JP7111180B2 - 樹脂被覆金属板、容器、及び評価方法 - Google Patents

樹脂被覆金属板、容器、及び評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂被覆金属板、容器、及び評価方法に関する。
従来、ティンフリースチール(以下、TFSと記載)やアルミニウム等を用いた金属容器の内面及び外面には、防食を目的として、各種熱硬化性樹脂を塗装し、表面を被覆することが広く行われてきた。しかしながら、熱硬化性樹脂を用いた被覆方法は、塗料の乾燥に長時間を要するため、生産性が低下するばかりでなく、多大なエネルギーを消費し、多量の溶剤を排出するという問題がある。そこで、これらの問題を解決するため、金属板に熱可塑性樹脂を積層し被覆させる方法が数多く提案されている。金属板に熱可塑性樹脂を積層し被覆させる方法としては、めっき処理等の各種表面処理を施した金属板を加熱し、それに熱可塑性樹脂フィルムを熱圧着させラミネートする方法がある。
容器用樹脂被覆金属素材には、加工性、被覆樹脂の密着性、耐食性等といった基本特性のほか、外観色調安定性等の意匠に関する特性も要求される。従来のポリエステル樹脂で被覆された金属板では、レトルト殺菌処理の際に、被覆樹脂そのものが白く濁ったように変色する現象(以降、レトルト白化と記載)が発生する。レトルト白化は、容器外面の意匠性を大きく損なわせ、消費者の購買意欲を低下させるため、幾つかの改善技術が検討されている。
具体的には、樹脂被覆金属板のレトルト白化を抑制する方法として、特許文献1には、結晶化速度の速いポリエステル樹脂を含む樹脂組成物とする方法が記載されている。この方法では、レトルト殺菌処理時にフィルム中に微小結晶が多数生成されることでレトルト白化が抑制されると考えられている。また、特許文献2には、ポリエステル樹脂被覆金属板に熱処理を施し、樹脂層の厚さ方向の結晶構造を制御する方法が記載されている。さらに、特許文献3には、無延伸ポリエステル樹脂フィルムを被覆した金属板に熱処理を施し、樹脂層の厚さ方向の結晶構造を制御する方法が記載されている。
特開平5-331302号公報 特開2010-105263号公報 特開2017-213884号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、従来のポリエステル樹脂に比べて耐食性に劣る上、被覆樹脂が高価である問題があった。また、特許文献2に記載の方法によれば、レトルト白化は抑制できるものの、ポリエステル樹脂の結晶化が進行しすぎてしまい、現在求められるような高い密着性は得られない。特許文献3に記載の方法によれば、レトルト白化と加工性のバランスが図れるものの、近年実施されている高温処理や急速冷却といった厳しい条件でレトルト殺菌処理を行った際にはレトルト白化を十分に抑制できない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。その目的は、容器用樹脂被覆金属素材に求められる基本特性を有し、且つ、過酷な条件でレトルト殺菌処理を施しても意匠性を損なわない耐レトルト白化性を有する安価な樹脂被覆金属板及び容器を提供することにある。また、樹脂被覆金属板のレトルト白化性の評価方法を提供することも目的とする。
本発明に係る樹脂被覆金属板は、金属板の少なくとも片面が樹脂層で被覆されており、当該樹脂層の温度変調示差走査熱量計で測定される可動非晶量が30%以上46%以下であり、前記樹脂被覆層の厚さ方向断面に、直線偏光レーザー光の偏光面を厚さ方向に垂直に入射して測定したレーザーラマン分光分析法から求められる1096cm-1近傍のPETメチレン基のトランス構造に起因するピークの強度(I1096)と前記レーザーラマン分光分析法から求められる1119cm-1近傍のPETメチレン基のゴーシュ構造に起因するピークの強度(I1119)との強度比I1096/I1119が金属板からの距離1μmの位置で1.1以上1.5未満である。
前記樹脂層がポリエステル樹脂を主成分とするとよい。
前記樹脂層中の樹脂は二軸延伸ポリエステル樹脂であり、90mol%以上がポリエチレンテレフタレートであるとよい。
本発明に係る容器は、本発明に係る樹脂被覆金属板で成形された容器であって、前記樹脂層が少なくとも容器の外面側に存在する。
本発明に係る評価方法は、温度変調示差走査熱量計で測定される可動非晶量により樹脂被覆金属板のレトルト白化性を予測するステップを含む。
本発明によれば、容器用樹脂被覆金属素材に求められる基本特性を有し、且つ、過酷な条件でレトルト殺菌処理を施しても意匠性を損なわない耐レトルト白化性を有する安価な樹脂被覆金属板及び容器を提供できる。また、本発明によれば、樹脂被覆金属板のレトルト白化性の正確な評価方法を提供できる。
以下、本発明に係る樹脂被覆金属板について詳細に説明する。
まず、本発明で用いる金属板について説明する。本発明の金属板としては、缶用材料として広く使用されているアルミニウム板や軟鋼板等を用いることができる。特に、下層が金属クロム、上層がクロム水酸化物からなる二層皮膜を形成させた表面処理鋼板(以下、TFSと称す)等が最適である。TFS被膜の付着量は特に限定されないが、加工後密着性や耐食性の観点から、いずれもCr換算で、金属クロム層は70~200mg/m、クロム水酸化物層は10~30mg/mとすることが望ましい。
次に、金属板の少なくとも一方の面に有するポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル樹脂層について説明する。本発明のポリエステル樹脂層は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする。ポリエチレンテレフタレートを主成分とするとは、ポリエステルの構成単位の90mol%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエステルであることを意味する。さらに好ましくは95mol%以上である。エチレンテレフタレート単位が95mol%以上であると、耐熱性が要求される用途では好ましい。酸成分としてのテレフタル酸は、機械的強度、耐熱性、耐食性等の特性確保のため必須であるが、さらにイソフタル酸と共重合させることにより加工性や密着性等が向上する。イソフタル酸成分をテレフタル酸成分に対し5~10mol%共重合させることにより、深絞り成形性や加工後密着性が向上するため好適である。
上記特性を損ねない範囲で他のジカルボン酸成分、グリコール成分を共重合してもよい。ジカルボン酸成分としては、例えば、ジフェニルカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、p-オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができる。また、他のグリコール成分としては、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の指環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。なお、これらのジカルボン酸成分、グリコール成分は2種以上を併用してもよい。また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合してもよい。
本発明のポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル樹脂層は、温度変調示差走査熱量計測定から求められる可動非晶量が30%以上46%以下であることが重要である。これは本発明において最も重要な要件であり、このように金属板に被覆後のポリエステル樹脂層の可動非晶量を規定することにより、本発明の目的である耐レトルト白化性と成形後密着性の両立が可能となる。以下、その理由について述べる。
本発明の発明者らは、レトルト白化のメカニズムを鋭意検討した。レトルト殺菌処理開始当初から缶は高温水蒸気にさらされ、水蒸気の一部は外面側樹脂層の内部へと浸透し、鋼板との界面近傍まで到達する。ここで、レトルト殺菌処理の初期では缶内容物の温度が低いため、透過した水蒸気が鋼板に近づくと凝縮して水泡が生じる。レトルト殺菌処理の後期で、缶内容物の温度が高くなり、フィルム内に生じた水泡が蒸発し、気泡となり膨張するため、空隙として残り、光が空隙部分で乱反射して白化して見えることがわかった。ポリエステル樹脂は、結晶質か非晶質かにより、大きく性質が異なることが知られている。非晶質には、ガラス転移を示す可動非晶とガラス転移を示さない剛直非晶が存在し、レトルト白化を防止するためには、可動非晶量を46%以下にすることが有効であることがわかった。一方、可動非晶量が少なすぎると、成形後密着性が劣化するが、可動非晶量は30%以上とすればよいことがわかった。また、可動非晶量の値により、レトルト白化性を予測することも可能であることがわかった。
さらに、金属板とポリエステル樹脂界面付近での結晶状態も重要な要件である。上記結晶状態は、ポリエステル樹脂被覆層の厚さ方向断面に、直線偏光レーザー光の偏光面を厚さ方向に垂直に入射して測定するレーザーラマン分光分析法にて評価する。金属板から1μmの位置で、PETメチレン基のトランス構造に起因する1096cm-1近傍のピーク強度(I1096)と、同じくゴーシュ構造に起因する1119cm-1近傍のピーク強度(I1119)を測定する。これらの比I1096/I1119が、1.1以上1.5未満であることが必要である。
PETの分子構造には、分子鎖の秩序性の高いトランス構造と秩序性が低いゴーシュ構造が存在する。PET樹脂中にトランス構造が多いと全体としてPET分子の秩序性が高いと推定される。トランス構造とゴーシュ構造の存在比をラマンスペクトルの強度比で測定し、この強度比の多寡により秩序性を評価することができる。
本発明によれば、特に金属板に近い溶融層の領域でより秩序性の高い構造が得られる。より秩序性の高い構造であれば、レトルト時の水蒸気のバリア性が高くなり、耐レトルト白化性に優れる。金属板からの距離1μmの位置で強度比I1096/I1119が1.1未満であると分子鎖の秩序性が低く、水蒸気のバリア性に劣り、耐レトルト白化性に劣る。強度比I1096/I1119が1.5以上であると、耐レトルト白化性に優れるが、分子鎖の秩序性が過剰に高くなることで、金属板と樹脂の密着性が弱くなる。
なお、本発明の樹脂被覆層には、顔料を添加することにより多様な色調を付与できる。また、隠蔽性を完全とせず下地の金属光沢を利用した光輝色の付与も可能であり、優れた意匠性を得ることができる。さらに、樹脂表面への印刷と異なり、樹脂内に直接顔料を添加して着色するため、容器成形工程においても色調が脱落する問題もなく、良好な外観を保持できる。また、一般に、容器成形後には塗装印刷が施されるが、着色樹脂層を形成することで工程の一部を省略することができ、コストの低減、有機溶剤、二酸化炭素の発生を抑制することができる。添加する顔料としては、容器成形後に優れた意匠性を発揮できることが必要であり、かかる観点からは、二酸化チタン等の無機系顔料やアンスラキノン系、イソインドリノン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、縮合アゾ系等の有機顔料を使用できる。
上記有機顔料を添加する場合の樹脂層としては、最上層でないことが好ましい。上記有機顔料は、レトルト殺菌処理時等の熱処理を経ても、樹脂層表面にブリードしにくいという特徴を有するが、顔料を添加した樹脂層の上に0.5μm以上の無添加層を設けることで、ブリードアウトを確実に抑制できる。アンスラキノン系、イソインドリノン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、縮合アゾ系の少なくとも1種類以上の有機顔料の添加量は、樹脂層に対して、質量比で0.1~5%とすることが好ましい。添加量が0.1%未満であると、発色が乏しく、不適である。また、添加量が5.0%超となると、透明性が乏しくなり、光輝性に欠けた色調となってしまうためである。
次に、本発明の容器用樹脂被覆金属板の製造方法について説明する。
まず、金属板に被覆する複層構造の樹脂層の製造方法について説明する。樹脂層の製造方法については特に限定はしない。例えば、原料樹脂ペレットを必要に応じて乾燥した後、公知の溶融積層押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングドラムに密着させ冷却固化することで未延伸シートが得られる。この未延伸シートをフィルムの長手方向及び幅方向に延伸することにより二軸延伸フィルムが得られる。延伸倍率は目的とするフィルムの配向度、強度、弾性率等に応じて任意に設定することができるが、フィルムの品質の点でテンター方式によるものが好ましい。長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する逐次二軸延伸方式、長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方式が好ましい。
次に、樹脂層(フィルム)を金属板に熱融着(以後ラミネートと称す)させて樹脂被覆金属板を製造する方法について説明する。本発明では、例えば、金属板をフィルムの融点を超える温度まで加熱し、圧着ロール(以後ラミネートロールと称す)を用いて樹脂フィルムをその両面に接触させラミネートする方法を用いることができる。ラミネート条件については、本発明に規定する樹脂層が得られるように適宜設定すればよいが、好適な製造条件の一例を記載する。ラミネート開始時の金属板の表面温度は、金属板と接する樹脂層のTm(融点)(℃)以上とすればよい。具体的には、樹脂層のTm~Tm+40℃の範囲に制御する。金属板の表面温度を、樹脂層のTm以上とすることで、樹脂層が溶融し金属板表面上を濡らし、金属板との良好な密着性を確保することができる。一方、Tm+40℃以下とすることで、樹脂層の溶融が過度となり、ラミネートロールに樹脂層が付着することを避けることができると共に、表層の樹脂層の結晶構造を、本発明の規定範囲内に制御することが可能となる。好ましくは、Tm~Tm+25℃、さらに好ましくは、Tm~Tm+15℃である。
樹脂層の最上層の結晶構造を適正な状態に制御するため、ラミネートロールの表面温度を調整するとよい。具体的には、樹脂層と接触するラミネートロールの表面温度を、樹脂層のTg~Tg+80℃の範囲に制御する。ラミネートロールとの接触時間(ニップ時間)の調整も重要な要素である。ニップ時間は、10~20msecの範囲に制御するとよい。ラミネートロールの表面温度と接触時間を上記の範囲に調整することで、本発明の規定する樹脂層の結晶構造を実現することができる。ラミネートロールの温度調整のために、例えばロール内部を水冷式にするとよい。ロール内に冷却水を循環させることで、フィルム接着中の温度制御を図ることができる。
さらに、ラミネートを行う前に、樹脂層については加熱を行うことが好ましい。樹脂層を予め軟化させておくことで、ラミネート時における樹脂層断面内の温度分布をより均一なものとすることができる。これにより、樹脂層断面内の結晶構造も、金属板との界面から表層に到るまでの構造変化が緩やかなものとなって、より均質な性能を発揮することができる。具体的には、ラミネート前の樹脂層の温度を、Tg~Tg+30℃の範囲に制御するとよい。ラミネート終了後は、すみやかにクエンチ(水冷)を行い、樹脂層の結晶構造を固定する。クエンチまでの時間は、1.0秒以内に制限するとよく、好ましくは、0.7秒以内である。クエンチの水温は、少なくとも樹脂層のTg以下とする。
その後、製造したラミネート金属板に対して、ラミネート後加熱を行う。加熱方法は、熱風炉、赤外線、近赤外線、インダクションヒーター等、任意に選択が可能である。但し、熱処理条件としてはポリエステル樹脂層の結晶化温度以上、且つ、融点以下の温度範囲で5秒未満実施するのが望ましい。昇温から冷却までの時間の合計時間が5秒未満の短時間加熱とすることで、所望の可動非晶量が得られやすくなる。熱風炉等で熱処理するにあたり、5秒未満で目的の温度に到達しないことが考えられるため、赤外線、近赤外線、又はインダクションヒーターでの加熱が好ましい。また、赤外線、近赤外線による加熱では各エミッタの配置や各エミッタの出力を工夫することで金属板の幅方向及び長手方向での均熱性を高めることができるためさらに好ましい。さらに、近赤外線であれば、鋼板の赤外線吸収波長と近いため、加熱効率が高い。短時間加熱を確実なものとするために、加熱後は冷却を行うとよい。冷却方法は特に限定するものではないが、ラミネート後と同様に水冷を行えばよい。
なお、本発明では、溶融状態の樹脂を金属板表面に被覆する溶融押出しラミネートも適用できるが、フィルムに成形してから金属板に被覆することで好ましい結晶構造を得やすくなる。
以下、本発明の実施例について説明する。
〔金属板の製造方法〕
冷間圧延、焼鈍、調質圧延を施した厚さ0.18mm・幅977mmからなる鋼板を、脱脂、酸洗後、クロムめっきを行い、クロムめっき鋼板(TFS)を製造した。クロムめっきは、CrO、F、SO 2-を含むクロムめっき浴でクロムめっき、中間リンス後、CrO、Fを含む化成処理液で電解した。その際、電解条件(電流密度・電気量等)を調整して金属クロム付着量とクロム水酸化物付着量を、Cr換算でそれぞれ120mg/m、15mg/mに調整した。
〔容器外面側の樹脂被覆用フィルムの製造方法〕
表1に示す成分比率となるように重合したポリエステル樹脂を常法に従い、乾燥・溶融させ、Tダイより共押出した後、冷却ドラム上で冷却固化させ、未延伸フィルムを得た。その後、二軸延伸・熱固定して二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。なお、一部水準では、延伸しないままとし、表1には無延伸と記載した。
〔容器用樹脂被覆金属板の製造方法〕
金属板として厚さ0.22mmのT3CAを原板としたTFS(金属Cr層:120mg/m、Cr酸化物層:金属Cr換算で10mg/m)を用い、熱圧着ラミネート法によりTFSの両面に樹脂フィルムを被覆した。具体的なラミネート条件は、表1に示す金属板温度及びニップ時間とした。その後、熱圧着から1秒経過後に水冷し一度表面の水滴を除去してから、表1に示す条件でラミネート後加熱を施した。加熱炉を出た後は、表1に記載の時間経過後に30℃の水を溜めた水槽へ3秒浸漬させて冷却した後、再び表面の水滴を除去することで、両面に樹脂被覆層を被覆した樹脂被覆金属板を得た。得られた樹脂被覆金属板の物性を表1に示す。
〔容器用樹脂被覆金属板の評価〕
以上により得られた樹脂被覆金属板及び被覆樹脂層について以下の特性を測定、評価した。測定、評価方法を以下に示す。
(1)ポリエステル樹脂の可動非晶量
ティー・エイ・インスツルメント社製熱分析装置「DSC Q100」を用いて、温度範囲0℃~200℃、昇温速度2℃/min、振幅0.5℃、周波数40Hz、窒素雰囲気下でラミネート後フィルム又は熱処理後フィルムのガラス転移点前後の比熱を測定し、以下に示す数式(1)により可動非晶量を算出した。算出結果を表1に示す。
可動非晶量(%)={ΔCp/ΔCp(a)}×100…(1)
ΔCp:ラミネート後又は熱処理後のガラス転移点前後の比熱差
ΔCp(a):完全非晶物のガラス転移点前後の比熱差
(2)フィルム断面の金属板から1μm位置のI1096/I1119
ナノフォトン社 RAMAN forceを用いて、レーザーラマン分光分析によりフィルム断面の金属板から1μm位置のピーク強度を測定した。レーザー波長は532nmで、100倍の対物レンズを用いた。また、回折格子は600gr/mm、焦点距離は550mmとした。算出したI1096/I1119を表1に示す。
(3)耐レトルト白化性
ラミネート金属板を円盤状に打ち抜き、市販缶の底部に磁石で固定した。その後、缶底部を下向きにして、蒸気式レトルト殺菌炉の中に配置し、125℃で90分間、レトルト殺菌処理を実施した。処理後、缶底部に固定したサンプルの外観変化を以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
◎:外観変化なし
○:ごくわずかな曇りあり
△:外観に曇りあり
×:外観のほぼ全面が白濁(白化発生)
(4)成形後密着性
成形後の缶を用いて、引張速度30mm/minでピール試験を行い、幅15mmあたりの密着力を以下の基準で評価した。評価対象は、缶外面の缶胴部である。評価結果を表1に示す。
◎:まったく剥離無し
〇:ごくわずかに剥離
△:剥離するが程度は小さい
×:完全に剥離
〔評価〕
表1に示すように、発明例は、耐レトルト白化性に優れ、且つ、他の特性も良好であるのに対して、本発明の範囲を外れる比較例は、耐レトルト白化性又は他の特性が劣っていることが確認された。
Figure 0007111180000001
本発明によれば、容器用樹脂被覆金属素材に求められる基本特性を有し、且つ、過酷な条件でレトルト殺菌処理を施しても意匠性を損なわない耐レトルト白化性を有する安価な樹脂被覆金属板及び容器を提供できる。また、本発明によれば、樹脂被覆金属板のレトルト白化性の正確な評価方法を提供できる。

Claims (3)

  1. 金属板の少なくとも片面が樹脂層で被覆されており、当該樹脂層の温度変調示差走査熱量計で測定される可動非晶量が38%以上46%以下であり、前記樹脂被覆層の厚さ方向断面に、直線偏光レーザー光の偏光面を厚さ方向に垂直に入射して測定したレーザーラマン分光分析法から求められる1096cm-1近傍のPETメチレン基のトランス構造に起因するピークの強度(I1096)と前記レーザーラマン分光分析法から求められる1119cm-1近傍のPETメチレン基のゴーシュ構造に起因するピークの強度(I1119)との強度比I1096/I1119が金属板からの距離1μmの位置で1.1以上1.37以下であり、前記樹脂層中の樹脂は二軸延伸ポリエステル樹脂であり、90mol%以上がポリエチレンテレフタレートである、樹脂被覆金属板。
  2. 請求項に記載の樹脂被覆金属板で成形された容器であって、前記樹脂層が少なくとも容器の外面側に存在する、容器。
  3. 温度変調示差走査熱量計で測定される可動非晶量により金属板の少なくとも片面が樹脂層で被覆された樹脂被覆金属板のレトルト白化性を予測するステップを含み、前記樹脂層中の樹脂は二軸延伸ポリエステル樹脂であり、90mol%以上がポリエチレンテレフタレートである、評価方法。
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