JP6243179B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、積層フィルムに関する。特に、光学用フィルムとして好適に用いることができる積層フィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れた特性を有し、コストパフォーマンスに優れるため、各種の用途において使用されている。
一方、ポリエステルは、ジカルボン酸とグリコールとから重縮合反応により製造される線状ポリマーであるが、通常数%の環状三量体等の環状オリゴマーを含有している。そして、かかる環状オリゴマーは、ポリエステルフィルムを加熱処理すると、フィルム表面に析出してしまい、これによってフィルムが白化するという問題がある。かかる問題は、近年、用途の多様化に伴い、特に光学用途等の高度に透明性が要求される場合に大きな問題となっている。さらに、生産性の点から加熱処理温度が高温化するにつれ、かかる問題はより深刻となりつつある。
加熱によるオリゴマーの析出を抑制する方法として、特許文献1のように特定の塗布層を付与しポリエステルフィルムの表面を改質する提案がされている。しかしながらかかる方法では、塗布層を付与するまでの工程では一般的なポリエステルフィルムと差異がないため、フィルム製造工程のオリゴマーによる汚染を考えた場合には、抜本的な対策となりえない。また、塗布層付与工程が必要となり、コストアップに繋がり好ましくない。
抜本的な対策としては、固相重合法によりポリエステル中に存在する環状オリゴマーを低減したポリエステルを用いることが提案されている(特許文献2〜5)。
特開2005−89622号公報 特開平9−99530号公報 特開2000−141570号公報 特開2003−191413号公報 特開2003−301057号公報
しかしながら、固相重合法により生成したポリエステルは、高重合度であり高粘度であるため、それを用いて得られたフィルムは、熱収縮率が大きくなり、例えば光学用フィルム、特にタッチパネルに用いられる透明電極基材用途では、ITOスパッタリングなどのように熱履歴を受ける加工工程を通過する際に変形が大きく、不都合となる。
そこで本発明は、加熱処理におけるオリゴマー析出によるフィルムの白化を抑制しつつ、熱収縮を抑制したフィルムを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用するものである。
1.固有粘度が0.63dL/g以上、0.68dL/g未満のポリエチレンテレフタレートからなる層Aと、固有粘度が0.50dL/g以上、0.62dL/g以下のポリエチレンテレフタレートからなる層Bとを、層A、層B、層Aの順序で積層した積層フィルムであって、層Aの合計厚みTaと層Bの合計厚みTbとの比率Ta:Tbが4.8:5.2〜3.5:6.5である、積層フィルム。
2.150℃、30分の熱収縮率が、フィルム面内の少なくとも一方向において0.2%〜0.6%、前記方向と垂直な方向において−0.3%〜0.5%の範囲である、上記1に記載の積層フィルム。
3.層Aを構成するポリエチレンテレフタレートが、固相重合により得られたポリエチレンテレフタレートである、上記1または2に記載の積層フィルム。
4.150℃、120分加熱前後におけるヘーズ上昇量ΔHzが1.0%以下である、上記1〜3のいずれか1に記載の積層フィルム。
5.光学用として用いられる、上記1〜4のいずれか1に記載の積層フィルム。
本発明によれば、加熱処理におけるオリゴマー析出によるフィルムの白化を抑制しつつ、熱収縮を抑制したフィルムを提供することができる。
本発明のフィルムは、加熱しても無色透明性が優れていることから、光学用フィルムとして好適に用いることができる。また同時に熱収縮が抑制されているため、かかる光学用フィルムの中でも、タッチパネル用フィルム、特に透明電極基材用フィルムとして好適に用いることができる。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、固有粘度0.63dl/g以上、0.70dL/g未満のポリエチレンテレフタレートからなる層Aと、固有粘度0.50dL/g以上、0.62dL/g以下のポリエチレンテレフタレートからなる層Bとを積層したものである。
(ポリエチレンテレフタレート)
本発明において、層Aおよび層Bを構成するポリエチレンテレフタレートは、全繰り返し単位の90モル%以上がエチレンテレフタレート成分からなるポリエステルである。かかる態様により、光学用途フィルム、特にタッチパネル用フィルムとして求められる透明性や耐熱性、機械的特性の全ての特性を同時に得ることができる。
このポリエステルはホモポリマーであってもよくコポリマーであってもよい。コポリマーである場合、全ジカルボン酸成分あたり10モル%以下、好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下の割合で、共重合成分が共重合されていてもよい。ただし、コポリマーは、フィルム中の分子配列の乱れから、水分などが拡散しやすくなって加水分解を促進する傾向にあるため、耐加水分解性の観点からホモポリマーが好ましい。コポリマーの場合、共重合成分としては、例えば、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸といった芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸とった脂肪族ジカルボン酸を用いることができ、また、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールといった脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノールといった脂環族ジオールを用いることができる。共重合成分は、これらは単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
(層A)
層Aは、固有粘度0.63dL/g以上、0.70dL/g未満のポリエチレンテレフタレートからなる層である。かかるポリエチレンテレフタレートとしては、固相重合により得られたものが好ましい。このような態様とすることによって、積層フィルムの表層を構成する層Aからのオリゴマー析出を抑制することができ、加熱時の白化を抑制することができる。固有粘度が低すぎると、それは層Aが包含するオリゴマー量が多いこととなり、オリゴマー析出の抑制効果が低下する傾向にある。かかる観点から、固有粘度は、好ましくは0.635dL/g以上、より好ましくは0.64dL/g以上、さらに好ましくは0.65dL/g以上、特に好ましくは0.66dL/g以上である。他方、固有粘度が高すぎる場合は、溶融粘度の増加により溶融押出が困難となる傾向にあり、生産性を高めることが困難となる傾向にある。また、剪断熱が発生しやすくなる傾向にあり、かかる発熱により樹脂の劣化が生じ、高融点物のような異物が発生しやすくなる傾向にもある。さらに、熱収縮率が高くなる傾向にある。かかる観点から、好ましくは0.69dL/g以下、より好ましくは0.68dL/g以下である。
(層B)
層Bは、固有粘度0.50dL/g以上、0.62dL/g以下のポリエチレンテレフタレートからなる層である。層Bを構成するポリエチレンテレフタレートの固有粘度を上記のような範囲とすることによって、熱収縮を抑制することができる。固有粘度が高すぎると、かかる熱収縮抑制の効果が低下する傾向にある。かかる観点から、固有粘度は、好ましくは0.61dL/g以下、より好ましくは0.60dL/g以下である。他方、固有粘度が低すぎると延伸が困難となる傾向にある。かかる観点から、好ましくは0.52dL/g以上、より好ましくは0.54dL/g以上である。
また、初期ヘーズをより抑制する観点から、層Aと層Bの固有粘度差は小さい方が好ましく、層Aと層Bの固有粘度差は、好ましくは0.1dL/g以下、より好ましくは0.9dL/g以下、さらに好ましくは0.8dL/g以下である。
(積層構成)
本発明の積層フィルムは、上記のような層Aおよび層Bを、層A、層B、層Aの積層順序であって、層Aの合計厚みTaと層Bの合計厚みTbとの比率Ta:Tbが、5.0:5.0〜2.0:8.0となるように積層したものである。積層フィルムにおいては、層Aは少なくとも片方の最表層を構成し、好ましくは両方の最表層を構成する。層Aのみでは熱収縮が大きいところ、上記のように層Aに対して、適度な固有粘度を有するポリエステルからなる層Bを上記厚み比率にて積層することによって、熱収縮を抑制することができる。また、上記積層順序によって、層Bからのオリゴマー析出を抑制することができ、加熱時のフィルム白化を抑制することができる。
厚み比率について、層Aの比率が高すぎると、熱収縮の抑制ができない。他方、層Aの比率が低すぎると、加熱時のフィルム白化が抑制できない。かかる観点から、厚み比率Ta:Tbは、好ましくは4.8:5.2〜2.6〜7.4であり、より好ましくは4.8:5.2〜3.5:6.5である。
なお、本発明の積層フィルムは、上記のように層A、層B、層Aの構成を有していればよく、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、層Aおよび層Bを任意に複数層有していても良く、例えば層A/層B/層A/層B/層A等の層構成であっても良い。また、他の層を有することができる。他の層は、層Aよりも外側に有していても良いし、層Aと層Bとの間に有していても良い。例えば、層Aの外側表面に、ITO膜やポリチオフェンからなる膜のような透明導電層を有してもよいし、ハードコート層を有することもできる。また、かかる透明導電層やハードコート層等の機能層と、本発明の積層フィルムとの接着性を向上する等の目的で、後述するようなコーティング層を有していても良い。
(任意の添加剤)
本発明の効果を阻害しない範囲であれば、本発明の積層フィルムには添加剤として、たとえば滑剤、帯電防止剤、UV吸収剤、酸化防止剤、安定剤などを添加してもよい。
[コーティング層]
本発明の積層フィルムには、耐スクラッチ性、ハンドリング性、若しくは後の工程における機能層との接着性を向上させるため、コーティング層を設けてもよい。たとえばポリエステルバインダーの水分散体を主体とし、フィルムのすべり性付与、フィルム間のブロッキング防止のために粒子滑剤を添加したコーティング層が例示できる。
かかるコーティング層は、コーティング層を設けるための塗液をフィルムに塗布して形成されるが、かかる塗液の塗布は、任意の段階で実施することができる。生産性の観点からは、フィルムの製造工程で実施するのが好ましく、配向結晶化が完了する前のフィルムに塗布することが特に好ましい。ここで、結晶配向が完了する前のフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向また横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。なかでも、縦方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに塗液を塗布し、そのまま横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独または組合せて用いることができる。
[ポリエステルの製造方法]
本発明におけるポリエステルは、ゲルマニウム化合物を重合触媒として重合されたポリエステルであることが好ましく、この場合、ポリエステルは、ゲルマニウム元素を例えば0.1〜100ppm、好ましくは1〜70ppm、さらに好ましくは10〜50ppm含有することができる。ここでゲルマニウム元素は、ポリエステルの重合触媒として用いたゲルマニウム化合物に由来する。かかるゲルマニウム化合物として、例えば二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム等を例示することができる。また本発明におけるポリエステルは、アンチモン化合物を重合触媒として重合されたポリエステルであってもよく、ポリエステルの固有粘度を本発明における好ましい範囲とすることができる。ポリエステルは、アンチモン元素を例えば0.1〜250ppm、好ましくは1〜245ppm、さらに好ましくは10〜240ppm含有する。このような態様とした場合においては、フィルムを構成するポリエステル組成物に含まれるアンチモン元素は、好ましくは0.01〜250ppm、より好ましくは1〜210ppm、さらに好ましくは90〜200ppm、特に好ましくは100〜190ppmである。ここでアンチモン元素は、ポリエステルの重合触媒として用いたアンチモン化合物に由来する。かかるアンチモン化合物として、例えば三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン等を例示することができる。
このようにして、最終重縮合反応器から得られたポリエチレンテレフタレートは、通常、溶融押出成形法によって粒状(チップ状)に成形される。また、固有粘度をさらに高めたい場合は、次いで固相重縮合工程に供給される。
固相重縮合工程に供給される粒状ポリエチレンテレフタレートは、予め固相重縮合を行なう場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行なった後、固相重縮合工程に供給してもよい。このような予備結晶化工程は、粒状ポリエチレンテレフタレートを乾燥状態で通常、120〜200℃好ましくは130〜180℃の温度に1分〜4時間加熱して行なうこともでき、また粒状ポリエチレンテレフタレートを水蒸気雰囲気下、または水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で通常、120〜200℃の温度に1分間以上加熱して行なうこともできる。
このような粒状ポリエチレンテレフタレートが供給される固相重縮合工程は少なくとも1段からなり、重縮合温度が通常190〜230℃好ましくは195〜225℃であり、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下で固相重縮合反応が実施される。これらの不活性ガスの中では窒素ガスが好ましい。
[フィルムの製造方法]
本発明の積層フィルムを製造する方法としては、任意の方法を採用することができるが、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと省略する場合がある。)を溶融押出し、固化成形したシートを少なくとも一方向(一軸)、好ましくは二方向(二軸)に延伸するフィルム製造方法が挙げられ、以下かかる方法を採用した場合について説明する。
層A用に調製したPETを十分に乾燥させた後、該PETの融点〜(融点+70)℃の温度で押出機内にて溶融する。同時に層B用に調製したPETを十分に乾燥させた後、他の押出機に供給し、該PETの融点〜(融点+70)℃の温度で溶融する。続いて、両方の溶融樹脂をダイ内部で積層する方法、例えばマルチマニホールドダイを用いた同時積層押出法により、ダイより押出し、未延伸積層フィルムが製造される。かかる同時積層押出法によると、一つの層を形成する樹脂の溶融物と別の層を形成する樹脂の溶融物はダイ内部で積層され、積層形態を維持した状態でダイよりシート状に成形される。
次いで該未延伸積層フィルムを逐次または同時に二軸延伸し、熱固定する。逐次二軸延伸により製膜する場合は、未延伸フィルムを製膜機械軸方向(以下、縦方向または長手方向またはMDを呼称する場合がある。)に60〜100℃で2.3〜5.5倍、より好ましくは2.5〜5.0倍の範囲で延伸し、次いでステンターにて該製膜機械軸方向とは垂直な方向(以下、横方向または幅方向またはTDと呼称する場合がある。)に80〜130℃で2.3〜5.0倍、より好ましくは2.5〜4.8倍の範囲で延伸するとよい。また、同時二軸延伸により製膜する場合は、未延伸フィルムを縦方向および横方向を同時に、80〜120℃で縦方向には3.0〜4.0倍、横方向には3.0〜4.0倍で延伸するとよい。
熱固定は、130〜260℃、より好ましくは150〜240℃の温度で緊張下又は制限収縮下で行うのが好ましい。熱固定時間は1〜1000秒が好ましい。また、熱収縮率をより小さくする目的において、熱固定後に弛緩処理を行うことが好ましい。かかる弛緩処理の条件としては、温度150〜180℃にて弛緩率0.1〜1.0%で行うことが好ましい。
[フィルム特性]
(熱収縮率)
本発明の積層フィルムは、150℃、30分の熱収縮率が、フィルム面内の少なくとも一方向において0.2〜0.6%であり、前記方向と垂直な方向において−0.3〜0.5%であることが好ましい。このような熱収縮特性を具備することにより、ITOスパッタリング加工のような熱履歴を受ける加工工程を経る際の熱変形が少ないという効果がある。熱収縮率が高すぎると、フィルムの変形が大きく、加工後の平面性に劣る傾向にある。他方、熱収縮率が低すぎても熱履歴を受けるか加工固定を経た後の熱変形量が大きく、熱履歴を受ける加工工程を経た後の平面性が劣る傾向にある。これらのことから、熱収縮率は、フィルム面内の少なくとも一方向において0.3〜0.5%であり、前記方向と垂直な方向において−0.2〜0.3%であることがより好ましい。
(透明性)
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、フィルムのヘーズ(初期ヘーズ(Hz))が好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.9%以下、さらに好ましくは0.8%以下、特に好ましくは0.7%以下、最も好ましくは0.5%以下である。ヘーズが1.0%を超えると透明性が低下し、光学用途に用いることが困難となる傾向にある。
かかるヘーズは、例えば滑剤として用いる粒子の態様を調整することにより達成することができる。例えば、粒子の径を小さくしたり、使用量を少なくしたりすると、初期ヘーズは低くなる傾向にある。
また本発明の積層フィルムは、150℃、120分の加熱処理後の、初期ヘーズに対するヘーズ上昇量(ΔHz)が1.0%以下であることが好ましい。かかるヘーズ上昇量が少ないということは、加熱によるオリゴマー析出が少ないということを意味する。かかる観点から、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。なお、物性の測定方法および評価方法は以下のとおりである。
(1)固有粘度
ダイより押し出して得られた、層Aおよび層Bを構成する各々の樹脂サンプルについて、100℃に加温したオルトクロロフェノールで60分溶解させ、35℃にてウベローデ粘度計を用いて測定した。
(2)初期ヘーズ(Hz)
JIS K7361に順じ、日本電色製ヘーズメーターNDH−2000にて測定した。フィルム面内任意の5か所について測定し、平均値を求めた。
(3)ヘーズ上昇量(ΔHz)
150℃に加熱した熱風オーブン中で、フィルムサンプルを120分保持し、加熱後のフィルムのヘーズを上記(2)に記載の方法に準じて測定した。この測定値から上記(2)で測定した初期ヘーズ値を差し引き、加熱処理に伴うヘーズの上昇量を求めた。
(4)熱収縮率
フィルムサンプルに間隔30cmの標点を付し、150℃に加熱した熱風オーブン中に30分間保持し、加熱前後での寸法比率を測定した。
(5)実用評価
得られたフィルムをタッチパネル用透明電極に用いることを想定し、ITOスパッタ加工を施した。該工程の工程通過におけるシワの発生および白化の状況を次の指標で評価した。
<シワの発生状況>
○:工程内で該フィルムにシワは確認されず、問題ない
△:工程内で若干のシワが確認されるが、加工上問題ない
×:工程内でシワが顕著であり、製品に支障が生じる
<白化の状況>
○:得られたITOフィルムに白化は確認されず、問題ない
△:得られたITOフィルムに若干の白化が確認されるが、使用上問題ない
×:得られたITOフィルムの白化が顕著であり、製品に支障が生じる
[製造例1:PET−1]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酸化ゲルマニウム0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.68dL/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、PET−1としてのポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。得られたPET−1の固有粘度は0.68dL/gであった。
[製造例2:PET−2]
製造例1同様にして、反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.65dL/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、PET−2としてのポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。得られたPET−2の固有粘度は0.65dL/gであった。
[製造例3:PET−3]
製造例1同様にして、反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.57dL/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、PET−3としてのポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。得られたPET−3の固有粘度は0.57dL/gであった。
[製造例4:PET−4]
PET−2の製造後に、固相重合にて固有粘度を向上させた。固相重合後のポリエステル樹脂を水蒸気含有窒素ガス雰囲気下で150℃の温度に3分間以上加熱し、PET−4を得た。得られたPET−4の固有粘度は0.82dL/gであった。
[製造例5:PET−5]
PET−3の製造後に、固相重合にて固有粘度を向上させた。固相重合後のポリエステル樹脂を水蒸気含有窒素ガス雰囲気下で150℃の温度に3分間以上加熱し、PET−5を得た。得られたPET−5の固有粘度は0.75dL/gであった。
[製造例6:PET−6]
製造例1同様にして、反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.52dL/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、PET−6としてのポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。得られたPET−6の固有粘度は0.52dL/gであった。
[製造例7:PET−7]
製造例1同様にして、反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.72dL/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、PET−7としてのポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。得られたPET−7の固有粘度は0.72dL/gであった。
Figure 0006243179
[実施例1]
層Aを形成するためのPETとして、上記製造例5で得られたIV=0.75dL/gのPET−5、層Bを形成するためのPETとして、上記製造例2で得られたIV=0.65dL/gのPET−2を用い、それぞれ十分に乾燥した後、別々の押出機に投入し、フィードブロックを用いて、層A、層B、層Aの積層構成であって、得られる積層フィルムにおける各層の厚さが表2に示すようになるように積層し、ダイよりキャスティングドラム上に押し出して未延伸フィルムを得た。
次いで該未伸フィルムを、温度100℃で縦方向に3.2倍延伸し、次いでステンターに投入し、温度130℃で横方向に3.7倍延伸し、238℃で3秒熱固定し、幅方向に2.5%弛緩させて、厚み50μmの二軸延伸積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの構成および評価結果を表2に示す。
[実施例2、3、5、比較例1〜
層Aを形成するためのPETおよび層Bを構成するためのPETを表2に示すものとする以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
なお、比較例6においては、フィルム厚みを125μmとした。
また、比較例3においては、延伸時にフィルム破断多発したため、サンプルを作成することが困難であった。
Figure 0006243179

Claims (5)

  1. 固有粘度が0.63dL/g以上、0.68dL/g未満のポリエチレンテレフタレートからなる層Aと、固有粘度が0.50dL/g以上、0.62dL/g以下のポリエチレンテレフタレートからなる層Bとを、層A、層B、層Aの順序で積層した積層フィルムであって、層Aの合計厚みTaと層Bの合計厚みTbとの比率Ta:Tbが4.8:5.2〜3.5:6.5である、積層フィルム。
  2. 150℃、30分の熱収縮率が、フィルム面内の少なくとも一方向において0.2%〜0.6%、前記方向と垂直な方向において−0.3%〜0.5%の範囲である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 層Aを構成するポリエチレンテレフタレートが、固相重合により得られたポリエチレンテレフタレートである、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 150℃、120分加熱前後におけるヘーズ上昇量ΔHzが1.0%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  5. 光学用として用いられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
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