JP5145725B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents

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本発明は、リエステルフィルムに関し、さらに詳しくは、環状化合物(オリゴマー)の含有量が少なく、静電印加キャスト性が優れ、配合用ポリエステルとして好適なポリエステル樹脂組成物用いたポリエステルフィルムに関する。
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムは優れた機械的特性、熱的特性、電気的特性を有することから、各種産業用途に広く使用されており、工業用、磁気材料用等多岐に渡って生産されている。しかしながら、ポリエステルに要求される特性および生産性は、それぞれの用途分野においてますます厳しくなっており、解決すべき課題も数多くある。
例えば、特許文献1では、ポリエステルフィルムの生産性を向上させる目的で、静電印加キャスト性を向上でき、耐摩耗性及び平面性に優れたポリエステル組成物を提案している。
さらに、特許文献2では、静電印加キャスト性が向上した配合用ポリエステルが提案されている。しかし、この提案では、フィルム成形時の静電印加キャスト性に優れているものの、ポリエステル樹脂組成物中の環状三量体が多いために、それがフィルム表面に析出し、例えば、磁気記録材料用のベースフィルムであれば、走行面から析出した環状化合物が磁気記録面に転移して、磁気記録が阻害される問題があった。
このような問題を解決するため、特許文献3では不活性ガス雰囲気中で加熱処理をすることにより環状化合物を減少させる技術が提案されている。この方法では、たしかに環状三量体量を低減することはできるが、フィルム成形時の静電印加キャスト性を良くするために、マグネシウムまたはマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素、アルカリ金属元素、およびリン元素を多量に含有させると、環状三量体を低減するのに非常に時間がかかり、生産効率が悪い。また、マグネシウム、マンガン、アルカリ金属元素が少ないと、溶融比抵抗が高くなり、配合用ポリエステルとして混合して使用した場合、フィルム成形時の静電印加キャスト性が悪く、生産効率が悪いという問題があった。
特公平5−39982号公報 特開昭63−254126号公報 特開2006−104444号公報
そこで本発明の課題は、上記のような従来技術における問題点を解決し、環状化合物含有量が少なく、静電印加キャスト性に優れ、押し出し成形に適した配合用ポリエステル組成物用いた、生産効率の良いポリエステルフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るポリエステルフィルムは、ポリエステル構成単位の90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であり、溶融重縮合を経て、該ポリエステルを、650〜1020hPaの不活性ガス雰囲気下、190〜250℃の温度で15〜80時間の加熱処理を行った後の固有粘度が0.55〜0.70の範囲であって、かつ環状三量体の含有量が0.10〜0.60重量%、溶融比抵抗が1×106〜10×106Ω・cm、かつ下記式を満足する量のマグネシウムまたはマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素、アルカリ金属元素、およびリン元素を含むポリエステル樹脂組成物を、配合後のポリエステルフィルム全体の樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜20重量部含有してなることを特徴とするものからなる。
20≦M≦150 (1)
0.02≦A/M≦0.5 (2)
5≦(M+A/2)−P≦70 (3)
(M:ポリエステル1トン当たりに含有されるマグネシウム元素、マンガン元素の総モル数、A:ポリエステル1トン当たりに含有されるアルカリ金属元素のモル数、P:ポリエステル1トン当たりに含有されるリン元素のモル数)
また、本発明は、上記のようなポリエステル樹脂組成物を含有する層を副層として主層に積層した複合ポリエステルフィルムについても提供する。すなわち、主層と副層から構成されている複合ポリエステルフィルムであって、副層の厚みが複合ポリエステルフィルム全体の厚みの1/200〜4/10であり、かつ副層に上記のようなポリエステル樹脂組成物を、配合後の複合ポリエステルフィルム全体の樹脂組成物100重量部に対して0.1〜20重量部含有してなる複合ポリエステルフィルムについても提供する。
本発明によれば、環状三量体量の含有量が少ない、押し出し成形に適した溶融比抵抗を有する配合用ポリエステル樹脂組成物を用いたポリエステルフィルムを提供することができる。本発明のポリエステル樹脂組成物は、通常使用されている条件を特に変更することなく紡糸、製膜、成形を行うことができ、しかも環状三量体による製糸時の油剤の汚染や製膜時のキャスティング、延伸設備の汚染などを防止することが可能となる。また、成形体の使用時に環状化合物の析出による欠点を防止でき、繊維、フィルム、ボトルなどの用途に有効に使用することができる。特にフィルム成形時の静電印加キャスト性に優れるので、製膜速度を上げて効率良く生産することができ、平滑性が要求される磁気テープなどの磁気記録媒体用途フィルムとして有効である。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに、詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、基本的には、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分(又はそのエステル形成性誘導体)とエチレングリコールを主成分とするグリコール成分とを、必要に応じて使用される共重合成分などの原料を含めてエステル化反応槽(又はエステル交換反応槽)に移送し、エステル化反応(又はエステル交換反応)させるエステル化工程(又はエステル交換工程)、引き続き、得られた低分子量体を重縮合反応槽に移送し、溶融重縮合反応させる溶融重縮合工程、更に、必要に応じ、加熱処理工程を経て製造される。特に、本発明に係るポリエチレンテレフタレート樹脂は、原料としてジカルボン酸成分を使用し、エステル化反応を行なう方法により、好適に製造することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル構成単位の90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であり、エチレンテレフタレート単位以外の繰り返し単位を構成する他の酸成分および/または他のグリコール成分を10モル%未満の範囲で含んでいてももよい。エチレンテレフタレート成分が90モル%未満である場合、ポリエステルの結晶性が悪くなり、本発明における環状三量体の含有量を下げることが難しくなる場合がある。
上記のジカルボン酸としては、テレフタル酸以外に、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウムおよびこれらのアルキルエステルなどの芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、セバシン酸、およびこれらのアルキルエステルなどの脂肪族ジカルボン酸成分、1,4シクロヘキサンジカルボン酸およびこれアルキルエステルなどの脂環族ジカルボン酸成分を挙げることができる。
上記グリコール成分としては、エチレングリコール以外に、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、イソソルベート等を挙げることができる。
さらに、共重合成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能カルボン酸成分、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールを挙げることができる。さらに、pヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸を用いてもよい。
エステル化工程は、通常、単数または複数のエステル化反応槽を使用し、攪拌下に行なう。例えば、単一のエステル化反応槽を使用する場合、反応温度は通常240〜280℃、大気圧に対する相対圧力は通常0〜400kPa(0〜4kg/cm2G)、反応時間は通常1〜10時間である。エステル化工程で得られるエステル化反応生成物のエステル化反応率は通常95%以上である。
溶融重縮合工程は、通常、単数または複数の重縮合反応槽を使用した連続式または回分式で行なうことができ、常圧から漸次減圧して加熱攪拌下に生成するエチレングリコールを系外に留出させながら行なう。例えば、単一の重縮合反応槽を使用した回分式の場合、反応温度は通常250〜290℃、常圧から漸次減圧とした最終的な絶対圧力は、通常1.3〜0.013kPa(10〜0.1Torr)、反応時間は通常1〜20時間である。
ポリエステル樹脂の固有粘度は、重合の終点をポリマーの攪拌トルクで判定することができる。攪拌トルクが高い場合には、ポリマーの溶融粘度が高く、固有粘度も高くなる。目標とする固有粘度になるように重合装置の終点判定攪拌トルクを設定すればよい。
得られた重合の終了したポリエステル樹脂は、重合装置下部からストランド状に吐出し、水冷しながらカッターによってカッティングすればよい。カッティングによってチップ形状が制御できるので、本発明において好ましい嵩密度を有するポリエステルチップを得ることができる。
本発明において使用する重縮合反応触媒には、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコラート、二酸化ゲルマニウム、有機チタン化合物などの一種または二種以上を用いることができる。中でも得られるポリエステルの透明性および入手性の面から三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムが好ましい。
本発明においては、ポリエステルに金属化合物を多量に含有せしめても、粗大な粒子が生成せず、実質的に粒子が存在しない配合用ポリエステルが得られるが、用途に応じて、二酸化ケイ素、三酸化アルミニウム、二酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、顔料などの滑剤、艶消し剤を添加することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、溶融比抵抗が10×106Ω・cm以下であり、好ましくは8×106Ω・cm以下である。静電印加キャスト性が好ましくないポリエステルに本発明で得られたポリエステルを配合することにより、溶融製膜時の静電印加キャスト性が著しく改良できる。溶融比抵抗が10×106Ω・cmを越えると、静電印加キャスト性の不良により、溶融押し出しキャスト時にフィルムとキャスティングドラムとの間に空気が入りやすくなり、製膜速度を下げなくてはならない。ここで、溶融比抵抗とは、ポリマーもしくはフィルムの溶融状態で電圧をかけたときに流れる電流量を測定して算出され、ポリマーおよびフィルムの電気伝導度の指標となる数値である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、反応系に可溶な金属化合物を添加することにより溶融比抵抗を制御することができ、下記式を満足する量のマグネシウムまたはマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素、アルカリ金属元素、およびリン元素を含む。
20≦M≦150 (1)
0.02≦A/M≦0.5 (2)
5≦(M+A/2)−P≦70 (3)
(ここで、M:ポリエステル1トン当たりに含有されるマグネシウム元素またはマンガン元素の総モル数、A:ポリエステル1トン当たりに含有されるアルカリ金属元素のモル数、P:ポリエステル1トン当たりに含有されるリン元素のモル数)
上記のMが20モル/トン未満では静電印加キャスト性が不十分であり、配合用ポリエステル組成物としての工業的機能が薄れる。一方、150モル/トンを越えると、重縮合反応中に熱分解が促進され、高重合度を有したポリマーを得ることが困難になる他、得られるポリエステル組成物のカルボキシル末端基が増加するなどの欠点を有する。
上記のA/Mが0.02に満たない場合には、得られるポリエステル組成物のカルボキシル末端基含有量が増加し、さらにはジエチレングリコール(以下、DEGということもある。)の副生により、得られるポリエステル組成物の軟化点が低下する。一方、A/Mが0.5を越えると、もはやカルボキシル末端基やDEGの減少効果はなく、異物が生成してフィルム表面上で粗大突起となり、品質を損なう。
上記の(M+A/2)−Pは、より好ましくは10〜50モル/トンであり、さらに好ましくは10〜40モル/トンである。(M+A/2)−Pが5モル/トン未満ではポリエステル組成物に配合した場合、溶融製膜時の電気伝導性の改良効果が不十分であり配合用ポリエステルとしては工業的機能に薄れる他、場合によっては得られるフィルムが平坦になり、易滑性を損なう。さらに軟化点の低下を引き起こす等の問題を生じる。一方、(M+A/2)−Pが70モル/トンを越えると、重縮合反応中に熱分解が促進され、高重合度のポリマーを得ることが困難になる。
本発明で使用する上記のMの金属化合物としては、酢酸塩、プロピオン酸塩などの脂肪族カルボン酸塩、塩化物や臭化物などのハロゲン化物、水酸化物、メチラート、エチラート、エチレングリコラートなどのアルコラートを挙げることができ、具体的には酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸マンガン、塩化マグネシウム、臭化マンガン、マグネシウムグリコラート、水酸化マグネシウム、水酸化マンガンなどを挙げることができる。これらは2種以上を併用してもよい。特に、マグネシウム化合物、マンガン化合物は、熱安定性の低下を抑制するため好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記Mの金属化合物としてマグネシウム化合物を用い、マグネシウム元素が480〜2000ppmの範囲にある形態を採ることができる。マグネシウム元素を480ppm以上とすることで、静電印加キャスト性の付与効果が十分であり、配合用ポリエステルとしての工業的機能が優れる。一方、マグネシウム元素を2000ppm以下にすることで、重縮合反応中に熱分解が促進されず、高重合度を有したポリマーを得ることができる。
本発明で使用する上記Aの金属化合物としては、酢酸塩、プロピオン酸塩などの脂肪族カルボン酸塩、塩化物や臭化物などのハロゲン化物、水酸化物、メチラート、エチラート、エチレングリコラートなどのアルコラートを挙げることができ、具体的には酢酸リチウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸リチウム、プロピオン酸カリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、リチウムメチラート、リチウムグリコラート、ブチルカリウムなどを挙げることができ、これら2種以上を併用してもよい。
本発明で使用するリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、およびエステルから選ばれた少なくとも1種類を用いることができる。具体的にはリン酸、リン酸トリエステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸エステルなどを挙げることができる。
本発明で使用するマグネシウム、マンガン化合物およびアルカリ金属化合物の添加については、エステル交換反応の場合、触媒量をエステル交換反応前に添加し、残りの量をエステル交換反応終了してから添加するのが好ましい。エステル化反応の場合、エステル化反応率が95%以上、より好ましくは97%以上に達してから添加することが好ましい。リン化合物の添加時期は特に限定はないが、好ましくは前記金属化合物を添加した後から重縮合反応を開始する以前に添加される。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、環状三量体の含有量が0.10〜0.60重量%の範囲である。環状三量体の含有量が0.60重量%を超える場合、環状三量体がフィルムなどの表面に析出しやすく、析出物が表面欠点となる。さらに環状三量体の含有量は0.50重量%以下であることが析出抑制の観点から好ましく、さらには0.40重量%以下が好ましい。一方、環状三量体の含有量が0.10重量%未満の場合、環状三量体を減少させる加熱処理にかかる時間が長時間となり、ポリエステルの熱安定性を損なう傾向にある。また、環状三量体含有量を0.10重量%未満にした場合には、特にこれによる顕著な効果が発現しにくくなる。
溶融重縮合工程から得られる樹脂は、加熱処理工程で、環状三量体を低減することができる。加熱処理工程後に得られたポリエステル樹脂組成物は、固有粘度が0.50〜0.80の範囲にあり、環状三量体を低減する前後の固有粘度の差が0.05以下である。本発明において固有粘度とは、オルトクロロフェノールを溶媒として25℃で測定したものであるが、これが0.50未満では成型品として不十分な機械特性となり、一方0.80を超える場合、溶融押し出しの際に剪断発熱が著しくなりポリマーの熱分解を誘発することがある。本発明では、この固有粘度についてより好ましい範囲にて規定してあり、固有粘度を0.55〜0.70としている。より好ましくは0.60〜0.70の範囲である。
加熱処理工程は、例えば、650〜1,020hPaの範囲にある不活性ガス雰囲気下、固有粘度が0.55〜0.70、かつ結晶化度が30%以上であるポリエステルを190℃〜250℃の温度で15〜80時間加熱する。
不活性ガス雰囲気としては、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスや窒素ガス、炭酸ガス等を挙げることができる。このうち窒素ガスが入手しやすく、好ましく用いることができる。これらの不活性ガスに含有される酸素や水分の濃度は、500体積ppm以下であることが好ましい。酸素や水分の濃度が500ppmを超える場合にはポリエステルの劣化が起こりやすくなり、ポリエステルの着色などの原因となる。
加熱処理を施す時間は15〜80時間の範囲が好ましい。ポリエステル樹脂に残存する重合触媒の量や処理温度によって時間は変わるが、15時間未満では十分に環状三量体を減少させることが困難であり、80時間を超える場合には経済的に不利となる。
上記の加熱処理に使用する熱処理装置としては、ポリエステルを均一に加熱できるものが好ましい。具体的には静置式乾燥機、回転式乾燥機、流動式乾燥機や種々の攪拌翼を有する乾燥機、連続式タワー乾燥機などを用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、静電印加キャスト性の好ましくないポリエステル樹脂組成物に配合できる。静電印加キャスト性の好ましくないポリエステル樹脂組成物としては、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の含有量が少なく又は含まず、リン元素を含むポリエステル樹脂組成物、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素の少なくとも1種とリン元素からなる析出粒子を含むポリエステル樹脂組成物が挙げられ、配合量としては配合後のポリエステルフィルム全体の樹脂組成物100重量部に対して(前述の主層と副層から構成されている複合ポリエステルフィルムの場合には、副層への配合量としては、配合後の複合ポリエステルフィルム全体の樹脂組成物100重量部に対して)本発明のポリエステル樹脂組成物を0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部である。配合量が0.1重量部未満では静電印加キャスト性の改良効果が十分でなく、20重量部を越えて析出粒子を含有したポリエステル樹脂組成物に配合すると、得られるフィルムの表面が平坦になり、易滑性を損なう。
上記ポリエステルフィルムは、主層と副層から構成されている複合フィルムとすることができ、好ましくは、副層を構成するポリエステル樹脂組成物の溶融比抵抗が主層を構成するポリエステル樹脂組成物の溶融比抵抗よりも低く、しかも副層の厚みが複合フィルム全体の厚みの1/200〜4/10である。
副層の厚みが1/200未満の場合、静電印加キャスト性が低下し、従って製膜生成性の低下や印加ムラを発生させるほか、均一に積層することが困難である。一方、副層の厚みが4/10を超える場合には、静電印加キャスト性は改良されるものの、熱安定性が低下し、ゲル状異物を生成させやすい。
本発明の複合フィルムの厚さは特に限定されないが、好ましくは0.5〜100μm、特に1〜80μmである。
本発明の複合フィルムを構成する副層は、主層の片面に積層されていても両面に積層されていてもよい。複合フィルムをキャスティングする場合、キャスティングドラム面側に副層を存在させるのが好ましい。
具体的には、主層となるポリエステル樹脂組成物および副層となるポリエステル樹脂組成物を溶融押出しし、複合未延伸シートを得る。この未延伸シートを回転冷却体で急冷する。ポリエステルシートと回転冷却体との密着性を高めるため静電印加キャスト法を用いる。この際、副層側のポリエステル樹脂組成物を回転冷却体に接触させる方法が密着性の改良効果が大きい。また、この方法によると主層側ポリエステル樹脂組成物に含有させる金属含有量を抑制できるため、電気特性、フィルム表面の平坦性およびフィルムの熱安定性などの面からより好ましい。
得られた非晶性のシートは、次いで、種々の延伸法、たとえば、ロール延伸法あるいはテンター延伸法により一軸もしくは二軸(縦方向と横方向)に延伸し、これを巻き取る。延伸の順序は逐次でも同時でもいずれでもよい。
ここで縦方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸をいい、例えば、延伸ロールを用いてロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また複数本のロール対を使用して多段階に行ってもよい。延伸の倍率としては2〜15倍が好ましく、より好ましくは2.5〜7倍である。
横方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、例えば、テンターを用いてフィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して幅方向に延伸する。延伸の倍率としては2〜10倍が好ましい。
同時二軸延伸は、例えば、テンター内にてフィルムの両端をクリップで把持しながら搬送しつつ、縦方向および横方向に同時に延伸するものであり、本発明ではこの方法を用いてもよい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するためにテンター内で延伸温度以上融点以下の温度で熱処理を行うのが好ましく、均一に除冷後、室温まで冷やして巻き取られる。本発明のフィルムにおいては、熱処理温度としては120〜240℃であることが平面性、寸法安定性などの点から好ましい。
副層を構成するポリエステル樹脂組成物に不活性粒子を含有させると易滑性が向上するため好ましい。この不活性粒子の大きさ、および含有量を調整することによって目標とする複合ポリエステルフィルムとなる。一般的には、電磁変換特性と易滑性とが相反する関係にあるため、用途によって不活性粒子の大きさ、および含有量を調整するのが好ましい。
複合ポリエステルの副層を構成するポリエステル樹脂組成物に、好ましくは平均粒子径0.1μm〜1.0μmの不活性粒子を好ましくは0.01〜0.8重量%含有せしめると、フィルム表面の平坦性が良好となるので好ましい。この場合、副層ポリエステルの厚みは、フィルム全体厚みの1/200〜4/10、好ましくは1/50〜3/10、より好ましくは1/20〜2/10である。
不活性粒子の形状については、より真球に近い形状を有した不活性粒子がフィルム表面状態の均一性を維持するためには好ましい。このような球状の不活性粒子としては、コロイダルシリカに代表されるSiO2や架橋ポリスチレン、ジビニルベンゼン系架橋高分子、TiO2などが特に好ましい。
本発明において、易滑性を改良するため主層を構成するポリエステルに不活性粒子を含有させてもよいが、不活性粒子の含有量や平均粒子径は副層を構成するポリエステルの範囲を超えないことが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物から得られるポリエステルフィルムは、長期の保管においても環状三量体がフィルム表面に析出しにくく、さらに加熱した状態でフィルムを処理しても環状三量体がフィルム表面に析出しにくいので、磁気記録媒体フィルムに好適である。フィルムの特定表面だけ環状三量体の析出を抑制したい場合であれば、積層フィルムとすることもできる。本発明のポリエステル樹脂組成物を積層すれば、積層した面だけでなく、積層していない面の環状三量体析出を少なくすることもできる。積層を行う場合は、少なくとも一方の表面が上記した本発明のポリエステル樹脂組成物を含んでいることが好ましい。
また、易接着層、粒子層等を形成する場合には、グラビアコートやメタリングバーなどのコーティング技術を用いて、延伸前、または縦延伸と横延伸の間でコーティング成分をインラインで塗布してもよいし、延伸後オフラインコーティングしてもよい。
このような本発明のポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルムは、とくに磁気記録媒体用フィルムとして好適である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(1)ポリエステル樹脂組成物中の環状三量体の定量
ポリエステル樹脂組成物1gを20mlのオルトクロロフェノールに溶解し、内部標準を添加する。さらにメタノールを加えてポリマーを析出させて遠心分離によって上澄みを採取し、液体クロマトグラフを用いて定量した。
(2)固有粘度
オルトクロロフェノールを用いて25℃で測定した。
(3)溶融比抵抗の測定
銅板2枚を電極として、間にテフロンのスペーサーを挟んで銅板22cm3、銅板間隔9mmの電極を作成する。この電極を290℃で溶融したフィルムポリマー中に沈め、電極間に5000Vの電圧を加えたときの電流量から抵抗値を算出した。
(4)ポリエステル樹脂組成物中の金属元素の含有量
アルカリ金属元素量は原子吸光法により、その他金属元素量は蛍光X線測定により、各元素を測定した。
(5)カルボキシル末端基量
ポリエステルをオルトクレゾール/クロロホルム(重量比7/3)に90〜100℃で溶解し、アルカリで電位差測定して求めた。
(6)静電印加キャスト性
溶融押出ししたフィルムの上部に設置した電極と回転冷却体間に6kVの直流電圧を印加し、キャスト速度を少しずつ上昇させ、印加ムラが発生したときのキャスト速度(m/min)を判定し、次の基準に従って判定した。2級以上を合格とした。
50m/min以上が1級、40m/min以上50m/min未満が2級、30m/min以上40m/min未満が3級、30m/min未満が4級とした。
(7)オリゴマー析出量
縦、横5cm角のフィルムを150℃で30分間熱風オーブン内で加熱した後、走査型電子顕微鏡で副層側(回転冷却ドラム側)のフィルム表面を観察し、100μm四方あたりの直径が1μm以上の環状三量体析出物個数をカウントした。析出個数が30個/100μm□以下を合格とした。
(参考例1)ポリマーaの製造
エステル化反応缶に250℃で溶融貯留したテレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比が1.15のビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびその低重合体に、テレフタル酸86.5重量部、エチレングリコール31.7重量部(モル比1.15)を混練して得たスラリーを3.5時間を要して連続的に供給して250℃でエステル化反応を行ない、生成する水を精製塔頂部から留出させた。スラリー供給が終了した後、さらに1.5時間エステル化反応を続け、実質的に反応を完結させた。反応率は98.3%であった。
次いで、得られた反応生成物104.8重量部(ポリエチレンテレフタレート(PET)100重量部相当)を重縮合反応缶に移行した後、該反応生成物に酢酸マグネシウム0.8重量部(M=37.3mol/トン)とエチレングリコール3.5重量部のスラリーと酢酸リチウム0.1重量部(A=9.8mol/トン)を添加し、10分後、トリメチルホスフェート0.25重量部とエチレングリコール3.5重量部の溶液を添加した。次いで、二酸化ゲルマニウム0.015重量部をテトラエチルアンモニウムヒドロキサイド0.015重量部に溶解した溶液を、さらにエチレングリコール0.5重量部で希釈した溶液を添加後、常法によって3.0時間重合反応を行ない、ポリマーを得た。次に、窒素雰囲気下で、225℃で45時間加熱処理してポリマーaを得た。得られたポリマーa中のリン量417ppm(P=13.56mol/トン)であり、固有粘度は0.60、カルボキシル末端基量は42当量/トン、環状三量体は0.38重量%、溶融比抵抗は5.4×106Ω・cmであった。特性結果を表1に示す。
(参考例2)ポリマーbの製造
参考例1と同様にエステル化反応物を得て、得られた反応生成物104.8重量部(PET100重量部相当)を重縮合反応缶に移行した後、該反応生成物に酢酸マグネシウム0.7重量部、酢酸マンガン0.01重量部(M合計=37.3mol/トン)とエチレングリコール3.5重量部のスラリーと酢酸リチウム0.1重量部(A=9.8mol/トン)を添加し、10分後、トリメチルホスフェート0.25重量部とエチレングリコール3.5重量部の溶液を添加した。次いで、二酸化ゲルマニウム0.015重量部をテトラエチルアンモニウムヒドロキサイド0.015重量部に溶解した溶液を、さらにエチレングリコール0.5重量部で希釈した溶液を添加後、常法によって3.0時間重合反応を行ない、ポリマーを得た。次に、窒素雰囲気下で、225℃で45時間加熱処理してポリマーbを得た。得られたポリマーb中のリン量417ppm(P=13.56mol/トン)であり、固有粘度は0.60、カルボキシル末端基量は50当量/トン、環状三量体は0.39重量%、溶融比抵抗は5.1×106Ω・cmであった。特性結果を表1に示す。
(参考例3)ポリマーcの製造
参考例1と同様にエステル化反応物を得て、該反応生成物に酢酸マグネシウム0.8重量部(M=37.3mol/トン)とエチレングリコール3.5重量部のスラリーと酢酸リチウム0.1重量部(A=9.8mol/トン)を添加し、10分後、トリメチルホスフェート0.25重量部とエチレングリコール3.5重量部の溶液を添加した。次いで、三酸化アンチモン0.02重量部を添加後、常法によって3.0時間重合反応を行ない、ポリマーを得た。次に、窒素雰囲気下で、225℃で45時間加熱処理してポリマーcを得た。得られたポリマーb中のリン量417ppm(P=13.56mol/トン)であり、固有粘度は0.60、カルボキシル末端基量は38当量/トン、環状三量体は0.36重量%、溶融比抵抗は5.2×106Ω・cmであった。特性結果を表1に示す。
(参考例4)乳酸チタンナトリウムキレート化合物の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中の温水(371g)に乳酸(226.8g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を減圧下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして減圧下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量5.6重量%)を得た(乳酸チタンナトリウムキレート化合物)。
(参考例5)ポリマーdの製造
重縮合触媒として、参考例4で準備した乳酸チタンナトリウムキレート化合物をチタン元素として、得られるPETに対して5ppm(重量)となるように添加した以外、ポリマーaの製造と同様に行った。得られたポリマーd中のリン量417ppm(P=13.56mol/トン)であり、固有粘度は0.60、カルボキシル末端基量は38当量/トン、環状三量体は0.38重量%、溶融比抵抗は5.1×106Ω・cmであった。ポリマー特性を表1に示す。
(参考例6)ポリマーeの製造
参考例1と同様にエステル化反応物を得て、得られた反応生成物104.8重量部(PET100重量部相当)を重縮合反応缶に移行した後、トリメチルホスフェート0.013重量部とエチレングリコール0.5重量部の溶液を添加した。次いで、二酸化ゲルマニウム0.015重量部をテトラエチルアンモニウムヒドロキサイド0.015重量部に溶解した溶液を、さらにエチレングリコール0.5重量部で希釈した溶液を添加後、常法によって3.0時間重合反応を行ない、ポリマーを得た。次に、窒素雰囲気下で、225℃で20時間加熱処理してポリマーeを得た。得られたポリマーe中のリン量25ppm(P=0.81mol/トン)であり、固有粘度は0.62、カルボキシル末端基量は36当量/トン、環状三量体は0.39重量%、溶融比抵抗は7.2×109Ω・cmであった。特性結果を表1に示す。
(参考例7)ポリマーfの製造
参考例1と同様にエステル化反応物を得て、得られた反応生成物104.8重量部(PET100重量部相当)を重縮合反応缶に移行した後、該反応生成物に酢酸マグネシウム0.8重量部(M=37.3mol/トン)とエチレングリコール3.5重量部のスラリーと酢酸リチウム0.1重量部(A=9.8mol/トン)を添加し、10分後、トリメチルホスフェート0.25重量部とエチレングリコール3.5重量部の溶液を添加した。次いで、二酸化ゲルマニウム0.015重量部をテトラエチルアンモニウムヒドロキサイド0.015重量部に溶解した溶液を、さらにエチレングリコール0.5重量部で希釈した溶液を添加後、常法によって3.0時間重合反応を行ない、ポリマーを得た。次に、窒素雰囲気下で、225℃で20時間加熱処理してポリマーfを得た。得られたポリマーf中のリン量417ppm(P=13.56mol/トン)であり、固有粘度は0.60、カルボキシル末端基量は38当量/トン、環状三量体は0.61重量%、溶融比抵抗は5.2×106Ω・cmであった。特性結果を表1に示す。
(参考例8)ポリマーgの製造
参考例1と同様にエステル化反応物を得て、得られた反応生成物104.8重量部(PET100重量部相当)を重縮合反応缶に移行した後、該反応生成物に酢酸マグネシウム0.4重量部(M=18.8mol/トン)とエチレングリコール3.5重量部のスラリーと酢酸リチウム0.004重量部(A=0.4mol/トン)を添加し、10分後、トリメチルホスフェート0.25重量部とエチレングリコール3.5重量部の溶液を添加した。次いで、二酸化ゲルマニウム0.015重量部をテトラエチルアンモニウムヒドロキサイド0.015重量部に溶解した溶液を、さらにエチレングリコール0.5重量部で希釈した溶液を添加後、常法によって3.0時間重合反応を行ない、ポリマーを得た。次に、窒素雰囲気下で、225℃で45時間加熱処理してポリマーgを得た。得られたポリマーg中のリン量35ppm(P=1.61mol/トン)であり、固有粘度は0.60、カルボキシル末端基量は38当量/トン、環状三量体は0.31重量%、溶融比抵抗は1.2×108Ω・cmであった。特性結果を表1に示す
(参考例9)ポリマーhの製造
参考例1と同様にエステル化反応物を得て、得られた反応生成物104.8重量部(PET100重量部相当)を重縮合反応缶に移行した後、該反応生成物に酢酸マグネシウム0.058重量部(M=2.7mol/トン)とエチレングリコール3.5重量部のスラリーと酢酸リチウム0.14重量部(A=1.4mol/トン)を添加し、10分後、トリメチルホスフェート0.005重量部とエチレングリコール3.5重量部の溶液を添加した。次いで、二酸化ゲルマニウム0.015重量部をテトラエチルアンモニウムヒドロキサイド0.015重量部に溶解した溶液を、さらにエチレングリコール0.5重量部で希釈した溶液を添加後、常法によって3.0時間重合反応を行ない、ポリマーを得た。次に、窒素雰囲気下で、225℃で45時間加熱処理してポリマーhを得た。得られたポリマーh中のリン量10ppm(P=0.32mol/トン)であり、固有粘度は0.60、カルボキシル末端基量は38当量/トン、環状三量体は0.29重量%、溶融比抵抗は1.7×108Ω・cmであった。特性結果を表1に示す
(参考例10)ポリマーiの製造
参考例1と同様にエステル化反応物を得て、得られた反応生成物104.8重量部(PET100重量部相当)を重縮合反応缶に移行した後、該反応生成物に酢酸マグネシウム2.7重量部(M=125.0mol/トン)とエチレングリコール3.5重量部のスラリーと酢酸リチウム0.11重量部(A=11.4mol/トン)を添加し、10分後、トリメチルホスフェート0.20重量部とエチレングリコール3.5重量部の溶液を添加した。次いで、二酸化ゲルマニウム0.015重量部をテトラエチルアンモニウムヒドロキサイド0.015重量部に溶解した溶液を、さらにエチレングリコール0.5重量部で希釈した溶液を添加後、常法によって3.0時間重合反応を行ない、ポリマーを得た。次に、窒素雰囲気下で、225℃で45時間加熱処理してポリマーgを得た。得られたポリマーg中のリン量450ppm(P=14.52mol/トン)であり、固有粘度は0.60、カルボキシル末端基量は50当量/トン、環状三量体は0.50重量%、溶融比抵抗は0.6×105Ω・cmであった。特性結果を表1に示す。
(参考例11)ポリマーjの製造
参考例1と同様にエステル化反応物を得て、得られた反応生成物104.8重量部(PET100重量部相当)を重縮合反応缶に移行した後、該反応生成物に酢酸マグネシウム0.8重量部(M=37.3mol/トン)とエチレングリコール3.5重量部のスラリーと酢酸リチウム0.1重量部(A=9.8mol/トン)を添加し、10分後、トリメチルホスフェート0.25重量部とエチレングリコール3.5重量部の溶液を添加した。次いで、二酸化ゲルマニウム0.015重量部をテトラエチルアンモニウムヒドロキサイド0.015重量部に溶解した溶液を、さらにエチレングリコール0.5重量部で希釈した溶液を添加後、常法によって3.0時間重合反応を行ない、ポリマーを得た。次に、加熱処理の雰囲気を3torr以下で、225℃で20時間加熱処理してポリマーjを得た。得られたポリマーj中のリン量417ppm(P=13.56mol/トン)であり、固有粘度は0.75、カルボキシル末端基量は23当量/トン、環状三量体は0.32重量%、溶融比抵抗は5.1×106Ω・cmであった。特性結果を表1に示す。
(参考例12)ポリマーkの製造
参考例1と同様にエステル化反応物を得て、得られた反応生成物104.8重量部(PET100重量部相当)を重縮合反応缶に移行した後、該反応生成物に酢酸マグネシウム0.8重量部(M=37.3mol/トン)とエチレングリコール3.5重量部のスラリーと酢酸リチウム0.1重量部(A=9.8mol/トン)を添加し、10分後、トリメチルホスフェート0.25重量部とエチレングリコール3.5重量部の溶液を添加した。次いで、二酸化ゲルマニウム0.015重量部をテトラエチルアンモニウムヒドロキサイド0.015重量部に溶解した溶液を、さらにエチレングリコール0.5重量部で希釈した溶液を添加後、常法によって3.0時間重合反応を行ない、ポリマーを得た。次に、加熱処理の雰囲気を窒素で密閉し、225℃で20時間加熱処理してポリマーkを得た。得られたポリマーk中のリン量417ppm(P=13.56mol/トン)であり、固有粘度は0.45、カルボキシル末端基量は120当量/トン、環状三量体は0.32重量%、溶融比抵抗は5.6×106Ω・cmであった。特性結果を表1に示す。
(参考例13)ポリマーlの製造
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール62重量部に酢酸マグネシウム0.04重量部(M=1.9mol/トン)、酢酸リチウム0.004重量部(A=0.4mol/トン)、三酸化アンチモン0.02重量部を添加した後、145〜230℃まで3.5時間要して徐々に昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を完結させた。該反応生成物にトリメチルホスフェート0.010重量部とエチレングリコール0.5重量部の溶液を添加した後、平均粒子径0.3μmの架橋ポリスチレンを2.0部添加した。次いで重縮合缶に移行し、常法によって3.0時間重縮合反応を行ない、ポリマーを得た。次に、窒素雰囲気下で、225℃で20時間加熱処理してポリマーlを得た。得られたポリマーl中のリン量20ppm(P=0.65mol/トン)であり、固有粘度は0.61、カルボキシル末端基量は36当量/トン、環状三量体は0.25重量%、溶融比抵抗は1.2×108Ω・cmであった。特性結果を表1に示す。
(実施例1)
参考例6で得たポリマーeを160℃で3時間乾燥した後、300℃で溶融した(ポリマーA)。また、参考例6のポリマーe75重量部と、参考例13のポリマー3重量部と、参考例1のポリマーa22重量部とを混合し、同様にして乾燥した後、別の溶融押出機により300℃で溶融した(ポリマーB)。
上記2種類の溶融ポリマーをダイに導き、ポリマーAを主層、ポリマーBを副層として該ダイ内で積層させ、厚さ150μm(副層厚み比=1/10)の溶融複合シートを得た。溶融複合シートを回転冷却ドラムで冷却するに際し、ポリマーBを回転冷却ドラムに接触させ、ポリマーA上面に設置したワイヤ電極から6KVの直流電圧を印加した。その後、縦方向に3.3倍、横方向に3.8倍延伸した後、210℃で15秒間熱固定して、厚さ12μmの二軸延伸フィルムを得た。複合フィルムの主層および副層を構成するポリマーの組成と、静電印加キャスト性および得られたフィルムの特性を表2に示した。
(実施例2)
実施例2における主層と副層の厚み比を変更した(副層厚み比=2/10)以外、同じ条件でフィルムとした。静電印加キャスト性、フィルム特性を表2に示す。
(実施例3)
実施例2における主層と副層の厚み比を変更した(副層厚み比=1/50)以外、同じ条件でフィルムとした。静電印加キャスト性、フィルム特性を表2に示す。
(実施例4)
副層のポリマーBの組成を、ポリマーbを22重量部に変更した以外、実施例1と同じ条件でフィルムとした。静電印加キャスト性、フィルム特性を表2に示す。
(実施例5)
副層のポリマーBの組成を、ポリマーcを22重量部に変更した以外、実施例1と同じ条件でフィルムとした。静電印加キャスト性、フィルム特性を表2に示す。
(実施例6)
副層のポリマーBの組成を、ポリマーdを22重量部に変更した以外、実施例1と同じ条件でフィルムとした。静電印加キャスト性、フィルム特性を表2に示す。
(実施例7)
参考例1で得られたポリマーa5重量部と、参考例6のポリマーe92重量部と、参考例15のポリマーl3重量部とを混合して、160℃で3時間乾燥した後、押出機に投入し、285℃で溶融し、口金からシート状に押し出した。溶融シートは回転冷却ドラムで冷却するに際し、溶融シートを回転冷却ドラムに接触させ、溶融シート上面に設置したワイヤ電極から6KVの直流電圧を印加した。ついで得られた非晶性ポリエステルシートは90℃に加熱された延伸ロールによって長手方向に3.3倍延伸し、ついてテンター式延伸機によって110℃で幅方向に3.8倍延伸した。延伸の終了したフィルムは230℃で熱固定してロールに巻き取った。フィルム厚みは10μmであり、フィルムに含まれる環状三量体の含有量は少なく、オリゴマー析出も少なかった。フィルムの特性を表2に示す。
(比較例1)
副層のポリマーBを、ポリマーf22重量部とする以外は、実施例1と同じ条件でフィルムを得た。オリゴマー析出が多かった。
(比較例2)
副層のポリマーBを、ポリマーg22重量部とする以外は、実施例1と同じ条件でフィルムを得た。静電印加キャスト性が悪かった。
(比較例6)
副層のポリマーBを、ポリマーh22重量部とする以外は、実施例1と同じ条件でフィルムを得た。ポリマーhの溶融比抵抗が高いためか、静電印加キャスト性が悪かった。
(比較例4)
副層のポリマーBを、ポリマーi22重量部とする以外は、実施例2と同じ条件でフィルムを得た。析出オリゴマー量が多かった。
(比較例5)
副層のポリマーBを、ポリマーj22重量部とする以外は、実施例1と同じ条件でフィルムを得た。ポリマーBでの押出圧力が高く、剪断発熱による環状三量体が増加し、析出オリゴマーが多かった。
(比較例6)
副層のポリマーBを、ポリマーk22重量部とする以外は、実施例1と同じ条件で製膜を行った。しかし、ポリマーkの固有粘度が低すぎたためか、押出シートの幅が一定せず、また押出シートも非常にもろいために延伸することができなかった。
Figure 0005145725
Figure 0005145725
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、あらゆるポリエステル成形物用樹脂組成物に適用でき、とくに、磁気記録媒体用ポリエステルフィルム成形用の配合用ポリエステル樹脂組成物として好適なものである。

Claims (5)

  1. ポリエステル構成単位の90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であり、溶融重縮合を経て、該ポリエステルを、650〜1020hPaの不活性ガス雰囲気下、190〜250℃の温度で15〜80時間の加熱処理を行った後の固有粘度が0.55〜0.70の範囲であって、かつ環状三量体の含有量が0.10〜0.60重量%、溶融比抵抗が1×106〜10×106Ω・cm、かつ下記式を満足する量のマグネシウムまたはマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素、アルカリ金属元素、およびリン元素を含むポリエステル樹脂組成物を、配合後のポリエステルフィルム全体の樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜20重量部含有してなることを特徴とするポリエステルフィルム。
    20≦M≦150 (1)
    0.02≦A/M≦0.5 (2)
    5≦(M+A/2)−P≦70 (3)
    (M:ポリエステル1トン当たりに含有されるマグネシウム元素またはマンガン元素の総モル数、A:ポリエステル1トン当たりに含有されるアルカリ金属元素のモル数、P:ポリエステル1トン当たりに含有されるリン元素のモル数)
  2. マグネシウムまたはマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素がマグネシウム元素であり、かつ前記ポリエステル樹脂組成物が該元素を480〜2000ppm含有する、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 主層と副層から構成されている複合ポリエステルフィルムであって、副層の厚みが複合ポリエステルフィルム全体の厚みの1/200〜4/10であり、かつ副層請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物を、配合後の複合ポリエステルフィルム全体の樹脂組成物100重量部に対して0.1〜20重量部含有してなる複合ポリエステルフィルム。
  4. 磁気記録媒体に用いる、請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  5. 磁気記録媒体に用いる、請求項3に記載の複合ポリエステルフィルム。
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