JP4799066B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
本発明で使用するポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールの常法による縮重合反応で得られる。重合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物等公知の触媒を使用することができるが、光学用途に使用されるフィルムの場合は、アンチモン化合物の量を零またはアンチモンとして100ppm以下にすることによりフィルムのくすみを低減したものが好ましい。
測定試料をフェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cm3の溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηrを測定し、下記式より固有粘度[η]を求めた。
(ηr−1)/c=[η]+[η]2k’c
(ただし、上記式中、k’は0.33とした)
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
ティーエーイインスツルメント社製のDSC装置「MDSC2920型」を使用し、ポリエステル樹脂約5mgを試料として用い、50℃/分の速度で一旦300℃まで昇温し10分間保持後、液体窒素を用いてTg以下に急冷し、再び20℃/分の昇温速度で300℃まで測定を行い、TgおよびTmを求めた。
アンリツ社製連続フィルム厚さ測定器(電子マイクロメーター使用)により、二軸延伸フィルムの縦方向、および横方向に沿って測定し、3m長さについて、次式より算出した。
厚さムラ=(フィルム最大厚さ−フィルム最小厚さ)÷フィルム平均厚さ×100
25cm角の大きさにポリエステルフィルムを切り取り、180℃に設定されたオーブン(田葉井製作所製:熱風循環炉)中で10分間加熱処理した後、上部が開放され、底辺の面積が250cm2となるように、熱処理後のポリエステルフィルムをB層が内側となるように折って、四角の箱を作成する。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF10mlを入れ3分間放置後DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津LC−7A)に供給してDMF中のポリエステル由来の環状オリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、環状オリゴマー析出量(mg/m2)とする。DMF中の環状オリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、予め分取した環状オリゴマーを正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解して作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製 MCI GEL ODS 1HU
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
幅200mm長さ200mmのフィルムを切り出し、B層同士を重ね合わせ、テスター産業(株)製ヒートシールテスターを用いて、幅10mm長さ100mmで温度130℃に設定された上下のバーにて、圧力1.0MPaで0.5秒間ヒートシールした。ヒートシール試料のシールラインに対して直角に幅15mmとなるように試験片を切り出し、インテスコ製引張試験機インテスコモデル2001型を用いて、温度25℃、湿度50%RHに調節された室内において、引張速度50mm/分でT型剥離強度を測定して接着強度を求めた。
積層ポリエステルフィルムの塗布層側に、ペンタエリスリトールアクリレート:N―メチロールアクリルアミド:N―ビニルピロリドン:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが重量で45:40:10:5からなるUV硬化系組成物を硬化後の膜厚が5μmとなるように均一に塗布し、その後、80W/cmの強度を有する高圧水銀灯で30秒間紫外線を照射して硬化させ、ハードコート層を有するフィルムを得た。当該フィルムに碁盤目のクロスカット(1mm2の升目を100個)を施し、その上に18mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−18)を貼り付け、180度の剥離角度で急激にはがした後、剥離面を観察し、剥離面積が20%未満ならば○、20%以上50%未満なら△、50%以上ならば×とした。
上記のハードコート層の塗布を行う際に、厚みムラ(たるみ)に起因する塗布ムラが存在したかどうかを(目視で)評価する。
全く問題なし:○
一部ムラがあるが生産は可能:△
ムラが多くて生産にならない:×
<ポリエステルAの製造法>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールおよびジエチレングリコールを使用し、重合触媒としてテトラブチルチタネートを用いて定法の溶融重合法により固有粘度が0.62dl/gのポリエステルを製造した。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチル、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、重合触媒として三酸化アンチモンを用いて定法の溶融重合法により湿式法シリカ(平均粒径2.5μm、含有量0.5重量%)を分散させた固有粘度が0.65dl/gのポリエステルを製造した。
<ポリエステルCの製造法>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸およびイソフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、重合触媒として三酸化アンチモンを用いて定法の溶融重合法により湿式法シリカ粒子(平均粒径2.5μm、含有量0.2重量%)を分散させた固有粘度が0.58dl/gのポリエステルを製造した。続いて、定法の固層重合法により環状オリゴマー量を低減させた固有粘度0.75dl/gのポリエステルを製造した。
<ポリエステルDの製造法>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、多価アルコール成分としてエチレングリコール使用し、定法の溶融重合法により湿式法シリカ粒子(平均粒径2.5μm、含有量0.1重量%)を分散させた固有粘度が0.58dl/gのポリエステルを製造した。続いて、定法の固層重合法により環状オリゴマー量を低減させた固有粘度0.75dl/gのポリエステルを製造した。
<ポリエステルEの製造法>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分として1,4−ブタンジオールを使用し、重合触媒としてテトラブチルチタネートを用いて定法の溶融重合法により固有粘度が1.20dl/gのポリエステルを製造した。
<ポリエステルFの製造法>
ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、重合触媒として三酸化アンチモンを用いて定法の溶融重合法により固有粘度が0.48dl/gのポリエステルを製造した。続いて、定法の固層重合法により極限粘度0.58dl/gのポリエステルを製造した。
得られたポリエステルの特性を下記表1に示す。
TPA:テレフタル酸、IPA:イソフタル酸、APA:アジピン酸、NDCA:2,6−ナフタレンジカルボン酸、EG:エチレングリコール、DEG:ジエチレングリコール、1,4−BG:1,4−ブタンジオール
ポリエステルA、Bをそれぞれ90%、10%の割合で混合した混合原料をA層原料、ポリエステルD100%をB層原料とし、2台のベント式二軸押出機に各々を供給し、それぞれ285℃で溶融し、2種2層(A/B)の層構成で共押出しして、静電印加密着法を用いて表面温度を20℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。その後、未延伸シートを同時二軸延伸可能なテンターに導き、90℃に加熱された延伸工程で縦方向3.5倍、横方向4.0倍延伸した。その後、フィルムを一旦60℃に冷却を行った後、230℃にて熱処理を行い、続いて200℃で縦・横方向に2%ずつ弛緩を行った後にフィルムを室温まで冷却し、厚み40μmのフィルムを得た。できた積層フィルムの厚み構成は、A層/B層=35μm/5μmであった。得られたフィルムの特性は下記表2に示すとおり、良好な特性を示した。また、B層の環状オリゴマー析出量も少なかった。
ポリエステルA100%をA層の原料、ポリエステルD100%をB層原料、ポリエステルA,Bそれぞれ90%、10%の割合で混合した原料をC層原料とし、3台のベント式二軸押出機に各々を供給し、それぞれ285℃で溶融し、3種3層(B/A/C)の層構成で共押出しした以外は実施例1と同様にして、厚み40μmのフィルムを得た。積層フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=5μm/30μm/5μmであった。得られたフィルム特性は下記表2に示すとおり、良好な特性を示した。
B層原料をポリエステルC、Eそれぞれ50%、50%の割合で混合した原料を用いた以外は実施例2と同様にして厚み40μmのフィルムを得た。積層フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=5μm/30μm/5μmであった。得られたフィルム特性は下記表2に示すとおり、良好な特性を示した。
B層原料にポリエステルC、Fをそれぞれ50%、50%の割合で混合した原料を用い、95℃に加熱された延伸工程で縦方向3.5倍、横方向4.0倍延伸した以外は実施例2と同様にして厚み40μmのフィルムを得た。積層フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=5μm/30μm/5μmであった。得られたフィルム特性は下記表2に示すとおり、良好な特性を示した。
B層原料にポリエステルA100%を用いた以外は実施例2と同様にして厚み40μmのフィルムを得た。積層フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=5μm/30μm/5μmであった。得られたフィルム特性は下記表2に示すとおり、ハードコート層密着性に劣った。また、環状オリゴマー析出量も多かった。
ポリエステルA100%をA層原料、ポリエステルD100%をB層原料、ポリエステルA,Bそれぞれ90%、10%の割合で混合した原料をC層原料とし、3台のベント式二軸押出機に各々を供給し、それぞれ285℃で溶融し、3種3層(B/A/C)の層構成で共押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を20℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。その後、未延伸シートを90℃に加熱したロールにて予熱し、2本のロール間で縦方向に3.5倍延伸した。続いてテンターに導き、110℃で横方向に4.0倍延伸した後、230℃にて熱処理を行い、200℃で横方向に2%弛緩を行った後にフィルムを室温まで冷却し、厚み40μmのフィルムを得た。積層フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=5μm/30μm/5μmであった。得られたフィルムの特性は下記表2に示すとおり、縦延伸ロールにて粘着が発生したため厚みムラが悪くなり、塗布ムラが発生した。
B層原料をポリエステルC、Fそれぞれ50%50%とした以外は比較例2と同様にして厚み40μmのフィルムを得た。積層フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=5μm/30μm/5μmであった。得られたフィルムの特性は下記表2に示すとおり、縦延伸工程にてB層が予熱不足となったために厚みムラが悪くなり、塗布ムラが発生した。
Claims (1)
- ポリエステルA層の少なくとも片面に、A層を構成するポリエステルとTgが5℃以上異なるポリエステルB層を有し、当該B層同士を130℃にて熱接着させた際の接着強度が2.0N/15mm以上である、同時二軸延伸法により得られたポリエステルフィルであり、フィルムの厚みムラが8%未満であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
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