JP2020529979A - 金属錯体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子における、特に発光体としての使用に好適なイリジウム錯体に関するものである。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、特に発光体として、有機エレクトロルミネッセンス素子における使用に適したイリジウム錯体に関するものである。
従来技術によると、燐光有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)に使用される三重項発光体は、特にイリジウム錯体、特に、芳香族配位子を有する、ビス−およびトリス−オルト−金属化錯体であり、配位子は、負に帯電した炭素原子および電荷を持たない窒素原子、または負に帯電した炭素原子および電荷を持たないカルベン炭素原子を介して金属に結合される。そのような錯体の例としては、トリス(フェニルピリジル)イリジウム(III)およびそれらの誘導体が挙げられ、多数の関連する錯体が知られており、例えば、1−または3−フェニルイソキノリン配位子、2−フェニルキノリン配位子、フェニルカルベン配位子とのものであり、ここで、これらの錯体は、補助配位子として、アセチルアセトナトを有していてもよい。この種の錯体は、多脚(polypodal)配位子も知られており、例えばWO2016/124304に開示される。これらの多脚配位子を有する錯体は、それぞれの配位子が多脚のブリッジを有さないこと以外は同一の配位子構造を有する錯体に対して、有利であることを示すが、まだ改善の余地はある。このことは、特に、化合物の発光効率および化合物の昇華温度について言える。より低い昇華温度によって、合成における錯体のより簡易な精製や、これらがOLED中で真空蒸着によって適用される場合に簡易な方法とすることが可能となる。
それゆえ、本発明によって対処される課題は、OLEDにおける使用のための発光体として好適である、新規で、特に改良された金属錯体を提供することである。
驚くべきことに、この課題は、以下に示される構造を有する、三脚型六座配位子を有する金属錯体によって解決され、これは、有機エレクトロルミネッセンス素子における使用に非常に適していることがわかってきた。それゆえ、本発明は、これらの金属錯体およびこれらの錯体を含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供するものである。
したがって、本発明は、式(1)の化合物を提供するものである。
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は以下である:
は、以下の式(2)の副配位子であって、2つのZ基を介してイリジウムに配位し、点線の結合を介してVに結合され:
Figure 2020529979
ここで:
Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、CR、O、SまたはNRであり、ここで、少なくとも1つのA基はCRであり;
Zは、出現毎に同一であるかまたは異なり、O、SまたはNRであり;
は、1つの炭素原子および1つの窒素原子を介して、または2つの炭素原子を介して、イリジウムに配位する二座モノアニオン性副配位子であり;
は、1つの炭素原子および1つの窒素原子を介して、または2つの炭素原子を介して、イリジウムに配位する二座モノアニオン性副配位子、またはLと同一であっても異なっていてもよい上記の式(2)の副配位子であり;
Vは、式(3)の基であり、ここで、点線は、それぞれ、副配位子L、LおよびLの結合の位置を示し、
Figure 2020529979
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、CRまたはNであり;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、CRまたはNであるか、または2つの隣接するX基が共にNR、OまたはSであり、よって5員環を形成しているか;または、環中のX基のうちの1つがNである場合に2つの隣接するX基が共にCRまたはNであり、よって、5員環を形成しており;ただし、それぞれの環において、2以下の隣接するX基がNであり;
は、1つの環中で、出現ごとにCであるか、または1つのX基がNであり、同一の環中で他のX基がCであり、ここで、3つの環中のX基は、独立に選択されていてもよく、ただし、環中のX基のうちの1つがNである場合に、2つの隣接するX基は共にCRまたはNであり;
Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、OR、SR、CN、NO、COOH、C(=O)N(R、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜20の炭素原子を有する直鎖のアルキル基または2〜20の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基または3〜20の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル基(ここで、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、それぞれのケースにおいて、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、かつ、ここで、1以上の隣接しないCH基が、Si(R、C=O、NR、O、SまたはCONRによって置き換えられていてもよい)、または5〜40の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり;同時に、2つのRラジカルが共に環系を形成していてもよく;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、OR、SR、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜20の炭素原子を有する直鎖のアルキル基または2〜20の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基または3〜20の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル基(ここで、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、それぞれのケースにおいて、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、かつ、ここで、1以上の隣接しないCH基が、Si(R、C=O、NR、O、SまたはCONRによって置き換えられていてもよい)、または5〜40の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり;同時に、2以上のRラジカルが共に環系を形成していてもよく;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、または1〜20の炭素原子を有する、脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族有機ラジカル、特にヒドロカルビルラジカル(これは、1以上の水素原子がFによって置き換えられていてもよい)であり;
同時に、3つの二座配位子L、LおよびLが、ブリッジVとは別に、さらなるブリッジによって閉じられ、クリプテートを形成していてもよい。
本発明によると、配位子は、3つの二座副配位子L、LおよびLを有する三脚型六座配位子である。「二座(Bidentate)」は、錯体中の特定の副配位子が2つの配位部位を介してイリジウムに配位、または結合することを意味する。「三脚型(Tripodal)」は、配位子が、ブリッジVまたは式(3)のブリッジに結合された、3つの副配位子を有することを意味する。配位子が3つの二座副配位子を有するので、全体として、6座配位子、つまり6つの配位部位を介してイリジウムに配位または結合する配位子である。本発明の意味において、「二座副配位子(bidentate sub−ligand)」は、ブリッジVまたは式(3)のブリッジが存在しない場合に、L、LおよびLは、それぞれのケースにおいて、二座配位子であることを意味する。しかしながら、この二座配位子から水素原子の形式上取り去られ、式(3)のブリッジに結合した結果、もはや分離した配位子ではなく、六座配位子の一部であり、それゆえ、用語「副配位子」が使用される。
したがって、本発明の化合物の配位子は、以下の構造(LIG)を有する:
Figure 2020529979
イリジウムへの配位子の結合は、配位結合または共有結合であってよく、つまり結合の共有部分は、配位子によって異なっていてよいのである。本願において、配位子または副配位子がイリジウムに配位または結合していると記載されているとき、これは、本発明の意味において、結合の共有部分に関わらず、配位子または副配位子のイリジウムへの任意の種類の結合のことである。
2つのRまたはRラジカルが共に環系を形成している場合、それは、単環状もしくは多環状の、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族であってよい。この場合に、共に環系を形成するこれらのラジカルは隣接していてもよく、これは、これらのラジカルは同一の炭素原子または直接互いに隣接している炭素原子に、結合されていることを意味し、これらはさらに互いからさらに取り除かれていてもよい。例えば、X基に結合されたRラジカルがXに結合されたRラジカルとともに環を形成することも可能である。基Xに結合されたRラジカルとX基に結合されたRラジカルの間の環形成されている場合に、この環は好ましくは3つのブリッジ原子を有する、好ましくは3つの炭素原子を有する基によって、より好ましくは基−(CR−によって形成される。
本発明の意味において、2以上のラジカルが共に環を形成してもよい、という用語は、とりわけ、2つのラジカルが、2つの水素原子の形式的な削除とともに、化学結合によって互いに結合されることを意味するものと解される。これは、以下のスキームによって示される:
Figure 2020529979
さらに、上述の用語は、2つのラジカルのうちの1つが水素である場合に、2つめのラジカルがその水素原子が結合された位置で結合し、環を形成することを意味するものとも解される。これは、以下のスキームによって示される:
Figure 2020529979
上述のように、この種の環形成は、互いに直接隣接している炭素原子に結合されているラジカル、またはさらに取り除かれた炭素原子に結合されたラジカルで、可能である。好ましくは、互いに直接結合されている炭素原子に結合されたラジカルにおけるこの種の環形成である。
本発明の意味でのアリール基は、6〜40の炭素原子を含む。本発明の意味でのヘテロアリール基は、2〜40の炭素原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含み、炭素原子およびヘテロ原子の合計は少なくとも5である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選択される。ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、単一の芳香族環(すなわちベンゼン)もしくは単一のヘテロ芳香族環(例えば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等)、または縮合アリールもしくはヘテロアリール基(例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン等)を意味する。
本発明の意味での芳香族環系は、環系内に6〜40の炭素原子を含む。本発明の意味でのヘテロ芳香族環系は、環系内に1〜40の炭素原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含み、炭素原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5である。ヘテロ原子は、好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。本発明の意味での芳香族またはヘテロ芳香族環系は、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基のみを含む系を意味するものと解されるのではなく、代わりに、さらに複数のアリールまたはヘテロアリール基が、非芳香族単位(好ましくはH以外の原子が10%より少ない)、例えば炭素、窒素もしくは酸素原子、またはカルボニル基、に介在されていてもよい。例えば、9,9’−スピロビフルオレン、9,9’−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等の系は、本発明の意味において、芳香族環系とみなされるのであり、2以上のアリール基が、例えば、直鎖もしくは環状アルキル基、またはシリル基によって介在されている系も、同様である。さらに、2以上のアリールまたはヘテロアリール基が互いに直接結合されている系(例えば、ビフェニル、テルフェニル、クォーターフェニルまたは日ピリジン)も、同様に、芳香族またはヘテロ芳香族環系とみなされる。
本発明の意味での、環状、アルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基は、単環、二環、または多環基を意味するものと解される。
本発明の意味において、C−〜C20−アルキル基(さらに、これらの個々の水素原子またはCH基は、上記した基によって置換されていてよい)は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、2−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、s−ヘキシル、t−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、ネオヘキシル、シクロヘキシル、1−メチルシクロペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、4−ヘプチル、シクロヘプチル、1−メチルシクロヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、シクロオクチル、1−ビシクロ[2.2.2]オクチル、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル、2−(2,6−ジメチル)オクチル、3−(3,7−ジメチル)オクチル、アダマンチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,1−ジメチル−n−ヘキサ−1−イル、1,1−ジメチル−n−ヘプタ−1−イル、1,1−ジメチル−n−オクタ−1−イル、1,1−ジメチル−n−デカ−1−イル、1,1−ジメチル−n−ドデカ−1−イル、1,1−ジメチル−n−テトラデカ−1−イル、1,1−ジメチル−n−ヘキサデカ−1−イル、1,1−ジメチル−n−オクタデカ−1−イル、1,1−ジエチル−n−ヘキサ−1−イル、1,1−ジエチル−n−ヘプタ−1−イル、1,1−ジエチル−n−オクタ−1−イル、1,1−ジエチル−n−デカ−1−イル、1,1−ジエチル−n−ドデカ−1−イル、1,1−ジエチル−n−テトラデカ−1−イル、1,1−ジエチル−n−ヘキサデカ−1−イル、1,1−ジエチル−n−オクタデカ−1−イル、1−(n−プロピル)シクロヘキサ−1−イル、1−(n−ブチル)シクロヘキサ−1−イル、1−(n−ヘキシル)シクロヘキサ−1−イル、1−(n−オクチル)シクロヘキサ−1−イル−および1−(n−デシル)シクロヘキサ−1−イルラジカルを意味するものと解される。アルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルを意味するものと解される。アルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、へプチニルまたはオクチニルを意味するものと解される。OR基は、例えば、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシまたは2−メチルブトキシを意味するものと解される。
5〜40の芳香族環原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族環系は、それぞれのケースにおいて、上記のラジカルによって置換されていてもよく、任意の位置で、芳香族またはヘテロ芳香族系に連結していてもよく、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオラセン、ベンゾフルオラセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス−またはトランス−インデノフルオレン、シス−またはトランス−モノベンゾインデノフルオレン、シス−またはトランス−ジベンゾインデノフルオレン、トルクセン、イソトルクセン、スピロトルクセン、スピロイソトルクセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5−ジアザアントラセン、2,7−ジアザピレン、2,3−ジアザピレン、1,6−ジアザピレン、1,8−ジアザピレン、4,5−ジアザピレン、4,5,9,10−テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジオゾール、1,3,4−オキサジオゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアゾールから誘導される基を意味するものと解される。
以降に、橋頭V、つまり式(3)の構造、の好ましい形態を示す。
式(3)の基の好適な形態は、以下の式(4)〜(7)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有する。
本発明の好ましい形態の1つにおいて、式(3)の基の全てのX基がCRであり、式(3)の中央の三価の環がベンゼンである。より好ましくは、式(4)、(6)および(7)の全てのX基がCHである。本発明のさらに好ましい形態において、全てのX基が窒素原子であり、つまり式(3)の中央の三価の環はトリアジンである。よって、式(3)の好ましい形態は、式(4)および(5)の構造である。
式(4)の三価の中央のベンゼン環または式(6)の中央のピリミジン環または式(7)の中央のピリジン環の、それぞれの好ましいRラジカルに、以下が適用できる:
Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、CN、OR、1〜10の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル基、または2〜10の炭素原子を有するアルケニル基、または3〜10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)、または5〜24の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環原子であり、同時に、RラジカルはXのRラジカルと共に環系を形成していてもよく;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、CN、OR、1〜10の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル基、または2〜10の炭素原子を有するアルケニル基、または3〜10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)、または5〜24の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のラジカルRによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環原子であり、同時に、2以上の隣接するRラジカルが共に環系を形成していてもよく、
は出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、または1〜20の炭素原子を有する、脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族有機ラジカル(これは1以上の水素原子がFによって置き換えられていてもよい)である。
式(4)の三価の中央のベンゼン環または式(6)の中央のピリミジン環または式(7)の中央のピリジン環の、それぞれの特に好ましいRラジカルに、以下が適用できる:
Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、CN、1〜4の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、または3〜6の炭素原子を有する、分岐もしくは環状のアルキル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)、6〜12の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環原子であり、同時に、RラジカルがXのRラジカルと共に環系を形成していてもよく、
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、CN、1〜4の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、または3〜6の炭素原子を有する、分岐もしくは環状のアルキル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)、6〜12の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環原子であり、同時に、2以上の隣接するRラジカルが共に環系を形成していてもよく、
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、または1〜12の炭素原子を有する、脂肪族もしくは芳香族ヒドロカルビルラジカルである。
より好ましくは、式(4)の基は、以下の式(4’)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有する。
以降に、式(3)〜(7)の基に現れるような好ましい二価のアリーレンもしくはヘテロアリーレン単位を記載する。式(3)〜(7)の構造から明らかなように、これらの構造は、3つのオルト結合された二価のアリーレンまたはヘテロアリーレン単位を含む。
本発明の好ましい形態において、記号XはCであり、よって、式(3)〜(7)の基は、以下の式(3a)〜(7a)に示されうる:
Figure 2020529979
ここで、記号は、上記に記載の意味を有する。
式(3)の基は、以下の式(3’)によって形式的に示すことができ、式(3)および(3’)は同一の構造を含む:
Figure 2020529979
ここで、Arは、それぞれのケースにおいて、同一であるかまたは異なり、以下の式(8)の基である:
Figure 2020529979
ここで、点線の結合は、それぞれのケースにおいて、二座副配位子L、LまたはLのこの構造への結合の位置を示し、*は、式(8)の単位の、中央の三価のアリールまたはヘテロアリール基への結合の位置を示し、かつXは上記に記載されたとおりの意味を有する。式(8)の基の好ましい置換基は、上述の置換基Rから選択される。
式(8)の基は、ヘテロ芳香族5員環またはヘテロ芳香族6員環を示していてよい。本発明の好ましい形態において、式(8)の基は、アリールまたはヘテロアリール基において2以下のヘテロ原子、より好ましくは1つのヘテロ原子を含む。これは、この基に結合されたどの置換基もヘテロ原子を含むことができないことを意味するわけではない。さらにこの定義は、置換基による環の形成によって、縮合された、芳香族もしくはヘテロ芳香族構造(例えば、ナフタレン、ベンゾイミダゾール等)を生じさせることができないことを意味するわけではない。式(8)の基は、好ましくは、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾールおよびチアゾールから選択される。
環中のX基の両方が、炭素原子である場合に、好ましい形態の式(8)の基は、以下の式(9)〜(25)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有する。
環中のX基の1つが炭素原子であり、同一の環中の他のX基が窒素原子である場合に、好ましい式(8)の基の形態は、以下の式(26)〜(33)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有する。
特に好ましくは、上述の式(9)〜(13)の、所望により置換された6員環の芳香族環および6員環のヘテロ芳香族環である。さらに特に好ましくは、オルトフェニレン、つまり上述の式(9)の基である。
同時に、上述の置換基の記述において記述されたように、隣接する置換基が共に環を形成することが可能であり、縮合アリールおよびヘテロアリール基を含む縮合構造(例えば、ナフタレン、キノリン、ベンゾイミダゾール、カルバゾール、ジベンゾフランまたはジベンゾチオフェン)を形成することができる。
このケースにおいて、式(3)〜(7)または式(3’)の基に存在する式(8)の3つの基は、同一であっても異なっていてもよい。本発明の好ましい形態において、式(8)の3つの基の全てが、同一であり、同一の置換基を有する。
より好ましくは、式(4)〜(7)の構造は、以下の式(4b)〜(7b)の構造から選択される:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有する。
式(4b)の好ましい形態は、以下の式(4b’)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有する。
より好ましくは、式(3)〜(7)のR基は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、または1〜4の炭素原子を有するアルキル基である。最も好ましくは、R=Hである。さらに特に好ましくは、以下の式(4c)または(5c)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有する。
以降に、二座副配位子Lについて記載する。上記のように、副配位子Lは、式(2)の構造を有する。
本発明の好ましい形態において、両方のA基は、CR、より好ましくはCHである。
本発明のさらに好ましい形態において、少なくとも1つのZ基はOである。より好ましくは、両方のZ基がOである。
したがって、Lは、好ましくは以下の式(2a)の副配位子である:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有する。
2つのRラジカルが共に環を形成することも好ましい。これは、2つのRラジカルが同一の炭素原子(つまり、CR基中)、またはアセチルアセトナト基内で直接隣接する2つのRラジカルの間に結合するときが、好ましい。この環は、好ましくは、5または6の環原子を有する脂肪族環または芳香族環である。置換基の間の環形成の好適な例は、以下の構造(L−A)〜(L−F)によって示される:
Figure 2020529979
ここで、これらの構造は、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
は、より好ましくは、以下の式(2b)の副配位子である:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有する。
は、最も好ましくは、以下の式(2c)の副配位子である:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有する。
式(2)、(2a)、(2b)および(2c)中のRは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、OR、1〜10の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、または3〜10の炭素原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である、分岐もしくは環状の、アルキル基、または5〜24の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系からなる群から選択され;同時に、2以上のRラジカルが共に環系を形成することも可能である。特に好ましいRラジカルは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、1〜4の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、または3〜6の炭素原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である、分岐もしくは環状の、アルキル基、または6〜12の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族環系からなる群から選択され;同時に、2以上のRラジカルが共に環系を形成することも可能である。特に好ましいアルキル基は、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、およびネオペンチル、特にメチル、である。
さらに、Rは、好ましくは、H、D、F、1〜10の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、3〜10の炭素原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが好ましくは非置換である、分岐もしくは環状の、アルキル基、または5〜24の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系からなる群から選択され;同時に、2以上の隣接するRラジカルが共に環系を形成することも可能である。
以降に、二座副配位子LおよびLについて記載する。上記のように、Lは、1つの炭素原子および1つの窒素原子を介して、または2つの炭素原子を介して、イリジウムに配位する。さらに、Lは、同一であるかまたは異なり、LまたはL、つまり式(2)の副配位子であるか、または1つの炭素原子および1つの窒素原子を介して、または2つの炭素原子を介して、イリジウムに配位する副配位子である。本発明の好ましい形態において、LおよびLは、共に副配位子であり、これらのそれぞれは、1つの炭素原子および1つの窒素原子を介して、または2つの炭素原子を介して、イリジウムに配位する。2つの副配位子LおよびLは、同一であっても異なっていてもよい。
好ましくは、少なくとも1つの副配位子LおよびLは、配位原子として、1つの炭素原子および1つの窒素原子を有する。最も好ましくは、両方の副配位子LおよびLは、配位原子として、1つの炭素原子および1つの窒素原子を有する。
さらに好ましくは、イリジウムおよび副配位子LまたはLから形成される金属サイクル(metallacycle)が5員環である場合である。これは、以下に概略的に示される:
Figure 2020529979
ここで、Nは配位窒素原子であり、Cは配位炭素原子であり、示される炭素原子は副配位子LまたはLの原子である。
本発明の好ましい形態において、副配位子LおよびLのうちの少なくとも1つが、より好ましくは副配位子LおよびLの両方が、出現毎に同一であるかまたは異なり、以下の式(L−1)および(L−2)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、点線の結合は、式(3)のブリッジへの副配位子の結合を示し、使用される他の記号は以下のとおりである:
CyCは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5〜14の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて炭素原子を介して金属に配位する、置換もしくは非置換の、アリールまたはヘテロアリール基であり、共有結合を介してのCyDに結合しており、
CyDは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5〜14の芳香族環原子を有し、窒素原子を介してまたはカルベン炭素原子を介して、金属に配位する、置換または非置換の、ヘテロアリール基であり、共有結合を介してCyCに結合しており、
同時に、2つ以上の任意の置換基が共に環系を形成していてもよく、任意のラジカルは好ましくは上述のRラジカルから選択される。
CyDは、好ましくは、電荷を有さない窒素原子を介して、またはカルベン炭素原子を介して、配位する。さらに、CyCは、アニオン性炭素原子を介して配位する。
2以上の置換基、特に2以上のRラジカルが共に環系を形成する場合に、環系が、隣接する炭素原子に直接的に結合された置換基から形成されることも可能である。さらに、CyCおよびCyDの置換基が環を形成し、その結果、CyCおよびCyDが、二座配位子として、共に単一縮合の、アリールまたはヘテロアリール基を形成していてもよい。
ここで、2つの副配位子LおよびLが式(L−1)の構造を有すること、または両方の副配位子LおよびLが式(L−2)の構造を有すること、または副配位子LおよびLのうちの1つが式(L−1)の構造を有し、副配位子の他方が式(L−2)の構造を有することが可能である。本発明の好ましい形態において、副配位子LおよびLのうちの1つが式(L−1)の構造を有し、副配位子LおよびLの他方が式(L−2)の構造を有する。
本発明の好ましい形態において、CyCは、6〜13の芳香族環原子を有する、より好ましくは、6〜10の芳香族環原子を有する、最も好ましくは6の芳香族環原子を有する、アリールもしくはヘテロアリール基であり、炭素原子を介して金属原子に配位し、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、共有結合を介して、CyDに結合する。
基CyCの好ましい形態は、以下の式(CyC−1)〜(CyC−19)の構造(ここで、CyC基は、それぞれのケースにおいて、♯で示される位置で、CyDに、かつ*で示される位置で、イリジウムに、結合する)である。
Figure 2020529979
ここで、Rは上記に記載されたとおりであり、使用される他の記号は以下のとおりである:
Xは、出現毎に同一であるかまたは異なり、CRまたはNであり、環あたり2以下の記号XがNであり、
Wは、出現毎に同一であるかまたは異なり、NR、OまたはSであり、
式(3)のブリッジがCyCに結合している場合に、1つの記号XがCであり、かつ式(3)のブリッジがこの炭素原子に結合する。CyC基が式(3)のブリッジに結合している場合に、結合は、好ましくは上記の式に「o」によって記された位置を介しており、式に「o」によって記された記号Xは好ましくはCである。「o」で示される記号Xを全く含まない上述の構造は、好ましくは、式(3)のブリッジに直接的に結合されない。そのようなブリッジへの結合は、立体的な理由で、有利ではないからである。
好ましくは、CyCの記号Nの合計2以下がNであり、より好ましくはCyCの記号Nの1以下がNであり、最も好ましくは、記号Xの全てがCRである。ただし、式(3)のブリッジがCyCに結合する場合に、1つの記号XはCであり、式(3)のブリッジがこの炭素原子に結合する。
特に好ましいCyC基は、以下の式(CyC−1a)〜(CyC−20a)の基である:
Figure 2020529979
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載された意味を有し、式(3)のブリッジがCyCに結合する場合、1つのRラジカルが存在せず、かつ式(3)のブリッジが対応する炭素原子に結合される。CyC基が式(3)のブリッジに結合する場合、結合は、好ましくは上記の式の「o」で記された位置を介し、このケースにおいてRラジカルは好ましくは存在しない。「o」で示される炭素原子を全く含まない上記の構造は、好ましくは式(3)のブリッジに直接的に結合しない。
(CyC−1)〜(CyC−19)基のうちの好ましい基は、(CyC−1)、(CyC−3)、(CyC−8)、(CyC−10)、(CyC−12)、(CyC−13)および(CyC−16)基であり、特に好ましくは、(CyC−1a)、(CyC−3a)、(CyC−8a)、(CyC−10a)、(CyC−12a)、(CyC−13a)および(CyC−16a)基である。
本発明のさらに好ましい形態において、CyDは、5〜13の芳香族環原子を有する、より好ましくは6〜10の芳香族環原子を有する、ヘテロアリール基であり、電荷を有さない窒素原子を介して、またはカルベン炭素原子を介して、配位し、1以上のラジカルRによって置換されていてもよく、共有結合を介して、CyCに、結合する。
CyD基の好ましい形態は、以下の式(CyD−1)〜(CyD−12)の構造(ここで、CyD基は、それぞれのケースにおいて、♯で示される位置でCyCに、かつ*で示される位置で、イリジウムに結合する)である。
Figure 2020529979
ここで、X、WおよびRは上述のとおりであり、ただし式(3)のブリッジがCyDに結合している場合に、1つの記号XがCであり、かつ式(3)のブリッジがこの炭素原子に結合する。CyD基が式(3)のブリッジに結合している場合、この結合は好ましくは上述の式に「o」で示された位置を介し、このケースにおいて「o」で示された記号Xは好ましくはCである。「o」で示される記号Xを全く含まない上述の構造は、好ましくは式(3)のブリッジに直接結合されない。このようなブリッジとの結合が立体的な理由で有利にならないからである。
このケースにおいて、(CyD−1)〜(CyD−4)、および(CyD−7)〜(CyD−12)基は、電荷を有さない窒素原子を介して、金属に配位し、基(CyD−5)および(CyD−6)はカルベン炭素原子を介する。
好ましくは、CyDにおける記号Xの合計2以下がNであり、より好ましくは、CyDにおける記号Xの1以下がNであり、特に好ましくは記号Xの全てがCRであり、ただし、式(3)のブリッジがCyDに結合する場合に、1つの記号XがCであり、式(3)のブリッジがこの炭素原子に結合する。
特に好ましいCyD基は、以下の式(CyD−1a)〜(CyD−12b)の基である:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載された意味を有し、式(3)のブリッジがCyDに結合する場合、1つのRラジカルは存在せず、式(3)のブリッジが対応する炭素原子に結合する。CyD基が式(3)のブリッジに結合する場合に、その結合は好ましくは上述の式の「o」で示された位置を介して結合し、このケースにおいてこの位置におけるラジカルRが好ましくは存在しない。「o」によって示される炭素原子を全く含まない上述の構造は、好ましくは式(3)のブリッジに直接的に結合しない。
(CyD−1)〜(CyD−12)基のうちの好ましい基は、(CyD−1)、(CyD−2)、(CyD−3)、(CyD−4)、(CyD−5)および(CyD−6)基、特に(CyD−1)、(CyD−2)および(CyD−3)であり、特に好ましくは、(CyD−1a)、(CyD−2a)、(CyD−3a)、(CyD−4a)、(CyD−5a)および(CyD−6a)基、特に(CyD−1a)、(CyD−2a)および(CyD−3a)である。
本発明の好ましい形態において、CyCは、6〜13の芳香族環原子を有する、アリールまたはヘテロアリール基であり、同時に、CyDは、5〜13の芳香族環原子を有するヘテロアリール基である。より好ましくは、CyCは、6〜10の芳香族環原子を有する、アリールまたはヘテロアリール基であり、同時に、CyDは、5〜10の芳香族環原子を有するヘテロアリール基である。より好ましくは、CyCは、6の芳香族環原子を有する、アリールまたはヘテロアリール基であり、CyDは、6〜10の芳香族環原子を有するヘテロアリール基である。同時に、CyCおよびCyDは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい。
CyCまたはCyD基の少なくとも1つが式(3)のブリッジの適切な結合部位(適切な結合部位が上述の式において「o」によって記されている)を有する場合に、上述の好ましい(CyC−1)〜(CyC−20)および(CyD−1)〜(CyD−12)基は、任意に、互いに結び付いていてよい。
CyCまたはCyD基の少なくとも1つが式(3)のブリッジの適切な結合部位(適切な結合部位が上述の式において「o」によって記されている)を有する場合に、特に好ましいとして特定されたCyCおよびCyD基(つまり、式(CyC−1a)〜(CyC−20a)の基、および式(CyD1−a)〜(CyD−14b)の基)が互いに結合されることが特に好ましい。それゆえ、CyCもCyDも式(3)のブリッジへの適切な結合部位を有さない組み合わせは、好ましくない。
(CyC−1)、(CyC−3)、(CyC−8)、(CyC−10)、(CyC−12)、(CyC−13)および(CyC−16)基、特に(CyC−1a)、(CyC−3a)、(CyC−8a)、(CyC−10a)、(CyC−12a)、(CyC−13a)および(CyC−16a)基、のうちの1つが、(CyD−1)、(CyD−2)および(CyD−3)基のうちの1つと、特に基(CyD−1a)、(CyD−2a)および(CyD−3a)の基うちの1つと、結合されることが特に好ましい。
好ましい副配位子(L−1)は、式(L−1−1)および(L−1−2)の構造であり、好ましい副配位子(L−2)は、式(L−2−1)〜(L−2−4)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有し、「о」は式(3)のブリッジへの結合位置を示す。
特に好ましい副配位子(L−1)は、式(L−1−1a)および(L−1−2b)の構造であり、特に好ましい副配位子(L−2)は、式(L−2−1a)〜(L−2−4a)の構造である。
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有し、「о」は式(3)のブリッジへの結合位置を示す。
2つのRラジカル(そのうち1つがCyCに、もう一方がCyDに結合されている)が、互いに芳香族環系を形成する場合に、ブリッジされた副配位子となってもよく、例えば全体として単一のより大きいヘテロアリール基を占める副配位子(例えば、ベンゾ[h]キノリン等)を形成していてもよい。CyCおよびCyD上の置換基の間の環形成は、好ましくは、以下の式(34)〜(43)のうちの1つによる基を介する:
Figure 2020529979
ここで、Rは、上記に記載のとおりであり、点線は、CyCまたはCyDへの結合を意味する。同時に、上記で述べられたうちの非対称な基は、それぞれ2つの取りうるオプションで、組み入れられていてよい。例えば、式(43)の基において、酸素原子がCyC基に、かつカルボニル基がCyD基に結合されるか、または酸素原子がCyD基に、かつカルボニル基がCyC基に結合されていてよい。
同時に、式(40)の基は、特に6員環の環形成となる場合に好ましく、例えば、式(L−21)および(L−22)に示される。
異なる環における、2つのRラジカルの間の環形成を通して生じる、好ましい配位子は、以下に示される式(L−3)〜(L−30)の構造である:
Figure 2020529979
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載された意味を有し、「о」は、副配位子が式(3)の基に結合される位置を示す。
式(L−5)〜(L−32)の副配位子の好ましい形態において、全部で1つの記号XがNであり、かつ他の記号XがCRであるか、全ての記号XがCRである。
本発明のさらなる形態において、(CyC−1)〜(CyC−20)または(CyD−1)〜(CyD−14)基において、または副配位子(L−5)〜(L−32)において、窒素原子に隣接する置換基として結合されたR基が水素または重水素でない場合に、原子Xのうちの1つがNであれば好ましい。このことは、好ましい構造(CyC−1a)〜(CyC−20a)または(CyD−1a)〜(CyD−14b)にも同様に適用され、非配位窒素原子に隣接して結合された置換基は、好ましくは水素または重水素ではないR基である。
このケースにおいて、この置換基Rは、好ましくはCF、OCF、1〜10の炭素原子を有するアルキル基、特に3〜10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル基、OR(ここで、Rは、1〜10の炭素原子を有するアルキル基、特に、3〜10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル基)、2〜10の炭素原子を有するジアルキルアミノ基、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、またはアラルキルもしくはヘテロアラルキル基から選択される基である。これらの基は、立体的に嵩高い(demanding)基である。さらに好ましくは、このRラジカルは、隣接するRラジカルと環を形成していてもよい。
金属が遷移金属である金属錯体のさらに適切な二座副配位子は、以下の式(L−31)または(L−32)の副配位子である:
Figure 2020529979
ここで、Rは、上記に記載のとおりであり、*は、金属への配位位置を示し、「о」は式(3)の基への副配位子の結合位置を示し、かつ使用される他の記号は以下のとおりである:
Xは、出現毎に同一であるかまたは異なり、CRまたはNであり、環あたり1以下のX記号がNである。
副配位子(L−31)および(L−32)において、隣接する炭素原子に結合された2つのRラジカルが互いに芳香族環を形成する場合に、2つの隣接する炭素原子と一緒のこの環は、好ましくは式(44)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、点線の結合は、副配位子内の基との結合を示し、Yは、出現毎に同一であるかまたは異なり、CRまたはNであり、好ましくは記号Yの1以下がNである。
副配位子(L−31)または(L−33)の好ましい形態において、式(44)の1以下の基が存在する。よって、副配位子は、好ましくは、以下の式(L−33)〜(L−38)の副配位子である:
Figure 2020529979
ここで、Xは出現毎に同一であるかまたは異なり、CRまたはNであるが、Rラジカルは共に芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成せず、かつさらなる記号は上述の意味を有する。
本発明の好ましい形態において、式(L−31)〜(L−38)の副配位子において、合計で0、1または2の記号Xおよび存在する場合にYがNである。より好ましくは、合計で0または1の記号Xおよび存在する場合にYが、Nである。
式(L−33)〜(L−38)の好ましい形態は、以下の式(L−33a)〜(L−38f)の構造である:
Figure 2020529979
Figure 2020529979
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載された意味を有し、「о」は、式(3)の基への結合の位置を示す。
本発明の好ましい形態において、オルト位で金属に配位するX基はCRである。このラジカルにおいて、オルト位で金属に配位のために結合されるRは、好ましくはH、D、Fおよびメチルからなる群から選択される。
本発明のさらなる形態において、原子X、存在する場合にYのうちの1つがNであることが好ましく、このとき、この窒素原子に隣接して結合される置換基が水素または重水素ではないR基である。
このケースにおいて、この置換基Rは、好ましくはCF、OCF、1〜10の炭素原子を有するアルキル基、特に3〜10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル基、OR(ここで、Rは、1〜10の炭素原子を有するアルキル基、特に、3〜10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル基)、2〜10の炭素原子を有するジアルキルアミノ基、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、またはアラルキルもしくはヘテロアラルキル基から選択される基である。これらの基は、立体的に嵩高い(demanding)基である。さらに好ましくは、このRラジカルは、隣接するRラジカルと環を形成していてもよい。
以降に、上述の副配位子LおよびLに、さらに式(3)〜(7)の構造の二価のアリーレンまたはヘテロアリーレン基、つまり式(8)の構造においても、存在してもよい好ましい置換基について記載する。
本発明の好ましい形態において、本発明による金属錯体は、隣接する炭素原子に結合され、以下に示される式の1つによる脂肪族環を共に形成する、2つのR置換基または2つのR置換基を含む。このケースにおいて、この脂肪族環を形成する2つのR置換基は、式(3)のブリッジおよび/または1以上の二座副配位子に、存在していてもよい。2つのR置換基が共に、または2つのR置換基が共に、環形成することによって形成された脂肪族環は、好ましくは以下の式(45)〜(51)のうちの1つによって記される:
Figure 2020529979
ここで、RおよびRは、上述の意味を有し、点線の結合は、配位子における2つの炭素原子の結合を示し、さらに:
、Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、C(R、O、S、NRまたはC(=O)であり;
は、C(R、O、S、NRまたはC(=O)であり;
Gは、1、2または3の炭素原子を有し、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アルキレン基、−CR=CR−、または5〜14の芳香族環原子を有し、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、オルト結合された、アリーレンもしくはヘテロアリーレン基であり;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、F、1〜10の炭素原子を有する、直鎖の、アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキルもしくはアルコキシ基(ここで、アルキルもしくはアルコキシ基は、それぞれのケースにおいて1つ以上のRラジカルによって置換されていてもよく、1つ以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、C=O、NR、O、SまたはCONRによって置き換えられていてもよい)、または5〜24の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、5〜24の芳香族環原子を有し、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり、同時に、同一の炭素原子に結合された2つのRラジカルが共に脂肪族または芳香族環系を形成し、それによりスピロ系を形成していてもよく、さらに、隣接するRラジカルまたはRと共にRが脂肪族環系を形成していてもよく;
ただし、これらの基の2つのヘテロ原子が直接互いに結合されることはなく、かつ2つのC=O基が直接互いに結合されることはない。
上述の式(45)〜(51)の構造および好ましいとして特定されたそれらの構造のさらなる形態において、二重結合は、2つの炭素原子の間で形式的な意味で形成される。これは、化学構造を単純化したものであって、2つの炭素原子が芳香族またはヘテロ芳香族環系に組み入れられ、これらの2つの炭素原子の間の結合は、形式的に、単結合の結合次数の二重結合の結合次数の間である。よって、形式的な二重結合の描写は、構造の限定として解釈されるべきではなく、代わりに、当業者であればこれが芳香族結合を意味することが明確である。
本発明の構造において、隣接するラジカルが脂肪族環系を形成する場合、後者は酸性ベンジルプロトンを全く有さないことが好ましい。ベンジルプロトンは、配位子に直接結合する炭素原子に結合するプロトンを意味するものと解される。これは、アリールまたはヘテロアリール基に直接結合された脂肪族環系の炭素原子が完全に置換され、結合された水素原子を全く含まないことによって、達成されうる。よって、式(45)〜(47)において、酸性ベンジルプロトンが存在しないことは、AおよびAによって、それらがC(R(Rは、水素ではないと定義される)である場合に達成される。これはさらに、アリールまたはヘテロアリール基に直接結合された脂肪族環系の炭素原子が二環または多環の構造において橋頭(bridgehead)であることによっても達成されうる。二環または多環の空間的な構造により、橋頭の炭素原子に結合されたプロトンは、二環または多環構造内で結合されていない炭素原子上のベンジルプロトンよりも、顕著に酸性度が低く、本発明の意味において、非酸性プロトンとみなされる。よって、式(48)〜(51)において、酸性ベンジルプロトンが存在しないことは、これが二環構造であることにより達成され、二環構造の対応するアニオンがメソメリー的に安定化されていないため、Rは、それがHである場合、ベンジルプロトンよりも酸性が一層弱い結果である。したがって、式(48)〜(51)のRがHである場合であっても、本発明の意味において、非酸性プロトンである。
本発明の好ましい形態において、RはHではない。
式(45)〜(51)の構造の好ましい形態において、基A、AおよびAのうちの1以下がヘテロ原子、特にOまたはNRであり、かつ他の基は、C(RまたはC(Rであるか、またはAおよびAは、出現毎に同一であるかまたは異なり、OまたはNRであり、かつAがC(Rである。本発明の特に好ましい形態において、AおよびAは、出現毎に同一であるかまたは異なり、C(Rであり、かつAは、(R、より好ましくはC(RまたはCHである。
よって、式(45)の好ましい形態は、式(45−A)、(45−B)、(45−C)および(45−D)の構造であり、特に好ましい式(45−A)の形態は、式(45−E)および(45−F)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、RおよびRは、上述の意味を有し、A、AおよびAは、出現毎に同一であるかまたは異なり、OまたはNRである。
式(46)の好ましい形態は、以下の式(46−A)〜(46−F)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、RおよびRは、上述の意味を有し、A、AおよびAは、出現毎に同一であるかまたは異なり、OまたはNRである。
式(47)の好ましい形態は、以下の式(47−A)〜(47−E)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、RおよびRは、上述の意味を有し、A、AおよびAは、出現毎に同一であるかまたは異なり、OまたはNRである。
式(48)の構造の好ましい形態において、橋頭に結合されたRラジカルは、H、D、FまたはCHである。さらに好ましくは、AはC(RまたはOであり、より好ましくはC(Rである。よって、式(48)の好ましい形態は、式(48−A)および(48−B)の構造であり、特に好ましい式(48−A)の形態は、式(48−C)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有する。
式(49)、(50)および(51)の構造の好ましい形態において、橋頭に結合されたRラジカルは、H、D、FまたはCHである。さらに好ましくは、AはC(Rである。よって、式(49)、(50)および(51)の好ましい形態は、式(49−A)、(50−A)および(51−A)の構造である:
Figure 2020529979
ここで、使用される記号は上記に記載の意味を有する。
さらに好ましくは、式(48)、(48−A)、(48−B)、(48−C)、(49)、(49−A)、(50)、(50−A)、(51)および(51−A)のG基は、1以上のラジカルRによって置換されていてもよい、1,2−エチレン基であり、ここでRは、好ましくは、出現毎に同一であるかまたは異なり、Hまたは1〜4の炭素原子を有するアルキル基、または1以上Rのラジカルによって置換されていてもよいが好ましくは非置換の、6〜10の炭素原子を有するオルト−アリーレン、特に、1以上のRのラジカルによって置換されていてもよいが好ましくは非置換の、オルト−フェニレン基である。
本発明のさらに好ましい形態において、式(45)〜(51)の基、および好ましい形態において、Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、F、1〜10の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、3〜30の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル基(ここで、それぞれのケースにおいて、1以上の隣接しないCH基はRC=CRによって置き換えられていてもよく、1以上の水素原子はDまたはFによって置き換えられていてもよい)、または5〜14の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり、同時に、同一の炭素原子に結合された2つのRラジカルが、共に、脂肪族環または芳香族系を形成し、よってスピロ系を形成してもよく、さらにRは、隣接するRまたはRラジカルと共に脂肪族環系を形成していてもよい。
本発明の特に好ましい形態において、式(45)〜(51)の基、および好ましい形態において、Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、F、1〜3の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、特にメチル、または5〜12の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが好ましくは非置換の、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり、同時に、同一の炭素原子に結合された2つのRラジカルが、共に、脂肪族または芳香族環系を形成し、よってスピロ系を形成してもよく、さらにRは、隣接するRまたはRラジカルと共に脂肪族環系を形成していてもよい。
式(45)の特に好適な基の例は、以下の構造である:
Figure 2020529979
Figure 2020529979
式(46)の特に好適な基の例は、以下に示される:
Figure 2020529979
式(47)、(49)および(50)の特に好適な基の例は、以下に示される:
Figure 2020529979
式(48)の特に好適な基の例は、以下に示される:
Figure 2020529979
式(49)の特に好適な基の例は、以下に示される:
Figure 2020529979
Rラジカルが、二座副配位子内、または式(3)〜(7)または好ましい形態内で結合された式(8)の二価のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基内で、結合される場合、これらのRラジカルは、出現毎に同一であるかまたは異なり、好ましくは、H、D、F、Br、I、N(R、CN、Si(R、B(OR、C(=O)R、1〜10の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、2〜10の炭素原子を有するアルケニル基、3〜10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状のアルキル基(ここで、アルキルまたはアルコキシ基は、それぞれのケースにおいて1以上のラジカルRによって置換されていてもよい)、または5〜30の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系からなる群から選択され、同時に、2つの隣接するRラジカルが共に、またはRラジカルがRと共に、単環状もしくは多環状、脂肪族または芳香族環系を形成していてもよい。より好ましくは、これらのRラジカルは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、N(R、1〜6の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、3〜10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状のアルキル基(ここで、1以上の水素原子がDまたはFによって置き換えられていてもよい)、または5〜24の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系からなる群から選択され、同時に、2つの隣接するRラジカルが共に、またはRラジカルがRと共に、単環状もしくは多環状、脂肪族または芳香族環系を形成していてもよい。
Rに結合された好ましいRラジカルは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、N(R、CN、1〜10の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、2〜10の炭素原子を有するアルケニル基、3〜10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状のアルキル基(ここで、アルキル基は、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい)、または5〜24の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり、同時に、2以上の隣接するRラジカルが共に、単環状もしくは多環状の脂肪族環系を形成していてもよい。Rに結合された特に好ましいRラジカルは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、F、CN、1〜5の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、3〜5の炭素原子を有する、分岐もしくは環状のアルキル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい)、または5〜13の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のラジカルRによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり、同時に、2以上の隣接するRラジカルが共に、単環状もしくは多環状の脂肪族環系を形成していてもよい。
好ましいRラジカルは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、F、または1〜5の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカル、または6〜12の炭素原子を有する芳香族ヒドロカルビルラジカルであり、同時に、2以上のR置換基が共に、単環状または多環状の脂肪族環系を形成していてもよい。
上述の好ましい形態は、所望により、互いに組み合わせうる。本発明の特に好ましい形態において、上述の好ましい形態は同時に適用される。
本発明の好適な構造の例は、以下に示される化合物である。
Figure 2020529979
Figure 2020529979
Figure 2020529979
Figure 2020529979
Figure 2020529979
Figure 2020529979
Figure 2020529979
本発明によるイリジウム錯体は、キラル構造である。錯体の三脚配位子がさらにキラルである場合に、ジアステレオマーおよび複数のエナンチオマーの組み合わせの形成が可能である。このような場合に、本発明による錯体は、異なるジアステレオマーまたは対応するラセミ体の混合物、およびそれぞれ分離されたジアステレオマーまたはエナンチオマーを含む。
2つの同一の副配位子を有するC−対称性配位子が、錯体化反応において使用される場合に、得られるものは、典型的には、C−対称性錯体、つまりΔおよびΛエナンチオマー、の、ラセミ体混合物である。これらは標準的な方法(キラル材料/カラムのクロマトグラフィーまたは結晶化による光学的分割)によって分離されてもよい。これは、2つの同一のフェニルピリジン副配位子を有するC−対称性配位子の例を用いた後述のスキームで示され、他の全てのC−対称性配位子に同様に適用される。
Figure 2020529979
ジアステレオマー塩ペアの分別結晶による光学分割は、従来の方法によって行うことができる。この目的の1つのオプションは、電荷を有さないIr(III)錯体を酸化し(例えば、過酸化物もしくはHと共に、または電気化学的手段によって)、エナンチオマー的に純粋なモノアニオン性塩(キラル塩)を生成されたカチオン性Ir(IV)に加え、分別結晶によって生成されたジアステレオマー塩を分離し、そして、還元剤(例えば、亜鉛、ヒドラジン水和物、アスコルビン酸等)によってそれらを還元し、エナンチオマー的に純粋な電荷を有さない錯体が生成される。以下に概略的に示される:
Figure 2020529979
さらに、エナンチオマー的に純粋な、またはエナンチオマー的に豊富な合成は、キラル媒体中(例えば、R−またはS−1,1−ビナフトール)の錯体形成によって可能である。
類似のプロセスは、C−またはC−対称性配位子の錯体でも行われうる。
−対称性配位子が錯体形成に使用されるならば、典型的に得られるのは、標準的な方法(クロマトグラフィー、結晶化)によって分離することができる錯体のジアステレオマー混合物である。
本発明による化合物は、主にさまざまなプロセスによって調製されうる。一般に、この目的では、イリジウム塩は、対応する遊離配位子(free ligand)と反応する。
それゆえ、本発明は、さらに、本発明による化合物を、適当な遊離配位子と、式(52)のイリジウムアルコキシド、式(53)のイリジウムケトケトネート、式(54)のイリジウムハライド、または式(55)のイリジウムカルボキシレートを反応させることによって準備する方法を提供するものである。
Figure 2020529979
ここで、Rは上記に記載の意味を有し、Hal=F、Cl、BrまたはIであり、かつイリジウム反応物は対応する水和物の形で存在していてもよい。ここでRは、好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル基である。
同様に、アルコキシドおよび/またはハライドおよび/またはヒドロキシおよびケトケトネートラジカルを有する、イリジウム化合物、を用いることができる。これらの化合物は、帯電されていてもよい。反応物質として特に適したイリジウム化合物に相当するものが、WO2004/085449に開示されている。特に適したものは、[IrCl(acac)、例えばNa[IrCl(acac)]、配位子としてアセチルアセトネートとの金属錯体由来のもの、例えばIr(acac)またはトリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオネート)イリジウム、およびIrCl・xHO(式中、xは典型的には2〜4の数である)である。
錯体の合成は、WO2002/060910およびWO2004/085449に開示されているように行われることが好ましい。この場合、その合成は、例えば、熱的もしくは光化学的方法および/またはマイクロ波放射によって、活性化される。さらに、合成は、オートクレーブ中で、高圧および/または高温にて行うこともできる。
反応は、対応のo−メタル化される配位子の溶融物中で、溶媒または溶融助剤を加えずに行うことができる。必要に応じて、溶媒もしくは溶融助剤を加えることもできる。好適な溶媒は、脂肪族および/または芳香族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等)、オリゴアルコールおよびポリアルコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールまたはグリセロール)、アルコールエーテル(例えば、エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等)、エーテル(例えば、ジ−およびトリエチレングリコールジメチルエーテル、ジフェニルエーテル等)、芳香族、ヘテロ芳香族および/または脂肪族炭化水素(例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ピリジン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、トリデカン、ヘキサデカン等)、アミド(例えば、DMF、DMAC等)、ラクタム(例えば、NMP等)、スルホキシド(例えば、DMSO)、またはスルホン(例えば、ジメチルスルホン、スルホラン等)のようなプロトン性または非プロトン性溶媒である。好適な溶融助剤は、室温で固体であるが、均質な溶融を形成するために反応混合物が加熱され反応物質を溶解する時に溶融される化合物である。特に好適な溶融助剤は、ビフェニル、m−ターフェニル、トリフェニル、R−もしくはS−ビナフトールまたは他の来往するラセミ体、1,2−、1,3−もしくは1,4−ビスフェノキシベンゼン、トリフェニルホスフィンオキシド、18−クラウン−6、フェノール、1−ナフトール、ヒドロキノン等である。特に好ましくは、ヒドロキノンの使用である。
これらの工程(所望により続いて例えば再結晶化または昇華などの精製が行われてもよい)によって、式(1)の本発明の化合物が高純度、好ましくは99%(H NMRおよび/またはHPLCによって決定される)より高い純度で、得られることを可能にする。
本発明による化合物は、適切な置換(例えば比較的長いアルキル基(約4〜20個の炭素原子)、特に分枝アルキル基、または所望により置換されているアリール基(例えば、キシリル、メシチルまたは分枝テルフェニルもしくはクアテルフェニル基による))によって可溶となっていてもよい。金属錯体の溶解性を顕著に改善するための別の特定の方法は、例えば上記で開示された式(45)〜(51)に示されるように、縮合脂肪族基の使用である。このような化合物は、標準的な有機溶媒(例えば、トルエンまたはキシレン)に室温で十分な濃度で溶解し、溶液からの錯体の製造を可能にする。これらの溶解性化合物は、特に溶液からの処理(例えば、印刷法)に適している。
本発明のイリジウム錯体の液相からの例えばスピンコートまたは印刷法による製造には、本発明による金属錯体の配合物が必要とされる。これらの配合物は、例えば、溶液、分散液またはエマルジョンであってよい。この目的で、2以上の溶媒の混合物を使用することが好ましい可能性がある。適切かつ好ましい溶媒は、例えば、トルエン、アニソール、o−、m−もしくはp−キシレン、安息香酸メチル、メシチレン、テトラリン、ベラトロール、THF、メチル−THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に3−フェノキシトルエン、(−)−フェンコン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、1−メチルナフタレン、2−メチルベンゾチアゾール、2−フェノキシエタノール、2−ピロリジノン、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール、アセトフェノン、α−テルピネオール、ベンゾチアゾール、安息香酸ブチル、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、安息香酸エチル、インダン、NMP、p−シメン、フェネト−ル、1,4−ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、2−イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、ヘキサメチルインダン、2−メチルビフェニル、1−メチルナフタレン、1−エチルナフタレン、オクタン酸エチル、セバシン酸ジエチル、オクタン酸オクチル、ヘプチルベンゼン、イソ吉草酸メチル、ヘキサン酸シクロヘキシル、またはそれらの溶媒の混合物である。
さらに、本発明は、少なくとも1つの本発明の化合物、および少なくとも1つのさらなる化合物を含んでなる配合物に関するものである。さらなる化合物は、溶媒、特に上述の溶媒のうちの一つまたはそれらの溶媒の混合であってよい。さらなる化合物は、電子素子において同様に使用される有機または無機化合物、例えばマトリックス材料、であってもよい。このさらなる化合物は、重合体であってもよい。
上述の本発明の化合物は、電子素子中の活性成分として、好ましくは発光層中の発光体として、もしくは正孔もしくは電子輸送層における正孔もしくは電子輸送材料として、または酸素増感剤として、または光開始剤もしくは光触媒として、使用されていてもよい。よって、本発明は、さらに、本発明による化合物の、電子素子における、または酸素増感剤、または光開始剤もしくは光触媒としての、使用について、提供するものである。エナンチオマー的に純粋な本発明によるイリジウム錯体は、キラル光誘因合成のための光触媒として好適である。
本発明は、さらに、少なくとも1つの本発明の化合物を含んでなる電子素子を提供するものである。
電子素子は、アノード、カソードおよび少なくとも1層(この層は少なくとも1つの有機または有機金属化合物を含んでなる)を具備してなる任意の素子を意味するものと解される。よって、本発明による電子素子は、アノード、カソードおよび少なくとも1つの本発明によるイリジウム錯体を含む少なくとも1つの層を含んでなる。好ましい電子素子は、少なくとも1つの層に少なくとも1つの本発明の化合物を含んでなる、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機太陽電池(O−SC)、後者は純粋な有機太陽電池および色素増感太陽電池の両方を意味するものと解される、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O−FQD)、発光電子化学電池(LEC)、酸素センサーおよび有機レーザーダイオード(O−laser)からなる群から選択される。赤外において光を放出する化合物は、有機赤外エレクトロルミネッセンス素子および赤外線センサーでの使用に好適である。特に好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子である。活性成分は、通常アノードとカソードの間に導入された有機または無機材料、例えば電荷注入、電荷輸送もしくは電荷ブロッカー材料、特には発光材料およびマトリックス材料、である。本発明の化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子中の発光材料として、特に良好な特性を示す。本発明の好ましい態様は、それゆえ、有機エレクトロルミネッセンス素子である。さらに、本発明の化合物は、一重項酸素の生成のために、または光触媒反応において使われる。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、カソード、アノードおよび少なくとも1つの発光層を具備してなる。これらの層とは別に、さらなる層、例えばそれぞれの場合において、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電子ブロック層、電荷発生層および/または有機もしくは無機p/n結合、を具備してなっていてもよい。このケースにおいて、1以上の正孔輸送層が、例えばMoOもしくはWOのような金属酸化物、または(パー)フルオロ化電子欠損芳香族、または電子欠損シアノ置換ヘテロ芳香族(例えば、JP4747558、JP2006−135145、US2006/0289882、WO2012/095143による)、またはキノイド系(例えば、EP1336208による)、またはルイス酸、またはボラン(例えば、US2003/0006411、WO2002/051850、WO2015/049030による)、主族金属第III、IVもしくはVの元素のカルボン酸塩によって、pドープされることも可能であり、および/または、1以上の電子輸送層がnドープされることも可能である。
同様に、例えば励起子ブロック機能を有する、および/またはエレクトロルミネッセンス素子において電荷バランスを制御する、および/または電荷を発生させる(電荷発生層、例えば2以上の発光層を有する層系、例えば白色発光OLED部品において)中間層が、2つの発光層の間に導入されていてもよい。
しかしながら、これらの層のそれぞれが、必ずしも存在しなければならないわけではないことを留意すべきである。
このケースにおいて、有機エレクトロルミネッセンス素子は、1つの発光層を含むか、または複数の発光層を含んでいてもよい。複数の発光層が存在する場合、これらは、好ましくは、380nm〜750nm全体で複数の発光極大を有し、その結果、全体として白色発光を生じる、すなわち、蛍光または燐光を発することができる様々な発光化合物が、発光層中に用いられる。特に好ましい態様は、3つの層が青色、緑色および橙色または赤色発光を示す3層系(基本構造は、例えば、WO2005/011013参照)、または3つより多い発光層を有する系である。この系は、1以上の層が蛍光を発し、1以上の層が燐光を発するハイブリッドの系であってもよい。好ましい形態は、タンデムOLEDである。白色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子は、照明用途に、またはフルカラーディスプレイのカラーフィルターと共に使用されていてもよい。
本発明の好ましい態様では、有機エレクトロルミネッセンス素子は、1つ以上の発光層中の発光性の化合物として、本発明のイリジウム錯体を含んでなる。
本発明によるイリジウム錯体が発光層における発光物質として使用されるとき、好ましくは1以上のマトリックス材料との組み合わせで使用される。本発明によるイリジウム錯体とマトリックス材料の混合物は、発光体およびマトリックス材料の混合物全体に対し、体積で0.1%〜99%、好ましくは体積で1%〜90%、より好ましくは体積で3%〜40%、特に体積で5%〜15%、の本発明によるイリジウム錯体を含む。それに対応して、混合物は、発光体およびマトリックス材料の混合物全体に対し、体積で99.9%〜1%、好ましくは体積で99%〜10%、より好ましくは体積で97%〜60%、特に体積で95%〜85%のマトリックス材料を含む。
使用されるマトリックス材料は、通常、公知技術によってその目的として知られているいかなる材料であってもよい。マトリックス材料の三重項準位は、好ましくは発光体の三重項単位よりも高い。
本発明の化合物の好適なマトリックス材料は、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、およびスルホン(例えば、WO2004/013080、WO2004/093207、WO2006/005627またはWO2010/006680による)、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体(例えば、CBP(N,N−ビスカルバゾニルビフェニル)、m−CBPもしくはWO2005/039246、US2005/0069729、JP2004/288381、EP1205527、WO2008/086851またはUS2009/0134784に開示されるカルバゾ−ル誘導体)、ビスカルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体(例えば、WO2007/063754またはWO2008/056746による)、インデノカルバゾール誘導体(例えば、WO2010/136109またはWO2011/000455による)、アザカルバゾール(例えば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP2005/347160による)、バイポーラーマトリックス材料(例えば、WO2007/137725による)、シラン(例えば、WO2005/111172による)、アザボロールもしくはボロン酸エステル(例えば、WO2006/117052による)、ジアザシロール誘導体(例えば、WO2010/054729による)、ジアザホスホール誘導体(例えば、WO2010/054730による)、トリアジン誘導体(例えば、WO2010/015306、またはWO2007/063754、またはWO2008/056746による)、亜鉛錯体(例えば、EP652273もしくはWO2009/062578による)、ジベンゾフラン誘導体(例えば、WO2009/148015またはWO2015/169412による)、または架橋カルバゾール誘導体(例えば、US2009/0136779、WO2010/050778、WO2011/042107またはWO2011/088877)である。溶液処理OLEDのための好適なマトリックス材料は、また、ポリマー(例えば、WO2012/008550またはWO2012/048778による)、オリゴマーまたはデンドリマー(例えば、Journal of Luminescence 183(2017)、150−158による)である。
混合物として複数の異なったマトリックス材料、特に少なくとも1つの電子伝導マトリックス材料および少なくとも1つの正孔伝導マトリックス材料、を使用することも好ましい。好ましい組み合わせは、本発明による金属錯体の混合マトリックスとして、例えば、芳香族ケトン、トリアジン誘導体またはホスフィンオキシド誘導体を、トリアリールアミン誘導体またはカルバゾール誘導体と共に使用することである。
同様に、電荷輸送マトリックス材料および電荷輸送においてたとえあったとしても明らかな関与がない電気的に不活性なマトリックス材料(「ワイドバンドギャップホスト」と呼ばれる)(例えばWO2010/108579またはWO2016/184540に開示される)の混合物の使用も好ましい。同様に、2つの電子輸送マトリックス材料、例えば、トリアジン誘導体およびラクタム誘導体(例えばWO2014/094964に開示される)を使用することも好ましい。
以下に示されるのは、本発明の化合物のマトリックス材料として好適な化合物の例である。
電子輸送マトリックス材料として使用されうるトリアジンおよびピリミジンの例は、以下の構造である:
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電子輸送マトリックス材料として使用されうるラクタムの例は、以下の構造である:
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電子輸送マトリックス材料として使用されうるケトン誘導体の例は、以下の構造である:
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電子輸送マトリックス材料として使用されうる金属錯体の例は、以下の構造である:
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電子輸送マトリックス材料として使用されうるホスフィンオキシドの例:
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置換パターンに応じて、正孔−または電子−輸送マトリックス材料として使用することができる、最も広い意味でのインドロ−またはインデノ−カルバゾール誘導体類の例は、以下の構造である:
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置換パターンに応じて、正孔−または電子−輸送マトリックス材料として使用することができるカルバゾール誘導体の例は、以下の構造である:
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正孔輸送マトリックス材料として使用することができる架橋カルバゾール誘導体の例:
Figure 2020529979
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正孔輸送マトリックス材料として使用することができるビスカルバゾール誘導体の例:
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正孔輸送マトリックス材料として使用することができるアミンの例:
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ワイドバンドギャップマトリックス材料として使用することができる材料の例:
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さらに好ましくは、2以上の三重項発光体、特に2または3の三重項発光体、の混合物を1以上のマトリックス材料と共に使用することである。このケースにおいて、より短い発光波長スペクトルを有する三重項発光体が、より長い発光波長スペクトルを有する三重項発光体の共マトリックスとして機能する。例えば、本発明の金属錯体は、共マトリックスとして、より短い波長を放出する金属錯体、例えば、青、緑、黄色発光金属錯体、と組み合わせうる。例えば、本発明の金属錯体を、より長い波長を放出する三重項発光体(例えば、赤色発光三重項発光体)のための共マトリックスとして使用することもできる。このケースにおいて、より短い波長およぶより長い波長を放出する金属錯体の両方が、本発明の化合物であることも好ましい。3つの三重項発光体の混合物を使用するケースにおける好ましい形態は、2つが共ホストとして使用され、1つが発光体材料として使用される場合である。これらの三重項発光体は、好ましくは、緑、黄色および赤、または青、緑およびオレンジ色の発光をする。
発光層における好ましい混合物は、電子輸送ホスト材料、いわゆる「ワイドバンドギャップ」ホスト材料(これは、その電子特性ゆえ、層中の電荷輸送に関与しないか、または顕著な程度に関与しない)、共ドーパント(これは、本発明による化合物よりも短い波長で発光する三重項発光体である)、および本発明の化合物を含んでなる。
発光層におけるさらなる好ましい混合物は、電子輸送ホスト材料、いわゆる「ワイドバンドギャップ」ホスト材料(これは、その電子特性ゆえ、層中の電荷輸送に関与しないか、または顕著な程度に関与しない)、正孔輸送ホスト材料、共ドーパント(これは、本発明による化合物よりも短い波長で発光する三重項発光体である)、および本発明の化合物を含んでなる。
本発明の化合物は、電子素子において他の機能で使用されうる。例えば、正孔注入または輸送層における正孔輸送材料として、電荷発生材料として、電子ブロック材料として、正孔ブロック材料として、または電子輸送材料としてであり、例えば電子輸送層において、である。同様に、本発明の化合物を発光層における、他の燐光発光金属錯体のためのマトリックス材料として使用することも可能である。
カソードは、好ましくは、様々な金属、例えばアルカリ土類金属、アルカリ金属、主族の金属もしくはランタノイド(例えばCa、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を含んでなる、低仕事関数を有する金属、金属合金もしくは多層構造体を含んでなる。さらに、適しているのは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属および銀を含んでなる合金(例えば、マグネシウムと銀を含んでなる合金)である。多層構造体の場合には、比較的高い仕事関数を有する更なる金属、例えば、Agもまた、前記金属に加えて用いられてもよく、この場合、金属の組合せ、例えば、Mg/Ag、Ca/AgまたはBa/Agが、一般に用いられる。高い誘電率を有する材料からなる薄い中間層を、金属カソードと有機半導体の間に導入することもまた、好ましいことがある。この目的に使用できる材料の例は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のフッ化物であるが、対応する酸化物もしくは炭酸塩(例えば、LiF、LiO、BaF、MgO、NaF、CsF、CsCO等)である。同様に、この目的で使用できるのは、有機アルカリ金属錯体、例えばLiq(キノリン酸リチウム)である。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
好ましいアノードは、仕事関数の高い材料である。好ましくは、アノードは真空に対し4.5eVよりも大きい仕事関数を有する。まず、高い酸化還元電位を有する金属はこの目的に合う。例えば、Ag、PtまたはAuである。次に、金属/金属酸化物電極(例えば、Al/Ni/NiOx、Al/PtOx)もまた好ましい。いくつかの用途において、少なくとも1つの電極は、透明または部分的に透明であるべきである。有機材料(O−SC)の放射または発光(OLED/PLED、O−laser)を可能にするためである。ここで、好ましいアノード材料は、導電性の高い混合金属酸化物である。特に好ましくは、イリジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウムスズ酸化物(IZO)である。さらに、好ましいものとして、伝導性のドープされた有機材料、特に導電性ドープされたポリマー、例えばPEDOT、PANIまたはこれらのポリマーの誘導体、が挙げられる。さらに好ましくは、p−ドープされた正孔輸送材料が正孔注入としてアノードに適用されるとき、好適なp−ドーパントは、金属酸化物、例えばMoOもしくはWOまたは(過)フッ素化電子−欠損芳香族系である。さらに好適なp−ドーパントは、HAT−CN(ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン)またはNovaled製の化合物NPD9である。このような層によって、低HOMO、すなわち大きなHOMO値を有する材料における正孔注入が簡単になる。
従来技術で層に使用される任意の材料は、一般に、さらなる層に使用されうる。当業者であれば、発明的工夫なしで、電子素子において、それぞれの材料を本発明による材料と結び付けることができるであろう。
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔注入もしくは正孔輸送層、電子ブロック層または電子輸送層で使用されうる、好適な電荷輸送材料は、例えば、Y.Shirota et al.、Chem.Rev.2007、107(4)、953−1010で開示される化合物、または従来技術のこれらの層に使用される他の材料である。本発明のエレクトロルミネッセンス素子における、正孔輸送、正孔注入または電子輸送層における好ましい正孔輸送材料は、インデノフルオレンアミン誘導体(例えば、WO06/122630またはWO06/100896)、EP1661888に開示されるアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(例えば、WO01/049806)、縮合芳香族環を含むアミン誘導体(例えば、US5,061,569)、WO95/09147に開示されるアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(例えば、WO08/006449)、ジベンゾインデノフルオレンアミン(例えば、WO07/140847)、スピロビフルオレンアミン(例えば、WO2012/034627、WO2014/056565)、フルオレンアミン(例えば、EP2875092、EP2875699およびEP2875004)、スピロビベンゾピランアミン(例えば、EP2780325)およびジヒドロアクリジン誘導体(例えば、WO2012/150001)である。
素子は、相応に、(用途に応じて)構造化され、接続され、最終的に密封される。そのような素子の寿命は、水および/または空気の存在で、劇的に短くなるからである。
さらに好ましくは、1以上の層が昇華法より適用される有機エレクトロルミネッセンス素子である。このケースにおいて、材料は、典型的には10−5mbar未満、好ましくは10−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華系で蒸着により適用される。初期圧力は、より低くても、またより高くてもよく、例えば、10−7mbar未満でもよい。
同様に、1つ以上の層がOVPD(有機気相堆積)法を用いることによって、またはキャリアガス昇華を利用して塗布されることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子も好ましい。このケースにおいて、材料は、10−5ミリバール〜1バールの圧力で適用される。この方法の特別な方法は、OVJP(有機蒸気ジェット印刷)法であり、その材料は、ノズルを介して直接適用され、したがって構造化される(例えばM.S.Arnoldら、Appl.Phys.Lett.2008、92、053301)。
さらに、1つ以上の層が、例えばスピンコーティングによって、または任意の印刷法、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷もしくはノズル印刷などによって、特に好ましくはLITI(光誘導熱画像化、熱転写印刷)またはインクジェット印刷によって、溶液から生成されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が好ましい。この目的では、可溶性化合物が必要であり、この化合物は、例えば適切な置換を介して得られる。
有機エレクトロルミネッセンス素子を、1つ以上の層を溶液から適用し、蒸着によって1つ以上の他の層を適用することによる、ハイブリッドの系として製造することもできる。例えば、本発明による金属錯体およびマトリックス材料を含んでなる発光層を溶液から適用し、正孔ブロック層および/または電子輸送層を減圧下で蒸着によって適用することができる。
これらの方法は、一般に当業者に知られており、当業者は、困難なく、式(I)の化合物または上述の好ましい形態を含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子に、適用されうる。
本発明による電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子、は、以下の驚くべき利点の1つ以上によって従来技術と区別される:
1.本発明による金属錯体は、特別に短い反応時間で、比較的低い反応温度で、非常に高い収率および非常に高い純度で、合成されうる。
2.本発明による金属錯体は、優れた耐熱性を有し、これは錯体の昇華においても示される。特に、本発明の錯体は、3つのオルトメタル化配位子を有する類似の多脚錯体よりも、より低い昇華温度を示す。それゆえ、本発明の化合物は、真空蒸着によって処理するために非常に良好な適性を有する。
3.本発明による金属錯体は、非常に良好な加水分解安定性を有する。特に、加水分解安定性は、配位子として、アセチルアセトナト誘導体を含むが、多脚ブリッジを有さない錯体のケースにおいて、非常に良好である。それゆえ、本発明の化合物は、溶液からの処理に対して非常に良好な安定性も有する。
4.本発明による金属錯体を発光材料として含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子は、非常に長い寿命を有する。これは、本発明による金属錯体がシングルマトリックス、つまりマトリックスおよびホスト材料、に組み込まれている単純なOLEDにさえも、特に当てはまる。
5.本発明による金属錯体を発光材料として含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子は、優れた効率を有し、指向性の発光(oriented emission)を示す。
これらの上述の利点は、他の電気的特性の劣化を伴わないものである。
本発明は、続いて実施例によってより詳細に例示されるが、それによっていかなる限定を意図しない。当業者は、記載される詳細を使用し、発明的工夫をなさずして、さらなる本発明による電子素子を製造し、かつそのことにより請求された範囲の全体にわたり本発明を実施することができるであろう。
実施例:
以下の合成は、特に断らなければ、乾燥溶剤中で、保護ガス雰囲気下に行われる。
金属錯体は、さらに光を排除して、もしくは黄色光の下で取り扱われる。溶剤および試薬は、例えばsigma−ALDRICHまたはABCRから購入できる。角括弧内の各数字または個別化合物に示された数字は、文献から知られる化合物のCAS番号に関する。複数の互変異性型を有しうる化合物のケースにおいて、1つの互変異性型は、代表的な方法で示される。
A:シントンSの合成−パート1:
例S1:
Figure 2020529979
Casey,Brian M.et al.,Beilstein Journal of Organic Chemistry,9,1472−1479,2013による調製
0℃に冷却された、300mlのTHF中の2.6g(110mmol)のNaHの懸濁液に、よく撹拌しながら、10.3g(100mmol)のアセチルアセトン[123−54−6](注意:水素の発生)が滴下され、混合物はさらに15分間撹拌される。そして、n−ヘキサン中の42.0ml(105mmol)のn−BuLi、2.5Mが滴下され、混合物はさらに15分間撹拌される。そして、0℃に冷却された、25mlのTHF中の25.0g(100mmol)の2−ブロモベンジルブロミド[3433−80−5]の溶液が、非常によく撹拌しながら、一度に加えられる。混合物はさらに10分間撹拌され、氷浴が除去され、そして混合物は30分にわたり15℃に温められ、110mlの2NのHCl水溶液の滴下によって加水分解される。水相は除去され、それぞれ200mlの酢酸エチルで3回抽出される。合わされた有機相は、それぞれ300mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄され、硫化マグネシウムで乾燥される。溶媒が減圧下で除去された後、油分の残留物は、自動カラムシステムでクロマトグラフに付される(A.SemrauのCombiFlash Torrent)。収率:12.4g(46mmol)、46%。純度:約97%H NMRによる。
同様の方法で、以下の化合物を調製することができる:
Figure 2020529979
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Figure 2020529979
Figure 2020529979
例S50:
Figure 2020529979
26.9g(100mmol)の2−(3−クロロ−5−メトキシフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン[929626−16−4]、31.0g(100mmol)の2−(2’−ブロモ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)ピリジン[1374202−35−3]、21.2g(200mmol)の炭酸ナトリウム、788mg(3mmol)のトリフェニルホスフィン、225mg(1mmol)の酢酸パラジウム(II)、300mlのトルエン、100mlのエタノールおよび300mlの水の混合物が、還流下で48時間加熱される。冷却後、混合物が、300mlのトルエンで希釈され、有機相が除去され、500mlの水で1回、500mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥される。溶液が除去された後、残留物はシリカゲル上でクロマトグラフに付される(n−ヘプタン/酢酸エチル、2:1v/v)。収率:28.4g(76mmol)、76%。純度:約97%H NMRによる。
同様の方法で、以下の化合物を調製することができる:
Figure 2020529979
Figure 2020529979
例S100:
Figure 2020529979
37.2g(100mmol)のS50、31.0g(100mmol)の5−(2−ブロモフェニル)−2−フェニルピリジン[1989597−29−6]、21.2g(200mmol)の炭酸ナトリウム、1.23g(3mmol)のSPhos、449mg(2mmol)の酢酸パラジウム(II)、300mlのトルエン、100mlのエタノールおよび300mlの水の混合物が、還流下で16時間加熱される。冷却後、混合物は、300mlのトルエンで希釈され、有機相は除去され、500mlの水で1回、500mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥される。溶媒が除去された後、残留物はシリカゲル上でクロマトグラフに付される(n−ヘプタン/酢酸エチル、2:1 v/v)。収率:40.3g(71mmol)、71%。純度:約97%H NMRによる。
同様の方法で、以下の化合物を調製することができる:
Figure 2020529979
Figure 2020529979
例S200:
Figure 2020529979
55.6g(100mmol)のS100および115.6g(1mol)の塩酸ピリジニウム[628−13−7]の混合物が水分離器上で3時間200℃に加熱され、蒸留物は時々廃棄される。冷却後、1000mlの氷水が反応混合物に加えられ、生成物を再結晶化する。混合物は一晩冷蔵庫に放置され、結晶は吸引ろ過され、わずかな氷水で洗浄され、減圧下で乾燥される。収率:55.0g(87mmol)、87%;純度:約97%H NMRによる。
同様の方法で、以下の化合物を調製することができる:
Figure 2020529979
Figure 2020529979
例S300:
Figure 2020529979
34ml(200mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸無水物[358−23−6]が、よく撹拌されながら、0℃に冷却された、500mlのジクロロメタンおよび100mlのピリジン混合物中の55.6g(100mmol)のS200の溶液に加えられる。反応混合物は、室温に戻され、さらに16時間撹拌され、撹拌しながら1000mlの氷水上に注がれ、さらに10分間撹拌され、有機相は除去され、水相はそれぞれ300mlのジクロロメタンで3回抽出される。集められた有機相は、それぞれ300mlの氷水で2回、500mlの飽和NaCl溶液で1回洗浄され、硫酸ナトリウムで乾燥される。減圧下でジクロロメタンの除去後に得られたワックスは、アセトニトリルから再結晶化される。収率:60.5g(88mmol)、88%;純度:約95%H NMRによる。
同様の方法で、以下の化合物を調製することができる:
Figure 2020529979
Figure 2020529979
例S400:
Figure 2020529979
500mlのジオキサン中の68.5g(100mmol)のS300および二塩化ビス(ジフェニルホスフィノ)パラジウム(II)xDCMの溶液に、よく撹拌しながら、
41.8ml(300mmol)トリエチルアミンが加えられ、そして、29.0ml(200mmol)の4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]−ジオキサボロランが滴下され、そして、混合物は還流下で16時間加熱される。冷却後、混合物は減圧下で濃縮乾燥され、油分は、500mlの酢酸エチルに採取され、それぞれ300mlの水で3回、300mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄され、そして、硫酸マグネシウムで乾燥され、乾燥剤は酢酸エチルスラリー中のシリカゲル床を用いて取り除かれる。溶媒は減圧下で除去され、残留物は少量の酢酸エチルを加えてアセトニトリルから2回再結晶化される。収率:49.7g(75mmol)、75%;純度:約95%H NMRによる。
同様の方法で、以下の化合物を調製することができる:
Figure 2020529979
Figure 2020529979
B:配位子Lの合成:
例L1:
Figure 2020529979
66.3g(100mmol)の2,2’−[5’’−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−[1,1’:2’,1’’:3’’,1’’’:2’’’,1’’’’−キンキフェニル]−4,4’’’’−ジイル]ビスピリジン[1989597−72−9]、29.6g(110mmol)のS1、31.8g(300mmol)の炭酸ナトリウム、1.23g(3mmol)のSPhos、449mg(2mmol)の酢酸パラジウム(II)、300mlのトルエン、100mlのエタノールおよび300mlの水の混合物が、還流下で18時間加熱される。冷却後、酢酸はpH6〜7に調整され、有機相は除去され、水相はそれぞれ100mlのトルエンで3回抽出され、集められた有機相は300mlの水で1回、500mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄され、硫酸ナトリウムで乾燥される。溶媒が除去された後、残留物はクロマトグラフに付される(A.SemrauのCombiFlash Torrent)。収率:50.0g(69mmol)、69%;純度:約97%H NMRによる。
同様の方法で、以下の化合物を調製することができる:
Figure 2020529979
例L100:
Figure 2020529979
2,2’−[5’’−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−[1,1’:2’,1’’:3’’,1’’’:2’’’,1’’’’−キンキフェニル]−4,4’’’’−ジイル]ビスピリジン[1989597−72−9]の代わりに、3,3’−[5’−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−[1,1’:3’,’’−ターフェニル]−2,2’’−ジイル]ビス[6−フェニルピリジン][1989597−70−7]が使用されること以外は、例L1と同様の手順。収率:53.2g(73mmol)、73%;純度:約97%H NMRによる。
同様の方法で、以下の化合物を調製することができる:
Figure 2020529979
Figure 2020529979
例L200:
Figure 2020529979
2,2’−[5’’−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−[1,1’:2’,1’’:3’’,1’’’:2’’’,1’’’’−キンキフェニル]−4,4’’’’−ジイル]ビスピリジン[1989597−72−9]の代わりに、S400が使用されること以外は、例L1と同様の手順。収率:53.0g(72mmol)、72%;純度:約97%H NMRによる。
同様の方法で、以下の化合物を調製することができる:
Figure 2020529979
Figure 2020529979
Figure 2020529979
Figure 2020529979
C:金属錯体の合成−パート1:
例Ir(L1):
Figure 2020529979
変形A:
7.25g(10mmol)の配位子L1、4.90g(10mmol)のトリスアセチルアセトナトイリジウム(III)[15635−87−7]および120gのヒドロキノン[123−31−9]の混合物が、初めに、ガラス被覆されたマグネチックバーを備えた1000mlの2口丸底フラスコに導入される。フラスコは水分離器(水よりも低密度媒体用)およびアルゴンブランケットの空気冷却器を備える。フラスコは金属熱浴上に置かれる。装置は、アルゴンブランケットシステムを上から15分間アルゴンでパージされ、アルゴンを2口フラスコの横側から流れさせる。2口フラスコの横側を通して、ガラス被覆されたPt−100熱電対がフラスコに導入され、端がマグネチックスターラーバーのちょうど上に位置する。そして、装置は、家庭用のアルミホイルのいくつか緩く巻いたものによって断熱され、断熱は水分離器の上昇管の中心に達する。そして、装置はラボの撹拌加熱システムによる急速に250〜255℃(溶融された撹拌反応混合物につけられたPt−100サーマルセンサーで計測される)に加熱される。さらに1.5時間にわたり、反応混合物は250〜255℃に保たれ、その間に、少量の凝縮物が蒸留して取り除かれ、水分離器に集められる。1時間後、混合物は、190℃に冷却され、加熱マントルは除去され、そして100mlのエチレングリコールが滴下される。100℃に冷却後、400mlのメタノールがゆっくりと滴下される。このように得られたベージュ色の懸濁液は、両頭フリットを通してろ過され、ベージュ色の固体は50mlのメタノールで3回洗浄され、減圧下で乾燥される。粗収量:定量的。このように得られた固体は200mlのジクロロメタンに溶解され、暗中空気を排除して、約1kgのジクロロメタンスラリー中のシリカゲル(カラム直径約18cm)を通してろ過され、当初の暗色成分を残す。コア留分が除去され、結晶化までMeOHを同時に継続的に滴下しながら、ロータリーエバポレーターで濃縮される。吸引により除去され、わずかなMeOHで洗浄され、減圧下で乾燥された後、オレンジ色の生成物は、慎重に空気と光を排除しながら、連続的にジクロロメタン/アセトニトリル1:1(v/v)で5回熱抽出されることによりさらに精製される(それぞれのケースにおいて最初に投入される量は約200ml、抽出円筒ろ紙:Whatman社のセルロース製の標準ソックスレー円筒ろ紙)。母液の損失は、ジクロロメタン(低沸点、溶解性良好):アセトニトリル(高沸点、低溶解性)の比によって調整されうる。典型的には、使用される重量の3〜6%である。熱抽出は、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のその他の溶媒を用いて行われうる。最後に、生成物は高真空下で390℃で昇華される。収率:5.95g(6.1mmol)、61%。純度:>99.9%HPLCによる。
変形B:
120gのヒドロキノンの代わりに300mlのエチレングリコールが使用され、混合物が190℃で16時間撹拌されること以外は、Ir(L1)変形Aと同様の手順。70℃に冷却後、混合物は300mlのエタノールで希釈され、固体は吸引ろ過され(P3)、それぞれ100mlのエタノールで3回洗浄され、減圧下で乾燥される。さらなる精製は変形Aに記載と同様である。収率:6.35g(6.5mmol)、65%;純度:>99.9%HPLCによる。
変形C:
4.90g(10mmol)のトリアセチルアセトナトイリジウム(III)[15635−87−7]の代わりに、3.53g(10mmol)の塩化イリジウム(III)xnHO(n約3)が、120gのヒドロキノンの代わりに、300mlの2−エトキシエタノール/水(3:1、vv)が使用され。混合物が還流下で30時間撹拌されること以外は、Ir(L1)変形Bと同様の手順。冷却後、固体は吸引ろ過され(P3)、それぞれ30mlのエタノールで3回洗浄され、減圧下で乾燥される。さらなる精製は変形Bと同様である。収率:4.67g(5.1mmol)、51%;純度:>99.9%HPLCによる。
金属錯体は通常は、ΛおよびΔ異性体/エナンチオマーの1:1混合物として得られる。これ以降に挙げられる錯体の画像は通常は、ただ1つの異性体を示している。3つの異なる副配位子を有する配位子が使用される場合、またはキラル配位子がラセミ体として使用される場合、誘導される金属錯体はジアステレオマー混合物として得られる。これらは、分別結晶またはクロマトグラフィー(例えば、自動カラムシステム(A.SemrauのCombiFlash))手段によって分離することができる。キラル配位子が、鏡像異性的に純粋な形で使用される場合、誘導される金属錯体は、ジアステレオマー混合物として得られ、分別結晶またはクロマトグラフィーによるそれらの分離により、純粋な鏡像異性体が得られる。分離されたジアステレオマーまたはエナンチオマーは、上記に記載(例えば、熱抽出)のように、さらに精製されうる。
以降、ジアステレオマー1は、溶離液として酢酸エチルを用いる薄膜クロマトグラフィプレート(MerckによるTLCシリカゲル60F254)で、より大きいRfを示すジアステレオマーであり;ジアステレオマー2は、より小さいRfを示すジアステレオマーである。
同様の方法で、以下の化合物を調製することができる:
Figure 2020529979
Figure 2020529979
Figure 2020529979
Figure 2020529979
*異なる場合
昇華温度および速度:
3つのフェニルピリジンのような副配位子を有する三脚型錯体と比較すると、本発明の化合物は、以下の表に示されるように、より低い温度で、規定の昇華温度においてより高い昇華速度(g/h)で、昇華する。求められる温度と昇華速度は、常に、求められる圧力および特定の昇華装置の構造に依存する。温度および昇華速度は、それぞれのケースにおいて、同じ装置で、約10−5mbarの基本圧力で決定される。
Figure 2020529979
例:OLEDの製造
1)真空処理された素子:
本発明によるOLEDおよび従来技術によるOLEDを、ここに記載する状況(層厚範囲、使用材料)に適応する、WO2004/058911に記載の一般的方法によって製造する。
以下の例において、さまざまなOLEDの結果が示される。洗浄された被覆ガラス板が使用され(Miele laboratoryのガラス洗浄機での洗浄、MerckのExtran洗剤)、膜厚50nm構造化ITO(酸化インジウムスズ)で被覆され、かつ25分間のUVオゾンで前処理される(UVPのPR−100UVオゾン発生機)。引き続き、それらは30分以内に、プロセスの改善のために、20nmのPEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)、これはHeraeus Precious Metals GmbH(ドイツ)からCLEVIOS(商標名)P VP AI 4083として購入され、水溶液からスピンコートされる)で被覆され、そして180℃で10分間ベークされる。これらの被覆されたガラス板はOLEDが適用される基板を形成する。OLEDは、基本的に以下の層構造を有する:基板/5%NDP−9(Novaled社から市販されている)でドープされたHTMからなる正孔輸送層1(HTL1)、20nm/正孔輸送層2(HTL2)/任意の電子遮断層(EBL)/発光層(Eml)/任意の正孔遮断層(HBL)/電子輸送層(ETL)/任意の電子注入層(EIL)/および最後にカソード。カソードは、100nmの厚さのアルミニウム層によって形成される。
最初に、真空処理されたOLEDについて記載する。この目的では、すべての材料は、真空チャンバにおける熱蒸着によって適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも1つのマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸着によって特定の体積比でマトリックス材料に混合される発光ドーパント(発光体)とからなる。ここで、M1:M2:Ir(L2)(55%:35%:10%)のような形で示される詳細は、材料M1が55%の体積比でその層に存在し、M2が35%の割合でその層に存在し、Ir(L1)が10%の体積割合でその層に存在することを意味する。同様に、電子輸送層も2つの材料の混合物からなっていてもよい。OLEDの正確な構造は表2に見ることができる。OLEDの製造に使用される材料は表4に示されている。
OLEDは、標準的な方法で、特徴づけられる。この目的にために、エレクトロルミネッセンススペクトル、電流効率(cd/Aで測定)、電力効率(lm/Wで測定)およびランベルト発光特性を仮定して、電流/電圧/光束密度特性線(IUL特性線)から計算した、光束密度の関数としての外部量子効率(EQE、パーセントで測定)並びに寿命が測定される。エレクトロルミネッセンススペクトルは、光束密度1000cd/mで測定され、CIE1931xおよびy色座標はそれから計算される。寿命LT80は、一定電流40mA/cmでの稼働時に、輝度が初期の輝度の80%に落ちるまでの時間として定義される。
燐光OLEDにおける発光材料としての本発明の化合物の使用
本発明の化合物の1つの使用は、OLEDにおける発光層中の燐光発光材料としてである。表4のイリジウム化合物は、従来技術の比較として使用される。OLEDの結果は表2にまとめられる。
表1:OLEDの構造
Figure 2020529979
表2:真空処理されたOLEDの結果
Figure 2020529979
溶液処理された素子:
低分子量の可溶性の機能性材料から
本発明の化合物は、溶液から処理することもでき、この場合、良好な特性を有しながら、真空処理したOLEDと比較して処理技術の点で非常に単純なOLEDをもたらす。このような成分の製造は、既に文献(例えばWO2004/037887)に幾度も記載されているポリマー発光ダイオード(PLED)の製造に基づくものである。その構造は、基板/ITO/正孔注入層(60nm)/中間層(20nm)/発光層(60nm)/正孔ブロック層(10nm)/電子輸送層(40nm)/カソードで構成される。この目的のために、Technoprint社製の基板(ソーダ石灰ガラス)を使用し、それにはITO構造(酸化インジウムスズ、透明導電性アノード)が適用される。基板は、クリーンルーム内でDI水と洗剤(デコネックス15PF)を用いて洗浄され、次いでUV/オゾンプラズマ処理により活性化させる。その後、同じくクリーンルーム内で、20nmの正孔注入層を、スピンコートにより塗布する。必要なスピン速度は、希釈度と特定のスピンコーターの形状に依存する。層から残留水を除去するために、基板をホットプレート上で200℃で30分間焼成する。使用される中間層は、正孔輸送のために機能する。この場合、Merck社製のHL−X092が使用される。中間層は、引き続いての、溶液からのEml堆積の処理工程によって再び脱離しないという条件を満たすだけでよい、1つ以上の層で置き替えることができる。発光層の製造のため、本発明の三重項発光体をマトリックス材料とともにトルエンまたはクロロベンゼンに溶解させる。ここで、素子に対する典型的層厚である60nmがスピンコーティングによって達成される場合、その溶液の典型的な固体含有量は16〜25g/Lである。溶液処理されたタイプ1の素子は、M3:M4:IrL(20%:60%:20%)で構成される発光層を含み、タイプ2はM3:M4:IrLa:IrLb(30%:34%:30%:6%)で構成される発光層を含む。つまり、それらは2つの異なるイリジウム錯体を含む。発光層は、不活性ガス雰囲気中、本発明の場合にはアルゴン中で、スピンコートによって適用され、160℃で10分間加熱される。後者の上に正孔ブロック層(10nmETM1)および電子輸送層(40nmETM1(50%)/ETM2(50%))が蒸着される(Lesker製の蒸着装置等、典型的な蒸着圧力は5×10−6mbar)。最後に、アルミニウム(100nm)のカソードが蒸着によって適用される(高純度金属はAldrich製)。空気および大気の湿気から素子を保護するために、素子を最後に被包し、次にその特徴を決定する。OLEDの例はまだ最適化されていないが、表3に得られた結果をまとめる。
表3:溶液から処理された材料の結果
Figure 2020529979
表4:使用される材料の構造式
Figure 2020529979
Figure 2020529979

Claims (15)

  1. 式(1)の化合物。
    Figure 2020529979
    (ここで、使用される記号は以下である:
    は、式(2)の副配位子であって、2つのZ基を介してイリジウムに配位し、点線の結合を介してVに結合され、
    Figure 2020529979
    Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、CR、O、SまたはNRであり、ここで、少なくとも1つのA基はCRであり;
    Zは、出現毎に同一であるかまたは異なり、O、SまたはNRであり;
    は、1つの炭素原子および1つの窒素原子を介して、または2つの炭素原子を介して、イリジウムに配位する二座モノアニオン性副配位子であり;
    は、1つの炭素原子および1つの窒素原子を介して、または2つの炭素原子を介して、イリジウムに配位する二座モノアニオン性副配位子、またはLと同一であっても異なっていてもよい式(2)の副配位子であり;
    Vは、式(3)の基であり、ここで、点線は、それぞれ、副配位子L、LおよびLの結合を示し、
    Figure 2020529979
    は、出現毎に同一であるかまたは異なり、CRまたはNであり;
    は、出現毎に同一であるかまたは異なり、CRまたはNであるか、または2つの隣接するX基が共にNR、OまたはSであり、よって5員環を形成しているか;または、環中のX基のうちの1つがNである場合に2つの隣接するX基が共にCRまたはNであり、よって、5員環を形成しており;ただし、それぞれの環において、2以下の隣接するX基がNであり;
    は、1つの環中で、出現ごとにCであるか、または1つのX基がNであり、同一の環中で他のX基がCであり、ここで、3つの環中のX基は、独立に選択されていてもよく、ただし、環中のX基のうちの1つがNである場合に、2つの隣接するX基は共にCRまたはNであり;
    Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、OR、SR、CN、NO、COOH、C(=O)N(R、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜20の炭素原子を有する直鎖のアルキル基または2〜20の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基または3〜20の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル基(ここで、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、それぞれのケースにおいて、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、かつ、ここで、1以上の隣接しないCH基が、Si(R、C=O、NR、O、SまたはCONRによって置き換えられていてもよい)、または5〜40の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり;同時に、2つのRラジカルが共に環系を形成していてもよく;
    は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、OR、SR、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜20の炭素原子を有する直鎖のアルキル基または2〜20の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基または3〜20の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル基(ここで、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、それぞれのケースにおいて、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、かつ、ここで、1以上の隣接しないCH基が、Si(R、C=O、NR、O、SまたはCONRによって置き換えられていてもよい)、または5〜40の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり;同時に、2以上のRラジカルが共に環系を形成していてもよく;
    は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、または1〜20の炭素原子を有する、脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族有機ラジカル、特にヒドロカルビルラジカル(これは、1以上の水素原子がFによって置き換えられていてもよい)であり;
    同時に、3つの二座配位子L、LおよびLが、ブリッジVとは別に、さらなるブリッジによって閉じられ、クリプテートを形成していてもよい)
  2. Vが式(4a)〜(7a)から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
    Figure 2020529979
    (ここで、記号は、請求項1に記載の意味を有する)
  3. Vが、式(4b’)、(4c)または(5c)の構造を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
    Figure 2020529979
    (式中、記号は、請求項1に記載の意味を有する)
  4. 副配位子L中の両方のA基がCRであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
  5. 副配位子L中の両方のZ基がOであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. が式(2c)の構造を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
    Figure 2020529979
    (ここで、点線の結合はVへの結合を示し、Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、OR、1〜10の炭素原子を有する直鎖のアルキル基または3〜10の炭素原子を有し、それぞれのケースにおいて、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、分岐もしくは環状の、アルキル基、または5〜24の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系からなる群から選択され、かつRは、請求項1に記載の意味を有する)
  7. 2つの副配位子LおよびLが、それぞれ、配位原子として、1つの炭素原子および1つの窒素原子を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
  8. 副配位子LおよびLが、出現毎に同一であるかまたは異なり、式(L−1)または(L−2)の構造であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
    Figure 2020529979
    (ここで、点線の結合は、副配位子のVへの結合であり、他の記号は、以下である:
    CyCは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5〜14の芳香族環原子を有する、置換もしくは非置換の、アリールまたはヘテロアリール基であり、それぞれのケースにおいて、炭素原子を介して金属に配位し、かつ共有結合を介してCyDに結合し;
    CyDは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5〜14の芳香族環原子を有する、置換もしくは非置換の、ヘテロアリール基であり、窒素原子を介して、またはカルベン炭素原子を介して、金属に配位し、かつ共有結合を介してCyCに結合し;
    同時に、2以上の任意の置換基がともに環系を形成していてもよい)
  9. 副配位子LおよびLのうちの1つが式(L−1)の構造を有し、かつ他の副配位子LおよびLが式(L−2)の構造を有することを特徴とする、請求項8に記載の化合物。
  10. CyCが式(CyC−1)〜(CyC−19)の構造から選択さること(ここで、CyC基は、それぞれのケースにおいて、♯で特定される位置でCyDに、かつ*で特定される位置でイリジウムに結合される)、およびCyD基が式(CyD−1)〜(CyD−12)の構造から選択されること(ここで、CyD基は、それぞれのケースにおいて、♯で特定される位置でCyCに、かつ*で特定される位置でイリジウムに結合される)を特徴とする、請求項8または9に記載の化合物。
    Figure 2020529979
    Figure 2020529979
    (ここで、Rは請求項1に記載の意味を有し、他の記号は以下である:
    Xは、出現毎に同一であるかまたは異なり、CRまたはNであり、ただし、環あたり2以下の記号XがNであり;
    Wは、出現毎に同一であるかまたは異なり、NR、OまたはSであり;
    ただし、ブリッジVがCyCに結合される場合に、対応するCyC基中の1つの記号XがCであり、かつブリッジVがこの炭素原子に結合され、ブリッジVがCyDに結合される場合に、対応するCyD基中の1つの記号XがCであり、かつブリッジVはこの炭素原子に結合され;このケースにおいて、ブリッジVへの結合は「o」と印された位置を介する)
  11. 遊離配位子と、式(52)のイリジウムアルコキシド、式(53)のイリジウムケトケトネート、式(54)のイリジウムハライド、または式(55)のイリジウムカルボキシレートとを反応させることによる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法。
    Figure 2020529979
    (ここで、Rは請求項1に記載の意味を有し、Hal=F、Cl、BrまたはIであり、かつ式(52)〜(55)のイリジウム反応物は水和物の形であってもよい)
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、および少なくとも1つのさらなる化合物(ここで、さらなる化合物は、好ましくは、マトリックス材料および/または溶剤から選択される)を含んでなる配合物。
  13. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物の、電子素子における、または酸素増感剤として、または光開始剤として、または光触媒としての、使用。
  14. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を含んでなる電子素子であって、前記電子素子が、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機太陽電池、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子、発光電子化学電池、赤外線センサー、酸素センサー、および有機レーザーダイオードからなる群から選択される、電子素子。
  15. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物が、1以上の発光層に使用されることを特徴とする、請求項14に記載の、有機エレクトロルミネッセンス素子である、電子素子。
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