JP2019059069A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】高い紫外線カット性とガスバリア性を有するフィルムを提供する。【解決手段】ポリエステル樹脂A層とポリエステル樹脂B層が厚み方向に交互に50層以上積層されてなる交互積層層と、金属酸化物層を有する積層フィルムであって、前記交互積層層の1層あたりの層厚みがいずれも60nm以下であり、前記金属酸化物層が少なくとも片側表層にあり、前記金属酸化物層が表層にある側から測定した入射角度10°の反射スペクトルにおいて波長300〜410nmの最大反射率が20%以上であり、前記金属酸化物層と交互積層層との間に厚み150nm以上の樹脂層を有する積層フィルム【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂A層とポリエステル樹脂B層が厚み方向に交互に50層以上積層されてなる交互積層層と、金属酸化物層を有する積層フィルムに関する。
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから磁気記録材料、包装材料などの多くの用途において基材フィルムとして広く使用されている。特に近年、フラットパネルディスプレイやタッチパネル分野において偏光板保護フィルム(偏光子保護部材)や円偏光板位相差フィルム(円偏光板部材)、透明導電フィルムなど各種光学用フィルムの需要が高まっている。ディスプレイに搭載する光学フィルムは、たとえば液晶ディスプレイ用途では、偏光子保護フィルムや透明導電フィルム、位相差フィルムなどが挙げられる。これらの用途に用いるフィルムでは、外部から侵入する紫外線やバックライト光に含まれる紫外線による、液晶分子や偏光板内の偏光子(PVA)の劣化を防止するために、紫外線カット性が求められる。紫外線カット性をフィルムに付与するため、一般的には紫外線吸収剤を添加する手法が利用されている(特許文献1)。しかしながら、紫外線吸収剤を添加する方法により紫外線カットを達成する場合、紫外線吸収剤の種類や添加量に応じて、フィルム製膜時に口金付近や真空ベント口でブリードアウト現象が発生する。そのため、製膜工程の汚染が発生してフィルムに欠点が生じる、実質上の紫外線吸収剤添加濃度が低下してカット性能が弱まるといった、フィルム自体の品位を損なう問題が発生する。特に、薄膜光学フィルムとして現行の光学フィルムと同様の性能を発揮する場合、吸収性能はフィルムの厚みと添加濃度の積で表されることから、紫外線吸収剤の高濃度添加を避けることが出来ず、製膜装置の汚染、および過酷な信頼性試験後でのフィルム表面への吸収剤析出による品位低下が顕著になる。
また、車載ディスプレイ用途やデジタルサイネージなど屋外で表示する表示装置の場合、300nm〜380nmの波長範囲での紫外線をより強くカットすることが要求される。一般的な紫外線吸収剤を利用して300nm〜380nmの波長範囲での紫外線をカットしようとする場合、一般的な紫外線吸収剤は370nm以下の波長帯域のカット性は高いものの、波長380nm近傍のカット性は高くないため、波長380nm近傍の光線を強くカットするためには、紫外線吸収剤の含有量を多くする方法が用いられる。しかしながら、紫外線吸収剤を多く含有させると白化現象や、過酷な信頼性試験後でのフィルム表面への紫外線吸収剤の析出による品位低下の問題点が発生する。特に、単膜フィルム構成や低積層数の場合、吸収剤析出を防止する機構が不十分となり、信頼性試験における品位低下の問題が顕著となる。また、薄膜フィルムに十分な紫外線カット性能を持たせるためには、紫外線吸収剤の含有量をより多くする必要があるため、この問題点は、薄膜フィルムにおいて顕著に現れる。フィルム厚みを増加させることで吸収剤の含有濃度を減少できるため、前記問題点は解決可能であるが、市場の小型化・薄膜化の要求に反し、画像表示装置の厚みが増加する問題点を生じる。
かかる問題点に対して、波長380nm近傍の光線をカットするために、380nmより長波長側に極大吸収波長を有する色素を用いる方法が挙げられる。ただし、色素は種類に応じて可視光領域を広く吸収してフィルム自体に望まない着色を生じるため、ディスプレイに搭載した場合に視認性を悪化させることから、410nm以下の波長を強くカットし、410nm〜430nmまでの波長範囲において光線をシャープカットすることが必要となる(特許文献1〜2)。この問題を達成するために、多層積層の干渉反射と紫外線吸収剤による吸収を併用することでこの問題を解決した出願がなされている(特許文献3、4)。
一方で、フレキシブル有機EL(OLED)や量子ドット(QD)といった最先端のディスプレイ素材の場合、紫外線カットだけではなく水分と酸素から遮断、保護する必要がある。従来はガラスが素材を保護する役割をしていたが、フレキシブル性の高いニーズのために、ガラスから、UVカット性を持つガスバリアフィルムへの転換が図られている。
フィルムにガスバリア性を付与する方法として、二軸配向フィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム等の無機物(金属酸化物を含む)を使用し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、その無機物の蒸着膜を形成してなる。ガスバリア性向上技術としては、例えば、有機ケイ素化合物の蒸気と酸素を含有するガスを用いてプラズマCVD法により基材上に、ケイ素酸化物を主体とし、炭素、水素、ケイ素及び酸素を少なくとも1種類含有した化合物とすることによって、透明性を維持しつつガスバリア性を向上させる方法が用いられている(特許文献5)。
特開2010−132846号公報公報 特開2014−115524号号公報 特開2016−215643号公報 特開2016−26323号公報 特開平8−142252号公報号公報
しかしながら、波長300nm〜410nmの波長範囲での紫外線を反射させる多層積層フィルムの平均層厚みは65nm以下となり、この構成の多層積層フィルムの表面に金属酸化物を形成して加熱すると、金属酸化物層に微小な亀裂が入り、ガスバリア性と透明性を大きく損なう問題があった(以下、耐熱白化とも言う)。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、耐熱白化の問題を解消し、優れたUVカット性とガスバリア性の両立を可能にした積層フィルムを提供せんとするものである。
上記した課題は、ポリエステル樹脂Aを主成分とする層(A層)とポリエステル樹脂Bを主成分とする層(B層)が厚み方向に交互に50層以上積層されてなる交互積層層と、金属酸化物層を有する積層フィルムであって、前記交互積層層の1層あたりの平均層厚みがいずれも60nm以下であり、前記金属酸化物層が少なくとも片側表層にあり、前記金属酸化物層が表層にある側から測定した入射角度10°の反射スペクトルにおいて波長300〜410nmの最大反射率が20%以上であり、前記金属酸化物層と交互積層層との間に厚み150nm以上の樹脂層を有することによって達成することができる。
本発明の積層フィルムは、加工時の金属酸化物層の微小な亀裂の発生を抑制できるため、例えば画像表示装置に搭載した際にも長期にわたり色調を維持し、高品位で画像表示することができる効果を奏する。
本発明の微小圧縮試験時の荷重−変位曲線の一例を概念的に示す概念図である。
以下、本発明の積層フィルムについて詳細に説明する。
本発明の積層フィルムは、ポリエステル樹脂Aを主成分とする層(A層)とポリエステル樹脂Bを主成分とする層(B層)が厚み方向に交互に50層以上積層されてなる交互積層層を有することが必要である。
本発明におけるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールとを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られる縮重合体のことである。ポリエステルの工業的製造方法としては、公知の如く、エステル交換反応(エステル交換法)や直接エステル化反応(直接重合法)が用いられる。ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも高い屈折率を発現するテレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく用いられる。ジカルボン酸成分はこれらのうち1種類を用いても良く、2種以上を併用して用いても良い。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種類のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
さらに、ポリエステル系樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体などを用いることも出来る。このとき、共重合成分としては、前記のジカルボン酸成分およびジオール成分が、それぞれ1種類以上、共重合されていることが好ましい。
ポリエステル樹脂Bは、ポリエステル樹脂Aと異なる樹脂であることが必要となる。本発明において、異なる樹脂とは、屈折率が0.01以上異なることをあらわす。後述する、反射による光線カットを利用する場合、積層した樹脂の層厚み、および、2つの異なる樹脂の屈折率差に基づいて反射される光線の波長が1つに決定される。そのため、同一の屈折率を利用する場合は、ポリエステル樹脂界面での光線反射が発生しなくなる。特定の波長の光を反射するために、樹脂の層厚みと屈折率差の2種類のパラメータが制御されるべきであるため、屈折率差のみを一概に決定することは困難であるが、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの屈折率の差は、好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.05以上である。また、これら異なるポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂Bは、屈折率が異なることに加えて、熱特性も異なることが好ましい。熱特性が異なるとは、示差走査熱量測定(DSC)において、異なる融点やガラス転移温度を示すものを指す。融点やガラス転移温度が異なることで、積層フィルムを延伸・熱処理する工程において、各々の層の配向状態を高度に制御することが可能となる。配向状態を高度に制御できることにより、各ポリエステル樹脂の層の面内および面直方向の屈折率を制御し、反射する光線波長を制御することが可能となる。特に、延伸工程での樹脂の配向状態に影響を与える、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの融点は10℃以上異なることが好ましい。融点の差を10℃以上とすることで、熱処理条件によって、一方のポリエステル樹脂の配向結晶のみを融解させて屈折率差を高めることが可能となる。
本発明における、交互に積層するとは、ポリエステル樹脂Aを主成分とするA層とポリエステル樹脂Bを主成分とするB層とが厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいい、A(BA)n(nは自然数)の規則的な配列に従って樹脂が積層された状態を指す。本発明において、積層フィルムにおける交互積層層の積層数は50層以上が必要である。50層未満だと十分なUVカット性が得られない。層数に上限はないが、層数が増えるに従い、製造装置の大型化に伴う製造コストの増加を招くことから、現実的には1000層以下が適している。より好ましくは100層以上であり、さらに好ましくは250層以上である。A(BA)n(nは自然数)の積層フィルムを製膜する場合、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、公知の積層装置であるマルチマニホールドタイプのフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができる。特に、本発明の構成を効率よく得るためには、微細スリットを有するフィードブロックを用いる方法が高精度な積層を実現する上で好ましい。スリットタイプのフィードブロックを用いて積層体を形成する場合、各層の厚みおよびその分布は、スリットの長さや幅を変化させて圧力損失を傾斜させることにより達成可能となる。スリットの長さとは、スリット板内でA層とB層を交互に流すための流路を形成する櫛歯部の長さのことである。
本発明におけるポリエステル樹脂Aは、上述構成のように積層フィルムの最外層に位置する点から、結晶性を示すポリエステル樹脂であることが好ましい。この場合、結晶性を示す熱可塑性樹脂からなる単膜フィルムの製膜工程と同様の要領で積層フィルムを得ることが可能となるため好ましい。ポリエステル樹脂Aがたとえば非結晶性の樹脂からなる場合、後述の一般的な逐次二軸延伸フィルムと同様にして二軸延伸フィルムを得るときに、ロールやクリップなどの製造設備への粘着による製膜不良や、表面性の悪化などの問題が生じる場合がある。
以上から、ポリエステル樹脂Aは、結晶性を有するポリエステル系である、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートを用いることが好ましい。中でも、延伸過程においても高精度に積層構造が実現しやすい観点から、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを用いることが好ましい。一方で、ポリエステル樹脂Bは、ポリエステル樹脂Aとの密着性・積層性の観点からも、ポリエステル樹脂Aと同一の基本骨格を含むポリエステル系樹脂であることが好ましい。ここで、基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことであり、ポリエチレンテレフタレートの場合はエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの場合はエチレンナフタレートが基本骨格となる。同一の骨格を有することで、積層精度が高く、積層界面での層間剥離(デラミネーション)が生じにくくなるものである。ポリエチレンテレフタレートに対して、ポリエチレンナフタレートは面方向にポリマーが配向しやすい反面、層間剥離をより起こしやすいことから、積層フィルムという観点ではポリエチレンテレフタレートを基本骨格とすることがより好ましい。
ポリエチレンテレフタレートを基本骨格とする場合、ポリエステル樹脂Aと異なるポリエステル樹脂Bは、ポリエチレンテレフタレート骨格を有し、かつ、基本骨格を構成していない共重合成分が、主成分とならない程度に含むよう設計されている、もしくは、共重合成分量がポリエステル樹脂A内に含まれる共重合成分量と異なるように設計されていることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートを基本骨格とする場合に好適な共重合成分としては、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAエチレンオキサイド、スピログリコール、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ポリエチレングリコール2000、m−ポリエチレングリコール1000、m−ポリエチレングリコール2000、m−ポリエチレングリコール4000、m−ポリプロピレングリコール2000、ビスフェニルエチレングリコールフルオレン(BPEF)、フマル酸、アセトキシ安息香酸などが挙げられる。中でも、スピログリコールやイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を共重合していることが好ましい。スピログリコールを共重合した場合、ポリエチレンテレフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離も起こりにくい。さらに、イソフタル酸はベンゼン環内の官能基の位置が直線的でないため結晶性を大きく低下させることができる一方で、平面性が高いため全体的に高い屈折率を示すことが可能である。
本発明の積層フィルムは、後述の通り、交互積層層のA層、B層の少なくとも一方に、波長300〜410nmの紫外線光を効率的に波長カット達成のために、300〜380nmの紫外線領域に最大となる極大波長を有する紫外線吸収剤、及び/又は380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素を含有させることが好ましい。交互積層層に含有せしめることで、紫外線吸収剤や色素の表面への析出を抑制することが出来る。特に、ポリエステル樹脂Aが結晶性ポリエステルである場合、結晶性の層は分子構造の折りたたみにより高密度にパッキングされた層を形成することから、内部に存在する各種添加剤の析出を抑制するフタとしての役割を果たすため好ましい。
本発明の積層フィルムは、高いガスバリア性を有するために、少なくとも片側表層に金属酸化物層を有することが必要である。金属酸化物層の成膜方法は、真空成膜法である物理気相成長法及び化学気相成長法が挙げられる。物理気相成長法としては、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が挙げられる。また、化学気相成長法としては、例えば、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等が挙げられる。これらの成膜方法から適宜選択することができる。上記金属酸化物としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、イットリウム、タンタル、ケイ素、マグネシウム等の金属の酸化物が挙げられる。特に本発明においては、酸化アルミニウムと酸化亜鉛を含んでいると良好なガスバリア性が得られやすい傾向があるため、より好ましい。金属酸化物層の厚さは、10〜300nmであることが好ましく、20〜50nmであることがより好ましい。厚さが10nm以上であることにより均一な膜が得られやすく、ガスバリア性が得られやすくなる傾向がある。一方、厚さが300nm以上であると、ロール・ツー・ロールで成膜するために必要な柔軟性に乏しく、ワレが生じてバリア性を発現しない。また金属酸化物層は厚すぎると未酸化の金属色が強く現れ、透明性が低下する。金属酸化物層は高いバリア性を発現するが、硬く脆いため可撓性を付与するには膜厚を薄く(10〜300nm)成膜する必要がある。しかし、膜厚が薄いと割れやすく、異物の混入による損傷、クラック等の微小な欠陥が入りやすくなる。
本発明の積層フィルムは、前記金属酸化物層が表層にある側から測定した入射角度10°の反射スペクトルにおいて波長300〜410nmの最大反射率が20%以上であることが必要である。波長300〜410nmの最大反射率が20%以上とすると紫外線による劣化を抑制できるので、車載ディスプレイ用途やデジタルサイネージなど屋外で表示する表示装置に特に好適に用いることができる。波長300〜410nmの最大反射率が20%以上とする方法は特に限られるものでは無いが、紫外線吸収剤を含有させる方法のみで波長300〜410nmの帯域の光をカットする場合、多量に含有させることが必要となり、製膜中および製品として長期にわたって使用したときに表面からブリードアウトするという問題が発生するため好ましくない。
反射率および反射帯域は、交互に積層された樹脂層の各層厚み、および2種類の異なる樹脂間の屈折率差に応じて、特定の波長の光を反射することが可能である。また、積層層厚み分布を変化させることで、反射する波長帯域を拡張・収縮したり、光線反射率を向上させることができるほか、積層比一定のまま厚みを変化させることで自由にシフトさせることができる。このとき、積層層厚み分布を制御することで、反射帯域のカット端をシャープに設計したり、なだらかに設計することも可能となる。反射帯域のカット端をシャープになるように設計する場合、一般的な紫外線吸収剤や色素・顔料を添加した場合と比べても優れたシャープカットを実現でき、望まない光線カットを防止できるため、選択的な波長カットが求められる材料に好ましく利用することができる。この交互積層層の層設計と、前述した紫外線吸収剤や色素・顔料を用いる方法を併用することが好ましい態様として挙げられる。最大反射率は、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上である。本発明の場合、層厚みは300nmの光に対して約1/4波長の光学厚さ(屈折率×物理的厚さ)から410nmの光に対して約1/4波長の光学厚さとなるように設計されることから、交互積層の層厚みは60nm以下であることが必要である。それ以上の厚みの場合、着色が生じるため好ましくない。
反射波長は層厚みに依存することから、0.1μm単位のわずかなフィルム厚み変化の影響を受け、敏感に変動してしまう。そのため、反射帯域の長波長端が440nm付近に位置するように設計した場合、厚みが微量に増大することで、本来望まない波長領域をカットする可能性がある。反射波長範囲の変動に対するリスクを鑑みて、反射波長範囲を300nm以上410nm程度以下に設計し、380〜430nmの波長領域の光線を、後述の380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素による吸収と併用してカットすることが、より好ましい態様である。
積層層厚みの分布としては、フィルムの片面側から反対側の面へ向かって増加または減少する層厚み分布や、フィルムの片面側からフィルム中心へ向かって層厚みが増加した後減少する層厚み分布や、フィルムの片面側からフィルム中心へ向かって層厚みが減少した後増加する層厚み分布等が好ましい。層厚み分布の変化の方法としては、線形、等比、階差数列といった連続に変化するものや、10層から50層程度の層がほぼ同じ層厚みを持ち、その層厚みがステップ状に変化するものが好ましい。
本発明の積層フィルムは、前記金属酸化物層と交互積層層との間に厚み150nm以上の樹脂層を有することが必要である。前記金属酸化物層と交互積層層との間に厚みが150nm以上の樹脂層が存在しないと、加熱により金属酸化物層にクラックが生じてガスバリア性及び透明性を大きく損なうため、好ましくない。より好ましくは300nm以上、さらに好ましく1000nm以上である。
また、前記金属酸化物層と交互積層層との間にある樹脂層とは交互積層層の最表層であるポリエステル樹脂Aであっても構わない。その場合、最表層の厚みは、少なくとも150nm以上であり、最表層より内部の交互積層の層厚みは50nm以下であることから、最表層は層数に数えない。
本発明の積層フィルムは、前記A層、B層の少なくとも一方に紫外線吸収剤を含有していることが好ましい。本発明における紫外線吸収剤とは、波長300〜380nmの紫外線領域に最大となる極大波長を有する添加剤を指す。本発明における極大波長とは、複数の極大ピークを有する場合、最大の吸光度を有するピーク波長を指す。紫外線吸収剤および380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素は、互いの領域の一部を吸収する性能を有してもよい。例えば、375nmと390nmに極大を有する添加剤において、375nmの極大が最大である場合は紫外線吸収剤であり、390nmの極大が最大である場合は380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素と定義される。
本発明において、紫外線吸収剤、又は、380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素は、各々1種類以上単独で含有させてもよく、1種類以上の紫外線吸収剤と1種類以上の380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素を同時に含有させてもよい。紫外線吸収剤及び/又は380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素は、A層のみ、B層のみに含有させても良く、A層およびB層の両層に含有させても良い。特に、多層構造による表面析出抑制の観点から鑑みて、積層フィルムの内層に位置するB層のみに含有させる、あるいは、積層フィルムの内層に位置するB層が最外層に位置するA層に比べて含有濃度が多くなるようにすることが好ましい。最外層を含むA層のみに紫外線吸収剤および380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素を含有させる場合、含有する紫外線吸収剤がフィルム表面に析出する現象(ブリードアウト現象)、および、それが口金付近で昇華・揮散する現象が発生しやすくなり、これによってフィルム製膜機が汚染され、析出物がフィルムの製膜工程において、欠点発生などの悪影響を及ぼす場合がある。
紫外線吸収剤は、一般的に380nm以下の波長領域の紫外線を吸収する能力に特化しており、紫外線領域と可視光領域の境界近傍(380〜400nm付近)や、可視光短波長領域(400nm〜430nm)の光線を吸収する能力は優れていない。そのため、紫外線吸収剤を含有させることのみで、紫外線領域と可視光領域の境界近傍(380〜400nm付近)や可視光短波長領域(400〜430nm)の光線をカットするためには、後述する一部の長波長紫外線吸収を除いて、高濃度に含有させる必要がある。紫外線領域、および、可視光短波長領域(380nm〜430nm)の波長カットの場合、単独の紫外線吸収剤により達成可能な紫外線吸収剤としては、例として、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノールや、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
一方、380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素は、一般に、可視光短波長領域のカット性能に優れるが、紫外線領域のカット能力に乏しい。そのため、380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素のみを含有させて、紫外線領域の光線をカットするためには、後述する一部の380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素を除いて、高濃度に含有させる必要がある。また、高濃度に含有させる場合、目的とする波長領域よりもさらに長波長側の可視光領域を吸収するため、優れた透明性を実現できない。紫外線領域、および、可視光短波長領域(380nm〜430nm)の波長カットを、単独で達成可能な380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素としては、たとえば、BASF(株)製の「LumogenF Violet570」などが挙げられる。紫外線吸収剤、ならびに、380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素には、それぞれ得意とする領域が存在していることから、高濃度添加によるブリードアウト、それに伴う工程汚染を防ぐためには、1種類以上の紫外線吸収剤と1種類以上の380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素を効果的に組み合わせることがより好ましい。
本発明の積層フィルムにおいて、1種類以上の紫外線吸収剤と、1種類以上の380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素を組み合わせて、上述の光線透過率を達成する場合において利用可能な紫外線吸収剤としては、前述の2種類の紫外線吸収剤以外にも、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアジン系、ベンゾオキサジノン系、サリチル酸系、をはじめとする、多種の骨格の紫外線吸収剤を利用することが出来る。2種以上の紫外線吸収剤を併用する場合は、互いに同系の紫外線吸収剤を組み合わせてもよく、異なる系の紫外線吸収剤を組み合わせてもよい。以下に具体例を例示するが、極大波長が320nm〜380nmの波長領域に存するものに対しては化合物名の後に(※)を付している。本発明における紫外線吸収剤は、320〜380nmの間に極大吸収波長を有する紫外線吸収剤であることが好ましい。極大波長が320nmより小さい場合、長波長側の紫外線領域を十分にカットすることは難しく、また、380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素との組み合わせを行った場合であっても、波長300〜380nmにおける領域において10%以上の光線透過率を示す、カット不十分な領域を発生してしまうことが多い。そのため、波長300〜380nmの紫外線領域における光線透過率の最大値を10%以下とするためには(※)を付した紫外線吸収剤を利用することが好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール(※)、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール(※)、2−(5−ブチルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−へキシルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−オクチルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−ドデシルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−オクタデシルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−シクロヘキシルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−プロペンオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−(4−メチルフェニル)オキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−ベンジルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−へキシルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ第三ブチルフェノール(※)、2−(5−オクチルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ第三ブチルフェノール(※)、2−(5−ドデシルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ第三ブチルフェノール(※)、2−(5−第二ブチルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ第三ブチルフェノール(※)などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン(※)、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)、などが挙げられる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,6−ジ第三ブチルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジビフェニル−s−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−s−トリアジン(※)、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−s−トリアジン(※)、2−(4−イソオクチルオキシカルボニルエトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン(※)、2−(4,6−ジフェニル−s−トリアジン−2−イル)−5−(2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ)フェノールなどが挙げられる。
ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、2,2’−p−フェニレンビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(※)、2,2’−p−フェニレンビス(6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(6−クロロ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(※)、2,2’−p−フェニレンビス(6−メトキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(6−ヒドロキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(ナフタレン−2,6−ジイル)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(※)、2,2’−(ナフタレン−1,4−ジイル)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(※)、2,2’−(チオフェン−2,5−ジイル)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(※)などを挙げることができる。
その他の紫外線吸収剤として、サリチル酸系では、たとえば、フェニルサリチレート、t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等、その他では、天然物系(たとえば、オリザノール、シアバター、バイカリン等)、生体系(たとえば、角質細胞、メラニン、ウロカニン等)なども利用することが出来る。無機系の紫外線吸収剤はベースとなる樹脂と相溶せず、ヘイズの上昇につながり、画像表示した際の視認性を悪化させるため、ディスプレイ用途の積層フィルムにおいて利用することは好ましくない。
本発明に用いる紫外線吸収剤は、上記した紫外線吸収剤と基本化学構造を同じくして、酸素原子を同族の硫黄原子に置換したものを用いても良い。具体的には、エーテル基をチオエーテル基、ヒドロキシル基をメルカプト基、アルコシキ基をチオ基に変換したものを用いてもよい。硫黄原子を有する置換基を含む紫外線吸収剤を用いることで、加熱して樹脂に練り混む際に紫外線吸収剤の熱分解を抑制することが出来る。また、硫黄原子の利用、ならびに、適切なアルキル鎖を選択することにより、紫外線吸収剤間の分子間力を抑えて、融点を低下させることが可能となるため、熱可塑性樹脂との相溶性を高めることが出来る。相溶性を高めることにより、高濃度添加した場合にも、光学フィルムの重要なファクターである透明性を維持することが可能となる。
さらに、本発明で用いる紫外線吸収剤は、波長320〜380nmの波長範囲に極大吸収波長を有することに加え、紫外線吸収剤を構成する官能基のアルキル鎖が長いものが好ましい。アルキル鎖が長くなることで、分子間相互作用が抑えられて環構造のパッキングが起こりにくくなるため、フィルムを熱処理した際に、紫外線吸収剤同士が結晶構造を形成しにくくなり、フィルムの白化を抑制することに繋がる。官能基に含まれるアルキル基の長さは、18以下が好ましく、より好ましくは4以上10以下、さらに好ましくは6以上8以下である。アルキル鎖の長さが必要以上に長い場合は、反応点が分子内に埋もれて紫外線吸収剤の収率低下を招くため、現実的ではない。
紫外線吸収剤は、熱可塑性樹脂に添加剤として混練しても良く、熱可塑性樹脂の末端基や側鎖と反応させ、共重合しても良い。フィルムを構成する熱可塑性樹脂と共重合し固定することで、加熱時の分子熱運動に伴うブリードアウトを抑制することが出来るため、透明性を維持したまま、紫外線カット性能を長期にわたり保持することが可能となる。
本発明の積層フィルムにおいて、1種類以上の紫外線吸収剤と、1種類以上の380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素を組み合わせて、上述の光線透過率を達成する場合において利用可能な、380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素としては、先に述べた380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素以外も利用可能である。本発明における380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素としては、後述のハードコート層、又は、粘着層への添加目的として、溶剤に溶解可能で彩度に優れた染料を利用しても良く、染料よりも耐熱性や耐湿熱性、耐光性に優れている顔料を用いてもよい。顔料は、有機顔料、無機顔料、クラシカル顔料に大別することが出来るが、添加対象である熱可塑性樹脂との相溶性の観点から鑑みて、有機顔料を利用することが好ましい。380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素の構造としては、特に限定されないが、βナフトール系,ナフトールAS系,アセト酢酸アリールアミド系,アセト酢酸アリールアミド系,ピラゾロン系,βオキシナフトエ酸系などのアゾ系、銅フタロシアニン,ハロゲン化銅フタロシアニン,無金属フタロシアニン,銅フタロシアニンレーキなどのフタロシアニン系、その他、アゾメチン系、アニリン系、アリザリン系、アントラキノン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、イソキノリン系、インダン系、インドール系、キナクリドン系、キノフタロン系、クマリン系、ジオキサジン系、チオインジゴ系、ナフタルイミド系、ニトロン系、ペリノン系、ペリレン系、ベンジルイジン系、天然有機色素が挙げられる。
前述のとおり、380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素は、390nm以上420nm以下に極大波長を有することがより好ましい。430nmより長波長領域に極大波長を有するものを選択した場合、非常に狭帯域のカット能力を有する色素を選択しない限り、440nmにおける光線透過率が80%を下回るため、好ましくない。390nm以上420nm以下の波長帯域に極大波長を有する色素としては、アゾメチン系、インドール系,キノン系、トリアジン系、ナフタルイミド系,フタロシアニン系、ベンジルイジン系を好ましく用いることが出来る。
本発明に用いる、紫外線吸収剤及び/又は380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素としては、トリアジン骨格を有することが好ましい。トリアジン系の吸収剤は、一般に熱分解温度が高く耐熱性に優れていることから、樹脂に練り混み押出機内で長時間にわたって熱に曝された場合でも劣化を引き起こしにくい。また、吸収剤自身の揮散や表面析出が起こりにくく、オリゴマーやその他昇華性の高い添加剤などを析出させにくくする効果を奏することから、好ましく利用することができる。また、吸収係数が高いため、目的のカット性を実現するための添加濃度も少なくて済み、口金からシートの状態で吐出した場合にも製膜工程を汚染する可能性が低くなることから、有用である。
本発明の積層フィルムに、紫外線吸収剤及び/又は380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素を含有させる場合は、積層フィルムの特定の層に含有する紫外線吸収剤及び/又は380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素の含有量の和をMn[重量%]、添加した層の層厚みをTn[μm]としたとき、前記含有量の和と層厚みの積を積層フィルム全層について足し合わせたΣ(Mn×Tn)が50[重量%・μm]以下であることが好ましい。50[重量%・μm]よりも大きい場合、光線透過率が低下しフィルムの白濁度(ヘイズ値)が高くなり、液晶画像表示装置などに実装した場合に、視認性悪化の問題点を生じるため好ましくない場合がある。含有量の合計は、フィルム厚みや各種添加剤の光線吸収能に伴い変化させるものであるために下限は設けないものの、先述の通り、画像表示装置に用いる光学フィルムに要求される、偏光子や液晶分子、発光層などを保護するための紫外線カット性能を十分に有するだけの添加量が求められる。
本発明における熱可塑性樹脂中には、紫外線吸収剤や380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素以外のその他各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、有機系易滑剤、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが、本来満たすべきフィルム特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。特に、長時間光照射した場合でも光学性能が維持されることが求められる用途において、先述の380nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素のうち、鮮色を有する染料を用いる場合、紫外線吸収剤や顔料と比較して、エネルギーの強い紫外線を受けることで吸収性能を失う傾向がある。そのため、紫外線の保有するエネルギーを分子内で振動エネルギーに変換し、その変換された振動エネルギーを熱エネルギー等に変換し外部に放出する役割を有する化合物を用いることが好ましい。また、酸化防止剤あるいは一重項酸素クエンチャーなどの、光酸化劣化をエネルギー変換を介して抑制する、添加剤等を利用することも好ましい。
光安定剤は、主に光酸化で生成するラジカルを捕捉するために添加するものであり、本発明の積層フィルムに対しても、フィルム全重量に対して、0.01重量%以上1重量%以下含有することが好ましい。特に、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン環を有するヒンダードアミン系化合物が好ましく、ピペリジンの1位が、水素、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、オキシラジカル基(−O・)、アシルオキシ基、アシル基であるものが好ましく、4位は水素原子、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であるものがより好ましい。また1つの分子中に複数個の2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン環を有するものも好ましい。このような化合物としては、例えば、BASF社(旧チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社)製のTINUVIN 770DF,TINUVIN 152,TINUVIN 123や、株式会社Adeka社製のアデカスタブLA−72、アデカスタブLA−81が挙げられる。
本発明の積層フィルムにおいては、ヒンダードアミン系光安定剤に加えて、酸化防止剤及び/又は一重項酸素クエンチャーを併用することで、より光安定性を高めることが出来る。色素の光劣化は酸化反応により発生するが、酸素分子が酸化剤として機能することによりラジカル発生を伴う自動酸化、色素の励起エネルギーが酸素分子に伝播したことで酸素が一重項酸化状態となる一重項酸素酸化、さらにスーパーオキシドイオンによる酸化などが挙げられる。酸化防止剤や、励起エネルギーを逃がすためのクエンチャーなどを併用することで、これらの酸化反応をより抑制することが可能となる。
光安定剤と併用するべき酸化防止剤は、一般的に利用される酸化防止剤であれば、特に限定されないが、リン系の酸化防止剤ならびにフェノール系の酸化防止剤を好ましく利用することが出来る。また、リン系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤を併用することにより、酸化防止剤の効力を長時間持続させることが出来ることから、適宜併用系を適用することが好ましい。酸化防止剤の添加濃度は、0.01重量%以上1重量%以下添加することが好ましく、より好ましくは0.05重量%以上0.3重量%以下である。0.01重量%以下の場合は酸化防止剤としての効果が薄くなり、1重量%以上の場合は、添加過多による酸化防止剤の揮散が発生する可能性がある。
光安定剤と併用するべき一重項酸素クエンチャーは、一重項酸化状態の酸素からのエネルギー移動により一重項酸素を失活させ得る化合物であり、例えば、テトラメチルエチレン、シクロペンテン等のエチレン系化合物、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N−エチルイミダゾール等のアミン類、置換基を有するナフタレン、ジメチルナフタレン、ジメトキシアントラセン、アントラセン、ジフェニルアントラセン等の縮合多環芳香族化合物、1,3−ジフェニルイソベンゾフラン、1,2,3,4−テトラフェニル−1,3−シクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン等の芳香族化合物のほか、配位子とする金属錯体も挙げることができる。金属錯体化合物としては、ビスジチオ−α−ジケトン、ビスフェニルジチオール、およびチオビスフェノールなどの構造を配位子とする、ニッケル錯体、コバルト錯体、銅錯体、マンガン錯体、白金錯体等の遷移金属配位錯体化合物を挙げることができる。当該一重項酸素クエンチャーは、酸化劣化の対象となる吸収剤の添加量に対して、0.5重量%以上10重量%以下添加することが好ましく、より好ましくは1重量%以上8重量%以下である。また、光安定剤は、酸化防止剤および一重項酸素クエンチャーと、3種類併用して使用することが、ラジカルによる酸化劣化を効果的に防止することができるため、最も好ましい。
本発明の積層フィルムは、波長300nm〜380nmの紫外線領域における平均光線透過率が、10%以下を示すことがより好ましい。波長300nm〜380nmの紫外線領域に関しては、光エネルギーが強く、ディスプレイ内部の偏光子や液晶、発光素子など画像表示の重要な部分の劣化に大きく関与する波長領域であるため、十分に光線カットされることが望ましい。たとえば、液晶画像表示装置に利用されている偏光子は、特定の振動方向のみを有する光を透過させる機能を有するものであり、ヨウ素や二色性染料などで染色したポリビニルアルコール(PVA)系フィルムが最も多く使用されている。この偏光子は、有機材料により構成されており、特に、280〜380nmの波長範囲のエネルギーの強い紫外線を受けることで劣化が起こるため、この領域における紫外線を偏光子に届く手前で遮蔽することにより、偏光子の劣化、あるいは液晶分子の劣化を防止することが可能となる。このことから、波長300nm〜380nmにおける光線透過率は、最大値が5%以下、より好ましくは2%以下である。
本発明の積層フィルムは、前記金属酸化物層が、酸化アルミニウムと酸化亜鉛を含むことが好ましい。一般的なガスバリア性を示す金属酸化物(例えばSiOx、SiOxNyなどのシリコン酸化物)に、酸化アルミニウムを共存させると、微結晶を生成しやすい酸化亜鉛の結晶成長が抑制され粒子径が小さくなるため層が緻密化し、酸素および水蒸気の透過が抑制されやすくなる。また、酸化アルミニウムを共存させることによって、酸化亜鉛と金属酸化物を共存させる場合に比べて、より結晶成長を抑制することができるため、クラックの生成に起因するガスバリア性低下が抑制できるものと考えられる。層に含まれる成分は酸化亜鉛および酸化アルミニウムを含むのであれば特に限定されず、例えば、Al、Ti、Zr、Sn、In、Nb、Mo、Ta、Pd等から形成された金属酸化物を含んでも構わない。金属酸化物層は、酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素を含むことがより好ましく、酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素の含有量の和が金属酸化物層全体に対して80質量%以上であることがより好ましい。
本発明の積層フィルムは、前記金属酸化物を有する表面の表面粗さが5nm以下であることが好ましい。金属酸化物層が形成される表面層の平均表面粗さRaが低いほど、積層する金属酸化物層のピンホールやクラックの発生を低減できることができ、ガスバリア性の繰り返し再現性が向上するため好ましい。より好ましくは、前記金属酸化物を有する表面の表面粗さが1nm以下である。表面粗さが5nmより大きくなると、凸部においては、ピンホールやクラックが発生しやすくなり、ガスバリア性の繰り返し再現性が悪化する原因となる場合がある。本発明における平均表面粗さは、原子間力顕微鏡を用いて測定することができる。なお、表面に無機層や樹脂層が積層されている場合、X線反射率法(「X線反射率入門」(桜井健次編集)講談社p.51〜78、2009年)を使用して得られた値を層の平均表面粗さとする。前記金属酸化物層の表面粗さを5nm以下とする方法は、特に限られるものでは無いが、例えば、金属酸化物層を設ける基材層の表面粗さを小さくする(基材層の上に、0.5μm以上10μm以下の平滑なコート層を設ける)方法などが挙げられる。また、後述する通り、前記金属酸化物層と交互積層層との間に有する樹脂層を、表面平滑化を目的としてハードコート層や耐熱コート層を設けて設けてもよい。
本発明の積層フィルムは、前記金属酸化物層と交互積層層との間に有する樹脂層の熱膨張係数が2×10−5/℃未満であることが好ましい。熱膨張係数が2×10−5/℃未満であると、加熱による交互積層層の変形が金属酸化物層に影響することが抑えられ、耐熱白化が抑えられる。より好ましくは1.5×10−5/℃以下である。熱膨張係数を低く抑えるためには、一般的にスーパーエンジニアプラスチックと呼称される熱膨張係数の低い樹脂(ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーなど)を用いることや、その一部を含む樹脂を用いることが好ましい。ここで示す樹脂層は、溶融押出しにより積層したもの、カレンダリングにより積層したもの、コーティングにより積層したものなど製造方法は問わない。
本発明の積層フィルムは、前記金属酸化物層と交互積層層との間に有する樹脂層のナノインデンテーションで求められる荷重10mNにおける弾性率が2000MPa以上であることが好ましい。弾性率が2000MPa以上であると加熱による交互積層層の変形が金属酸化物層に影響することが抑えられ、耐熱白化が抑えられる。より好ましくは4000MPa以上であり、最も好ましくは5000MPa以上7000MPa以下である。弾性率高いほど加熱白化は抑制されるものの、後述するクラック伸度が低下するため高すぎても好ましくない。弾性率が2000MPa以上とするには、熱可塑性樹脂の積層だけでは困難であり、ガラス繊維を充填する方法、マイカやシリカなどの硬質の無機粒子を高濃度に添加する方法、もしくはアクリル系、ウレタン系、有機シリケート化合物、シリコーン系を分散させた溶液をコーティングして、加熱、電子線、紫外線照射などにより、三次元網状構造を形成して硬化させる方法がある。本発明においては、特にコーティングにより硬化した樹脂層を形成する方法が好ましい。これらの中でも、プラズマ熱の耐久性および鉛筆硬度の観点から、熱硬化型のアクリル系樹脂および活性線硬化型のアクリル系樹脂が好ましい。
熱硬化型のアクリル系樹脂および活性線硬化型のアクリル系樹脂としては、多官能アクリレートとアクリルオリゴマー、反応性希釈剤を含むものが好ましく例示され、その他必要に応じて光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤あるいは改質剤などが添加されていても良い。
上述したアクリル系樹脂に好適に用いられる多官能アクリレートは1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が挙げられる。かかる化合物の例としては、ペンタエリスリトールトリ( メタ) アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ) アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ( メタ) アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ( メタ) アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ) アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ( メタ) アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能アクリレートは、1種または2種以上を混合して使用することができる。また、本発明において、多官能アクリレートには、多官能アクリレートの変性ポリマーを含んでもよい。
アクリルオリゴマーは、数平均分子量が、100〜5000であって、分子内に少なくとも1つの反応性のアクリル基が結合されたものである。骨格としてはポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエポキシ系樹脂、ポリエーテル系樹脂などが挙げられる。また、前記の骨格にはメラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格のものであっても良い。
反応性希釈剤は、塗布剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
紫外線による架橋の場合には、光エネルギーが小さいため、光エネルギーの変換や反応の促進のため、光重合開始剤および、または光増感剤を添加することが好ましい。
本発明の積層フィルムは、金属酸化物層の上に、フィルムの凹み防止の目的で保護コート層を設けてもよい。保護コート層の材料は、密着性、透明性を考慮するとポリアクリル樹脂やポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、厚さは0.01〜1μm程度である。1μmを超えると均一に硬化して成膜させることが出来ず、逆に表面性が悪くなってガスバリア性が低下する。0.01μm以下では保護コート層の効果は得られない。だが、この保護コート層だけでは耐熱白化は防止することはできないため、前述の前記金属酸化物層と交互積層層との間に厚み150nm以上の樹脂層がこの役目を担持しているとなおよい。
本発明の積層フィルムは、クラック伸度が20%以上であることが好ましい。クラック伸度とは、後述する測定方法により求められるものであり、ハードコートのような硬化性樹脂を積層したフィルムを延伸した際に、ある伸度からその変形に追従できなくなり、視認できるほどの亀裂模様が発生するまでの限界伸度を示している。
本発明の積層フィルムは、紫外線領域だけでなく、紫外線領域と可視光領域の境界近傍(410nm付近)の光線をカットし、かつ、可視光領域に高い光線透過率を有するため、ディスプレイなどの表示装置用途に好適に用いられる。ディスプレイ表示装置は、LCDやOLEDに大別され、ガラス基板を用いた折り曲げられないリジット型と、樹脂フィルム基板を用いた折り曲げられるフレキシブル型がある。本願発明は、フィルム状のため、フレキシブル型に好適に使用できる。また、本願発明は、素子を保護する観点から、車載ディスプレイや屋内外に用いられるデジタルサイネージ用途に好適である。
ディスプレイ表示装置用途フィルムとしては、たとえば、液晶画像表示装置の場合、偏光板を構成する偏光子保護フィルムや位相差フィルム、アンチグレアやクリアハードコート有するディスプレイ前面に位置する各種表面処理フィルム、バックライト直前に位置する輝度向上フィルム、反射防止フィルム、透明導電性フィルムなどが挙げられる。
本発明の積層フィルムは、ガスバリア性も有していることから、有機ELシートや量子ドット蛍光体シートにも好適に使用することができる。蛍光体シートの場合は、発光層の前面に位置する円偏光板を構成するλ/4位相差フィルムや偏光子保護フィルム、ディスプレイを構成した場合に長期間にわたって優れた外観を得ることができる量子ドット保護フィルムなどが挙げられる。優れた紫外線カット性およびガスバリア性を持つ積層フィルムを使用することにより、有機ELや量子ドットを用いた蛍光体の劣化を抑制し、結果として高効率かつ高精細、長寿命のディスプレイが得られる。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるものではない。
ポリエステル樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギアポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などが取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたフィルムは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させたりする方法も好ましい。
また、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、微細スリットを有するフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物発生量が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。
また、フィードブロックのスリット構成を最表層が厚くなるように設計して、最終的に得られたフィルムの最表層厚みを150nm以上とするようにしても良い。より効果を高めるために、3台の押し出し機を用いて、ポリエステル樹脂Aのポリエステル樹脂Bの交互積層層の最表層に樹脂Cを積層する形態も好ましい。
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層体をダイへと導き、上述の通りキャスティングフィルムが得られる。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、つづいて長手方向および幅方向に二軸延伸されることが好ましい。延伸は、逐次に二軸延伸しても良いし、同時に二軸延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃の範囲内に設定することが好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
つづいて幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、低配向角およびフィルムの熱寸法安定性を付与するために熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理などを併用してもよい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
以上のようにして得られた積層フィルムは、巻き取り装置を介して必要な幅にトリミングされ、巻き取り皺が付かないようにロールの状態で巻き取られる。なお、巻き取り時に巻姿改善のためにフィルム両端部にエンボス処理を施しても良い。
本発明の積層フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、1〜500μmであることが好ましい。ディスプレイ用途フィルムの近年の薄膜化傾向に則ると、40μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μmであり、さらに好ましくは15μm以下である。下限はないものの、紫外線および可視光短波長領域の十分なカット性を薄膜に付与するためには、ある程度の厚みを有する必要があり、現実的には10μm以上の厚みであることが好ましい。10μmより薄い場合、目的の光学性能を付与できないほか、後述の金属酸化物層や層間の樹脂層を設けた際に、硬化処理に伴い積層フィルムがカールを生じる場合がある。
本発明の積層フィルムは、最表層の上部に耐熱白化性を付与するために、熱膨張係数の低い樹脂、硬化性樹脂を設けてなることが好ましい。その方法としては、ラミネートする方法や溶液をコーティングする方法、上述の共押出により一体形成する方法などがあり、樹脂の特性に合わせて選択できるものである。加えて、架橋性の高いハードコート層を積層することで、積層フィルム内部に含まれているオリゴマーや添加剤などの析出を抑制することが出来る。
ハードコート層の構成成分として用いられる活性エネルギー線硬化型樹脂は、該活性エネルギー線硬化型樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(メタクロイルチオフェニル)スルフィド、2,4−ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,3,5−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、ビス(4− (メタ)アクリロイルオキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルフィド、ジ((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フォスフェート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フォスフェートなどの多官能(メタ)アクリル系化合物を用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いることが出来る。
また、これら多官能(メタ)アクリル系化合物とともに、活性エネルギー線硬化型樹脂の硬度、透明性、強度、屈折率などをコントロールするため、スチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、N−ビニルピロリドン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジメタリルフタレート、ジアリルビフェニレート、あるいはバリウム、鉛、アンチモン、チタン、錫、亜鉛などの金属と(メタ)アクリル酸との反応物などを用いることができる。これらは1種もしくは2種以上を用いてもよい。
活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させる方法として、例えば、紫外線を照射する方法を用いることができるが、この場合には、前記化合物に対し、0.01〜10重量部程度の光重合開始剤を加えることが望ましい。
本発明に用いる活性エネルギー線硬化型樹脂には、塗工時の作業性の向上、塗工膜厚のコントロールを目的として、本発明の効果を損なわない範囲において、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンなどの有機溶剤を配合することができる。
本発明において活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる電磁波を意味し、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などを用いることができる。また、電子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが、光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点から有利である。
熱硬化性ウレタン樹脂としては、ポリカプロラクトンセグメントならびにポリシロキサンセグメントおよび/またはポリジメチルシロキサンセグメントを有する共重合体樹脂を、イソシアネート基を有する化合物と熱反応により架橋させた樹脂が好ましい。熱硬化性ウレタン樹脂を適用することで、ハードコート層を強靭にすると同時に弾性回復性を助長することが可能となり、耐擦傷性を積層フィルムに付加することが可能となる。
熱硬化性ウレタン樹脂を構成するポリカプロラクトンセグメントは、弾性回復の効果を奏するものであり、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオールや、ラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレートなどのラジカル重合性ポリカプロラクトンを用いることが出来る。
熱硬化性ウレタン樹脂を構成するポリシロキサンおよび/またはポリジメチルシロキサンセグメントは、これらの成分が表面配位することで表面の潤滑性を向上し、摩擦抵抗を低減する効果を奏する。ポリシロキサンセグメントを有する樹脂としては、テトラアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ‐メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランなどを用いることができる。一方、ポリジメチルシロキサンセグメントを有する樹脂としては、ポリジメチルシロキサンセグメントに種々のビニルモノマー、たとえば、メチルアクリレート、イソブチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、などが共重合された共重合体を好ましく用いることが出来る。
熱硬化性ウレタン樹脂からなるハードコート層は、任意の温度で樹脂や化合物同士を連結反応させ、層内の溶媒を揮発させると同時に熱架橋することで形成される。ハードコート層の熱架橋反応を促進させるため、加熱工程における温度は150℃以上であることが好ましく、より好ましくは160℃以上である。加熱温度は高温であることが好ましいが、基材の熱収縮による収縮シワの発生などを考慮すると170℃以下で熱処理することが好ましい。加熱時間は、1分間以上、好ましくは2分間以上であり、上限は特に定められるものではないが、積層フィルムの寸法安定性や透明性の観点から5分間以内とすることが好ましい。このようにして、高温で短時間熱処理された積層シートは、20℃〜80℃の温度で3日以上、より好ましくは7日以上エージング処理を行うことが、ウレタン結合を増やして積層シートの伸度を向上させる点で好ましい。
ハードコート層の厚みは、使用方法により適切に調整されるべきであるが、耐白化性を付与する場合であれば、厚みは0.05〜1μmの範囲であることが好ましく、耐傷性や凹み防止などの機能も担持するのであれば1〜6μmであることが好ましい。ハードコート層の厚みが6μmより厚い場合、コーティング基材を硬化させる際に積層フィルムがハードコート層の硬化収縮力に負けて、積層シートのカールが強く発生する場合がある。
熱膨張係数の低い樹脂、硬化性樹脂には、前述した種々の紫外線吸収剤を添加してもよい。分けて添加することで、樹脂内に添加する紫外線吸収剤の添加量を減少させることが出来、樹脂押出時に発生するブリードアウト現象を抑制することが出来るため好ましい。
ポリエステルフィルム上に金属酸化物層を形成する方法は特に限定されず、各種無機混合焼結材料を使用して、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって形成することができる。本発明においては、特に、酸化亜鉛とシリコン酸化物(二酸化ケイ素)と酸化アルミニウムの単体材料を使用する場合は、酸化亜鉛とシリコン酸化物(二酸化ケイ素)と酸化アルミニウムをそれぞれ別の蒸着源またはスパッタ電極から同時に成膜し、所望の組成となるように混合させて形成することができる。これらの方法の中でも、本発明に使用する金属酸化物層の形成方法は、ガスバリア性と形成した層の組成再現性の観点から、混合焼結材料を使用したスパッタリング法がより好ましい。
以下、実施例に沿って本発明について説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。各特性は、以下の手法により測定した。
(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)層厚み、積層数、積層構造、積層比
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、RuOやOsOなどを使用した染色技術を用いた。また、1枚の画像に取り込められるすべての層の中で最も厚みの薄い層(薄膜層)の厚みにあわせて、薄膜層厚みが50nm未満の場合は10万倍、薄膜層厚みが50nm以上500nm未満である場合は4万倍、500nm以上である場合は1万倍の拡大倍率にて観察を実施し、層厚み、積層数、積層構造を特定した。また、積層比は、平均層厚みが65nm未満の(A層の厚みの総和/B層の厚みの総和)とする。
(2)層厚みの算出方法
(1)項で得られたTEM写真画像を、CanonScanD123Uを用いて画像サイズ720dpiで取り込んだ。画像をビットマップファイル(BMP)もしくは、圧縮画像ファイル(JPEG)でパーソナルコンピューターに保存し、次に、画像処理ソフト Image−Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ1でデータ採用した後に、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBA(Visual Basic for Applications)プログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
(3)光線透過率
日立製の分光光度計U−4100を使用した。積分球を取り付け、酸化アルミニウム標準白色板(本体付属)の反射を100%としたときの、300〜450nm波長範囲での相対透過率を測定した。波長410nmでの透過率の値を読み取り、波長300〜380nmの範囲に対しては、該範囲での平均光線透過率を読み取った。条件として、スキャン速度を600nm/min,サンプリングピッチを1nmに設定し、連続的に測定した。
(4)最大反射率
日立製の分光光度計U−4100を使用した。積分球を取り付け、酸化アルミニウム標準白色板(本体付属)の反射を100%としたときの、300〜410nm領域での相対反射率を測定し、該範囲での最大反射率を求めた。条件として、スキャン速度を600nm/min,サンプリングピッチを1nmに設定し、連続的に測定した。
(5)表面粗さ
原子間力顕微鏡を用いて、以下の条件で[A]層である架橋樹脂層表面について測定した。
システム:NanoScopeIII/MMAFM(デジタルインスツルメンツ社製)
スキャナ:AS−130(J−Scanner)
プローブ:NCH−W型、単結晶シリコン(ナノワールド社製)
走査モ−ド:タッピングモ−ド
走査範囲:10μm×10μm
走査速度:0.5Hz
測定環境:温度23℃、相対湿度65%、大気中。
(6)水蒸気透過率(g/(m・d))
温度40℃、湿度90%RH、測定面積50cmの条件で、英国、テクノロックス(Technolox)社製の水蒸気透過率透過率測定装置(機種名:DELTAPERM(登録商標))を使用して測定した。サンプル数は水準当たり2検体とし、測定回数は各検体について5回とし、得られた10点の平均値を水蒸気透過率(g/(m・d))とした。
(7)金属酸化物層の組成
金属酸化物層の組成分析はICP発光分光分析(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、SPS4000)により行った。試料を、硝酸および硫酸で加熱分解し、希硝酸で加温溶解してろ別した。不溶解分は加熱灰化したのち、炭酸ナトリウムで融解し、希硝酸で溶解して、先のろ液とあわせて定容とした。この溶液について、亜鉛原子、ケイ素原子の含有量を測定した。次に、この値をもとにさらにラザフォード後方散乱法(日新ハイボルテージ(株)製AN−2500)を使用して、亜鉛原子、ケイ素原子、硫黄原子、酸素原子を定量分析し硫化亜鉛と二酸化ケイ素の組成比を求めた。
(8)熱膨張係数
熱膨張係数は、3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から265℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(線熱膨張係数)を求めた。
(9)弾性率
微小圧縮試験機 MCTW−500((株)島津製作所製)にて以下の方法にて測定、算出した。圧子はダイヤモンド製三角錐圧子(稜間角度115°)を用い、負荷速度0.892mN/s、最大負荷10mN、試験温度25℃の条件にて測定した。弾性率Eは、測定により得られた荷重−変位曲線により以下の式および図1を用いて算出した。
E = S/2×√(π/Ac)
S = (dP/dh)×Pmax
投影断面積 : Ac=24.5(定数)×hc
接触深さ : hc=0.75(定数)×hmax
(10)クラック伸度
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの短形に切り出し、サンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を10mm/分として、目視にて保護層のクラック発生状態を確認しつつ、最大伸度150%まで引張試験を行った。このクラックが発生した伸度をクラック発生伸度とし、n10回の平均値を採用した。150%まで延伸してクラックが発生しない場合を150<と表記した。
(11)耐熱白化性
積層フィルムを150×150mmの金属枠に固定した状態で、熱風オーブン中で150℃・30分間加熱した後、金属酸化物層を目視で観察して以下の判定を行った。
◎:加熱前と比べて変化なく、フィルム表面に白化や表面形状の悪化が全く生じていない
○:加熱前と比べると、フィルム表面に白化は生じていないものの、わずかにフィルム形状に微細な変化(皺・たわみなど)が見られた。
△:加熱前と比べると、フィルム表面に白化は生じていないものの、フィルム形状に微細な変化(皺・たわみなど)が見られた。
×:フィルム表面に白化が見られる。もしくは非常に大きな皺や波うちが見られた。
(実施例1)
ポリエステル樹脂Aとして、融点が258℃のポリエチレンテレフタレート(PET)(屈折率1.58)を用いた。またポリエステル樹脂Bとして融点を持たない非晶性樹脂であるシクロヘキサンジカルボン酸20mol%ならびにスピログリコール15mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/SPG15/CHDC20)(屈折率1.55)を用いた。ポリエステル樹脂B内には、分子量が700g/molのトリアジン系紫外線吸収剤(2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−s−トリアジン)を、樹脂Bを主成分とするB層を構成する樹脂組成物に対して10wt%となるように添加した。準備したポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bをそれぞれ、2台の単軸押出機に投入し、前者は280℃、後者は260℃で溶融させて、混練した。次いで、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて計量しながら、フィードブロックにて合流させて、積層比1.0の厚み方向に交互に501層積層された積層体とした。ここでは、スリット長さは階段状になるように設計し、間隔は全て一定とした。得られた積層体は、ポリエステル樹脂A層が251層、ポリエステル樹脂B層が250層で構成されており、厚み方向に交互に積層されていた。また、最表層は、ポリエステル樹脂Aが交互積層層の1層あたりの厚みの約3倍の厚み(160nm)となるように設計している。フィルム厚みは該積層体をTダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度が25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸の積層キャストフィルムを得た。
得られた積層キャストフィルムを、100℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、フィルム長手方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この積層一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、そのフィルム両面の処理面に(#4のメタバーで易滑層となる粒径100nmのコロイダルシリカを3wt%含有した酢酸ビニル・アクリル系樹脂を含有した水系塗剤をコーティングし(以後、コーティングを行うとは、前記内容を意味する。))、透明・易滑・易接着層を形成した。
この積層一軸延伸フィルムをテンターに導き、90℃の熱風で予熱後、140℃の温度でフィルム幅方向に3.3倍延伸した。ここでの延伸速度と温度は一定とした。延伸した二軸延伸フィルムは、そのまま、テンター内で220℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度条件で幅方向に2%の弛緩処理を施し、その後巻き取ることで、ポリエステルフィルムを得た。
スパッタリング装置を使用し、酸化亜鉛と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムを組成質量比77/20/3で形成された混合焼結材(表ではZnO・SiO・Alと表記)であるスパッタターゲットをスパッタ電極に設置してアルゴンガスおよび酸素ガスによるスパッタリングを実施し、ポリエステルフィルムのスパッタ電極側の面上に、金属酸化物層を設けた。このとき、真空度0.2Paとなるように酸素ガス分圧10%としてアルゴンガスおよび酸素ガスを導入し、直流電源により投入電力4000Wを印加することにより、アルゴン・酸素ガスプラズマを発生させた。また、成膜厚みは、フィルム搬送速度により調整した。
得られた積層フィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。多層積層構造による反射と添加した紫外線吸収剤の吸収の効果により、優れたUVカット性を示した。耐熱白化性については、白化はなかったもののフィルム全体にたわみが発生していた。
(実施例2)
最表層の厚みを、交互積層層の1層あたりの厚みの約6倍の厚み(320nm)となるようにフィードブロックのスリット間隙を調整した以外は実施例1と同様にした。得られた積層フィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。耐熱白化性については、白化はなかったもののフィルム全体にたわみが発生していた。
(実施例3)
最表層の厚みを、交互積層層の1層あたりの厚みの約20倍の厚み(1050nm)となるようにフィードブロックのスリット間隙を調整した。また、最表層厚みの増加に伴い、フィルム厚みを32μmに厚くした以外は実施例1と同様にした。得られた積層フィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。最表層厚みの増加に伴い、耐熱白化試験によって発生していたたわみは軽減した。
(比較例1)
スリット間隙が全て均等な5層のフィードブロックを用いた以外は実施例1と同じにした。得られた積層フィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。最表層含めすべての層厚みが約6000nmであった。層厚みが非常に厚いことにより、耐熱白化性は全く問題なかったものの、紫外線反射効果がないために、UVカット性は不十分であった。(表中、金属酸化物層と交互積層層との間の樹脂層の項に記載されている値は、5層積層フィルムの最表層の値を示している。)
(比較例2)
最表層の厚みを、交互積層層と同じとなるようにフィードブロックのスリット間隙を調整した以外は実施例1と同様にした。得られた積層フィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。金属酸化物層と交互積層層との間の樹脂層(ここでは交互積層層の最表層に該当する)の厚みが薄いために、耐熱白化試験によって顕著な白化が生じた。
(実施例4)
ポリエステル樹脂B層に紫外線吸収剤を添加せずに、実施例2と同様の手法でフィルムを作成した。得られた積層フィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。耐熱白化性は良好で、フィルムは無色透明ではあるが、実施例3と比べるとUVのシャープカット性に劣るものであった。
(実施例5)
比較例2の交互積層層の表層に、住友化学製ポリエーテルスルホン樹脂(表中ではPESと表記:スミカエクセル4100P)をN−メチル−2―ピロリドン中に溶解させた溶液をダイコート法を用いて塗布した後、熱風オーブンにて180℃10分加熱し、厚み0.15μmの耐熱層を形成し、その上に、同様の方法にて金属酸化物層を形成した。得られた積層フィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。耐熱層の形成により、耐熱白化試験は良化した。
(実施例6)
アルドリッヒ製のポリエーテルイミドを(表中ではPEIと表記)をN−メチル−2―ピロリドン中に溶解させた溶液をバーコーターを用いて塗布した後、熱風オーブンにて180℃10分加熱し、厚み0.15μmの耐熱層を形成した以外は実施例5と同様に行った。得られた積層フィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。耐熱層の形成により、耐熱白化試験は良化した。
(実施例7)
比較例2の交互積層層の表層に、新中村化学工業製のアクリルウレタン系ハードコートのUA−122PとU−15HAと光開始剤のイルガキュア184を49/49/2の質量比で混合した後、MEKで溶解させ、のバーコーターで下記ハードコート塗液を均一に塗布した。これを搬送速度5m/分、400W/cmの条件にてUV照射を行い厚み0.15μmのハードコート層を形成し、その上に、同様の方法にて金属酸化物層を形成した。得られた積層フィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。硬化層の形成により、耐熱白化試験は良化した。
(実施例8)
ハードコート層の厚みを1μmとした以外は実施例7と同様に行った。得られた積層フィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。硬化層の厚膜化により耐熱白化試験はさらに良化した。
(実施例9)
比較例2の交互積層層の表層に、アイカ工業製のアクリルウレタン系ハードコートのZ−700K−2と光開始剤のイルガキュア95/5の質量比で混合した後、#3のバーコーターで下記ハードコート塗液を均一に塗布した。これを搬送速度5m/分、400W/cmの条件にてUV照射を行いハードコート層を形成し、その上に、同様の方法にて金属酸化物層を形成した。得られた積層フィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。より高硬度の硬化層の形成により、耐熱白化試験は良化した。
(実施例10)
比較例2の製造ラインに3台目の単軸押出機を加え、融点266℃のポリエチレンナフタレートを交互積層層の両表層に、交互積層層の1層あたりの厚みの約5倍の厚み(300nm)となるように積層した。それ以外は比較例2と同様にした。得られた積層フィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。再表層樹脂の弾性率の増加に伴い、耐熱白化性はさらに良化した。
(比較例3)
金属酸化物形成を行わなかった以外は比較例2と同様に行った。得られた積層フィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。耐熱白化自体生じなかったものの、水蒸気透過率が高く、目的とする用途に絶えないものであった。
(比較例4)
901層のフィードブロックを使用し、交互積層層の厚みが70~175nm、交互積層層の最表層厚みが360nm、フィルム厚み85μmとなるように調整した以外は実施例1と同様にした。得られた積層フィルムは表2に示すとおりの物性を示すものであった。耐熱白化性は良好であるが、300~410nmの反射率効果がなく、UVカット性能に劣るものであった。(表中、金属酸化物層と交互積層層との間の樹脂層の項に記載されている値は、厚みが360nmの最表層の値を示している。)
Figure 2019059069
Figure 2019059069
本発明の積層フィルムは、波長410nm以下の光線をシャープにカットする紫外線カット性とガスバリア性に優れる。そのため、本発明の積層フィルムは、紫外線と空気曝露に弱いディスプレイ等の画像表示装置に内蔵されるフィルムとして好適に用いることが出来る。
S:接線の傾き
Pmax:最大荷重
hc:接触時の押込み深さ
hf:除荷後の押込み深さ
hmax: 最大荷重時の押込み深さ

Claims (10)

  1. ポリエステル樹脂Aを主成分とする層(A層)と、ポリエステル樹脂Aとは異なるポリエステル樹脂Bを主成分とする層(B層)が厚み方向に交互に50層以上積層されてなる交互積層層と、金属酸化物層を有する積層フィルムであって、前記交互積層層の1層あたりの層厚みがいずれも60nm以下であり、
    前記金属酸化物層が少なくとも片側表層にあり、前記金属酸化物層が表層にある側から測定した入射角度10°の反射スペクトルにおいて波長300〜410nmの最大反射率が20%以上であり、前記金属酸化物層と交互積層層との間に厚み150nm以上の樹脂層を有する積層フィルム。
  2. 前記A層、B層の少なくとも一方に紫外線吸収剤を含有する請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記金属酸化物層が、酸化アルミニウムと酸化亜鉛を含む請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記金属酸化物を有する表面の表面粗さが5nm以下である請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記金属酸化物層と交互積層層との間に有する樹脂層の熱膨張係数が2×10−5/℃未満である請求項1から4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記金属酸化物層と交互積層層との間に有する樹脂層のナノインデンテーションで求められる荷重10mNにおける弾性率が2000MPa以上である請求項1から5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. クラック伸度が20%以上である請求項1から6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 有機ELシートに用いる請求項1から7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. 量子ドット蛍光体シートに用いる請求項1から7のいずれかに記載の積層フィルム。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルムを含んでなる表示装置。
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