JP2019061241A - 画像表示装置 - Google Patents

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久登 松居
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Abstract

【課題】紫外線、可視光短波長の光線および近赤外線を画像表示装置の視認側前面位置で同時に遮蔽することで、画像表示装置を構成する内容物を保護し、色相や白濁度(ヘイズ)をはじめとする光学性能を長期にわたり維持可能な、可視光透過率に優れた高透明な積層ポリエステルフィルムを有する画像表示装置を提供する。【解決手段】保護層8、積層ポリエステルフィルム7、偏光子5がこの順番で、表示パネル部とバックライト光源1の上、または、自発光表示パネル部の上に配置された画像表示装置であって、積層ポリエステルフィルム7が、結晶性ポリエステルAを主成分とする層と、結晶性ポリエステルAと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とする層を交互に51層以上積層してなり、波長300nm以上380nm以下における平均光線反射率が15%以上、かつ、波長800nm以上1200nm以下における平均光線反射率が15%以上である画像表示装置。【選択図】図1

Description

本発明は、紫外線、可視光短波長の光線、および近赤外線を同時に反射可能な積層ポリエステルフィルムを含む画像表示装置に関する。
熱可塑性樹脂フィルム、中でもポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから磁気記録材料、包装材料、ディスプレイ用光学材料などの多岐の用途にわたって使用されている。特に、ディスプレイ用途では、使用位置やその目的に応じて多種多様な光学フィルムが適用されており、たとえば液晶ディスプレイ用途では、透明導電フィルム、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、反射フィルムなどが利用されている。近年では、フラットパネルディスプレイ、タッチパネル分野、および車載ディスプレイ用途において、低コスト化や低消費電力化などのローエンド特性に加え、高画質や広色域化などのハイエンド特性に効果を奏する、光学フィルムの需要が高まっている。さらに、折り畳み型やロール型などのフレキシブルディスプレイの需要も強まり、ディスプレイの薄型化・小型化を目的として、各種光学フィルムの薄膜化要求ならびに機能統合によるフィルムレスの流れも高まっている。
ディスプレイの構成に着目すると、液晶ディスプレイの場合はバックライト光を直線偏光に変換する目的で、また、有機ELディスプレイの場合は外光の反射防止の目的で、それぞれディスプレイの視認側位置に偏光板が用いられている。これら偏光板内に用いる偏光子として、一般的にポリビニルアルコール(PVA)が使用されるが、PVAは外部から侵入する紫外線により劣化することが知られており、紫外線カット性を有することが必要である。
紫外線カット性をフィルムに付与する手法として、紫外線吸収剤の添加が主に利用されている(特許文献1)。しかしながら、フィルム内部に紫外線吸収剤を添加する場合、紫外線吸収剤の種類や添加濃度に応じて、フィルム製膜時に口金付近や真空ベント口でブリードアウト現象が発生するため、製膜工程の汚染が発生してフィルムに欠点が生じる、実質上の紫外線吸収剤添加濃度が低下してカット性能が弱まるなど、フィルム自体の品位を損なう問題点が生じる。特に、薄膜フィルムで現行の光学フィルムと同様の紫外線カットを達成する場合、吸収性能はフィルムの厚みと添加濃度の積で表されることから、紫外線吸収剤の高濃度添加を避けることが出来ず、製膜装置の汚染および過酷な長期信頼性試験後でのフィルム表面への吸収剤析出による品位低下が顕著になる問題点が発生する。
車載ディスプレイやデジタルサイネージをはじめとする屋外使用タイプのディスプレイの場合は、紫外線の影響を常時受けるため、より強い紫外線カット性が求められる。特に、波長380nmまでの紫外線を完全にカットすることが求められるが、一般的な紫外線吸収剤を利用する場合、可視光線を吸収しない目的で長波長側の紫外線吸収性能が弱いことが多く、完全な紫外線カットのためには紫外線吸収剤の高濃度添加が避けられないため、前記の製膜工程上の問題等を生じてしまう。このとき、単膜フィルム構成や低積層数の場合は、吸収剤ブリードアウトを抑制する機構が乏しく、長期での耐熱試験や耐湿熱試験での品位低下の問題が顕著となる。極端に厚みを増加させることで、吸収剤の添加濃度を減少できるため、前記問題点は解決可能であるが、市場の小型化・薄型化の要求に反し、画像表示装置の厚みが増加するため好ましくない。
紫外線を十分にカットする手法の一つとして、波長380nm以上440nm以下に極大吸収ピークを有する可視光短波長領域の吸収に特化した、染料や顔料などの色素を利用することも考えられる(特許文献2)が、広い波長帯域にわたって吸収性能を有するものが多く、添加濃度を多くすると画像視認において好ましくない色付きが発生する問題が生じる。
また、屋外用途の場合、太陽から降り注ぐ熱線がパネルに直射することで、ディスプレイ内部の温度が上昇し、ディスプレイ部材が長期使用時に熱で黒変する、装置が誤作動を起こすなどの問題が生じる。対策として装置内に空気を循環させるなどの物理的な手法が用いられる(特許文献3,4)が、ファンなどを設ける空間が必要となるため、画像表示装置全体としてより嵩高いものとなり、薄型化のトレンドが好まれる現実とは相反するものとなる。また、熱線を受けてパネル内の温度が上昇すると、ディスプレイ用光学フィルムに添加されている紫外線吸収剤などの各種添加物が表面に析出し、内容物の劣化を招いたり、析出物による白化が画質の悪化を招く可能性がある。そのため、熱線をディスプレイ前面において遮蔽することが望まれる。ディスプレイ前面における熱線カットの方法として、熱線吸収剤を添加した膜を表面に形成する手法が利用されている(特許文献5)が、吸収された熱は蓄熱され、別波長の輻射熱線として新たに放熱されるため、広義的に見ると熱線を遮断できているとは言えない。
特開2013−210598号公報 特開2014−115524号公報 特開2012−159636号公報 国際公開第2012/140714号 特開2006−184531号公報
そこで、本発明では上記の欠点を解消し、紫外線、可視光短波長の光線および近赤外線を画像表示装置の視認側前面位置で同時に遮蔽することで、画像表示装置を構成する内容物を保護し、色相や白濁度(ヘイズ)をはじめとする光学性能を長期にわたり維持可能な、可視光透過率に優れた高透明な積層ポリエステルフィルムを有する画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明は次の構成からなる。すなわち、
(a)保護層、積層ポリエステルフィルム、偏光子、表示パネル部、バックライト光源、または、(b)保護層、積層ポリエステルフィルム、偏光子、自発光表示パネル部がこの順で配置された画像表示装置であって、前記積層ポリエステルフィルムが、結晶性ポリエステルAを主成分とするA層と、前記結晶性ポリエステルAと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層が交互に51層以上積層する構成を有しており、当該積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面が波長300nm以上380nm以下における平均光線反射率が15%以上、かつ、波長800nm以上1200nm以下における平均光線反射率が15%以上である、画像表示装置である。
本発明の画像表示装置は、紫外線、可視光短波長の光線、ならびに近赤外線を同時に反射可能な積層ポリエステルフィルムを各種画像表示部材(表示パネル部)よりも前面に配置する事で、紫外線や熱線を強く受ける屋外においても長期にわたりクリアな画像表示を実現でき、さらに画像表示装置全体の薄型化トレンドにも貢献可能となる効果を奏する。
保護層、積層ポリエステルフィルム、偏光子、表示パネル部、バックライト光源をこの順で配置された、本発明の画像表示装置を示す模式図である。 保護層、積層ポリエステルフィルム、偏光子、自発光表示パネル部をこの順で配置された、本発明の画像表示装置を示す模式図である。 本発明の輝度向上フィルムの概略図である。 本発明の画像表示装置を好適に利用できるヘッドアップディスプレイの一態様を示す模式図である。 本発明の画像表示装置を好適に利用できるヘッドアップディスプレイの一態様を示す模式図である。
以下、本発明の画像表示装置について詳細に説明する。
本発明の画像表示装置は、(a)保護層、積層ポリエステルフィルム、偏光子、表示パネル部、バックライト光源、または、(b)保護層、積層ポリエステルフィルム、偏光子、自発光表示パネル部がこの順で配置された画像表示装置であって、前記積層ポリエステルフィルムが、結晶性ポリエステルAを主成分とするA層と、前記結晶性ポリエステルAと異なる熱可塑性樹脂Bが交互に51層以上積層する構成を有しており、当該積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面が波長300nm以上380nm以下における平均光線反射率が15%以上、かつ、波長800nm以上1200nm以下における平均光線反射率が15%以上であることが必要である。
本発明で述べるところの画像表示装置とは、(a)保護層、積層ポリエステルフィルム、偏光子、表示パネル部、バックライト光源、または、(b)保護層、積層ポリエステルフィルム、偏光子、自発光表示パネル部がこの順で配置されていることが必要である。それぞれの画像表示装置の代表的な構成を図1,図2に記載する。なお、各図に記載されていない各種機能を有する光学フィルムが、その機能を十分に発揮される配置で適宜積層されていてもよい。
本発明の画像表示装置における保護層とは、画像表示装置を温度や湿度をはじめとする外部環境から保護するための部材を指す。保護層を構成する部材は、適用する画像表示装置に必要な耐候性や透明性、強度などを有していれば、材質や厚みは特に限定されないが、光学グレードのガラス材料、もしくはプラスチック材料であることが好ましい。また、保護層は透明であることが好ましい。保護層の厚みは、一般的に、0.2mm以上20mm以下であればよく、好ましくは、0.5mm以上5mm以下である。0.2mmより薄い場合は、強度に乏しくクラックが発生しやすくなるため最表面の保護層に適さず、20mmより厚い場合は、薄型化トレンドに逆行した大型の画像表示装置となるため好ましくない。保護層の上側(視認側)には、特に記載はないが、アンチグレア性、撥油性、防汚性、自己修復性、青色光カット、ハードコートなどの各種機能を有する加工層もしくは、当該加工を施した表面処理フィルムが積層されていてもよい。表面処理フィルムは単膜フィルムであっても良く、複数の樹脂を積層した積層構造を有するフィルムであっても良い。
本発明の画像表示装置における積層ポリエステルフィルムは、保護層と偏光子の間に配置されてなる事(偏光子や表示パネル部よりも外面/視認側にあること)が必要である。本発明の積層ポリエステルフィルムは、後述の通り、外部からの紫外線や熱線から画像表示装置を構成する内容物の劣化を保護するための役割を担う必要があるため、当該波長の光線で劣化する偏光子、液晶分子や自発光分子よりも、上側(視認側)に配置される事が必要となる。そのため、本発明の積層ポリエステルフィルムは、偏光板よりも視認側に位置し、偏光子の劣化を抑制する機能を有することが好ましい。保護層と積層ポリエステルフィルムの間、もしくは、積層ポリエステルフィルムと偏光子の間には、透明導電層を有するタッチパネル基材や偏光子保護層などの機能性光学フィルムが配置されていても良い。また、薄型化やフィルムレスのトレンドを鑑みると、積層ポリエステルフィルムが紫外線や熱線などの光線反射の効果を有しながら、導電性タッチパネル部材の基材および/または偏光子保護層としての役割も兼用し、1枚のフィルムで複数のフィルムの機能を兼ねてなることがより好ましい。積層ポリエステルフィルムの特性については、後述する。
本発明の画像表示装置における偏光子とは、各画像表示装置の最も上側(視認側)に位置する偏光板に含まれる偏光子を指す。偏光子は、吸収型、反射型、薄膜型、複屈折型などが挙げられ、特に限定されるものではないが、偏光板を構成する偏光子は吸収型偏光子が一般的に使用される。吸収型偏光子は、特定の振動方向の光のみを透過させる機能を有するものであり、ヨウ素や二色性染料などで染色したポリビニルアルコール(PVA)系フィルムが汎用的に使用されている。この吸収型偏光子は、有機材料により構成されているため、特に、波長280nm以上380nm以下の紫外線を照射することで劣化が発生するため、当該領域の紫外線を偏光子に届く手前で遮蔽することが必要である。
前記偏光板において、吸収型偏光子の上下には、吸収型偏光子を外的因子(紫外線や水分など)から保護する目的で、構成に応じて少なくとも1枚の偏光子保護層が設けられており、偏光板と呼ばれる部材を形成していることが好ましい。偏光板は(a)のような液晶画像表示装置に代表される構成の場合はバックライトからの自然光を直線偏光に変換するための2枚の直線偏光板を、(b)のような有機EL画像表示装置に代表される構成の場合は、外光の反射によるぎらつきを抑制し、背景の映りこみを抑制するための円偏光板を1枚有していることが好ましい。円偏光板の本性質は、λ/4板として機能する位相差層を偏光板下部に備えることで達成できる。
位相差層としては、前述偏光子の吸収軸方向と実質的に45°となるように配向する位相差フィルムを用いることができる。位相差フィルムとは、配向方向を照射される直線偏光の振動方向と異にすることで、直線偏光を楕円偏光や円偏光に変換することができ、逆に楕円偏光や円偏光が照射された場合には直線偏光へと変換することができる。位相差フィルムは、例えば、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、などを特定の方向に強く延伸して得られるポリマーフィルムを用いることができる。中でも、ポリカーボネートやポリシクロオレフィンを用いたポリマーフィルムを一軸あるいは二軸に延伸したポリマーフィルムを用いることができる。一軸延伸する場合には、後述の製造方法に従うと、長手方向あるいは幅方向に1.1倍以上7.0倍以下で延伸したポリマーフィルムが好ましく、二軸方向へ延伸する場合には、長手方向/幅方向あるいは幅方向/長手方向の延伸倍率比のうち大きい方が、1.1以上4.0以下を示すポリマーフィルムが好ましい。また、液晶化合物を塗布、配向させて特定の方向へ光学異方性を発現した位相差フィルムを用いることもできる。
偏光子保護層は任意の適切な樹脂フィルムで構成されており、構成樹脂としては、トリアセチルセルロース(TAC)などのセルロース系樹脂や、ポリエステル系、アクリル系、ポリオレフィン系、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリスルフォン系などの熱可塑性樹脂、また、アクリル系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコン系などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。偏光子保護層は、下側(視認側とは反対側)に位置するバックライト光源や自発光表示パネル側から透過する偏光特性を失わないことが必要であり、フィルム自体に光学等方性が求められる。この特性より、偏光子保護層に用いられる樹脂としては、フィルム化した際に光学等方性を示すトリアセチルセルロース系,アクリル系やポリオレフィン系、もしくは、均一延伸で光学等方性を満足でき、安価で簡便に成形できるポリエステル系の樹脂を用いることが好ましい。各偏光子保護層は同一のものを使用してもよく、異なるものであってもよい。偏光子保護層の厚みは、薄型化トレンド、偏光性保持、ハンドリング両立の観点で、5μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上50μm以下である。
偏光子保護層のうち、特に、上側(視認側)に位置する偏光子保護層は、偏光子を水分ならびに外光に含まれる紫外線から保護する役割を有することから、バリア性を備えた積層ポリエステルフィルムを用いることがより好ましい。
偏光子保護層は、粘着剤を介して吸収型偏光子に接着されていても良く、直接的に吸収型偏光子に積層されていても良い。粘着剤としては、ポリビニルアルコール樹脂を主成分とする水溶性の接着剤などが挙げられる。
本発明の画像表示装置において、(a)の構成で用いられる表示パネル部とは、上偏光板を除いた液晶層および下偏光板を含む構成部分のことを指す。(a)構成における画像表示方法としては、上偏光板と下偏光板の2枚の直線偏光板で挟みこんだ液晶分子の配向方向を、電場の入切に従って切り替える方法が用いられる。液晶層は、インプレーンスイッチング(IPS)モードやフリンジフィールドスイッチング(FFS)モードに代表される、電場オフの状態でホモジニアス配列に配向する液晶分子や、バーティカルアラインメント(VA)モードに代表される電場オフの状態でホメオトロピック配列に配向する液晶分子などを用いることが出来る。液晶層には、色表示をするためのカラーフィルターが内蔵されており、バックライト光の入切を切り替えて各色の発光色を切り替えることが可能となる。下偏光板は、上偏光板と同様に、偏光子、および、偏光子を挟む形で構成に応じて少なくとも1枚の偏光子保護層を有しており、それぞれの具体的な構成については、先述したとおりである。
本発明の画像表示装置において、(a)の構成を用いた画像表示装置では、表示パネル部とバックライトの間において輝度向上フィルムが配置されることが好ましい。輝度向上フィルムは、特定の偏光状態(偏光方向)の光のみを透過し、それ以外の偏光状態の光を反射する機能を有するフィルムである。輝度向上フィルムにより反射された光は、バックライト側に位置する反射板により再度上面に反射され、再び一部の偏光が輝度向上フィルムを透過する。この再帰反射が幾度も繰り返されることにより、バックライトからの光を偏光の状態で高効率に画像表示装置前面へと透過する事が出来るものである。
輝度向上フィルムは、複屈折性を強く有する層と複屈折性を有さない層が交互に50層以上2000層以下積層された多層積層構成を有する積層体であることが好ましい。複屈折性とは、光が媒質を透過する際に異なる成分の複数の偏光に分けられる性質を指し、当該媒質の屈折率が均質でなく、3次元方向で異なる場合に示される性質である。輝度向上フィルムの概略図を図3に示すが、輝度向上フィルムの製造時に強延伸する方向をx軸とした場合に、複屈折性を有する層のx軸方向の屈折率Nxはy軸方向の屈折率Nyよりも大きく、複屈折性を有しない層のx軸方向の屈折率Nxとy軸方向の屈折率Nyは同じ数値を示す。これにより、x軸方向における層間の屈折率差は大きくなり、y軸方向における層間の屈折率差は実質的に無くなるため、x軸方向に振動する光は反射され、y軸方向に振動する光は透過する。x軸方向における樹脂間の屈折率差は、より高い反射率を実現するために0.1以上0.3以下であり、好ましくは0.2以上0.3以下である。
複屈折性を強く有する層を構成する材料の代表としては、ナフタレンジカルボン酸を含むポリエステル樹脂およびその共重合体、ポリカーボネート樹脂およびその共重合体などが挙げられるが、ナフタレンジカルボン酸を含むポリエステル樹脂を利用することが成形性ならびに複屈折性の両立の観点から好ましい。複屈折性を有さない層を構成する材料としては、ナフタレンジカルボン酸をベースとし、30重量%(以降wt%と記載する場合がある)以上70wt%以下のテレフタル酸を共重合したポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
輝度向上フィルムの厚みは、可視光線の反射を標的とし、積層数を鑑みて調整されるべきであるが、20μm以上150μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以上60μm以下である。輝度向上フィルムは、2種類の樹脂を異なる押出機で押出し、積層装置を介してシート状にしたのち、フィルム搬送(長手)方向に垂直な方向(幅方向)に一軸延伸する方法が一般的に用いられる。しかし、延伸方法はこれに限られるものではなく、搬送方向およびそれに垂直な方向に延伸する二軸延伸や、必要に応じて二軸延伸後に搬送方向および/または幅方向に再度延伸する方法を利用する事も可能である。
輝度向上フィルムは、任意の適切な接着層を介して下偏光板直下に貼り合わせることができるが、下偏光板のバックライト側に位置する偏光子保護層との機能を兼用することがより好ましい。このとき、下偏光板を構成する吸収型偏光子の偏光透過方向と輝度向上フィルムの透過方向とが一致する事が必要であり、偏光子の延伸方向と、輝度向上フィルムの延伸方向を一致させることにより、ロール同士での効率的な貼り合わせが容易となり、生産効率の向上に繋がるため好ましい。また、多層積層構造を含む複数のフィルムを用いることで、機能統合によるフィルムレス化を達成する事が出来、これまでにない高効率なバックライト光の制御が可能となるため、好ましい。
輝度向上フィルムとしては、市販品を用いることも可能である。代表的な市販品の輝度向上フィルムとしては、3M社製の商品名DBEFや商品名APFなどが挙げられる。
本発明の画像表示装置において、(a)の構成を用いた画像表示装置では、必要に応じて輝度向上フィルムとバックライトの間にバックライトからの光を偏光に変えて高効率に送達のためのプリズムシートを配置する事が出来る。さらに、画像表示装置内に目的の色を発光し得る蛍光体を組み込んだ蛍光体シートを使用する場合、蛍光体シートの色域を向上させる目的で、発光色である赤色・緑色・青色の3色の境界に位置する光を吸収または反射する色域向上フィルムを配置することも出来る。特に、色域向上フィルムは、境界に位置する波長帯域をカットするために、染料や顔料などの色素を添加することが一般的な手法であるが、染料は特定狭帯域の吸収に優れる一方で長時間の耐光性能に乏しく、顔料は耐久性に強い一方で広範囲の波長を一度に吸収することから、狭帯域での強い吸収は達成困難である。そこで、特定の波長帯域を選択的に、高強度に、かつ、長期にわたりカットできる方法として、干渉反射性能を有する積層構造のフィルムの利用が最も好ましい。
本発明の画像表示装置において、(a)の構成を用いた画像表示装置において用いられるバックライトとは、特に限定されるものではなく、一般的に画像表示装置で使用される直下型バックライトや、列状配置のLEDライトおよび導光板で構成される長寿命でかつ高輝度なエッジ型バックライトなどを用いることが出来る。
本発明の画像表示装置において、(b)の構成を用いた画像表示装置において用いられる自発光表示パネルとは、正孔や電子を輸送する分子、および、蛍光性もしくは燐光性を示す赤色、緑色、青色の3種類の色を示す発光分子から構成される層を電極層で挟んだ構成を有している。ドット状に配列した発光分子に対し電圧印加することで光の入切を制御できる上、電圧印加で励起した有機分子が基底状態に達する際に熱変換無く発光するため、高効率に発光出来るものである。構成する分子構造は特に限定されないが、一般的に利用される分子として、たとえば、正孔注入の役割を担う分子として銅(II)フタロシアニン、ポリアニオンポリ(スチレンスルフォン酸塩),4,4,4−トリス(ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン系など、正孔輸送の役割を担う分子としてN,N−ジフェニル−N,N−ビス(3−メチルフェニル)−1,1−ビフェニル−4,4−ジアミン,N,N−ビス(1−ナフチル)−N,N−ジフェニル−1,1−ビフェニル−4,4−ジアミン,トリス(4−カルバゾイル−9−イルフェニル)アミンなど、電子輸送の役割を担う分子として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム,バソクプロイン,2−(4−第三ブチルフェニル)−5−(4−べフェニルイル)−1,3,4−オキサジアゾールなど、発光有機分子としてトリス(8−キノリノラト)アルミニウム,亜鉛(II)ビス[2−(オルト−ヒドロキシフェニル)−ベンゾキサゾール],ジメチルキナクリドン,ルブレン,N,N−ジメチルキナクリドン,4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−ジュロリジル−9―エニル−4H−ピランなど、燐光有機分子として[ビス(3,5−ジフルオロ)−2−(2−ピリジルフェニル)−(2−カルボキシピリジル)イリジウム(III)],トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III),ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)などを用いることが出来る。
本発明の画像表示装置では、前述の積層ポリエステルフィルムに加え、輝度向上フィルムや色域向上フィルムなど特定の光のみを透過・遮蔽する特徴を有するフィルム部材として、反射による光カット可能な積層構造を有するフィルムを複数枚組み合わせて使用する事が、光を精巧に高効率に制御し、かつ、添加剤レス、低コスト、高生産性となることから好ましい。また、積層構造を有するフィルムにより機能統合を達成する事で、フィルムレスや薄型化の流れに沿うだけでなく、貼り合せ工程減少による画像表示装置全体の生産性の向上、省電力などにも効果を発揮することから好ましい。
以下、本発明の画像表示装置の構成部材である積層ポリエステルフィルムの詳細について記載する。
本発明の画像表示装置に用いる積層ポリエステルフィルムは、結晶性ポリエステルAを主成分とするA層と、前記結晶性ポリエステルAと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を交互に51層以上積層してなることが必要である。
本発明でいうポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールとを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られる縮重合体のことである。ポリエステルの工業的製造方法としては、公知の如く、エステル交換反応(エステル交換法)や直接エステル化反応(直接重合法)が用いられる。ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも高い屈折率を発現するテレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく用いられる。ジカルボン酸成分はこれらのうち1種類を用いても良く、2種以上を併用して用いても良い。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種類のみ用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明における結晶性ポリエステルAは、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはその共重合体、ポリエチレンナフタレートおよび/またはその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよび/またはその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよび/またはその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよび/またはその共重合体などを用いることが出来る。このとき、共重合成分としては、前記のジカルボン酸成分およびジオール成分が、それぞれ1種類以上、共重合されていることが好ましい。特に、強度や耐熱性、透明性および汎用性の観点から、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはその共重合体、もしくは、ポリエチレンナフタレートおよび/またはその共重合体を用いることが最も好ましい。
本発明で述べるところの結晶性ポリエステルAおよび異なる熱可塑性樹脂Bとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において結晶性ポリエステルAとは異なる融点および/またはガラス転移点温度を示すものを指す。なお、本発明において、異なる融点、異なるガラス転移温度を示すは、融点、ガラス転移温度が0.1℃以上異なっていることを表す。なお、融点および/またはガラス転移点温度は、2℃以上異なっていることがより好ましく、より好ましくは5℃以上である。融点あるいはガラス転移温度がより大きく異なることで、積層ポリエステルフィルムの状態であっても、個々の層の配向状態をより高度に制御する事が可能となる。なお、熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの一方しかガラス転移温度および融点を示さない場合もある。この場合は、温度差として算出はできないが、樹脂の熱特性は異なるものとして解釈してもよい。一方、熱可塑性樹脂Aならびに熱可塑性樹脂Bともに、ガラス転移温度ならびに融点を示さない樹脂を利用することは、製造工程において積層ポリエステルフィルムを延伸できないことを暗に示しており、延伸時のロールやクリップへの粘着の観点から二軸延伸工程を必要とする本開発においては好ましくない。
熱可塑性樹脂Bは、たとえば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ(1−ブテン),ポリ(4−メチルペンテン),ポリイソブチレン,ポリイソプレン,ポリブタジエン,ポリビニルシクロヘキサン,ポリスチレン,ポリ(α−メチルスチレン),ポリ(p−メチルスチレン),ポリノルボルネン,ポリシクロペンテンなどに代表されるポリオレフィン系樹脂、ナイロン6,ナイロン11,ナイロン12,ナイロン66などに代表されるポリアミド系樹脂、エチレン/プロピレンコポリマー,エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー,エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー,エチレン/アルキルアクリレートコポリマー,エチレン/アクリルメタクリレートコポリマー,エチレン/ノルボルネンコポリマー,エチレン/酢酸ビニルコポリマー,プロピレン/ブタジエンコポリマー,イソブチレン/イソプレンコポリマー,塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマーなどに代表されるビニルモノマーのコポリマー系樹脂、ポリアクリレート,ポリメタクリレート,ポリメチルメタクリレート,ポリアクリルアミド,ポリアクリロニトリルなどに代表されるアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリプロピレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどに代表されるポリエステル系樹脂、ポリエチレンオキシド,ポリプロピレンオキシド,ポリアクリレングリコールに代表されるポリエーテル系樹脂、ジアセチルセルロース,トリアセチルセルロース,プロピオニルセルロース,ブチリルセルロース,アセチルプロピオニルセルロース,ニトロセルロースに代表されるセルロースエステル系樹脂、ポリ乳酸,ポリブチルサクシネートなどに代表される生分解性ポリマー、その他、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリシロキサン、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂Bとしては、合成ポリマーであることが好ましく、ポリオレフィン系、アクリル系、ポリエステル系、セルロースエステル系、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォンがより好ましい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエステル系、トリアセチルセルロースが特に好ましい。また、これらは1種類単独で利用しても、2種類以上のポリマーブレンドあるいはポリマーアロイとして利用してもよい。この中で、結晶性ポリエステルAとの密着性・積層性の観点から、熱可塑性樹脂Bとしてポリエステル系を選択することが最も好ましい。ここで、熱可塑性樹脂Bは、共重合体であっても、混合物であってもよい。
本発明における、交互に積層するとは、A層を構成する結晶性ポリエステルAとB層を構成する熱可塑性樹脂Bとが厚さ方向に規則的な配列で積層されていることをいい、A(BA)n(nは自然数)、あるいは、B(AB)n(nは自然数)の規則的な配列に従って樹脂が積層された状態を指す。このように熱特性の異なる樹脂が交互に積層されることにより、積層ポリエステルフィルムを延伸・熱処理する工程において、各々の層の配向状態を高度に制御する事が可能となる。A(BA)n(nは自然数)、B(AB)n(nは自然数)の積層ポリエステルフィルムを製膜する場合、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、公知の積層装置であるマルチマニホールドタイプのフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができる。特に、本発明の構成を効率よく得るためには、微細スリットを有するフィードブロックを用いる方法が高精度な積層を実現する上で好ましい。スリットタイプのフィードブロックを用いて積層体を形成する場合、各層の厚みおよびその分布は、スリットの長さや幅を変化させて圧力損失を傾斜させることにより達成可能となる。スリットの長さとは、スリット板内でA層とB層を交互に流すための流路を形成する櫛歯部の長さのことである。本発明の積層ポリエステルフィルムにおいては、A(BA)n(nは自然数)の構成とすることで、結晶性を示す結晶性ポリエステルAが最外層に位置する構成となるため好ましい。仮に、熱可塑性樹脂Bが非結晶性の樹脂からなる場合、B(AB)n(nは自然数)の構成の積層ポリエステルフィルムの製膜において、後述の一般的な逐次二軸延伸フィルムと同様にして二軸延伸フィルムを得る場合、ロールやクリップなどの製造設備への粘着による製膜不良や、表面性の悪化などの問題が生じる場合がある。また、結晶性のポリエステル樹脂を用いることで、積層ポリエステルフィルムの状態であっても、結晶性ポリエステルA単膜の製膜工程と同様にしてフィルムを得ることが可能となる。
本発明における積層ポリエステルフィルムは、51層以上交互積層されていることが必要である。異なる樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みの関係より設計した特定の波長の光線を反射させることが出来る、干渉反射を発現可能となる。特に、干渉反射を発生させる波長帯域を紫外線領域や波長380nm以上440nm以下の可視光短波長領域に標的化させることで、積層ポリエステルフィルム自体に反射による紫外線カット性及び/又は可視光短波長カット性を付与することが可能となる。51層より少ない積層数の場合は、十分な波長帯域に渡り高い反射率を得られず、十分な光線カットを実現できない。また、51層以上交互に積層されたフィルムの場合、数層〜十数層積層されたフィルムと比較して、均質に各々の樹脂が配分されるため、安定した製膜性や機械物性を得ることが期待される。さらに、層数が増加するに従い、各々の層での配向の成長を抑制できる傾向がみられ、交互に多くの層を積層することで屈折率などの光学特性を制御しやすくなる。層数は、好ましくは100層以上、より好ましくは200層以上である。層数に上限はないが、層数が増えるに従い、製造装置の大型化に伴う製造コストの増加や、フィルム厚みが厚くなることによるハンドリング性の悪化を招く。特に、フィルム厚みが厚くなることは、複屈折性を示す結晶性ポリエステルAからなるA層の絶対厚みが増加するために、画像表示用部材として用いる際に虹斑を引き起こすため好ましくなく、現実的には2000層以下が適している。
本発明の画像表示装置では、特定の波長の光の透過を防ぐために後述の紫外線吸収剤および/または色素を、いずれかの部材に含有せしめることが好ましい。中でも、積層ポリエステルフィルムに含有せしめると、各種添加剤の部材表面への析出を抑制することが出来る。結晶性ポリエステルAを主成分とするA層は、分子構造の折りたたみにより高密度にパッキングされた層を形成することから、A(BA)n(nは自然数)の構成とすることで、内部に存在する各種添加剤のフィルム表面への析出を抑制する封止層としての役割を果たすため好ましい。また、反射領域内の波長の光線に対しては、多層構造内で干渉反射効果が発生しているため、フィルム厚み以上の光路長を光線が進行することになる。この効果で、紫外線吸収剤および/または色素などが添加されている場合は吸収量が増大し、干渉反射効果のない通常の積層フィルムと比較して紫外線吸収剤の添加濃度を抑えることが可能となる。このように、干渉反射の効果を利用できる本開発の積層ポリエステルフィルムであれば、紫外線領域および/または短波長可視光領域を標的化することで各種添加剤の添加濃度を少量に抑えることができ、製膜時のブリードアウト抑制や、品質維持に大きく貢献可能となる。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、少なくとも片面が波長300nm以上380nm以下の紫外線領域における平均光線反射率が15%以上であることが必要である。本発明の画像表示装置における、積層ポリエステルフィルムは、前記の平均光線反射率を満たす面を視認側になるよう配すると、外光などによる偏光子や表示パネル部の劣化を抑制できるため好ましい。ここで述べるところの平均光線反射率とは、波長300nm以上380nm以下の範囲において1nmピッチで測定した際の光線反射率の平均値を指し、部分的に光線反射率が15%より小さい数値を示しても良い。積層ポリエステルフィルム内部に紫外線および/または色素などの光吸収剤を添加していない場合、平均光線反射率が15%より小さいことは、当該波長での反射によるカットが実現できていないことを指し、本積層ポリエステルフィルムのコンセプトに反するものとなる。平均光線反射率は30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上である。一方で、積層ポリエステルフィルム内部に、後述の紫外線吸収剤および/または色素を添加した場合、積層ポリエステルフィルムにより反射される紫外線領域および可視光短波長領域の光線の一部が吸収されるため、光線反射率は低下傾向を示す。しかし、平均光線反射率が15%を下回る場合、反射の効果ではなく吸収による効果が大半を占めることを意味するため、本発明の画像表示装置に用いる積層ポリエステルフィルムのコンセプトに反するものとなる。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、少なくとも片面が同時に波長800nm以上1200nm以下における平均光線反射率が15%以上であることが必要である。近赤外線をカットすることで、屋外に設置した画像表示装置においても、ファンなどの物理的な冷却手段を用いなくとも画像表示装置の構成成分の熱劣化を抑制する事が出来、画像表示装置の薄型化に貢献できる。
本発明における積層ポリエステルフィルムは、近赤外領域の光線を反射する層厚み分布および紫外線領域の光線を反射する層厚み分布の2つの層厚み分布を有していてもよく、近赤外領域の光線および紫外線領域の光線を同時に反射する1つの層厚み分布を有していてもよい。積層装置としてフィードブロックを用いる場合、構成する櫛部の幅を変えることにより積層層厚みを変更する。異なる2種類の層厚み分布を有する場合、近赤外線を反射するための櫛部の幅が厚い領域および紫外線を反射するための櫛部の幅が薄い領域の2種類の領域を含むこととなるが、櫛部を流れる樹脂に圧力差が発生し、設計通りの層厚みを実現することが困難となる場合がある。そのため、1つの層厚み分布で近赤外領域および紫外線領域の2つの波長帯域の光線を同時に反射する事がより好ましい。
波長300nm以上380nm以下の紫外線領域および波長800nm以上1200nm以下の近赤外線領域を同時に反射するためには、下記式(1)に示される干渉反射波長の式に従った、複数の高次反射光の利用が必要となる。下記式(1)の通り、光干渉反射は、2つの媒質間の屈折率差と、干渉する2種類の光の光路長差で決定される。しかし、係数(自然数)kに従ったより短波長の光線も同じ光路を進行し反射されることとなるため、kが2の場合の波長である2次反射波長、kが3の場合の波長である3次反射波長が同時に反射されることとなる。本発明の積層ポリエステルフィルムの場合は、2種類の樹脂の屈折率差、および、各層の膜厚を制御する事で反射光線の波長が一義的に決定されるが、さらに積層ポリエステルフィルムの層厚み分布を変更する事で、特定の波長帯域の光線を反射する事が可能となる。この一定の波長帯域内の光線全てに対し高次反射が適用されるため、複数の反射波長帯域を同時に反射する事が可能となる。この設計において、近赤外領域と紫外線領域は波長がおよそ2倍の関係を示すことから、近赤外線の波長帯域を1次反射光として、紫外線の波長帯域を2次反射光とすることが好ましい。具体的には、1次反射光の波長帯域を近赤外線領域とする目的で、層厚みを130nm以上180nm以下で設計することが好ましく、結晶性ポリエステルAからなるA層の面内屈折率を1.6以上1.8以下、熱可塑性樹脂BからなるB層の面内屈折率を1.4以上1.6以下として設計する事が最も好ましい。
Figure 2019061241
λは反射波長、nAはA層面内の屈折率、dAはA層の厚み、nBはB層面内の屈折率、dBはB層の厚み、kは自然数である。
層厚み分布としては、フィルムの片面側から反対面へ向かって増加または減少する層厚み分布や、フィルムの片面側からフィルム中心へ向かって層厚みが増加した後減少する層厚み分布や、フィルムの片面側からフィルム中心へ向かって層厚みが減少した後増加する層厚み分布等が好ましい。層厚み分布の変化の方法としては、線形、等比、階差数列といった連続に変化するものや、10層から50層程度の層がほぼ同じ層厚みを持ち、その層厚みがステップ状に変化するものが好ましい。同じ厚みを有する層が多く存在するほど、特定の波長における積層ポリエステルフィルムの光線反射率は高まるため、層厚みの増加や減少の傾斜分布が複数存在する層厚み分布であることが最も好ましい。
一般的に、反射光が高次になるほど反射光の強度は減少する傾向を示す。そのため、複数の波長帯域の光を反射するためには、最も長波長側の1次反射光の強度を高めておく必要がある。300nm以上380nm以下の波長帯域の平均光線反射率15%以上とするためには、少なくとも片面が波長800nm以上1200nm以下の波長帯域における平均光線反射率が同時に30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。
本発明の画像表示装置における積層ポリエステルフィルムは、300nm以上380nm以下の波長帯域における光線透過率が10%以下であることが好ましい。本発明における300nm以上380nm以下の波長帯域における光線透過率が10%以下であるとは、波長300nm以上380nm以下の波長帯域における光線透過率の最大値が10%以下を示すことを表す。当該紫外線領域に関しては、先述の通り、ディスプレイ内部の偏光子や液晶層、発光分子など画像表示の要となる部分の劣化に大きく関与する波長帯域であるため、強く光線カットすることが望ましく、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは2%以下である。無論、0%に限りなく近いことが最たる好適条件である。
本発明の画像表示装置における積層ポリエステルフィルムは、波長300nm以上400nm以下の波長帯域における光線透過率が10%以下で、かつ、波長440nmにおける光線透過率が80%以上であることが好ましい。本発明における波長300nm以上400nm以下の波長帯域における光線透過率が10%以下であるとは、波長300nm以上400nm以下の波長帯域における光線透過率の最大値が10%以下を示すことを表す。特に、発光分子を適用する(b)の構成の画像表示装置の場合、発光波長より短波長の強いエネルギー光を受けることで、構成分子が劣化し発光効率が低下する問題が生じる。このことから、自発光パネル部より前面に位置する積層ポリエステルフィルムにおいて、構成分子の発光波長以下の波長帯域の光線を遮蔽することが好ましい。具体的には、青色発光分子の発光波長は一般に440nm以上を示すため、440nmの光線透過率を十分高く、それ以下の波長に相当する紫外線領域および波長380nm以上440nm以下の可視光短波長領域の光線を遮蔽することが求められる。波長300nm以上400nm以下の波長帯域における光線透過率は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは2%以下である。無論、0%に限りなく近いことが最たる好適条件である。当該波長帯域の光線透過率が10%以上を示す場合、液晶分子、偏光子、発光素子の劣化が著しく、輝度や発光効率が著しく低下することから好ましくない。また、波長440nmにおける光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。光線透過率が80%を下回る場合は、可視光短波長領域の光線がカットされることにより、積層ポリエステルフィルム自体が強く着色を呈し、優れた透明性を発現することができない。また、青色素子由来の発光をカットすることとなるため、画像表示時の色相やコントラスト悪化に繋がるため好ましくない。
波長300nm以上440nm以下の紫外線吸収領域および可視光短波長領域の光線を遮蔽する方法として、多層積層構造の反射を利用することも好ましい。この場合、反射帯域を波長300nm以上440nm以下までとし積層構造による反射のみで達成しても良い。反射帯域は、フィルム厚みおよび層厚み分布を変化させることで、帯域を拡張・収縮したり、光線反射率を向上させたり、積層比一定のまま厚みを変化させることで自由にシフトさせることが可能である。しかし、反射帯域をシフトさせる場合に0.1μm単位の厚み変化で反射帯域が変動してしまう。そのため、反射帯域が波長440nm近傍までカバー出来るように設計する場合、厚みが微量増大した場合に、より長波長側の可視光領域をカットすることとなる場合がある。反射帯域の変動に関するリスクを鑑みる場合、反射帯域を410nm以下となるように設計し、可視光短波長領域の光線カットは後述の色素による吸収を利用することが好ましい態様である。この場合、可視光短波長領域内の波長380nm以上410nm以下の波長帯域における平均光線反射率は20%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上である。
本発明の画像表示装置の積層ポリエステルフィルム中のA層および/またはB層に、紫外線吸収剤および/または色素を含有する事が好ましい。本発明で述べるところの紫外線吸収剤とは、300nm以上380nm以下の紫外線領域に極大波長を有する添加剤の事を指す。一方、色素とは、380nmを超えて430nm以下の波長領域に極大波長を有する添加剤のことを指す。本発明でいうところの極大波長とは、複数の極大ピークを有する場合、最大の吸光度を有するピーク波長を指す。紫外線吸収剤および色素は、互いの領域の一部を吸収する性能を有してもよい。例えば、375nmと390nmに極大を有する添加剤において、375nmの極大が最大である場合は紫外線吸収剤であり、390nmの極大が最大である場合は色素と定義する。本発明の積層ポリエステルフィルムのように、A層およびB層を交互積層して反射により光線カットする手法では、樹脂の組み合わせや、延伸条件・熱処理条件により発生する結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率差、さらに層厚み分布により適宜光線反射率が変化するため、波長帯域にわたって完全に光をカットすることは容易でない。そのため、紫外線吸収剤および/または色素の含有による光線カット方法と、積層ポリエステルフィルムのA層B層の積層構造による光線反射と併用することでより完全に近い光線カット性能を達成する事が可能となる。紫外線吸収剤および/または色素による吸収と積層構造による光線反射を併用することで、吸収のみで光線カットする場合と比較して含有量を抑制できるため、フィルム表面へのブリードアウト現象抑制において大きな利点を有する。
紫外線吸収剤および/または色素は、樹脂内部に添加剤として含有させてもよく、樹脂に共重合させてもよい。紫外線吸収剤の多くは低分子量であり、高分子量の紫外線吸収剤でない場合、シート状として溶融吐出した際に空気中に揮散する、熱処理工程や信頼性試験においてフィルムの表面に析出するなどの問題が生じる。そのため、樹脂に共重合させることで、紫外線吸収剤を層内に確実に留めることができ、最表層に位置する結晶性ポリエステルAからなるA層に含有させた場合でも、ブリードアウトの課題をクリアすることが可能となる。樹脂と共重合させる場合には、たとえば、ポリエステル系の樹脂と紫外線吸収剤とを共重合する場合、紫外線吸収剤の多くに含まれるヒドロキシ基末端を、エステル交換反応などを用いてポリエステル樹脂内のカルボキシル基末端と反応させることなどで達成できる。紫外線吸収剤および/または色素は、各々1種類以上単独で含有させてもよく、1種類以上の紫外線吸収剤と1種類以上の色素を同時に含有させてもよい。
紫外線吸収剤および/または色素を含有する層としては、積層ポリエステルフィルムの内層に位置するB層、あるいは、B層が添加濃度リッチとなるようにA層とB層の両層に添加することが好ましい。特に、B層にのみ含有することが最も好ましい。最表層を含むA層に含有する場合、結晶性の層では添加剤の滞留できる領域である非晶領域の体積が小さく、先述のブリードアウト現象、および、口金付近で昇華・揮散する現象が発生しやすくなり、フィルム製膜機が汚染され、析出物が加工工程において悪影響を及ぼすため好ましくないものである。内層であるB層にのみ紫外線吸収剤および/または色素を含有させる場合、最表層に位置する結晶性ポリエステルAからなるA層が紫外線吸収剤の析出を防ぐフタとしての役割を果たすため、ブリードアウト現象が起こりにくくなり好ましいものとなる。
紫外線吸収剤および/または色素の含有量は、積層ポリエステルフィルム全重量に対して2.5wt%以下、好ましくは1.5wt%以下、より好ましくは1.0wt%以下である。2.5wt%よりも添加濃度が多い場合、光線透過率が低下してフィルムの白濁度(ヘイズ値)が高くなり、画像表示装置へ実装した場合に視認性悪化の問題点を生じるため好ましくない。
紫外線吸収剤は、一般的に波長380nm以下の紫外線を吸収する能力に特化しており、波長380nm以上440nm以下の可視光短波長領域の光線を吸収する能力には優れていない。そのため、紫外線吸収剤を含有させることのみで、紫外線領域と可視光領域の境界近傍や可視光短波長領域の光線をカットするためには、後述する一部の長波長までカットできる紫外線吸収剤を除いて、高濃度に含有させる必要がある。紫外線領域、および、可視光短波長領域の波長カットを、単独の紫外線吸収剤により達成可能な紫外線吸収剤としては、あくまで一例であるが、2−(5−クロロー2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノールや、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
一方で、色素は一般に可視光短波長領域のカット性能に優れるものの、紫外線領域のカット能力に乏しい。そのため、色素を含有させることのみで、紫外線領域の光線をカットするためには、後述する一部の色素を除いて、高濃度に含有させる必要がある。また高濃度に含有させる場合、目的とする波長帯域よりもさらに長波長側の可視光領域を吸収するため、優れた透明性を実現できない。紫外線領域、および、可視光短波長領域の波長カットを、単独の紫外線吸収剤により達成可能な色素としては、たとえば、BASF(株)製の「LumogenF Violet570」などが挙げられる。紫外線吸収剤および色素にはそれぞれ得意とする領域が存在していることから、高濃度添加によるブリードアウト、それに伴う工程汚染を防ぐためには、1種類以上の紫外線吸収剤と1種類以上の色素を効果的に組み合わせる処方がより好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、1種類以上の紫外線吸収剤と1種類以上の色素を組み合わせて、上述の光線透過率を達成する場合における紫外線吸収剤としては、前述の2種類の紫外線吸収剤以外にも、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアジン系、ベンゾオキサジノン系、サリチル酸系、ベンゾオキサジン系をはじめとする、多種の骨格構造を有する紫外線吸収剤を利用することが出来る。2種以上の紫外線吸収剤を併用する場合は、互いに同骨格構造の紫外線吸収剤であってもよく、異なる骨格構造の紫外線吸収剤であってもよい。以下より具体例を例示するが、極大波長が320nm以上380nm以下の波長帯域に存するものに対しては化合物名の後に(※)を付している。本発明で利用する紫外線吸収剤は、320nm以上380nm以下の波長帯域に極大吸収波長を有する紫外線吸収剤であることが好ましい。極大波長が320nmより短い場合、長波長側の紫外線領域を十分にカットすることは難しく、また、色素との組み合わせを行った場合であっても、300nm以上380nm以下の波長帯域において10%以上の光線透過率を有する領域が発生してしまうことが多い。そのため、波長300nm以上380nm以下の紫外線領域における光線透過率の最大値を10%以下とするためには(※)を付した紫外線吸収剤を利用することが特に好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール(※)、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール(※)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール(※)、2−(5−ブチルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−へキシルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−オクチルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−ドデシルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−オクタデシルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−シクロヘキシルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−プロペンオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−(4−メチルフェニル)オキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−ベンジルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール(※)、2−(5−へキシルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ第三ブチルフェノール(※)、2−(5−オクチルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ第三ブチルフェノール(※)、2−(5−ドデシルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ第三ブチルフェノール(※)、2−(5−第二ブチルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ第三ブチルフェノール(※)などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン(※)、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)、などが挙げられる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,6−ジ第三ブチルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジビフェニル−s−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−s−トリアジン(※)、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−s−トリアジン(※)、2−(4−イソオクチルオキシカルボニルエトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン(※)、2−(4,6−ジフェニル−s−トリアジン−2−イル)−5−(2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ)フェノールなどが挙げられる。
ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤としては、等に限定されないが、2,2’−p−フェニレンビス(4H−3,1−ベンゾオキサジンー4−オン)(※)、2,2’−p−フェニレンビス(6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(6−クロロ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(※)、2,2’−p−フェニレンビス(6−メトキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(6−ヒドロキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(ナフタレン−2,6−ジイル)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(※)、2,2’−(ナフタレン−1,4−ジイル)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(※)、2,2’−(チオフェン−2,5−ジイル)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(※)などを挙げることができる。
その他の紫外線吸収剤として、サリチル酸系では、たとえば、フェニルサリチレート、t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等、その他では、天然物系(たとえば、オリザノール、シアバター、バイカリン等)、生体系(たとえば、角質細胞、メラニン、ウロカニン等)なども利用することが出来る。無機系の紫外線吸収剤の場合、ベースとなる樹脂と相溶せずヘイズの上昇を招き、画像表示した際の視認性を悪化させるため、本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて利用することは好ましくない。
本発明に用いる紫外線吸収剤は、上記した紫外線吸収剤と基本分子構造を同じくして、酸素原子を同族の硫黄原子に置換したものを用いても良い。具体例としては、エーテル基をチオエーテル基に、ヒドロキシル基をメルカプト基に、アルコシキ基をチオ基に変換したものが挙げられる。硫黄原子を含む置換基を有する紫外線吸収剤を用いることで、加熱して樹脂に練り混む際に紫外線吸収剤の熱分解を抑制出来る。また、硫黄原子の利用、ならびに、適切なアルキル鎖を選択することにより、紫外線吸収剤間の分子間力を抑えて、融点を低下させることが可能となるため、結晶性ポリエステルや熱可塑性樹脂との相溶性を高めることが出来る。樹脂との相溶性を高めることにより、紫外線吸収剤を比較的高濃度添加した場合にも、高透明性を維持することが可能となる。
さらに、本発明で用いる紫外線吸収剤は、波長320nm以上380nm以下の波長帯域に極大吸収波長を有することに加え、紫外線吸収剤を構成する官能基のアルキル鎖が長いものが好ましい。アルキル鎖が長くなることで、分子間相互作用が抑えられて環構造のパッキングが起こりにくくなるため、フィルムを熱処理した際に、紫外線吸収剤同士が結晶構造を形成しにくくなり、フィルムの白化を抑制することに繋がる。官能基に含まれるアルキル基の長さは、18以下が好ましく、より好ましくは4以上10以下、さらに好ましくは6以上8以下である。アルキル鎖の長さが18より長い場合は、反応点が分子内に埋もれて紫外線吸収剤の収率低下を招くため、現実的ではない。
紫外線吸収剤は、熱可塑性樹脂に添加剤として混練しても良く、熱可塑性樹脂の末端基や側鎖と反応させ、共重合しても良い。フィルムを構成する熱可塑性樹脂と共重合し固定することで、加熱時の分子熱運動に伴うブリードアウトを抑制することが出来るため、高透明性を維持したまま、紫外線カット性能を長期にわたり保持することが可能となる。
本発明の画像表示装置における積層ポリエステルフィルムに含有する色素としては、溶剤に溶解可能で彩度に優れた染料を利用しても良く、樹脂への練り混み目的として、染料よりも耐熱性や耐湿熱性に優れている顔料を用いてもよい。顔料は、有機顔料、無機顔料、クラシカル顔料に大別することが出来るが、添加対象である熱可塑性樹脂との相溶性の観点から鑑みて、有機顔料を利用することが好ましい。色素の構造としては、特に限定されないが、βナフトール系,ナフトールAS系,アセト酢酸アリールアミド系,アセト酢酸アリールアミド系,ピラゾロン系,βオキシナフトエ酸系などのアゾ系、銅フタロシアニン,ハロゲン化銅フタロシアニン,無金属フタロシアニン,銅フタロシアニンレーキなどのフタロシアニン系、その他、アゾメチン系、アニリン系、アリザリン系、アントラキノン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、インドール系、キナクリドン系、キノフタロン系、ジオキサジン系、チオインジゴ系、トリアジン系、ナフタルイミド系、ニトロン系、ペリノン系、ペリレン系、ベンゾトリアゾール系、天然有機色素が挙げられる。
本発明の画像表示装置における積層ポリエステルフィルムに含有する色素は、特に、波長390nm以上420nm以下に極大波長を有することがより好ましい。420nmより長波長側の波長帯域に極大波長を有する色素を選択した場合、非常に狭い波長帯域のみをカットする色素を選択しない限り、波長440nmにおける光線透過率が80%を下回るため、現実的でない。390nm以上420nm以下の波長帯域に極大波長を有する色素としては、キノン系、トリアジン系、ナフタルイミド系,フタロシアニン系、ベンジリジン系、ベンゾトリアゾール系を好ましく用いることが出来る。
本発明で用いる、紫外線吸収剤および/または色素のうち少なくとも1種類はトリアジン系であることが好ましい。トリアジン系の添加剤は、一般に熱分解温度が高く耐熱性に優れていることから、樹脂に練り混み押出機内で長時間にわたって熱に曝された場合でも劣化を起こしにくい。また、吸収剤自身の揮散や表面析出も起こりにくく、オリゴマーやその他昇華性の高い添加剤などを析出させにくくする効果を奏することから、好ましく利用することができる。また、吸収係数が高いため、目的のカット性を実現するための添加濃度も少なくて済み、口金からシートの状態で吐出した場合にも製膜工程を汚染する可能性が低くなることから、有用である。
本発明の画像表示装置における積層ポリエステルフィルムに用いることの出来る紫外線吸収剤や色素以外の添加剤として、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、有機系易滑剤、光安定剤、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが、本来満たすべきフィルム特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。特に、長時間光照射した場合でも光学性能が維持されることが求められる用途において、色素として鮮色を有する染料を用いる場合、紫外線吸収剤や顔料と比較して、エネルギーの強い紫外線を受けることで吸収性能を失う傾向が強い。そのため、紫外線の保有するエネルギーを分子内で振動エネルギー、さらには熱エネルギー等へと変換し外部に放出する役割を有する化合物を用いることが好ましい。また、光安定剤、酸化防止剤あるいは一重項酸素クエンチャーなどの、光酸化劣化をエネルギー変換により抑制する添加剤等を利用することも好ましい。
光安定剤は、主に光酸化で生成するラジカルを捕捉するために添加するものであり、本発明の積層ポリエステルフィルムに対しても、フィルム全重量に対して、0.01wt%以上1wt%以下含有することが好ましい。特に、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン環を有するヒンダードアミン系化合物が好ましく、ピペリジンの1位が、水素、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、オキシラジカル基、アシルオキシ基、アシル基であるものが好ましく、4位は水素原子、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であるものがより好ましい。また1つの分子中に複数個の2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン環を有するものも好ましい。このような化合物としては、例えば、BASF社(旧チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社)製のTINUVIN770DF,TINUVIN 152,TINUVIN123や、株式会社Adeka社製のアデカスタブLA−72、アデカスタブLA−81が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤に加えて、酸化防止剤及び/又は一重項酸素クエンチャーを併用することで、より光安定性を高めることが出来る。色素の光劣化は酸化反応により発生するが、酸素分子が酸化剤として機能することによりラジカル発生を伴う自動酸化、色素の励起エネルギーを酸素分子に伝播することで一重項酸化状態となる一重項酸素酸化、さらに、スーパーオキシドイオンによる酸化などが挙げられる。酸化防止剤や、励起エネルギーを逃がすためのクエンチャーなどを併用することで、これらの酸化反応をより抑制することが可能となる。
光安定剤と併用するべき酸化防止剤は、一般的に利用される酸化防止剤であれば、特に限定されないが、リン系の酸化防止剤ならびにフェノール系の酸化防止剤を好ましく利用することが出来る。また、リン系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤を併用することにより、酸化防止剤の効力を長時間持続させることが出来ることから、適宜併用処方を適用することが好ましい。酸化防止剤の添加濃度は、0.01wt%以上1wt%以下であることが好ましく、より好ましくは0.05wt%以上0.3wt%以下である。0.01wt%以下の場合は酸化防止剤としての効果が得られず、1wt%以上の場合は、添加過多による酸化防止剤の揮散が発生する可能性がある。
光安定剤と併用するべき一重項酸素クエンチャーは、一重項酸化状態の酸素からのエネルギー移動により一重項酸素を失活させ得る化合物であり、例えば、テトラメチルエチレン、シクロペンテン等のエチレン系化合物、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N−エチルイミダゾール等のアミン類、置換基を有するナフタレン、ジメチルナフタレン、ジメトキシアントラセン、アントラセン、ジフェニルアントラセン等の縮合多環芳香族化合物、1,3−ジフェニルイソベンゾフラン、1,2,3,4−テトラフェニル−1,3−シクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン等の芳香族化合物のほか、配位子とする金属錯体も挙げることができる。金属錯体化合物としては、ビスジチオ−α−ジケトン、ビスフェニルジチオール、およびチオビスフェノールなどの構造を配位子とする、ニッケル錯体、コバルト錯体、銅錯体、マンガン錯体、白金錯体等の遷移金属配位錯体化合物を挙げることができる。当該一重項酸素クエンチャーは、酸化劣化の対象となる吸収剤の添加濃度に対して、0.5wt%以上10wt%以下添加することが好ましく、より好ましくは1wt%以上8wt%以下である。また、光安定剤は、酸化防止剤および一重項酸素クエンチャーと、3種類併用して使用することが、ラジカルによる酸化劣化を効果的に防止することができるため、最も好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、1μm以上200μm以下であることが好ましい。ディスプレイ用途フィルムの近年の薄膜化傾向に則ると、50μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μmである。下限はないものの、紫外線吸収剤および/または色素を添加して紫外線および可視光短波長領域の十分なカット性を付与するためには、ある程度の厚みを有する必要があり、現実的には10μm以上の厚みであることが好ましい。10μmより薄い場合、目的の光学性能を付与できないほか、安定した製膜が困難であり、また、後述のハードコート層を設けた際に、硬化処理に伴い積層ポリエステルフィルムがカールを生じる場合がある。
本発明の画像表示装置における積層ポリエステルフィルムは、少なくとも片面に硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層(C層)を有していてもよい。以下に、本発明において好ましいハードコート層の積層について記述する。
本発明の画像表示装置における積層ポリエステルフィルムは、少なくとも片面に耐擦傷や寸法安定性などの機能を付加できる硬化性樹脂層を主成分とするハードコート層を設けることが好ましい。画像表示装置へフィルムを適用する場合、過酷な条件での長期信頼性試験においてフィルムの性状が維持されることが要求される。具体的に、過酷な条件での長期信頼性試験とは、85℃での耐熱性試験および60℃90%RHでの耐湿熱性試験を指す。延伸により配向結晶化した積層フィルムの場合、長期の耐熱性および耐湿熱性試験を行うと、熱収縮によりフィルムの寸法が変化する可能性があるが、本発明の積層ポリエステルフィルムの場合、熱収縮が起こることでフィルムの厚みが増加するため、各種吸収剤の吸収性能が向上する、反射帯域がシフトして望まない光線カットが発生するなどの更なる問題点が生じるため好ましくない。そのため、積層ポリエステルフィルムの性状を維持する目的で寸法安定性を付与するために、ハードコート層を設けることが好ましい。ハードコート層は積層ポリエステルフィルムの上に直接コーティングされてもよく、前述の製造方法に記載の通り、易滑性や易接着性などの機能を付与できるインラインコーティング層を設けた上にコーティングされてもよい。ハードコート層は、本発明の積層ポリエステルフィルムとその他画像表示装置構成部材との粘着剤を介した貼りあわせを鑑みて、片面のみに塗布することが出来るが、片面に塗布する場合はハードコート層の硬化収縮および積層ポリエステルフィルムの熱収縮とのバランスが保たれていない場合、積層ポリエステルフィルムを適用した部材のカールの問題が発生することがある。そのため、ハードコート層は積層ポリエステルフィルムの両面に塗布されていることも好ましい。
ハードコート層を積層する際は、積層ポリエステルフィルム上に直接塗布しても良いが、ハードコート層および積層ポリエステルフィルムとの間に、易接着性を備える水系コーティング層を設けることが好ましい。積層ポリエステルフィルムの結晶性ポリエステルAの屈折率、および、ハードコート層の硬化性樹脂Cとの屈折率差が大きい場合、膜剥離の問題が生じる。そのため、結晶性ポリエステルAと硬化性樹脂Cとの間の数値の屈折率を有する水系コーティング層を設けることがより好ましい。水系コーティング層の積層方法については、後述の好ましい製造方法に記載の通り、インラインで必要に応じてコロナ処理を施した上でワイヤーメタバーを用いて均一な膜を形成し、熱処理工程において水分を乾燥する事で形成する事が可能である。
ハードコート層を構成する硬化性樹脂Cは、高透明で耐久性があるものが好ましく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッソ系樹脂、シリコン樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂を単独または混合して使用できる。特に、硬化性や可撓性、生産性の点において、硬化性樹脂Cはポリアクリレート樹脂に代表されるアクリル樹脂などの活性エネルギー線硬化型樹脂からなることが好ましい。また、曲面追従性が求められる部位に適用するフィルムに求められる、折り曲げ時の耐擦傷性を付加する場合、硬化性樹脂Cは熱硬化性ウレタン樹脂からなることが好ましい。
ハードコート層の構成成分として用いられる活性エネルギー線硬化型樹脂は、該活性エネルギー線硬化型樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(メタクロイルチオフェニル)スルフィド、2,4−ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,3,5−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、ビス(4− (メタ)アクリロイルオキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルフィド、ジ((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フォスフェート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フォスフェートなどの多官能(メタ)アクリル系化合物を用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いることが出来る。
また、これら多官能(メタ)アクリル系化合物とともに、活性エネルギー線硬化型樹脂の硬度、透明性、強度、屈折率などをコントロールするため、スチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、N−ビニルピロリドン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジメタリルフタレート、ジアリルビフェニレート、あるいはバリウム、鉛、アンチモン、チタン、錫、亜鉛などの金属と(メタ)アクリル酸との反応物などを用いることができる。これらは1種もしくは2種以上を用いてもよい。
活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させる方法として、例えば、紫外線を照射する方法を用いることができるが、この場合には、前記化合物に対し、0.01wt%以上10wt%以下の重合開始剤を加えることが望ましい。
ハードコート層に用いる活性エネルギー線硬化型樹脂には、塗工時の作業性の向上、塗工膜厚のコントロールを目的として、本発明の効果を損なわない範囲において、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの有機溶剤を配合することができる。
本発明における活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる電磁波を意味し、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などを用いることができる。紫外線源により硬化する場合は、酸素阻害を防ぐことができることから酸素濃度が出来るだけ低い方が好ましく、窒素雰囲気下や不活性気体下で硬化する方がより好ましい。また、電子線方式の場合は、装置が高価でかつ不活性気体下での操作が必要であるが、光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点から有利である。
硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層(C層)の構成成分として用いられる熱硬化性ウレタン樹脂は、ポリカプロラクトンセグメントならびにポリシロキサンセグメントおよび/またはポリジメチルシロキサンセグメントを有する共重合体樹脂を、イソシアネート基を有する化合物と熱反応により架橋させた樹脂が好ましい。熱硬化性ウレタン樹脂を適用することで、硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層を強靭にすると同時に弾性回復性を助長することが可能となり、適度な耐擦傷性を光学フィルムに付加することが可能となる。
熱硬化性ウレタン樹脂を構成するポリカプロラクトンセグメントは、弾性回復の効果を奏するものであり、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオールや、ラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレートなどのラジカル重合性ポリカプロラクトンを用いることが出来る。
熱硬化性ウレタン樹脂を構成するポリシロキサンおよび/またはポリジメチルシロキサンセグメントは、これらの成分が表面配位することで表面の潤滑性を向上し、摩擦抵抗を低減する効果を奏する。ポリシロキサンセグメントを有する樹脂としては、テトラアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ‐メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランなどを用いることができる。一方、ポリジメチルシロキサンセグメントを有する樹脂としては、ポリジメチルシロキサンセグメントに種々のビニルモノマー、たとえば、メチルアクリレート、イソブチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、などが共重合された共重合体を好ましく用いることが出来る。
熱硬化性ウレタン樹脂からなるハードコート層は、任意の温度で樹脂や化合物同士を連結反応させ、層内の溶媒を揮発させると同時に熱架橋することで形成される。熱硬化性ウレタン樹脂の熱架橋反応を促進させるため、加熱工程における温度は100℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。加熱温度は高温であることが好ましいが、基材の熱収縮による収縮シワの発生などを考慮すると170℃以下で熱処理することが好ましい。加熱時間は、1分間以上、好ましくは2分間以上であり、上限は特に定められるものではないが、積層二軸延伸ポリエステルフィルムの寸法安定性や透明性の観点から5分間以内とすることが好ましい。このようにして、高温で短時間熱処理された積層シートは、20℃〜80℃の温度で3日以上、より好ましくは7日以上エージング処理を行うことが、ウレタン結合を増やしてハードコート層の伸度を向上させる点で好ましい。
以上の各成分を適量配合し、光カチオン重合開始剤として前述の各種活性エネルギー線により常温で硬化することが可能となる。光カチオン重合開始剤としては、ベンゼンジアゾニウムなどの芳香族ジアゾニウム塩、トリフェニルスルフォニウムなどの芳香族スルフォニウム塩、ジフェニルジヨードニウムなどの芳香族ヨードニウム塩、もしくはこれらの2種類以上の組み合わせを用いることが出来る。また、少ない光照射量で十分な架橋反応を実現するために光ラジカル重合開始剤を利用することも可能である。
ハードコート層の厚みは、使用方法により適切に調整されるべきであるが、画面表示装置の薄膜傾向およびハードコート性能の両立の観点から鑑みると、通常は1μm以上6μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上3μm以下であり、さらに好ましくは1μm以上1.5μm以下の範囲である。ハードコート層の厚みが6μmより厚い場合、溶媒の乾燥不足による硬化不良が発生する問題点や、コーティング基材を硬化させた際の硬化収縮に積層ポリエステルフィルムの力学強度が劣り、ハードコート層を内面にしたカールが強く発生する場合がある。
ハードコート層には、前述した種々の紫外線吸収剤および/または色素、熱線吸収剤、酸化防止剤、耐光安定剤、帯電防止剤などのその他各種添加剤をハードコート層の本来の性能が低下しない程度に添加してもよい。積層ポリエステルフィルムとハードコート層とに分けて添加することで、積層ポリエステルフィルム内に添加する紫外線吸収剤および/または色素の添加濃度を減少させることができるため、樹脂押出時に発生するブリードアウト現象を抑制することが出来ることから好ましい。ハードコート層に添加する紫外線吸収剤および/または色素の添加濃度は、ハードコート層を構成する樹脂組成物全体に対して10wt%以下であることが好ましく、より好ましくは5wt%以下である。添加濃度については、添加剤の吸収性能やハードコート層の厚みを鑑みて、目的とするカット性能を達成するために適宜調節されるべきであるが、10wt%を超える場合、ハードコート厚みに関わらず、信頼性試験において各種添加剤の表面析出などにより光学性能への影響が発生する可能性があるため、好ましくない。
特に、紫外線吸収剤をハードコート層内に添加する際には、ハードコート層の主成分である硬化性樹脂Cとして、活性エネルギー線硬化型の硬化性樹脂ではなく、熱硬化型の硬化性樹脂を利用することがより好ましい。活性エネルギー線として紫外線を利用する場合、硬化において使用する紫外線を、添加した紫外線吸収剤が吸収してしまい、ハードコート層の膜硬化不良を発生する可能性がある。膜硬化不良により、積層ポリエステルフィルムとの密着性悪化や、信頼性試験後のハードコート層の剥がれが発生する可能性がある。活性エネルギー線の照射光量を増加したり、架橋促進剤を添加することで改善することも可能であるが、生産性の観点からは好ましくない場合もある。
また、本発明の画像表示装置に用いる積層ポリエステルフィルムは、少なくとも片面に反射防止層を有することが好ましい。反射防止層とは、外光の反射強度を低下するための層を指し、反射防止層の屈折率を隣接する下側の層の屈折率よりも小さくする事で、空気との屈折率差を低減し、外光の反射を抑制する事が出来るものである。反射防止層としては、積層ポリエステルフィルムの最表層に位置する結晶性ポリエステルA層より屈折率の小さい樹脂層で構成され、さらに、当該樹脂中に無機粒子を添加することでより屈折率を下げる処方が挙げられる。本発明における反射防止層とは、屈折率が1.30以上1.55以下の層であることが好ましい。
さらに、本発明の画像表示装置に用いる積層ポリエステルフィルムは、少なくとも片面に硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層(C層)を有し、前記ハードコート層(C層)上に反射防止層を有することが好ましい。このとき、ハードコート層の屈折率は、反射防止層の屈折率以上、結晶性ポリエステルA層の屈折率以下であることが良い。積層ポリエステルフィルムに隣接して反射防止層を積層する場合、結晶性ポリエステルA層と反射防止層の屈折率差が大きくなると考えられ、反射防止層の密着性、特に湿熱環境下での密着性に乏しくなり、界面層剥離の問題が生じる。そのため、反射防止層の屈折率以上、結晶性ポリエステルA層の屈折率以下、を示すハードコート層を介することで、強い密着性を示すことが可能となる。
以下に、反射防止層の好ましい構成について記載するが、もちろん本発明における反射防止層は係る例に限定して解釈されるものではない。
反射防止層を構成する樹脂としては、製造性の観点より、熱および/または活性エネルギー線などにより硬化可能な樹脂であることが好ましく、構成する樹脂は1種類であっても良く、2種類以上の混合系を用いても良い。また、屈折率を低下するための後述の無機粒子を反射防止層に保持する観点より、分子中に反応性二重結合を有する樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、成分中に多官能アクリレートを用いるのが好ましく、代表的なものを以下に例示する。1分子中に、3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能アクリレート及びその変性ポリマー、具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサンメチレンジイソシアネートウレタンポリマーなどを用いることができる。これらの単量体は、1種または2種以上を混合して使用することができる。また、市販されている多官能アクリル系組成物としては三菱レイヨン株式会社;(商品名”ダイヤビーム(登録商標)”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名”デナコール”シリーズなど)、新中村化学株式会社;(商品名”NKエステル”シリーズなど)、DIC株式会社;(商品名”UNIDIC”など)、東亞合成化学工業株式会社;(”アロニックス(登録商標)”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(”ブレンマー(登録商標)”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名”KAYARAD”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名”ライトエステル”シリーズなど)などを挙げることができ、これらの製品を利用することができる。
これらの反射防止層を構成する樹脂に添加できる屈折率を低下するための無機粒子は、限定されないが、特にフッ素処理無機粒子が好ましい。処理とは、無機粒子表面に化合物を化学結合(共有結合、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、疎水結合等を含む)や吸着(物理吸着、化学吸着を含む)によって導入することを指す。フッ素処理無機粒子とは、フッ素化合物により処理された無機粒子であり、このフッ素処理無機粒子が低屈折率層構成成分として好ましい。このフッ素処理無機粒子を製造する際に好適な無機粒子(フッ素化合物Aにより表面処理されるベースとなる無機粒子)としては、Si,Na,K,Ca,およびMgから選択される元素を含む無機粒子が好ましく挙げられ、さらに好ましくは、シリカ粒子(SiO)、アルカリ金属フッ化物(NaF,KFなど)、およびアルカリ土類金属フッ化物(CaF、MgFなど)から選ばれる化合物を含む無機粒子であり、耐久性、屈折率などの点からシリカ粒子が特に好ましい。
フッ素処理無機粒子の構成材料である粒子の、処理前の形状は特に限定されるものではないが、反射防止層の屈折率の観点から、球状、より好ましくは、フッ素処理無機粒子の構成材料である粒子がシリカ粒子であり、該シリカ粒子が中空及び/又は多孔質の形状であることが好ましい。このとき、中空シリカ粒子とは、粒子の内部に空洞を有するシリカ粒子であり、多孔質シリカ粒子とは、粒子の表面及び内部に細孔を有するシリカ粒子である。また、中空および/または多孔質の形状であるシリカ粒子などの無機粒子を用いることにより、得られる反射防止層の密度を下げ、低屈折率の反射防止層を好適に形成することができるため好ましい。
つづいて、低屈折率層に好適なフッ素処理無機粒子の数平均粒子径について説明する。粒子の数平均粒子径(表面処理される前の粒子の数平均粒子径)が200nmよりも大きくなると、光散乱により良好な透明性が得られなくなり好ましくない。また、粒子径がより小さい分には特に光学面の影響はないが、現実的に安定して得られる粒子の数平均粒子径は、1〜5nm程度が下限である。
本発明の反射防止層に用いるフッ素処理無機粒子は、数平均粒子径が30nm以上200nm以下であることが好ましく、より好ましくは40nm以上150nm以下である。反射防止層に存在する粒子の数平均粒子径を30nm以上にすることにより、積層ポリエステルフィルム最表面と反射防止層とのなす界面が微細に入り組み、反射防止性や透明性に影響が出ない範囲で湿熱環境下においても接着性の付与が可能となる。さらに、界面の微細な凹凸構造により反射防止層の厚みが実質的に幅を有するため、膜厚のズレによる干渉光への影響を限りなく抑制する事が出来る。一方で、200nm以下にすることにより、光散乱の発生無く、反射防止層を積層した場合でも高い透明性を保つことが可能となる。
フッ素処理無機粒子としては、中空シリカ粒子などのシリカ粒子の表面にフッ素処理したフッ素処理中空シリカ粒子であることが特に好ましい。中空シリカなどの粒子に対するフッ素表面処理工程は一段階で行われても良く、多段階で行われても良い。また、複数の段階でフッ素化合物を用いても良く、一つの段階のみでフッ素化合物を用いても良い。また中空シリカなどの粒子の表面処理工程にて好ましく用いられるフッ素化合物は、単一化合物でも良く、複数の異なる化合物を用いても良い。
フッ素処理とは、中空シリカ粒子などの粒子を化学的に修飾し、中空シリカ粒子などの粒子にフッ素化合物を導入する工程を指す。中空シリカ粒子などの粒子に直接フッ素化合物を導入する方法としては、1分子中にフッ素セグメントとシリルエーテル基(シリルエーテル基が加水分解されたシラノール基を含む)との両方を持つフルオロアルコキシシラン化合物を少なくとも1種類以上と、開始剤とを共に撹拌することにより形成する方法がある。しかし、中空シリカ粒子などの粒子に直接フッ素化合物を導入する場合、反応性の制御が困難になり、塗料組成物の塗工時に塗工斑等が発生しやすくなる場合がある。
中空シリカ粒子などの粒子を化学的に修飾し、中空シリカ粒子などの粒子にフルオロアルキル基を導入するその他の方法としては、中空シリカ粒子などの粒子を架橋成分にて処理し、フッ素化合物とつなぎ合わせる方法がある。官能基を有したフッ素化合物としては、フルオロアルキルアルコール、フルオロアルキルエポキシド、フルオロアルキルハライド、フルオロアルキルアクリレート、フルオロアルキルメタクリレート、フルオロアルキルカルボキシレート(酸無水物及びエステル類を含む)などを用いることができる。
架橋成分としては、分子内にフッ素は無いが、フッ素化合物と反応可能な部位、および中空シリカ粒子などの粒子と反応可能な部位を少なくとも一カ所ずつ有する化合物を指し、中空シリカ粒子などの粒子と反応可能な部位としては、反応性の観点から、シリルエーテル及びシリルエーテルの加水分解物であることが好ましい。これら化合物は、一般的にシランカップリング剤と呼ばれ、例としては、グリシドキシアルコキシシラン類、アミノアルコキシシラン類、アクリロイルシラン類、メタクリロイルシラン類、ビニルシラン類、メルカプトシラン類、などを用いることができる。
本発明の低屈折率層に含まれるフッ素処理無機粒子のより好ましい形態は、シリカ粒子(特に中空シリカ粒子)を下記一般式(I)で示される化合物で処理し、さらに下記一般式(II)で示されるフッ素化合物で処理した粒子である。
B−R1−Si(R2)(OR3)(3−n) :一般式(I)
C−R4−Rf :一般式(II)
(上記一般式中のB、Cは反応性部位を示し、R1、R4は炭素数1から3のアルキレン基及びそれらから導出されるエステル構造を、R2、R3は水素又は炭素数が1から4のアルキル基を、Rfはフルオロアルキル基を、nは0から2の整数を示し、それぞれ側鎖を構造中に持っても良い。)
反応性部位とは、反応性の観点からアルコキシシリル基及びアルコキシシリル基が加水分解されたシラノール基や、カルボシキシル基、水酸基、エポキシ基、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
一般式(I)の具体例としては、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシブチルトリメトキシシラン、メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、メタクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン及び、これら化合物中のメトキシ基が他のアルコキシル基及び水酸基に置換された化合物を含むものなどが挙げられる。
一般式(II)の具体例としては、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフロオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1−トリフルオロメチルトリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレートなどが挙げられる。分子中にフルオロアルキル基Rfを有さない一般式(I)で表される化合物を用いることにより、簡便な反応条件で、シリカ粒子表面に反応性を制御しやすい官能基を導入することが可能となり、その結果、反応性部位及びフルオロアルキル基Rfを有するフッ素化合物Aをシリカ粒子表面で反応させることが可能となる。ここで、前述したシリカ粒子及び一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物は、シリカ粒子を一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物により表面処理した縮合体および/または重合体として存在していることが、反射防止層を好適に形成可能であるため好ましい。
次に、本発明の画像表示装置における積層ポリエステルフィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるものではない。
結晶性ポリエステルAおよび熱可塑性樹脂Bをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された各樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などが取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、シート状に吐出される。そして、ダイから吐出されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させたりする方法も好ましい。
また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの複数の樹脂は、2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、シート状で吐出される前に多層積層装置へ送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の層構成を効率よく得るためには、微細スリットを有するフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物発生量が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層体をダイへと導き、上述の通りキャスティングフィルムが得られる。得られたキャスティングフィルムは、つづいて長手方向および幅方向に二軸延伸されることが好ましい。延伸は、逐次に二軸延伸しても良いし、同時に二軸延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための一軸延伸を指し、通常は、ロールの周速差により施され、1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層ポリエステルフィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃の範囲内に設定することが好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
つづいて幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層ポリエステルフィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、低配向角およびフィルムの熱寸法安定性を付与するために熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理などを併用してもよい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率は樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層ポリエステルフィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
以上のようにして得られた積層ポリエステルフィルムは、巻き取り装置を介して必要な幅にトリミングされ、巻き取り皺が付かないようにロールの状態で巻き取られる。なお、巻き取り時に巻姿改善のためにフィルム両端部にエンボス処理を施しても良い。
本発明の画像表示装置は、フラットパネルディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、タッチパネル分野、AR/VR分野のヘッドアップ/ヘッドマウントディスプレイなどの多種にわたるディスプレイとして使用でき、大画面ビジョン/モニタ、デジタルサイネージ、PCモニタ、医療用モニタ、車載ディスプレイ、テレビ、タブレット、スマートフォン、ウェアラブル端末、スマートウィンドウ、電子ペーパー、デジタルナンバープレートなど多種の画像表示用途に用いることができる。赤外線センサーを搭載したディスプレイでは、誤作動を起こしうる不要な赤外線の侵入を防ぐなどの目的で、赤外線をカット可能な本発明の画像表示装置を好適に使用できる。
本発明の画像表示装置は、特に、車載用ディスプレイ用途をはじめとする屋外で利用する画像表示装置において好適に利用される。本発明の画像表示装置において特徴のある積層ポリエステルフィルムは、偏光子の前面位置で利用するため、偏光板内の偏光子(PVA)や液晶層、発光分子などを外光に含まれる熱線や紫外線から効果的に保護する事が出来るため、屋外で長期的に熱や紫外線に曝される車載ディスプレイやデジタルサイネージなどの屋外画像表示装置においては、視認性・クリアな画像表示への影響を最小限に抑えて紫外線による劣化を長期にわたり防ぐ効果を奏するため、特に好ましく使用できる。
本発明の画像表示装置は、さらに、ヘッドアップディスプレイ用途として好ましく利用することができる。ヘッドアップディスプレイは、表示部から発せられた光を投影部材へと投射し、無限遠点に虚像を映し出すことで、情報を通常の視界内に重ねて表示するディスプレイであり、自動車や航空、船舶、医療用途、さらに、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などのヘッドマウントディスプレイ用途の表示装置として用いられる。通常のディスプレイは、投影部近傍に直接表示部が隣接する構成となるため表示部からの光を主に正面方向から視認する態様であるのに対し、ヘッドアップディスプレイでは、表示部から発せられた表示光が直接あるいは反射鏡(コールドミラー)などを介して、表示部からの光の進行方向に対して斜めに設置されたガラスや樹脂などで構成された投影部材に照射されることで形成された虚像を、さらに視認者が斜方から視認する態様となるため、投影部と表示部は隣接せず、また、表示部からの光を正面から直接的に視認することはない。(図4)本画像表示装置で用いることができる積層ポリエステルフィルムは、多層構造による干渉反射技術を利用して光線カットを発現するため、反射帯域が可視光線領域にわたる場合、反射された光は前面に跳ね返ってくる特徴を有する。そのため、通常のディスプレイ構成で使用する場合は、正面から視認する場合に反射色相がそのまま認識され、画像表示の際に透明性が損なわれる欠点が生じる場合がある。また、本積層ポリエステルフィルムが二軸延伸を経て強い光学異方性を有する場合、偏光サングラスなどを介して画面表示装置を視認すると、虹色模様が視認されることで視認性が悪化する場合がある。一方で、ヘッドアップディスプレイ装置では、投影部に対して斜めから視認するため、本来視認されるはずの正面方向への反射色相が視認されず、視認者に対してはクリアな表示が得られ、画像表示装置を構成する偏光子や表示パネル、自発光パネル部に対しては、積層ポリエステルフィルム本来の光線カット効果が得られる態様となるため、好ましい。
特に、車載向けのヘッドアップディスプレイの場合は、図4のように表示パネル部や自発光パネル部などの表示部が車両内部に搭載される構成や、図5のように投影部材に内蔵あるいは貼合された表示部に投光装置からの光を当てて表示する構成などが用いられる。前者の構成においては、表示部が存在する内装パネル部の内部まで入射してきた外光によって表示部の構成成分が劣化しないようにするため、積層ポリエステルフィルムを表示部の前面(外面)に配置することが好ましい。この場合は、積層ポリエステルフィルムが光学異方性を示しており、かつ、偏光サングラスなどを介した場合であっても、虹色模様が発生しにくくなるため好ましい。後者の構成においては、表示部が窓ガラスなどに直接的に設置されている場合、表示部材の両面から外光の影響を受けるため、外光によるぎらつきなどを抑制するために偏光板により光吸収を行う場合があるが、その偏光板の前面に積層ポリエステルフィルムを設置して劣化を抑制することができるため、好ましい。
以下、実施例に沿って本発明について説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。各特性は、以下の手法により測定した。
(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)層厚み、積層数、積層構造
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、RuOやOsOなどを使用した染色技術を用いた。また、1枚の画像に取り込められるすべての層の中で最も厚みの薄い層(薄膜層)の厚みにあわせて、薄膜層厚みが50nm未満の場合は10万倍、薄膜層厚みが50nm以上500nm未満である場合は4万倍、500nm以上である場合は1万倍の拡大倍率にて観察を実施した。
(2)光線透過率
日立製の分光光度計U−4100を使用した。積分球を取り付け、酸化アルミニウム標準白色板(本体付属)の反射を100%としたときの、300nm以上1200nm以下の波長帯域での相対透過率を測定した。波長440nmに対しては、該波長での光線透過率の値を読み取り、波長300nm以上400nm以下、および、波長800nm以上1200nm以下の波長帯域に対しては、該範囲での最大の光線透過率を読み取った。条件として、スキャン速度を600nm/min,サンプリングピッチを1nmに設定し、連続的に測定した。
(3)平均光線反射率
日立製の分光光度計U−4100を使用した。積分球を取り付け、酸化アルミニウム標準白色板(本体付属)の反射を100%としたときの、300nm以上1200nm以下の波長帯域での相対反射率を測定し、対象の各波長帯域での平均光線反射率を求めた。条件として、スキャン速度を600nm/min,サンプリングピッチを1nmに設定し、連続的に測定した。
(4)ハードコート塗布(実施例12、13)
メチルエチルケトン溶媒に溶解した活性エネルギー線硬化型ウレタンアクリル樹脂(日本合成化学工業(株)製 紫光UV−1700B[屈折率:1.50〜1.51])を、積層ポリエステルフィルムの最表面上にバーコーターを用いて均一に塗布し、80℃のオーブン内で1分間乾燥し、溶媒を除去した。次いで、ハードコート層の表面から13cmの高さにセットした120W/cmの照射強度を有する集光型高圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製 H04−L41)で、積算照射強度が180mJ/cmとなるように紫外線を照射し、硬化させ、積層ポリエステルフィルム上にハードコート層が積層された積層シートを得た。なお、紫外線の積算照射強度測定には工業用UVチェッカー(日本電池(株)製UVR−N1)を用いた。
(5)耐熱性(耐熱試験前後のヘイズ変動量評価)
作成した積層ポリエステルフィルムをフィルム幅方向中央部から長手方向10cm×幅方向10cmで切り出し、普通紙に挟んで85℃の無風炉型オーブン内に500時間静置し、熱処理前後のフィルムのヘイズ値の変化量を評価した。ヘイズ測定は、スガ試験機(株)製 ヘイズメーター(HGM−2DP)を用い、旧JIS−K−7105に準じて測定を行った。フィルム幅方向に対して等間隔で3点測定し、その平均値を測定結果とした。
S:ヘイズ値変動量が 0.5%未満
A:ヘイズ値変動量が 0.5%以上1%未満
B:ヘイズ値変動量が 1.0%以上1.5%未満
C:ヘイズ値変動量が 1.5%以上3.0%未満
D:ヘイズ変動量が 3.0%以上。
(6)耐湿熱性(耐湿熱試験前後のヘイズ変動量評価)
作成した積層ポリエステルフィルムをフィルム幅方向中央部から長手方向10cm×幅方向10cmで切り出し、普通紙に挟んで60℃90%RHの恒温恒湿槽内に500時間静置し、熱処理前後のフィルムのヘイズ値の変化量を評価した。ヘイズ測定は、スガ試験機(株)製 ヘイズメーター(HGM−2DP)を用い、旧JIS−K−7105に準じて測定を行った。フィルム幅方向に対して等間隔で3点測定し、その平均値を測定結果とした。
S:ヘイズ値変動量が 0.5%未満
A:ヘイズ値変動量が 0.5%以上1.0%未満
B:ヘイズ値変動量が 1.0%以上1.5%未満
C:ヘイズ値変動量が 1.5%以上3.0%未満
D:ヘイズ変動量が 3.0%以上。
(7)促進耐候試験
積層ポリエステルフィルムを搭載して作成した各種画像表示装置を、視認側を光照射面としてスガ試験機社製のサンシャインウエザーメーターSS80に設置し、500時間の促進耐候試験を実施した。当該装置は太陽光と類似した3倍の強度の光スペクトルを有しており、擬似的に屋外での使用を想定した試験を実施する事が出来る。処理条件は、ブラックパネル温度63℃、照射湿度50%RH、照度(照射エネルギー)を180W/m(300〜400nm)とした。
(8)(a)構成における画像表示装置・コントラスト(輝度)評価
トプコンテクノハウス社製の輝度測定装置BM7を用いて測定した。全面白色表示における輝度をA、ならびに、全面黒色表示における輝度をBとし、式1に従いコントラスト値を算出した。促進耐候試験前後のコントラスト変化量に準じて、優劣を下記の通り評価した。
(式1) コントラスト=B/A
S:耐候試験戦後のコントラスト変化が3%未満
A:耐候試験前後のコントラスト変化が3%以上5%未満
B:耐候試験前後のコントラスト変化が5%以上10%未満
D:耐候試験前後のコントラスト変化が10%以上。
(9)(b)構成における画像表示装置・色相評価
コニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM3600dを用い、黒表示における反射測色値を測定した。測定条件は、測定径8mm,視野角10°,光源D65とし、反射SCIでのL値、a値およびb値を読み取った。式2に従った色値の変化量に従い、色相変化の優劣を評価した。
(式2) 色相変化量=√{(L試験後−L試験前)+(a試験後−a試験前)+(b試験後−b試験前)
S:色相変化量が1未満
A:色相変化量が1以上3未満
B:色相変化量が3以上5未満
D:色相変化量が5以上。
本発明の画像表示装置において特徴のある積層ポリエステルフィルムの実施例について下記する。基本特性ならびに効果については、表1にまとめる。
(実施例1)
結晶性ポリエステルAとして、融点が258℃のポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた。また熱可塑性樹脂Bとして融点を持たない非晶性樹脂である、ジオール成分全体に対してシクロヘキサンジメタノール(CHDM)20mol%ならびにスピログリコール(SPG)15mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/SPG15/CHDM20)を用いた。熱可塑性樹脂B内には、分子量が650g/molのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)(表中には、「ベンゾトリアゾール−1」と記載)を、熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を構成する樹脂組成物に対して3wt%となるように添加した。準備した結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bをそれぞれ、2台の単軸押出機に投入し、前者は280℃、後者は260℃で溶融させて、混練した。次いで、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて計量しながら、スリット数51個のフィードブロックにて合流させて、積層比1.0の厚さ方向に交互に51層積層された積層体とした。ここでは、スリット長さは階段状になるように設計し、間隔は全て一定とした。得られた積層体は、層厚みが140nm以上160nm以下の範囲で、熱可塑性樹脂A層が26層、熱可塑性樹脂B層が25層となるように構成されており、厚さ方向に交互に積層されていた。該積層体をTダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度が25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸の積層キャストフィルムを得た。
得られた積層キャストフィルムを、100℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、フィルム長手方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この積層一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、そのフィルム両面の処理面に(#4のメタバーで易滑層となる粒径100nmのコロイダルシリカを3wt%含有した酢酸ビニル・アクリル系樹脂を含有した水系塗剤をコーティングし、透明・易滑・易接着層を形成した。
この積層一軸延伸フィルムをテンターに導き、90℃の熱風で予熱後、140℃の温度でフィルム幅方向に3.3倍延伸した。ここでの延伸速度と温度は一定とした。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で210℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度条件で幅方向に1%の弛緩処理を施し、その後巻き取ることで、積層ポリエステルフィルムを得た。積層ポリエステルフィルムの厚みは10μmであり、いずれのフィルム表面も紫外線領域300nm以上380nmの帯域を反射と吸収で十分カットしつつ、近赤外線領域800nm以上1200nm以下の帯域を平均で20%反射する性能を有していた。
本フィルムを、後記の各種画像表示装置に内蔵した。(a)構成の画像表示として、保護層であるガラス、前記の積層ポリエステルフィルム、偏光子(上側偏光板)、IPS液晶を利用した液晶層および下偏光板を含む表示パネル部、輝度向上フィルム(DBEF)、バックライト、がこの順に積層された画像表示装置を作成した。具体的には、保護層として500μmの光学グレードのガラスを用いた。積層ポリエステルフィルムは、上側偏光板の偏光子保護層と機能統合して利用し、光学粘着剤を介して吸収型偏光子(PVA)を貼り合せて上偏光板とした。上偏光板の下側もう片面の偏光子保護層には、TACフィルムを用いた。表示パネル部には、液晶層としてIPSモードの液晶分子を用い、下偏光板は2枚のTACフィルムで吸収型偏光子を挟む構成とした。下偏光板の直下には、DBEF(商品名)を貼りあわせ、さらに、プリズム拡散板、エッジライト型バックライトを使用した。
一方で、(b)構成の画像表示装置として、サムスン社製のスマートフォンであるGalaxyJ7 Dual J7108(商品名)を使用した。保護層であるガラスを取り外し、偏光子に相当する円偏光板の視認側最表面に積層ポリエステルフィルムを、アクリル系光学粘着剤を介して貼り合せ、促進耐候試験用の画像表示装置とした。この時、積層ポリエステルフィルムの配向軸と、吸収型偏光子PVAの透過軸とが平行になるように貼り合せた。なお、積層ポリエステルフィルムの配向角は、王子計器株式会社製の位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いて面内位相差測定を行い、光学的な手法をもって、得られた配向角の数値と一致する方向を配向角とした。それぞれの画像表示装置に対して促進耐候試験を実施したところ、コントラストならびに色味共にやや変化はしたものの、長期使用に耐えうる性能を有することを確認できた。また、熱線や紫外線を反射する積層ポリエステルフィルムを含む複数の多層積層フィルムを画像表示装置搭した事で、画像表示装置全体を従来よりもコンパクトで薄型なものに出来、さらに、屋外に表示した際にもパネル内部の温度が上昇しにくい結果が得られており、屋外表示装置として好適に使用できる画像表示装置となった。以下の実施例では、本実施例と同じ構成の画像表示装置を利用し、促進耐候試験での結果をもって、屋外にて長期使用できる装置としての性能を有するかの判断を実施している。
(比較例1)
実施例1において、結晶性ポリエステルAならびに熱可塑性樹脂Bとして融点が258℃のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、紫外線吸収剤を添加せずに、2台の単軸押出機に投入し擬似単膜フィルムを作成した以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。紫外線、可視光短波長領域の光線、近赤外線が全てカットできていないため、促進耐候試験後に画像表示装置が著しく劣化した。
(比較例2)
実施例1において、結晶性ポリエステルAならびに熱可塑性樹脂Bとして融点が258℃のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、熱可塑性樹脂Bの中に実施例1で使用したものと同じ紫外線吸収剤を、主成分とする樹脂組成物に対して1.5wt%となるように添加して、2台の単軸押出機に投入し擬似単膜フィルムを作成した以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。紫外線領域は比較的カットできているものの、熱線ならびに可視光短波長領域のカットが全くできていないために、促進耐候試験後の画像表示装置の劣化が著しいものとなった。
(比較例3)
実施例1において、スリット数41個のフィードブロックにて合流させて、積層比1.0の厚さ方向に交互に41層積層された積層体とし、フィルム厚みを8μmとなるように設計した以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。紫外線領域ならびに近赤外線領域の反射性能が十分でなく、また、対象波長帯域のカットのためには薄膜が必要となるため製膜も安定しない問題があった。画像表示装置へ搭載しても、比較例2と同等の性能しか有さず、表示装置の劣化が著しいものとなった。
(実施例2)
実施例1において、スリット数251個のフィードブロックにて合流させて、積層比1.0の厚さ方向に交互に251層積層された積層体とし、フィルム厚みを40μmとなるように設計した以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。スリット厚みは、積層層厚みがフィルムの片面側からフィルム中心へ向かって増加した後、中心から反対面に向かって減少する層厚み分布となるように設計し、間隔は全て一定とした。得られた積層体は、熱可塑性樹脂A層が126層、熱可塑性樹脂B層が125層で構成されており、厚さ方向に交互に積層されていることをTEM観察により確認した。層厚み分布の効果により、光線反射率が全体的に向上した結果、紫外線や近赤外線を効果的に防ぐことが出来、促進耐候試験後の画像表示装置のコントラスト変化抑制が確認できた。
(比較例4)
実施例2において、フィルム厚みを13μmとし、反射帯域の一次反射光を紫外線領域とした以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。赤外線反射性能を有さないことで、屋外使用を想定したキセノン装置での画像表示装置の評価において、耐候試験でのコントラスト低下が発生した。目視で確認したところ、ブラックアウトほどの画像表示悪化は発生しなかったものの、視認性が明らかに悪化する結果となった。
(実施例3)
実施例2において、スリット数501個のフィードブロックにて合流させて、積層比1.0の厚さ方向に交互に501層積層された積層体とし、フィルム厚みを105μmとなるように設計した以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。積層層厚み分布は、実施例2と同じ増減傾向となるように設計したが、同じ厚みの層を複数層含み、階段状に増加・減少するように設計した。得られた積層体は、熱可塑性樹脂A層が251層、熱可塑性樹脂B層が250層で構成されており、厚さ方向に交互に積層されていることをTEM観察により確認した。これにより、反射効率が上昇し、積層ポリエステルフィルム全体の光線反射率が向上した。実施例2と比較して、やや促進耐候試験後の画像表示装置のコントラスト変化が改善される結果を得た。
(実施例4)
実施例3において、紫外線領域の反射に特化した60nm以上80nm以下の層厚みを有する層が合計340層であり、近赤外線領域を1次反射光とし紫外線領域が2次反射光となる層厚み140nm以上160nm以下の層厚みを有する層が合計140層となるように設計した。また、紫外線領域を反射する340層がフィルム片面側から増加した後に中央近傍で減少傾向に転ずる層厚み分布を有し、近赤外線領域を1次反射光とする140層がフィルム片面から見て単調増加する層厚み分布を有し、フィルム全厚みが50μmであり、熱可塑性樹脂Bに紫外線吸収剤を添加せずに製膜した以外は、実施例3と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。紫外線領域の反射を強めるような設計を施したことで、紫外線領域の光線反射率が95%を示し、紫外線吸収剤を添加しなくても十分な紫外線カット性を有する積層ポリエステルフィルムとなった。紫外線吸収剤を添加しないため、実施例3と比較して積層ポリエステルフィルムの白化は発生せず、耐光試験後のコントラスト低減に効果を奏した。
(実施例5)
実施例3において、紫外線領域の反射に特化した60nm以上80nm以下の層厚みを有する層が合計140層であり、近赤外線領域を1次反射光とし紫外線領域が2次反射光となる層厚み140nm以上160nm以下の層厚みを有する層が合計340層となるように設計した。また、紫外線領域を反射する140層はフィルム片面から見て単調増加する層厚み分布を、近赤外線領域を1次反射光とする340層はフォルム片面から見て増加した後に中央近傍で減少傾向に転ずる層厚み分布を有しており、フィルム全厚みが70μmとなるように設計した以外は、実施例3と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。紫外線吸収剤の影響で、積層ポリエステルフィルム自身の白化傾向は確認されたものの、近赤外線領域の光線反射率を高めたことで、画像表示装置の促進耐候試験後においてもコントラストは比較的保たれる結果となった。
(実施例6)
実施例2において、合流させるスリット数251個のフィードブロックの層厚み分布を、紫外線領域の反射に特化した60nm以上80nm以下の層厚みを有する層が合計120層、近赤外線領域を1次反射光とし紫外線領域を2次反射光とする140nm以上160nm以下の層厚みを有する層が合計120層含むように設計し、フィルム厚みを34μmとなるように設計した以外は、実施例2と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。積層層厚み分布を、それぞれの反射帯域に特化するように設計し、さらに近赤外線反射を一次反射光とする領域が2次反射光として紫外線領域を反射する事から、全体として紫外線領域の反射が強くなった。そのため、積層ポリエステルフィルムを内蔵した画像表示装置の評価において、コントラスト変化ならびに色相変化が改善される結果となった。
(実施例7)
実施例2において、熱可塑性樹脂B内に、分子量が700g/molのトリアジン系紫外線吸収剤(2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−s−トリアジン)(表中には、「トリアジン」と記載)を、熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を構成する樹脂組成物に対して2wt%となるように添加した以外は、実施例2と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。トリアジン系紫外線吸収剤の昇華抑制効果ならびに高吸収性能により、積層ポリエステルフィルム自体の耐熱性、耐湿熱性が格段に向上した。この効果により、画像表示装置搭載時のコントラスト変化も低減する結果を得た。
(実施例8)
実施例7において、積層ポリエステルフィルムの厚みが43μmとなるように設計した以外は、実施例7と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。厚みを上昇したことで、反射帯域がより長波長側にシフトし、紫外線領域から可視光短波長領域に至るまでの広い波長帯域の光を反射できるフィルムとなった。その効果により、促進耐候試験後のコントラスト変化が非常に少なくなり、また、色相変化も抑制される結果を得た。
(実施例9)
実施例7において、積層ポリエステルフィルムの厚みが45μmとなるように設計した以外は、実施例7と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。厚みを増加したことで、反射帯域がさらに長波長側へとシフトし、可視光短波長領域のほとんどを反射するフィルムとなった。その効果により、440nmの透過率がやや低下傾向を示しており、(b)の構成の画像表示装置においては発光波長への影響が懸念されたものの、促進耐光試験後の色相変化が格段に抑制される結果を示し、これまでの実施例の中でもっとも良好な結果を示す画像表示装置となった。
(実施例10)
実施例8において、熱可塑性樹脂B内に、分子量が454g/molのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(5−ドデシルチオ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール)(表中には、「ベンゾトリアゾール−2」と記載)を、熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を構成する樹脂組成物に対して2wt%となるように添加した以外は、実施例8と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。当該ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は波長400nmまでの紫外線を吸収する性能を有している。そのため、促進耐候試験後の色相変化はこれまでの実施例の中で最も抑制される結果を示した。一方で、積層ポリエステルフィルムの耐熱・耐湿熱試験後にはやや白化傾向が観られ、コントラストは少し変化したが、画像表示装置として長期使用するに十分足る性能を示した。
(実施例11)
実施例8において、熱可塑性樹脂B内に、トリアジン系紫外線吸収剤に加えて、ベンジリジン系の色素を、熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を構成する樹脂組成物に対して1wt%となるように添加した以外には、実施例8と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。可視光短波長領域のカット性の高い色素を添加したことで、色相コントラストは促進耐候試験前後で殆ど変化しない結果を得た。
(実施例12)
実施例8において、結晶ポリエステルAとしてポリエチレンナフタレートとし、押出温度300℃で溶融し、さらに、熱可塑性樹脂Bに含まれるトリアジン系紫外線吸収剤の添加濃度を1wt%とした以外には、実施例8と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。ポリエチレンナフタレートを使用したことで、ポリエチレンテレフタレートを用いた場合と比較して、結晶性ポリエステルAおよび熱可塑性樹脂Bの屈折率差が大きくなり、光線反射率が全体的に向上する結果を示した。可視光短波長領域、ならびに、近赤外線領域の光線反射率が上昇したことで、さらに効果的に紫外線および近赤外線をカットする事が出来る。画像表示装置に搭載したことで、実施例6と比較して、コントラストおよび色相の両面で性能が高く維持される結果を示した。
(実施例13)
実施例8において、積層ポリエステルフィルムの片面にハードコート層を5μm積層した以外は、実施例8と同様にしてフィルムを得た。画像表示装置に搭載する際には、ハードコート積層側が上面となるように貼り合せた。アクリルを主成分とするハードコート層を積層したことで、積層ポリエステルフィルム全体の光線反射率が下がり、光線透過率が上昇する傾向を示した。画像表示装置に実装した際のブランクでの見栄えの向上にも繋がり、また、促進耐候試験でも劣化が殆ど発生しなかったことから、画像表示装置として好ましい性質であった。
(実施例14)
実施例13において、ハードコート層のさらに表面に屈折率1.39を示す平均粒径100nmのフッ素処理シリカ粒子を含むアクリル系ハードコート層を厚み1μm積層した以外は、実施例13と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。表面屈折率を大きく下げたことで、実施例13と比較してさらに光線透過率が上昇し、クリアな見栄えを有する積層ポリエステルフィルムとなった。本フィルムを画像表示装置に積層したところ、非常にクリアな見栄えを示しており、また、促進耐候試験を実施しても、コントラスト、色相共に全く変化のない結果を示したことから、本発明の画像表示装置として最も好ましいものとなった。
Figure 2019061241
Figure 2019061241
本発明の画像表示装置は、紫外線、可視光短波長の光線、ならびに近赤外線を同時に反射できる積層ポリエステルフィルムを偏光子より前面に配置する事で、屋外使用においても、画像表示のコントラストや色相を悪化させることなく、長期わたり使用する事が出来る。また、多層積層構造を用いたフィルムを複数枚用い、必要な光のみを効率よく使用できる構成を有することから、画像表示装置の薄型化やフィルムレスのトレンドに奏功する。本発明の画像表示装置は、液晶ディスプレイ、量子ドットタイプのディスプレイ、プラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等の画像表示装置において、特に、屋外で長期に渡り使用される画像表示装置である車載用ディスプレイやデジタルサイネージ、さらに、赤外線をセンサー機能として利用する赤外線センサー搭載のディスプレイ、可視光線反射による色相の影響を受けにくいヘッドアップディスプレイなどに特に好適に用いることが出来るものである。
1:バックライト光源
2:輝度向上フィルム
3:下側偏光板
4:液晶層
5:上側(視認側)偏光板
6:表示パネル部
7:積層ポリエステルフィルム
8:保護層
9:偏光子保護層(偏光子保護フィルム)
10:偏光子
11:自発光表示パネル部
12:円偏光板
13:積層ポリエステルフィルム
14:保護層
15:支持体
16:電極層
17:発光層
18:透明支持体
19:位相差層
20:偏光子
21:偏光子保護層(偏光子保護フィルム)
22:複屈折性を有する層
23:複屈折性を有しない層
24:内装パネル部
25:表示部
26:反射鏡
27:投影部材
28:視認される虚像
29:光路
30:投光装置

Claims (14)

  1. (a)保護層、積層ポリエステルフィルム、偏光子、表示パネル部、バックライト光源、または、(b)保護層、積層ポリエステルフィルム、偏光子、自発光表示パネル部がこの順で配置された画像表示装置であって、前記積層ポリエステルフィルムが、結晶性ポリエステルAを主成分とするA層と、前記結晶性ポリエステルAと異なる熱可塑性樹脂Bが交互に51層以上積層する構成を有しており、少なくとも片面が波長300nm以上380nm以下における平均光線反射率が15%以上、かつ、波長800nm以上1200nm以下における平均光線反射率が15%以上である画像表示装置。
  2. 前記積層ポリエステルフィルムの波長300nm以上380nm以下における光線透過率が10%以下である、請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記積層ポリエステルフィルムの波長300nm以上400nm以下における光線透過率が10%以下、かつ、波長440nmにおける光線透過率が80%以上である、請求項1または2に記載の画像表示装置。
  4. 前記積層ポリエステルフィルム中のA層および/またはB層に、紫外線吸収剤および/または色素を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置。
  5. 前記紫外線吸収剤および/または色素のうち少なくとも1種はトリアジン系である請求項4に記載の画像表示装置。
  6. 前記色素のうち少なくとも1種が、キノン系、トリアジン系、ナフタルイミド系、フタロシアニン系、ベンジリジン系である請求項4または5に記載の画像表示装置。
  7. 前記積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面が、波長800nm以上1200nm以下における平均光線反射率が30%以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の画像表示装置。
  8. 前記積層ポリエステルフィルムを構成する結晶性ポリエステルAがポリエチレンナフタレートおよび/またはその共重合体である、請求項1〜7のいずれかに記載の画像表示装置。
  9. 前記積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面が、波長380nm以上410nm以下における平均光線反射率が20%以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の画像表示装置。
  10. 前記積層ポリエステルフィルムが、少なくとも片面に硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層(C層)を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の画像表示装置。
  11. 前記積層ポリエステルフィルムが、少なくとも片面に反射防止層を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の画像表示装置。
  12. 前記積層ポリエステルフィルムが、少なくとも片面に硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層(C層)を有し、前記ハードコート層(C層)上に反射防止層を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の画像表示装置。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の画像表示装置を用いてなる、車載ディスプレイ。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の画像表示装置を用いてなる、ヘッドアップディスプレイ。
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