JP2018062574A - ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびそれからなるフィルム - Google Patents
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Description
20≦K≦80 ・・・(2)
6≦Mn/K≦45 ・・・(3)
3≦(Mn+K/2)/P≦20 ・・・(4)
20≦K≦80 ・・・(2)
6≦Mn/K≦45 ・・・(3)
3≦(Mn+K/2)/P≦20 ・・・(4)
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、マンガン元素の含有量が500〜900ppmの範囲にあり、さらには600〜800ppmの範囲が好ましい。マンガン元素の含有量が500ppm以上であると、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の体積抵抗が低くなり、フィルム成形時の静電印加性が向上し、900ppm以下であると、ゲル化率および微小異物の増加を抑制し、また得られるポリマーの透明性(溶液ヘイズ)も良好となり好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、テレフタル酸とエチレングリコールとを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスにより製造することができる。または、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスにより製造することができる。本発明においては、いずれの方法も採用することができる。さらに必要に応じて耐熱安定剤、静電剤、消泡剤、酸化防止剤などを反応前、反応中に添加することができる。
その後、得られた溶融ポリエチレンテレフタレートは口金よりストランド状に吐出、冷却し、カッターによってペレット化する方法によりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を製造できる。
原子吸光分析法にて定量を行った。
銅版2枚を電極として、間にテフロン(登録商標)のスペーサーを挟んで電極を作成し、この電極を290℃で溶融したポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中に沈め、電極間に500V(V)の電圧を加えた時の電圧(V’)を測定し、次式から溶融比抵抗(ρ)を算出した。
(但し、式中において、V:印加電圧(V)、S:電極面積(cm2)、R:抵抗体抵抗(Ω)、I:電極間距離(cm)、V’:測定電圧(V)を示す。) 。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を凍結粉砕機にて粉砕し、ステンレスビーカーに0.5g秤量した。真空乾燥機を用いて、50℃で2時間真空乾燥した後、空気と窒素の混合気体で酸素濃度1%とし、試料含有したステンレスビーカーに酸素濃度1%の混合気体を配管より通した後、該ステンレスビーカーを300℃のオイルバスに浸し、酸素濃度1%の空気と窒素の混合気体を0.5L/分の流量で流通下、6時間加熱処理を行った。これを、20mlのオルトクロロフェノール(以下OCP)で、160℃で1時間溶解し、放冷した。この溶液を、ガラスフィルター(柴田科学株式会社製、3GP40)を使用しろ過、ジクロロメタンにてガラスフィルターを洗浄した。ガラスフィルターを130℃で2時間乾燥し、ろ過前後のろ過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物(ゲル)の重量を算出し、OCP不溶物のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物重量(0.5g)に対する重量分率を求め、ゲル化率とした。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の試料ペレットをフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(60:40wt%)の混合溶媒20mlに100℃で60分攪拌して溶解させ、室温まで冷却後、ガラスセルに移し、ヘイズメーターを用いて測定した。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の試料ペレット1gをフェノール/1,2,2,2−テトラクロロエタン(60:40wt%)の混合溶媒に溶かして、濾紙で濾過し、実態顕微鏡(60倍)で濾紙面の黒色異物(17μm)の個数を数えた。微小異物は5個未満のものを良好、5個以上10個未満のものを合格とし、10個以上のものを不合格とし、上記の基準で判断した。
未延伸フィルムを製膜した際に、以下の基準で静電印加キャスト性を判断し、問題なくフィルムが作成できたものを良好(○)、キャストドラムへの密着性の低下が見られるがフィルムの作成は問題なかったものを合格(△)、キャストドラムへの密着性が不良となりフィルムの作成が困難となったものを不合格(×)とした。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を160℃で5時間乾燥後、Tダイ式口金を備えた押出機に供給し、300℃で口金からキャスティングドラムを回転させながらキャスティングドラム状に押出未延伸フィルムを連続的に得る。10時間経過後から11時間経過後の1時間の間、フィルム表面を観察し、この間表面に10時間経過するまでは見られなかったスジ状の欠点が観察されなければ良好(○)、殆ど欠点が分からないものを合格(△)、欠点が目立つものを不合格(×)とした。
JIS−K7361−1(1997年)に基づき、濁度系NDH4000(日本電色工業株式会社製)を用いて、延伸後のフィルムを測定した。全光線透過率は、89%以上のものを良好、85〜89%未満のものを合格、85%未満のものを不合格とし、上記の基準で判断した。
10cm四方の大きさのフィルムを測定する面同士を2枚重ね合わせて、印加電圧をかけて静電気力で密着し、フィルム表面の粗大突起により発生する干渉縞から高さを推定する。干渉縞が1重環で0.27μm、2重環で0.54μmであり、0.27μm以上0.54μm未満の粗大突起個数を測定した。粗大突起は、10個未満のものを良好(○)、20個未満のものを合格(△)、20個以上のものを不合格(×)とし、上記の基準で判断した。
テレフタル酸とエチレングリコールの反応物であるエステル化反応物を予め255℃の溶融状態で貯留させ、さらにテレフタル酸とエチレングリコールとをテレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比が1.15になるようにスラリー状にしてエステル化反応槽の温度を保ちながら定量供給し、水を留出させながらエステル化反応を行い、エステル化反応物を得た。得られたエステル化反応物を、重合反応槽に移送した。
上記と同様にポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を製造するにあたり、エステル化反応後、リン酸を含むエチレングリコール溶液と三酸化アンチモンを含むエチレングリコール溶液を、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して、リン元素として15ppm、アンチモン元素として110ppmとなるように添加し、除々に減圧にし、40分で0.13kPa以下とし、282℃で重合反応を行い、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Bを得た。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Bの溶融比抵抗は260×107Ω・cm、ゲル化率は2.6%、溶液ヘイズは0.5%であった。
上記と同様にポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Bを製造するにあたり、エステル化反応後、リン酸を含むエチレングリコール溶液と水酸化カリウムを含むエチレングリコール溶液、酢酸マンガン4水和物を含むエチレングリコール溶液、三酸化アンチモンを含むエチレングリコール溶液を、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して、リン元素として30ppm、カリウム元素として5ppm、マンガン元素として45ppm、アンチモン元素として110ppmとなるように添加する以外は、実施例1と同様の方法で実施し、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Cを得た。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Cの溶融比抵抗は25×107Ω・cm、ゲル化率は0.9%、溶液ヘイズは0.6%であった。
上記と同様にポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Bを製造するにあたり、エステル化反応後、リン酸を含むエチレングリコール溶液と酢酸マグネシウム4水和物を含むエチレングリコール溶液、三酸化アンチモンを含むエチレングリコール溶液を、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して、リン元素として30ppm、マグネシウム元素として50ppm、アンチモン元素として110ppmとなるように添加する以外は実施例1と同様の方法で実施し、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Dを得た。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Dの溶融比抵抗は42×107Ω・cm、ゲル化率は20.9%、溶液ヘイズは0.5%であった。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Aとポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Bとをポリエステルフィルム全層の重量に対して、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Aを15wt%、ポリエチレンテレフタレート樹脂組組成物Bを85wt%のフィルム組成で配合し、150℃で3時間乾燥し、押し出し機に供給し、285℃で溶融押し出しを行い、静電印加された20℃のキャストドラム上にキャストし未延伸シートを得た。この未延伸シートを90℃に加熱された延伸ロールによって長手方向に3.1倍延伸し、次いでテンター式延伸機によって120℃で幅方向に3.7倍延伸し、その後200℃で熱固定してロールに巻き取った。フィルム作製時の静電印加キャスト性は良好であり、得られたフィルムの欠点及び透明性、粗大突起は良好であった。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Aの酢酸マンガン4水和物、水酸化カリウム、トリエチルホスホノアセテートの添加量を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2に示す。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Aに酢酸マグネシウム4水和物を添加する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2に示す。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Aとポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Bとの配合量を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2に示す。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Aに添加するリン化合物をトリエチルホスホノアセテートからリン酸に変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2に示す。微小異物が増加したことにより、得られたフィルムの透明性、粗大突起が悪化したが、使用できる範囲のものであった。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Bを変更する以外は、実施例1と同様の方法でフィルム成形を行った。結果を表1、表2に示す。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Aの酢酸マンガン4水和物、水酸化カリウム、トリエチルホスホノアセテートの添加量を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表3、表4に示す。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Aに酢酸マグネシウム4水和物を添加する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表3、表4に示す。マグネシウム元素が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して2ppmとなるよう酢酸マグネシウム4水和物を添加したことにより、ゲル化率が増加し、欠点の増加が見られ不良であった。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Aを製造するにあたり、エステル化反応後、トリエチルホスホノアセテートを含むエチレングリコール溶液と水酸化カリウムを含むエチレングリコール溶液、酢酸マグネシウム4水和物を含むエチレングリコール溶液、三酸化アンチモンを含むエチレングリコール溶液を、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して、マグネシウム元素として320ppm、カリウム元素として50ppm、リン元素として90ppm、アンチモン元素として220ppmとなるように添加する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。ゲル化率が30.0%と高いため、フィルム欠点の増加が見られ不良であった。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Aを製造するにあたり、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Cと同様の方法で製造し、フィルム成形にあたり、該ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物Aのみ配合する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。溶融比抵抗が増加し、静電印加キャスト性が悪く印加ムラが多数発生し、製品フィルムを得ることができなかった。
Claims (3)
- マンガン化合物、カリウム化合物およびリン化合物を含有し、かつ各元素の含有量(ppm)が下記(1)〜(4)を満足し、ポリエチレンテレフタレート樹脂中のマグネシウム元素の含有量が1ppm未満、溶融比抵抗が1.0×107Ω・cm以下、300℃酸素濃度1%で6時間溶融した時のゲル化率が5〜15%であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
500≦Mn≦900 ・・・(1)
20≦K≦80 ・・・(2)
6≦Mn/K≦45 ・・・(3)
3≦(Mn+K/2)/P≦20 ・・・(4) - 溶液ヘイズが2.5%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなるポリエステルフィルムであって、ポリエステルフィルム全層中に含有するマンガン元素の含有量が25〜220ppm、かつ金属元素とリン元素とのモル比(M/P)が1.5〜4.0であることを特徴とするポリエステルフィルム。
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