JP2021127452A - ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】微小異物及び溶融時のゲル化物が少なく、良好な静電印加性、耐熱酸化分解性を有するポリエチレンテレフタレート(以下PET)樹脂組成物を提供する。【解決手段】PET樹脂組成物の重量に対するマンガン、マグネシウム、アルカリ金属及びリンの含有量(mol/t)が下記(1)〜(4)を満足することを特徴とするPET樹脂組成物により達成される。0.20≦Mn≦1.70mol/t・・・(1)0.8≦Amol/t・・・(2)20≦Mn/(Mn+Mg)×100≦70%・・・(3)2.0≦(Mn+Mg+A/2)/P≦4.5・・・(4)(ここで、Mnはマンガン、Mgはマグネシウム、Aはアルカリ金属、PはリンのPET樹脂組成物中に含まれる総モル量を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、機械的性質及び化学的性質が共に優れているため、工業的価値が高く、繊維、フィルム、シート及び中空成形体などに広く使用されている。
特にポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を用いたフィルムは、その機械的特性、熱的特性、耐薬品性、電気的特性などに優れた性質を有することから、磁気記録媒体用、コンデンサー用、光学用、一般工業用などの産業用途に広く利用されている。
一般にポリエステルフィルムは、押出機によりポリエチレンテレフタレート樹脂を溶融押出した後、縦、横方向に2軸延伸して得られるが、成形加工時には260〜300℃というポリエチレンテレフタレート樹脂の融点以上の温度で溶融して押出成形するため、ポリエチレンテレフタレート樹脂の熱分解や、酸素が混入した場合には酸化分解によってゲル状の異物が発生してしまい、成形したフィルムに欠点を生じさせる。
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂をフィルム化する際には、未固化のシート状物の上面に高電圧を印加し、シート状物を回転冷却ドラムに密着させる静電印加キャスト法が多く採用されているが、静電印加キャスト法において製膜速度を高めるために回転冷却ドラムの速度を速くしていくと、シート状物と回転冷却ドラムとの密着力が低下しフィルムの厚み均一性や透明性の低下、フィルム表面に印加ムラを生じさせる。
また、フィルムの熱寸法安定性を制御する方法として、熱処理を施す方法が一般的に知られているが、製膜速度を高めるために熱処理工程の温度を上げていくと、熱酸化分解によりフィルムの脆化が進行し、製膜性や加工性の悪化、熱処理時の分解物増加によって工程汚染し、フィルム成形時にフィルムや搬送ロールに分解物が付着することによりフィルム表面のスリ傷を発生させる。
特に、近年では偏光板離型用やセラミックコンデンサー離型用、磁気記録媒体用、又はドライフィルムレジスト用のフィルムなどでは高度の表面平滑性や薄膜化が求められ、フィルムの欠点を極度に低減する必要があり、前記したゲル状の異物や静電印加キャスト性の不良、フィルムの脆化はこのようなフィルム表面の欠点の形成や品質を悪化させるため好ましくない。
例えば、特許文献1には、溶融押出時に発生するゲル状の異物を抑制する方法として、酢酸マンガンを使用したポリエステル及びポリエステルフィルムについて提案されている。しかし、この方法は長時間でのゲル化率の低減できるものの、静電印加キャスト性が不十分であり、フィルム表面に印可ムラを生じさせる問題があった。
特許文献2,3には、酢酸マンガンを使用し静電印可性及び熱安定性を改善するポリエステルの製造方法について記載されている。
特許文献2には、マグネシウム化合物の存在下で酢酸マンガンを併用しリン化合物を2回以上に分割して添加するポリエステルの製造方法について提案されている。しかし、この方法はマグネシウム量が多く、金属とリンとのモル比が低いため、十分なゲル化抑制、静電印可キャスト性の効果は得られない。
特許文献3には、酢酸マンガン、アルカリ金属のリン酸塩及びリン化合物を添加するポリエステルの製造方法について提案されているが、この方法はマンガン量が多く、金属とリンとのモル比が低いため、ゲル化抑制、フィルム脆化抑制、静電印可キャスト性について十分な改善効果が見込まれない。
国際公開第2017/073385号 特開昭60−88028 特開昭55−89329
本発明の目的は、これら従来の課題を解決し、溶融時のゲル化物が少なく、良好な静電印加性、耐熱酸化分解性を有するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を提供することである。
上記課題は、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の重量に対するマンガン、マグネシウム、アルカリ金属及びリンの含有量(mol/t)が下記(1)〜(4)を満足することを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物により達成される。
0.20≦Mn≦1.70 mol/t ・・・(1)
0.8≦A mol/t ・・・(2)
20≦Mn/(Mn+Mg)×100≦70 % ・・・(3)
2.0≦(Mn+Mg+A/2)/P≦4.5 ・・・(4)
(ここで、Mnはマンガン、Mgはマグネシウム、Aはアルカリ金属、Pはリンのポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中に含まれる総モル量を示す。)
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、溶融時のゲル化物が少なく、良好な静電印加性、耐熱酸化分解性を有する。本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物らなるポリエステルフィルムはフィルム中の欠点が少なく、偏光板離型用途、セラミックコンデンサー離型用途、磁気記録媒体用途、ドライフィルムレジスト用途に好適である。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の構成成分としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸又はこれを主体とした酸成分、ジオール成分としてエチレングリコール又はこれを主体としたグリコール成分が挙げられる。
また、本発明におけるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、カルボン酸成分の20モル%以下であれば、テレフタル酸及びこれを主体とする酸成分以外のジカルボン酸の1種又は2種以上を共重合成分として含むことができ、また同様にグリコール成分の20モル%以下であれば、エチレングリコール又はこれを主体とするグリコール成分以外のグリコール成分を1種又は2種以上を共重合成分として含むことができる。さらに熱可塑性を損なわない程度であれば三官能以上の多官能性化合物を共重合成分として含んでいても良い。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、マンガンの含有量(総モル量Mn)がポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の重量に対して0.20〜1.70mol/tである必要があり、好ましくは0.29〜1.50mol/tである。マンガンの含有量がこの範囲であると、ゲル化率の増加及び熱酸化分解の悪化を抑制し、フィルムの欠点及びスリ傷の発生を抑制するのに好ましい。0.20mol/t未満であると、マンガンの量が少ないため、ゲル化率の抑制効果が得られず、1.70mol/tを超えると、逆にマンガンの量が多くなり活性が強まることで、ゲル化率の増加や熱酸化分解の悪化につながる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、アルカリ金属の含有量(総モル量A)がポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の重量に対して0.8mol/t以上である必要があり、好ましくは1.0mol/t以上である。アルカリ金属の含有量が0.8mol/t以上であるとゲル化率の増加、熱酸化分解の悪化を抑制できる。アルカリ金属の含有量の上限について特に限定されるものではないが、4.0mol/t以上であると、溶融重縮合時にアルカリ金属とリンとが反応して内部粒子を生成することで、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融時の体積比抵抗が増加し、静電印可キャスト性の低下につながる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、マンガンとマグネシウムとの含有量(総モル量Mn、Mg mol/t)の合計を100としたときのマンガンの比率、Mn/(Mn+Mg)×100の値が20〜70%である必要があり、好ましくは23〜60%である。Mn/(Mn+Mg)×100の値が20%以上であるとゲル化率の増加を抑制するのに好ましく、70%以下であると熱酸化分解の悪化を抑制できる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、金属とリン(総モル量P mol/t)とのモル比(Mn+Mg+A/2)/Pの値が2.0〜4.5である必要があり、好ましくは2.3〜4.2である。(Mg+Mn+A/2)/Pの値が2.0以上であると、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融時の体積比抵抗が低くなり、フィルム成形時に静電印可キャスト法に好適に用いることができ、4.5以下であると、熱安定性が高まることで、ゲル化率の増加、熱酸化分解の悪化を抑制するのに好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、アルカリ金属としてカリウム又はリチウムを含有していることが好ましい。カリウム又はリチウムは溶融重縮合時に析出粒子を形成しにくく、電気陽性が大きいことから、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融時の体積比抵抗が低くなり、フィルム成形時の静電印可キャスト性が向上するため好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、アンチモンの含有量がポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して0.33〜0.99mol/tであることが好ましく、さらには0.49〜0.82mol/tであることが好ましい。アンチモンの含有量がこの範囲であると、ゲル化率の増加を抑制するのに好ましい。0.33mol/t未満であると、溶融重縮合を円滑に進めることができず、溶融重縮合時の熱履歴が大きくなることでゲル化物生成が増加し、0.99mol/tを超えると、アンチモンが多いことにより活性が強まることでゲル化率の増加を引き起こす。
以下に、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法の具体例について述べる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、テレフタル酸とエチレングリコールとを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスにより製造することができる。又は、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスにより製造することができる。本発明においては、特に限定されないが、直接エステル化反応で製造するほうがコスト面、反応効率の観点から好ましい。さらに必要に応じて耐熱安定剤、静電剤、消泡剤、酸化防止剤などを反応前、反応中に添加することができる。
ポリエステル樹脂組成物の製造方法としては回分式と連続式が周知の方法として知られており、本発明においては、特に限定されないが、連続式のほうが重合反応中の熱履歴を少なくすることができるため、ゲル化率の抑制の観点から好ましい。さらに連続式の設備で製造するに際して、反応槽の数は特に限定されないが、例えば直接エステル化反応で製造する場合は反応効率の点からエステル化反応に1槽以上、重縮合反応に2槽以上用いることが好ましい。
本発明において添加するマンガン化合物としては、酢酸塩やプロピオン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物などが挙げられる、これらの中でもゲル化率の抑制の観点から酢酸マンガンを使用することが好ましい。
マンガン化合物の添加方法としては、粉体又はエチレングリコールスラリー、エチレングリコール溶液、水溶液などが挙げられるが、水とエチレングリコールとの混合溶液として添加すると、マンガン化合物がポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中に溶解しやすくなるため、マンガン化合物の異物化を抑制できる点から好ましい。
マグネシウム化合物としては、酢酸塩やプロピオン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物などが挙げられる。これらの中でも熱酸化分解の抑制の観点から酢酸マグネシウムが好ましく用いられる。
マグネシウム化合物の添加方法としては、粉体又はエチレングリコールスラリー、エチレングルコール溶液、水溶液などが挙げられるが、水とエチレングリコールとの混合溶液として添加すると、マグネシウム化合物がポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中に溶解しやすくなるため、マグネシウム化合物の異物化を抑制できる点から好ましい。
アルカリ金属化合物としては、カリウム、リチウム、ナトリウムなどの酢酸塩やプロピオン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物などが挙げられるが、これらの中でもゲル化率、熱酸化分解の抑制の観点から水酸化カリウム、酢酸リチウムが好ましく用いられる。
アルカリ金属化合物の添加方法としては、粉体又はエチレングリコールスラリー、エチレングリコール溶液、水溶液などが挙げられるが、水とエチレングリコールとの混合溶液で添加すると、アルカリ金属化合物がポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中に溶解しやすくなるため、アルカリ金属化合物の異物化を抑制できる点から好ましい。
リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸もしくはこれらのエステル化合物などが挙げられるが、ゲル化率の低減、熱酸化分解の抑制の観点からリン酸やリン酸エチルエステルが好ましく用いられる。
リン化合物の添加方法としては、特に限定されない。水溶液、エチレングリコール溶液など種々の方法で添加することができる。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、脂肪族カルボン酸のアンチモン塩などが挙げられるが、これらの中でも重縮合反応性、得られるポリマーの色調、及び安価に入手できる点から三酸化アンチモンが好ましく用いられる。
アンチモン化合物の添加方法としては、粉体又はエチレングリコールスラリー、エチレングリコール溶液などが挙げられるが、アンチモンの凝集による粗大化を防止でき、その結果異物が良好となることから、エチレングリコール溶液として添加する方法が好ましい。
その後、得られた溶融ポリエチレンテレフタレートは口金よりストランド状に吐出、冷却し、カッターによってペレット化する方法によりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を製造できる。
得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、乾燥工程前に予備結晶化することが好ましい。予備結晶化はポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に機械的衝撃を与えせん断処理を施す方法や熱風流通下で加熱処理を施す方法などを採用することができる。
なお、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、以下の方法でポリエステルフィルムに成形することができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を真空乾燥した後、押し出し機に供給し、260〜300℃で溶解し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化させて未延伸ポリエステルフィルムを作製する。
該未延伸フィルムを70〜130℃に加熱されたロール間で縦方向に2.5〜5倍延伸する。このフィルムの少なくとも片面にコロナ放電処理を施して塗液などを塗布してもよい。引き続き、連続的に70〜150℃の加熱された熱風ゾーンで幅方向に2.5〜5倍延伸し、続いて190〜240℃の熱処理ゾーンに導き、5〜40秒間の熱処理を施し、100〜200℃の冷却ゾーンを経て結晶配向を完了させる。また、上記熱処理中に必要に応じて幅方向あるいは長手方向に0.1〜12%の弛緩処理を施してもよい。
本発明で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、溶融時のゲル化物が少なく、良好な静電印可性、耐熱酸化分解性を有することから、偏光板離型用途やセラミックコンデンサー離型用途、磁気記録媒体、ドライフィルムレジストなどのIT関連用途のフィルムに好適に使用できる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、物性の測定方法、効果の評価方法は以下の方法で行った。
(1)マンガン、アルカリ金属、マグネシウム及びリンの含有量(総モル量Mn、A、Mg、P mol/t)
原子吸光分析法(株式会社日立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80形、フレーム:アセチレン空気)にて定量を行った。
(2)ゲル化率
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を凍結粉砕機にて粉砕し、ステンレスビーカーに0.5g秤量した。真空乾燥機を用いて、50℃で2時間真空乾燥した後、空気と窒素の混合気体で酸素濃度1%とし、試料含有したステンレスビーカーに酸素濃度1%の混合気体を配管より通した後、該ステンレスビーカーを300℃のオイルバスに浸し、酸素濃度1%の空気と窒素の混合気体を0.5L/分の流量で流通下、6時間加熱処理を行った。これを、20mlのo−クロロフェノール(以下OCP)で、160℃で1時間溶解し、放冷した。この溶液を、ガラスフィルター(柴田科学株式会社製、3GP40)を使用しろ過、ジクロロメタンにてガラスフィルターを洗浄した。ガラスフィルターを130℃で2時間乾燥し、ろ過前後のろ過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物(ゲル)の重量を算出し、OCP不溶物のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物重量(0.5g)に対する重量分率を求め、ゲル化率とした。ゲル化率は5%以下のものを良好、5%を超えて7%以下のものを合格、7%を超えるものを不合格と判断した。
(3)溶融時の体積比抵抗(溶融比抵抗)
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を290℃で溶融した後、面積0.5cmのステンレス製電極2枚を8mmの間隔で並行に挿入し、温度が安定した後に抵抗計(日置電機株式会社製:抵抗計RM3545)で抵抗値(R)を測定し、次式から溶融比抵抗(ρ)を算出した。
ρ(Ω・cm)=R×0.5/0.8
溶融比抵抗は9×10Ω・cm以下のものを良好、9×10Ω・cmを超えて10×10Ω・cm以下のものを合格、10×10Ω・cmを超えるものを不合格と判断した。
(4)ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の固有粘度(IV)
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物をo−クロロフェノールに加熱溶解した後、ウベローデ型粘度計を用いて25℃で測定した。
(5)耐熱酸化分解性(ΔIV/IV)
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を150℃で6時間真空乾燥した後、空気雰囲気下で230℃、6時間処理して、IV低下量であるΔIVと処理前のIVとの比を測定した。
ΔIV/IV=[IV(処理前)−IV(処理後)]/IV(処理前)
ΔIV/IVは0.20%以下のものを良好、0.20%を超えて0.25%以下のものを合格、0.25%を超えるものを不合格と判断した。
(6)長期押出時のフィルム欠点(欠点)
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を160℃で5時間乾燥後、Tダイ式口金を備えた押出機に供給し、300℃で口金からキャスティングドラムを回転させながらキャスティングドラム状に押出未延伸フィルムを連続的に得る。10時間経過後から11時間経過後の1時間の間、フィルム表面を観察し、スジ状の欠点が観察されれば不合格(×)、スジ状の欠点が観察されなければ合格(△)、さらに11時間経過後から12時間経過後の1時間の間に、スジ状の欠点が観察されなければ良好(○)と判断した。
(7)静電印加キャスト性
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を290℃で溶融押出したフィルムの上部に設置した電極と回転冷却ドラム間に6kVの直流電圧を印加し、キャスト速度を1m/分ずつ上昇させ、回転冷却ドラム上に連続的に得られた押出未延伸フィルムの表面を目視観察し、フィルム表面に印加ムラが観察されたときのキャスト速度(m/分)が、50m/分以上のものを良好(○)、30m/分以上50m/分未満のものを合格(△)、30m/分未満のものを不合格(×)とし、上記の基準で判断した。
(8)フィルムのスリ傷(スリ傷)
ハロゲンライトを光源として、フィルムを透過光で観察し、フィルムの傷の目立ち易さを評価した。フィルムのスリ傷は、全く傷が見えないものを良好(○)、殆ど傷が分からないものを合格(△)、傷が光り目立つものを不合格(×)と判断した。
[実施例1]
(エステル化反応)
第1エステル化反応槽に、反応槽の気相部からテレフタル酸とエチレングリコールとをテレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比が1.15になるようにスラリー状にして連続的に供給し、温度250〜255℃、圧力0.1MPaで水を留出させながらエステル化反応を行い、エステル化反応率90〜95%のエステル化反応物を得た。得られたエステル化反応物を連続して第2エステル化反応槽へ移送した。
第2エステル化反応槽は温度262℃でエステル化反応を行い、また同時に、反応槽の気相部から、水酸化カリウムを含むエチレングリコール溶液とリン酸を含むエチレングリコール溶液を別々に、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して、カリウム含有量が1.8mol/t、リン含有量が0.97mol/tとなるように連続供給し、エステル化反応率が97%のエステル化反応物を得た。得られたエステル化反応物を連続して第3エステル化反応槽へ移送した。
第3エステル化反応槽は温度270℃、真空度0.009MPaでエステル化反応を行い、エステル化反応率99%のエステル化反応物を得た。また同時に、酢酸マンガン4水和物を含むエチレングリコール溶液、酢酸マグネシウム4水和物を含むエチレングリコール溶液と三酸化アンチモンを含むエチレングリコール溶液を、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して、マンガンが0.60mol/t、マグネシウムが1.50mol/t、アンチモンが0.66mol/tになるように連続供給した。
(重縮合反応)
第1重縮合反応槽は温度284℃、真空度0.002MPaで反応を行い、第2重縮合反応槽に連続的に移送した。
第2重縮合反応槽は温度291℃、真空度0.0004MPaで重縮合反応を行い、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の固有粘度が0.625相当の溶融粘度に達した時点で、第1重縮合反応槽からの供給口とは反対方向の反応槽下部にある取り出し口からギアポンプで取り出し、口金より冷水中にストランド状に吐出し、押し出しカッターによって円柱状にペレット化し、表面結晶化装置によって予備結晶化し、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率は2.5%、溶融比抵抗は7.0×10Ω・cm、ΔIV/IVは0.15であった。
(フィルム成形)
得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を150℃で3時間乾燥し、押し出し機に供給し、285℃で溶融押し出しを行い、静電印加された20℃のキャスティングドラム上にキャストし未延伸シートを得た。この未延伸シートを90℃に加熱された延伸ロールによって長手方向に3.1倍延伸し、次いでテンター式延伸機によって120℃で幅方向に3.7倍延伸し、その後230℃で熱固定し、搬送工程にて冷却させた後、ロールに巻き取り、厚さ38μmのフィルムを得た。得られたフィルムの欠点、静電印可キャスト性及びスリ傷は良好であった。
[実施例2〜5]
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のマンガンの含有量を変更し、かつMn/(Mn+Mg)×100の値が29%、(Mn+Mg+A/2)/Pの値が3.1になるようにマグネシウムとリンの含有量を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2、表3に示す。
実施例2においては、マンガンの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して0.29mol/tとなるよう酢酸マンガン4水和物の添加量を変更し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びフィルムの特性は良好であった。
実施例3においては、マンガンの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して1.50mol/tとなるよう酢酸マンガン4水和物の添加量を変更し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びフィルムの特性は良好であった。
実施例4においては、マンガンの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して0.20mol/tとなるよう酢酸マンガン4水和物の添加量を変更したことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率が増加し、得られたフィルムの欠点は悪化したが、使用できる範囲のものであった。
実施例5においては、マンガンの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して1.70mol/tとなるよう酢酸マンガン4水和物の添加量を変更したことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率及びΔIV/IVが増加し、得られたフィルムの欠点及びスリ傷は悪化したが、使用できる範囲のものであった。
[実施例6〜8]
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のカリウムの含有量を変更し、かつ(Mn+Mg+A/2)/Pの値が3.1になるようにリンの含有量を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2、表3に示す。
実施例6においては、カリウムの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して1.0mol/tになるよう水酸化カリウムの添加量を変更し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びフィルムの特性は良好であった。
実施例7においては、カリウムの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して4.0mol/tになるよう水酸化カリウムの添加量を変更し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びフィルムの特性は良好であった。
実施例8においては、カリウムの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して0.8mol/tになるよう水酸化カリウムの添加量を変更したことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率及びΔIV/IVが増加し、得られたフィルムの欠点及びスリ傷は悪化したが、使用できる範囲のものであった。
[実施例9〜12]
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のMn/(Mn+Mg)×100の値を変更し、かつ(Mn+Mg+A/2)/Pの値が3.1になるようにマグネシウムとリンの含有量を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2、表3に示す。
実施例9においては、Mn/(Mn+Mg)×100の値を23%に変更し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びフィルムの特性は良好であった。
実施例10においては、Mn/(Mn+Mg)×100の値を60%に変更し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びフィルムの特性は良好であった。
実施例11においては、Mn/(Mn+Mg)×100の値を20%に変更したことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率が増加し、得られたフィルムの欠点は悪化したが、使用できる範囲のものであった。
実施例12においては、Mn/(Mn+Mg)×100の値を70%に変更したことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のΔIV/IVが増加し、得られたフィルムのスリ傷は悪化したが、使用できる範囲のものであった。
[実施例13〜16]
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のリンの含有量を変更し、(Mn+Mg+A/2)/Pの値を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2、表3に示す。
実施例13においては、(Mn+Mg+A/2)/Pの値を2.3に変更し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びフィルムの特性は良好であった。
実施例14においては、(Mn+Mg+A/2)/Pの値を4.2に変更し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びフィルムの特性は良好であった。
実施例15においては、(Mn+Mg+A/2)/Pの値を2.0に変更したことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融比抵抗が増加し、得られたフィルムの静電印可キャスト性は悪化したが、使用できる範囲のものであった。
実施例16においては、(Mn+Mg+A/2)/Pの値を4.5に変更したことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率及びΔIV/IVが増加し、得られたフィルムの欠点及びスリ傷は悪化したが、使用できる範囲のものであった。
[実施例17〜18]
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のアルカリ金属の種類を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2、表3に示す。
実施例17においては、水酸化カリウムを酢酸リチウム二水和物に変更し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びフィルムの特性は良好であった。
実施例18においては、水酸化カリウムを酢酸ナトリウム三水和物に変更したことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融比抵抗が増加し、得られたフィルムの静電印可キャスト性は悪化したが、使用できる範囲のものであった。
[実施例19〜24]
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のアンチモンの含有量を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2、表3に示す。
実施例19においては、アンチモンの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して0.49mol/tになるよう三酸化アンチモンの添加量を変更し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びフィルムの特性は良好であった。
実施例20においては、アンチモンの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して0.82mol/tになるよう三酸化アンチモンの添加量を変更し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びフィルムの特性は良好であった。
実施例21においては、アンチモンの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して0.33mol/tになるよう三酸化アンチモンの添加量を変更し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びフィルムの特性は良好であった。
実施例22においては、アンチモンの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して0.99mol/tになるよう三酸化アンチモンの添加量を変更し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びフィルムの特性は良好であった。
実施例23においては、アンチモンの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して0.29mol/tになるよう三酸化アンチモンの添加量を変更したことにより、重合活性が低くなってしまい、第2重縮合反応槽の温度を2℃上昇させ反応を行い、その結果熱履歴が増えたことで、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率が増加し、得られたフィルムの欠点は悪化したが、使用できる範囲のものであった。
実施例24においては、アンチモンの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して1.03mol/tになるよう三酸化アンチモンの添加量を変更したことにより、アンチモンによる活性が強まったことで、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率が増加し、得られたフィルムの欠点は悪化したが、使用できる範囲のものであった。
[比較例1〜2]
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のマンガンの含有量を変更し、かつMn/(Mn+Mg)×100の値が29%、(Mn+Mg+A/2)/Pの値が3.1になるようにマグネシウムとリンの含有量を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2、表3に示す。
比較例1においては、マンガンの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して0.15mol/tとなるよう酢酸マンガン4水和物の添加量を変更し、マンガンの含有量が少なくなったことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率が増加し、得られたフィルムの欠点は不良であった。
比較例2においては、マンガンの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して1.75mol/tとなるよう酢酸マンガン4水和物の添加量を変更し、マンガンの含有量が多くなったことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率及びΔIV/IVが増加し、得られたフィルムの欠点及びスリ傷は不良であった。
[比較例3]
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のカリウムの含有量を変更し、かつ(Mn+Mg+A/2)/Pの値が3.1になるようにリンの含有量を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2、表3に示す。
比較例3においては、カリウムの含有量が得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して0.6mol/tとなるよう水酸化カリウムの添加量を変更し、カリウムの含有量が少なくなったことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率及びΔIV/IVが増加し、得られたフィルムの欠点及びスリ傷は不良であった。
[比較例4〜5]
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のMn/(Mn+Mg)×100の値を変更し、かつ(Mn+Mg+A/2)/Pの値が3.1になるようにマグネシウムとリンの含有量を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2、表3に示す。
比較例4においては、Mn/(Mn+Mg)×100の値を18%に変更したことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率が増加し、得られたフィルムの欠点は不良であった。
比較例5においては、Mn/(Mn+Mg)×100の値を75%に変更したことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のΔIV/IVの値が増加し、得られたフィルムのスリ傷は不良であった。
[比較例6〜7]
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のリンの含有量を変更し、(Mn+Mg+A/2)/Pの値を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2、表3に示す。
比較例6においては、(Mn+Mg+A/2)/Pの値を1.8に変更したことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融比抵抗が増加し、得られたフィルムの静電印可キャスト性は不良であった。
比較例7においては、(Mn+Mg+A/2)/Pの値を4.8に変更したことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率及びΔIV/IVが増加し、得られたフィルムの欠点及びスリ傷は不良であった。
[比較例8]
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のカリウム、マグネシウムの含有量を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2、表3に示す。
比較例8においては、カリウム、マグネシウムの含有量がポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して0.1mol/t、0.21mol/tになるよう水酸化カリウム、酢酸マグネシウム4水和物を変更し、(Mn+Mg+A/2)/Pの値が1.1になったことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融比抵抗が増加し、得られたフィルムの静電印可キャスト性は不良であった。
[比較例9]
第1エステル化反応槽に酢酸マンガン4水和物、酢酸マグネシウム4水和物、酢酸ナトリウム三水和物を、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対してマンガンが0.91mol/t、マグネシウムが4.11mol/t、ナトリウムが4.3mol/tになるように添加し、第2エステル化反応槽に三酸化アンチモン、トリメチルホスフェートとジメチルフェニルホスホネートとをモル比が1:2になるように溶解したエチレングリコール溶液を、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対してアンチモンが2.05mol/t、リンがそれぞれ、0.97mol/tになるように添加し、第3エステル化反応槽にトリメチルホスフェートとジメチルフェニルホスホネートとをモル比が1:2になるように溶解したエチレングリコール溶液を、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対してリンが3.88mol/tになるように添加した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1、表2、表3に示す。Mn/(Mn+Mg)×100の値が18%、(Mn+Mg+A/2)/Pの値が1.5になったことにより、ポリチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率、溶融比抵抗が増加し、得られたフィルムの欠点及び静電印可キャスト性は不良であった。
[比較例10]
回分式の重合設備を用いて、245〜250℃で溶融貯留したエステル化反応物に、モル比1.1のテレフタル酸、エチレングリコールのスラリーを連続的に供給して水を留出させながらエステル化反応を行った。エステル化反応が終了した後、得られたエステル化反応物を重縮合反応缶に移行し、酢酸マグネシウム4水和物を得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対してマンガンが3.79mol/tになるように添加し、その5分のちに、トリメチルホスフェートを得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対してリンが2.65mol/tになるように添加し、さらにその5分のちに三酸化アンチモンとリン酸水素一ナトリウムを、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対してアンチモンが2.05mol/t、ナトリウムが2.0mol/tになるように添加し、続いて反応系を常圧から100Paまで徐々に下げ、290℃まで昇温して重縮合反応を終了させポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。結果を表1、2、3に示す。マンガンが3.79mol/t、Mn/(Mn+Mg)×100の値が100%、(Mn+Mg+A/2)Pの値が1.8になったことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のゲル化率、溶融比抵抗、ΔIV/IVが増加し、得られたフィルムの欠点、静電印可キャスト性及びスリ傷は不良であった。
Figure 2021127452
Figure 2021127452
Figure 2021127452

Claims (3)

  1. ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の重量に対するマンガン、マグネシウム、アルカリ金属及びリンの含有量(mol/t)が下記(1)〜(4)を満足することを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
    0.20≦Mn≦1.70 mol/t ・・・(1)
    0.8≦A mol/t ・・・(2)
    20≦Mn/(Mn+Mg)×100≦70 % ・・・(3)
    2.0≦(Mn+Mg+A/2)/P≦4.5 ・・・(4)
    (ここで、Mnはマンガン、Mgはマグネシウム、Aはアルカリ金属、Pはリンのポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中に含まれる総モル量を示す。)
  2. アルカリ金属がカリウム又はリチウムであることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. アンチモンの含有量が0.33〜0.99mol/tであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
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