JP4183949B2 - 二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の窓・建築物の窓等のガラスに貼り合わせをして使用される窓貼り用フィルムに好適な二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の窓や建築物の窓等に、プライバシーの保護、意匠性、日照調整、ガラス飛散防止等の目的で貼り合わされるフィルムには、透明性、耐光性、耐水性、耐熱性、耐薬品性、機械的強度に優れているポリエステルフィルムが良く用いられる。
我々は既に登録特許第2699397号において、3層以上の積層ポリエステルフィルムの内層に染料を含有させた複合フィルムを、窓貼り用ポリエステルフィルムとして用いることを提案している。
ところでこれらのフィルムは、色材を内部に含有させて着色してあるため、そのリサイクル使用に関しては、通常の無色透明のポリエステルフィルムとは区別して実施する必要がある。また昨今、廃棄物を減らす、あるいは廃棄物を出さないことが社会的に求められている。
一方、ポリエステルフィルムの中に色材を添加してポリエステルと共に溶融押出して着色したフィルムの場合、色材もポリエステルの成形温度に一定時間曝されることになるが、この時に色材によっては熱分解により色調が変わるあるいは退色する等の劣化が問題となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決課題は、着色されていてかつ透明性の優れるフィルムを製造するに当たり、製膜時に発生する製品とならないフィルムを効率良くリサイクル使用し、フィルムの色調が変化することが少ない二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記実情に鑑み、特定の積層構成を有する着色フィルムを効率よく製造する方法を知見し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明の要旨は、共押出によって少なくとも3層のポリエステルが積層されたフィルムであって、その中間層に実質的にポリエステルに溶解する染料を含有する二軸配向ポリエステルフィルムを製造するに当たり、フレーク化したスクラップをベント付き二軸押出機に直接投入して中間層原料として使用することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において対象とする二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも3層以上のポリエステル層が積層されたフィルムであり、全ての層が押出口金から共に溶融押し出しされる、いわゆる共押出法により押し出されたフィルムである。また、フィルムは未延伸の状態や一軸延伸フィルムではなくて、縦方向および横方向の二軸方向に延伸して配向させ、その後に熱固定を施したフィルムであることが必要である。このような積層フィルムは、両面に表層を有し、その間には中間層を有するが、この中間層自体が積層構造となっていてもよい。
【0007】
ポリエステルフィルが単層構成である場合には、添加した染料がフィルム表面に湧き出す現象(ブリードアウト)、およびそれが昇華する現象が発生しやすく、これによってフィルム製膜機が汚染されるため、生産自体ができない場合が多く、仮に作成できたとしても、その表層にはブリードアウトによるフィルム内部からの湧出物が存在して、それによって後加工に悪影響を及ぼすことが多いため、好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムは、積層された各層に用いるポリエステルが、例えば、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものである。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。これらの中でもPETは物性とコストのバランスが良好であり、最も良く用いられるポリエステルである。
【0008】
本発明で用いるポリエステルは、合計で通常10モル%以内、好ましくは5モル%以内であれば第三成分を含有した共重合体であってもよい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
【0009】
本発明により製造できる二軸配向ポリエステルフィルムは、その積層構造の中間層に、可視光領域(380〜780nm)に吸収を持つ染料を0.01〜10.0重量%の範囲で添加して着色することが好ましい。この結果、フィルム全体の可視光線透過率が3〜75%、さらには5〜50%の範囲にあることが好ましい。
このために用いる染料は、ポリエステルに実質的に溶解することが必要である。ここで言う実質的に溶解するとは、ポリエステルの溶融状態で混練りしたときに、凝集体などが残らずに均一に混ざることを意味し、これによって後述するフィルムヘーズが通常6.0%以下、好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下となることを指す。
【0010】
また、用いる染料は、ポリエステルの成型温度で分解が少ないものが好ましい。このような染料は化学構造的にはアントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系、アゾメチン系、複素環系染料等が好ましく挙げられ、染色処方的には油溶性染料が好適である。また一般に顔料として分類されているものであっても、上記のように溶融ポリエステル中で溶解するものであれば、本発明では染料として用いることができる。この例としては、フタロシアニン系などの銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、クロムなどの金属イオンとの錯塩染料などを挙げることができる。これらの染料は、たとえばグレー調やブラウン調にフィルムを調色するために、適宜選択して数種混合して使用することもできる。ただしこの場合でも、これら染料の合計がポリエステルフィルム中間層に、通常0.01〜10重量%、さらには0.1〜5.0重量%の範囲となるように添加されていることが好ましい。またこれらの染料は中間層押出機に粉体のまま添加することも可能であるが、予め高濃度(たとえば5.0〜20重量%)のマスターバッチとしてポリエステルに添加し、これを実質的に無色透明なポリエステルで希釈する形で使用することが、銘柄切り替えのしやすさの点で好ましい。
【0011】
さらに本発明で製造するポリエステルフィルムは、表面の滑り性を確保するために、その積層構成の両表層面に微細な突起を形成させ得るに十分な粒子径と添加量の微粒子を含有させることができる。この目的で使用できる微粒子は、たとえば、平均粒径が0.02〜3.0μmの酸化ケイ素、炭酸カルシウム、カオリン、架橋有機高分子微粉体などの一種または二種以上を挙げることができ、添加量は0.001〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%から適宜選択することができる。ただし、フィルムをリサイクル使用したときに、フィルムヘーズを上昇させることが少なく、かつ必要最小限の滑り性を確保することができるものを選択することが好ましい。また両表層面の平均表面粗さRaは、0.005〜0.050μmの範囲内にあることが好ましい。
【0012】
また表層と中間層の積層厚み構成に関しては、フィルム全体の濁り(フィルムヘーズ)を抑えるために、微粒子の添加された表層はできるだけ薄いことが好ましい。一方で、中間層に存在する染料がフィルム表面にブリードアウトするのを防止するためには、表層はむしろ厚い方が好ましい。これらを勘案して、フィルム全体の厚みに関わらず、表層厚みは通常片側0.5〜3.0μmの範囲が好適である。
上述のように、本発明で製造する二軸配向ポリエステルフィルムは、中間層に染料を含有し、両表層に粒子を通常含有しているが、この時フィルム全体のヘーズ(濁度)が6.0%以下、さらには4.0%以下、特に3.0%以下であることが好ましい。フィルムヘーズが6.0%を超える場合には、フィルムに濁りがあることが目立ち、窓貼り用フィルムとしてガラスに貼り付けた場合に、透明性が損なわれる。
【0013】
ところで通常二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際には、押出機で溶融押出しした未延フィルムを、縦方向に延伸し、さらに横方向へ延伸する方法が一般的に良く用いられる方法である。この工程をもう少し説明すると、縦延伸には加熱して周速差を付けた複数のロール群を通すことにより、フィルムを延伸する。これに続く横延伸では、フィルムの長手方向の端部をクリップで把持して、テンターオーブン内で加熱しながらフィルムの幅方向に延伸を行う方法が一般的に良く用いられる。これらの延伸工程のうち、横延伸の際にクリップで把持した端部は延伸されることがないため、両端部を切断して所定の横延伸がなされた部分のみが製品フィルムとして扱われ、切断された端部はスクラップとなる。また、何らかの原因で縦延伸時あるいは横延伸時等にフィルムが破れてしまい、所定の長さの製品が採取できないことも珍しくない。この場合にも、途中まで巻き取ったフィルムは短尺品として利用されない限り、やはり同様にスクラップとなる。
【0014】
上記スクラップは一般的な無色透明なポリエステル、あるいは熱的に安定な無機あるいは有機の微粒子が添加されている程度であれば、再度溶融押出しを行い再ペレット化した後、通常のバージンペレットと一緒に再利用されることになる。
しかしながら、本発明の対象とする二軸配向ポリエステルフィルムは、3層構成の中間層に主として有機化合物で構成されている染料が添加されているため、上記と同様の方法でスクラップを溶融押出しして再ペレット化し、これを再度リサイクル原料として利用することは、その染料の熱安定性やリサイクル原料の添加量によっても異なるが、多くの場合リサイクル品を添加したものと添加しないもので、最終的に得られた着色フィルムの色調が微妙に異なることが多い。
【0015】
したがって、本発明においては、二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際に、上記のスクラップを機械的に粉砕してフレークとした後、溶融押出しを行って再ペレット化することなしに、製膜時に用いる中間層用押出機にフレークのまま直接投入する必要がある。こうすることにより、再ペレット化のための溶融押出しによる染料への熱的ダメージを軽減することが可能となる。
またこの際には、中間層用押出機に投入するフレーク量は、1〜60重量%、さらには5〜40%とすることにより、着色フィルムの色調変化を少なくすることができる。
【0016】
上記の中間層用押出機は、ベント付き二軸押出機であり、具体的には、真空ベントが設置されている二軸押出機、さらには真空ベントが2基以上設置されている二軸押出機であることが好ましい。真空ベントがない場合にはポリエステルのIV(固有粘度)低下防止のため、フレークを別途乾燥する必要が生じるが、フレークの乾燥は装置的に大がかりになることが多く、また生産銘柄を切り替える毎に十分な清掃が必要となる等、実際的ではない。また二軸押出機ではなく、たとえば一軸押出機ではスムースにフレークを押出機にフィードさせることが難しくなる。なお、二軸押出機の軸の回転は同方向でも異方向でも良い。
【0017】
さらに本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際には、リサイクル使用するフィルム中に含まれる染料の配合組成比と、これを中間層に添加して作成した二軸配向ポリエステルフィルム中に含まれる染料の、種類と配合組成比が同じであることが好ましい。リサイクル使用するフィルムに含まれる染料の種類やその配合組成比が異なれば、これを配合して製膜したフィルムの色調も異なるようになる。ただし染料の種類・配合組成比が同じであれば、染料の添加濃度を変更して同じ色調で濃色あるいは淡色のフィルムを作成することは可能である。
【0018】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際には、フィルム全体のスクラップが中間層に添加されるため、3層構造のフィルム中の表層粒子も中間層へ添加されることとなる。この時、リサイクルフィルムを含有するフィルム全体のヘーズが6.0%以下、さらには4.0%以下、特に3.0%以下であることが好ましい。フィルムヘーズが6.0%を超える場合には、前述したようにフィルムに濁りがあることが目立ち、窓ガラスに貼り付けた場合に透明性が損なわれることがある。
次に本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法について具体的に説明するが、本発明のフィルムは以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0019】
まず、バージンのポリエステル原料だけを使用して、製膜運転が安定した後に横延伸時にクリップで把持していた部分や製膜中の破断等で所定長さに満たないスクラップを、乾式粉砕機を用いてフレークとして、専用タンクに貯める。このフレークがある程度の量となったところで、フレークを中間層用押出機に添加してバージン原料はその分を調整して添加する。具体的には、同じ色調で同じ光線透過率のフィルムを作成する際には、フレーク中の表層に相当する染料が不足するため、染料マスターバッチを必要量追添加する。また、同じ色調で異なる光線透過率のフィルムを作成する際には、それに応じて染料マスターバッチと希釈原料の配合量を調節して添加する。
【0020】
押出機は中間層用と表層用の最低2台は必要であり、複数層のマルチマニホールドダイまたはフィ−ドブロックを用い、それぞれのポリエステルを積層して口金から複数層の溶融シートを押出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法を採用することが好ましい。
次いで、得られた未延伸フィルムは二軸方向に延伸して二軸配向させる。すなわち、前記の未延伸シートを縦方向にロール延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は、通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、横方向に延伸を行う。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜115℃であり、延伸倍率は、通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸延伸フィルムを得る。
【0021】
上記の延伸においては、1回の延伸操作で所定倍率まで延伸する方法のほか、延伸を2段階以上に振り分けて所定の延伸倍率とする方法を用いることもできる。その場合にも、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。また、前記の未延伸シートを面積倍率が10〜40倍になるように縦横同時二軸延伸を行うことも可能である。さらに、必要に応じて熱処理を行う前または後に再度縦および/または横方向に延伸してもよい。
上記のフィルムの表面には必要に応じてコーティングを施すことができる。たとえば、接着性向上、帯電防止性付与することなどを目的として、上記のフィルムの製造方法において、縦延伸が終了した段階で主として水を媒体とする公知の塗布液を塗布した後、テンター内で乾燥・予熱・横延伸を行い、さらに熱固定を行ういわゆるインライコーティングと呼ばれる一連のプロセスを用いることができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。
また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
【0023】
(1)可視光線透過率
分光式測色計SE−2000(日本電色(株)製)を用いてD65光源で各波長の光線透過率を測定し、JIS S 3107に従って可視光線透過率を算出した。
【0024】
(2)フィルムの濁度(フィルムヘーズ)
JIS K 7136(ISO 14782)に従って、濁度計NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いてフィルムの濁度(ヘーズ)を測定した。
【0025】
(3)フィルムの表面粗さ(Ra)
中心線平均粗さRa(μm)を持って表面粗さとする。小坂研究所社(株)製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のように求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5cm)の部分を切り取り、この切り取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸として粗さ曲線Y=f(X)で表したとき、次の式で与えられた値をμm単位で表す。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫L 0|f(X)|dX
【0026】
(4)フィルムの変色の評価(色調変化ΔE*ab)
フィルムの変色の評価は、色調(L*、a*、b*)を測定して比較して行った。色調の測定には、(1)で使用した分光式測色計SE−2000を使用した。また色調の変化は、次式を用いて色差ΔE*abを求めた。
ΔE*ab=((ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2
【0027】
以下の実施例および比較例で用いたポリエステル原料の製造方法は次のとおりである。
<ポリエステルA>
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgとし、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、実質的に微粒子を含まないポリエステルAを得た。このポリエステルの固有粘度は0.70であった。
【0028】
<ポリエステルB>
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、平均粒径1.5μmのシリカ粒子を2.0部含有するエチレングリコールスラリーを反応系に添加し、さらにエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgとし、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻しポリエステルBを得た。得られたポリエステルBのシリカ粒子含有量は1.0重量%であった。またこのポリエステルの固有粘度は0.70であった。
【0029】
<ポリエステルC>
ポリエステルAをベント付き二軸押出機に供して、三菱化学(株)製ダイアレジンレッドHS 3.5重量%、同ブルーH3G 5.0重量%、および同イエローF 1.5重量%の各濃度となるように混合して添加し、溶融混練りを行ってチップ化を行い、染料マスターバッチ ポリエステルCを作成した。
【0030】
<ポリエステルD>
ポリエステルAをベント付き二軸押出機に供して、三菱化学(株)製ダイアレジンレッドHS 2.5重量%、同ブルーH3G 6.0重量%、および同イエローF 1.5重量%の各濃度となるように混合して添加し、溶融混練りを行ってチップ化を行い、染料マスターバッチ ポリエステルDを作成した。
【0031】
実施例1〜3
ポリエステルA、Cの各チップを80:20の割合で、中間層用レジンとして中間層用押出機に投入した。これとは別に、ポリエステルA、Bの各チップを90:10の割合で表層用レジンとして表層用押出機に投入した。それぞれの押出機はいずれも2つの真空ベントを有する同方向二軸押出機であり、レジンは乾燥すること無しに290℃の溶融温度で押出しを行い、その後溶融ポリマーをフィードブロック内で合流して積層した。その後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して3層構成の積層未延伸シートを得た。得られたシートを85℃で3.5倍縦方向に延伸した。次いで、フィルムをテンターに導き105℃で3.7倍横方向に延伸した後、230℃にて熱固定を行い、さらに幅方向に200℃で5%弛緩処理を行って、二軸配向フィルムを作成した。このフィルムの各層の厚みは2/21/2μmの構成で、総厚みは25μmであった。
このフィルムのL*値は35.0(可視光線透過率は約8%)であり、フィルムヘーズは2.2%、表面粗さRaは両面共0.020μmであった。
【0032】
このフィルムの製膜時に発生した製品とならない両端部を、乾式粉砕機を用いてフレーク状としてフレークタンクに貯めた。ある程度フレークが貯まったところで、この再生フレークを加熱乾燥せずにそのまま中間層に添加した。添加した再生フレーク量は、中間層用原料全体の5%(実施例1)、20%(実施例2)、50%(実施例3)として添加し、さらにフィルムのL*値は全て35.0(可視光線透過率は約8%)となるように各々微調整しながら、ポリエステルA、Cを添加した。その後は上記の製膜と全く同様に行って、総厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
これらのフィルムと、再生フレークを添加する前に製膜したフィルムの光学特性を比較した結果を下記表1に示すが、再生原料を中間層に50%添加しても、色調の変化が少なく良好であった。
【0033】
比較例1〜3
実施例1と全く同様に、中間層用レジンとしてポリエステルA、Cの各チップを80:20の割合で中間層用押出機に投入し、ポリエステルA、Bの各チップを90:10の割合で表層用レジンとして表層用押出機に投入した。この後実施例1と全く同様に製膜を行って、二軸配向フィルムを作成した。このフィルムの各層の厚みは2/21/2μmの構成で、総厚みは25μmであった。
このフィルムの製膜時に発生した製品とならない両端部を、乾式粉砕機を用いてフレーク状としてフレークタンクに貯めた。このフレークをそのままベント付き二軸押出機に投入して溶融押出しを行い、ペレット化して再生レジンを作成した。この再生レジンを加熱乾燥せずにそのまま製膜の中間層用二軸に添加した。添加した再生レジン量は、中間層用原料全体の5%(比較例1)、20%(比較例2)、50%(比較例3)として添加し、さらにフィルムのL*値が全て35.0(可視光線透過率は約8%)となるように各々微調整しながら、ポリエステルA、Cを添加した。その後は実施例1〜3の製膜と全く同様に行って、総厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
これらのフィルムと、再生レジンを添加する前に製膜したフィルムの光学特性を比較した結果を表1に示すが、実施例と比べて同量の再生原料を添加した際の色調変化が大きい結果となった。
【0034】
比較例4
実施例1において、中間層用原料としてポリエステルA、Dの各チップを80:20の割合で使用し、ポリエステルA、Bの各チップを90:10の割合で表層用レジンとして使用して、実施例1と同様に製膜を行った。この時に発生した製品にならないフィルムの端部をフレークとしたものを予め用意した。このフレークを実施例1と同様に中間層原料として5%添加し、残りの95%は実施例1と同様にポリエステルA,Cを用いた。この時ポリエステルA、Cの混合割合を80:20から微調整して、最終的にフィルムのL*値が35.0(可視光線透過率は約8%)となるようにして、その他は実施例1と全く同様に製膜を行い、フィルムの、総厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
このフィルムと、実施例1で再生フレークを添加する前に製膜したフィルムの光学特性を比較した結果を表1に示すが、中間層に添加する再生原料に含まれる染料の組成比と、これを添加して作成したフィルム中に含まれる染料の組成比が異なるため、色調の違いが大きいものとなった。
【0035】
【表1】
Figure 0004183949
【0036】
【発明の効果】
上述した本発明によれば、着色されていてかつ透明性の優れるフィルムを製造するに当たり、製膜時に発生する製品とならないフィルムを効率良くリサイクル使用し、フィルムの色調が変化することが少ない二軸配向ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。

Claims (3)

  1. 共押出によって少なくとも3層のポリエステルが積層されたフィルムであって、その中間層に実質的にポリエステルに溶解する染料を含有する二軸配向ポリエステルフィルムを製造するに当たり、フレーク化したスクラップをベント付き二軸押出機に直接投入して中間層原料として使用することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
  2. フレーク化したスクラップ中に含まれる染料が、中間層に含有する染料と同一であることを特徴とする請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
  3. フレーク化したスクラップを、中間層を構成する原料の1〜60重量%の範囲内で使用することを特徴とする請求項2記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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