JP4266484B2 - フィルム用ポリアルキレンナフタレート、その製造法及びそれからなるフィルム - Google Patents

フィルム用ポリアルキレンナフタレート、その製造法及びそれからなるフィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフィルム用ポリアルキレンナフタレート組成物、その製造法及びそれからなるフィルムに関し、さらに詳しくは、ポリカルボン酸成分を含むチタン化合物及びエステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩化合物を特定量含有し、フィルムの表面平坦性及び高速製膜性に優れたフィルム用ポリアルキレンナフタレート組成物、その製造法及びそれからなるフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とするポリアルキレンナフタレート、中でもポリエチレンナフタレートは優れた物理的、化学的性質を有することから、繊維、フィルム、樹脂等に利用されている。中でもポリエチレンナフタレートは、強度、耐熱性、耐薬品性等の諸特性とコストを両立させるポリマーとして、写真用フィルム、磁気テープ用フィルムなどに使用されている。
【0003】
ポリエチレンナフタレートフィルムは通常、ポリエチレンナフタレートを口金より溶融押出し、押出したフィルム状溶融物を回転冷却ドラム表面で急冷して未延伸フィルムとし、続いて該未延伸フィルムを縦、横方向に延伸して製造される。この場合、フィルムの表面欠点を無くし厚みの均一性を高める為には、フィルム状溶融物と回転冷却ドラムの表面との密着性を高める必要がある。この方法として、口金から押出されたフィルム状溶融物が回転冷却ドラムの表面に接する点かその近傍で、該ドラムと反対側の空間でかつフィルム状溶融物の幅方向にワイヤー状の金属電極(以下、静電ワイヤーという)を設け、該電極に電圧を印加することで該フィルム状溶融物の表面に静電荷を印加させる方法(以下、静電キャスト法という)が知られている。
【0004】
フィルム製膜において生産性を高めて製造コストを低減することは、フィルム品質の向上とともに重要な課題であるが、そのためには前記回転冷却ドラムの周速を速くして製膜速度を向上させることが最も効果的な方法である。しかし、前記静電キャスト法において回転冷却ドラムの周速を速めていくと、フィルム状溶融物表面への単位面積当りの静電荷量が少なくなって回転冷却ドラムとの密着性が低下し、フィルム表面上に欠点が生じたり、フィルム厚みが不均一になったりするなどの問題が生じる。この密着性を高めるべく前記電極に印加する電圧を高めてフィルム状溶融物上に析出させる静電荷量を多くする方法を講じることも出来るが、印加電圧を高めすぎると、電極と回転冷却ドラムの間にアーク放電が生じ、冷却ドラム面上のフィルム状溶融物が破壊され、冷却ドラム表面にも損傷を与えることがある。したがって、電極に印加する電圧はある程度以上に高めることは実質上不可能である。
【0005】
このような静電キャスト法の限界を克服し、製膜速度を向上させる方法として、溶融ポリマーの比抵抗または交流体積抵抗率を下げる方法が知られている。
【0006】
例えば、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物をポリマーに含有させて、ポリマーの比抵抗を1010Ωcm以下にする方法が知られている。また、ポリマーの酸成分に対し0.1〜45mmol%のエステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩を重合鎖体中に含有させて溶融ポリマーの交流体積抵抗率の値を6.5×108Ωcm以下にする方法(特公平7−5765号公報)が知られている。
【0007】
ポリエステルの製造反応は通常触媒の存在下で行われる。特に、アンチモン化合物(触媒)は重縮合反応速度が速く、得られるポリエステルの熱安定性、末端カルボキシル基量、軟化点等の諸特性に優れ、広く用いられている。しかし、アンチモン化合物はポリマー及びフィルムの製造過程で析出することが多く、析出粒子がフィルム表面に小さい突起を形成し、表面欠点のトラブルを惹起することが知られている(特開平8−53541号公報)。特にフィルムの平坦性及び均一性が要求される、ビデオ用蒸着テープに代表される高密度磁気記録媒体用フィルムにおいては、このような微小突起が存在するとエラー(ドロップアウト)の原因となり、好ましくない。
【0008】
ポリエステルの重縮合反応触媒としては、上記のアンチモン化合物のほかに例えば特公昭47−15703号公報、特公昭47−16193号公報、特公昭47−42756号公報などにゲルマニウム化合物が、特開昭48−31293号公報、特開昭52−33996号公報ではチタン化合物の使用が開示されている。しかるに、ゲルマニウム化合物はアンチモン化合物のような析出物を生成することはないが、重縮合反応中での副反応が大きく、得られるポリエステルの軟化点が低く、フィルムの機械的強度が低下する欠点がある。また、チタン化合物は重縮合反応速度が極めて速く、アンチモン化合物のような析出物は生成しないものの、得られるポリエステルの熱安定性が悪くなる欠点がある。
【0009】
また、ビデオ用蒸着テープのベースフィルムは表面の超平坦化が要求されるため、その製造においてフィルムの走行性、巻き取り性を確保することが困難となる。そこで、フィルム表面への易滑処理(プライマー層の塗設等)が施されるが、このためフィルム製膜時の熱固定温度を通常の温度(205〜220℃)より高め(230〜240℃)に設定する必要が生じる。このような条件での製膜において、フィルム破断等のトラブルにより熱固定装置(ステンター)内でフィルムの送行が停止すると、高温下で薄膜のポリエステルが乾熱処理されることになり、驚くほど短時間でポリマー劣化が進み、フィルムが微細な粉末状となってステンター内に付着し、その後の製膜時に巻き込み異物となる問題(以後、本劣化現象を乾熱劣化という)を生じることが判った。これは触媒としてアンチモン化合物を使用すれば発生せず、チタン化合物、ゲルマニウム化合物を使用した場合に発生し、特にチタン化合物で顕著である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、特定のチタン化合物(触媒)とエステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩を特定量含有するポリアルキレンナフタレートは、触媒に基因する析出物がなく、かつ静電キャスト性に優れ、高い生産性で、表面の平坦性と均一性に優れた高密度磁気記録媒体用フィルムを製造することが出来ることを見出し、本発明に到達したものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とするポリアルキレンナフタレ−ト組成物であって、ポリカルボン酸成分を含むチタン化合物及びエステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩化合物を下記式(1)、(2)
0.1<Ti≦10.0 (1)
0.01<S≦100.0 (2)
(上式中、Ti、Sはそれぞれ、チタン化合物、エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩化合物、のポリアルキレンナフタレ−トの全酸成分に対する割合(単位:mmol%)である)を満足する量を含有することを特徴とするフィルム用ポリアルキレンナフタレート組成物である。
【0012】
本発明は、さらに、ナフタレンジカルボン酸を主とするジカルボン酸のエステル形成性誘導体と脂肪族グリコールを主とするグリコールとを反応させ、次いで反応生成物を重縮合反応させて前記フィルム用ポリアルキレンナフタレートを製造する際に、該重縮合反応を開始する迄の任意の段階でポリカルボン酸成分を含むチタン化合物を添加し、かつ重縮合反応開始前に、エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩を添加することを特徴とするフィルム用ポリアルキレンナフタレート組成物の製造法である。
【0013】
本発明は、さらに、前記ポリアルキレンナフタレート組成物からなる二軸延伸フィルム、特に高密度磁気記録媒体用二軸延伸フィルムである。
【0014】
本発明におけるポリアルキレンナフタレートは、ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルである。ここで、“主たる”とは、それぞれ70mol%以上、好ましくは80mol%以上であることをいう。このポリエステルは実質的に線状であり、そしてフィルム形成性、特に溶融成形によるフィルム形成性を有する。
【0015】
前記ナフタレンジカルボン酸としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等が好ましく例示できる。
【0016】
エステル交換法によって本ポリマーを製造する場合には、これらジカルボン酸のエステル形成性誘導体(たとえば、低級アルキルエステル)を原料として用いる。このエステル形成性誘導体としては、例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジエチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジメチル等を挙げることができ、中でも工業的に容易に入手できる2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルは好ましいものの一つである。
【0017】
また、前記脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の如き炭素数2〜10のポリメチレングリコールあるいは1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオールを例示することができる。中でもエチレングリコールが好ましい。
【0018】
本発明におけるポリアルキレンナフタレートは、その特徴が損なわれない範囲で、少量の共重合成分(第三成分)を共重合したコポリマーであっても構わない。
【0019】
この第三成分としては、例えばエチレングリコールを主成分とする場合、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオールを挙げることができる。中でも好ましいのはジエチレングリコールである。ジエチレングリコールの好ましい含有量は、ポリアルキレンナフタレートの重量に対して0.4〜3重量%である。ジエチレングリコールの量が0.4重量%未満の場合は、ポリマーの結晶化が抑制されず、溶融エネルギーが大きくなるため、溶融押出し時未溶融ポリマーが残留し、フィルム表面に粗大突起を形成するので好ましくない。一方、3重量%を超えると、フィルム形成後の強度、例えばヤング率が低下し、耐久性に劣ったものとなるので好ましくない。
【0020】
また、第三成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等のジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3官能以上の多価カルボン酸などが例示できる。かかる酸成分は、エステル交換法の場合にエステル形成性誘導体として用いられたものをも含む。これらの中で好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸及びこれらのエステル形成性誘導体である。テレフタル酸、イソフタル酸成分は、全ジカルボン酸成分の20mol%以下、さらには10mol%以下とすることが、本発明の効果を損ねないため好ましい。全ジカルボン酸成分中のテレフタル酸またはイソフタル酸成分の割合が20mol%を越える場合には、フィルムとした際の機械物性が低下し易いため好ましくない。
【0021】
また、本発明におけるポリアルキレンナフタレートには本発明の効果を損なわない限り、例えばヒドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸、ω−ヒドロキシカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシカルボン酸に由来する成分を含んでいてもかまわない。
【0022】
さらに、本発明におけるポリアルキレンナフタレートには、表面平坦性、乾熱劣化性などの物性を損なわない範囲で、光安定剤、酸化防止剤、遮光剤等の添加剤を必要に応じて含有させることができる。
【0023】
上記ポリエチレンナフタレートとしては、o−クロロフェノール中の溶液として35℃で測定して求めた固有粘度が約0.4〜約0.9のものが好ましい(以下、特に断らない限り、固有粘度はo−クロロフェノール中の溶液として35℃で測定して求めた値とする)。
【0024】
本発明におけるポリアルキレンナフタレートは、ポリエステルを製造する公知の方法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸エステルとグリコールをエステル交換反応により反応させ後、重縮合反応を行う方法や、ジカルボン酸とグリコールを脱水反応、いわゆる直接エステル化反応させた後、重縮合反応を行う方法などである。好ましい製造法として、ナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体と脂肪族グリコールをエステル交換触媒の存在下加熱してエステル交換反応を行い、次いで重縮合反応触媒の存在下に重縮合反応を行う方法が挙げられる。
【0025】
本発明におけるポリアルキレンナフタレートは、ポリカルボン酸成分を有するチタン化合物を式(1)を満たす量を含有していることが必要である。このチタン化合物は重縮合反応触媒として用いられたものである。
0.1<Ti≦10.0 (1)
(上式中、Tiはチタン化合物の、ポリアルキレンナフタレートの全酸成分に対する割合(単位:mmol%)である)
【0026】
より好ましいチタン(Ti)量としては、5mmol%以下である。この量が10mmol%を超えると、チタン化合物(触媒)基因による乾熱劣化が発生しやすくなる。一方、0.1mmol%未満では重縮合反応が極端に遅くなってしまうため好ましくない。
【0027】
前記チタン化合物を構成するポリカルボン酸成分としては、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ポリアクリル酸、コハク酸、マレイン酸等を例示することができる。
【0028】
前記チタン化合物の具体例としては、トリメリット酸チタン、ポリアクリル酸チタン等を挙げることができる。その中でも、副反応抑制効果の高いトリメリット酸チタンが好ましい。
【0029】
前記チタン化合物は重縮合反応開始迄の任意の段階で添加する。例えばエステル交換反応開始前に添加しても、エステル交換反応中、エステル交換反応終了後、エステル化反応終了後、あるいは重縮合反応の直前に添加してもかまわない。
【0030】
本発明におけるポリアルキレンナフタレートは、エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩を、ポリマー鎖中に化学結合状態で又はポリマー中に混合状態で、次式(2)を満たす量を含有することが必要である。
0.01<S≦100.0 (2)
(上式中、Sはエステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩、のポリアルキレンナフタレートの全酸成分に対する割合(単位:mmol%)である)
【0031】
より好ましいSは80mmol%以下、特に好ましいSは50mmol%以下である。この値が100mmol%を超える場合には、製膜工程における静電ワイヤー部分での汚れがひどく、頻繁に清掃を行う必要があり、生産上好ましくない。一方、0.01mmol%以下の場合には、フィルム状溶融物の回転冷却ドラム面への静電密着性が悪くなり、生産性が悪化してしまう。
【0032】
前記エステル形成性官能基を有するスルホン酸ホスホニウム塩としては、例えば下記式
【0033】
【化1】
Figure 0004266484
【0034】
(ここで、Aは炭素数6〜18の芳香環を含む基であり、Y1及びY2は同一もしくは異なり、水素原子またはエステル形成性官能基であり(ただし、Y1及びY2が同時に水素原子であることはない)、nは1または2であり、そしてR1、R2、R3およびR4は同一もしくは異なり、炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基または炭素数6〜12のアリール基である。)
で表わされる化合物が好ましく挙げられる。
【0035】
上記式において、Aは炭素数6〜18の芳香環を含む基であり、例えばベンゼン骨格、ナフタレン骨格あるいはビフェニル骨格を含む基が好ましいものとして挙げられる。かかる芳香環は、Y1、Y2及びスルホン酸4級ホスホニウム塩基のほかに、例えば炭素数1〜12のアルキル基等で芳香核水素が置換されいてもよい。
【0036】
1及びY2は水素原子またはエステル形成性官能基であるが、同時に水素原子であることはない。このエステル形成性官能基としては、例えば−COOH、−COOR’、−OCOR’、−(CH2nOH、−(OCH2nOH等を挙げることができる。これらの基中、R’は炭素数1〜4の低級アルキル基またはフェニル基であり、nは1〜10の整数である。R’としてはメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル等を好ましいものとして挙げることができる。
【0037】
また、スルホン酸4級ホスホニウム塩の塩基部分P+1234を構成するR1、R2、R3およびR4は同一もしくは互いに異なり、炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基または炭素数6〜12のアリール基である。炭素数1〜18のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ドデシル、ステアリルなどを挙げることができる。また炭素数6〜12のアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル等を挙げることができる。
【0038】
上記スルホン酸4級ホスホニウム塩の好ましい具体例としては、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、4−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ビスフェノールA−3,3−ジ(スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等を挙げることができる。上記スルホン酸4級ホスホニウム塩は一種のみを単独で用いても二種以上併用してもよい。
【0039】
本発明においては、ポリアルキレンナフタレートの溶融時の交流体積抵抗率が2.0×108Ωcm以下となるように、上記スルホン酸4級ホスホニウム塩をポリアルキレンナフタレート中に含有させることが好ましい。溶融時の交流体積抵抗率が2.0×108Ωcm以下のポリアルキレンナフタレートは、比較的速く回転する冷却ドラム上にも密着するに十分な電荷量を付与でき、本発明のひとつの目的である製膜速度の向上を達成することができる。ポリアルキレンナフタレートの溶融時の交流体積抵抗率の値は2.0×108〜6.0×106Ωcmの範囲にあることが好ましい。
【0040】
前記スルホン酸4級ホスホニウム塩は、前述したように、ポリアルキレンナフタレート主鎖中に含有、つまり共重合されていても、または単にポリマー中に混合されているだけでもかまわない。どちらの状態で含有されていたとしても、製膜速度の向上は達成することができる。
【0041】
本発明において、エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩をポリアルキレンナフタレートに含有させる方法としては、効率良く含有させる方法であれば特に限定はないが、ポリアルキレンナフタレートの合成が終了する迄の任意の段階で添加する方法を用いるのが好ましい。さらに好ましくは、ポリアルキレンナフタレートの重縮合反応開始前に添加することである。
【0042】
また、上記の方法等により製造した、エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩を高濃度で含有するポリアルキレンナフタレートを、フィルムの製造段階において、スルホン酸4級ホスホニウム塩成分を含有しないポリアルキレンナフタレートとブレンドし、所定の含有量とした後にフィルム溶融成形する方法も用いることができる。また、フィルムの製造段階において、溶融押出し直前にポリアルキレンナフタレートにスルホン酸4級ホスホニウム塩をドライブレンドして所定の含有量とした後にフィルム溶融成形する方法も用いることができる。
【0043】
本発明におけるポリアルキレンナフタレートは、前記チタン化合物のほかに、カルシウム化合物、マグネシウム化合物及びリン化合物を下記式(3)〜(5)を同時に満たす量を含有することが好ましい。
10≦(Mg+Ca)≦120 (3)
0.5≦Mg/Ca≦10.0 (4)
0.5≦(Mg+Ca)/P≦10.0 (5)
(上式中、Mg、Ca、Pはそれぞれ、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩化合物を含む全リン化合物、のポリアルキレンナフタレートの全酸成分に対する割合(単位:mmol%)である。)
【0044】
前記カルシウム化合物及びマグネシウム化合物としては、反応系に可溶な化合物が好ましく、さらには酸化物、塩化物、炭酸塩、カルボン酸塩等が好ましく、特に酢酸塩すなわち酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムが好ましい。
【0045】
前記カルシウム化合物及びマグネシウム化合物の添加時期はポリエステル製造工程のどの段階で添加してもかまわない。
【0046】
前記カルシウム化合物及びマグネシウム化合物は、ポリアルキレンナンフタレートの溶融時比抵抗を低下させる効果を有するが、ポリマー製造段階の反応としてナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体、特にジメチルエステルと脂肪族グリコールを用いるエステル交換反応を採用する場合には、エステル交換反応触媒としても用いることができる。そのために、エステル交換反応触媒としても用いるときは、エステル交換反応開始前に添加することになる。
【0047】
触媒として機能させる必要が無ければ、カルシウム化合物、マグネシウム化合物の添加は反応ポリマーの固有粘度が0.2に到達する迄に行うことが、これら化合物をポリマー中に均一に分散させることが容易であるため、好ましい。なお、添加順序は両化合物を同時添加または別々に時間をずらして添加してもかまわない。
【0048】
本発明においてカルシウム化合物、マグネシウム化合物の添加量は、例えばエステル交換法でポリアルキレンナフタレートを製造する場合、全ジカルボン酸成分に対しカルシウム及びマグネシウムの含有量が、合計10〜120mmol%、好ましくは20〜110mmol%、特に好ましくは30〜100mmol%となる量である。以下、mmol%とは、全ジカルボン酸成分に対する各元素のmmol%単位の量を示す。この量が120mmol%を超えると、触媒残査による析出粒子の影響でフィルムに成形したときに表面平坦性が悪化し好ましくなく、他方10mmol%未満ではエステル交換反応が不十分となるばかりか、その後の重合反応も遅く好ましくない。
【0049】
また、カルシウムに対するマグネシウムのモル比は、好ましくは0.5〜10.0、さらに好ましくは0.5〜9.0、特に好ましくは2.0〜8.0である。この比が0.5未満では、触媒残査による析出粒子の影響でフィルムに成形した場合に表面平坦性が悪化してしまう。一方、10.0を超える場合には、フィルムとした際の諸特性が悪化してしまい好ましくない。
【0050】
さらに、前記リン化合物はエステル交換反応触媒の一部を失活させる作用を奏するが、エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩を含めた全リン元素量に対する、エステル交換反応触媒すなわちカルシウム及びマグネシウム元素の合計のモル比が0.5〜10.0、さらに1.0〜7.0、特に2.0〜7.0であることが好ましい。この量比が10.0を超えると、触媒残査による析出粒子の影響でフィルムに形成した場合に表面平坦性が悪化し好ましくなく、他方0.5未満ではエステル交換反応触媒に対し過剰量のリン化合物があることとなり、重縮合反応が遅くなってしまい好ましくない。
【0051】
本発明において、上記のリン化合物は、エステル交換反応またはエステル化反応が実質的に終了した後、添加することが好ましい。添加に際しては、一括または2回以上に分割して添加しても良い。
【0052】
本発明におけるリン化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、リン酸などが好ましく挙げられる。さらに好ましくはトリメチルホスフェートである。
【0053】
また、本発明において、本発明の効果を妨げない範囲で、微量の他の金属が含まれていてもよく、例えば、Zn、Co、Mn、K、Na等の元素が含まれていてもよい。
【0054】
本発明におけるポリアルキレンナフタレートは、触媒に基因するポリマー不溶物の量が無いか極めて少なく、しかもフィルム製膜性に優れ、特に高密度磁気記録媒体用フィルムの成形用原料として有用である。
【0055】
したがって、本発明のポリアルキレンナフタレート組成物によれば、耐乾熱劣化性、表面平坦性に優れた二軸延伸フィルム、特に高密度磁気記録媒体用フィルを高い生産性で製造することができる。
【0056】
このポリアルキレンナフタレートをフィルムに成形する手段としては公知の方法を用いることができる。例えば、乾燥したポリアルキレンナフタレートを、(Tm)〜(Tm+65)℃(Tmはポリアルキレンナフタレートの融点℃である)の温度範囲でシート状に溶融押出し、急冷固化して未延伸フィルム(シート)を得る。次いで該未延伸フィルムを縦方向に延伸した後、横方向に延伸する、いわゆる縦・横逐次二軸延伸法あるいは、この順序を逆にして延伸する方法などにより延伸する。この延伸温度、延伸倍率等は公知の条件から適宜選ぶことができる。例えば、延伸温度は70〜180℃の範囲から、また延伸倍率は一軸方向に2.7倍以上、面積倍率で9〜35倍の範囲から選択するのが好ましい。得られる二軸延伸フィルムは、好ましくは後述の実施例でのべる表面の微小突起数が5個/mm2以下である。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例における種々の物性および特性の測定方法、定義は以下の通りである。また、「部」は重量部を意味する。
【0058】
(1)平坦性
フィルム小片の表面にアルミスパッターを施した後、光学顕微鏡にて微分干渉光を照射しつつ倍率200倍で3mm×3mmの範囲を観察し、長径3μm以上の突起数をカウントして、1mm2当たりの突起数を微小突起数とする。そして、この微小突起数が少ないフィルムほど、フィルム表面が滑らかな平坦性に優れたものであることから、フィルム表面の平坦性を、この微小突起数によって以下の通り、評価する。
<4段階判定>
◎ : 突起数が5個/mm2未満
○ : 突起数が5〜10個/mm2
× : 突起数が10〜50個/mm2
××: 突起数が50個/mm2
【0059】
(2)ポリマー中の析出粒子
ポリエステルフィルムにつき、磁性層及びインラインコーティング層等がある場合はこれらを強アルカリ水又は有機溶剤等で剥離除去した後、蒸留水で十分洗浄し乾燥する。磁性層等がない場合も蒸留水で十分洗浄し表面付着物を除去し乾燥する。
【0060】
ポリエステルフィルムを100g採取して、これにo−クロロフェノール1kgを加え攪拌しつつ120〜140℃まで昇温し、約3〜5hr保持しポリエステルを溶解させる。但し、結晶化部分などが溶解しない場合は、一度、加温されたo−クロロフェノールを急冷した後、再度、前出の溶解作業を行う。
【0061】
次に、ポリエステル中に含有されているゴミ等を除去するため、前記のo−クロロフェノール溶解液をG−1ガラスフィルターで濾過し、この残査重量は試料重量から差し引く。
【0062】
日立製作所製超遠心分離機(55P−7型、ローター形式RP−30−2)にて前記のG−1ガラスフィルター濾過液を30000rpmで1hr処理し、o−クロロフェノール溶解液中の粗粒子の遠心分離を行う。粒子沈降の確認は遠心分離処理の前後で375nm(375mμ)の波長の光におけるo−クロロフェノール溶解液の光線透過率を測定し、分離後の液の光線透過率の値が、分離前のそれに比べ高い値または同じ値になっていることを確認する。遠心分離後上澄み液を傾斜法で除去し、分離粒子を取り出す。分離粒子には遠心分離が不十分なことによるポリエステル成分の混入がある場合があるので、取り出した該分離粒子に常温のo−クロロフェノールを加え、超音波分散機などで、該分離粒子を均一に分散させた後、再度、超遠心分離処理を行う。この操作は上澄み液中にメタノール等の有機溶剤を過剰に加えた際、ポリエステル成分の再沈が見られなくなるまで繰り返す。
【0063】
このようにして取出した分離粒子(A)を100℃、8hrで真空乾燥して秤量する。ここで得られた分離粒子(A)が触媒金属元素を起因とする析出粒子である。
【0064】
(3)静電密着性
ポリマーを180℃で乾燥した後305℃で溶融押出し、40℃に保持したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸フィルムを巻き取る際、静電ピンニング法にて、フィルム厚みむらが小さく、安定して巻き取れる速度により、静電密着性を評価する。
○: 巻取り速度 60m/分以上
△: 巻取り速度 30m/分以上且つ60m/分未満
×: 巻取り速度 30m/分未満
【0065】
(4)フィルムの乾熱劣化性
フィルムを固定枠に均一に張り、予め加熱された熱風乾燥機にフィルムをいれ3分間処理する。(処理条件は温度=240℃,雰囲気=Air中)処理後フィルムを取出し、劣化を手触し評価する。
[3段階判定]
◎: フィルムが殆ど劣化しておらず、手で強く引っ張っても破れない
△: フィルムは形状を保っているが、手で強く引っ張ると破れる
×: フィルムは微粉状となっており、著しく劣化している
【0066】
[実施例1]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100部とエチレングリコール60部及びポリマー中の含有量が0.8wt%となる量のジエチレングリコールとを、エステル交換反応触媒としての、表1に示す量の酢酸マグネシウム4水塩及び酢酸カルシウム1水塩の存在下、140℃から245℃に昇温しながらエステル交換反応させ、その後トリメチルホスフェートを表1に示す量添加し、実質的にエステル交換反応を終了させた。次いで、トリメリット酸チタン及び3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を表1に示す量を添加した。その後、反応混合物を重合反応器に移し、295℃まで昇温し26.7Pa以下の高真空下にて重縮合反応させて固有粘度0.61のポリエチレンナフタレートを得た。このポリエチレンナフタレートの290℃における交流体積抵抗率の値は4.0×107Ωcmであった。
【0067】
このポリエチレンナフタレートのペレットを170℃で3時間乾燥した後、押出し機ホッパーに供給し、溶融温度290℃で1mmのスリット状ダイを通して厚み200μmに溶融押出しし、線状電極(印加電圧5000V)を用いて表面仕上げ0.3s程度、表面温度20℃の回転冷却ドラム上に密着固化させた。このとき、密着不良因に基因するフイルムの表面欠点を生じることなく、かつ安定にキャスティングできる回転冷却ドラムの最高速度(周速)は70m/分であった。続いて、この未延伸フイルムを75℃の予熱ロールにて予熱し、低速、高速のロール間で15mm上方より900℃の表面温度のIRヒータ1本にて加熱して3.6倍に延伸し、次いでステンターに供給し、105℃にて横方向に3.9倍に延伸した。得られた二軸延伸フイルムを230℃の温度で5秒間熱固定処理し、厚み14μmの熱固定二軸延伸ポリエチレンナフタレートフイルムを得た。
このフイルムの特性を表2に示す。
【0068】
[実施例2]
2,6−ナフタレンジカルボン酸のビス−β−ヒドロキシエチルエステル120部に2,6−ナフタレンジカルボン酸85部、エチレングリコール30部、表1に示す量の3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩及びポリマー中の含有量が1.0wt%となる量のジエチレングリコールを添加し、210から230℃に昇度しながらエステル化反応を行った。反応により生成する水の量が13部となった時点で反応終了とし、酢酸マグネシウム4水塩及び酢酸カルシウム1水塩およびトリメチルホスフェートを表1に示す量添加して10分間撹拌した後、トリメリット酸チタンを表1に示す量添加した。その後、反応生成物を重合反応器に移し、295℃まで昇温し26.7Pa以下の高真空下にて重縮合反応を行って固有粘度0.61のポリエチレンナフタレートを得た。このポリエチレンナフタレートの290℃における交流体積抵抗率の値は3.5×107Ωcmであった。
【0069】
得られたポリエチレンナフタレートを実施例1と同様に製膜を行い、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムを得た。
このフイルムの特性は表2に示すように、析出粒子が少なく、フィルムの平坦性及び静電密着性に優れたものであった。
【0070】
[実施例3]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100部を、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル91部及びイソフタル酸ジメチルエステル9部に変更する以外は実施例1と同様に行ない、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフイルムを得た。このフイルムの特性は表2に示すように、析出粒子が少なく、フィルムの平坦性及び静電密着性に優れたものであった。
【0071】
[実施例4〜6]
3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、リン酸トリメチル及びトリメリット酸チタンの1:1混合物の量を表1に示す量に変更する以外は実施例1と同様に行い、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフイルムを得た。これらのフイルムの特性は表2に示すように、析出粒子が少なく、フィルムの平坦性及び静電密着性に優れたものであった。
【0072】
[実施例7]
イソフタル酸の量を表2に示す量に変更する以外は実施例3と同様に行い、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフイルムを得た。このフイルムの特性は表2に示すように、析出粒子が少なく、フィルムの平坦性及び静電密着性に優れたものであった。
【0073】
[実施例8]
ナフタレンジカルボン酸以外の酸成分を表2に示す酸成分及び量に変更する以外は実施例3と同様に行い、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフイルムを得た。このフイルムの特性は表2に示すように、析出粒子が少なく、フィルムの平坦性及び静電密着性に優れたものであった。
【0074】
[比較例1〜4]
3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、酢酸マグネシウム、リン酸トリメチル、ジエチレングリコール及びチタニウムテトラブトキシドもしくは三酸化アンチモンを表1に示す量用いる以外は実施例1と同様に行い、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフイルムを得た。これらのフイルムの特性は表2に示すように平坦性及び乾熱劣化性が悪く、析出粒子も実施例1に比べ劣っていた。
【0075】
【表1】
Figure 0004266484
【0076】
【表2】
Figure 0004266484
【0077】
表2の結果から明らかなように、本発明の効果は優れたものである。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、析出粒子が実質的に含まれてなく、耐乾熱劣化性及び静電密着性に優れ、磁気記録媒体、特に高密度磁気記録媒体用フィルムの成形に有用なポリアルキレンナフタレート組成物、及びそれからなるフィルムを効率よく製造することができる。

Claims (10)

  1. 酸成分の70モル % 以上をナフタレンジカルボン酸とグリコール成分の70モル%以上を脂肪族グリコールとするポリアルキレンナフタレ−ト組成物であって、ポリカルボン酸成分を含むチタン化合物及びエステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩化合物を下記式(1)、(2)
    0.1<Ti≦10.0 (1)
    0.01<S≦100.0 (2)
    (上式中、Ti、Sはそれぞれ、チタン化合物、エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩化合物、のポリアルキレンナフタレ−トの全酸成分に対する割合(単位:mmol%)である)
    を満足する量を含有することを特徴とするフィルム用ポリアルキレンナフタレート組成物
  2. チタン化合物のポリカルボン酸成分が芳香族ポリカルボン酸である請求項1に記載のフィルム用ポリアルキレンナフタレート組成物
  3. ポリアルキレンナフタレートがマグネシウム化合物、カルシウム化合物及びリン化合物をそれぞれ、下記式(3)〜(5)
    10≦(Mg+Ca)≦120 (3)
    0.5≦Mg/Ca≦10.0 (4)
    0.5≦(Mg+Ca)/P≦10.0 (5)
    (上式中、Mg、Ca、Pはそれぞれ、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩化合物を含む全リン化合物、のポリアルキレンナフタレートの全酸成分に対する割合(単位:mmol%)である)
    を満足する量を含有する請求項1に記載のフィルム用ポリアルキレンナフタレート組成物
  4. ポリアルキレンナフタレートを構成するナフタレンジカルボン酸以外の酸成分が、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸である請求項1に記載のフィルム用ポリアルキレンナフタレート組成物
  5. テレフタル酸及び/又はイソフタル酸の量が、全酸成分に対し20mol%以下である請求項4に記載のフィルム用ポリアルキレンナフタレート組成物
  6. ポリアルキレンナフタレートを構成する70モル%以上のグリコール成分以外のグリコール成分がジエチレングリコールであり、この量が0.4〜3.0重量%(ポリマーに対し)である請求項1に記載のフィルム用ポリアルキレンナフタレート組成物
  7. ナフタレンジカルボン酸を酸成分の70モル % 以上とするジカルボン酸のエステル形成性誘導体と脂肪族グリコールをグリコール成分の70モル%以上とするグリコールとを反応させ、次いで反応生成物を重縮合反応させて請求項1に記載のフィルム用ポリアルキレンナフタレート組成物を製造する際に、該重縮合反応を開始する迄の任意の段階でポリカルボン酸成分を含むチタン化合物を添加し、かつ重縮合反応開始前にエステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウム塩を添加することを特徴とするフィルム用ポリアルキレンナフタレート組成物の製造法。
  8. 請求項1〜6項のいずれかの項に記載のポリアルキレンナフタレート組成物からなる二軸延伸フィルム。
  9. フィルム表面上に存在する、微分干渉法による長径3μm以上の微小突起数が5個/mm以下である請求項8に記載の二軸延伸フィルム。
  10. フィルムが高密度磁気記録媒体用フィルムである請求項8又は9に記載の二軸延伸フィルム。
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