JP2004091585A - ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート樹脂の原料として用いる全ジカルボン酸の80mol%以上がジメチルテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物であって、リン化合物およびチタン化合物を含有し、アンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量が、エチレンテレフタレート成分に対して高々5ミリモル%で、用いるリン化合物が特定のホスホネート化合物であるポリエチレンタレフタレート樹脂組成物およびその製造方法を用いることによって、従来技術の欠点であった色相の悪化を解消し、ポリエステルが持つ優れた特性を保持しながら、触媒起因の異物が少なく、透明性に優れるといった効果が得られる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、エステル交換反応を経由し、重合触媒として実質的にチタン化合物を用いたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物において、ポリマー中の重合触媒に起因する異物が少ない優れた透明性を維持しつつ、実用上問題ない溶融熱安定性と優れたポリマーの色相とを兼備するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートは、優れた力学特性、耐熱性、耐候性、耐電気絶縁性および耐薬品性を有することから、フィルム、繊維またはボトルなどの成形品として広く使用されている。
【0003】
かかるポリエチレンテレフタレートは、その製造において、重合反応を円滑に進行させるために重合触媒を用いる。この重合触媒としては種々の金属化合物が知られており、中でも三酸化アンチモンの如きアンチモン(Sb)化合物が安価でかつ高い重合活性を持つことから、広く使用されている。しかし、アンチモン化合物は、その一部が反応中に還元されて金属アンチモンやその他の異物を生成し、その結果、ポリマーの色を黒ずませ、濁りにより透明性を落としたり、製造工程における溶融熱安定性に悪影響を及ぼす結果、製造工程を不安定化させたりして成形品の品質を悪化させるといった問題を抱えている。
【0004】
アンチモン化合物以外の重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物、テトラ−n−ブトキシチタンのようなチタン化合物が提案されている。ゲルマニウム化合物は、かなり高価であるため、ポリエチレンテレフタレートの製造コストが高くなるという問題がある。一方チタン化合物を重合触媒として使用した場合、アンチモン化合物で生じた金属アンチモンやその他の異物の生成が抑制され、上述の異物に起因する問題は改善される。しかし、得られたポリエチレンテレフタレート自身が黄色く着色されたり、また、得られるポリエチレンテレフタレートの溶融熱安定性が乏しいといったチタン化合物特有の問題があった。
【0005】
一般に、ポリエチレンテレフタレートの着色を抑制するには、コバルト化合物をポリエチレンテレフタレートに添加して黄味を抑えることが行われており、確かにコバルト化合物の添加によってポリエステルの色相(b値)は改善され、該ポリエチレンテレフタレート樹脂を使用したポリエステルチレンテレフタレートフイルムにおいても色相改善の効果が確認されている。しかしながら、コバルト化合物の添加は、さらに得られるポリエチレンテレフタレートの溶融熱安定性を低下させ、ポリマーの分解を助長させるという問題があった。
【0006】
一方、ポリエチレンテレフタレートを製造するための触媒として、特開昭58−38722号公報においてチタン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生成物、また特開平7−138354号公報においてチタン化合物とリン化合物との錯体を用いることが開示されている。これらの方法によれば、得られるポリエチレンテレフタレートの溶融熱安定性をある程度向上させつつ、得られるポリマーの色調も向上させることができる。しかしながら、これらの方法によって得られるポリマーの色調の向上効果は未だ不十分なものであり、さらなるポリマーの色調の向上が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、エステル交換反応を経由し、チタン化合物を触媒として使用する際の従来技術の問題を解消し、ポリマー中の重合触媒に起因する異物が少ない優れた透明性を維持しつつ、実用上問題ない溶融熱安定性と優れたポリマーの色相とを兼備するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、特定のリン化合物を用いることによって、優れた透明性を維持しつつ、実用上問題ない溶融熱安定性と優れたポリマーの色相とをポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に具備させられることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
かくして、本発明によれば、ポリエチレンテレフタレート樹脂の原料として用いる全ジカルボン酸の80mol%以上がジメチルテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物であって、リン化合物およびチタン化合物を含有し、アンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量が、エチレンテレフタレート成分に対して高々5ミリモル%で、リン化合物が下記式(I)で示されるホスホネート化合物を用いたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物が提供される。
【0010】
【化11】
【0011】
(ここでZは−CnH2n−OH(nは0〜4の整数)、A,Bはそれぞれ、−CnH2n+1(nは0〜4の整数)および/または−CnH2n−OH(nは1〜4の整数)のいずれかを示す。またXは−CH2−または−CH(Y)−を示す(Yはフェニル基を示す)。)
【0012】
また、本発明によれば、示差走査型熱量測定における、急速冷却後のポリマーの非晶状態から昇温速度20℃/分で測定した昇温結晶化ピーク温度と、溶融状態から降温速度10℃/分で測定した降温結晶化ピーク温度との差が40℃以内であるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、または、示差走査型熱量測定における、急速冷却後のポリマーの非晶状態から昇温速度20℃/分で300℃まで昇温し、その後溶融状態から降温速度10℃/分で測定した降温結晶化ピーク温度が185℃以下であるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物も提供される。
【0013】
また、好ましい態様として、該チタン化合物および該リン化合物の含有量が以下の式(1)〜(3)
【0014】
【数7】
2≦Ti≦10 ・・・(1)
【0015】
【数8】
0.5≦P/Ti≦15 ・・・(2)
【0016】
【数9】
1.5≦Ti+P≦150 ・・・(3)
(ここで、式(1)〜(3)中の、Tiは該チタン化合物のチタン元素としてのモル数を、樹脂組成物中のエチレンテレフタレート成分のモル数で割った値(ミリモル%)であり、Pはリン化合物のリン元素としてのモル数を樹脂組成物中のエチレンテレフタレート成分のモル数で割った値(ミリモル%)である。)を満足するポリエチレンタレフタレート樹脂組成物も包含される。
【0017】
また、本発明によれば、本発明のポリエチレンタレフタレート樹脂組成物の好ましい態様として、チタン化合物が下記式(II)
【0018】
【化12】
【0019】
(ここで、式(II)中のR3はアルキル基およびフェニル基である。)で表わされる化合物、または上記の式(II)で表わされる化合物と下記式(III)
【0020】
【化13】
【0021】
(ここで、式(III)中のnは2〜4の整数である。)で表わされる芳香族多価カルボン酸とを反応させた生成物であることのいずれかを少なくとも具備するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物も提供される。
【0022】
さらにまた、本発明によれば、ポリエチレンテレフタレート樹脂の原料として用いる全ジカルボン酸の80mol%以上がジメチルテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を製造する方法において、リン化合物を熱安定剤およびチタン化合物を重合触媒としてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を製造する際に用い、アンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量を、エチレンテレフタレート成分に対して高々5ミリモル%とし、用いるリン化合物が式(I)で示されるホスホネート化合物であるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法や、さらにチタン化合物およびリン化合物を上記の式(1)〜(3)を満足する量を用いるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法も提供され、その好ましい態様として、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとをエステル交換反応させる前に、ポリエチレンテレフタレート樹脂中に可溶なチタン化合物を添加して、重縮合反応触媒としてのみならずエステル交換反応触媒としても用いること、エステル交換反応を0.05〜0.20MPaの加圧下にて実施すること、リン化合物として、上記の式(I)で表されるリン化合物と上記の式(III)で表される芳香族多価カルボン酸とを反応させた生成物を用いること、チタン化合物として、上記の式(II)で表わされる化合物、または上記の式(II)で表わされる化合物と上記の式(III)で表わされる芳香族多価カルボン酸とを反応させた生成物のいずれかを用いることを具備するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法も包含される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明におけるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、80重量%以上、好ましくは85重量%以上がポリエチレンテレフタレート樹脂からなるものであり、ポリエチレンテレフタレート樹脂以外の他の樹脂を、混合したものであっても良い。また、本発明におけるポリエチレンテレフタレート樹脂とは、エチレンテレフタレート成分を主たる繰返し単位とするポリエステルである。なおここでいう主たる繰り返し単位とは、全繰り返し単位の80モル%以上、好ましくは85モル%以上を意味する。ポリエチレンテレフタレート樹脂がエチレンテレフタレート成分以外の第3成分を共重合したものである場合、第3成分(共重合成分)としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等の如きテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の如き脂環族ジカルボン酸、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のグリコールが例示でき、これらは単独で使用しても二種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を構成するポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレート成分を主たる繰返し単位とするポリエステルであり、ジメチルテレフタレートが、芳香族ジカルボン酸100モル%に対して、80モル%以上、好ましくは85モル%以上となるような量で用いられ、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体が脂肪族グリコール100モル%に対して、80モル%以上、好ましくは85モル%以上となるような量で用いられたポリエチレンテレフタレートであることが必要である。
【0025】
本発明に用いられポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、示差走査型熱量測定における、急速冷却後のポリマーの非晶状態から昇温速度20℃/分で測定した昇温結晶化ピーク温度と、溶融状態から降温速度10℃/分で測定した降温結晶化ピーク温度との差が40℃以内であることが好ましい。該結晶化ピークの差が40℃より大きい場合、微細な部分結晶化が発生し、透明性が悪化するため好ましくない。本発明に用いられポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の該結晶化ピークの差は35℃以内であることがより好ましく、30℃以内であることが更に好ましい。
【0026】
また、本発明に用いられポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、示差走査型熱量測定における、急速冷却後のポリマーの非晶状態から昇温速度20℃/分で300℃まで昇温し、その後溶融状態から降温速度10℃/分で測定した降温結晶化ピーク温度が185℃以下であることが好ましく、180℃以下であることが更に好ましい。降温結晶化ピーク温度が185℃を超えると、微細な部分結晶化が発生し、透明性が悪化するため好ましくない。なお、ここで急速冷却とは、いったんポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を溶融させた後、50℃/分以上の降温速度で冷却固化させる状態を指す。
【0027】
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、リン化合物を含有する。かかるリン化合物は、下記式(I)で示されるホスホネート化合物であることが必要であり、これらは単独で使用しても二種以上を併用してもよい。
【0028】
【化14】
【0029】
(ここでZは−CnH2n−OH(nは0〜4の整数)、A,Bはそれぞれ、−CnH2n+1(nは0〜4の整数)および/または−CnH2n−OH(nは1〜4の整数)のいずれかを示す。またXは−CH2−または−CH(Y)−を示す(Yはフェニル基を示す)。)
【0030】
特に好ましいリン化合物としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボブトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロポキシ−ホスホノ−フェニル酢酸およびカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸などの炭素数1〜4のグリコールエステルが挙げられる。ホスホネート化合物のグリコール置換体は、末端アルコキシ基の一部が置換されたものでも良く、ヒドロキシル基を含むすべてが置換されたものでもよい。
【0031】
また本発明におけるリン化合物としては、下記式(I)で表される化合物と下記式(III)で表される芳香族多価カルボン酸とを反応させた生成物であってもよい。
【0032】
【化15】
【0033】
(ここでZは−CnH2n−OH(nは0〜4の整数)、A,Bはそれぞれ、−CnH2n+1(nは0〜4の整数)および/または−CnH2n−OH(nは1〜4の整数)のいずれかを示す。またXは−CH2−または−CH(Y)−を示す(Yはフェニル基を示す)。)
【0034】
【化16】
【0035】
(上記式中、nは2〜4の整数を表わす)
【0036】
上記式(III)で表される芳香族多価カルボン酸としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸が好ましい。なお、一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸は、その無水物であっても良い。
【0037】
本発明において、これらのホスホネート化合物が必要である理由は、通常安定剤として使用されているリン化合物に比べ、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行することから、重縮合反応中のチタン化合物の触媒活性の持続時間が長く、結果としてポリエステルへの触媒の添加量を少なくでき、触媒に対して多量の安定剤を添加してもポリエステルの熱安定性を損ないにくく、色調の低下を引き起こさないからである。さらに耐飛散姓に優れるため、より少ない添加量で熱安定剤としての効果が発現することも挙げられる。
【0038】
本発明におけるリン化合物の含有量は、エチレンテレフタレート成分のモル数を基準として、リン元素量で0.5〜135ミリモル%であることが好ましく、更に1〜25ミリモル%が好ましく例示される。該リン元素量が0.5ミリモル%未満だと、十分な熱安定性が得られにくい。一方リン元素量が135ミリモル%を超えると、ポリマーの重合反応性が低下し好ましくない。
【0039】
これら、リン化合物の添加時期は特に制限されること無く、エステル交換反応開始前でも良く、またエステル交換反応が実質的に終了した後、例えば、重縮合反応を開始する以前の大気圧下、重縮合反応を開始した後の減圧下、重縮合反応の末期または重縮合反応の終了後すなわちポリマーを得た後に添加してもよい。
【0040】
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、触媒起因の異物低減および透明性向上を目的にしていることから、実質的に触媒として、ポリマー中に可溶なチタン化合物を用いたものである。そのことから、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中のアンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量は、エチレンテレフタレート成分のモル数を基準として、高々5ミリモル%である。アンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量が、5ミリモル%を超えると、これらの触媒に起因する異物の析出などの問題が惹起する。
【0041】
本発明で触媒として用いるチタン化合物は、ポリマー中に可溶なものであれば特に限定されず、ポリエステルの重縮合触媒として一般的なチタン化合物、例えば、酢酸チタンやテトラ−n−ブトキシチタンが挙げられる。これらの中でも、下記式(II)で表わされる化合物、または下記式(II)で表わされる化合物と下記式(III)で表わされる芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させた生成物が好ましい。
【0042】
【化17】
【0043】
(上記式中、R3はアルキル基またはフェニル基を示す。)
【0044】
【化18】
【0045】
(上記式中、nは2〜4の整数を表わす)
上記式(II)で表わされるテトラアルコキサイドチタンとしては、Rがアルキル基またはフェニル基であれば特に限定されず、その中でもテトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキシチタンが好ましい。また、上記式(III)で表される芳香族多価カルボン酸としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸が好ましい。なお、一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸は、その無水物であっても良い。上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸とを反応させるには、溶媒に芳香族多価カルボン酸またはその無水物の一部とを溶解し、これにチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で30分以上反応させれば良い。
【0046】
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、前述のポリマー中に可溶なチタン化合物を、樹脂組成物中のエチレンテレフタレート成分のモル数を基準として、チタン元素量で2〜10ミリモル%含有することが好ましい。更に好ましい該チタン元素量は3〜10ミリモル%、特に3〜6ミリモル%である。該チタン元素量が2ミリモル%未満だと、ポリエステルの生産性が低下し、所望の分子量を有するポリエステルが得られない。一方、該チタン元素量が10ミリモル%を超えると、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の熱安定性が低下し、フィルムなどへの成形加工時の分子量の低下が大きく、やはり所望の力学的特性を有する成形加工品が得られない。尚、ここで言うチタン金属元素とは、エステル交換反応による第一段階反応にも用いる場合は、エステル交換反応触媒として使用されたチタン化合物と、重縮合反応触媒として使用されたチタン化合物との合計を示す。本発明におけるチタン化合物の添加時期は、ジメチルテレフタレートを原料物質とする製造方法の中でも、チタン化合物の添加量を低減できることから、チタン化合物の少なくとも一部をエステル交換反応開始前に添加し、のこりのチタン化合物は重縮合工程で添加させることが好ましい。
【0047】
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、その製造段階で上述のチタン化合物を触媒として、また、リン化合物を安定剤として添加されたものであり、チタン化合物とリン化合物の含有量は下記式(2)および(3)を満足することが好ましい。
【0048】
【数10】
0.5≦P/Ti≦15 ・・・(2)
【0049】
【数11】
1.5≦Ti+P≦150 ・・・(3)
(ここで、式(2)および(3)中のTiはエチレンテレフタレート成分に対するチタン化合物のチタン元素のモル比(ミリモル%)であり、Pはエチレンテレフタレート成分に対するリン化合物のリン元素のモル比(ミリモル%)である。)
【0050】
上記式(2)中の(P/Ti)の更に好ましい範囲は4〜10の範囲、また、上記式(3)中の(Ti+P)の更に好ましい範囲は20〜70である。
【0051】
(P/Ti)が0.5未満の場合、得られるポリマーの色相が黄味を帯び、一方(P/Ti)が15を超えるとポリエチレンテレフタレートの重合反応性が大幅に低下し、所望の分子量を有するポリエチレンテレフタレートを得ることができないのに対し、(P/Ti)が0.5〜15の範囲にある場合、色相の優れた所望の分子量を有するポリマーを得ることができる。また、(Ti+P)が1.5に満たない場合は、例えばフィルムに成形加工する際に、静電印可法によるフィルム製膜プロセスにおける生産性が低下したり、フィルムの厚みが不均一化したりし、それらに起因して成形加工性の低下や耐衝撃性の低下が生じる。一方(Ti+P)が150を超えると、触媒に起因する異物が発生し、ポリマーの透明性が低下する。
【0052】
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のο−クロロフェノール中、35℃における極限粘度は、0.50〜0.80dl/gの範囲にあることが好ましく、さらに0.55〜0.75dl/g、特に0.60〜0.70dl/gの範囲が好ましい。極限粘度が0.50dl/g未満であると、成形加工品、例えばフィルムの耐衝撃性が不足するため好ましくない。他方、極限粘度が0.80dl/gを超えると、原料ポリマーの極限粘度を過剰に引き上げる必要があり不経済である。
【0053】
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、例えばフイルムへの成形用の場合、取扱い性を向上させるために、平均粒径0.05〜5.0μmの不活性粒子を滑剤として0.05〜5.0重量%程度添加してもよい。この際、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の特徴である優れた透明性を維持する点からは、添加する不活性粒子は粒径の小さいものが、またその添加量はできる限り少ないことが好ましい。添加する不活性粒子としては、コロイダルシリカ、多孔質シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア、カオリン、複合酸化物粒子、架橋ポリスチレン、アクリル系架橋粒子、メタクリル系架橋粒子、シリコーン粒子などが挙げられる。
【0054】
また、フィルム、繊維、ボトルなど各成形品の要求に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良剤、核剤、紫外線吸収剤などの各種機能剤を加えてもよい。
【0055】
さらに、得られるポリエステルの色相の改善補助をするために、反応系のポリエステルの製造段階において、たとえばアゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機青色顔料等の無機系以外の整色剤を添加することもできる。
【0056】
エステル交換反応を経由してポリエチレンテレフタレートを製造する方法について、以下に詳述する。
【0057】
本発明におけるポリエチレンテレフタレート樹脂は、原料として用いる全ジカルボン酸成分の80モル%以上がジメチルテレフタレートである、エステル交換反応を経由する製造方法に関する。また、ジメチルテレフタレートを原料物質とする製造方法の中でも、チタン化合物の添加量を低減できることから、チタン化合物の少なくとも一部をエステル交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒の二つ触媒を兼用させる製造方法が好ましい。
【0058】
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法としては特に限定はなく、従来公知の技術を用いる事が出来る。
【0059】
また、本発明では、チタン化合物の添加量をより低減できることから、エステル交換反応は0.05〜0.20MPaの加圧下にて実施するのが好ましい。エステル交換反応時の圧力が、0.05MPa未満だと、反応器内の温度が反応温度として不十分なため、チタン化合物の触媒作用による反応の促進が充分なものになり難く、一方0.20MPaを超えると、副生成物としてジエチレングリコールが大量に発生しやすくなり、得られるポリマーの熱安定性などの特性が低下しやすい。
【0060】
これらのエステル交換反応は、エステル化率が通常90%以上、好ましくは95%以上になるまで反応させることが望ましい。以上のようなエステル交換反応工程により、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとのエステル交換反応物(オリゴマー)が得られ、このオリゴマーの重合度は好ましくは4〜10の範囲である。このようにして得られたオリゴマーは、次いで重縮合工程に供給される。
【0061】
重縮合工程では、前述のチタン化合物からなる重縮合触媒の存在下に、エステル交換反応工程で得られたオリゴマーを、ポリエチレンテレフタレートの融点以上の温度(通常240〜280℃)に減圧下で加熱し、重縮合させる。この重縮合反応では、未反応のエチレングリコール及び重縮合で発生するエチレングリコールを反応系外に留去させながら行われることが望ましい。
【0062】
重縮合反応は、1槽で行ってもよく、複数の槽に分けて行ってもよい。例えば、重縮合反応が2段階で行われる場合には、第1槽目の重縮合反応は、反応温度が245〜290℃、好ましくは260〜280℃、圧力が100〜1KkPa、好ましくは50〜2KkPaの条件下で行われ、最終第2槽での重縮合反応は、反応温度が265〜300℃、好ましくは270〜290℃、反応圧力は通常1000〜10Paで、好ましくは500〜30Paの条件下で行われる。
【0063】
なお、本発明における、エステル交換反応を経由してポリエチレンテレフタレートを製造する方法においては、わざわざ原料であるジメチルテレフタレートやエチレングリコールと一緒にチタン化合物やリン化合物とを予め加熱しておく必要はなく、反応に要する工程が省ける。これらの理由の1つとして、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸化合物とを事前に反応させた化合物を用いることで、色調の低下が抑制されることが挙げられる。
【0064】
このようにして、本発明のポリエステルフイルムチレンテレフタレート樹脂組成物を構成するポリエステルチレンテレフタレートを製造することができ、得られたポリエステルチレンテレフタレートは、通常、溶融状態で押出しながら、冷却後、粒状(チップ状)のものとする。この際、得られたポリエステルチレンテレフタレートの極限粘度は、0.50〜0.80dl/gであることが望ましい。
【0065】
また、本発明で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物はフィルム、繊維またはボトルなどといった成形品に好適に用いられる。
【0066】
本発明において、ポリエチレンテレフタレートフィルムを製造する際、使用するスリット状ダイの形状や、溶融温度、延伸倍率、熱固定温度等の条件については、制限は特に無く、また単層フィルム、あるいは共押出技術等を用いた積層フィルムのいずれも採用することができ、例えば、3層以上の積層フイルムの最外層にのみ採用するなどもできる。
【0067】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の特性は、以下の方法で測定・評価した。また、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を意味する。
【0068】
(1)極限粘度(IV)
ポリエチレンテレフタレートペレット0.6gをオルトクロロフェノール50ml中に、加熱溶解した後、一旦冷却させ、その溶液をオストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出した。
【0069】
(2)色相(Col)
粒状のポリエチレンテレフタレートペレットを160℃にて90分乾燥機中で熱処理して結晶化させた後、カラーマシン社製CM―7500型カラーマシンで測定した。L値は明度の指標であり、数値が大きいほど明度が高いことを、b値はその値が大きいほど黄着色の度合いが大きいことを示す。
【0070】
(3)ポリマーの昇温結晶化ピーク温度、降温結晶化ピーク温度
示差走査熱量計(DSC)としてTA Instruments社製 DSC2010 Differential Scanning Calorimeterを用いて、窒素雰囲気下、20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温したポリエチレンテレフタレートペレットを、急冷して一旦0℃の雰囲気下で5分間保持して非晶状態のポリマーとした後、再度20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温して、JIS K7121に従い、昇温結晶化ピーク温度を測定した。更に同サンプルを10℃/分の降温速度で降温し、JIS K7121に従い、降温結晶化ピーク温度を測定した。
【0071】
(4)ヘーズ
粒状のポリマーサンプルを150℃にて6時間乾燥機中で熱処理して乾燥させた後、290℃にて溶融押出し器から回転冷却ドラム上にシート状に溶融押出し、急冷固化して厚さ500μmの未延伸フィルム(シート)を作成する。得られた未延伸シートの表面に傷などが発生していない箇所をサンプリングし、日本電色工業社濁度計(HDH−1001DP)にて測定した。
【0072】
(5)金属含有濃度分析
チタン,リン原子濃度は、乾燥したサンプルを走査電子顕微鏡(SEM,日立計測機器サービスS570型)にセットし、それに連結したエネルギー分散型X線マイクローアナライザー(XMA,堀場EMAX−7000)にて定量分析を実施した。
【0073】
ポリエステル中の金属元素の濃度は、粒状のサンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平面を有する成形体を作成し、蛍光X線装置(理学電機工業3270E型)にて、定量分析した。なお、不活性粒子を含む場合は、予め溶媒中で遠心分離処理により不活性粒子を除去した上で同様の測定を行った。
【0074】
(6)熱安定性
ヘーズ測定のために作成した未延伸フイルム(シート)の極限粘度を(1)記載の方法と同じ方法にて測定し、該未延伸フイルムの極限粘度からフィルム作成に使用したポリエチレンテレフタレートペレットの極限粘度を差し引いた値を算出し、以下の基準で熱安定性を判定した。
熱安定性が特に優れる ・・・ −0.03以下
熱安定性が優れる ・・・ −0.05以下
熱安定性が普通 ・・・ −0.05〜0.07
熱安定性が劣る ・・・ −0.07以上
【0075】
[実施例1、2、実施例6〜13および比較例1〜2]
テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール70部の混合物に、表1に示した添加量のチタン化合物を加圧反応が可能なSUS(ステンレス)製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、下記式(IV)のリン化合物(ジエトキシホスホノ酢酸ヒドロキシエチルエステル。以下、リン化合物1と略記する。)を表1に記載した量を添加し、エステル交換反応を終了させた。
【0076】
【化19】
【0077】
その後反応生成物を重合容器に移し、290℃まで昇温し、0.2mmHg以下の高真空にて重縮合反応を行い、固有粘度0.62dl/g、ジエチレングリコール量1.5モル%(エチレンテレフタレート成分対比)のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。
【0078】
得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、ペレットの状態で180℃の温度で充分に真空乾燥した。乾燥したペレットを280℃で溶融状態とし、回転しているキャスティングドラムに溶融状態のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を押出してシート状物を得た。なお、キャスティングドラムは溶融物がキャストされる直前の表面温度が30℃で、その後表面温度は徐々に40℃まで上がっており、またキャスティングドラムに溶融物がキャストされた直後に、シート状物の、キャスティングドラムが位置するのと反対側の面にワイヤー状の電極があり、該電極によってシート状物を静電印加させてキャスティングドラムに密着させ、厚さ500μmの未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0079】
得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びこれを使用して得られた未延伸フイルムの特性を表1に示す。
尚、トリメリット酸チタンは、下記方法にて合成した。
【0080】
トリメリット酸チタンの合成方法
無水トリメリット酸2重量部をエチレングリコール98重量部に混ぜたエチレングリコール溶液にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対してモル比が0.5となるように添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反応せしめ、その後、常温に冷却し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させ、析出物をろ紙によって濾過し、100℃で2時間乾燥せしめ、目的の化合物を得た。
【0081】
[実施例3]
リン化合物を下記式(V)(以下、リン化合物2と略記する)に変更する以外は、実施例2と同様にして重縮合反応を行いポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびこれを使用して得られた未延伸フィルムの特性を表1に示す。
【0082】
【化20】
【0083】
[実施例4]
リン化合物を下記式(VI)(以下、リン化合物3と略記する)に変更する以外は、実施例2と同様にして重縮合反応を行いポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびこれを使用して得られた未延伸フィルムの特性を表1に示す。
【0084】
【化21】
【0085】
[実施例5]
リン化合物として、式(IV)で表されるリン化合物50モル%、式(V)で表されるリン化合物30モル%、式(VI)で表されるリン化合物20モル%からなる混合物(以下、リン化合物4と略記する)に変更する以外は、実施例2と同様にして重縮合反応を行いポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物およびこれを使用して得られた未延伸フィルムの特性を表1に示す。
【0086】
[比較例3]
実施例1と同様にエステル交換反応させた後、その反応生成物に三酸化二アンチモンを0.053部添加し、混合物を重合容器に移し、290℃まで昇温し、0.2mmHg以下の高真空にて重縮合反応を行って、固有粘度0.60dl/g、ジエチレングリコール量が1.5%であるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。未延伸フィルムは実施例1と同様の方法で得た。
【0087】
得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びこれを使用して得られた未延伸フイルムの特性を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
ここで、表1中の、TBTはテトラ−n−ブトキシチタン、TMTはトリメリット酸チタン、TMPはトリメチルホスフェイトを示す。
【0090】
表1からも明らかなように、特定のリン化合物を使用することで、透明性や色相、熱安定性などで良好な性能のポリエステル樹脂組成物が得られた。また、チタン化合物をチタン元素として2〜10ミリモル%の範囲で含有し、(P/Ti)や(Ti+P)が本発明の範囲にあるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、透明性や色相、熱安定性などでより良好な性能が得られた。これに対し、比較例1〜2に示したように、リン化合物としてホスホネート化合物以外のリン化合物を用いた場合、透明性、色相、特にb値、熱安定性のいずれも実施例と較べて不十分であった。なお、比較例3がアンチモン元素を70ミリモル%含有する以外は、どれもアンチモン元素およびゲルマニウム元素は含有していなかった。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、エステル交換反応を経由するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物において、特定のリン化合物を用いることによって、チタン化合物を触媒として使用する場合の従来技術の欠点であった色相の悪化を解消し、ポリエチレンテレフタレートが持つ優れた特性を保持しながら、触媒起因の異物が少なく、透明性および熱安定性に優れたポリエチレンテレフタレート樹脂を提供することができる。
Claims (13)
- ポリエチレンテレフタレート樹脂の原料として用いる全ジカルボン酸の80mol%以上がジメチルテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物であって、リン化合物およびチタン化合物を含有し、アンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量が、エチレンテレフタレート成分に対して高々5ミリモル%で、用いるリン化合物が下記式(I)で示されるホスホネート化合物であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
- 示差走査型熱量測定における、急速冷却後のポリマーの非晶状態から昇温速度20℃/分で測定した昇温結晶化ピーク温度と、溶融状態から降温速度10℃/分で測定した降温結晶化ピーク温度との差が40℃以内であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
- 示差走査型熱量測定における、急速冷却後のポリマーの非晶状態から昇温速度20℃/分で300℃まで昇温し、その後溶融状態から降温速度10℃/分で測定した降温結晶化ピーク温度が185℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
- チタン化合物およびリン化合物の含有量が下記式(1)〜(3)を満足することを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
【数1】
2≦Ti≦10 ・・・(1)
【数2】
0.5≦P/Ti≦15 ・・・(2)
【数3】
1.5≦Ti+P≦150 ・・・(3)
(ここで、式(1)〜(3)中の、Tiは該チタン化合物のチタン元素としてのモル数を、樹脂組成物中のエチレンテレフタレート成分のモル数で割った値(ミリモル%)であり、Pはリン化合物のリン元素としてのモル数を樹脂組成物中のエチレンテレフタレート成分のモル数で割った値(ミリモル%)である。) - ポリエチレンテレフタレート樹脂の原料として用いる全ジカルボン酸の80mol%以上がジメチルテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を製造する方法において、リン化合物を熱安定剤およびチタン化合物を重合触媒としてポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を製造する際に用い、アンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量を、エチレンテレフタレート成分に対して高々5ミリモル%とし、用いるリン化合物が下記式(I)で示されるホスホネート化合物であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
- チタン化合物およびリン化合物を下記式(1)〜(3)いずれも満たす量を用いることを特徴とする請求項7に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
【数4】
2≦Ti≦10 ・・・(1)
【数5】
0.5≦P/Ti≦15 ・・・(2)
【数6】
1.5≦Ti+P≦150 ・・・(3)
(ここで、式(1)〜(3)中のTiは該チタン化合物のチタン元素としてのモル数を、樹脂組成物中のエチレンテレフタレート成分のモル数で割った値(ミリモル%)であり、Pはリン化合物のリン元素としてのモル数を樹脂組成物中のエチレンテレフタレート成分のモル数で割った値(ミリモル%)である。) - ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとをエステル交換反応させる前に、ポリエチレンテレフタレート樹脂中に可溶なチタン化合物を添加して、重縮合反応触媒としてのみならずエステル交換反応触媒としても用いることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
- エステル交換反応を、0.05〜0.20MPaの加圧下にて実施することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
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JP2006003687A (ja) * | 2004-06-18 | 2006-01-05 | Toray Ind Inc | 偏光板離型用二軸延伸ポリエステルフィルム |
JP2006291033A (ja) * | 2005-04-11 | 2006-10-26 | Teijin Fibers Ltd | 極少量のチタン化合物のみを触媒として用いるポリエステルの製造方法 |
JP2012019059A (ja) * | 2010-07-08 | 2012-01-26 | Mitsubishi Plastics Inc | 太陽電池モジュール用裏面保護シート |
TWI664186B (zh) * | 2017-10-05 | 2019-07-01 | 遠東新世紀股份有限公司 | 磷酸酯物質及其製備方法、含磷酸酯物質的聚酯樹脂及其製備方法 |
-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002253081A patent/JP2004091585A/ja active Pending
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