JP2019154182A - 電気接続箱 - Google Patents

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Abstract

【課題】下側の電気部品ブロックへの電気部品の組み付け作業性を、既存の構造に影響を与えることなく簡素な構造によって改善できると共に、上側の電気部品ブロックから延び出す電線と下側の電気部品ブロックの電気部品との干渉を有利に防止できる、新規な構造の電気接続箱を提供すること。【解決手段】上側の電気部品ブロック39aの下面44から引き出される電線48が、電線48の長さ方向で伸縮可能な伸縮チューブ74内に余長を持って収容され、伸縮チューブ74の伸長状態では、伸縮チューブ74内で電線48の余長が伸ばされることで、上側の電気部品ブロック39aを下側の電気部品ブロック39bの上面40から離隔できると共に、伸縮チューブ74の収縮状態では、伸縮チューブ74内で電線48が蛇行して余長が吸収された状態で、収縮チューブ74が上側の電気部品ブロック39aと下側の電気部品ブロック39bの間に収容配置されるようにした。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車のエンジンルーム等に搭載される電気接続箱に関するものである。
従来から、自動車のエンジンルーム等に搭載される電気接続箱の箱本体には、リレーやヒューズ等の各種の電気部品が収容されており、電源の効率的な分配等を行っている。特に、近年では、電装品の増加や車両のコンパクト化の要求に伴い、特許第5800628号公報(特許文献1)に記載の如き、電気接続箱の箱本体にリレーブロックなどの電気部品ブロックを上下2段に取り付けたものが提案されている。これにより、電気接続箱のスペース効率の向上を図ることができ、より多くの電気部品を箱本体に収容保持することが可能となる。
ところで、このように電気部品ブロックが上下2段に取り付けられた構造では、下側の電気部品ブロックに対して電気部品を装着する際に、上側の電気部品ブロックや上側の電気部品ブロックの下面から延び出す電線が邪魔になり、組み付け作業性が良くないという問題があった。このため、特許文献1には、上側の電気部品ブロックの下面から延び出す電線の端末にコネクタを設け、かかるコネクタを下側の電気部品ブロックに設けられたコネクタ接続部に接続する構造が提案されている。これにより、下側の電気部品ブロックに電気部品を装着する際に、上側の電気部品ブロックを別の場所に離隔しておくことができ、組み付け作業性の向上を図ることができるのである。
しかしながら、特許文献1に記載の構造では、下側の電気部品ブロックにコネクタ装着部を設ける必要があり、下側の電気部品ブロックの電気部品装着スペースがコネクタ装着部を設ける分削減されるか、或いはコネクタ装着部を設ける分、電気部品ブロック自体が大型化されるという問題があった。加えて、上側の電気部品ブロックの下面から延び出す電線に別途コネクタを設ける必要が生じるため、コスト高となることが避けられず、電線の種類によっては多数のコネクタに分けて装着する必要が生じる。その場合には、上側の電気部品ブロックから延び出す複数のコネクタを、下側の電気部品ブロックに設けた複数のコネクタ接続部にそれぞれ装着する必要があり、かえって組み付け作業性を悪化させるおそれもあった。
加えて、上側の電気部品ブロックから延び出す電線が下側の電気部品ブロックの上面に取り付けられたリレーやヒューズ等の電気部品に干渉したり、上下2段の電気部品ブロックの間に噛み込まれる等の問題が生じるおそれもあった。
特許第5800628号公報
本発明は、上述の如き事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、複数の電気部品ブロックが、箱本体に上下方向に多段に装着されている電気接続箱において、下側の電気部品ブロックへの電気部品の組み付け作業性を、既存の上下側の電気部品ブロック自体の構造に影響を与えることなく簡素な構造によって改善することができると共に、上側の電気部品ブロックから延び出す電線と下側の電気部品ブロックに装着された電気部品との干渉を有利に防止することができる、新規な構造の電気接続箱を提供することにある。
本発明の第一の態様は、箱本体と、該箱本体に設けられて該箱本体の上方に開口して該箱本体の上下方向に延出する電気部品ブロック装着部と、上面に開口形成された部品装着部に電気部品が装着されており該電気部品ブロック装着部に対して前記上下方向で多段に装着された複数の電気部品ブロックと、を備える電気接続箱において、上側の前記電気部品ブロックの下面から延び出す電線が、該電線の長さ方向で伸縮可能な伸縮チューブ内に余長を持って収容されており、前記伸縮チューブの伸長状態では、前記伸縮チューブ内で前記電線の余長が伸ばされることにより、上側の前記電気部品ブロックを下側の前記電気部品ブロックの上面から離隔させることができると共に、前記伸縮チューブの収縮状態では、前記伸縮チューブ内で前記電線が蛇行して前記余長が吸収された状態で保持されて、前記収縮チューブが上側の前記電気部品ブロックと下側の前記電気部品ブロックの間に収容配置されるようになっていることを特徴とする。
本態様によれば、上側の電気部品ブロックの下面から引き出される電線が、電線の長さ方向で伸縮可能な伸縮チューブ内に余長をもって収容されていることから、伸縮チューブの伸長状態では、伸縮チューブ内でかかる余長が伸ばされることにより、かかる余長の分、上側の電気部品ブロックを下側の電気部品ブロックの上面から離隔させることができる。これにより、下側の電気部品ブロックの上面へのアクセスが容易となり電気部品の組み付け作業性の向上を図ることができる。また、伸縮チューブの収縮状態では、伸縮チューブ内で電線が蛇行することにより、余長が吸収された状態で電線が伸縮チューブ内に収容保持される。これにより、上側の電気部品ブロックと下側の電気部品ブロックの間に余長を持った電線をコンパクトに収容することができ、電線が、下側の電気部品ブロックの上面に装着された電気部品に干渉したり、上下2段の電気部品ブロックの間に噛み込まれる等の問題の発生も未然に防止されている。したがって、上側の電気部品ブロックから引き出される電線に余長を持たせ、かかる電線を伸縮チューブに収容するという簡素な構造により、電気部品ブロックの構造自体に影響を与えることなく、上下多段に組み付けられた電気部品ブロックの組み付け作業性の向上と電線の干渉防止を両立して達成することができるのである。したがって、特許文献1の構造に比して、高い設計自由度や汎用性をもって、上下多段に組み付けられた電気部品ブロックを備えた電気接続箱における課題を解決し得たのである。
なお、伸縮チューブは電線の長さ方向に伸縮可能なものであれば何れも採用可能であり、合成樹脂製の蛇腹状筒体や、エラストマー等の弾性部材からなる筒体等によって構成することができる。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記伸縮チューブが、径寸法が一定で軸方向で伸縮可能な蛇腹構造の伸縮部を含んでいるものである。
本態様によれば、伸縮チューブが径寸法が一定で軸方向で伸縮可能な蛇腹構造の伸縮部を含んでおり、伸縮チューブの伸縮により伸縮チューブの径寸法が変化しないことから、収縮状態の伸縮チューブが拡径して大径化することが避けられ、上下の電気部品ブロック間にコンパクトに収容保持することができ、上下の電気部品ブロック間の隙間寸法を小さくすることが可能となって、電気接続箱の小型化にも寄与することができる。
本発明の第三の態様は、前記第一または第二の態様に記載のものにおいて、上側の前記電気部品ブロックを、下側の前記電気部品ブロックの前記上面から離隔した位置に仮保持するための仮保持用突起が前記箱本体に設けられている一方、該仮保持用突起と係合する係合部が上側の前記電気部品ブロックに設けられているものである。
本態様によれば、かかる仮保持用突起と係合部により上側の電気部品ブロックを下側の前記電気部品ブロックの前記上面から離隔した位置に仮保持できることから、下側の電気部品ブロックに対する電気部品の装着作業をより一層容易にできる。
なお、仮保持用突起は、専用の突起を電気接続箱に突設して設けてもよいし、既存の壁部や突起等を利用して部品の追加なく設けてもよい。
本発明の第四の態様は、前記第三の態様に記載のものにおいて、前記電気部品ブロック装着部が、前記箱本体の周壁と、該周壁から前記箱本体内方に向かって相互に離隔してかつ平行に突出する一対の側壁と、前記一対の側壁の突出端縁部を連結する奥壁によって画成されており、前記仮保持用突起が、前記奥壁よりも前記箱本体の内方に位置して突設されている一方、前記奥壁に開口形成された電線挿通孔を挿通して、上側の前記電気部品ブロックの前記下面から延び出す前記電線が前記箱本体の内部に延び出しているものである。
本態様によれば、箱本体の周壁と、そこから箱本体内方に相互に離隔してかつ平行に突出する一対の側壁と、一対の側壁の突出端縁部を連結する奥壁によって、電気部品ブロック装着部が画成されており、上側の電気部品ブロックの下面から延び出す電線は、奥壁に開口形成された電線挿通孔を通じて箱本体の内部に延び出すようになっている。これにより、上側の電気部品ブロックの下面から延出する電線を、電気部品ブロック装着部の奥壁部分に集約して延出させることができ、電線の延出経路を規制して、下側の電気部品ブロックに装着される電気部品等と電線との干渉や、上下の電気部品ブロック間での電線の噛み込みのリスクを最小限に抑えることができる。
しかも、仮保持用突起が電線挿通孔が設けられた奥壁よりもさらに電気部品ブロック装着部から離隔する箱本体の内方に位置して突設されていることから、電線が下側の電気部品ブロックへの電気部品の装着作業に悪影響を及ぼすことが可及的に減少されている。
本発明の第五の態様は、前記第四の態様に記載のものにおいて、前記電気部品ブロック装着部を画成する前記箱本体の周壁には、前記一対の側壁間に亘って広がりかつ下側の前記電気部品ブロックの前記上面にまで至る深さで切り欠かれた切欠部が設けられており、該切欠部が着脱自在な蓋体によって覆蓋されるようになっているものである。
本態様によれば、電気部品ブロック装着部を画成する箱本体の周壁に、一対の側壁間に亘って広がりかつ下側の電気部品ブロックの上面にまで至る深さで切り欠かれた切欠部が設けられており、さらに切欠部が着脱自在な蓋体によって蓋覆されるようになっている。これにより、下側の電気部品ブロックの部品装着部に電気部品を装着する際には、蓋体を外して切欠部を露呈させることにより下側の電気部品ブロックの部品装着部へのアクセスが、上方のみならず側方から可能となり、下側の電気部品ブロックへの電気部品の組付性のさらなる向上を図ることができる。
本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記電気部品ブロック装着部と上側の前記電気部品ブロックとの間に、前記上下方向に延びるスライド連結機構が設けられており、該スライド連結機構により上側の前記電気部品ブロックが前記電気部品ブロック装着部に上方からスライド装着されるようになっているものである。
本態様によれば、スライド連結機構により上側の前記電気部品ブロックが前記電気部品ブロック装着部に上方からスライド装着されるようになっている。それゆえ、下側の電気部品ブロックに対する電気部品の組み付け作業が終了した後、速やかかつ簡便に上側の電気部品ブロックを電気部品ブロック装着部に装着することができる。しかも、上側の電気部品ブロックを電気部品ブロック装着部から取り外す際には、上側の電気部品ブロックを上方に引き出すだけでよいことから、下側の電気部品ブロックに装着された電気部品のメンテナンスや交換作業を容易に行うことができる。
本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れか1つの態様に記載のものにおいて、上側の前記電気部品ブロックは、下側の前記電気部品ブロックの前記上面に開口形成された前記部品装着部に前記上下方向で重ならない位置まで離隔可能であるものである。
本態様によれば、電線の余長が、上側の電気部品ブロックを下側の電気部品ブロックの上面における部品装着部に上下方向で重ならない位置まで離隔可能なように設定されていることから、下側の電気部品ブロックの部品装着部への電気部品の組み付け作業が一層確実に容易となり、作業性の向上を確実に図ることができる。
本発明によれば、上側の電気部品ブロックの下面から引き出される電線が、電線の長さ方向で伸縮可能な伸縮チューブ内に余長をもって収容されていることから、伸縮チューブの伸長状態では、かかる余長の分だけ上側の電気部品ブロックを下側の電気部品ブロックの上面から離隔できる。これにより、下側の電気部品ブロックの上面へのアクセスが容易となり電気部品の組み付け作業性の向上を図ることができる。また、伸縮チューブの収縮状態では、余長が吸収された状態で電線が伸縮チューブ内に収容保持される。これにより、上側の電気部品ブロックと下側の電気部品ブロックの間に余長を持った電線をコンパクトに収容することができ、電線が、下側の電気部品ブロックの上面に装着された電気部品に干渉したり、上下2段の電気部品ブロックの間に噛み込まれる等の問題の発生も未然に防止されている。かかる簡素な構造により、電気部品ブロックの構造自体に影響を与えることなく、上下多段に組み付けられた電気部品ブロックの組み付け作業性の向上と電線の干渉防止を両立して達成できる。それゆえ、従来構造に比して、高い設計自由度や汎用性をもって上下多段に組み付けられた電気部品ブロックを備えた電気接続箱の課題を解決し得た。
本発明の一実施形態としての電気接続箱を示す斜視図(上側の電気部品ブロック装着前)。 図1に示す電気接続箱を奥方斜め下方から見た際の斜視図。 図1に示す電気接続箱から上側の電気部品ブロックを取り外した状態の斜視図。 図1に示す電気接続箱に上側の電気部品ブロックとアッパケースを組み付けた状態の正面図。 図4におけるV−V断面拡大図。 図4に示す電気接続箱の平面図。 図6におけるVII−VII断面拡大図。 図1に示す伸縮チューブの平面図((a)伸長時、(b)収縮時)。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜7に、本発明の一実施形態としての電気接続箱10が示されている。電気接続箱10は、図1に示されているように、箱本体12と、箱本体12の上面14を覆蓋するアッパケース16(図4,6参照)と、箱本体12の下面18(図7参照)を覆蓋するロアケース20、とを含んで構成されている。なお、以下の説明において、上方とは、図1,3〜4,7中の上方、下方とは、図1,3〜4,7中の下方を言い、また前方とは、図4,6中の左方、後方とは、図4,6中の右方を言い、さらに長さ方向とは、図4,6中の左右方向、幅方向とは、図6中の上下方向を言うものとする。
箱本体12は、全体として長手矩形ブロック形状を呈しており、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の絶縁性の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。図1に示されているように、箱本体12の上面14には、リレー装着部22a,22bやヒュージブルリンク装着部24やヒューズ装着部26が、上方に向かって開口形成されている。また、図7の右上方にその一部を示すように、箱本体12の下面18には、複数の端子収容孔28が下方に向かって開口形成されている。なお、図示は省略するが、導通部材としての電線の端末に圧着された圧着端子等が端子収容孔28に収容配置されるようになっていると共に、電気回路を構成する導通部材としてのバスバー等が図示しないバスバー収容溝等に装着支持されるようになっている。
そして、図1に示されているように、箱本体12の上面14側から、リレー装着部22aやヒュージブルリンク装着部24やヒューズ装着部26に対して、リレー30やヒュージブルリンク32やヒューズ(図示しない)が装着されるようになっている。これにより、リレー30やヒュージブルリンク32やヒューズから突出する図示しないタブ端子が上述の電線の端末の圧着端子やバスバー等に導通接続されるようになっている。
また、図1〜3に示されているように、箱本体12は、箱本体12の外周縁部から全周に亘って連続する略矩形枠体状の周壁34を有しており、周壁34の一部領域を含んで、電気部品ブロック装着部36が設けられている。より詳細には、電気部品ブロック装着部36は、箱本体12の周壁34(図1中、手前側)と、かかる周壁34から箱本体12内方(図1中、斜め上方)に向かって平行に突出しかつ周壁34の周方向(図1中、左右方向)に向かって相互に離隔する一対の側壁37,37と、一対の側壁37,37の突出端縁部を連結する奥壁38によって画成されている。また、電気部品ブロック装着部36は、箱本体12の上下方向に開口して上下方向の略全長に亘って延び出し、全体として略矩形枠体形状を有している。図1,7に示されているように、かかる電気部品ブロック装着部36に対して、上側には電気部品ブロック39aが装着されている一方、下側には電気部品ブロック39bが装着されている。かかる上側の電気部品ブロック39aは、全体として略矩形ブロック形状を有しており、上方から電気部品ブロック装着部36の上側に嵌め込まれて収容保持されるようになっている。加えて、電気部品ブロック装着部36を画成する箱本体12の周壁34には、一対の側壁37,37間に亘って広がりかつ下側の電気部品ブロック39bの上面40にまで至る深さで切り欠かれた切欠部41が設けられており、かかる切欠部41が着脱自在な蓋体42によって覆蓋されるようになっている。本実施形態では、蓋体42が上側の電気部品ブロック39aに一体的に設けられている(図1,7参照)。
より詳細には、図1〜2,5に示されているように、上側の電気部品ブロック39aは、矩形枠体状のブロック本体43と、ブロック本体43の下面44を下方側から覆うカバー部45を有している。さらに、図5に示されているように、かかるブロック本体43の上面には、上方に開口する略矩形箱体状の4つの部品装着部たるコネクタ装着部46が形成されている一方、ブロック本体43の下面44(図7参照)には、図示しない多数の端子収容孔が下方に向かって開口形成されている。そして、電線48の端末に圧着された図示しない圧着端子等がかかる端子収容孔に収容保持されるようになっている一方、電気部品であるコネクタ49がコネクタ装着部46に収容されて(図5参照)、図示しないタブ端子に対して電線48の端末に設けられた圧着端子等が接続されるようになっている。なお、かかるコネクタ49は、例えばアッパケース16との当接によって抜け出しが防止されている。
次に、上述した上側の電気部品ブロック39aを電気部品ブロック装着部36に組付ける際に用いられる仮保持機構とスライド連結機構について、図1〜3,5を用いて説明する。まず、上側の電気部品ブロック39aを下側の電気部品ブロック39bの上面40から離隔した位置に仮保持状態に保持するための仮保持機構は、箱本体12の上面14に突設された略矩形平板状の仮保持用突起50と、上側の電気部品ブロック39aのブロック本体43に設けられて外方(図2中、下方)に向かって開口すると共にかかる仮保持用突起50の突出先端部と係合する凹状の係合部52によって構成されている。より詳細には、仮保持用突起50は、電気部品ブロック装着部36の奥壁38よりも箱本体12の内方(図6中、上方)の上面14に位置して突設されている。このように、上側の電気部品ブロック39aは、下側の電気部品ブロック39bの上面40に開口形成された部品装着部たるリレー装着部53に対して上下方向で重ならない位置まで離隔可能となっている。これにより、下側の電気部品ブロック39bのリレー装着部53へのリレー54の組み付け作業がより容易となり、作業性の向上を確実に図ることができるのである。
一方、スライド連結機構は、図1〜5に示されているように、上側の電気部品ブロック39aに一体的に設けられた蓋体42の前端部に形成されて略矩形断面形状で上下方向に延びる突条56および蓋体42の後端部に形成されて略矩形断面形状で上下方向に延びる凹溝58と、それらに対して電気部品ブロック装着部36の対応する位置に設けられた凹溝60および突条62によって構成されている。このように、電気部品ブロック装着部36と上側の電気部品ブロック39aとの間には、上下方向に延びるスライド連結機構が設けられており、かかるスライド連結機構によって上側の電気部品ブロック39aが電気部品ブロック装着部36に対して上方からスライド装着できるようになっているのである。それゆえ、下側の電気部品ブロック39bに対するリレー54の組み付け作業が終了した後、速やかかつ簡便に上側の電気部品ブロック39aを電気部品ブロック装着部36に装着することができる。しかも、上側の電気部品ブロック39aを電気部品ブロック装着部36から取り外す際には、上側の電気部品ブロック39aを上方に引き出すだけでよいことから、下側の電気部品ブロック39bに装着されたリレー54のメンテナンスや交換作業も容易に行うことができる。
また、上側の電気部品ブロック39aは、図1〜2,7に示されているように、ブロック本体43のカバー部45が全体として略矩形箱体形状を呈しており、略矩形平板状の底壁64と底壁64の外周縁部から略全周に亘って上方に向かって突設された周壁66を有している。かかる周壁66の奥方(図2中、下方)の後方側下端部分が切り欠かれることにより電線引出口68が形成されており、かかる電線引出口68は、下側の電気部品ブロック39bの周縁部よりも外周側(図7中、右側)に開口している。さらに、図7に示されているように、上側の電気部品ブロック39aの下面44から延び出す電線48が、電線引出口68および、電線引出口68に対向する電気部品ブロック装着部36の奥壁38に開口形成された電線挿通孔70を挿通して、箱本体12の内部72に延び出している。ここで、電線48は、伸縮チューブ74内に収容されている。より詳細には、図8に示されているように、伸縮チューブ74は、径寸法:rが一定で軸方向中央部分に蛇腹構造の伸縮部76を含んでいることにより軸方向で伸縮可能とされており、例えば熱可塑性樹脂としてのポリプロピレン(PP)にエチレン・プロピレンゴム(EPDM)を混合して分散化させたもの等によって形成されている。また、伸縮チューブ74の伸縮部76は、外周側に凸の略V字断面で周方向環状に延びる山部77と、外周側に凹の略V字断面で周方向環状に延びる谷部78とが、軸方向で交互に連設された構造を有している。さらに、伸縮チューブ74の軸方向両端部は固定部79とされており、図示しない結束テープ等によって電線48に結束固定されている。なお、図2では、理解を容易とするため、伸縮チューブ74を省略している。
一方、図1に示されているように、下側の電気部品ブロック39bは、上下方向に開口する略矩形枠体形状を有しており、下側の電気部品ブロック39bの下方側から略矩形ブロック形状を有する部品装着部たるリレー装着部53が嵌め込まれて収容保持されるようになっている。かかる下側の電気部品ブロック39bのリレー装着部53は上面40に開口形成されており、上方側からリレー54が装着されるようになっている。
図1〜4,6に示されているように、箱本体12の各周壁34の下端部には、長さ方向に離隔する2箇所において、略矩形枠体状の被係合部88a,88bが設けられている一方、周壁34(図6中、下方側)の下端部における前端部には、外方斜め前方に向かって延び出す略半円筒形状の電線引き出し部90が設けられている。さらに、周壁34(図6中、右側)の奥方の上側および周壁34(図6中、左側)の手前側の下端部には、外方斜め上方に向かって延び出す略平板状の取付脚部92が設けられている。加えて、周壁34(図6中、右側)の取付脚部92の上側には、周方向に離隔する一対の突起状の係合部94,94が外方に向かって突設されている。
アッパケース16は、図4,6,7に示されているように、全体として下方に向かって開口する略矩形箱体形状を有しており、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の絶縁性の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。また、アッパケース16の前後方向(図6中、左右方向)に対向する周壁96には、枠体状の被係合部98が下方に向かって突設されている。このようなアッパケース16を箱本体12の上方開口部に組み付ける際には、図4,6,7に示されているように、アッパケース16の周壁96の内周面が、箱本体12の周壁34の上端部分の外周面に重ね合されるように挿し入れる。そして、アッパケース16をさらに箱本体12側に押し込むことにより、図4,6,7に示されているように、アッパケース16の枠体状の被係合部98が箱本体12の係合部94に係合して、アッパケース16が箱本体12の上方開口部への装着状態にロックされる。
ロアケース20は、図1〜4,7に示されているように、上方に開口する有底箱体形状を有しており、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の絶縁性の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。ロアケース20は、平面視において、箱本体12の下面18と略同一の長手矩形状に形成されている。より詳細には、ロアケース20は、略矩形平板状の底壁100と底壁100の外周縁部から略全周に亘って上方に向かって突設された周壁102を有している。周壁102(図6中、下側)の下端部における前端部および周壁102(図6中、右側)の周方向中央部には、外方斜め手前方向に向かって延び出す略半円筒形状の電線引き出し部104および略円筒形状の電線引き出し部106が設けられている。ロアケース20の底壁100の上面は、かかる電線引き出し部104,106に向かって下方に傾斜する傾斜面とされている。また、周壁102(図6中、右側)には、の下端部における前端部および周壁102(図6中、右側)の周方向中央部には、下端部において手前側に外方やや下方に向かって延び出す略平板状の取付脚部108が設けられている一方、上端部において係合部110が上方に向かって突設されている。そして、箱本体12の被係合部88a,88bに対して係合部110が係合されて、ロアケース20が箱本体12の下方開口部への装着状態に嵌合保持されるようになっている。
このような構造とされた電気接続箱10の電気部品ブロック装着部36に収容された上下2段に電気部品ブロック39a,39bに対して、電気部品を装着する方法について、以下に詳述する。先ず、図1に示すように、電気部品ブロック装着部36に装着された下側の電気部品ブロック39bの上面40に開口するリレー装着部53,53に対して、電気部品であるリレー54を装着する際には、上側の電気部品ブロック39aを、上側の電気部品ブロック39aに設けられた凹状の係合部52と箱本体12の上面14に突設された仮保持用突起50により構成されている仮保持機構によって、電気部品ブロック装着部36の上方を外れた箱本体12上の所定位置に仮保持する。かかる状態では、伸縮チューブ74が伸長されると共に伸縮チューブ74内で電線48の余長が上方に向かって伸ばされることにより、上側の電気部品ブロック39aや、電気部品ブロック39aからから導出された電線48を下側の電気部品ブロック39bの上面40から離隔させることができる(図1参照)。また、本実施形態では、電気部品ブロック装着部36に設けられた切欠部41を覆蓋する蓋体42が上側の電気部品ブロック39aのブロック本体43に一体的に設けられていることから、上側の電気部品ブロック39aが仮保持機構によって箱本体12上の所定位置に仮保持された状態で、下側の電気部品ブロック39bのリレー装着部53が図1の上方および前方に大きく解放されリレー装着部53へのアクセスが容易となっている。また、上側の電気部品ブロック39aが箱本体12の所定位置に仮保持されていることから、作業者が上側の電気部品ブロック39aを保持する必要がない。それゆえ、下側の電気部品ブロック39bのリレー装着部53へのリレー54の装着作業性は飛躍的に向上されるのである。
次に、上述のスライド連結機構を用いて上側の電気部品ブロック39aを下側の電気部品ブロック39b上に組み付ける。かかる状態では、図7に示されているように、伸縮チューブ74が収縮されると共に伸縮チューブ74内で電線48が蛇行して余長が吸収され余長を持った状態で収容保持されている。これにより、上側の電気部品ブロック39aの下面44から余長をもって延び出す電線48を、収縮状態の伸縮チューブ74内にコンパクトに収容することができ、電線48を伸縮チューブ74内に収められた状態で上側の電気部品ブロック39aと下側の電気部品ブロックの間に収容配置することができる。また、上側の電気部品ブロック39aから引き出される電線48は伸縮チューブ74内に収められた状態であることから、かかる電線48が下側の電気部品ブロック39bの上面40に装着された電気部品であるコネクタ49に干渉したり、上下2段の電気部品ブロック39a,39bの間に噛み込まれる等の問題の発生も未然に防止されている。要するに、このような伸縮チューブ74を用いた簡素な構造により、電気部品ブロック39a,39bの構造自体に影響を与えることなく、上下多段に組み付けられた電気部品ブロック39a,39bの組み付け作業性の向上と電線48の干渉防止を両立して達成することができるのである。本実施形態の電気接続箱10では、上述の効果を、特許文献1に記載の従来構造に比して、高い設計自由度や汎用性をもって、達成できるのである。最後に、上側の電気部品ブロック39aのコネクタ装着部46に対して上方からコネクタ49が装着することで、上下多段に配設された電気部品ブロック39a,39bへの電気部品の装着作業が優れた作業性をもって実現できるのである。
ここで、伸縮チューブ74は、径寸法:rが一定で軸方向中央部分に蛇腹構造の伸縮部76を含んでいることにより、軸方向で伸縮可能とされている。すなわち、伸縮チューブ74の伸縮により伸縮チューブ74の径寸法:rが変化しないことから、収縮状態の伸縮チューブ74が拡径して大径化することが避けられるので、上下の電気部品ブロック39a,39b間にコンパクトに収容保持することができると共に上下の電気部品ブロック39a,39b間の隙間寸法を小さくすることができ、電気接続箱10の小型化にも寄与することができる。
加えて、仮保持機構を構成する仮保持用突起50と係合部52により、電気部品ブロック装着部36の上方を外れた箱本体12上の所定位置に上側の電気部品ブロック39aを仮保持状態に安定して保持できることから、下側の電気部品ブロック39bに対する電気部品であるコネクタ49の装着作業をより一層容易にできる。しかも、かかる仮保持用突起50は既存の部位である例えばリレー装着部22a,22bの壁部を利用して部品の追加なく設けることができる。
また、電気部品ブロック装着部36が、箱本体12の周壁34と一対の側壁37,37と奥壁38によって画成されており、上側の電気部品ブロック39aの下面44から延び出す電線48が、奥壁38の電線挿通孔70を通じて箱本体12の内部72に延び出すように構成されている。これにより、かかる電線48を、電気部品ブロック装着部36の奥壁38の電線挿通孔70に集約して延出させることができることから、電線48の延出経路を規制して、下側の電気部品ブロック39bに装着されるリレー54等と電線48との干渉のリスクを最小限に抑えることができる。さらに、仮保持用突起50が電線挿通孔70が設けられた奥壁38よりもさらに離隔する箱本体12の内方に位置して突設されていることから、下側の電気部品ブロック39bへのリレー54の装着作業の際に電線48が悪影響を及ぼすことが可及的に減少されている。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでない。例えば、上記実施形態では、上側の電気部品ブロック39aの下面44と下側の電気部品ブロック39bの上面40の間には、カバー部45が設けられていたが、必ずしも設ける必要はない。すなわち、カバー部45がなくても、上側の電気部品ブロック39aの下面44から延び出す電線48は伸縮チューブ74によってカバーされていることから、電線48が、下側の電気部品ブロック39bの上面40に装着されたコネクタ49に干渉したり、上下2段の電気部品ブロック39a,39bの間に噛み込まれる等の問題の発生も防止することが可能となっているのである。また、伸縮チューブ74を形成する材料は、軸方向に伸縮可能なものであれば何れも採用可能であり、例示のもの以外に、エラストマー等の弾性部材からなる筒体等によって構成されていてもよい。また、伸縮チューブ74は電線48の長さ方向に伸縮可能であればよく、実施形態に示したように伸縮チューブの伸縮により径寸法が一定なものに限定されず、伸縮により径寸法が可変なものも採用可能である。
さらに、上記実施形態では、電気部品ブロック39a,39bは上下2段の場合について説明を行ったが、3段以上であっても勿論構わない。例えば3段以上の場合には、電気部品ブロックを仮保持するための構造を箱本体の周壁に設けることにより、下側の電気部品ブロックの部品装着部に電気部品を装着する際に、上下方向で下側の電気部品ブロックの上面に重ならない位置まで上側の電気部品ブロックを離隔させて、下側の電気部品ブロックの上方を解放するようにしてもよい。また、仮保持用突起50は、電気接続箱10の箱本体12の上面14や周壁34等に専用に設けてもよいし、上記実施形態のように既存の壁部や突起等を利用して部品の追加なく設けてもよい。
10:電気接続箱、12:箱本体、34:周壁、36:電気部品ブロック装着部、37:側壁、38:奥壁、39a,b:電気部品ブロック、40:上面、41:切欠部、42:壁部(蓋体)、44:下面、46:コネクタ装着部(部品装着部)、48:電線、49:コネクタ(電気部品)、50:仮保持用突起、52:係合部、56:突条(スライド連結機構)、58:凹溝(スライド連結機構)、60:凹溝(スライド連結機構)、62:突条(スライド連結機構)、70:電線挿通孔、72:内部、74:伸縮チューブ、76:伸縮部、53:リレー装着部(部品装着部)、54:リレー(電気部品)

Claims (7)

  1. 箱本体と、該箱本体に設けられて該箱本体の上方に開口して該箱本体の上下方向に延出する電気部品ブロック装着部と、上面に開口形成された部品装着部に電気部品が装着されており該電気部品ブロック装着部に対して前記上下方向で多段に装着された複数の電気部品ブロックと、を備える電気接続箱において、
    上側の前記電気部品ブロックの下面から延び出す電線が、該電線の長さ方向で伸縮可能な伸縮チューブ内に余長を持って収容されており、
    前記伸縮チューブの伸長状態では、前記伸縮チューブ内で前記電線の余長が伸ばされることにより、上側の前記電気部品ブロックを下側の前記電気部品ブロックの上面から離隔させることができると共に、
    前記伸縮チューブの収縮状態では、前記伸縮チューブ内で前記電線が蛇行して前記余長が吸収された状態で保持されて、前記収縮チューブが上側の前記電気部品ブロックと下側の前記電気部品ブロックの間に収容配置されるようになっている
    ことを特徴とする電気接続箱。
  2. 前記伸縮チューブが、径寸法が一定で軸方向で伸縮可能な蛇腹構造の伸縮部を含んでいる請求項1に記載の電気接続箱。
  3. 上側の前記電気部品ブロックを、下側の前記電気部品ブロックの前記上面から離隔した位置に仮保持するための仮保持用突起が前記箱本体に設けられている一方、該仮保持用突起と係合する係合部が上側の前記電気部品ブロックに設けられている請求項1または2に記載の電気接続箱。
  4. 前記電気部品ブロック装着部が、前記箱本体の周壁と、該周壁から前記箱本体内方に向かって相互に離隔してかつ平行に突出する一対の側壁と、前記一対の側壁の突出端縁部を連結する奥壁によって画成されており、
    前記仮保持用突起が、前記奥壁よりも前記箱本体の内方に位置して突設されている一方、
    前記奥壁に開口形成された電線挿通孔を挿通して、上側の前記電気部品ブロックの前記下面から延び出す前記電線が前記箱本体の内部に延び出している請求項3に記載の電気接続箱。
  5. 前記電気部品ブロック装着部を画成する前記箱本体の周壁には、前記一対の側壁間に亘って広がりかつ下側の前記電気部品ブロックの前記上面にまで至る深さで切り欠かれた切欠部が設けられており、該切欠部が着脱自在な蓋体によって覆蓋されるようになっている請求項4に記載の電気接続箱。
  6. 前記電気部品ブロック装着部と上側の前記電気部品ブロックとの間に、前記上下方向に延びるスライド連結機構が設けられており、該スライド連結機構により上側の前記電気部品ブロックが前記電気部品ブロック装着部に上方からスライド装着されるようになっている請求項1〜5の何れか1項に記載の電気接続箱。
  7. 上側の前記電気部品ブロックは、下側の前記電気部品ブロックの前記上面に開口形成された前記部品装着部に前記上下方向で重ならない位置まで離隔可能である請求項1〜6の何れか1項に記載の電気接続箱。
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