JP2015030828A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Koji Kubo
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健悟 徳永
Kengo Tokunaga
健悟 徳永
渡部 誉之
Yoshiyuki Watabe
誉之 渡部
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Abstract

【課題】高品位が必要とされるディスプレイ部材用途などで、加熱加工後の透明性に優れ、環状オリゴマーの析出が少ないとともに、耐熱性、耐久性に優れるポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるフィルムであって、該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度が0.60dl/g以上であるとともに、フィルム中の環状3量体オリゴマーの重量分率(WCy3)と環状4量体オリゴマーの重量分率(WCy4)の比率WCy3/WCy4が5以下であることを特徴とする、ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、工業用などに用いられるポリエステルフィルムおよびその製造方法に関するものである。詳しくは、優れた加熱白化防止性を有するポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れた特性を有しながらコストパフォーマンスに優れるため、各種の工業用途において使用されている。
ポリエステルは、通常、ジカルボン酸成分とグリコール成分とから重縮合反応により製造される線状ポリマーである。しかし公知のポリエステルは、1重量%程度の環状オリゴマーを含有している。このような環状オリゴマーは、ポリエステルフィルムを加熱処理するとフィルム表面に析出し、フィルムが白化するという問題がある。特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの用途が多様化するにつれフィルムの加工条件、使用条件も多様化しており、フィルム表面へのオリゴマー析出は、特に光学用途等の高度に透明性が要求される用途や、精密な表面平坦性が求められるキャスト支持体などに用いられる場合に大きな問題となっている。近年、製品の機能高度化を目的に後加工に施される熱処理温度が高温化する傾向があり、加熱処理によるオリゴマーの析出はより深刻となりつつある。
加熱によるオリゴマーの析出を抑制する方法として、特許文献1にあるように特定の塗布層を付与しポリエステルフィルムの表面改質により、加熱析出オリゴマーを抑制する提案がされている。しかしながら、塗布層でオリゴマー析出を抑制する場合、品質に影響しないようなわずかな傷でも析出抑制機能を欠き、そこに集中的に析出が起こるために却って外観を損ねる場合があり、抜本的な対策となりえない。
そこでポリエステルフィルム中のオリゴマーを低減させるため、固相重合法によりポリエステル原料の環状オリゴマー量を低減することが提案されている(特許文献2〜5)。また、ポリエステル中の環状オリゴマー量を低減する他の方法として、特許文献6には、熱処理時に不活性ガスの流量を1〜500リットル/kg・時間に調整する方法が提案されており、特許文献7には、固相重合時の減圧度を15〜300mmHgに調整する方法が提案されている。更に、特許文献8には、ポリエステル樹脂のヒドロキシル(OH)末端量を所定量以下にすることが提案されている。
特開2005−336394号公報 特開平9−99530号公報 特開2000−141570号公報 特開2003−191413号公報 特開2003−301057号公報 特公昭62−49294号公報 特公昭62−49295号公報 特開2011−252128号公報
しかしながら、特許文献2〜5に提案の方法では、固相重合によりポリエステル中の環状オリゴマー量の低減は図れるものの、同時にポリエステルの重縮合反応も進行し、得られたポリエステルの重合度が高くなる。そのため、ポリエステルの固有粘度が高くなり、押し出し成形を行う際の負荷が大きくなったり、剪断発熱によりポリエステルの温度が上昇し、熱分解を起こしたりする。そのため、高融点物が発生し、得られた成形体等の透明性の悪化や結晶化速度の変動の原因となり問題となる場合があった。
一方、特許文献6、7に提案の方法では、ポリエステルの重縮合反応の進行を抑制しつつ、環状オリゴマー量の低減が図れるものの、その後の溶融時に環状オリゴマーが再生する問題があった。すなわち、フィルム製膜において原料ポリエステルを溶融する必要があり、従来公知の方法によりフィルム原料中の環状オリゴマー量の低減を行なっても、フィルム溶融製膜での熱履歴により副生成物として環状オリゴマーが生成することは避けられなかった。そのため、フィルム原料の環状オリゴマー量をできるだけ低減する努力がなされていたが、生産性の点から係る対応にも限界があった。よって、フィルム製膜時の溶融押出し工程での環状オリゴマーの再生成により、十分な低オリゴマーフィルムを実現するには至っていなかった。
また、ポリエステル樹脂のヒドロキシル(OH)末端量の低下は一方の末端であるカルボキシル(COOH)末端の増加を意味し、溶融成形時の耐熱性や、長期使用における耐久性を損なうため、実用性に乏しいものであった。
本発明は、上記従来の方法の有する問題点を解決し、加熱加工後の透明性に優れ、環状オリゴマーの析出が少ないポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定の樹脂を用いることにより、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるフィルムであって、該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度が0.60dl/g以上であるとともに、フィルム中の環状3量体オリゴマーの重量分率(WCy3)と環状4量体オリゴマーの重量分率(WCy4)の比WCy3/WCy4が5以下であることを特徴とする、ポリエステルフィルムである。
また、本発明は、更に特定の構造を有していることが好ましく、すなわち、フィルムが、共押出法にて得られた少なくとも3層以上の積層フィルムであり、最外層を構成する樹脂の固有粘度が、内層を構成する樹脂の固有粘度よりも高い構成を具備することが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、加熱加工後の透明性に優れ、オリゴマーの析出が少ないため高温での後加工処理が可能であることから、高品位が必要とされる光学用途をはじめとした工業用途において好適に使用できる。
また、ポリエステル樹脂のカルボキシル末端の増加を伴い難いため、溶融成形時の耐熱性や、長期使用における耐久性を有し、実用性に優れる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
[ポリエステルフィルム]
(ポリエチレンテレフタレート樹脂)
本発明におけるポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるフィルムである。
本発明におけるポリエチレンテレフタレート樹脂は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位としてなるポリエステルである。ここで「主たる繰り返し単位」とは、ポリエステルを構成する全繰り返し単位の80モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上の繰り返し単位をいう。すなわち、かかるポリエステルは共重合ポリエステルであってもよい。その場合、共重合成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の酸成分や、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール成分を例示することができる。
本発明におけるポリエチレンテレフタレート樹脂は、ゲルマニウム化合物またはチタン化合物を重合触媒として重合されたポリエステルであることが好ましく、この中でもゲルマニウム化合物を重合触媒として用いることが特に好ましい。ゲルマニウム化合物を重合触媒として用いる場合、ポリエステルは、ゲルマニウム元素を例えば0.1〜100ppm、好ましくは1〜70ppm、さらに好ましくは10〜50ppm含有することができる。ここでゲルマニウム元素は、ポリエステルの重合触媒として用いたゲルマニウム化合物に由来する。かかるゲルマニウム化合物として、例えば二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム等を例示することができる。
このようにして、最終重縮合反応器から得られたポリエチレンテレフタレート樹脂は、通常、溶融押出成形法によって粒状(チップ状)に成形され、次いで固相重縮合工程に供給される。
固相重縮合工程に供給される粒状ポリエチレンテレフタレート樹脂は、予め固相重縮合を行なう場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行なった後、固相重縮合工程に供給してもよい。このような予備結晶化工程は、粒状ポリエチレンテレフタレートを乾燥状態で通常、120〜200℃好ましくは130〜180℃の温度に1分〜4時間加熱して行なうこともでき、また粒状ポリエチレンテレフタレート樹脂を水蒸気雰囲気下、または水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で通常、120〜200℃の温度に1分間以上加熱して行なうこともできる。
このような粒状ポリエチレンテレフタレート樹脂が供給される固相重縮合工程は少なくとも1段からなり、重縮合温度が通常190〜230℃、好ましくは195〜225℃であり、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下で固相重縮合反応が実施される。これらの不活性ガスの中では窒素ガスが好ましい。
本発明においてフィルムを形成するための原料としてのポリエステル樹脂(上記粒状ポリエチレンテレフタレート樹脂)は、上記の重合工程を経た結果として、固有粘度を好ましくは0.65以上、より好ましくは0.70以上、更に好ましくは0.75以上となるようにする。このようにすることで、フィルムの固有粘度を本発明が規定する範囲とし易くなる。
本発明にいうポリエステルフィルムとは、通常上記したポリエステルを押出口金から溶融押し出する、いわゆる押出法により、押し出されたポリエステルフィルムであって、必要に応じ、縦方向および横方向の二軸方向に配向させたフィルムである。縦方向の延伸と横方向の延伸は別に行っても良いが、ロールとの接触機会がより少なく、オリゴマー析出促進の原因ともなる表面の傷を発生させにくいことから、同時二軸延伸法で製造することが好ましい。
フィルムの総厚みは通常25〜200μm、好ましくは38〜188μmである。25μm未満ではフィルムの機械的な強度や耐熱性が不足して、後の加工工程でシワが入るなどの問題が発生することがある。一方、フィルムの厚みが200μmを超えると、フィルムの腰が強すぎて後工程での取り扱い性が不良となることがある。
(フィルムの固有粘度)
本発明のポリエステルフィルムは、それを構成する樹脂の固有粘度(単位:dl/g)が0.60以上である。固有粘度は好ましくは0.62以上、更に好ましくは0.64以上である。オリゴマーの析出を抑制するためには、オリゴマー再生抑制効果およびオリゴマー移動抑制の両方の効果が重要であるが、フィルムを構成する樹脂の固有粘度が0.60未満であると、その両方の効果が損なわれ、加熱加工時の外観不良(白化)が発生する。なお、本発明においては、かかるメカニズムを勘案して、フィルムの固有粘度は、ポリエステルフィルム全体としての固有粘度が上記数値範囲にあることによって上述のような効果が奏されるものである。よって、フィルムが後述する積層フィルムの態様である場合は、積層フィルム全体としての固有粘度が上記数値範囲にあればよい。積層フィルムの態様においては、少なくとも該積層フィルムを構成する表裏1層ずつの最外層を構成するポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度が、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.62以上、さらに好ましくは0.64以上、特に好ましくは0.66以上である態様が好ましい。最も好ましい態様は、2層の最外層を構成するポリエチレンテレフタレート樹脂が上記好ましい範囲を満たすとともに、内層を構成するポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度が、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.62以上、さらに好ましくは0.64以上である態様である。なお、ここで内層が複数層である場合は、内層全体のバルクとしての固有粘度が上記好ましい範囲であればよい。
また、本発明のポリエステルフィルムは、それを構成する樹脂の固有粘度が0.72以下であることが好ましい。これにより押出成形において樹脂にかかる負荷を小さくし、剪断発熱を抑制することができる。それによりかかる発熱による樹脂の熱分解を抑制することができる。かかる観点から、固有粘度は、より好ましくは0.70以下、さらに好ましくは0.68以下である。本発明によれば、このように固有粘度が過剰に高くない樹脂を用いながらオリゴマーの抑制ができる。
(積層フィルム)
本発明のポリエステルフィルムは、好ましくは1層の最外層と他の層とを有する2層や、2層の最外層と内層とを有する3層以上の積層ポリエステルフィルムであることができる。ここで内層は、1層でも良いし、2層以上の複数層であってもよい。かかる積層の態様とするためには、2台以上の押出機を用いて、いわゆる共押出法を用いて積層構造とされたものが好ましい。
層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成、またはさらに積層数の多い上記以外の構成のフィルムとすることができる。ここでは、例えばAやCが最外層であり、Bが他の層や内層である。より具体的には、例えばA原料として粒子を含有しない原料を用いて表面平坦性を設計し、B原料としては粒子を含有する原料を用いてA/Bとすることができる。又、同様の原料を用いてA/B/A構成のフィルムとし、片方のA層表面に易滑層を形成しフィルム製造での表面欠点を抑制することもできる。この場合B層の原料を自由に選択できることからコスト的な利点などが大きい。また当該フィルムのリサイクル原料をB層に配合しても、表層であるA層により表面粗さの設計ができるので、さらにコスト的な利点が大きくなる。
本発明においては、ポリエステルフィルムを積層フィルムとし、その最外層(表層と呼称する場合がある。)を構成する樹脂の固有粘度が、内層(芯層と呼称する場合がある。また、2層構成における他の層を便宜的に内層や芯層と呼称する場合がある。)を構成する樹脂の固有粘度よりも高いことが好ましい。ここで内層を構成する樹脂の固有粘度とは、内層が複数層あるに際しては、内層全体のバルクとしての固有粘度を指す。最外層を形成する樹脂の固有粘度が内層を形成する樹脂の固有粘度よりも低いと、オリゴマー再生抑制効果およびオリゴマー移動抑制の両方の効果が低くなる傾向にある結果、加熱加工後の環状オリゴマーの析出が多くなる傾向にありフィルムが外観を損なう場合がある。
フィルムの最外層の厚み(1層の厚み)は、好ましくは0.5μm以上30μm以下であり、より好ましくは1.0μm以上25μm以下、さらに好ましくは3μm以上20μm以下である。最外層が0.5μm未満では、オリゴマー移動抑制の向上効果が低くなる結果、加熱加工後の環状オリゴマーの析出が多くなる傾向にありフィルムが外観を損なう場合がある。一方、厚みの上限は、フィルムの最外層がオリゴマーの移動を抑制できる厚さであれば良いため30μm以下でよく、20μm以下でも十分な効果を発揮する。
(滑剤)
本発明のポリエステルフィルムには、本発明の効果を妨げない範囲で粒子を添加することができる。フィルムに添加する粒子としては、無機粒子として、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモン等及びそれらのハイブリッド品が挙げられる。これらの中では、二酸化ケイ素が安価でかつ粒子径が多種あるので利用しやすい。
また、有機粒子としては、炭素−炭素二重結合を一分子中に2個以上含有する化合物(例えばジビニルベンゼン)により架橋構造を達成したポリスチレンまたはポリアクリレートポリメタクリレート、有機・無機ハイブリッド品が挙げられる。本発明において、ポリエステルに粒子を配合する場合、方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
(添加剤)
また、本発明のポリエステルフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等を混合することができる。また、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、蛍光増白剤、潤滑剤、遮光剤、マット化剤、および染料、顔料などの着色剤等を配合してもよい。
(オリゴマー分率)
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム中の環状3量体オリゴマーの重量分率(WCy3)(単位:重量%)と環状4量体オリゴマーの重量分率(WCy4)(単位:重量%)の比(重量分率比)WCy3/WCy4が5以下であることが必要である。
この重量分率比が5を超えると、加熱工程での外観悪化(白化)が特に顕著になる。かかる観点から、重量分率比は4以下が好ましく、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは3以下である。環状オリゴマーの重量分率比を上記の範囲とするためには、たとえば特開平3−47830号公報に記載の水処理などを行い重合触媒の活性を十分に低下させるとともに、その樹脂を十分に乾燥した後に適切な熱履歴を与え、それを用いてフィルムを成形することで達成することができる。樹脂への熱履歴の与え方としては、(1)チップを一度溶融し、(例えばストランド状に)押出して再チップ化する方法、(2)チップを溶融押出後、例えば製膜装置等にてフィルム等に成形した後、該成形物を粉砕・再溶融し、(例えばストランド状に)押出して再チップ化する方法などが挙げられる。(2)に記載した方法は特に好ましく、更には熱履歴を与えた樹脂と与えない樹脂と適当な比率で混合して用いることにより効率的に環状オリゴマーの重量分率比を規定の範囲に調整することが出来る。すなわち、適切な熱履歴を経たものは、WCy3/WCy4の比率が小さくなる傾向にあるので、そのような樹脂の含有量を増やすと全体としてWCy3/WCy4の比率が小さくなる傾向を利用すればよい。以下、一例として具体的な方法を例示する。この方法は工程1から工程3までの3つの工程を経てフィルムを製造する方法である。
[工程1]
まず、工程1として、上述した本発明における好ましいポリエステル樹脂を用い、それを溶融押出して樹脂組成物1を製造する。なお、ここでポリエステル樹脂は前述のポリエチレンテレフタレート樹脂である。また、本発明において「溶融押出により」とは、ダイ等から溶融樹脂を放出することを指すものとする。
樹脂組成物1は、例えば繊維状であってもよく、フィルム状であってもよく、その他三次元立体形状であってもよい。なお、本発明においてその他三次元立体形状とは、繊維状ともフィルム状とも言えないものであって、例えば立方体等の多面体や球等の曲面体や、あるいは箱状のもの、フィルム状とは言えないシート状や板状のもの等を含むものである。
樹脂組成物1は、ポリエステル樹脂90〜100質量%を含む。ここで含有量は、得られる樹脂組成物1の質量100質量%に対する含有量である。かかる質量比率範囲とすることによって、続く工程2における熱処理により、含有オリゴマーを低減させることができ、最終的に工程3において環状三量体および環状四量体の重量分率が本発明規定の範囲にある樹脂成形体4を得ることができる。
樹脂組成物1の溶融押出においては、その溶融押出条件は、用いるポリエステル樹脂の融点や、得ようとする樹脂組成物1の形状や特性に応じて適宜定めればよい。なお、ここで得られる樹脂組成物1は、間接的に、最終的に得ようとする樹脂成形体4の原料となるものであり、よって外観等の特性はそれほど重要ではないものであるが、樹脂の劣化という観点からは、劣化物が少なく、また加水分解によるポリマー鎖の切断が少ない方が好ましい。よって、かかる工程における溶融押出温度は高すぎない方が好ましい。また、生産性が低すぎると、間接的にではあるが、樹脂成形体4を製造するための原料が不足することとなるため、ある程度の生産性は必要である。よって、温度条件が低すぎないことが好ましい。また、溶融押出時間も、長すぎると劣化物が増大し、短すぎると未溶融物が増大する傾向等を勘案して、適宜設定すればよい。例えば5〜30分である。
[工程2]
工程1に続いて、工程2として、上記工程1で得られた樹脂組成物1を、上記樹脂組成物1を構成するポリエステルの融点をTmとして、Tm以上、Tm+60℃以下の温度で溶融混練し、溶融押出し、樹脂組成物2を製造する。なお、ここで「溶融混練し」とは、押出機におけるスクリュー部において、樹脂を混練しながら前方に移動させる態様を含むものである。
なお、工程1で得られた樹脂組成物1がペレット状であれば、それをそのまま押出機に投入して、工程2に用いることができる。樹脂組成物1が繊維状、フィルム状、その他三次元立体形状のものである場合は、粉砕等により押出機に投入できる形体としてから、押出機に投入すれば良い。また、粉砕したものを、圧力をかけてペレット状にするいわゆる造粒をして用いることもできる。
樹脂組成物2の溶融混練および溶融押出においては、それらの条件は、上記態様を満足した上で、その他の条件は、用いるポリエステル樹脂の融点や、得ようとする樹脂組成物2の形状や特性に応じて適宜定めればよい。なお、ここで得られる樹脂組成物2は、最終的に得ようとする樹脂成形体4の原料となるものであり、よって外観等の特性はそれほど重要ではないものであるが、樹脂の劣化という観点からは、劣化物が少なく、また加水分解によるポリマー鎖の切断が少ない方が好ましい。かかる観点からは、温度条件は高すぎない方が好ましい。また、生産性が低すぎると、樹脂成形体4を製造するための原料が不足することとなるため、ある程度の生産性は必要である。かかる観点からは、温度条件が低すぎないことが好ましい。また、溶融押出時間も、長すぎると劣化物が増大し、短すぎると未溶融物が増大する傾向等を勘案して、適宜設定すればよい。例えば5〜30分である。
工程2の具体例として、上記工程1で得られた樹脂組成物1としてのフィルム1を、上記フィルム1を構成するポリエステルの融点をTmとして、Tmを超え、Tm+60℃以下の温度範囲にある温度tで溶融混練し、溶融押出し、樹脂組成物2としてのペレット2を製造する工程が挙げられる。
[工程3]
工程2に続いて、工程3として、上記工程2で得られた樹脂組成物2を含む樹脂組成物3を作成し、上記樹脂組成物1を構成するポリエステルの融点をTmとして、Tm以上、Tm+60℃以下の温度で溶融混練し、溶融押出し、樹脂成形体4としてのフィルム4を製造する。
樹脂組成物3における樹脂組成物2の含有量は適宜設定してよい。また、樹脂組成物2が回収再生原料である場合は、樹脂組成物3における樹脂組成物2の含有量はすなわち回収率となり、得られる樹脂成形体4の特性が許す限り多く添加することによって、コストダウンとなり、生産性向上となり好ましい。かかる観点から、樹脂組成物3における樹脂組成物2の含有量は、例えば15質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。上限は100質量%である。なお、ここで含有量は、得られる樹脂組成物3の質量に対する含有量である。
樹脂組成物3は、樹脂組成物2を含有するものであるが、その余の成分は、主たる成分がポリエステル樹脂であり、そして従たる成分として、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、得ようとする樹脂成形体4の構成や特性により適宜選択した成分を含有することができる。ここで、「主たる成分」とは、その余の成分中の通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上であることを表す。かかるポリエステル樹脂や適宜選択される成分として、例えば樹脂組成物1を構成するポリエステル樹脂を挙げることができる。樹脂組成物3を構成するその余の成分としてのポリエステル樹脂と、樹脂組成物1を構成するポリエステル樹脂とは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。ポリエステル樹脂を採用するに際しては、かかるポリエステル樹脂をペレット状にして用いると良い。
なお、工程2で得られた樹脂組成物2がペレット状であれば、それをそのまま押出機に投入して、工程3に用いることができる。樹脂組成物2が繊維状、フィルム状、その他三次元立体形状のものである場合は、粉砕等により押出機に投入できる形体としてから、押出機に投入すれば良い。また、粉砕したものを、圧力をかけてペレット状にするいわゆる造粒をして用いることもできる。
かくして、樹脂成形体4としてのフィルム4を製造することができる。このようにして得られたフィルム4は、上述したWCy3/WCy4の比率範囲を満足するものである。なお、積層フィルムの態様においては、各層においてこのような熱履歴を経た樹脂の含有量を調整して、さらに必要に応じて最外層と内層との厚み比率も調整して、全体としてWCy3/WCy4の比率を本発明が規定する範囲となるように調整することができる。
また本発明においては、WCy3は1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.85重量%以下である。
(表面処理)
本発明のポリエステルフィルムは、ハードコート加工などにおける後加工剤の接着や、表面の滑り性を向上してブロッキング等の問題を抑制しながら取り扱い性を良好とするために、フィルム表面に表面処理層を形成させることが好ましい。易滑層を形成しない場合には、後加工での接着が保持できなかったり、フィルム製造工程における巻き特性が劣ったり、フィルム製造工程でフィルム表面に傷が発生したりする等の問題が発生することがある。表面処理は、目的に応じて片面または両面に施すことが出来る。
本発明において、表面処理層は、接着性成分や易滑成分を配合して構成される。接着性成分としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などが好ましく例示できる。上記の樹脂は、それぞれそれらの誘導体をも含むものとする。ここでいう誘導体とは、他の成分との共重合体、官能基に反応性化合物を反応させた樹脂を指す。また、接着性の耐久性を持たせる目的で、適当な架橋剤を配合することが出来る。架橋剤には特に制限はないが、メラミン系、エポキシ系、オキサゾリン系樹脂が一般に用いられ、その中でも塗布性、耐久接着性の点でオキサゾリン系樹脂が特に好ましい。一方、易滑成分としては無機系粒子や有機系粒子を含有させることが好ましい。無機粒子としては、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモン等及びそれらのハイブリッド品が挙げられる。これらの中では、二酸化ケイ素が安価でかつ粒子径が多種あるので利用しやすい。有機粒子としては、炭素−炭素二重結合を一分子中に2個以上含有する化合物(例えばジビニルベンゼン)により架橋構造を達成したポリスチレンまたはポリアクリレートポリメタクリレート、有機・無機ハイブリッド品が挙げられる。表面処理層中における粒子の配合量は、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。かかる配合量が0.1重量%未満では、耐ブロッキング性や易滑性が不十分となる場合があり、10重量%を超えるとフィルムの透明性を阻害し、オンライ検査で支障となる場合がある。
また、必要に応じて表面処理層は、帯電防止剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
表面処理層の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。クリーンな環境で塗工出来るメリットがあるため、フィルム製造装置内(フィルム延伸前、逐次二軸法で延伸する場合の縦延伸後またはフィルム二軸延伸後)で塗布するのが好ましい。
易滑層の厚みは、最終的な乾燥厚さとして、通常0.01〜0.5μm、好ましくは0.02〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚さが0.01μm未満の場合は、本発明の効果が十分に発揮されない恐れがある。塗布層の厚さが0.5μmを超える場合は、フィルムが相互に固着しやすくなったり、特にフィルムの高強度化のために塗布処理フィルムを再延伸する場合は、工程中のロールに粘着しやすくなったりする傾向がある。上記の固着の問題は、特にフィルムの両面に同一の塗布層を形成する場合に顕著に現れる。
(二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法)
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法に関して一例を挙げて具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
上述した工程1〜3において、工程3の溶融押出した後、樹脂成形体4としてのフィルムの製膜においては、二軸延伸して二軸配向ポリエステルフィルムとすることが好ましい。上記工程1〜3に準じてえられた原料を乾燥後に溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化することが好ましい。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを、好ましくは縦方向(製膜機械軸方向のこと。長手方向またはMDと呼称する場合がある。)に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向(フィルム面内において製膜機械軸方向と垂直な方向のこと。幅方向またはTDと呼称する場合がある。)に90〜160℃で2〜6倍延伸を行うことが好ましい。この際、延伸する前のフィルム、1軸方向(好ましくは縦方向)に延伸した後、2軸方向(好ましくは横方向)に延伸する前のフィルムに、前述の易滑層や塗布層を形成するための塗液を塗布して易滑層や塗布層を形成することもでき、好ましい。
次いで、150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行う。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により上述したような2層または3層以上の積層フィルムとすることもできる。
(フィルム特性)
本発明のポリエステルフィルムは、初期ヘーズが1.00%以下であることが好ましく、より好ましくは0.80%以下、さらに好ましくは0.50%以下、特に好ましくは0.30%以下である。これによって透明性が要求される用途、特には光学用途により好適に用いることができる。
また、フィルムを温度150℃にて240分保持した後のヘーズ(加熱後ヘーズ)と上記初期ヘーズとの差(フィルム加熱時のヘーズ上昇幅、ΔHz)は、2.00%以下であることが好ましく、低いほどオリゴマー析出によるフィルム白化が抑制効果に優れることとなる。ΔHzは、より好ましくは1.00%以下、さらに好ましくは0.50%以下、特に好ましくは0.20%以下、最も好ましくは0.15%以下である。
上記初期ヘーズを満たしながら上記ΔHzを満たすことは、困難であるが、本発明によれば達成することが可能である。
加熱後ヘーズは、好ましくは1.00%以下、より好ましくは0.80%以下、さらに好ましくは0.60%以下、特に好ましくは0.40%以下である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
試料0.6gをオルソクロロフェノール50ml中に加熱溶解した後、一旦冷却させ、遠心分離機により不溶物を取り除き、その溶液をオストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出した。最外層部、または内層部のみの極限粘度の測定については、溶融押出機から共押出する工程で、採取する樹脂のみを製膜と同吐出量で押出を行ってサンプリングしたポリエステルの極限粘度を測定する方法、または、フィルムから最外層のみをナイフなど適当な道具を用いて削り取り、削り取ったサンプル(最外層)および残ったサンプル(内層)を測定に供した。
(2)初期ヘーズ
JIS K7361に準じ、日本電色製ヘーズメーターNDH−2000にて測定した。フィルム面内任意の5か所について測定し、平均値を求めた。
(3)フィルム加熱時のヘーズ上昇幅
150℃に加熱した熱風オーブン中で、フィルムサンプルを240分保持し、加熱後のフィルムのヘーズを上記(2)に記載の方法に準じて測定した。この測定値から(2)で測定した初期ヘーズ値を差し引き、加熱処理に伴うヘーズの上昇幅(ΔHz)を求めた。
(4)環状オリゴマーの重量分率
フィルム0.05gにヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルムの混合溶媒を加え、溶解させ、次いでこの溶液をアセトニトリルに投入し、ポリマー成分を沈殿させる。沈殿物をろ過し、上澄み液を乾固する。該乾固物をアセトニトリル2mlに溶解させて、液体クロマトグラム用サンプル溶液を得た。
株式会社島津製作所製液体クロマトグラムLC20Aを用い、野村化学株式会社製Develosil ODS−MG3をカラムとして使用し、展開液として水−アセトニトリル混合溶液を用いて波長254nmのUV光によりクロマトグラムを得、環状オリゴマーはテレフタル酸ジメチルで作製した検量線を代用して定量した。
(5)耐久性評価
フィルムの縦方向に100mm長、横方向に10mm幅に切り出した短冊状の試料片を用い、温度121℃、湿度100%RHに設定した環境試験機内に放置し、10、20、30、40時間の4条件でエージングを行ったサンプルを5枚ずつ作成し、それぞれの条件について試料の縦方向の破断伸度をn=5で測定し、その平均値を求めた。引張試験は東洋ボールドウィン社製(商品名「テンシロン」)を用いて行い、初期チャック間距離50mm、引張速度50mm/minにて実施した。同様に、環境試験機内に放置する前の試料片について破断伸度を5点測定し、それらの平均値より初期破断伸度の平均値を求めた。各エージング条件の5点の平均値を、初期破断伸度の平均値で割った値を破断伸度保持率[%]とした。得られた値をもとに破断伸度劣化曲線を作成し、下記基準にて耐久性を評価した。
◎:破断伸度保持率半減時間が40時間以上
○:破断伸度保持率半減時間が30時間以上40時間未満
×:破断伸度保持率半減時間が30時間未満
以下の実施例および比較例で用いたポリエステルの製造方法は次のとおりである。
<ポリエステルの製造>
[エステル(A)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてマンガン0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.65dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(A)としてのポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。得られたポリエステル(A)の固有粘度は0.68dl/gであった。
[ポリエステル(B)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酸化ゲルマニウム0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.68dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(B)としてのポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。得られたポリエステル(B)の固有粘度は0.50dl/gであった。
[ポリエステル(C)の製造方法]
ポリエステル(B)の製造後に、ポリエステル(B)中に含有されるオリゴマーを低減させるために、固相重合にて固有粘度を向上させた。固相重合後のポリエステル樹脂を水蒸気含有窒素ガス雰囲気下で150℃の温度に3分間以上加熱し、ポリエステル(C)を得た。得られたポリエステル(C)の固有粘度は0.75dl/gであった。
[ポリエステル(D)の製造方法]
ポリエステルCを使用し、樹脂温290℃で溶融押出しポリエステルシートを得た。次にこのシートを粉砕し、金属製の容器内で150℃の熱風を吹き込みながら4時間熱処理をした後に温度280〜310℃にて再溶融、ストランド状に押出してチップ化し、ポリエステル(D)を得た。得られたポリエステル(D)の固有粘度は0.65dl/gであった。
[ポリエステル(E)の製造方法]
ポリエステルAを使用し、樹脂温290℃で溶融押出しポリエステルシートを得た。次にこのシートを粉砕し、金属製の容器内で150℃の熱風を吹き込みながら4時間熱処理をした後に温度280〜310℃にて再溶融、ストランド状に押出してチップ化し、ポリエステル(E)を得た。得られたポリエステル(E)の固有粘度は0.62dl/gであった。
[実施例1]
A層の原料として上記ポリエステル(C)と(D)を80:20(重量比、以下同様)の割合で混合したポリエステル原料、および、B層の原料として上記ポリエステル(C)と(D)を50:50の割合で混合したポリエステル原料を、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、A層を最外層(表層)、B層を内層(芯層)として、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種3層(A/B/A)の層構成で共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、同時2軸延伸機を用いて、延伸温度100℃にて縦方向に3.2倍、横方向に3.6倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、縦方向に1%、横方向に2%弛緩し、厚さ100μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、15/70/15μmであった。
[実施例2]
A層の原料として上記ポリエステル(D)を用い、B層の原料として上記ポリエステル(C)と(D)を30:70の割合で混合したポリエステル原料を用い、それぞれの溶融押出温度を290℃とする以外は実施例1と同様に積層ポリエステルフィルムを得た。
[実施例3]
A層の原料として上記ポリエステル(C)と(D)を90:10の割合で混合したポリエステル原料、および、B層の原料として上記ポリエステル(C)と(D)を60:40の割合で混合したポリエステル原料を用い、それぞれの溶融押出温度を280℃とする以外は実施例1と同様に積層ポリエステルフィルムを得た。
[比較例1]
A層の原料として上記ポリエステル(A)を用い、B層の原料として上記ポリエステル(A)と(E)を60:40の割合で混合したポリエステル原料を用い、それぞれの溶融押出温度を280℃とする以外は実施例1と同様に積層ポリエステルフィルムを得た。
[比較例2]
A層の原料として上記ポリエステル(C)と(D)を50:50の割合で混合したポリエステル原料、および、B層の原料として上記ポリエステル(C)と(D)を20:80の割合で混合したポリエステル原料を用い、それぞれの溶融押出温度を305℃とする以外は実施例1と同様に積層ポリエステルフィルムを得た。
[比較例3]
上記ポリエステル(A)と(E)を60:40の割合で混合したポリエステル原料を用いて、押出機で285℃にて単層で溶融押出し、40℃に冷却したキャスティングドラム上で冷却固化させて無配向シートを得た。以降は実施例1と同様にして厚さ100μmのポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。表1にある通り、本発明のポリエステルフィルムは、加熱後の透明性に優れたものであった。
Figure 2015030828
本発明のポリエステルフィルムは、加熱加工後の透明性に優れ、オリゴマーの析出が少ないため高温での後加工処理が可能であり、実用的な耐熱性、耐久性を有することから、高品位が必要とされるディスプレイ部材用途や、ディスプレイ周辺部材を製造する際のキャスト用フィルムなどの光学用途をはじめ、各種の工業用途において好適に使用できる。

Claims (2)

  1. ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるフィルムであって、該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度が0.60dl/g以上であるとともに、フィルム中の環状3量体オリゴマーの重量分率(WCy3)と環状4量体オリゴマーの重量分率(WCy4)の比WCy3/WCy4が5以下であることを特徴とする、ポリエステルフィルム。
  2. フィルムが、共押出法にて得られた少なくとも3層以上の積層フィルムであり、最外層を構成する樹脂の固有粘度が、内層を構成する樹脂の固有粘度よりも高いことを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
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