JP6729365B2 - 光学用ポリエステルフィルム及びそれを用いた偏光板 - Google Patents

光学用ポリエステルフィルム及びそれを用いた偏光板 Download PDF

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Description

本発明は、光学用ポリエステルフィルム、および偏光板に関する。
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸配向ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから、磁気記録材料、包装材料などの多くの用途において基材フィルムとして広く使用されている。特に近年、フラットパネルディスプレイやタッチパネル分野において、偏光子保護フィルムや透明導電フィルムなど各種光学用フィルムの需要が高まっており、その中でも、偏光子保護フィルム用途では、低コスト化を目的として従来のTAC(トリアセチルセルロース)フィルムから二軸配向ポリエステルフィルムへの置き換えが検討されている。二軸配向ポリエステルフィルムは、延伸時のポリマーの配向に起因して、液晶ディスプレイとして組み立てた際に干渉色が生じてしまうことから、ディスプレイを目視した際の干渉色を抑制するために分子配向を特定の範囲とする検討(例えば、特許文献1、2)などが行われている。
しかしながら、特許文献1、2とも、ディスプレイを目視した際の干渉色は抑制されるものの、厚み方向のリタデーションが高いため、斜め方向から目視した場合の干渉色抑制が不十分であった。
また、斜め方向からディスプレイを目視した際の干渉色を抑制するため、ポリマー組成や製造条件を調整することによりフィルムの二軸配向を低減させる方法が考えられるが、そのような検討を行う場合、延伸による配向結晶の形成が不十分になるため、熱収縮率が増加したり、加熱時に白化が生じたりするなどの不具合が見られ、実用的なものではなかった。
特開2011−252048号公報 特開2014−66942号公報
そこで、本発明では上記の欠点を解消し、二軸延伸ポリエステルフィルムでありながら、液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した場合に、ディスプレイを目視した際の干渉色を抑制でき、かつ加熱時の耐白化性に優れるポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成を有する。
(1)フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションが1500nm以下であり、
示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)が15J/g以下である、光学用ポリエステルフィルム。
(2)温度変調示差走査熱量計(m−DSC)による剛直非晶量が20%以上で30%以下である(1)に記載の光学用ポリエステルフィルム。
(3)示差走査熱量計(DSC)による2ndRunにおける昇温結晶化熱量(ΔHc2)が5J/g以上30J/g以下である(1)または(2)に記載の光学用ポリエステルフィルム。
(4)前記ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最表面に、ハードコート性、自己修復性、防眩性、反射防止性、低反射性、及び帯電防止性からなる群より選択される1種以上の機能を示す層が積層されていることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、面内リタデーションが500nm以下であるフィルムが積層されてなる積層体。
(6)偏光子の少なくとも片面に偏光子保護フィルムを有してなる偏光板であって、少なくとも一方の面の偏光子保護フィルムが(1)〜(4)のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルムである偏光板。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した場合に干渉色を呈することがなく、加熱時の耐白化性に優れるため、特に偏光子保護用途、タッチパネル用途に使用した場合に高品位な表示を可能とする効果を奏する。
以下、本発明の光学用ポリエステルフィルムについて詳細に説明する。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションが1500nm以下であることが必要である。フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションを1500nm以下とすることで、液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した場合に、斜め方向から見た際の干渉色を抑制することができる。
ここで、フィルム面に対して50°傾斜した角度とは、王子計測機器(株)製「KOBRA」シリーズなどの位相差測定装置において定義される角度を指しており、具体的には、光束がフィルムに垂直に入射する状態の測定試料のステージの角度を0°とした場合に、50°ステージを傾斜回転させた角度を指す。
フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションは、斜め方向から見た際の干渉色をより抑制できる観点から、好ましくは1000nm以下であり、より好ましくは700nm以下、特に好ましくは600nm以下である。また、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションは、斜め方向の干渉色を抑制する観点からは低いほど好ましいが、加熱時の寸法安定性、耐白化性の観点からは、1nm以上が好ましい。
フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションを1500nm以下とする具体的な方法としては、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルのジカルボン酸成分を2種類以上とし、ポリエステルフィルムの二軸配向を低下させる方法、延伸倍率を低く設定したり、延伸温度を上げたりするなど、製造条件を調整してポリエステルフィルムの二軸配向を低下させる方法、フィルム厚みを低減させる方法、融点の異なるポリエステル層を少なくとも2層以上有する積層構成の場合に融点の低い層の厚み割合を大きくする方法などが挙げられる。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)が15J/g以下であることが必要である。示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)が15J/g以下であれば、ポリエステルフィルムの結晶化が十分になされており、本発明の光学用ポリエステルフィルムを加熱した際の、寸法安定性、耐白化性が良好となる。加熱時の寸法安定性、耐白化性の観点より、示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)は10J/g以下であれば、より好ましく、5J/g以下であれば最も好ましい。
ここで、示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度20℃/分で測定を行った際の結晶化現象で発現する発熱ピーク熱量であり、昇温結晶化ピークが複数ある場合は、熱流の絶対値が最も大きい温度における熱量を本発明における昇温結晶化熱量(ΔHc)とする。
ポリエステルフィルムは、二軸配向させることで配向結晶化が進行し、加熱時の寸法安定性、耐白化性が良好となる一方で、面配向が高くなるため、特にフィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションが高くなり、光学用途、特に、タッチパネル用途、偏光子保護用途などに使用した際に干渉色を呈し、外観が低下してしまう。一方、干渉色を低減させるために、面配向を低くしようとすると、ポリエステルフィルムの二軸配向性を低減させる必要があり、従来技術であれば、二軸配向性を低減させると、結晶化が不十分となるため、示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)が15J/g以下に制御することが困難であった。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、干渉色を低減させるために、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションを低く保ちつつ、加熱時の寸法安定性、耐白化性を両立するために、ポリエステルフィルムを製膜する際に使用するポリエステル原料の示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)が15J/g以下であることが重要である。
また、本発明の光学用ポリエステルフィルムは、寸法安定性、耐白化性の観点から、示差走査熱量測定(DSC)による結晶融解熱量(ΔHm)が25J/g以上であることが好ましい。より好ましくは、示差走査熱量測定(DSC)による結晶融解熱量(ΔHm)は、30J/g以上であり、35J/g以上50J/g以下であれば最も好ましい。結晶融解熱量(ΔHm)が25J/g以上であれば、ポリエステルフィルムの結晶化が十分なされており、かつ、その結晶性も非常に高い状態であるため、寸法安定性、耐白化性が高くなる。ここで、示差走査熱量測定(DSC)による結晶融解熱量(ΔHm)とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度20℃/分で測定を行った際の結晶融解現象で発現する吸熱ピーク熱量であり、示差走査熱量測定(DSC)の結晶融解ピークが複数ある場合は、その合計熱量を本発明における結晶融解熱量とする。
さらに、本発明の光学用ポリエステルフィルムは、寸法安定性、耐白化性を高めるために、示差走査熱量計(DSC)による2ndRunにおける昇温結晶化熱量(ΔHc2)が5J/g以上30J/g以下であることが好ましい。示差走査熱量計(DSC)による2ndRunにおける昇温結晶化熱量(ΔHc2)が5J/g以上30J/g以下であれば、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂として、結晶性は十分に確保でき、かつ、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションを低く制御しやすくなる。例えば、ポリエステルフィルムをポリエステルA層とポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層を有する少なくとも2層以上の構成とする場合、ポリエステルB層の結晶性を低くして、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションを低く制御させる構成であれば、ポリエステルA層の結晶性は高くすることで寸法安定性、耐白化性を両立させることが好ましく、示差走査熱量計(DSC)による2ndRunにおける昇温結晶化熱量(ΔHc2)が5J/g以上30J/g以下となるような樹脂設計とすることで、干渉色の低減、寸法安定性、耐白化性をより高いレベルで達成することが可能となる。示差走査熱量計(DSC)による2ndRunにおける昇温結晶化熱量(ΔHc2)は、10J/g以上30J/g以下であればより好ましく、15J/g以上25J/g以下であれば最も好ましい。ここで、示差走査熱量測定(DSC)による2ndRunにおける昇温結晶化熱量(ΔHc2)とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度20℃/分で300℃まで昇温、5分間保持し、その後、25℃まで急冷、5分間保持後に、再度25℃から昇温速度20℃/分で昇温した際の結晶化現象で発現する発熱ピーク熱量であり、昇温結晶化ピークが複数ある場合は、その合計熱量を本発明における昇温結晶化熱量(ΔHc2)とする。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーション1500nm以下と、示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)を15J/g以下を両立するために、ポリエステルA層と、ポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層を有する少なくとも2層以上の構成とすることが好ましい。積層構成とすることで、例えば、ポリエステルB層のリタデーションを低く制御し、ポリエステルA層で取り扱い性を付与するといった設計が可能となる。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、少なくとも2層以上あれば層数、層構成は特に限定されないが、フィルムのカールを抑制し、反り低減、取り扱い性の観点からは、A層/B層/A層、A層/B層/A層/B層/A層、といったように、フィルムが厚み方向に対して対称であり、かつ両表層がポリエステルA層である構成が好ましい。
ポリエステルB層の融点をポリエステルA層より低くするための方法としては、ポリエステルB層を構成するポリエステル樹脂の融点を下げる方法が挙げられ、具体的な方法としては、ポリエステルB層を構成するジオール由来の構造単位であるジオール成分、およびB層を構成するジカルボン酸由来の構造単位であるジカルボン酸成分のうちそれぞれ最も多い成分に対し、それ以外の成分を増やしていく方法が挙げられる。
例えば、B層を構成するジオール由来の構造単位としてエチレングリコール由来の構造単位を最も多く含み、ジカルボン酸由来の構造単位としてテレフタル酸を最も多く含む場合、エチレングリコール以外のジオール成分の割合、およびテレフタル酸以外のジカルボン酸成分の割合を増やしていくことで、ポリエステルB層の融点を下げることができる。
ここで、エチレングリコール以外のジオール成分としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でも、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソソルベート、スピログリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分はエチレングリコール以外に1種類のみでもよく、2種類以上を併用してもよい。
中でも、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションを低減させ、斜め方向から見た際の干渉色を抑制する観点からは、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、イソソルベート、スピログリコールが好ましい。
また、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、および、各種芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸とのエステル誘導体などが挙げられる。
中でも、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションを低減させ、斜め方向から見た際の干渉色を抑制する観点からは、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
本発明の光学用ポリエステルフィルムを構成するポリエステルB層は、ジカルボン酸成分の60モル%以上95モル%未満がテレフタル酸成分、5モル%以上40モル%未満がその他のジカルボン酸成分であることが好ましい。ジカルボン酸成分の95モル%以上がテレフタル酸成分、5%未満がその他のジカルボン酸成分であると、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションが高くなり、斜め方向から見た際の干渉色が発生する場合がある。また、ジカルボン酸成分の60モル%未満がテレフタル成分、40モル%以上がその他のジカルボン酸成分であると、ポリエステルの結晶性が低下して製造時の厚みムラが大きくなったり、偏光板製造時の破断、エッジ部分のクラックが発生しやすくなったりする場合がある。斜め方向から見た際の干渉色抑制と加工時の取扱い性の両立の観点からは、ポリエステルB層が、ジカルボン酸成分の84モル%以上92モル%未満がテレフタル酸成分、8モル%以上16モル%未満がその他のジカルボン酸成分であることが好ましい。
すなわち、本発明におけるポリエステルB層は、ジカルボン酸成分の84モル%以上92モル%未満がテレフタル酸成分、8モル%以上16モル%未満がテレフタル酸以外のジカルボン酸成分としてイソフタル酸および/または、2,6−ナフタレンジカルボン酸を8モル%以上16モル%未満含んでいることが特に好ましい態様である。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーション1500nm以下と、示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)を15J/g以下を両立するために、フィルム製造時の延伸後の熱処理温度を、最も融点の低いポリエステル層の融点−5℃から融点の範囲に設定し、配向した結晶を溶融させずに残存させる方法などが挙げられる。また、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションを1500nm以下と低く制御するためには熱処理時間は長くする方が好ましいが、一方で、示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)を15J/g以下と結晶性を高く維持するためには、融点付近での熱処理時間は短い方が好ましい。このため、熱処理条件としては、熱処理温度を段階的に高くしていく方法も非常に有効である。この場合、熱処理温度1段目の温度を最も融点の低いポリエステル層の融点−80℃〜融点−30℃(最も融点の低いポリエステル層の結晶性が低く、通常の示差走査熱量計測定では融点の測定が困難な場合は、例えば120℃〜170℃)とし、熱処理2段目の温度を最も融点の低いポリエステル層の融点−5℃から融点−1℃の範囲(最も融点の低いポリエステル層の結晶性が低く、通常の示差走査熱量計測定では融点の測定が困難な場合は、例えば200℃以下)に設定することが好ましい。
また、本発明の光学用ポリエステルフィルムにおいて、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーション1500nm以下と、示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)を15J/g以下を両立するために、ポリエステルB層のジカルボン酸成分の84ル%以上92モル%未満をテレフタル酸、8モル%以上16モル%未満をテレフタル酸以外のジカルボン酸成分とし、かつ結晶化速度を高めることが好ましい。具体的には、フィルムの製造に用いるポリエステル原料について触媒種、触媒量を制御して、昇温結晶化温度(Tcr)を170℃以下に制御することが好ましい。さらに、ポリエステル原料のジエチレングリコール量を1.2モル%以下、より好ましくは、0.8モル%以上1.2モル%以下とすることが好ましい。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、温度変調示差走査熱量計(m−DSC)による剛直非晶量が20%以上30%以下であることが好ましい。剛直非晶量を20%以上30%以下とすることで、斜め方向から見た際の干渉色を抑制しつつ、高温加熱時の寸法安定性と耐白化性を両立することが可能となる。高温加熱時の寸法安定性と耐白化性の観点より、剛直非晶量は25%以上30%以下であることがより好ましい。
本発明の光学用ポリエステルフィルムにおいて、温度変調示差走査熱量計(m−DSC)による剛直非晶量を20%以上30%以下とする方法としては、二軸延伸時の延伸倍率を高くする方法が好ましく用いられる。本発明の光学用ポリエステルフィルムは、ジカルボン酸成分の80モル%以上95モル%未満がテレフタル酸成分、5モル%以上20モル%未満がその他のジカルボン酸成分であるポリエステルB層を有することが好ましいが、該構成として、延伸倍率を高くすることで、剛直非晶量を20%以上30%以下に制御することができ、特に高温加熱時の寸法安定性と耐白化性が良好となる。具体的な延伸倍率としては、面倍率で13倍以上が好ましく、特に幅方向の延伸倍率を3.7倍以上とすることが好ましい。
また、本発明の光学用ポリエステルフィルムは、製造工程における工程安定化や、使用環境における耐久性を付与するため、少なくとも一方の最表面にハードコート性、自己修復性、防眩性、反射防止性、低反射性、紫外線遮蔽性、及び帯電防止性からなる群より選択される1種以上の機能を示す表面層を有することが好ましい。
前記表面層の厚みは、その機能により異なるが、好ましくは10nmから30μmの範囲であり、50nmから20μmがより好ましい。これよりも薄いと効果が不十分になり、厚くなると光学性能などに悪影響を及ぼす可能性がある。
ここでハードコート性とは、表面の硬度を高めることにより傷がつきにくくする機能である。その機能としては、JIS K−5600−5−4−1999に記載の引っかき硬度(鉛筆法)による評価にて、好ましくはHB以上で、より好ましくは2H以上であるか、#0000のスチールウールで200g/cmの条件で行う耐擦傷性試験において、傷がつかない状態を示す。
ここで、自己修復性とは、弾性回復などより傷を修復することにより傷がつくにくくする機能であり、その機能としては、500gの荷重をかけた真鍮ブラシで表面を擦過した際、好ましくは3分以内で、より好ましくは1分以内である。
防眩性とは、表面での光散乱により外光の映り込みを抑制することで、視認性を向上させる機能である。その機能としては、JIS K−7136−2000に記載の、ヘイズの求め方に基づく評価にて、2〜50%であることが好ましく、より好ましくは2〜40%、特に好ましくは2〜30%である。
反射防止性、低反射性とは、光の干渉効果により表面での反射率を低減することで、視認性を向上させる機能である。その機能としては反射率分光測定により、好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。
紫外線遮断性とは、紫外線領域(波長200〜400nm)の波長を選択的に遮断することで、耐光性を向上させる機能である。紫外線遮断性を発現させる方法としては、紫外線を反射する方法、紫外線を吸収する方法どちらでも問題なく、その機能としては、波長380nmにおける透過率が30%以下であることが好ましく、より好ましくは25%以下、特に好ましくは0.1%以上20%以下である。
帯電防止性とは、表面からの剥離や表面への擦過により発生した摩擦電気を、漏洩させることにより除去する機能である。その機能の目安としては、JIS K−6911−2006に記載の表面抵抗率が、好ましくは1011Ω/□以下であり、より好ましくは10Ω/□以下である。帯電防止性の付与は、公知の帯電防止剤を含有した層である他、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子を含有した層からなるものであってもよい。以下、ハードコート性と防眩性の付与について、より詳しく述べる。
前記ハードコート性を付与する表面層(以下、ハードコート層とする)に用いられる材料は、公知のハードコート層に用いられる材料を用いることができ、特に限定されないが、乾燥、熱、化学反応、もしくは電子線、放射線、紫外線のいずれかを照射することによって重合、および/または反応する樹脂化合物を用いることができる。このような、硬化性樹脂としては、メラミン系、アクリル系、シリコン系、ポリビニルアルコール系の硬化性樹脂が挙げられるが、高い表面硬度もしくは光学設計を得る点で電子線又は紫外線により硬化するアクリル系硬化性樹脂が好ましい。
電子線又は紫外線により硬化するアクリル樹脂とは、アクリレート系の官能基を有するものであり、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーおよび反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を含有するものが使用できる。
電子線又は紫外線硬化型樹脂の場合には、前述の樹脂中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチラウムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。上記光重合開始剤の添加量は、電子線紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
上記塗膜の硬化方法としては特に限定されないが、紫外線照射によって行うことが好ましい。紫外線によって硬化を行う場合、190〜380nmの波長域の紫外線を使用することが好ましい。紫外線による硬化は、例えば、メタルハライドランプ灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯等によって行うことができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
また、シロキサン系熱硬化性樹脂もハードコート層の樹脂として有用であり、酸または塩基触媒下においてオルガノシラン化合物を単独または2種以上混合して加水分解及び縮合反応させて製造することができる。
上記ハードコート層の膜厚は、0.5μm〜20μmが好ましく、1μm〜20μmがさらに好ましく、1μm〜15μmがさらに好ましい。
前記防眩性を付与する表面層(以下、防眩層とする)に使用される樹脂としては、前述の電子線又は紫外線硬化型樹脂と同様のものも使用することができる。前記記載の樹脂から1種類もしくは2種類以上を混合して使用することができる。また、可塑性や表面硬度などの物性を調整するために、電子線又は紫外線で硬化しない樹脂を混合することもできる。電子線または紫外線で硬化しない樹脂には、ポリウレタン、セルロース誘導体、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアミドなどが挙げられる。
防眩層に使用する粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、アルミナ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子、あるいはポリメチルメタクリレート粒子、アクリル−スチレン共重合体粒子、架橋アクリル粒子、メラミン粒子、架橋メラミン粒子、ポリカーボネート粒子、ポリ塩化ビニル粒子、ベンゾグアナミン粒子、架橋ベンゾグアナミン粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子などの樹脂粒子が好ましく挙げられる。形状としては、表面突起形状が揃う真球状粒子が好適に用いられるが、タルク、ベントナイトなどの層状無機化合物などの不定形のものも使用できる。また、異なる2種以上の粒子を併用して用いてもよい。素材種が2種類以上でも、粒径が2種類以上でも、その制限は無い。
防眩層で使用する粒子の粒径は、0.5〜10μmであり、0.5〜5μmがより好ましく、0.5〜3μmがさらに好ましく、0.5〜1.5μmがより一層好ましい。また、前記粒子の含有量は、樹脂に対して1〜50重量%であり、2〜30重量%がさらに好ましい。
上記防眩層の膜厚は、0.5μm〜20μmが好ましく、1μm〜20μmがさらに好ましく、1μm〜10μmがさらに好ましい。
本発明に用いられる防眩層としては、特開平6−18706、特開平10−20103、特開2009−227735、特開2009−86361、特開2009−80256、特開2011−81217、特開2010−204479、特開2010−181898、特開2011−197329、特開2011−197330、特開2011−215393などに記載の防眩層も好適に使用できる。
前記表面層には、上記記載のもの以外に、必要に応じて、発明の効果を失わない範囲でその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、限定されるわけではないが、例えば、無機または有機顔料、重合体、重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、触媒、赤外線吸収剤、難燃剤、消泡剤、導電性微粒子、導電性樹脂などを添加することができる。
次に、本発明の光学用ポリエステルフィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
はじめに、ポリエステル原料をベント式二軸押出機に供給して溶融押出する。ポリエステルA層と、ポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層を積層させる場合は、ポリエステルA層に用いるポリエステルAと、ポリエステルB層に用いるポリエステルBをそれぞれ別々のベント式二軸押出機に供給し溶融押出する。この際、ポリエステルB層に用いられるポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分の84モル%以上92モル%未満をテレフタル酸、8モル%以上16モル%未満をテレフタル酸以外のジカルボン酸成分とし、かつ昇温結晶化温度(Tcr)を170℃以下とすることが好ましく、ジエチレングリコール量を1.2モル%以下とすることが好ましい。以下、ポリエステルA層と、ポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層を積層した構成として説明する。この際、押出機内を流通窒素雰囲気下で、酸素濃度を0.7体積%以下とし、樹脂温度は250℃〜275℃に制御することが好ましい。ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、ポリエステルA層とポリエステルB層を合流させた後、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、耐熱性、寸法安定性の観点から二軸配向フィルムとすることが好ましい。二軸配向フィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、長手方向に、好ましくは、2.8倍以上3.5倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また長手方向の延伸温度は、85℃以上100℃以下が好ましく、延伸前に80℃以上の温度で1秒以上予熱することが好ましい。また、幅方向の延伸倍率としては、好ましくは3.7倍以上4.5倍以下、さらに好ましくは、3.8倍以上4.2倍以下で、長手方向と幅方向の延伸倍率を掛け合わせた面倍率は13倍以上とすることが好ましい。幅方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。
さらに、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は、二軸延伸後の配向結晶を成長させて熱寸法性を向上させることが目的であるため、最も融点の高いポリエステル層(本構成の場合、ポリエステルA層)の融点以下の範囲内で、なるべく高い熱処理温度に設定する場合が一般的である。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションを1500nm以下とし、示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)を15J/g以下とするために、熱処理温度1段目の温度をポリエステルB層の融点−80℃〜融点−30℃(ポリエステルB層の結晶性が低く、通常の示差走査熱量計測定では融点の測定が困難な場合は、例えば120℃〜170℃)とし、熱固定2段目の温度をポリエステルB層の融点−5℃から融点−1℃の範囲(ポリエステルB層の結晶性が低く、通常の示差走査熱量計測定では融点の測定が困難な場合は、例えば200℃以下)に設定することが好ましい。
また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うのがよい。
さらに、偏光子、各種機能層との接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を行ったり、易接着層をコーティングさせたりすることもできる。コーティング層をフィルム製造工程内のインラインで設ける方法としては、少なくとも一軸延伸を行ったフィルム上にコーティング層組成物を水に分散させたものをメタリングリングバーやグラビアロールなどを用いて均一に塗布し、延伸を施しながら塗剤を乾燥させる方法が好ましく、その際、易接着層厚みとしては0.01μm以上1μm以下とすることが好ましい。また、易接着層中に各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料、染料、有機または無機粒子、帯電防止剤、核剤などを添加してもよい。易接着層に好ましく用いられる樹脂としては、接着性、取扱い性の点からアクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。さらに、90〜200℃条件下でオフアニールすることも好ましく用いられる。
本発明の光学用ポリエステルフィルムにおいて、ハードコート性、自己修復性、防眩性、反射防止性、低反射性、紫外線遮断性、及び帯電防止性などの機能を付与するため、最表面に表面層を積層する場合には、前述の塗料組成物を塗布−乾燥−硬化することにより形成する製造方法を用いることが好ましい。
塗布により表面層を製造する方法は特に限定されないが、塗料組成物をディップコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法(米国特許第2681294号明細書)などにより支持基材等に塗布することにより表面層を形成することが好ましい。さらに、これらの塗布方式のうち、グラビアコート法または、ダイコート法が塗布方法としてより好ましい。
次いで、塗布された液膜を乾燥することで完全に溶媒を除去するため、乾燥工程では液膜の加熱を伴うことが好ましい。乾燥方法については、伝熱乾燥(高熱物体への密着)、対流伝熱(熱風)、輻射伝熱(赤外線)、その他(マイクロ波、誘導加熱)などが挙げられる。この中でも、精密に幅方向でも乾燥速度を均一にする必要から、対流伝熱、または輻射伝熱を使用した方式が好ましい。
さらに、熱またはエネルギー線を照射することによるさらなる硬化操作(硬化工程)を行ってもよい。硬化工程において、熱で硬化する場合には、室温から200℃であることが好ましく、硬化反応の活性化エネルギーの観点から、100℃以上200℃以下がより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
また、活性エネルギー線により硬化する場合には汎用性の点から電子線(EB線)及び/又は紫外線(UV線)であることが好ましい。また紫外線により硬化する場合は、酸素阻害を防ぐことができることから酸素濃度ができるだけ低い方が好ましく、窒素雰囲気下(窒素パージ)で硬化する方がより好ましい。酸素濃度が高い場合には、最表面の硬化が阻害され、表面の硬化が不十分となる場合がある。また、紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプの種類としては、例えば、放電ランプ方式、フラッシュ方式、レーザー方式、無電極ランプ方式等が挙げられる。放電ランプ方式である高圧水銀灯を用いて紫外線硬化させる場合、紫外線の照度が100〜3,000mW/cm、好ましくは200〜2,000mW/cm、さらに好ましくは300〜1,500mW/cmとなる条件で紫外線照射を行うことが好ましく、紫外線の積算光量が100〜3,000mJ/cm、好ましく200〜2,000mJ/cm、さらに好ましくは300〜1,500mJ/cmとなる条件で紫外線照射を行うことがより好ましい。
ここで、紫外線の照度とは、単位面積当たりに受ける照射強度で、ランプ出力、発光スペクトル効率、発光バルブの直径、反射鏡の設計及び被照射物との光源距離によって変化する。しかし、搬送スピードによって照度は変化しない。また、紫外線積算光量とは単位面積当たりに受ける照射エネルギーで、その表面に到達するフォトンの総量である。積算光量は、光源下を通過する照射速度に反比例し、照射回数とランプ灯数に比例する。
本発明の光学用ポリエステフィルムは、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションが1500nm以下であり、示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)が15J/g以下であることから、液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した場合に、斜め方向から見た際の干渉色を抑制でき、かつ加熱時の寸法安定性、耐白化性に優れることから、面内リタデーションが500nm以下である低リタデーションフィルムに積層して用いられることが好ましい。面内リタデーションが500nm以下である低リタデーションフィルムに積層して用いられることで、積層体としての干渉色低減効果が発揮される。具体的には、面内位相差の低い光学用フィルムである、環状オレフィンフィルム、アクリルフィルム、TAC(トリアセチルセルロース)フィルムの保護フィルムとして積層して用いる方法、面内位相差の低い各種コーティング層の支持体として使用される方法などが挙げられる。
また、本発明の光学用ポリエステルフィルムは、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションが1500nm以下であり、示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)が15J/g以下であることから、液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した場合に、斜め方向から見た際の干渉色を抑制でき、かつ加熱時の寸法安定性、耐白化性に優れることから、PVA中にヨウ素を含有させて配向させて作成されたPVAシート(偏光子)と貼り合わされて偏光板として、好ましく用いられる。
本発明の偏光板は、少なくとも一方の面の偏光子保護フィルムとして、前記光学用ポリエステルフィルムが用いられることが好ましい。他方の偏光子保護フィルムは、本発明の偏光子保護ポリエステルフィルムであっても良いし、トリアセチルセルロースフィルムやアクリルフィルム、ノルボルネン系フィルムに代表されるような複屈折が無いフィルムを用いることも好ましい。
偏光子としては、例えばポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性材料を含むものが挙げられる。偏光子保護フィルムは偏光子と直接または接着剤層を介して張り合わされるが、接着性向上の点からは接着剤を介して張り合わすことが好ましい。本発明のポリエステルフィルムを接着させるのに好ましい偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や二色性材料を染色・吸着させ、ホウ酸水溶液中で一軸延伸し、延伸状態を保ったまま洗浄・乾燥を行うことにより得られる偏光子が挙げられる。一軸延伸の延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。ポリビニルアルコール系フィルムとしてはポリビニルアルコールが好適であり、「クラレビニロン」((株)クラレ製)、「トーセロビニロン」(東セロ(株)製)、「日合ビニロン」(日本合成化学(株)製)などの市販品を利用することができる。二色性材料としてはヨウ素、ジスアゾ化合物、ポリメチン染料などが挙げられる。
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの組成
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量した。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取して評価した。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
(2)ポリエステルの固有粘度
ポリエステル樹脂およびフィルムの極限粘度は、ポリエステルをオルトクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体の固有粘度を評価した。
(3)フィルム厚み、層厚み
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出した。該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)で5000倍の倍率で観察し、フィルム厚みおよびポリエステル層の厚みを求めた。
(4)昇温結晶化温度、昇温結晶化熱量、融点、結晶融解熱量
示差走査熱量計(セイコー電子工業製、RDC220)を用い、JIS K−7121−1987、JIS K−7122−1987に準拠して測定および、解析を行った。ポリエステルフィルムの測定は、フィルムサンプル5mgを用い、25℃から20℃/分で300℃まで昇温した際のDSC曲線より得られた発熱ピークの頂点の温度を昇温結晶化温度(Tc)とし、発熱ピーク面積から得られる単位質量当たりの熱量を昇温結晶化熱量(ΔHc)とした。また、DSC曲線より得られた吸熱ピークの頂点の温度を融点、吸熱ピーク面積から得られる単位質量当たりの熱量を結晶融解熱量(ΔHm)とした。また、300℃に昇温後、5分間保持し、その後、25℃まで急冷、5分間保持後に、再度25℃から昇温速度20℃/分で昇温した際の結晶化現象で発現する発熱ピークの頂点の温度を昇温結晶化温度(Tc2)とし、発熱ピーク面積から得られる単位質量当たりの熱量を昇温結晶化熱量(ΔHc2)とした。なお、積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体の融点を測定した。(3)の断面観察において積層構成が確認された場合は、各層をカッターで削り取ってそれぞれの層の融点を測定し融点の高い層をポリエステルA層、低い方の層をポリエステルB層とした。なお、融点が観測されない場合は、表に「ND」と表記している。また、ポリエステル樹脂原料の測定については、ペレタイズ時の結晶化の影響を取り除くため、25℃から20℃/分で300℃まで昇温した後、サンプルを300℃で5分間保持し、その後25℃雰囲気下にサンプルを取り出すことで急冷し非晶状態とした。25℃で5分間保管後、2ndRunとして、25℃から20℃/分で300℃まで昇温した際の、発熱ピークの頂点の温度を2ndRunの昇温結晶化温度(Tc)とした。なお、本発明においては、フィルムの昇温結晶ピーク、ポリエステル樹脂原料の昇温結晶化ピーク、融解ピークが複数ある場合は、熱流の絶対値が最も大きい温度を採用し、フィルムの融解ピーク、2ndRunにおけるフィルムの昇温結晶化ピークについては、熱量の合計を採用した。
(5)フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーション(Re(50))
王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いて測定した。フィルム面内の任意の一方向を方向X、方向Xに直交する方向を方向Yとして、30mm×50mm(方向X×方向Y)のサンプルを切り出し、位相差測定装置に設置した。光束がフィルムに垂直に入射する状態の測定試料のステージの角度を0°とした場合に、ステージの角度が50°傾斜した状態で測定するよう測定条件を設定し、位相差(リタデーション)を求めた。
(6)剛直非晶量
TA Instruments社製Q100を用いて測定した。フィルム試料5mgを、窒素雰囲気下、0℃で5分間保持後10℃/min.の昇温速度で300℃まで測定した。このDSC曲線から極点(符号の決め方により極小点または極大点)の温度を融点とし、ピーク面積を融解熱量とした。また、温度変調DSC法を用いて0℃から150℃まで2℃/min.の昇温速度、温度変調振幅±1℃、温度変調周期60秒で測定した。ガラス転移温度での比熱差を求め、下記の通り、結晶化度、可動非晶量を求め、
結晶化度(%)=(融解熱量)/(ポリエステル完全結晶物の融解熱量理論値)×100
可動非晶量(%)=(比熱差)/(ポリエステル完全非晶物の比熱差理論値)×100
下記式より剛直非晶量を算出した。
剛直非晶量(%)=100−(結晶化度+可動非晶量)。
温度・熱量校正にはインジウム、比熱校正にはサファイアを用いた。
(7)視認性評価
PVA中にヨウ素を吸着・配向させて作成した偏光度99.9%の偏光子の一方の面に、10cm四方のフィルムを貼り合わせてテストピースとした。なお、貼り合わせには、85℃に設定したラミネーターロールを使用した。作成したテストピースとフィルムを貼り付けていない偏光板とをクロスニコルの配置にて重ね合わせLED光源(トライテック製A3−101)上においた場合の、テストピース平面に対して50°の角度からの視認性を確認した。また、同様にして30cm四方のフィルムを貼り合せたテストピースも作製し、同様の評価を行った。
S:10cm四方、30cm四方のいずれの評価とも、干渉色はみられない。
A:10cm四方の評価においては、干渉色はみられない。30cm四方の評価において、干渉色がわずかに見られるが実用上は問題ない。
B:10cm四方、30cm四方の評価とも、わずかに干渉色が見られるが、許容できる程度である。
C: 10cm四方の評価においては、わずかに干渉色が見られるが、許容できる程度である。30cm四方のいずれの評価では干渉色が見られるため、大画面のディスプレイ用途には適さない。
D:10cm四方、30cm四方のいずれかの評価において、干渉色がはっきり見られるため、ディスプレイ用途には適さない。
S〜Cが合格レベルである。
(8)耐熱性(i)
フィルムサンプル(100mm×100mm角)および、フィルムサンプルを120℃で1時間熱処理した後のヘイズについて、JIS K 7105(1985年)に基づいて、ヘーズメーター(スガ試験器社製HGM−2GP)にて測定し、下記の通り評価を行った。なお、100℃で12時間熱処理の方法としては、温度100℃の熱風オーブンに100mm×100mm角のフィルムサンプルをオーブンの上下左右の壁面に接触しないようにツリー状に吊し、12時間保管して実施した。
S:120℃で1時間熱処理した後のΔヘイズ値が0.5%未満。
A:120℃で1時間熱処理した後のΔヘイズ値が0.5%以上1%未満。
B:120℃で1時間熱処理した後のΔヘイズ値が1%以上1.5%未満。
C:120℃で1時間熱処理した後のΔヘイズ値が1.5%以上2%未満。
D:120℃で1時間熱処理した後のΔヘイズ値が2%以上。
S〜Cが合格レベルである。
(9)耐熱性(ii)
フィルムサンプル(100mm×100mm角)および、フィルムサンプルを150℃で1時間熱処理した後のヘイズについて、JIS K 7105(1985年)に基づいて、ヘーズメーター(スガ試験器社製HGM−2GP)にて測定し、下記の通り評価を行った。なお、150℃で1時間熱処理の方法としては、温度150℃の熱風オーブンに100mm×100mm角のフィルムサンプルをオーブンの上下左右の壁面に接触しないようにツリー状に吊し、1時間保管して実施した。
S:150℃で1時間熱処理した後のΔヘイズ値が0.5%未満。
A:150℃で1時間熱処理した後のΔヘイズ値が0.5%以上1%未満。
B:150℃で12時間熱処理した後のΔヘイズ値が1%以上1.5%未満。
C:150℃で12時間熱処理した後のΔヘイズ値が1.5%以上2%未満。
D:150℃で12時間熱処理した後のΔヘイズ値が2%以上。
(10)耐傷性
(7)で得られたテストピースについて、ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなうことで、耐擦傷性の指標とした。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000)
試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定。
移動距離(片道):13cm、
こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察し、以下の基準で評価した。評価は上記テストを3回繰り返し、平均して5段階で評価した。
A :傷が視認されない。
B :傷が視認される。
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)。
(ポリエステルB)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が90モル%、イソフタル酸成分が10モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.7、融点230℃、昇温結晶化温度(Tcr)160℃、ジエチレングリコール(0.85モル%))。
(ポリエステルC)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が90モル%、イソフタル酸成分が10モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.7、融点230℃、昇温結晶化温度(Tcr)172℃、ジエチレングリコール(1.25モル%))。
(ポリエステルD)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が88モル%、イソフタル酸成分が12モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.7、融点230℃、昇温結晶化温度(Tcr)168℃、ジエチレングリコール(1.15モル%))。
(固有粘度0.75)。
(ポリエステルE)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が88モル%、イソフタル酸成分が12モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.7、融点225℃、昇温結晶化温度(Tcr)178℃、ジエチレングリコール(1.3モル%))。
(ポリエステルF)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が82モル%、イソフタル酸成分が18モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.7、融点212℃、昇温結晶化温度(Tcr)185℃、ジエチレングリコール(1.0モル%))。
(粒子マスター1)
ポリエステルA中に数平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
(ハードコート層形成用塗料組成物)
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%のハードコート層形成用塗料組成物を得た。
トルエン 30質量部
多官能ウレタンアクリレート 25質量部
(ダイセルオルネクス株式会社製 KRM8655)
ペンタエリスリトールトリアクリレート混合物 25質量部
(日本化薬株式会社製 PET30)
多官能シリコーンアクリレート 1質量部
(ダイセルオルネクス株式会社製 EBECRYL1360)
光重合開始剤 3質量部。
(チバスペシャリティーケミカルズ社製 イルガキュア184)
(防眩層形成用塗料組成物)
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の防眩層形成用塗料組成物を得た。
トルエン 30質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 50質量部
(日本化薬株式会社製 PET30)
シリカ分散物(数平均粒径1μm) 12質量部
多官能シリコーンアクリレート 1質量部
(ダイセルオルネクス株式会社製 EBECRYL1360)
光重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティーケミカルズ社製 イルガキュア184)
(実施例1)
組成を表の通りとして、原料をそれぞれ酸素濃度0.2体積%とした別々のベント同方向二軸押出機に供給し、A層押出機シリンダー温度を280℃、B層押出機シリンダー温度を265℃で溶融し、フィードブロック内でA層/B層/A層の3層構成になるよう合流させ、合流後の短管温度を270℃、口金温度を275℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。次いで、長手方向への予熱温度85℃で1.5秒間予熱を行い、延伸温度90℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度85℃で1.5秒予熱を行い、延伸温度120℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて、1段目熱処理温度を190℃、2段目熱処理温度を230℃として熱処理を行い、2段目熱処理条件下で、幅方向に5%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、フィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例2)
組成を表の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例3)
長手方向の延伸倍率を3.5倍、幅方向の延伸倍率を3.8倍、1段目熱処理温度を190℃、2段目熱処理温度を228℃とした以外は、実施例1と同様にして厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例4)
組成を表の通りとし、1段目熱処理温度を180℃、2段目熱処理温度を223℃とした以外は、実施例3と同様にして厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例5)
組成を表の通りとし、1段目熱処理温度を180℃、2段目熱処理温度を225℃とした以外は、実施例3と同様にして厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例6)
組成を表の通りとし、1段目熱処理温度を180℃、2段目熱処理温度を223℃とした以外は、実施例3と同様にして厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例7)
組成を表の通りとし、1段目熱処理温度を180℃、2段目熱処理温度を223℃とした以外は、実施例3と同様にして厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例8)
組成を表の通りとし、1段目熱処理温度を190℃、2段目熱処理温度を223℃とした以外は、実施例3と同様にして厚み20μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例9)
B層厚みを表の通りとした以外は、実施例8と同様にしてフィルム厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例10)
組成を表の通りとし、1段目熱処理温度を200℃、2段目熱処理温度を225℃とした以外は、実施例9と同様にして厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。 (実施例4−2)
実施例4で得られた二軸配向ポリエステルフィルムに、前述のハードコート層形成用塗布液を、乾燥後の厚みが5μmになるように流量を制御してスロットダイコーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥し、溶剤を除去した。次いで、ハードコート層を塗布したフィルムに高圧水銀灯を用いて300mJ/cmの紫外線を照射し、ハードコート層が積層された二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例4−3)
実施例4で得られた二軸配向ポリエステルフィルム上に、前述の防眩層形成用塗布液をスロットダイコーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥し、溶剤を除去した。次いで、防眩層を塗布したフィルムに高圧水銀灯を用いて300mJ/cmの紫外線を照射し、厚み5μmの防眩層が積層された二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例1)
1段目熱処理温度を170℃、2段目熱処理温度を210℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例2)
組成を表の通りとし、1段目熱処理温度を190℃、2段目熱処理温度を230℃とした以外は、比較例1と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例3)
組成を表の通りとし、1段目熱処理温度を225℃、2段目熱処理温度を225℃とした以外は、比較例1と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例4)
組成を表の通りとし、1段目熱処理温度を190℃、2段目熱処理温度を215℃とした以外は、比較例1と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例5)
組成を表の通りとし、1段目熱処理温度を225℃、2段目熱処理温度を230℃とした以外は、比較例3と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
Figure 0006729365
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Figure 0006729365
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本発明は、光学用ポリエステルフィルムに関するものであり、フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションが1500nm以下であるため、干渉色を呈することがなく、さらに示走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)が15J/g以下であるため、加熱時の寸法安定性、耐白化性に優れるため、タッチパネル用途、偏光子保護用途などに好ましく用いられる。

Claims (8)

  1. ポリエステルA層と、ポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層を有する少なく とも2層以上の構成を有し、
    ポリエステルB層は、ジカルボン酸成分の60モル%以上95モル%未満がテレフタル酸 成分、5モル%以上40モル%未満がその他のジカルボン酸成分であり、
    フィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションが1500nm以下であり、
    示差走査熱量測定(DSC)による昇温結晶化熱量(ΔHc)が15J/g以下であり、示差走査熱量計(DSC)による2ndRunにおける昇温結晶化熱量(ΔHc2)が5 J/g以上30J/g以下である、光学用ポリエステルフィルム。
  2. 前記ポリエステルB層のその他のジカルボン酸成分が、イソフタル酸および/または、2 ,6−ナフタレンジカルボン酸を含む請求項1に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステルB層は、ジカルボン酸成分の84モル%以上92モル%未満がテレフタル酸 成分、8モル%以上16モル%未満がテレフタル酸以外のジカルボン酸成分としてイソフ タル酸および/または、2,6−ナフタレンジカルボン酸である請求項1または2に記載 の光学用ポリエステルフィルム。
  4. 温度変調示差走査熱量計(m−DSC)による剛直非晶量が20%以上で30%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
  5. 前記ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最表面に、ハードコート性、自己修復性、防眩性、反射防止性、低反射性、紫外線遮断性、及び帯電防止性からなる群より選択される1種以上の機能を示す層が積層されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、面内リタデーションが500nm以下であるフィルムが積層されてなる積層体。
  7. 偏光子の少なくとも片面に偏光子保護フィルムを有してなる偏光板であって、少なくとも一方の面の偏光子保護フィルムが請求項1〜5のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルムである偏光板。
  8. 光学用ポリエステルフィルムの製造方法であって、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行 い、前記熱処理において熱処理温度1段目の温度をポリエステルB層の融点−80℃〜融 点−30℃とし、熱処理2段目の温度をポリエステルB層の融点−5℃から融点−1℃の 範囲で行う請求項1〜5のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルムの製造方法。
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