシリコン基板を貼り合わせ、熱処理により強
固に接着する。しかる後、図9(d)のように、シリコ
ン層43の表面を研磨し、二酸化シリコン膜42が露呈
されたところで研磨を終了することで、図8のSOI基
板が製造される。
【0042】この図8のSOI基板では、二酸化シリコ
ン膜42がシリコン層43の島状領域の下面から側面に
わたって形成されており、かつその下面から側面にわた
ってゲッター層としての多結晶シリコン層44が存在し
ているため、横方向へ拡散する重金属に対してもゲッタ
リング効果を得ることができる。
【0043】ここで、図10に示すように、リンを含有
する多結晶シリコン層に代えてリンを含有する酸化シリ
コン膜44Aで構成し、この酸化シリコン膜44Aに対
して基板となるシリコン層41を貼り合わせる構成とし
てもよい。この場合には、図9に示した製造工程のう
ち、多結晶シリコン層44を形成する工程の代えてリン
を含有する酸化シリコン膜44Aを形成し、この酸化シ
リコン膜44Aに対してシリコン層41を貼り合わせれ
ばよい。酸化シリコン膜44Aの製造では、例えばSi
4 (60sccm)ガス+N2 O(1000scc
m)ガス+PH3 (150sccm)ガスを原料とした
400℃のプラズマCVD法により形成できる。
【0044】この図10のSOI基板では、図8のSO
I基板と同様なゲッタリング効果が得られるとともに、
貼り合わせに際しての熱処理の低温化が可能となり、製
造の容易化、及び製造時におけるリンの拡散が抑制でき
る効果が得られる。
【0045】なお、前記各実施例は全てリンによりゲッ
ター層を構成した例を説明しているが、ボロン、砒素等
の不純物を用いても同様のゲッター層が構成できる。こ
のように、ボロンや砒素を用いてゲッター層を形成した
場合でも、本発明の効果が得られることは本発明者によ
って確認されている。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、活性層と
してのシリコン層の直下に埋め込み酸化シリコン膜を有
し、かつこの埋め込み酸化シリコン膜の下層にリン、ボ
ロン、砒素のいずれかの不純物を高濃度に含有する層を
有するSOI基板を備えているので、シリコン層に形成
したリンを含有する層がゲッター層として機能すること
で、低温から高温域まで有効に重金属をゲッタリングす
ることができる。また、活性層としてのシリコン層の直
下に酸化シリコン膜が存在し、この酸化シリコン膜を介
して不純物を含有する層が存在しているため、活性層へ
の不純物の拡散が抑制され、不純物が活性層にまで拡散
して製造するデバイスに影響を与えることは殆どない。
【0047】また、本発明の製造方法では、シリコン基
板の表面に酸化シリコン膜と活性層としてのシリコン層
を有し、この活性層を保護した状態でシリコン基板の反
対側面に不純物を含有させてゲッータ層を形成している
ので、ゲッター層を形成する場合には従来のSOI基板
の製造工程をそのまま利用することができ、SOI基板
の製造を簡略化することができる。また、活性層への不
純物の混入が抑制される。
【0048】
【0049】
【0050】更に、本発明の半導体装置では、基板とし
てのシリコン層の表面に不純物を含有する層を有し、こ
の不純物を含有する層の表面に島状の凹部が形成され、
この凹部を含む表面に酸化シリコン膜を有し、この酸化
シリコン膜の表面上の前記凹部内に活性層としてのシリ
コン層を有しているので、二酸化シリコン膜が島状領域
の活性層の下面から側面にわたって形成されており、か
つその下面から側面にわたってゲッター層としての多結
晶シリコン層が存在しているため、横方向へ拡散する重
金属に対してもゲッタリング効果を得ることができる。
また、不純物を含有する層を酸化シリコン膜で構成する
ことで、貼り合わせに際しての熱処理の低温化が可能と
なり、製造の容易化、及び製造時における不純物の拡散
が抑制できる効果が得られる。
【0051】更に、本発明の半導体装置の製造方法で
は、SOI基板を少ない工程数で低コストに製造でき、
しかもゲッタリング効果の高いSOI基板を製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるSOI基板の第1実施例の断面
図である。
【図2】図1のSOI基板の製造方法を工程順に示す断
面図である。
【図3】本発明の第1実施例の変形例の断面図である。
【図4】本発明にかかるSOI基板の第2実施例の断面
図である。
【図5】図4のSOI基板の製造方法を工程順に示す断
面図である。
【図6】本発明の第2実施例の変形例の断面図である。
【図7】本発明の参照例の断面図である。
【図8】本発明にかかるSOI基板の第実施例の断面
図である。
【図9】図8のSOI基板の製造方法を工程順に示す断
面図である。
【図10】本発明の第4実施例の変形例の断面図であ
る。
【図11】従来のSOI基板の一例を示す断面図であ
る。
【図12】従来のSOI基板の他の例を示す断面図であ
る。
【図13】従来のSOI基板の更に他の例を示す断面図
である。
【図14】先に本発明者が提案しているSOI基板の一
例の断面図である。
【符号の説明】
11,21,31,41 シリコン層(支持基板) 12,22,32 二酸化シリコン膜 13,23,33,43 シリコン層(活性層) 14,24,44 リンを含む層(ゲッター層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 27/12 H01L 21/322

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板の一表面に酸化シリコン膜
    及びこの酸化シリコン膜の表面に活性層としてのシリコ
    ン層を形成する工程と、前記シリコン層の表面を保護膜
    で保護した状態で前記シリコン基板の反対側の表面にリ
    ン、ボロン、砒素のいずれかの不純物を高濃度に含有す
    るゲッター層を形成する工程を含むことを特徴とする半
    導体装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 基板としてのシリコン層の表面にリン、
    ボロン、砒素のいずれかの不純物を高濃度に含有するゲ
    ッター層を有し、このゲッター層の表面に島状の凹部が
    形成され、この凹部を含む表面に酸化シリコン膜を有
    し、この酸化シリコン膜の表面上の前記凹部内に活性層
    としてのシリコン層を有することを特徴とする半導体装
    置。
  3. 【請求項3】 活性層としてのシリコン層の表面に溝を
    形成する工程と、この溝を含む前記シリコン層の表面に
    酸化シリコン膜を形成する工程と、この酸化膜の表面上
    にリン、ボロン、砒素のいずれかの不純物を高濃度に含
    有するゲッター層を形成する工程と、このゲッター層の
    表面を平坦化する工程と、この平坦化される面に基板と
    してのシリコン層を貼り合わせる工程と、前記活性層と
    してのシリコン層の裏面を前記酸化シリコン膜が露呈さ
    れるまで研磨する工程とを含むことを特徴とする半導体
    装置の製造方法。
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