JP6821969B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、導電性フィルムを製造する際に用いられる、高温での加熱処理に使用されても熱変形し難く、透明性の悪化や、カール等の加工不具合が発生しない導電性フィルム用表面保護フィルム、および透明導電基材フィルムなどに関するものである。
ポリエステルフィルムは、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性などに優れ、さまざまな分野で使用されている。
特に近年では、タッチパネルや電子ペーパー等に使用されている透明導電性積層体の基材として、ガラスの代わりに使用されることが増えてきている。かかる透明導電性積層体としては、ポリエステルフィルムを基材とし、その上に直接、あるいはアンカー層を介して、ITO(酸化インジウムスズ)膜がスパッタリングによって形成されているものがあり、ここで用いられるポリエステルフィルムは、加熱加工されることが一般的である。
また、タッチパネル用の透明電極の製造工程では、ITOからなる透明導電膜が形成された透明導電性フィルムは、アニール処理、ITOの結晶化工程、レジストの印刷工程、エッジング処理工程など、多くの加熱工程や薬液処理の工程を経る。このような透明電極の製造工程においては、透明導電性フィルムの透明導電膜が形成された面とは反対側の面に汚損、損傷が生じるのを防止するために、透明導電性フィルム用表面保護フィルムを貼り合わせて加工を行う。
前記製造工程では、例えば、低熱収縮率化のために130℃で熱処理を行なう(特許文献1)、あるいはITOの結晶化のために150℃で熱処理を行う(特許文献2)等の処理があるため、透明導電性フィルム用基材フィルムおよび透明導電性フィルム用表面保護フィルムに用いられるポリエステルフィルムには、耐熱変形性が求められる。
しかし、ポリエステルフィルムがこのような高温処理に晒されると、熱によるフィルム変形が発生し、導電性の低下や、変形による視認性の低下などが起こるため、ポリエステルフィルムを基材とした透明導電性積層体の特性は、耐熱変形性の面では十分に満足のいくものとは言えなかった。
上述の熱変形防止策として、例えば、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂中に結晶核剤を添加して結晶性を高くすることで耐熱変形性を向上させる方法(特許文献3)や、高ガラス転移温度を有する共重合ポリエステル樹脂を用いる方法(特許文献4)が提案されている。
しかしながら、特許文献3では、透明性が悪化しやすく、フィルム外観の白化による視認性の低下が発生しやすい。また、特許文献4では、フィルム製造工程におけるフィルム破れが発生しやすいため製造安定性が悪化しやすく、また、熱収縮率が高くなりやすいことから、透明電極の製造工程においてカールやたるみが発生しやすい。このため、ポリエステルフィルムは、導電性フィルム用表面保護フィルム、および透明導電基材フィルム用途として用いるには十分に満足のいくものとは言えず、透明性や加工性との両立が求められている。
特開2007−42473号公報 特開2007−200823号公報 特開2011−213770号公報 特開2007−224281号公報
そこで本発明の目的は、上記従来技術の課題に鑑み、導電性フィルムを製造する際に用いられる、高温での加熱処理に使用されても熱変形し難く、透明性の悪化や、カールやたるみといった加工不具合の発生しない導電性フィルム用表面保護フィルム、および透明導電基材フィルムなどを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。上記目的を達成する本発明は以下である。
1) ポリエステル樹脂を主成分とするポリエステルフィルムであって、ヘイズが1.5%未満であって、示差走査熱量測定により加熱速度20℃/分で昇温した時に測定される結晶融解熱量ΔHmが13cal/g以上30cal/g以下であることを特徴とするポリエステルフィルム。
2) 厚みが16μm以上300μm以下であることを特徴とする、1)に記載のポリエステルフィルム。
3) 屈折率が1.63以上1.69以下であることを特徴とする、1)又は2)に記載のポリエステルフィルム。
4) 前記ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする、1)〜3)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
5) ポリエステル樹脂のみからなるポリエステルフィルムであって、前記ポリエステル樹脂がホモポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする、1)〜4)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
6) 環状三量体の含有量が0.01質量%以上1.00質量%以下であることを特徴とする、1)〜5)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
7) 150℃30分おけるフィルム長手方向の熱収縮率が2.0%以下であることを特徴とする、1)〜6)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
8) 150℃30分おけるフィルム幅方向の熱収縮率が1.0%以下であることを特徴とする、1)〜7)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
9) 光学用途に使用されることを特徴とする、1)〜8)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
本発明によれば、導電性フィルムを製造する際に用いられる、高温での加熱処理に使用されても熱変形し難く、透明性の悪化や、カールやたるみといった加工不具合の発生しない導電性フィルム用表面保護フィルム、および透明導電基材フィルムなどを提供することができるため、本発明の工業的価値は高い。
次に、本発明のポリエステルフィルムを実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明における「フィルム」とは、2次元的な構造物、例えば、シート、プレート、および膜などを含む意味に用いられる。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂を主成分とすることが重要である。ポリエステル樹脂は、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性などに優れ、ポリエステル樹脂からなるポリエステルフィルムは、例えば、導電性フィルム用表面保護フィルム、および透明導電基材フィルム用途として好ましく用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、ヘイズが1.5%未満であることが重要である。ヘイズが1.5%以上であると、視認性が低下し、例えば、タッチパネル用等、高度な視認性が必要とされる用途に不適当となる。本発明のポリエステルフィルムのヘイズは、0.1%以上1.2%以下であることが好ましく、0.1%以上1.0%以下であることが特に好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、示差走査熱量測定により加熱速度20℃/分で昇温した時に測定される結晶融解熱量ΔHmが13cal/g以上30cal/g以下であることが重要である。結晶融解熱量ΔHmが13cal/g未満である場合、導電性フィルムを製造する際の高温での加熱処理時に熱変形が発生しやすく、導電性フィルム用表面保護フィルム、および透明導電基材フィルム用途として不適切となる。また、結晶融解熱量ΔHmが30cal/gを超える場合は、ヘイズが1.5%以上となる場合が多く、透明性との両立が困難となりやすい。本発明のポリエステルフィルムの結晶融解熱量ΔHmは、13cal/g以上25cal/g以下であることが好ましく、14cal/g以上20cal/g以下であることがさらに好ましく、15cal/g以上18cal/g以下であることが特に好ましい。
ここで、示差走査熱量測定により加熱速度20℃/分で昇温した時に測定される結晶融解熱量ΔHmを算出するに際して、複数の結晶融解ピークが観察される場合があるが、例えば、結晶融解温度Tm1と結晶融解温度Tm2が観察される場合には、結晶融解温度Tm1にかかるΔHm1と結晶融解温度Tm2にかかるΔHm2の2つの結晶融解熱量の和を結晶融解熱量ΔHmとするといったように、ΣΔHmi(iは1〜結晶融解ピークの総数)をΔHmに読み替えることとする。なお、複数の結晶融解ピークが観察される場合は、主要な結晶融解ピークにかかる結晶融解熱量ΔHmiのみで13cal/g以上30cal/g以下となることが好ましい。
結晶融解熱量ΔHmを13cal/g以上30cal/g以下とするための手段としては特に限定されず、例えば、特許文献3に例示するような公知の方法でフィルムの結晶化度を高くすることが採用可能であるが、これらの方法では透明性の悪化が発生する場合があるので、後述するような方法、すなわち、ポリエステルフィルム中の環状三量体の含有量を1.00質量%以下とする方法が特に好ましい。
ポリエステルフィルム中の環状三量体の含有量を1.00質量%以下とすることで結晶融解熱量ΔHmを13cal/g以上30cal/gとすることが達成しやすくなるメカニズムは未だ未解明であるが、環状三量体はポリエステル樹脂の非晶部分にしか存在できないことから、ポリエステル樹脂中の全体に存在する環状三量体が少ない場合には、フィルム製造工程中の延伸工程などでポリエステル樹脂の結晶化が進行する際に、環状三量体を非晶部分に追いやることに要するエネルギーが相対的に小さくなり、結晶化が進みやすくなる、すなわち結晶性が高くなることから、同一のフィルム製造装置、フィルム製造条件でフィルムを製造した場合であっても相対的にフィルムの結晶化度が高くなりやすく、その結果、結晶融解熱量ΔHmが大きくなりやすくなるものと推測している。
本発明のポリエステルフィルムは、厚みが16μm以上300μm以下であることが好ましい。フィルムの厚みが16μm未満あるいは300μmを超える場合は、フィルムとして安定した製造が困難となる場合があり、特に、300μmを超える場合は透明性との両立が困難となる場合がある。本発明のポリエステルフィルムの厚みは、18μm以上260μm以下であることがより好ましく、20μm以上250μm以下であることがさらに好ましく、20μm以上200μm以下あることが特に好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、屈折率が1.63以上1.69以下であることが好ましい。屈折率が1.63未満である場合は、フィルムの結晶化が進み難いこと等から耐熱変形性が十分でない場合があり、また、導電性フィルム用表面保護フィルムや透明導電基材フィルムと使用した際に十分な機械的特性を得られない場合がある。また、屈折率が1.69を超える場合は、フィルム製造工程中の延伸工程中においてフィルム破れが発生しやすくなり、製造安定性が悪化する場合がある。本発明のポリエステルフィルムの屈折率は、1.65以上1.67以下であることが特に好ましい。
なお、ここで言う屈折率とは、フィルム長手方向の屈折率とフィルム幅方向の屈折率の平均値をいう。屈折率は、ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、中間液としてジヨードメタンを用い、アッベ屈折計により測定する事ができる。屈折率を上記の範囲とする方法は特には限定されないが、一般的には延伸時の延伸倍率や温度を調整することによって制御できる。
本発明のポリエステルフィルムの屈折率を制御するための方法は特に限定されないが、ポリエステルフィルムを二軸配向フィルムとすることで容易に達成できる。なお、ここで言う「二軸配向」とは、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。二軸配向フィルムは一般に、二軸延伸法、すなわち、未延伸状態のシートをシート長手方向および幅方向に各々2.5〜5.0倍程度延伸し、その後、熱処理を施し、結晶配向を完了させることにより得ることができる。また、二軸延伸法としては、逐次二軸延伸法を用いても良いし、同時二軸延伸法を用いても良い。さらには、二軸延伸を施した後に再度、フィルム長手方向あるいはフィルム幅方向に延伸を施す、再延伸法を施しても良い。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの主成分となる樹脂がポリエステル樹脂であることが重要であるが、本発明でいうポリエステル樹脂とは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称である。ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂としては、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主成分とするものが良いが、これら構成成分は1種のみ用いても、2種以上併用してもよいが、中でも、品質、経済性などを総合的に考慮すると、ポリエチレンテレフタレートを主成分とすることが好ましい。また、これらポリエステル樹脂には、さらに他のジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは20モル%以下共重合されていてもよい。
上述したポリエステル樹脂の、JIS K7367(2000)に従い、25℃のo−クロロフェノール中で測定したときの極限粘度は、0.4dl/g以上1.2dl/g以下となることが好ましく、0.5dl/g以上0.8dl/g以下となることが特に好ましい。
さらに、このポリエステル樹脂中には、本発明の重要な要件を満たす限り、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤、架橋剤等が添加されていてもよい。特に、紫外線カット機能を付与する場合においてはポリエステル樹脂中に紫外線吸収剤を含有させるのが好ましい。紫外線吸収剤としては、例えばサリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、およびベンゾオキサジン系化合物、環状イミノエステル系化合物などを好ましく例示することができるが、380nmでの紫外線カット性、色調などの点及び後述するポリエステル樹脂のM+P、M/P( Mはフィルム中に残存する触媒金属元素の濃度(ミリモル% ) 、P はフィルム中に残存するリン元素の濃度(ミリモル% ) を示す。) の制御による分散性向上の効果発現度合いの点からベンゾオキサジン系化合物が最も好ましい。これらの化合物は1種単独であるいは2種以上一緒に併用することができる。またHALSや酸化防止剤等の安定剤を併用することもでき、特にリン系の酸化防止剤を併用することが好ましい。
ここでベンゾトリアゾール系の化合物としては、例えば2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−アミルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−ブチルフェノール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等を例示することができる。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等をあげることができる。
ベンゾオキサジン系化合物としては、例えば2−p−ニトロフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(p−ベンゾイルフェニル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(2−ナフチル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2′−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−(2,6−ナフチレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)等を例示することができる。
また、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂としては、ホモポリエチレンテレフタレートであって、実質的に他の共重合成分および/または他の樹脂成分を含まないことが特に好ましい。ポリエステル樹脂がホモポリエチレンテレフタレートであって実質的に他の共重合成分および/または他の樹脂成分を含まないこととすること、高い結晶性を得やすく、本発明の重要な要件であるポリエステルフィルムの結晶融解熱量ΔHmを13cal/g以上30cal/g以下とすることが容易となる。なお、本発明でいう実質的に他の共重合成分および/または他の樹脂成分を含まないこととは、共重合成分としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸以外のジカルボン酸成分を、また、ジオール成分としてエチレンジオール以外のジオール成分を、共重合成分として意図的に共重合させないことを意味する。また他の樹脂成分としては、ホモポリエチレンテレフタレートとは別に、ホモポリエチレンテレフタレートと相溶性のある樹脂、例えばホモポリエチレンテレフタレート以外のポリエステル樹脂や、非相溶性であっても100nm以下の分散サイズで分散される副成分として添加される樹脂成分のことを意味する。すなわち、前述したような各種添加剤、ならびに、ホモポリエチレンテレフタレートを重合するために添加する各種触媒や、易滑性や防眩性等の付与等を目的として添加されるような、フィルム化した後でも任意の形状を維持する高分子系粒子等の各種粒子、および不純物等は、ここでは該当しない。
本発明のポリエステルフィルムは、環状三量体の含有量が0.01質量%以上1.00質量%以下であることが好ましい。なお、ここでいう環状三量体とはエステル環状三量体のことを意味する。環状三量体の含有量が1.00質量%を超えると、本発明の重要な要件である、示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で昇温した時に測定される結晶融解熱量ΔHmが13cal/g未満となる場合があり、その場合、導電性フィルムを製造する際の高温での加熱処理時に熱変形が発生しやすく、導電性フィルム用表面保護フィルム、および透明導電基材フィルム用途として不適切となる場合がある。また、環状三量体の含有量を0.01質量%未満とすることは、環状三量体の生成メカニズムの観点から実質的に不可能である。本発明のポリエステルフィルムの環状三量体の含有量は、0.10質量%以上0.80質量%以下とすることがより好ましく、0.20質量%以上0.60質量%以下とすることがより好ましく、0.30質量%以上0.50質量%以下とすることが特に好ましい。
本発明のポリエステルフィルム中の環状三量体の含有量を0.01質量%以上1.00質量%以下とする手段は、特に限定されないが、環状三量体の含有量が少ないポリエステル樹脂を原料としてフィルムを製造することが特に好ましい手段である。環状三量体の含有量が少ないポリエステル樹脂の製造方法としては、種々公知の方法を用いることができ、例えば、ポリエステル樹脂の製造後に固相重合する方法等が挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、150℃30分におけるフィルム長手方向の熱収縮率が2.0%以下であることが好ましい。150℃30分におけるフィルム長手方向の熱収縮率が2.0%を超える場合は、導電性フィルムを製造する際の高温での加熱処理時にカールが発生しやすく、導電性フィルム用表面保護フィルム、および透明導電基材フィルム用途として不適切となる場合がある。本発明のポリエステルフィルムは、150℃30分におけるフィルム長手方向の熱収縮率が1.6%以下であることがより好ましく、1.2%以下であることが特に好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、150℃30分におけるフィルム幅方向の熱収縮率が1.0%以下であることが好ましい。150℃30分におけるフィルム幅方向の熱収縮率が1.0%を超える場合は、導電性フィルムを製造する際の高温での加熱処理時にカールが発生しやすく、導電性フィルム用表面保護フィルム、および透明導電基材フィルム用途として不適切となる場合がある。本発明のポリエステルフィルムは、150℃30分におけるフィルム幅方向の熱収縮率が0.9%以下であることがより好ましく、0.8%以下であることが特に好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、150℃30分における、フィルム長手方向の熱収縮率とフィルム幅方向の熱収縮率との差が1.0%以下であることが好ましい。150℃30分における、フィルム長手方向の熱収縮率とフィルム幅方向の熱収縮率との差が1.0%を超える場合は、導電性フィルムを製造する際の高温での加熱処理時にカールが発生しやすく、導電性フィルム用表面保護フィルム、および透明導電基材フィルム用途として不適切となる場合がある。本発明のポリエステルフィルムは、150℃30分における、フィルム長手方向の熱収縮率とフィルム幅方向の熱収縮率との差は、0.9%以下であることがより好ましく、0.8%以下であることが特に好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の重要な要件を満たす限り、そのフィルム構成に制限はなく、単層フィルムであっても、積層フィルムであっても良い。積層フィルムとする場合においては、例えば、層A/層Bの積層フィルムすなわち2種2層積層フィルム、層B/層A/層Bの積層フィルムすなわち2種3層積層フィルム、層B/層A/層Cの積層フィルムすなわち3種3層積層フィルム等の構成を挙げることができる。
本発明のポリエステルフィルムを積層構成フィルムとする場合においては、その積層方法は制限されるものではなく、例えば、共押出法による積層方法、貼り合わせによる積層方法、これの組み合わせによる方法等を挙げることができるが、透明性と製造安定性の観点から、共押出法を採用することが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムを積層構成フィルムとする場合においては、それぞれの層に異なる機能を付与すること目的として、異なる樹脂構成としても良い。例えば、層B/層A/層Bの積層フィルムすなわち2種3層積層フィルムとする場合には、透明性の観点から層Aをホモポリエチレンテレフタレートで構成し、層Bには、易滑性付与のために、粒子を添加する等の方法を挙げることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、積層構成フィルムとする場合においては、示差走査熱量測定により加熱速度20℃/分で昇温した時に測定される結晶融解熱量ΔHmを算出するに際して、複数の結晶融解ピークが観察される場合があるが、例えば、結晶融解温度Tm1と結晶融解温度Tm2が観察される場合には、結晶融解温度Tm1にかかるΔHm1と結晶融解温度Tm2にかかるΔHm2の2つの結晶融解熱量の和を結晶融解熱量ΔHmとするといったように、ΣΔHmi(iは1〜結晶融解ピークの総数)をΔHmに読み替えることとする。なお、複数の結晶融解ピークが観察される場合は、主要な結晶融解ピークにかかる結晶融解熱量ΔHmiのみで13cal/g以上30cal/g以下となることが好ましい。
次に本発明のポリエステルフィルムの製造方法を、ポリエステル樹脂としてホモポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)を用いた場合を例にして説明する。ただし、本発明のポリエステルフィルムはこれに限定されるものではない。
PETペレット(環状三量体含有量1.0〜0.3質量%、極限粘度0.5〜0.8dl/g)を真空乾燥した後、押出機に供給し260〜300℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化せしめて未延伸PETフィルムを作製する。この未延伸フィルムを70〜100℃に加熱されたロール間で縦方向(フィルムの進行方向を指し「長手方向」ともいう)に2.5〜5.0倍延伸する。続いて、このフィルムをクリップで把持して予熱ゾーンに導き、75〜95℃の温度まで加熱を行い、引き続き連続的に90〜115℃の加熱ゾーンで横方向(フィルムの進行方向とは直交する方向を指し「幅方向」ともいう)に3.0〜5.0倍延伸し、続いて200〜240℃の加熱ゾーンで5〜60秒間熱処理を施し、100〜200℃の冷却ゾーンを経て結晶配向の完了したポリエステルフィルムを得る。なお、上記熱処理中に必要に応じて3〜12%の弛緩処理を施してもよい。二軸延伸は逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また縦、横延伸後、縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの端部をカットした後に巻き取り中間製品とし、その後スリッターを用いて所望の幅にカット後、円筒状のコアに巻き付け所望の長さのポリエステルフィルムロールを得ることができる。なお、巻き取り時に巻姿改善のためにフィルム両端部にエンボス処理を施しても良い。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムの片面、あるいはフィルムの両面に塗布層を設けても良い。また、塗布層は、一方の面に2層以上の複数層の塗布層であっても良いし、両面に塗布層を設ける場合は、一方の面と、その反対の面で異なる組成物を塗布しても良い。
本発明のポリエステルフィルムの表面に設ける塗布層としては、本発明の重要な要件を満たす限り特に限定されないが、各種公知の塗布層を設けることができ、例えば、フィルムに易滑性を付与するための粒子含有組成物層、フィルムの表面硬度や耐擦過性を補完するためのハードコート層、別に設けるハードコート層等の機能層との接着性を補完するための易接着層、別に設けるハードコート層と基材ポリエステルフィルム間の屈折率差により生じる光の干渉ムラを抑制するための高屈折率層、フィルム表面へのオリゴマー析出に起因する白化を抑制するためのオリゴマーブロック層、あるいは、他のフィルムとの貼り合わせを行うために設ける粘着層等が挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムの表面に設ける塗布層としては、例えば、易滑性と易接着性、または易滑性とオリゴマーブロック性といった、複数の機能をひとつの塗布層で補完することも可能であり、また、片方の面に易滑性と易接着性を補完する塗布層を設け、その上にハードコート層を設け、さらにもう片方の面に易滑性とオリゴマーブロック性の両方を補完する塗布層を設けるといった構成をとることができる等、塗布面、機能、ひとつの塗布層で補完する機能の数と種類、塗布層数の組み合わせ等に、なんら制限は受けない。
本発明のポリエステルフィルムの表面に塗布層を設ける場合において、塗布層を設ける方法としては、ポリエステルフィルムの製造工程とは別工程で塗布を行う方法、いわゆるオフラインコーティング方法と、ポリエステルフィルムの製造工程中に塗布を行い、塗布層がコーティングされたポリエステルフィルムを一気に得る、いわゆるインラインコーティング方法の両方を用いる事が可能である。本発明のポリエステルフィルムにおいては、コストの面や、塗布厚みの均一化の面からインラインコーティング方法を採用することが好ましく、その場合に用いる塗液の溶剤は、環境汚染や防爆性の点から水系であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの表面に塗布層を設ける場合においては、ポリエステルフィルムの製造方法として、前記インラインコーティング法を用いて、以下の工程1)〜4)をこの順にて実施する方法が、前述した塗布層の特性を発現させ、かつ生産性を高める観点から、特に好ましい方法として挙げられる。
1) ベースとなるポリエステルフィルムの工程フィルムの少なくとも片面に、塗布層を形成する塗液を塗布する塗布工程。
2) ベースとなるポリエステルフィルムの工程フィルムに塗布された塗液を加熱乾燥することによって、塗布層を形成せしめる加熱乾燥工程。
3) 塗布層が形成された工程フィルムを延伸する延伸工程。
4) 延伸された工程フィルムを加熱し、熱処理を行う熱処理工程。
前記1)項に記載した塗布工程における塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法などを用いることができるが、塗布層の厚みムラを低減する観点から、グラビアコート法およびバーコート法を用いるが好ましく、計量バーによるバーコート方式を用いることが特に好ましい。計量バーによるバーコート方式を用いる場合に用いる計量バーに関して、その直径は特には限定されないが、通常は10〜30mmの範囲となる。また、計量のための溝の作成方法は、ワイヤーを円筒形の部材に巻き付けるワイヤーバー方式を採用してよいし、部材表面に螺旋状溝を掘った方式を採用しても良い。なお、塗布均一性の観点から、計量バーの振れ量に関しては、150μm以下であるものを用いるが好ましく、100μm以下であるものを用いることが特に好ましい。
前記2)項に記載した加熱乾燥工程において、加熱乾燥後の塗布層面のフィルム表面の温度を75〜95℃の範囲に調整する事が好ましい。加熱乾燥後の塗布層面のフィルム表面の温度が75℃未満である場合には、フィルムの予熱が不十分となり、引き続き実施される延伸工程でのフィルム破れが発生しやすい傾向がある。また、加熱乾燥後の塗布層面のフィルム表面の温度が95℃を越える場合には、塗布層の延伸時の均一性が損なわれる場合があり、塗布層の厚みのバラツキが大きくなる傾向がある。
また、加熱乾燥工程における加熱乾燥方法については特には限定されず、例えば熱風を吹き付ける方法や非接触式のヒーターで加熱する方法などを挙げることができるが、加熱乾燥の均一性の観点から、熱風を吹き付ける方法を採用することが好ましい。また、加熱乾燥工程終了後の塗布層面のフィルム表面を非接触温度計にて測定し、該測定結果が上述の温度範囲となるように決められた目標値に制御されるように、加熱乾燥工程における熱風の風速および/または温度を制御する(目標温度より高くなった場合は風速を落とすか温度を下げる。目標温度より低くなったときは風速を上げるか温度を上げる)方法を用いることが、長時間連続生産時の塗布厚みの変動抑制の観点で好ましい。
なお、インラインコート法においては、通常、オーブンによる加熱乾燥後に横延伸を実施するが、両端部はクリップに把持されているため、塗布は中央部のみに実施される場合が多い。このため、塗布が施されているフィルム中央部と塗布が施されていないフィルム端部とでは、延伸時のフィルム温度に差が生じる場合があり、この場合、相対的に温度が高いフィルム端部が、より延伸されやすい状態となっている。また、塗布層中に各種架橋剤等が含有されている場合においては、計量バーやグラビアロールが長期の連続生産による目詰まりにより経時で塗布厚みが減少する傾向があり、こ場合には、横延伸時のフィルム中央部のフィルム温度が上昇するため、フィルム中央部が比較的延伸されやすい傾向となり、フィルム中央部の横延伸の実効倍率が上昇することで、横延伸後の塗布層厚みが薄くなる場合がある。これらの実情を鑑みて、加熱乾燥工程終了後のフィルム温度を、フィルム幅方向、あるいは連続生産時の経時で一定に制御することが、好ましい態様となる。
前記3)項の延伸工程においては、塗布層が形成された工程フィルムに90〜115℃に設定した熱風を吹き付けながら、フィルム幅方向に3.0〜5.0倍に延伸することが好ましい態様である。熱風の温度が90℃未満である場合は、延伸時にフィルム破れが発生する場合があり、一方、熱風の温度が115℃を越える場合には、前記加熱乾燥時の状況と同様に、塗布層の厚みの均一性が悪化しやすい傾向あるため、好ましくない。また、フィルムの横延伸倍率が3.0倍未満である場合には、フィルム幅方向の強度が悪化しやすかったり、フィルム幅方向の厚みの均一性が悪化しやすい傾向があり、一方で、フィルムの横延伸倍率が5.0倍を越える場合には、延伸時にフィルム破れが発生しやすい傾向があるため、好ましくない。
前記4)項の熱処理工程においては、200℃〜240℃に設定した熱風を5〜60秒間吹き付ける方法が好ましい。この工程においては、工程フィルムの結晶化を促進することで、フィルムを構成する高分子の二次構造、三次構造を固定化し、フィルムの耐熱変形性、熱寸法安定性、耐薬品性などを向上させる事ができる。熱処理工程の温度および時間については、上記した範囲内において、目標とするフィルム特性に応じて調整する事ができる。
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。各実施例の記述に先立ち、各種物性の測定方法を記載する。また、以下、実施例9〜10、18〜19、28は、参考例9〜10、18〜19、28と読み替えるものとする。
(1)積層比
ポリエステルフィルムの断面を、ライカマイクロシステムズ(株)製金属顕微鏡LeicaDMLMを用いて、100倍〜1000倍の任意の倍率により、透過光で写真撮影し、各層の厚みを測定することにより、各層の積層比を算出した。各層の界面が不明確である場合は、任意の層に染料を任意量添加して、その他の製造条件は変更せずにサンプルフィルムを作成して、各層の積層比を算出した。
(2)厚み
ダイヤルゲージ(ミツトヨ社製“No2110S−10”)を用いて、任意の20点を測定し、平均値を厚み(μm)とした。
(3)ヘイズ
JIS−K−7105(1985年)に基づいて、ヘーズメーター(スガ試験機製“HGM−2GP”)を用いて測定した。
(4)結晶融解熱量:ΔHm
JIS−K−7122(1987年)に基づいて、以下の条件にて算出した。
装置:示差走査熱量計(TAインスツルメント社製DSC“Q100 V9.8 Build 296”)
測定条件:窒素雰囲気下
測定範囲:30〜300℃(1st RUN)
昇温速度:20℃/分
サンプル重量:10mg
(5)屈折率
JIS−K−7142(2008年)に基づいて、以下の条件にて測定を行い、フィルム長手方向の屈折率(nMD)とフィルム幅方向の屈折率(nTD)の平均値を屈折率とした。
(6)環状三量体の含有量
フィルム片20mgをOCP(o−クロロフェノール)に150℃で30分間溶解し、室温で冷却した。その後、内部標準として1,4−ジフェニルベンゼンを添加後、メタノール2mlを加えて高速遠心分離機でポリマーを分離し、液層部を高速液体クロマトグラフ(島津製作所製“LC−10ADvp”)を用いて測定した。
(7)熱収縮率
ASTM−D1204(1984年)に基づいて測定した。具体的には、フィルム表面に、測定長が200mmになるように標点を付与し、熱処理前の標点間距離L0を測定し、温度を150℃に設定したオーブン中で、フィルムサンプルを、無緊張状態で30分間保持した後、加熱処理後の標点間距離Lを測定し、下記式(1)により、フィルム長手方向の熱収縮率とフィルム幅方向の熱収縮率を算出し、3回の測定の平均値を熱収縮率とした。
熱収縮率(%)= ((L0−L)/L0)×100 ・・・ 式(1)
(8)透明性
前記(1)ヘイズの項目で得たヘイズ値をもとに、下記の判定基準により透明性を判定した。
(透明性の判定基準)
A:ヘイズ値が1.0%未満であった。
B:ヘイズ値が1.0%以上1.5%未満であった。
C:ヘイズ値が1.5%以上であった。
(9)耐熱変形性
20cm四方に切り出したフィルムサンプルをパンチングメタルの上に置いた状態で、温度を150℃に設定したオーブン中に無緊張状態で10分間保持した後、フィルムサンプルを室温で10分間冷却し、蛍光灯の反射光により、フィルムの表面に映し出された蛍光灯の反射像の状態を観察した。パンチングメタルは下記の2種を用いて評価を行ない、下記の判定基準により耐熱変形性を判定した。
・パンチングメタルA:奥谷金網製作所製パンチングメタル SUS304 エンボス加工 1.5t×D4.5×P7.5 60°チドリ
・パンチングメタルB:奥谷金網製作所製パンチングメタル SUS304 エンボス加工 2t×D7/H1.3×P10 60°チドリ
(耐熱変形性の判定基準)
A:パンチングメタルAおよびパンチングメタルBのいずれの場合においても、蛍光灯の反射像に歪みは見られなかった。
B:Aおよびに該当しない。
C:パンチングメタルAおよびパンチングメタルBのいずれの場合においても、フィルム表面の一部、あるいは全面に、パンチングメタルのエンボス加工ピッチで、蛍光灯の反射像に歪みがあった。
(10)耐カール性
フィルムの両面に下記の要領でハードコート層を配置し、さらに、一方のハードコート層の表面に透明導電層を配置し、透明導電フィルムを得た。作成した透明導電フィルムを、フィルム長手方向とフィルム幅方向に沿って、20cm四方に切り出し、透明導電層が上面になるように、温度を140℃に設定したオーブン中に無緊張状態で90分間保持した後、フィルムサンプルを室温で10分間冷却した。冷却後、凹み面が上側となるように透明導電フィルムを平坦面に置き、平坦面と透明導電フィルムの頂点部との距離をそれぞれ計測し、4点の平均値をカール量として算出し、下記の判定基準により耐カール性を判定した。
(ハードコート層の配置)
以下の原材料を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMA)で希釈して混合し、各原材料を溶媒中に分散させ、不揮発分が25.5質量%の塗料を調整した。ここで得た塗料を、フィルムの片面上に、乾燥後の膜厚が1.0μmになるように塗布して、80℃に設定した乾燥炉により塗布膜中の溶剤を除去した後、UV処理装置を用いて積算光量400mJ/cmの紫外線を照射して塗布膜を硬化させた。フィルムのもう片方の面にも同様の方法によりハードコート層を設け、フィルムの両面にハードコート層を配置した。
・反応性基装飾コロイダルシリカ(分散媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、不揮発分:40重量%):100質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:48質量部
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:12質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン):2.5質量部
(透明導電層の配置)
フィルムの両面にハードコート層が設けられたハードコートフィルムの片方の面に、スパッタリング法を用いて透明導電層を配置し、透明導電フィルムを作成した。具体的には、酸化インジウムに酸化錫5質量%を添加したターゲットを用いて、アルゴンガス98体積%と酸素ガス2体積%とからなる混合雰囲気中で成膜して、酸化インジウムと酸化スズとの複合酸化物からなる透明導電層を、一方のハードコート層表面に配置した。その後、積層体をオーブンにて140℃、90分の条件で加熱して、透明導電フィルムを作成した。
(耐カール性の判定基準)
A:カール量が10mm未満であった。
B:カール量が10mm以上15mm未満であった。
C:カール量が15mm以上であった。
(11)総合評価
前記した評価項目、(7)透明性、(8)耐熱変形性、(9)耐カール性の各項目における判定結果をもとに、下記の判定基準により判定した。
A:すべての項目がA判定であった。
B:Aおよびに該当しない。
C:B判定となった項目が2項目以上あった。あるいは、C判定となった項目が1項目以上あった。
[使用したポリエステル樹脂]
(PET−1)
テレフタル酸とエチレングリコールの反応物であるエステル化反応物を予め255℃の溶融状態で貯留させ、さらにテレフタル酸とエチレングリコールとをテレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比が1.15になるようにスラリー状にしてエステル化反応槽の温度を保ちながら定量供給し、水を留出させながらエステル化反応を行い、エステル化反応物を得た。得られたエステル化反応物を、重合反応槽に移送し、リン酸を含むエチレングリコール溶液と酢酸マグネシウム4水和物を含むエチレングリコール溶液、三酸化アンチモンを含むエチレングリコール溶液、水酸化カリウムを含むエチレングリコール溶液を別々に、得られるポリエステル樹脂に対して、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、リン元素をM/Pが2.8に、アンチモン元素として60ppmとなるように添加し、引き続いて重合反応槽内を除々に減圧にし、30分で0.13kPa以下とし、それと同時に除々に昇温して280℃とし、重合反応を実施した。その後、窒素ガスによって重縮合反応槽を常圧に戻し、口金より冷水中にストランド状に吐出し、押し出しカッターによって円柱状にペレット化し、表面結晶化装置によって予備結晶化し、液相ポリエステルを得た。ここで得られた液相ポリエステルを用いて、回転式真空乾燥装置により、0.13KPaの減圧下、215℃の温度で20時間固相重合を行い、ポリエステル樹脂(PET−1)を得た。得られたポリエステル樹脂(PET−1)の固有粘度は0.65、環状三量体含有量は0.40質量%であった。
(PET−2)
固相重合時間を30時間に変更したこと以外は、ポリエステル樹脂(PET−1)と同様の方法により、ポリエステル樹脂(PET−2)を得た。得られたポリエステル樹脂(PET−2)の固有粘度は0.70、環状三量体含有量は0.35質量%であった。
(PET−3)
固相重合時間を50時間に変更したこと以外は、ポリエステル樹脂(PET−1)と同様の方法により、ポリエステル樹脂(PET−3)を得た。得られたポリエステル樹脂(PET−3)の固有粘度は0.60、環状三量体含有量は0.30質量%であった。
(PET−4)
固相重合時間を10時間に変更したこと以外は、ポリエステル樹脂(PET−1)と同様の方法により、ポリエステル樹脂(PET−4)を得た。得られたポリエステル樹脂(PET−4)の固有粘度は0.65、環状三量体含有量は0.60質量%であった。
(PET−5)
固相重合を実施せずに、固有粘度を変更したこと以外は、ポリエステル樹脂(PET−1)と同様の方法により、ポリエステル樹脂(PET−5)を得た。得られたポリエステル樹脂(PET−5)の固有粘度は0.70、環状三量体含有量は1.07質量%であった。
(PET−6)
重合反応槽に移送後の各種重合触媒のエチレングリコール溶液を添加する際に、さらに、平均粒子径が2μmのシリカ粒子を含むエチレングリコール溶液を添加したこと以外は、ポリエステル樹脂(PET−5)と同様の方法により、ポリエステル樹脂(PET−8)を得た。得られたポリエステル樹脂(PET−8)の固有粘度は0.70、環状三量体含有量は1.07質量%、シリカ粒子含有量は0.02質量%であった。
(PET−7)
重合反応槽に移送後の各種重合触媒のエチレングリコール溶液を添加する際に、さらに、平均粒子径が0.3μmの架橋ポリスチレン粒子を含むエチレングリコール溶液を添加したこと以外は、ポリエステル樹脂(PET−5)と同様の方法により、ポリエステル樹脂(PET−9)を得た。得られたポリエステル樹脂(PET−9)の固有粘度は0.70、環状三量体含有量は1.07質量%、架橋ポリスチレン粒子含有量は0.02質量%であった。
(PET−8)
重合反応槽に移送後の各種重合触媒のエチレングリコール溶液を添加する際に、さらに、平均粒子径が0.45μmの架橋ポリスチレン粒子を含むエチレングリコール溶液を添加したこと以外は、ポリエステル樹脂(PET−1)と同様の方法により、ポリエステル樹脂(PET−10)を得た。得られたポリエステル樹脂(PET−10)の固有粘度は0.65、環状三量体含有量は0.40質量%、架橋ポリスチレン粒子含有量は0.01質量%であった。
[使用した塗液]
(塗液−1)
窒素ガス雰囲気下で、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸40モル部、テレフタル酸50モル部、5−スルホイソフタル酸ナトリウム5モル部、グリコール成分としてエチレングリコール95モル部、ジエチレングリコール5モル部をエステル交換反応器に仕込み、これにテトラブチルチタネート(触媒)を全ジカルボン酸成分100万質量部に対して100質量部添加して、160〜240℃で5時間エステル化反応を行った後、溜出液を取り除いた。その後、トリメリット酸5モル部と、テトラブチルチタネートを更に全ジカルボン酸100万質量部に対して100質量部添加して、240℃で、反応物が透明になるまで溜出液を除いたのち、220〜280℃の減圧下において、重縮合反応を行い、ポリエステル(A)を得た。その後、ポリエステル(A)を100重量部、メラミン系架橋剤(三和ケミカル社(株)製“ニカラック”MW12LF:有効成分70質量%、イソプロピルアルコール17質量%含有)を50質量部(有効成分換算)、コロイダルシリカ(粒径140nm)を1.5質量部混合してなる有効成分を5.0質量部、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルを3.0質量部、水を92.0質量部混合して、塗液−1を得た。
(塗液−2)
窒素ガス雰囲気下で、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸85モル部、5−スルホイソフタル酸ナトリウム5モル部、グリコール成分としてエチレングリコール100モル部をエステル交換反応器に仕込み、これにテトラブチルチタネート(触媒)を全ジカルボン酸成分100万質量部に対して100質量部添加して、160〜240℃で5時間エステル化反応を行った後、溜出液を取り除いた。その後、1,3,5−トリメリット酸10モル部と、テトラブチルチタネートを更に全ジカルボン酸100万質量部に対して100質量部添加して、240℃で、反応物が透明になるまで溜出液を除いたのち、220〜280℃の減圧下において、重縮合反応を行い、ポリエステル(B)を得た。その後、ポリエステル(A)をポリエステル(B)に変更したこと以外は、塗液−1と同様の方法により、塗液−2を得た。
(塗液−3)
有効成分を、ポリエステル(A)を100重量部、メラミン系架橋剤(三和ケミカル社(株)製“ニカラック”MW12LF:有効成分70質量%、イソプロピルアルコール17質量%含有)を40質量部(有効成分換算)、オキサゾリン系架橋剤(日本触媒(株)製“エポクロス”WS500:有効成分40質量%、1−メトキシ−2−プロパノール38質量%含有)を10質量部(有効成分換算)、コロイダルシリカ(粒径140nm)を1.5質量部混合してなることに変更したこと以外は、塗液−1と同様の方法により、塗液−3を得た。
(塗液−4)
有効成分を、ポリエステル(A)を100重量部、メラミン系架橋剤(三和ケミカル社(株)製“ニカラック”MW12LF:有効成分70質量%、イソプロピルアルコール17質量%含有)を40質量部(有効成分換算)、カルボジイミド系架橋剤(日清紡ケミカル(株)製“カルボジライト”V−04:有効成分40重量%)を10質量部(有効成分換算)、コロイダルシリカ(粒径140nm)を1.5質量部混合してなることに変更したこと以外は、塗液−1と同様の方法により、塗液−4を得た。
[ポリエステルフィルムの作成]
(実施例1)
PET−1を真空中160℃で4時間乾燥した後、押出機に供給し285℃で溶融押出を行った。ステンレス鋼繊維を焼結圧縮した平均目開き5μmのフィルターで、次いで平均目開き14μmのステンレス鋼粉体を焼結したフィルターで濾過した後、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。なお、この時キャスティングドラムの反対面から温度10℃の冷風を長手方向に8段設置した間隙2mmのスリットノズルから風速20m/sでフィルムに吹き付け、両面から冷却を実施した。
この未延伸フィルムを予熱ロールにて70℃に予熱後、上下方向からラジエーションヒーターを用いて90℃まで加熱しつつロール間の周速差を利用して長手方向に3.1倍延伸し、引き続き冷却ロールにて25℃まで冷却し、一軸配向(一軸延伸)フィルムとした。このフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、フィルムの表面張力を55mN/mとした。
次いで、塗液−1を上記一軸延伸フィルムの両面にバーコーターを用いて塗布した。なお、メタリングワイヤーバーは直径13mm、ワイヤー径0.1mm(#4)のものを用いた。
塗液を塗布した1軸延伸フィルムをクリップで把持してオーブンに導き、温度120℃、風速20m/分の熱風にて加熱乾燥した。引き続き連続的に延伸工程に導き、温度100℃、風速15m/分の熱風にて加熱しながら幅方向に3.7倍延伸した。得られた二軸配向フィルムを引き続き連続的に温度230℃、風速20m/分の熱風にて15秒間熱処理を実施後、230℃から120℃まで冷却しながら5%の弛緩処理を施し、続けて50℃まで冷却した。引き続き幅方向両端部を除去した後に巻き取り、厚み125μmのポリエステルフィルムを得た。
ここで得られたポリエステルフィルムは、透明性、耐熱変形性、耐カール性に優れ、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として好適に使用できるものであった。
(実施例2、6、8)
表1記載の構成に変更し、弛緩処理を3%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
実施例2、6、8のポリエステルフィルムは耐カール性がやや劣るものの、耐透明性と耐熱変形性に優れ、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として特に好適に使用できるものであった。
(実施例3〜5、7、9〜14)
表1記載の構成に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
実施例3〜5、7のポリエステルフィルムは、透明性、耐熱変形性、耐カール性に優れ、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として特に好適に使用できるものであった。実施例9、10のポリエステルフィルムは耐熱変形性がやや劣るものの、透明性と耐カール性に優れ、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として好適に使用できるものであった。実施例11〜14のポリエステルフィルムは透明性がやや劣るものの、耐熱変形性と耐カール性に優れ、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として好適に使用できるものであった。
Figure 0006821969
Figure 0006821969
実施例15〜17のポリエステルフィルムは、透明性、耐熱変形性、耐カール性に優れ、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として特に好適に使用できるものであった。実施例18、19のポリエステルフィルムは、耐熱変形性がやや劣るものの、透明性と耐カール性に優れ、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として好適に使用できるものであった。実施例20〜22のポリエステルフィルムは、透明性がやや劣るものの、耐熱変形性と耐カール性に優れ、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として好適に使用できるものであった。
(実施例23〜25)
表2記載の原料を用いて、それぞれ独立した別々の真空乾燥機により真空中160℃で4時間乾燥した後、それぞれ独立した別々の押出機に供給し、フィルムとして表2記載の層構成、積層比になるよう、共押出法によって溶融押出を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法により、ポリエステルフィルムを得た。なお、表2記載の層構成の項目における「A/B」の表記は、フィルム構成として、層Aの片面に層Bを配置したこと、すなわち、ポリエステルフィルムを層A/層Bの層構成で構成したことを意味する。また、ヘイズあるいは屈折率を測定する際は、層A面を測定面とした。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。
実施例23〜25のポリエステルフィルムは、耐カール性がやや劣るものの、透明性と耐熱成形性に優れ、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として好適に使用できるものであった。
(実施例26〜28)
表2記載の原料を用いて、それぞれ独立した別々の真空乾燥機により真空中160℃で4時間乾燥した後、それぞれ独立した別々の押出機に供給し、フィルムとして表2記載の層構成、積層比になるよう、共押出法によって溶融押出を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法により、ポリエステルフィルムを得た。なお、表2記載の層構成の項目における「B/A/C」の表記は、フィルム構成として、層Aの片面に層Bを、もう片方の面に層Cをそれぞれ配置したこと、すなわち、ポリエステルフィルムを層B/層A/層Cの層構成で構成したことを意味する。また、ヘイズあるいは屈折率を測定する際は、層B面を測定面とした。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。
実施例26、27のポリエステルフィルムは、透明性がやや劣るものの、耐熱変形性と耐カール性に優れ、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として好適に使用できるものであった。実施例28のポリエステルフィルムは、耐熱変形性がやや劣るものの、透明性と耐カール性に優れ、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として好適に使用できるものであった。
Figure 0006821969
(比較例1〜3)
表3記載の構成に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、ポリエステルフィルムを得た。なお、表3記載の層構成の項目における「A」の表記は、フィルム構成として、層Aの単層構成としたことを意味する。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表3に示す。
比較例1、3に記載のポリエステルフィルムは、耐熱変形性に劣り、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として使用することが困難であった。比較例2に記載のポリエステルフィルムは、透明性および耐熱変形性に劣り、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として使用することが困難であった。
(比較例4、5)
表3記載の構成に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法により、ポリエステルフィルムを得た。なお、表3記載の層構成の項目における「A」の表記は、フィルム構成として、層Aの単層構成としたことを意味する。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表3に示す。
比較例4、5に記載のポリエステルフィルムは、耐熱変形性に劣り、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として使用することが困難であった。
(比較例6、7)
表3記載の構成に変更し、さらに、長手方向の延伸倍率を3.8倍、幅方向の延伸倍率を4.2倍に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、ポリエステルフィルムを得た。なお、表3記載の層構成の項目における「A」の表記は、フィルム構成として、層Aの単層構成としたことを意味する。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表3に示す。
比較例6、7に記載のポリエステルフィルムは、透明性が劣り、また、ポリエステルフィルムの製造工程におけるフィルム破れが発生しやすい等の不具合があり、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として使用することが困難であった。
(比較例8〜10)
表3記載の構成に変更したこと以外は、実施例15と同様の方法により、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表3に示す。
比較例8、9に記載のポリエステルフィルムは、耐熱変形性に劣り、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として使用することが困難であった。また、比較例10に記載のポリエステルフィルムは、透明性に劣り、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として使用することが困難であった。
(比較例11、12)
表3記載の構成に変更したこと以外は、実施例23と同様の方法により、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表3に示す。
比較例11に記載のポリエステルフィルムは、耐熱変形性に劣り、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として使用することが困難であった。また、比較例12に記載のポリエステルフィルムは、耐熱変形性と耐カール性に劣り、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として使用することが困難であった。
(比較例13、14)
表3記載の構成に変更したこと以外は、実施例26と同様の方法により、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表3に示す。
比較例13、14に記載のポリエステルフィルムは、耐熱変形性に劣り、導電性フィルム用表面保護フィルム用途および透明導電基材フィルム用途として使用することが困難であった。
Figure 0006821969

Claims (7)

  1. ポリエステル樹脂を主成分とするポリエステルフィルムであって、ヘイズが1.5%未満であって、示差走査熱量測定により加熱速度20℃/分で昇温した時に測定される結晶融解熱量ΔHmが15.2cal/g以上30cal/g以下、前記ポリエステルフィルムフィルムの環状三量体の含有量が0.01質量%以上0.48質量%以下であり、
    以下の条件で前記ポリエステルフィルムフィルムの両面にハードコート層が設けたハードコートフィルムの片方の面に、スパッタリング法を用いて透明導電層を配置し、透明導電フィルムとした際のカール量が10mm未満である、透明導電性フィルムに用いられるポリエステルフィルム。
    (ハードコート層の配置)
    以下の原材料を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMA)で希釈して混合し、各原材料を溶媒中に分散させ、不揮発分が25.5質量%の塗料を調整する。ここで得た塗料を、フィルムの片面上に、乾燥後の膜厚が1.0μmになるように塗布して、80℃に設定した乾燥炉により塗布膜中の溶剤を除去した後、UV処理装置を用いて積算光量400mJ/cm の紫外線を照射して塗布膜を硬化させる。フィルムのもう片方の面にも同様の方法によりハードコート層を設け、フィルムの両面にハードコート層を配置する。
    ・反応性基装飾コロイダルシリカ(分散媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、不揮発分:40重量%):100質量部
    ・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:48質量部
    ・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:12質量部
    ・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン):2.5質量部
    (透明導電層の配置)
    酸化インジウムに酸化錫5質量%を添加したターゲットを用いて、アルゴンガス98体積%と酸素ガス2体積%とからなる混合雰囲気中で成膜して、酸化インジウムと酸化スズとの複合酸化物からなる透明導電層を、一方のハードコート層表面に配置する。その後、積層体をオーブンにて140℃、90分の条件で加熱して、透明導電フィルムを作成する。
    (カール量の測定)
    作成した透明導電フィルムを、フィルム長手方向とフィルム幅方向に沿って、20cm四方に切り出し、透明導電層が上面になるように、温度を140℃に設定したオーブン中に無緊張状態で90分間保持した後、フィルムサンプルを室温で10分間冷却した。冷却後、凹み面が上側となるように透明導電フィルムを平坦面に置き、平坦面と透明導電フィルムの頂点部との距離をそれぞれ計測し、4点の平均値をカール量として算出する。
  2. 厚みが16μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 屈折率が1.63以上1.69以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. ポリエステル樹脂のみからなるポリエステルフィルムであって、前記ポリエステル樹脂がホモポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  6. 150℃30分おけるフィルム長手方向の熱収縮率が2.0%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  7. 150℃30分おけるフィルム幅方向の熱収縮率が1.0%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
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