JP4373775B2 - ポリエチレンナフタレートフィルム - Google Patents
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Description
本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下、PENと称することがある。)組成物は、80重量%以上、好ましくは85重量%以上がPENからなるものであり、PEN以外の他の樹脂を、混合したものであっても良い。また、本発明におけるPENとは、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート成分を主たる繰返し単位とするポリエステルである。なおここでいう主たる繰返し単位とは、全繰り返し単位の80モル%以上、好ましくは85モル%以上を意味する。
に含有する。
本発明のPEN組成物は、2,6−ナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体とエチレングリコールとを触媒存在下でエステル交換反応させ、次いで重縮合反応させて得られるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの製造方法において、エステル交換反応触媒としてアルカリ土類金属化合物および重縮合反応触媒としてチタン化合物を用い、かつアルカリ土類金属化合物およびチタン化合物量を下記式(1)〜(3)の範囲とすることによって製造できる。
本発明のPENフィルムは、上述の本発明のPEN組成物を原料とし、これを溶融状態でシート状に押出すことによって製造できる。好ましくは得られるPENフィルムに寸法安定性や強度を具備できることから、一軸方向に延伸した一軸配向PENフィルム、さらには直交する二軸方向に延伸した二軸配向PENフィルムが好ましい。二軸配向PENフィルムを例にとって、さらに詳述する。
(1)固有粘度(IV):
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの固有粘度(IV)は、チップを用いてオルトクロロフェノール溶液中、35℃において測定した粘度の値から求めた。
(2)元素濃度:
チタン元素、リン元素量濃度は、ポリエステルチップを加熱溶融して円形ディスクを作成し、リガク社製蛍光X線測定装置3270を用いて測定した。なお、滑剤を含む場合は、予め溶媒中で遠心分離処理により滑剤を除去した上で同様の測定を行った。
アルカリ土類金属元素濃度は、ポリエステルチップをオルトクロロフェノールに溶解し、0.5規定塩酸で抽出操作した液を日立製作所製Z−6100形偏光ゼーマン原子吸光光度計を用いて求めた。
(3)色調(L値及びb値):
ポリエステルチップの色調は、ミノルタ社製ハンター型色差計CR−200にて測定した。L値は明度の指標であり、数値が大きいほど明度が高いことを、b値はその値が大きいほど黄着色の度合いが大きいことを示す。b値に関しては以下の判断基準を設け、○以上の評価を合格とした。
◎:b値が8未満
○:b値が8以上11未満
△:b値が11以上14未満
×:b値が14以上
160℃で1時間乾燥したポリエステルチップを、ガラス製フラスコへ入れ、次いで300℃に保持されたソルトバスにフラスコを浸漬後、窒素気流下で20分間溶融状態で攪拌保持して得られる溶融物の固有粘度(IV)を測定し、乾燥処理前の固有粘度差(IV差)を求めた。得られたIV差を、以下の判断基準によって評価し、○以上の評価を合格とした。
◎:IV差が0.004未満
○:IV差が0.004以上0.007未満
△:IV差が0.007以上0.010未満
×:IV差が0.010以上
(5)金属析出物:
ポリエステルチップ0.1gを溶解液(ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム=50/50重量%混合液)を加え溶解した液を、3μm孔径テフロン(登録商標)製メンブレンフィルター(ろ過面積=7.1cm2)でろ過する。乾燥後のろ紙を走査型電子顕微鏡(日立製作所製 S3100型)を用いて、ろ紙上にある粒子個数をカウントし、観察面積から1cm2当りの粒子個数をカウントした。評価には以下の判断基準を設け、○以上の評価を合格とした。
◎:粒子個数が20個/cm2未満
○:粒子個数が20個/cm2以上100個/cm2未満
△:粒子個数が100個/cm2以上200個/cm2未満
×:粒子個数200個/cm2以上
(6)フィルム表面欠点:
2軸延伸フィルム表面にアルミニウムを0.5μm厚みで蒸着し、日立製作所製走査型電子顕微鏡(S−3100)によりフィルム1cm×1cmの範囲内にある、長径5μm以上の粗大突起数をカウントした。評価には以下の判断基準を設け、△以上の評価を合格とした。
◎:粗大突起数が10個/cm2未満
○:粗大突起数が10個/cm2以上20個/cm2未満
△:粗大突起数が20個/cm2以上40個/cm2未満
×:粗大突起数が40個/cm2以上
エチレングリコール2.5重量部に無水トリメリット酸0.8重量部を溶解し、このエチレングリコール溶液にチタンテトラブトキシド0.7重量部(無水トリメリット酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、この反応系を空気中、常圧下、80℃で60分間保持してチタンテトラブトキシドと無水トリメリット酸とを反応させ、反応生成物(TMT)を得た。その後反応系を常温に冷却し、アセトン15重量部を加えて析出物をNo.5濾紙で濾過した後、100℃の温度で2時間乾燥した。得られた反応生成物のチタン含有量は11.2重量%であった。
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル120部とエチレングリコール70部の混合物を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、アルカリ金属化合物およびチタン化合物を表1に示した量になるように添加した。チタン化合物は参考例で調製したチタン触媒を使用し、245℃まで徐々に昇温しつつ、生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。この際、反応器内の圧力は0.1MPaとした。エステル交換反応が終了後、表1に示したリン化合物を表1に記載の量になるように添加した。このエステル交換反応物を撹拌装置、窒素導入口、減圧口、蒸留装置を備えた反応容器に移し、290℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行いPEN組成物を得た。
得られたPEN組成物および二軸配向PENフィルムの特性を表1に示す。
使用するリン化合物の種類・量を変更する以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、PEN組成物および二軸配向PENフィルムを得た。
得られたPEN組成物および二軸配向PENフィルムの特性を表1に示す。
実施例1において、使用する2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを解重合して得られた回収2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルに変更する以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、PEN組成物および二軸配向PENフィルムを得た。
得られたPEN組成物および二軸配向PENフィルムの特性を表1に示す。
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル120部とエチレングリコール70部の混合物を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、アルカリ金属化合物を表1記載の量になるように添加した。その後、245℃まで徐々に昇温しつつ、成するメタノールを系外に留出させながら、常圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応が終了後、リン化合物およびチタン化合物を表中記載の量になるように添加した。このエステル交換反応物を撹拌装置、窒素導入口、減圧口、蒸留装置を備えた反応容器に移し、290℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行い、固有粘度0.60dl/gであるPEN組成物を得た。得られたPEN組成物を用いた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し二軸配向PENフィルムを得た。
得られたPEN組成物および二軸配向PENフィルムの特性を表1に示す。
使用するリン化合物の量を変更する以外は、実施例2と同様の操作を繰り返して、PEN組成物および二軸配向PENフィルムを得た。
得られたPEN組成物および二軸配向PENフィルムの特性を表1に示す。
アルカリ金属化合物の量、および使用するリン化合物の種類をリン酸に変更する以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、PEN組成物および二軸配向PENフィルムを得た。
得られたPEN組成物および二軸配向PENフィルムの特性を表1に示す。
アルカリ金属化合物を添加せず、チタン化合物の量を表1に記載の量に変更する以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、PEN組成物および二軸配向PENフィルムを得た。
得られたPEN組成物および二軸配向PENフィルムの特性を表1に示す。
アルカリ金属化合物の種類および量、チタン化合物およびリン化合物の量を表1に記載のとおり変更する以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、PEN組成物および二軸配向PENフィルムを得た。
得られたPEN組成物および二軸配向PENフィルムの特性を表1に示す。
Claims (3)
- アルカリ土類金属化合物およびチタン化合物によって合成されたポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなるフィルムであって、アルカリ土類金属化合物およびチタン化合物の存在量が、下記式(1)〜(3)を同時に満足し、安定剤として下記一般式(I)で表わされるリン化合物を式(4)を満足する範囲で含有し、かつ表面に存在する長径5μm以上の粗大突起が40個/cm 2 未満であることを特徴とするポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム。
- アルカリ土類金属化合物がカルシウム化合物およびマグネシウム化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1記載のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム。
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