JP2002322261A - ポリエステル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物の製造方法

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JP2002322261A JP2001127193A JP2001127193A JP2002322261A JP 2002322261 A JP2002322261 A JP 2002322261A JP 2001127193 A JP2001127193 A JP 2001127193A JP 2001127193 A JP2001127193 A JP 2001127193A JP 2002322261 A JP2002322261 A JP 2002322261A
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Shunichi Osada
俊一 長田
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Kazue Sonoda
和衛 園田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融成型時におけるオリゴマー発生量が少な
く、析出オリゴマー抑制性、表面性、生産性の優れた高
品質なポリエステル樹脂組成物の製造方法を提供する。 【解決手段】 リン化合物の含有量が0.01〜50重
量%の範囲内にあり、温度が50〜200℃の範囲内に
あり、かつpHが5以下である溶液に、固有粘度が0.
7dl/g以上であるポリエステル組成物を接触処理さ
せてポリエステル樹脂組成物を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融成型時におけ
るオリゴマー発生量が少なく、析出オリゴマー抑制性、
表面性、生産性の優れた高品質なポリエステル樹脂組成
物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエステル樹脂は、その優れた
透明性、耐薬品性、機械的強度、耐熱性、ガスバリヤー
性等の特性により、磁気記録媒体用ベースフィルム、コ
ンデンサなどの電気絶縁用、プリンタリボンなどのOA
用途、飲料容器の素材などに用いられている。
【0003】しかしながらポリエステル樹脂は、重合も
しくは溶融成形時に発生するオリゴマー(主に環状三量
体)が、通常0.8〜1.4重量%程度含有されてお
り、このようなオリゴマーは、例えばフィルムである場
合には経時とともに表面にオリゴマーが析出し、これが
粗大突起を形成することがある。特に磁気材料フィルム
として用いる場合には、このような粗大突起は磁性体の
データ抜けの原因となる。
【0004】また、溶融成型時において、大気中に放出
されて空気中に拡散したり、ポリエステル樹脂中から滲
み出してきたりして、金型や口金周辺や冷却ドラム、あ
るいはロールや製品自身を汚す原因となる。また、これ
らの汚れは、堆積や脱落によりポリエステル樹脂に欠陥
を残すことから、製品トラブルを招いていた。このた
め、たびたび口金やロールを清掃したりして品質を維持
しているのが現状であり、このことが生産性の低下にも
つながるため問題視されていた。
【0005】そこでこの問題を解決するために、過去か
ら多くの検討がされてきた。例えば、ポリエステル樹脂
のオリゴマーを減少させるために、特開昭48−101
462号公報や特開昭51−48505号公報には固相
重合により、含有するオリゴマーを低減する方法が提案
されている。しかしこれらの方法では、ポリエステル樹
脂中のオリゴマーは減少することはできるが、樹脂の種
類や添加される触媒量によっては溶融時にオリゴマーが
大幅に増加してしまうことから、あまり効果的ではなか
った。
【0006】また、特開平3−47830号公報には、
固相重合によりポリエステル樹脂中のオリゴマーを低減
させた後に、水と接触させて重縮合触媒を失活させるこ
とで、溶融成型時に生成するオリゴマーを低減する方法
が提案されている。しかしこの方法は、ポリエステル樹
脂に含まれる重縮合触媒がゲルマニウム化合物の場合で
は確かに効果があるが、アンチモン化合物やチタン化合
物の場合、ほとんど効果がないことが知られている。
【0007】さらに、特開平12−510180号公報
には、リン含有安定剤を重合反応後の工程にて添加する
方法が提案されている。この方法では、ゲルマニウム以
外の触媒にも溶融加熱時でのオリゴマー再生抑制に確か
に効果はあるものの、リン含有安定剤の添加方法に問題
があり、品質のばらつきが非常に大きいといった問題が
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点を解決するべく、溶融成型時に発生するオ
リゴマーを低減し、これにより、析出オリゴマー抑制
性、表面性、生産性の優れたポリエステル樹脂組成物の
製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、リン化合物の含有量が0.01〜50重量
%の範囲内にあり、温度が50〜200℃の範囲内にあ
り、かつpHが5以下である溶液に、固有粘度が0.7
dl/g以上であるポリエステル組成物を接触処理させ
るポリエステル樹脂組成物の製造方法を特徴とするもの
である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のポリエステル樹
脂組成物の製造方法について詳細を説明する。
【0011】本発明では、ポリエステル組成物が次の
(a)から(c)の条件を満たす溶液にて接触処理され
る必要がある。
【0012】(a)リン化合物の含有量が0.01〜5
0重量%の範囲内 (b)溶液温度が50〜200℃の範囲内 (c)溶液のpHが5以下 リン化合物の含有量は、より好ましくは0.05〜40
重量%の範囲内であり、さらに好ましくは0.1〜30
重量%の範囲内である。このリン化合物の含有量が0.
01重量%を下回った場合、リン化合物による触媒失活
効果が不十分となり、オリゴマー再生抑制の効果がほと
んど見られなくなる。また、溶液温度は、より好ましく
は60℃以上180℃以下であり、特に好ましくは70
℃以上150℃以下である。さらに、溶液のpHは4以
下であるとより好ましく、pHが3.5以下であるとさ
らに好ましい。
【0013】また、本発明では上記溶液にて処理される
ポリエステル組成物の固有粘度を0.7dl/g以上と
する。より好ましくは0.8dl/g以上であり、さら
に好ましくは1.0dl/g以上である。このようなポ
リエステル組成物を本発明の条件をみたす溶液にて接触
処理することにより、ポリエステル組成物が適度に加水
分解されるため、成形に適した目的とする固有粘度に調
整しやすく、かつ重合触媒に関係なく溶融加熱時のオリ
ゴマー再生を抑制できるため、オリゴマー汚れが低減で
きるようになる。また、このような条件をとることによ
り、溶液との接触処理によって起こる固有粘度の低下を
コントロールしやすくなり、品質のばらつきを大幅に低
減できるものである。
【0014】ここにおけるリン化合物とは、リン酸トリ
メチル、リン酸トリエチル、リン酸トリn−ブチル、リ
ン酸トリフェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、
リン酸ジフェニル、リン酸メチル、リン酸エチルなどの
リン酸エステル類、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリ
フェニルなどの亜リン酸エステル、およびリン酸やポリ
リン酸などが用いられる。また、これらの金属化合物か
らなる塩でもよい。これらの例としては、リン酸カリウ
ム、リン酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水
素二カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナ
トリウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸二水素マ
ンガン、リン酸水素リチウム、リン酸水素二リチウムな
どが挙げられる。
【0015】また、溶液のもととなる溶媒としては、
水、アルコール化合物、エステル化合物、ケトン化合
物、塩素系化合物、芳香族化合物などがよく、例えば、
水、メタノール、エタノール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酪
酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アセトン、クロロ
ホルム、ベンゼン、トルエンなどがあげられる。この中
で特に水が好ましく、水の種類としては蒸留水、精製
水、イオン交換水、循環水のいずれであってもよい。
【0016】本発明の溶液のpHを調整するため、中和
剤を加えてもよい。中和剤としては、水酸化ナトリウム
溶液、水酸化カリウム溶液、炭酸ナトリウム溶液、炭酸
カリウム溶液、炭酸水素ナトリウム溶液、炭酸水素カリ
ウム溶液などが挙げられる。
【0017】接触させる時間はリン化合物添加溶液の濃
度や温度によって適切な処理時間が異なるが、物性を損
なわない範囲で、30分間から24時間程度行うことで
効果を発現することができる。
【0018】本発明では上記溶液で接触処理したとき
に、ポリエステル組成物の固有粘度の低下が0.1dl
/g以上であることが好ましい。より好ましくは、0.
2dl/g以上である。リン化合物による触媒失活の場
合、加水分解が促進されるため、固有粘度の低下を抑制
することがむずかしく、品質のばらつきにつながる。そ
こで本発明では、溶液接触処理前後での固有粘度低下を
故意に大きくとることにより、この品質のばらつきを抑
制できるようになる。
【0019】本発明では、溶液にて接触処理されたポリ
エステル樹脂組成物の分子量分布多分散度(Mw/M
n)が1〜3.7の範囲内にあることが好ましい。ここ
でMwは重量平均分子量をあらわし、Mnは数平均分子
量をあらわす。Mw/Mnが3.7を超える場合、IV
が高すぎるために成形性が悪化する問題がある。また、
1を下回る場合は加水分解を制御しきれていないため、
線状のオリゴマー量が増加したり、溶融成形時の流動特
性が著しく変化することがある。
【0020】本発明のポリエステル組成物は、減圧下お
よび/または窒素雰囲気下の条件において、180℃以
上融点以下の温度で5時間以上加熱されていることが好
ましい。このような加熱処理は、溶液との接触処理の前
に施されていることが特に好ましい。この加熱処理によ
り、オリゴマーが大幅に低減するとともに、その後の溶
液処理によってオリゴマーの再生を抑制できるものであ
ることから、失活による重合性の低下をまねくことな
く、オリゴマーを効果的に低減できるものである。
【0021】また、ポリエステル樹脂組成物に含有され
るゲルマニウム、アンチモン、チタン、珪素、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウ
ム、マンガンから選ばれる単体の元素量がいずれも50
0ppm以下であることが好ましい。該元素量が500
ppmを上回る場合、溶融成型時のオリゴマーの増加速
度が顕著になり、該リン化合物添加溶液に接触させて
も、オリゴマー汚れが頻繁に発生しやすくなる。
【0022】また、ポリエステル組成物を製造するため
の重合触媒としては、アンチモン化合物もしくはチタン
化合物であることが好ましい。ポリエステルを重縮合に
より製造するにあたって一般的にはアンチモン触媒、ゲ
ルマニウム触媒、もしくはチタン触媒のいずれかを添加
する必要がある。これらの触媒の中でも、ゲルマニウム
触媒は生成するポリエステル樹脂の色相および透明性が
優れるが、他の触媒と比べてコストが高く、汎用用途に
は使用しにくい。添加量としては、重合速度を向上させ
ることから好ましくは30ppm以上であり、さらに好
ましくは100ppm以上である。しかし添加量が50
0ppmを上回る場合、溶融成型時のオリゴマーの増加
速度が顕著になり、該リン化合物添加溶液に接触させて
も、オリゴマー汚れが頻繁に発生するようになる。な
お、上記の単体元素含有量や触媒添加量の単位ppmは
重量基準である。
【0023】また、ポリエステル樹脂組成物の環状三量
体の含有量は0.7重量%以下であることが好ましい。
0.7重量%を超える環状三量体が含まれている場合
は、溶融成型時の環状三量体の増加量が抑えられても、
ポリエステル樹脂からオリゴマー(主に環状三量体)の
滲みだしが起こり、オリゴマー汚れが頻繁に発生する。
【0024】上述の方法によって得られたポリエステル
樹脂組成物は、種々の方法により成型できる。例えばフ
ィルム成型、プレス成形、ブロー成型、射出成型などが
これに該当する。
【0025】本発明におけるポリエステル組成物やポリ
エステル樹脂組成物は、ジカルボン酸成分骨格とジオー
ル成分骨格との重縮合体であるポリエステル樹脂を含
み、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレー
ト、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタ
レートなどを用いることができる。特にポリエチレンテ
レフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる
用途に用いることができ、効果が高い。また、これらの
樹脂はホモ樹脂であってもよく、共重合体またはブレン
ド体であってもよい。共重合しうるジカルボン酸成分と
してイソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレン酸、
1,5−ナフタレン酸、2,6−ナフタレン酸、4,
4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニル
スルホンジカルボン酸、セバシン酸、ダイマー酸が挙げ
られる。
【0026】また、共重合しうるグリコール成分として
1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジ
エチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,
2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プ
ロパン等の脂肪族ジオール、また芳香族ジオール、脂肪
環ジオールが挙げられる。
【0027】ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタ
レートの場合には、それが全量の85重量%以上、好ま
しくは90重量%以上含むものが好ましい。
【0028】本発明において用いるポリエステル樹脂の
製造方法は、ポリエチレンテレフタレートの場合は、以
下のようにして製造することができる。即ち、テレフタ
ル酸とエチレングリコール及び必要により共重合成分を
直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下で
重縮合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸
ジメチルとエチレングリコール及び必要により共重合成
分を反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換
させた後、減圧下で重縮合を行うエステル交換法等によ
り製造することができる。前記溶融重縮合反応は、回分
式反応装置で行っても良いし、また連続式反応装置で行
っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮
合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて
行っても良い。重縮合触媒としては、三酸化アンチモ
ン、酢酸アンチモンなどのアンチモン化合物、チタニウ
ムテトラブトキサイドなどのチタン化合物を用いること
ができる。
【0029】なお、本発明において用いるポリエステル
樹脂には必要に応じて着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、帯電防止剤、滑剤、核剤、離型剤などを本発明の目
的を損わない範囲で添加することができる。
【0030】このようにして、最終重縮合反応器から得
られたポリエチレンテレフタレートは、ストランド状に
抜き出された後、溶融成形しやすいようにカッターでチ
ップ状にされる。
【0031】前記ポリエチレンテレフタレートは固相重
合工程に輸送し、融点温度以下において高減圧状態もし
くは不活性ガス雰囲気状態で固相重合を施すことによ
り、含有オリゴマーを低減させてもよい。
【0032】上記方法により得られたポリエステル組成
をは、重合触媒の失活のために、該リン化合物溶液に接
触させる。具体的にはチップ樹脂供給設備から温度・p
H調整のされた水槽中に連続的に投入して、処理後に水
切りを行う方法が好ましい。また、水槽内を攪拌翼で攪
拌したり、水を循環させる等の方法も処理効率を向上さ
せることから好ましい。この際の処理溶液は、循環して
もよく、さらにフィルター等を介して不純物をできるだ
け除去することが好ましい。
【0033】このようにして重合触媒が失活されたチッ
プを用いることにより、溶融成型時に生成するオリゴマ
ーを大幅に低減することができる。
【0034】これらの方法により製造されたポリエステ
ル樹脂チップは、溶融成型前に乾燥させる必要があり、
120〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度
で3時間以上、減圧下もしくは乾燥窒素下で乾燥する方
法が好ましく例示される。
【0035】本発明のポリエステル樹脂組成物を、ポリ
エチレンテレフタレートフィルムとして成形する場合に
は以下のようにして溶融成型してもよい。まず、ホッパ
ーよりポリエステル樹脂組成物を供給して押出機内のス
クリューによって溶融混練され口金に送る。必要に応じ
てフィルターを介して異物を除去したり、ギアポンプを
設けて供給性を向上させてもよい。口金を通してシート
状に成形された後吐出され、冷却ドラム上で冷却固化さ
れるのが好ましく、次いでフィルムに成形される。この
際、シート状の溶融樹脂に静電気を印加してドラム上に
密着させ、急冷固化する方法が好ましく用いられる。こ
のようにして得られたキャストフィルムを、ガラス転移
温度以上の温度で二軸延伸することにより配向結晶化が
起こり、強靱で機械強度と耐熱性に優れたフィルムが得
られる。この延伸倍率は必要とされる強度や厚み、用途
に合わせて適宜選択できるが、縦横延伸倍率の積で2〜
30倍程度である。このような製造方法で二軸延伸され
たフイルムは、さらに、平面性や寸法安定性を付与する
ために、テンタ内で延伸温度以上、融点以下の熱固定を
行ない、室温まで冷却して巻きとることが好ましい。
【0036】上記のようにして得られるポリエステル樹
脂組成物やポリエステルフィルムは磁気記録媒体のベー
スフィルムとして、あるいは、ボトル用途や各種のフィ
ルム・シート用途に好適に用いることができる。
【0037】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明する。
【0038】なお、実施例で使用される物性値の評価や
測定方法は、以下の方法にしたがったものである。 (1)ポリマー中の環状三量体量 ポリエチレンテレフタレート0.1gをオルトクロロフ
ェノールに1.5mlに溶解し、ビフェニル0.125
mgとクロロホルム2mlを添加する。メタノールを少
しずつ滴下してポリマーのみを沈降させる。上澄み液を
高速遠心分離器により分離し、液体クロマトグラフィー
によって環状三量体の定量をおこなった。分析条件は以
下のとおりである。
【0039】 カラム :INTERSIL ODS−3 4.6
×250mm 展開溶媒 :メタノール/水=78/22 流速 :1.3ml/分 測定波長 :240nm カラム温度 :35℃ 定量化には、あらかじめ濃度の分かっている各オリゴマ
ーの標品を用いて検量線を作成し、HPLCクロマトグ
ラムのピーク面積より定量化を行った。 (2)固有粘度 オルトクロロフェノールを溶媒として用い25℃で測定
した。 (3)pH HORIBA製pHメーター F−14を用いて溶液7
0℃のときのpHを測定した。 (4)Mw/Mn WATERS製ゲル浸透クロマトグラフGPC−201
Dを用いて測定した。また、カラムにはShodexH
FIP806Mを2本を用い、流速0.5ml/mi
n.、温度23℃にて0.005Nのトリフルオロ酢酸
ナトリウム添加ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒
とした。また、試料濃度は0.06重量%とし、注入量
は300μlとした。また、分子量Mと溶出時間T(m
in)との関係式は、PET−5R(分子量48,40
0)とジメチルテレフタレート(分子量194)から求
め、下記式を採用した。
【0040】 LogM=13.03422−0.2240239×T またMwは重量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量
とした。 (5)ポリマー中の残存触媒量 理学製自動蛍光X線分析装置 RIX3000を用いて
測定した。測定条件は以下のとおりである。
【0041】分光結晶:Ge 管電圧・管電球:50kV・50mA また、ポリマ中に粒子が含まれている場合には、ポリマ
をヘキサフルオロイソプロパノールに0.1g/mlの
濃度にて溶解させた後、高速遠心分離器により上澄み液
を分離し粒子を含まないポリマーを取り出した。 (6)析出オリゴマーの評価 得られたポリエチレンテレフタレートフィルムを150
℃・30分間熱風オーブンで処理して強制的に表面にオ
リゴマー(環状三量体)を析出させる。このフィルム表
面のアルミニウム蒸着を行い、微分干渉顕微鏡の総合倍
率400倍で表面を観察し、析出オリゴマー個数(個/
mm2)を算出した。析出オリゴマーがまったく認めら
れない場合を「◎」、析出オリゴマーがほとんどない
(個数が1〜10個/mm2)場合を「○」、析出オリ
ゴマーがところどころ確認できる(個数が11〜50個
/mm2)である場合を「△」、析出オリゴマーが多い
(個数が51個/mm2以上)場合を「×」と評価し
た。 (7)品質性 すくなくとも10回以上の異なるバッチの溶液処理後の
チップについて固有粘度を測定し、固有粘度のばらつき
が±0.1以下であった場合を「○」とし、±0.1よ
り大きかった場合を「×」とした。 (実施例1)テレフタル酸ジメチル100重量部とエチ
レングリコール70重量部とを酢酸マグネシウム・4水
和物0.06重量部を触媒として、定法に従いエステル
交換反応を行った。エステル交換反応終了後、リン化合
物をしてリン酸トリメチル0.026重量部、三酸化ア
ンチモン0.026重量部を添加し、引き続いて定法に
従い重縮合反応を行い、極限粘度0.65相当まで攪拌
トルクが上がった時点で重合を終了した。これにより得
られたポリエチレンテレフタレートに含まれるアンチモ
ン元素は180ppm、マグネシウム量は80ppm、
リン量は38ppmであり、環状三量体量は1.25重
量%であった。このポリマーをチップ状にカットし、2
30℃で12時間減圧下で固相重合を行い、極限粘度
0.90dl/g、環状三量体量0.40重量%のポリ
マーを得て、チップ化した。
【0042】得られたチップを、30重量%リン酸トリ
メチル水溶液中に投入し、100℃の温度で1時間加熱
した。このポリエチレンテレフタレートを水切りした
後、回転式真空乾燥機に移送し、150℃の温度で5時
間減圧乾燥した。この時のポリマーの極限粘度は0.6
4dl/g、Mw/Mnが3.46であった。また、品
質性は「○」であった。
【0043】さらに得られたチップを押出機に投入し、
280℃で溶融・混練し、フィルターを経て口金に送っ
た。次に口金から押出されたシート状の溶融物を静電印
加により、冷却ドラム上に冷却固化させてシート状の未
延伸フィルムを得た。このフィルムの環状三量体量は
0.4重量%であった。得られた未延伸フィルムを延伸
ロールに導き、95℃で縦方向に3.3倍延伸し、一軸
延伸フィルムを得た。さらにこの一軸延伸フィルムをテ
ンターに導き、縦延伸方向と直角の方向(幅方向)に延
伸した。延伸温度115℃に加熱された熱風雰囲気中で
幅方向に3.5倍延伸後、200℃で熱固定し、厚さ6
μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィ
ルムの表面析出オリゴマー量を評価したところ、析出オ
リゴマーはほとんど確認されなかった。結果を表1に示
す。 (実施例2〜7)リン酸トリメチル水溶液の処理温度、
pH、濃度を変更した以外は、実施例1と同様の処理を
行った。表1に結果を示す。 (比較例1)溶液との接触処理を行わなかった以外は、
実施例1と同様の装置・条件にて行った。結果を表1に
示す。 (比較例2)溶液温度を20℃とした以外は、実施例1
と同様の装置・条件にて行った。結果を表1に示す。 (比較例3)溶液のpHを6.0とした以外は、実施例
1と同様の装置・条件にて行った。結果を表1に示す。 (比較例4)溶液をリン酸トリメチルを添加しない水と
した以外は、実施例1と同様の装置・条件にて行った。
結果を表1に示す。 (実施例8)溶液をリン酸トリメチル30重量%水溶液
からリン酸30重量%水溶液に変更した以外は、実施例
1と同様の装置・条件にて行った。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】 以上の結果から、溶融成型時おけるオリゴマー(環状三
量体)量を低減でき、これにより、熱処理による表面の
析出オリゴマー抑制することができ、ひいては表面傷の
ない良好なポリエステルフィルムを長時間の運転でも継
続して得られたことが分かる。また、チップの固有粘度
も安定しているため、品質のばらつきもほとんどないほ
か、製膜も安定して行うことができた。これに比べて比
較例では、熱処理によるオリゴマー(環状三量体)の発
生を抑制できなかったり、また、オリゴマー(環状三量
体)の発生を抑制できた場合でも、固有粘度のばらつき
が原因と考えられる厚みむらが発生したり、ひどい場合
にはフィルムが気泡を噛んだり破れが生じたりして製膜
性が悪化した。
【0045】
【発明の効果】本発明はポリエステル樹脂組成物の製造
方法に関するものであり、溶融成型時に発生するオリゴ
マーの低減に高い効果があり、生産性を向上させるだけ
でなく、表面欠点の少ない優れたポリエステル樹脂組成
物を得ることができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA01 AB04 AB07 AD01 AE01 AE03 AE05 BA02 BA04 BA05 BB00 BB12A BB13A BC05A BC06A BD00 BD03A CA02 CB04A CB05A CB06A FC01 JF021 JF031 JF041 JF131 JF141 JF321 JF351 JF361 JF471 JF541 KE02 KE03 KE05 KH05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン化合物の含有量が0.01〜50重
    量%の範囲内にあり、温度が50〜200℃の範囲内に
    あり、かつpHが5以下である溶液に、固有粘度が0.
    7dl/g以上であるポリエステル組成物を接触処理さ
    せるポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリエステル組成物の固有粘度の低下が
    0.1dl/g以上となるように接触処理する、請求項
    1に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリエステル樹脂組成物の分子量分布多
    分散度(Mw/Mn)が1〜3.7の範囲内にある、請
    求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 減圧下および/または窒素雰囲気下の条
    件において、180℃以上融点以下の温度で5時間以上
    加熱されたポリエステル組成物を用いる、請求項1〜3
    のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 ポリエステル樹脂組成物に含有されるゲ
    ルマニウム、アンチモン、チタン、珪素、リチウム、ナ
    トリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マン
    ガンから選ばれる単体の元素量(ただし粒子中に含まれ
    るものを除く)がいずれも500ppm以下である、請
    求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリエステル樹脂組成物の環状三量体の
    含有量が0.7重量%以下である、請求項1〜5のいず
    れかに記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
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