JP2016210098A - 窓貼り用積層二軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 フィルム製造工程におけるフィルム表面への色剤の析出が抑制された、遮光性を有する窓貼りフィルムであり、無着色ポリエステルフィルムの製造工程等で発生する他再生原料を含むにも関わらず、フィルムの粘度や色目などが良好な上記用途のフィルムとして優れたものであり、フィルム製膜性の問題もなく、経済的合理性にも適うフィルムを提供する。
【解決手段】 色剤を含有するポリエステル層(B層)の両面に、色剤を配合しない、厚さ3〜21μmのポリエステル層(A層)がそれぞれ積層されたフィルムであり、A層厚さ(両層の厚みが異なる場合は薄い方の厚さ)とB層厚さとの比(A/B)が0.03〜0.3であり、100℃におけるフィルムの貯蔵弾性率E’が1700〜3000MPaであることを特徴とする窓貼り用積層二軸延伸ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】 色剤を含有するポリエステル層(B層)の両面に、色剤を配合しない、厚さ3〜21μmのポリエステル層(A層)がそれぞれ積層されたフィルムであり、A層厚さ(両層の厚みが異なる場合は薄い方の厚さ)とB層厚さとの比(A/B)が0.03〜0.3であり、100℃におけるフィルムの貯蔵弾性率E’が1700〜3000MPaであることを特徴とする窓貼り用積層二軸延伸ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明は、自動車の窓、建築物の窓等のガラスに貼り合わせをして使用される、色剤入り中間層を有する窓貼り用二軸配向積層ポリエステルフィルムに関するものである。
従来、自動車の窓や建築物の窓等に、プライバシーの保護、意匠性、日照調整、ガラス飛散防止等の目的で貼り合わされるフィルムには、透明性、耐光性、耐水性、耐熱性、耐薬品性、機械的強度に優れているポリエステルフィルムがよく用いられる。またこれらポリエステルフィルムは一般的に色剤を含み透明感のある着色フィルムである。
特許文献1および2によれば、色剤が表面に析出することを防ぐために、内層に色剤を含む少なくとも3層からなる積層フィルムが提案されている。
しかしながら、フィルム生産ラインで熱処理後にフィルムと接触するロールに色剤が付着して、ロール拭きを要する頻度が上がり、フィルム生産性に悪影響を与えることがある。また、色剤付着物によりフィルム表面に押跡を生じ、フィルム外観品質に悪影響を与える問題があり、析出を抑制できるフィルムが望まれている。
ところで、近年プライバシーの保護、意匠性、日照調整、ガラス飛散防止等の目的で世界的に広がりを見せている窓貼り用フィルムは、低価格化が進行しており、それに用いる部材に関しても同様の傾向にある。
一方、昨今は、CO2排出による温暖化等の地球環境に関する関心の高まりや、石油資源の枯渇に対する危惧から、特に合成樹脂分野では、素材をリサイクル利用することが進められている。したがって、例えばフィルム生産時に発生するスクラップをリサイクル利用することは、CO2排出削減、石油資源の効率利用に寄与するとともに、経済的合理性にも適うものである。
一方、昨今は、CO2排出による温暖化等の地球環境に関する関心の高まりや、石油資源の枯渇に対する危惧から、特に合成樹脂分野では、素材をリサイクル利用することが進められている。したがって、例えばフィルム生産時に発生するスクラップをリサイクル利用することは、CO2排出削減、石油資源の効率利用に寄与するとともに、経済的合理性にも適うものである。
ポリエステルフィルムを生産する場合には、例えば、所定幅にスリットする際に副生する製品とはならない部分や、所定長に達する前に破断したフィルムロールなどの製品とはならないスクラップが必ず発生する。これらのスクラップを原料として再利用することができれば、前述のように、製造コストを下げるとともに、CO2排出削減、石油資源の効率利用に寄与できる。
しかしながら、多くの場合、ポリエステルフィルムの他再生原料をリサイクル使用すると、融点の降下によりフィルムの粘度が低下し、フィルムの製膜性が低下する問題や、フィルム耐候性への悪影響が懸念されている。
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、フィルム製造工程におけるフィルム表面への色剤の析出が抑制された、遮光性を有する窓貼りフィルムであり、無着色ポリエステルフィルムの製造工程等で発生する他再生原料を含むにも関わらず、フィルムの粘度や色目などが良好な上記用途のフィルムとして優れたものであり、フィルム製膜性の問題もなく、経済的合理性にも適うフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に関して鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、色剤を含有するポリエステル層(B層)の両面に、色剤を配合しない、厚さ3〜21μmのポリエステル層(A層)がそれぞれ積層されたフィルムであり、A層厚さ(両層の厚みが異なる場合は薄い方の厚さ)とB層厚さとの比(A/B)が0.03〜0.3であり、100℃におけるフィルムの貯蔵弾性率E’が1700〜3000MPaであることを特徴とする窓貼り用積層二軸延伸ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、フィルム製造工程におけるフィルム表面への色剤の析出が抑制された、遮光性を有する窓貼りフィルムであり、無着色ポリエステルフィルムの製造工程等で発生する他再生原料を含むにも関わらず、フィルムの粘度や色目などが良好な上記用途のフィルムとして優れたものであり、フィルム製膜性の問題もなく、経済的合理性にも適うフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、積層された各層に用いるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グルコースとを重縮合させて得られるものである。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グルコースとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンカルボキシレート(PEN)等が例示される。これらの中でもPETは物性とコストのバランスが良好であり、最も良く用いられるポリエステルである。
また、本発明で用いるポリエステルは、合計で10モル%以内、好ましくは5モル%以内であれば第三成分を含有した共重合体であってもよい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、少なくとも3層以上のポリエステルフィルム層が積層されたフィルムであることが必要であり、さらに詳しくは、全ての層が押出口金から共に溶融押し出しされる、いわゆる共押出法により押し出しされたフィルムである。また、フィルムは未延伸の状態や一軸延伸フィルムではなくて、縦方向および横方向の二軸方向に延伸して配向させ、その後に熱固定を施したフィルムであることが必要である。このような積層フィルムは、両面に共押出表層を有し、その間には共押出中間層を有するが、この共押出中間層自体が積層構造となっていてもよい。
ポリエステルフィルムが単層構造である場合には、添加した色剤が多様化するフィルム熱加工や高温下での使用条件で、フィルム表面に内部から浸出してくる現象(ブリードアウト)、およびそれが昇華する現象が発生しやすく、これによってフィルム製膜機が汚染されるため、好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムは、表層面の滑り性を確保するために、その両側の共押出表層面に微細な突起を形成させ得るに十分な粒子径と添加量の微粒子を含有させることができる。この目的で使用できる微細な不活性粒子としては、特開平7−209502号公報に記載されているような酸化ケイ素、酸化チタン、ゼオライド、窒化ケイ素、窒化ホウ素、セライト、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、カオリン、タルク、カーボンブラック、および特公昭59−5216号公報に記載されているような架橋高分子微粉体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
なお、本発明においては、配合する不活性粒子は単成分でもよく、また2成分以上を同時に用いてもよい。また、本発明においてポリエステルに不活性粒子および色剤を含有させる方法は、特に限定されるものではないが、重合工程に添加する方法、押出機を用いて粒子および色剤を練込みマスターバッチとする方法等が採用される。
これらの滑剤粒子を用い、フィルム表面性状を実現するため、フィルムの積層構成およびその外層に添加する粒子種の選定や、適正な平均粒子径とその含有量を組み合わせて二軸延伸フィルムの表面設計を確立することが望まれる。
最外層に使用する不活性粒子の平均粒子径は、通常0.5〜4.0μm、さらには0.8〜3.5μmのものが好ましい。平均粒子径が0.5μm未満の粒子では、作業性が劣る傾向がある。また平均粒径が4.0μmを超える粒子では、フィルム表面の平面性や透明性が損なわれることがある。また、平均粒子径が最外層の厚さAよりも小さいことが好ましい。
さらに不活性粒子の添加量は、通常0.005〜10.0重量%、好ましくは0.01〜5.0重量%である。不活性粒子の添加量が0.005重量%未満では、フィルムの巻き特性が劣る傾向がある。また、不活性粒子の添加量が10.0重量%を超えると、フィルムの表面の粗面化の度合いが大きくなりすぎ、フィルムの可視光線透過率が減少する傾向がある。
本発明のフィルムの最外層厚さは、それぞれ3〜21μmであり、好ましくは5〜16μm、さらに好ましくは8〜12μmである。いずれかの最外層厚さが3μm未満では、製膜工程中の熱固定処理時に中間層の色剤の浸出を十分に防ぐことができなくなるので好ましくない。また、いずれかの最外層厚さが21μmを超えたとしても、色剤の析出防止効果は飽和しており、むしろ、最外層に通常処方する滑材の処方量が増加してフィルムヘーズが高くなり、透明性が損なわれるため好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムは、A層厚さ(両層の厚みが異なる場合は薄い方の厚さ)とB層厚さとの比(A/B)が0.03〜0.3であり、好ましくは0.04〜0.2である。この厚さ比が0.03未満では、色材中間層の色剤の浸出を十分に防ぐことができない可能性があり、また、この厚さ比が0.3より大きいと中間層の色剤の添加量が不足となり、十分な遮蔽性が出ない可能性があるとともに、最外層に通常処方する滑材の処方量が増加してフィルムヘーズが高くなり、透明性が損なわれる可能性が高い。
本発明における中間層厚に含有する色剤は、ポリエステル、共重合ポリエステル、もしくはポリブチレンテレフタレートに実質的に溶解することが好ましい。ここで言う実質的に溶解するとは、ポリエステル、共重合ポリエステル、もしくはポリブチレンテレフタレートの溶融状態で混練りしたときに、凝集体などが残らずに均一に混ざることを意味する。またこれらの色剤は、ポリエステル、共重合ポリエステル、もしくはポリブチレンテレフタレートの成型温度で分解が少ないものが好ましい。
このような色剤は、化学構造的には、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系、アゾメチン系、複素環系色剤等が好ましく挙げられ、染色方式的には、分散性色剤、油溶性色剤が好適である。また一般に顔料として分類されているものであっても、上記のように溶融状態のポリエステル共重合ポリエステル、もしくはポリブチレンテレフタレート中で溶解するものであれば、本発明では色剤として用いることができる。この例としては、フタロシアニン系などの銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、クロムなどの金属イオンとの錯塩色剤などを挙げることができる。このような色剤は、例えばグレー調やブラウン調に調色するために、適宜選択して数種混合して使用されるのが一般的であり、これら色剤のポリエステル中の含有量は、通常0.01〜10.0重量%、好ましくは0.05〜5.0重量%の範囲から適宜選ぶことができる。
また、希釈原料として、本発明のフィルムまたは他のフィルムの製造工程で発生した再生原料や、同時二軸延伸法等の端部を挟んで延伸しして製造する際の製品とならないフィルム(例えば製品から切断除去したフィルムの端部等)、色剤を含有しないフィルムの製造工程において、製膜中断および品質不良等で規定長さの製品に達しなかったフィルムを回収し、再生原料として使用することができる。
本発明のフィルムのA層再生原料の含有率は5〜40重量%含有することが好ましく、より好ましくは10〜40%である。他再生原料を配合することにより、ポリエステルフィルムの製造において、環境、コスト面で大きく貢献でき、経済的合理性にも適うものとなる。また、色目において窓貼りフィルム用途では一般的に赤味を抑えたものが好まれる傾向にあり、他再生原料を配合することで、フィルムの赤味(a*)を所望の程度に微調整ができる。他再生原料はより多く使用すれば、よりそれらへの貢献や経済的合理性が高くなる。他再生原料の配合量が40%を超える場合は、フィルムの固有粘度低下により、フィルム弾性率E’が低下し、フィルムの製膜性を低下させる可能性がある。
本発明のフィルムは、弾性率E’が100℃において、1700〜3000MPaである必要がある。弾性率が100℃で3000MPaを超えると、曲面ガラスと貼り合わせる作業の際に問題となり、弾性率が100℃で1700MPaを下回ると、フィルム強度が劣り、貼り合わせ施工性が難しくなるので好ましくない。
本発明のフィルムの可視光線透過率は、3〜70%、さらには5〜65%の範囲とすることが好ましい。
本発明のフィルムの厚さは、フィルムとして製膜できる厚さであればよく、例えば3〜200μm、好ましくは5〜100μm厚さのフィルムとした場合、優れた効果を発揮する。近年では、空き巣などの防犯行為防止のための防犯ガラスとして、フィルムはガラス板と貼り合わせた積層ガラスに用いられるため、フィルムの厚さが50〜200μmが好ましく、さらに好ましくは70〜160μmである。この値が50μm未満では、フィルムを貼り合わせた積層ガラスの強度が十分でなく防犯効果が十分でない。また、この値が200μmを越える場合には、貼り合わせ施工性が悪くなり、また製膜時の機械的延伸が難しくなるので好ましくない。
また、本発明のフィルムの180℃×5分におけるフィルムのMD(縦)方向の加熱収縮率とTD(横)方向の加熱収縮率の絶対値の合計が通常3.0〜6.0%以内、好ましくは3.5〜5.0%以内である。この値が6.0%を越える場合には、貼り合わせ施工後に収縮を起こし、貼付面積が減少し、遮光、飛散防止効果が低下する傾向がある。一方、この値が3.0%を下回る場合には、曲面ガラスと貼り合わせる際の作業で問題となることがある。
また、本発明の積層フィルムは、二軸配向後のフィルムヘーズが通常5%以下、好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。ヘーズが5%を越えると窓貼りフィルムとして用いる際、不透明さが強くなる傾向がある。
また、本発明のフィルムは、窒素雰囲気下で180℃のオーブンに10分間放置し熱処理した評価フィルムを底面積が250cm2となるようにA4サイズのケント紙と合せて折って四角の箱を作成し、その中にDMF(N,N−ジメチルホルムアルデヒド)10mlを入れ、3分間放置した後、その溶液をキシレンで50%希釈して得たフィルム表面への色剤析出溶液の可視光線透過率(VLT)が通常90%以上であり、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上である。なお、フィルム表面への色剤析出溶液の可視光線透過率は、後述する方法で測定される。色剤析出溶液の可視光線透過率90%未満では、フィルム生産ラインで熱処理した後、フィルムと接触するロールに色剤が付着して、ロール拭きの頻度が増し、フィルム生産性に悪影響を与えることがある。また、色剤付着物によりフィルム表面に押跡を生じ、フィルム外観品質に悪影響を与えることがある。
以下、本発明のフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
公知の手法により乾燥したポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法が好ましく採用される。本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。具体的な延伸条件は、前記未延伸シートを縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンや熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向や横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
上記のフィルムには必要に応じてコーティングを施すことができる。例えば易接着性向上、帯電防止性向上などを目的として、インライン、オフライン、あるいは両方を組み合わせたコーティングを行うことができる。特にインラインで行うコーティングでは、上記のフィルム製造方法において、縦延伸が終了した段階で水溶性塗布液を塗布した後、テンター内で乾燥・予熱・横延伸を行い、さらに熱固定を行う一連のプロセスを用いることができる。
上記のフィルムには必要に応じてコーティングを施すことができる。例えば易接着性向上、帯電防止性向上などを目的として、インライン、オフライン、あるいは両方を組み合わせたコーティングを行うことができる。特にインラインで行うコーティングでは、上記のフィルム製造方法において、縦延伸が終了した段階で水溶性塗布液を塗布した後、テンター内で乾燥・予熱・横延伸を行い、さらに熱固定を行う一連のプロセスを用いることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。本発明におけるフィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2) フィルムの積層厚さ
フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層厚さとした。
フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層厚さとした。
(3)平均粒径(d)
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SP−CP3型)で測定した。
本発明において平均粒径とは、その形状の如何にかかわらず等価球形分布の積算体積分率50%の粒径を平均粒径(d)とした。
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SP−CP3型)で測定した。
本発明において平均粒径とは、その形状の如何にかかわらず等価球形分布の積算体積分率50%の粒径を平均粒径(d)とした。
(4)フィルムの色調(a*)
分光式測色計SE−2000(日本電色社製)を用いてD65光源で、CIE1976L*a*b*表色系のa*を測定した。
分光式測色計SE−2000(日本電色社製)を用いてD65光源で、CIE1976L*a*b*表色系のa*を測定した。
(5)フィルムヘーズ
JIS−K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−300Aによりフィルムの濁度を測定した。
JIS−K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−300Aによりフィルムの濁度を測定した。
(6)色剤析出溶液の可視光線透過率(%)
窒素雰囲気下、180℃のオーブンに10分間放置し熱処理した評価フィルムを底面の面積が250cm2となるようにA4サイズのケント紙と合せて折って四角の箱を作成する。次いで箱中にDMF(N,N−ジメチルホルムアルデヒド)10mlを入れ、3分間放置する。次にその溶液をキシレンで50%希釈し、光軸距離10mmの石英セルに入れ、ハンターラボ社製色差計(Ultra Scan VIS)を用いて可視光線率を測定した。
窒素雰囲気下、180℃のオーブンに10分間放置し熱処理した評価フィルムを底面の面積が250cm2となるようにA4サイズのケント紙と合せて折って四角の箱を作成する。次いで箱中にDMF(N,N−ジメチルホルムアルデヒド)10mlを入れ、3分間放置する。次にその溶液をキシレンで50%希釈し、光軸距離10mmの石英セルに入れ、ハンターラボ社製色差計(Ultra Scan VIS)を用いて可視光線率を測定した。
(7)色剤析出の評価
色剤析出についての評価は(6)で測定の色剤析出溶液の可視光線透過率の値から以下のようにした。
○:ほとんど色剤の析出傾向はなく、溶液の可視光線透過率は95%%以上である
△:やや色剤の析出傾向があり、溶液の可視光線透過率が90〜95%未満である
×:色剤の析出傾向があり、溶液の可視光線透過率が90%未満である
色剤析出についての評価は(6)で測定の色剤析出溶液の可視光線透過率の値から以下のようにした。
○:ほとんど色剤の析出傾向はなく、溶液の可視光線透過率は95%%以上である
△:やや色剤の析出傾向があり、溶液の可視光線透過率が90〜95%未満である
×:色剤の析出傾向があり、溶液の可視光線透過率が90%未満である
(8)フィルム生産への影響評価
フィルム生産への影響評価は(6)で測定の色剤析出溶液の可視光線透過率の値から以下のようにした。
○:色剤析出溶液の可視光線透過率は95%%以上でほとんど色剤の析出傾向はなくフィルム生産性への悪影響はない
△:色剤析出溶液の可視光線透過率が90〜95%でやや色剤の析出傾向があり、フィルム生産にやや悪影響あり
×:色剤析出溶液の可視光線透過率が90%未満で色剤の析出傾向があり、ロールへの色剤析出物の付着がありロール清掃頻度を上げるため生産性が低下する
フィルム生産への影響評価は(6)で測定の色剤析出溶液の可視光線透過率の値から以下のようにした。
○:色剤析出溶液の可視光線透過率は95%%以上でほとんど色剤の析出傾向はなくフィルム生産性への悪影響はない
△:色剤析出溶液の可視光線透過率が90〜95%でやや色剤の析出傾向があり、フィルム生産にやや悪影響あり
×:色剤析出溶液の可視光線透過率が90%未満で色剤の析出傾向があり、ロールへの色剤析出物の付着がありロール清掃頻度を上げるため生産性が低下する
(9)遮光性評価
分光式測色計SE−2000(日本電色社製)を用いてD65光源で各波長の光線透過率を測定し、JIS−S3107に従って可視光線透過率を算出し、遮光性についての評価は以下のようにした。
○:フィルムの可視光線透過率が5〜65%の範囲である
△:フィルムの可視光線透過率が3〜70%の範囲である
×:フィルムの可視光線透過率が3%未満、70%以上である
分光式測色計SE−2000(日本電色社製)を用いてD65光源で各波長の光線透過率を測定し、JIS−S3107に従って可視光線透過率を算出し、遮光性についての評価は以下のようにした。
○:フィルムの可視光線透過率が5〜65%の範囲である
△:フィルムの可視光線透過率が3〜70%の範囲である
×:フィルムの可視光線透過率が3%未満、70%以上である
(10)弾性率(E’)
アイティー計測制御社製動的粘弾性測定装置(DVA−200型)を使用した。幅5mmのフィルムをチャック間20mmとなるように測定装置にセットし、0℃から220℃まで10℃/min.の速度で昇温させながら、周波数10Hzで粘弾性の推移を測定した。この測定結果より100℃の貯蔵弾性率(E’)を求めた。
アイティー計測制御社製動的粘弾性測定装置(DVA−200型)を使用した。幅5mmのフィルムをチャック間20mmとなるように測定装置にセットし、0℃から220℃まで10℃/min.の速度で昇温させながら、周波数10Hzで粘弾性の推移を測定した。この測定結果より100℃の貯蔵弾性率(E’)を求めた。
≪ポリエステル−Aの製造≫
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネートを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応時間を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、4時間重縮反応を行った。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部、平均粒子径が2.5μmのシリカ粒子0.05重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.55に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップを得た。極限粘度は0.65であった。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネートを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応時間を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、4時間重縮反応を行った。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部、平均粒子径が2.5μmのシリカ粒子0.05重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.55に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップを得た。極限粘度は0.65であった。
≪ポリエステル−Bおよびポリエステル−B1の製造方法≫
ポリエステル−Aの製造において、エステル交換反応終了後の反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.03部を加えて、粒子を加えず、4時間重縮合反応を行い、極限粘度0.68に相当する時点で反応を停止した以外はポリエステル−Aと同様の方法でポリエステル−Bを得た。得られたポリエステル−Bの極限粘度は0.68であった。ポリエステル−Bを出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂の極限粘度が0.82(dl/g)となるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル−B1を得た。
ポリエステル−Aの製造において、エステル交換反応終了後の反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.03部を加えて、粒子を加えず、4時間重縮合反応を行い、極限粘度0.68に相当する時点で反応を停止した以外はポリエステル−Aと同様の方法でポリエステル−Bを得た。得られたポリエステル−Bの極限粘度は0.68であった。ポリエステル−Bを出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂の極限粘度が0.82(dl/g)となるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル−B1を得た。
≪ポリエステル−Cおよびポリエステル−C1の製造≫
ポリエステル−Aの製造において、平均粒子径が2.5μmのシリカ粒子0.05重量部を加えず、重縮合反応を3時間15分とする以外はポリエステル−Aと同様の方法でポリエステル−Cを得た。得られたポリエステルの粘度は0.53であった。ポリエステル−Cを225℃−0.3mmHgの条件下で15時間固相重合を行い、実質的に微粒子を含まないポリエステルC−1を得た。得られたポリエステルC−1の粘度は0.78であった。
ポリエステル−Aの製造において、平均粒子径が2.5μmのシリカ粒子0.05重量部を加えず、重縮合反応を3時間15分とする以外はポリエステル−Aと同様の方法でポリエステル−Cを得た。得られたポリエステルの粘度は0.53であった。ポリエステル−Cを225℃−0.3mmHgの条件下で15時間固相重合を行い、実質的に微粒子を含まないポリエステルC−1を得た。得られたポリエステルC−1の粘度は0.78であった。
≪ポリエステル−Dの製造≫
ポリエステル−C1 10重量部を乾燥した後、三菱化学社製ダイアレジンレッドHS 0.4重量部、同ブルーH3G 0.8重量部および同イエローF0.3重量部をベント式二軸押出機にて溶融混練りしてポリエステル−Dを得た。得られたポリエステルの粘度は0.61であった。
ポリエステル−C1 10重量部を乾燥した後、三菱化学社製ダイアレジンレッドHS 0.4重量部、同ブルーH3G 0.8重量部および同イエローF0.3重量部をベント式二軸押出機にて溶融混練りしてポリエステル−Dを得た。得られたポリエステルの粘度は0.61であった。
実施例1:
ポリエステル−B1 67.6重量%と、ポリエステル−D 7.4重量%と、ポリエステル−B1を主とするヘーズ2%未満の透明ポリエステルフィルムからの他再生原料(P)25重量%を、285℃に設定したメインの押出機に、ポリエステル−Aとポリエステル−C1を285℃に設定したサブの押出機に送り込んだ。サブ押出機のポリマーをフィルムの表裏2層(最外層)に分岐した後、ギヤポンプ、フィルターを介して、サブ押出機からポリマーとフィードブロックで合流させシート状に押出し、表面温度を30℃に設定した回転冷却ドラムで静電加冷却法を利用して急冷固化させ、厚さ342μmの実質的に非晶質のシートを得た。得られた非晶質シートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、テンターに導き、横方向に90℃で3.4倍延伸し、225℃で3秒間熱処理した後、185℃で2秒間5%の弛緩処理を施し、両最外層厚さと中間層の厚さがそれぞれ4μm、92μmとなるようにして厚さ100μmの二軸配向積層フィルムを製造した。
ポリエステル−B1 67.6重量%と、ポリエステル−D 7.4重量%と、ポリエステル−B1を主とするヘーズ2%未満の透明ポリエステルフィルムからの他再生原料(P)25重量%を、285℃に設定したメインの押出機に、ポリエステル−Aとポリエステル−C1を285℃に設定したサブの押出機に送り込んだ。サブ押出機のポリマーをフィルムの表裏2層(最外層)に分岐した後、ギヤポンプ、フィルターを介して、サブ押出機からポリマーとフィードブロックで合流させシート状に押出し、表面温度を30℃に設定した回転冷却ドラムで静電加冷却法を利用して急冷固化させ、厚さ342μmの実質的に非晶質のシートを得た。得られた非晶質シートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、テンターに導き、横方向に90℃で3.4倍延伸し、225℃で3秒間熱処理した後、185℃で2秒間5%の弛緩処理を施し、両最外層厚さと中間層の厚さがそれぞれ4μm、92μmとなるようにして厚さ100μmの二軸配向積層フィルムを製造した。
実施例2〜3、比較例2〜3:
実施例1において、中間層の他再生原料(P)とポリエステル−B1の配合量を変え以外は実施例1と同様にして、厚さ100μmのフィルムを得た。
実施例1において、中間層の他再生原料(P)とポリエステル−B1の配合量を変え以外は実施例1と同様にして、厚さ100μmのフィルムを得た。
実施例4〜5、比較例4〜5:
実施例1において、最外層厚さと中間層の厚さ構成を変える以外は実施例1と同様にして、厚さ100μmのフィルムを得た。
実施例1において、最外層厚さと中間層の厚さ構成を変える以外は実施例1と同様にして、厚さ100μmのフィルムを得た。
比較例1:
実施例1において、中間層のポリエステル−B1の代わりに、ポリエステル−Aに変える以外は実施例1と同様にして、厚さ100μmのフィルムを得た。
実施例1において、中間層のポリエステル−B1の代わりに、ポリエステル−Aに変える以外は実施例1と同様にして、厚さ100μmのフィルムを得た。
比較例6:
実施例1において、両最外層厚さと中間層の厚さ構成をそれぞれ5μm、15μmとし、かつフィルム厚さを25μmとした以外は実施例1と同様にして、厚さ25μmのフィルムを得た。
実施例1において、両最外層厚さと中間層の厚さ構成をそれぞれ5μm、15μmとし、かつフィルム厚さを25μmとした以外は実施例1と同様にして、厚さ25μmのフィルムを得た。
本発明のフィルムは、例えば、自動車の窓、建築物の窓等のガラスに貼り合わせをして使用される窓貼り用のフィルムとして好適に利用することができる。
Claims (2)
- 色剤を含有するポリエステル層(B層)の両面に、色剤を配合しない、厚さ3〜21μmのポリエステル層(A層)がそれぞれ積層されたフィルムであり、A層厚さ(両層の厚みが異なる場合は薄い方の厚さ)とB層厚さとの比(A/B)が0.03〜0.3であり、100℃におけるフィルムの貯蔵弾性率E’が1700〜3000MPaであることを特徴とする窓貼り用積層二軸延伸ポリエステルフィルム。
- B層が、請求項1記載のフィルムのまたは他のフィルムの製造工程で発生した再生原料を5〜40%と、極限粘度が0.75dl/g以上であるポリエステル原料とを含有する請求項1に記載の窓貼り用積層二軸延伸ポリエステルフィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015096155A JP2016210098A (ja) | 2015-05-11 | 2015-05-11 | 窓貼り用積層二軸延伸ポリエステルフィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015096155A JP2016210098A (ja) | 2015-05-11 | 2015-05-11 | 窓貼り用積層二軸延伸ポリエステルフィルム |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2020040406A1 (ko) * | 2018-08-24 | 2020-02-27 | (주)엘지하우시스 | 표면 마감재 |
WO2020040405A1 (ko) * | 2018-08-24 | 2020-02-27 | (주)엘지하우시스 | 표면 마감재 |
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2015
- 2015-05-11 JP JP2015096155A patent/JP2016210098A/ja active Pending
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Legal Events
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