JP6939970B2 - ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
M/Pについては、さらには2.5〜4.5の範囲にすることが好ましい。M/Pが2.0以上であると、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融時の体積比抵抗が低くなり、フィルム成形時に静電印加キャスト法を好適に用いることができ、5.4以下であると、溶融時の環状三量体の再生を抑制するのに好ましい。
また、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、カリウム以外のリチウム、ナトリウムのカルボン酸塩やヨウ化物、水酸化物などのアルカリ金属化合物を含むことができる。
その後、得られた溶融ポリエチレンテレフタレートは口金よりストランド状に吐出、冷却し、カッターによってペレット化する方法により液相ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を製造できる。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の試料ペレットをo−クロロフェノールに溶解し、内部標準を添加する。さらにメタノールを加えてポリマーを析出させて遠心分離によって上澄みを採取し、液体クロマトグラフを用いて定量した。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の試料ペレットをo−クロロフェノールに加熱溶解した後、ウベローデ型粘度計を用いて25℃で測定した。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の試料ペレットをo−クレゾールに加熱溶解した後、アルカリで電位差測定して求めた。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の試料ペレットを溶融プレス機で円柱状に成型し、蛍光X線元素分析装置を用いて測定した。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の試料ペレットを175℃で7.5時間真空乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で30分間加熱溶解し、次いで常温まで戻し固化させて試料を採取する。加熱溶解処理前の試料の環状三量体含有量(A)および加熱溶解処理後の試料の環状三量体含有量(B)を定量し、次式から環状三量体の再生速度(C)を算出した。
C(wt%/分)=(B−A)/30 。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の試料ペレットを円柱状の粉体測定用セルに充填し、色差計を用いて、反射法にて測定した。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の試料ペレットをフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(60:40wt%)の混合溶媒に加熱溶解した後、ガラスセルに移し、ヘイズメーターを用いて測定した。得られた透明性(ヘイズ)は、0.4%未満のものを良好、0.4%以上1.0%未満のものを合格とし、1.0%以上のものを不合格とした。
フィルムを5cm×5cmの大きさに切り出し、150℃で60分間熱風乾燥機内にて加熱した後、フィルム表面を走査型電子顕微鏡で1,000倍にて観察し、任意に選び撮影したフィルム表面の環状三量体の析出物個数をカウントした。環状三量体の析出性は、5個未満のものを良好(○)、5個以上10個未満のものを合格(△)、10個以上のものを不合格(×)とし、上記の基準で判断した。
ハロゲンライトを光源として、フィルムを透過光で観察し、フィルムの傷の目立ち易さを評価した。フィルムのスリ傷は、全く傷が見えないものを良好(○)、殆ど傷が分からないものを合格(△)、傷が光り目立つものを不合格(×)とし、上記の基準で判断した。
(エステル化反応)
テレフタル酸とエチレングリコールの反応物であるエステル化反応物を予め255℃の溶融状態で貯留させ、さらにテレフタル酸とエチレングリコールとをテレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比が1.15になるようにスラリー状にしてエステル化反応槽の温度を保ちながら定量供給し、水を留出させながらエステル化反応を行い、エステル化反応物を得た。得られたエステル化反応物を、重合反応槽に移送した。
リン酸を含むエチレングリコール溶液と水酸化カリウムを含むエチレングリコール溶液、酢酸マグネシウム4水和物を含むエチレングリコール溶液、三酸化アンチモンを含むエチレングリコール溶液を、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して、カリウム元素として2ppm、かつカリウム元素、マグネシウム元素、リン元素のM/Pが2.8に、アンチモン元素として60ppmとなるように添加し、引き続いて重合反応槽内を除々に減圧にし、30分で0.13kPa以下とし、それと同時に除々に昇温して280℃とし、目標の固有粘度まで重合反応を実施した。その後、窒素ガスによって重縮合反応槽を常圧に戻し、口金より冷水中にストランド状に吐出し、押し出しカッターによって円柱状にペレット化し、表面結晶化装置によって予備結晶化し、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。得られた液相ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の固有粘度は0.50、環状三量体量は1.10wt%、カルボキシル末端基量は40eq/tであった。
重縮合反応で得られた液相ポリエチレンテエフタレート樹脂組成物を、連続式タワー乾燥機を用いて、露点が5℃の窒素ガス中、215℃の温度で18時間固相重合を行い、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は、固有粘度が0.65、環状三量体含有量が0.42wt%、カルボキシル末端基量が24eq/t、アンチモン元素の含有量が60ppm、環状三量体の再生速度が0.007wt%/分、色調b値が3.6、透明性(ヘイズ)が0.3であり、良好であった。
得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を150℃で3時間乾燥し、押し出し機に供給し、285℃で溶融押し出しを行い、静電印加された20℃のキャストドラム上にキャストし未延伸シートを得た。この未延伸シートを90℃に加熱された延伸ロールによって長手方向に3.1倍延伸し、次いでテンター式延伸機によって120℃で幅方向に3.7倍延伸し、その後230℃で熱固定してロールに巻き取った。フィルムの成形性は良好であり、得られたフィルムの環状三量体の析出性及びスリ傷は良好であった。
固相重合時間を26時間と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は、透明性(ヘイズ)が0.3%で、フィルム特性は良好であり、得られたフィルムの環状三量体の析出性及びスリ傷は良好であった。
固相重合前の固有粘度を0.40、固相重合時間を26時間と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は、透明性(ヘイズ)が0.3%で、フィルム成形性は良好であり、得られたフィルムの環状三量体の析出性及びスリ傷は良好であった。
三酸化アンチモン、水酸化カリウム、酢酸マグネシウム4水和物、リン酸の添加量を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。
窒素ガスの露点、固相重合時間を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。
固相重合前の固有粘度、固相重合温度、固相重合時間を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。
固相重合を実施しない以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。結果を表1に示す。得られたフィルムの環状三量体の析出性は不良であった。
固相重合温度を195℃、固相重合時間を23時間と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。固相重合後の固有粘度が0.55と低いため、フィルム成形時、押し出しシートの幅が一定せず、また押し出しシートが非常にもろいため延伸することができなかった。
固相重合温度を220℃、固相重合時間を25時間と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。固相重合後の固有粘度が0.75と高いため、押し出し機でのせん断発熱による溶融ポリマーの劣化が進み、フィルム成形時に破れが頻発し、延伸することができなかった。
固相重合温度を210℃、固相重合時間を15時間と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。環状三量体含有量が0.55wt%と高いため、得られたフィルムの環状三量体の析出性は不良であった。
窒素ガスの露点を15℃、固相重合時間を30時間と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表2に示す。カルボキシル末端基量が50eq/tと高いため、押し出し機での熱加水分解による溶融ポリマーの劣化が進み、フィルム成形時に破れが頻発し、延伸することができなかった。
三酸化アンチモンの添加量を得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対してゲルマニウム元素として100ppmに変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。環状三量体の再生速度が0.015wt%/分と増加したため、得られたフィルムの環状三量体の析出性は不良であった。
水酸化カリウム、酢酸マグネシウム4水和物、リン酸の添加量をM/Pが1.5となるように変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。M/Pが低いため、静電印加キャスト性が悪く印加ムラが多数発生し、製品フィルムを得ることができなかった。
酢酸マグネシウム4水和物、リン酸の添加量をM/Pが6.0となるように変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。M/Pが高いため、環状三量体の再生速度が0.013wt%/分と増加し、また得られたフィルムの環状三量体の析出性は不良であった。
窒素ガスの露点を−50℃と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。カルボキシル末端基量が16eq/tと低いため、得られたフィルムのスリ傷は不良であった。
水酸化カリウムを添加せず三酸化アンチモンをアンチモン元素として65ppmとなるように添加する以外は、実施例1と同様の方法で溶融重合反応を行い、固有粘度が0.64の液相ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得、次いで攪拌翼を有する乾燥機に仕込み、窒素ガス中で225℃の温度で10時間固相重合を行い、さらに固相重合後のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を225℃で湿熱処理を行い、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。結果を表1に示す。色調(b値)が5.0に増加し、環状三量体の再生速度が0.016wt%/分と増加したため、得られたフィルムの環状三量体の析出性は不良であった。
Claims (2)
- 環状三量体の含有量が0.50wt%以下、固有粘度が0.60〜0.70、カルボキシル末端基量が18〜40eq/t、アンチモン元素の含有量が40〜80ppm、カリウム元素を含み、かつポリエチレンテレフタレート樹脂中に含有するアルカリ金属、アルカリ土類金属とリン元素とのモル比(M/P)が2.0〜5.4であり、色差計における色調b値が4.0以下であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
- 300℃で溶融した時の環状三量体の再生速度が0.010wt%/分以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
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