JPH06155660A - 耐熱水性に優れたポリエステル樹脂被覆金属板 - Google Patents

耐熱水性に優れたポリエステル樹脂被覆金属板

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JPH06155660A
JPH06155660A JP14977693A JP14977693A JPH06155660A JP H06155660 A JPH06155660 A JP H06155660A JP 14977693 A JP14977693 A JP 14977693A JP 14977693 A JP14977693 A JP 14977693A JP H06155660 A JPH06155660 A JP H06155660A
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Abstract

(57)【要約】 [目的] 熱水処理後も良好な表面外観を有すとともに
密着性、加工性、および経済性に優れ、工業生産が容易
に可能な缶蓋、絞り缶、および薄肉化深絞り缶等の缶用
素材として有用な樹脂被覆金属板の提供。 [構成] 金属板の片面あるいは両面に二軸配向ポリエ
ステル樹脂層が被覆してあり、かつ被覆後の樹脂層が特
定の樹脂構造、すなわち金属板近傍のポリエステル樹脂
層が適正範囲に結晶化されており、全体のポリエステル
樹脂層が適正範囲の二軸配向構造を残存させているポリ
エステル樹脂被覆金属板。より好ましくは、ポリエステ
ル樹脂被覆金属板の樹脂層がポリエチレンテレフタレー
ト、あるいはエチレンテレフタレートの繰り返し単位を
主体とした共重合ポリエステル樹脂とポリブチレンテレ
フタレート樹脂を特定量ブレンドした樹脂よりなり、適
正な結晶構造および二軸配向構造を有しているポリエス
テル樹脂被覆金属板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱水性に優れた缶用
ポリエステル樹脂被覆金属板に関する。より詳細には、
特定の物性を有した二軸配向ポリエステル樹脂フィルム
を金属板の片面、あるいは両面に積層した耐熱水性に優
れた缶用ポリエステル樹脂被覆金属板に関し、成形され
た缶体に内容物充填後、レトルト処理される用途に適し
た缶用素材を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】食缶あるいは飲料缶に用いられる金属缶
用素材であるぶりき、ティンフリースチール(以下、T
FSと略す)およびアルミニウム板などの金属板には、
一回あるいは複数回の塗装が施されていた。この塗装を
施すことは、塗料の焼き付け工程が煩雑であるばかりで
なく、多大な焼き付け時間を必要とし、さらに多量の溶
剤を排出するため、公害面からも排出溶剤を特別な焼却
炉に導き焼却しなければならないという問題を有してい
た。これらの問題を解決するため、熱可塑性樹脂フィル
ムを加熱した金属板に積層することが検討されてきた。
例えば、ポリエステル樹脂フィルムを接着剤を用いるこ
となく金属板に積層する方法(特公昭60ー47103
号、特開平3ー212433号)、ポリエステル樹脂フ
ィルムを特定の接着剤を用いて金属板に積層する方法
(特公昭63ー13829号)、特定のポリエステル樹
脂層で金属板を被覆後、急冷して樹脂層の結晶化度を3
0%以内にした被覆金属構造物(特公昭57ー2358
4号)などが開示されている。
【0003】これらの開示された方法で得られたポリエ
ステル樹脂被覆金属板はつぎに示す製缶方法にて缶(レ
トルトによる殺菌処理前)として供せられる。 (1)予め、缶体の外面となる面に塗装あるいは印刷を
施し、160〜220℃の温度で約1〜20分の条件で
塗料あるいはインキをキュアーさせたポリエステル樹脂
被覆金属板を、缶体に成形加工し、缶(レトルトによる
殺菌処理前)とする方法、(2)ポリエステル樹脂被覆
金属板を缶体に成形加工後、缶体の外面に塗装あるいは
印刷を施し、160〜220℃の温度で約1〜20分の
条件で塗料あるいはインキをキュアーさせ、缶(レトル
トによる殺菌処理前)とする方法、(3)ポリエステル
樹脂被覆金属板を缶体に成形加工後、密着性に悪影響を
与える樹脂層の残留応力を除去するため180〜220
℃で約1〜4分間加熱し、歪除去処理後、缶体の外面に
塗装あるいは印刷を施し、160〜220℃の温度で約
1〜20分の条件で塗料あるいはインキをキュアーさ
せ、缶(レトルトによる殺菌処理前)とする方法、
(4)ポリエステル樹脂被覆金属板を塗装、印刷、ある
いは歪除去処理を施さずに、そのまま缶体に成形し、缶
(レトルトによる殺菌処理前)とする方法、これらの方
法で得られた缶体に内容物を充填した缶の多くは、商品
とする前に内容物腐敗防止を目的として、120〜13
0℃のレトルト釜中で殺菌処理(以下、レトルト処理と
略す)される。 したがって、上記のような製缶方法で成形加工されるポ
リエステル樹脂被覆金属板には成形加工を施しても、積
層されたポリエステル樹脂層にクラックが入らない優れ
た加工性、積層されたポリエステル樹脂層が金属板表面
より剥離しない優れた加工密着性、および経済性を有し
ていることはもちろんのこと、レトルト処理後も綺麗な
表面外観を有していることが要求される。しかしなが
ら、従来のポリエステル樹脂被覆金属板が満足できるの
はこれらの要求事項の一部であり、すべてを満足してい
ないのが実状である。以下、開示された方法で得られる
ポリエステル樹脂被覆金属板について説明する。
【0004】特公昭60ー47103号に開示されてい
る方法で得られたポリエステル樹脂被覆金属板は熱融着
により得られた積層体の一つであり、その優れた経済性
および特性により広く缶用素材として適用可能なもので
あるが、製缶方法(4)の方法で得られた缶体に内容物
充填後、缶外面に水が結露し、該表面が部分的に水で覆
われた状態でレトルト処理されると、積層されたポリエ
ステル樹脂層が斑点状に乳白色に変色し、著しく商品価
値が低下する。なぜ斑点状に乳白色に変色するかについ
ては、よく解っていないが、ポリエステル樹脂の融点以
上の温度に加熱した金属板に該ポリエステル樹脂フィル
ムを積層した時に少なくとも金属板近傍に形成された無
定形層がレトルト処理によって結晶化する速度は該被覆
金属板の表面に水が存在している部分と、していない部
分では大きく異なるため、結果として、ミクロ的にみる
と結露部分と非結露部分では互いに光の屈折率や体積の
異なる樹脂層となり、該結露ー非結露界面で光の散乱が
生じ、表面が乳白色に変化するものと考えられる。缶体
の曝露表面が均一な状態、すなわち全表面が水で覆われ
た状態、あるいは結露の起きない状態でレトルト処理さ
れれば、前記現象は生じないが、そのためには特別なレ
トルト処理装置を必要とするか、結露を防ぐため予め該
樹脂被覆金属板表面を高温に維持することが必要で、充
填できる内容物が限られるなどの問題がある。また、こ
のポリエステル樹脂被覆金属板を製缶方法(1)、
(2)、および(3)の方法で得られた缶、すなわちポ
リエステル樹脂被覆金属板をさらに加熱処理した缶は、
加熱処理条件によっては被覆された樹脂層の無定形部分
が加熱処理により結晶化するため、レトルト後も表面が
斑点状に乳白色に変色せず綺麗な表面外観のままである
場合もあるが、一方では、加工密着性が著しく劣ってレ
トルト処理した段階、あるいは薄肉化深絞り缶のような
厳しい加工を受ける缶の場合はレトルト前の段階で一部
樹脂層の剥離が認められるようになり、安定した缶特性
が得られていないのが実状である。
【0005】特開平3ー212433号に開示された方
法は特公昭60ー47103号の方法で得られたポリエ
ステル樹脂被覆金属板の欠点であるレトルト処理時の積
層されたポリエステル樹脂層の乳白化を防止するため、
特定の共重合ポリエステル樹脂フィルムを該樹脂の融点
以下の温度で金属板に積層し、積層時に生成する無定形
ポリエステル樹脂層の量をできるだけ少なくし、無定
形、無配向ポリエステル樹脂の再結晶による乳白色化を
防止することを特徴としている。しかし、この特開平3
ー212433号で得られたポリエステル樹脂被覆金属
板は、無定形ポリエステル樹脂層をできるだけ少なくす
るため、該ポリエステル樹脂フィルムの融点以下の温度
に加熱した金属板にポリエステル樹脂フィルムを積層す
るので、積層時に金属板と接するポリエステル樹脂面の
溶融粘度が高く、金属板表面は均一に、かつ十分濡らさ
れず、また溶融層も極端に薄いため、積層されたポリエ
ステル樹脂層と金属板の密着性も不安定であるという欠
点を有している。したがって、前記(1)〜(4)のい
ずれの方法で得られた缶もレトルト処理後、あるいは内
容物経時後に樹脂層の剥離が生じるという危険性をはら
んでおり、安心して缶用素材として適用できないのが実
状である。また、薄肉化深絞り缶のような厳しい加工性
を要求される用途には、製缶工程で樹脂層が剥離し、全
く適用が不可能であるというのが実状である。
【0006】特公昭63ー13829号に開示された方
法で得られたポリエステル樹脂被覆TFSは予め接着剤
を塗布された二軸配向ポリエステル樹脂フィルムを該樹
脂フィルムの融点以下の温度で積層されたものであり、
上記特公昭60ー47103号の方法で得られたポリエ
ステル樹脂被覆金属板のような無定形ポリエステル樹脂
層はほとんど形成されない。したがって、このポリエス
テル樹脂被覆金属板を前記製缶方法のいずれの方法で缶
体に成形加工し、レトルト処理を施しても、表面が乳白
色化することはほとんどない。しかし、積層されるポリ
エステル樹脂フィルムの金属板と接する面に接着剤を均
一に薄く塗布、乾燥することが不可欠であり、そのた
め、塗装装置、溶剤、乾燥用オーブン、排出溶剤焼却装
置などを必要とし、経済的な方法で製造されるとはいえ
ず、缶用材料として好ましくない。
【0007】特公昭57ー23584号に開示された方
法で得られた被覆金属構造物は、その表面に酸成分とし
て少なくとも45モル%のテレフタル酸、アルコール成
分として少なくとも55モル%の1,4ーブタンジオー
ルからなるポリエステル樹脂を積層したものであり、積
層されたポリエステル樹脂層の耐剥離性、該被覆金属構
造物の成形加工性および耐食性の向上を目的として検討
されたものであり、レトルト処理のような耐熱水性に対
してまったく考慮が払われてなく、レトルト処理後も綺
麗な表面外観、すなわち斑点状に乳白色に変色していな
い表面外観を安定して得ることは困難である。特に、特
公昭57ー23584号に記載の適正な樹脂層の結晶化
度範囲0〜30%の内で、0%に近くなると、樹脂層全
体がほぼ無定形の状態となるので、少なくとも前記
(4)の方法で得られた缶はレトルト処理後に顕著な外
観変化を生じることは明白である。さらに該金属構造物
を製缶方法(1)、(2)、および(3)の方法で得ら
れた缶、すなわちポリエステル樹脂被覆金属板をさらに
加熱処理した缶は、特公昭60ー47103号に開示さ
れている方法で得られたポリエステル樹脂被覆金属板と
同様に、加熱処理条件によっては被覆された樹脂層の無
定形部分が加熱処理により結晶化するため、レトルト後
も表面が斑点状に乳白色に変色せず綺麗な表面外観のま
まである場合もあるが乳白色に変色する場合がほとんど
であり、一方では、加工密着性が著しく劣ってレトルト
処理した段階、あるいは薄肉化絞り缶のような厳しい加
工を受ける缶の場合はレトルト処理前の段階で樹脂層の
剥離が認められるようになり、安定した缶特性が得られ
ないのが実状である。また、ポリエステル樹脂の加工性
を大幅に向上する樹脂の配向に対して考慮が払われてな
く、樹脂層の加工性の観点から、例えレトルト処理を行
わない用途においても、その適用は大幅に制限されると
いうのが実状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、缶用材料に要求される加工性、加工密着
性、耐食性、経済性などに優れ、かつ成形された缶体に
内容物を充填後、レトルト処理を施しても缶外面が斑点
状に乳白色化しない缶用素材を開発することにある。よ
り詳細には、缶体に成形加工前あるいは後、缶外面に印
刷などが施され、印刷インキのキュアーのため加熱が施
され、その後内容物が充填され、レトルト処理される用
途、例えば、深絞り缶、薄肉化深絞り缶など、および成
形加工前あるいは後に印刷などが施されずに、そのまま
内容物が充填され、レトルト処理される用途、例えば缶
蓋、深絞り缶、絞り再絞り缶(DRD缶)などの製缶方
法にも適用できるポリエステル樹脂被覆金属板を開発す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の問題を
解決するため、種々検討の結果、二軸配向したポリエス
テル樹脂フィルムを、該ポリエステル樹脂フィルムとの
密着性に優れたクロム水和酸化物皮膜を有する金属板、
例えばTFSに熱融着により積層し、積層後のポリエス
テル樹脂層、特に金属板近傍の樹脂層の結晶化の状態お
よび非近傍の樹脂層の結晶の配向の状態を適正な範囲に
コントロールすることによって、優れた加工性、優れた
加工密着性を有し、かつ、レトルト処理を施しても表面
が乳白色化しないポリエステル樹脂被覆金属板が得られ
ることをみいだした。
【0010】以下、本発明のポリエステル樹脂被覆金属
板について詳細に説明する。まず、本発明で用いられる
二軸配向ポリエステル樹脂フィルムとしては、以下の一
般式を有すホモポリエステル樹脂や共重合ポリエステル
樹脂の単体、あるいはブレンド樹脂を公知の方法でフィ
ルムに成形したものが挙げられる。 一般式 あるいは 式中、R1は炭素数2〜6のアルキレン基、R2は炭素数
2〜24のアルキレン基またはアリーレン基である。
【0011】さらに、本発明で用いられる二軸配向ポリ
エステル樹脂フィルムが、以下に示す一定の特性を有す
ことが必要、あるいは好ましいことである。
【0012】まず本発明のポリエステル樹脂被覆金属板
において用いられるポリエステル樹脂は40℃以上のガ
ラス転移温度(Tg)を有していることが必要である。
Tgが40℃未満であると、オリゴマーの析出が激しく
なり、ポリエステル樹脂被覆金属板の表面外観が損なわ
れたり、ポリエステル樹脂被覆金属板をコイル状に巻い
た時、ブロッキングを起こすことがあり、さらにポリエ
ステル樹脂フィルム自体のバリヤー性が劣り、ポリエス
テル樹脂被覆金属板の耐食性も低下させるので好ましく
ない。なお、ここでいうTg とは、樹脂の状態がガラス
状態からゴム状態になる境界の温度であり、各温度によ
る樹脂の比容積を測定し、比容積ー温度曲線が折れ曲が
りを開始する温度で示される。
【0013】さらに、本発明で用いられるポリエステル
樹脂フィルムは、加工性の観点から破断伸びが80%以
上あることが好ましい。破断伸びが80%未満のポリエ
ステル樹脂フィルムを積層した金属板を加工した時、積
層された樹脂層にクラックが入り好ましくない。なお、
ここでいう破断伸びとはASTM D638に従い測定
した値である。
【0014】さらに、本発明においては二軸配向ポリエ
ステル樹脂フィルムの金属板近傍の樹脂層を溶融させ
て、金属板表面に十分に濡れさせることにより金属板と
ポリエステル樹脂フィルム間の密着性を確保することは
必要不可欠であるが、金属板近傍の樹脂層を溶融させた
結果生じた無定形層が存在したままではレトルト処理後
の被覆金属板は前記したように、斑点状に乳白色に変色
した表面外観を呈するので、レトルト処理する前の被覆
金属板のポリエステル樹脂層は無定形層を有しておら
ず、たとえ金属板近傍の樹脂層であっても一定の結晶化
状態を有している必要がある。この観点から、適用する
ポリエステル樹脂の結晶化速度についても考慮が必要
で、特に前記製缶方法(4)に使用される被覆金属板は
加熱によるポリエステル樹脂の無定形層の結晶化は、製
缶工程での加熱処理による結晶化が不可能なことと被覆
金属板の経済性を考慮すると積層工程での積層から冷却
まで10秒以内の短時間で行わなければならないため、
該結晶化速度は重要な要因となる。積層工程での積層か
ら冷却までの時間を10秒より長くするには、積層速度
を極端に遅くするか、あるいは多大な設備を必要とする
ため経済性が優れた被覆金属板を得ることができない。
ポリエステル樹脂の該結晶化速度は最短半結晶化時間で
限定することができる。ポリエステル樹脂の該最短半結
晶化時間は前記製缶方法(4)に使用される被覆金属板
の場合、20秒以内であることが好ましく、0.5〜1
2秒の範囲であることがより好ましい。この最短半結晶
化時間が20秒を超えると、前記製缶方法(4)におい
ては、積層時に生成した無定形層が本発明の必須条件で
ある適正な結晶化状態に変化せず、該製缶方法(4)に
て製缶された缶をレトルト処理すると斑点状に乳白色に
変色した表面外観を呈するので好ましくない。一方、前
記製缶方法(1)、(2)、および(3)に使用される
被覆金属板の場合は製缶工程で比較的長時間熱処理さ
れ、またその熱処理時間も塗料やインキなどにより大き
く変わるため、特に最短半結晶化時間を限定するべきも
のではないが、一般的には該最短半結晶化時間は250
秒以内であることが、製缶前の被覆金属板に存在してい
る無定形層を本発明の必須条件である結晶化状態に変化
させるために必要である。
【0015】なお、ここでいう最短半結晶化時間とは、
樹脂の結晶化が生じる温度範囲で半結晶化時間を測定
し、該温度範囲の中で最も短かった半結晶化時間であ
り、ポリマー結晶化速度測定装置(コタキ製作所(株)
製、MK−701型)を用いて、直交した偏光板の間に
置いた試料の結晶化に伴い増加する光学異方性結晶成分
による透過光を各試料温度で測定(脱偏光強度法)し、
下記のアブラミ式を用いて結晶化度が1/2となる時間
を算出した各試料温度での値の中で最も短い時間であ
る。なお、試料(試料重量:8mg)は該装置に組み込ま
れた融解炉で樹脂の最高融点+50℃の温度で窒素中で
1分間加熱後、直ちに試料を移動させて、結晶化浴中に
浸漬し、10秒以内に試料温度を平衡な測定温度になる
ようにして測定を開始する。また、ここでの最高融点と
は示差走査熱量計(SS10、セイコー電子工業(株)
製)により10℃/分の昇温速度で昇温した時、1つあ
るいは2つ以上の吸熱ピークが認められるが、それらの
吸熱ピークの最大深さを示す温度の中で最高の温度をい
う。該脱偏光強度法は、新実験化学講座(丸善)および
高分子化学 Vol.29.No.323(高分子学
会)にも記載されているように、早い結晶化速度を測定
する時、有効な方法である。 なお、試料が熱平衡に達するまでの時間を考慮し、結晶
化浴中に試料を移動して10秒経過した時点をt=0秒
として測定した。t=0秒で測定した脱偏光透過強度が
Io、Log tに対して脱偏光透過強度をプロットして
結晶化温度曲線が直線になりはじめた点の脱偏光透過強
度をIgとした。
【0016】また、本発明で用いられるポリエステル樹
脂フィルムとしては、厚さは5〜80μmのフィルムが
好ましく、厚さ5μm未満では得られたポリエステル樹
脂被覆金属板の耐食性が劣り、また厚さ80μm以上に
なると経済性が劣り、缶用の被覆材として適していな
い。
【0017】上記の条件を満足する樹脂組成の中で、総
合特性および経済性を考慮すると、ポリエチレンテレフ
タレート樹脂あるいはエチレンテレフタレート単位を主
体とする共重合ポリエステル樹脂にポリブチレンテレフ
タレート樹脂を重量比で1:0.15〜1.5の割合で
ブレンドした樹脂を主体としたポリエステル樹脂フィル
ムが好ましい。なお、ここで言うエチレンテレフタレー
ト単位を主体とする共重合ポリエステル樹脂とは酸成分
としてテレフタル酸85モル%以上、アルコール成分と
してエチレングリコール90モル%以上の酸およびアル
コールと少なくとも15モル%未満のテレフタル酸以外
の酸、あるいは10モル%未満のエチレングリコール以
外のアルコールで共重合してなるポリエステル樹脂を言
う。該共重合ポリエステル樹脂として、例えばポリエチ
レンテレフタレート・イソフタレート樹脂、ポリエチレ
ンテレフタレート・セバケート樹脂、ポリエチレンテレ
フタレート・アジペート樹脂などが挙げられるが、テレ
フタル酸以外の酸およびエチレングリコール以外のアル
コールの種類とモル%については被覆金属板に要求され
る特性や製缶方法を考慮して決定すべきである。該ポリ
エチレンテレフタレート樹脂あるいはエチレンテレフタ
レート単位を主体とした共重合ポリエステル樹脂の内で
特に製缶方法(4)の方法で缶体に成形加工されるポリ
エステル樹脂被覆金属板に用いるポリエステル樹脂は、
ポリエチレンテレフタレート樹脂とポリブチレンテレフ
タレート樹脂を1:0.7〜1.5の重量比でブレンド
した樹脂を主体としたポリエステル樹脂であることが好
ましい。ブレンドされるポリブチレンテレフタレート樹
脂の量が増加するとともに、ポリエステル樹脂の最短半
結晶化時間は短くなり、レトルト処理時の表面の乳白色
化防止の観点から好ましいが、押し出された溶融樹脂を
工業的に製膜し、二軸延伸することがむずかしくなり、
さらにポリエステル樹脂被覆金属板の連続製造工程でオ
リゴマーの発生が著しくなり、表面外観を損ねるだけで
なく、ポリエステル樹脂被覆金属板同志がブロッキング
を生じることがあり好ましくない。したがって、ブレン
ドされるポリブチレンテレフタレート樹脂はポリエチレ
ンテレフタレート樹脂に対する重量比で1.5以下に限
定される。また、ポリブチレンテレフテレート樹脂がポ
リエチレンテレフタレート樹脂に対して、重量比で0.
15未満であると、最短半結晶化時間が著しく長くな
り、製缶方法(1)、(2)、あるいは(3)の方法の
ように、製缶工程で加熱処理されても、レトルト後の表
面外観に対してポリブチレンテレフテレート樹脂の添加
効果はあまり認められなくなり好ましくない。
【0018】本発明のポリエステル樹脂被覆金属板で用
いられる金属板としては、シート状および帯状の鋼板お
よびアルミニウム板の表面にクロムとして 3〜30mg/
m2、より好ましくはクロムとして5〜25 mg/m2のクロ
ム水和酸化物皮膜を形成させた表面処理金属板が積層さ
れるポリエステル樹脂の密着性の観点から好ましい。電
解クロム酸処理、浸漬クロム酸処理を施した極薄錫めっ
き鋼板、通常の錫めっき鋼板、アルミニウム板なども用
いることができるが、特に飲料缶用材料として広く用い
られているTFSが好ましい。クロム水和酸化物皮膜の
量がクロムとして3mg/m2 未満であると、ポリエステル
樹脂層の密着性、特に内容物を充填し、経時した時の密
着性が著しく低下し、クロムとして30mg/m2 を越える
と、ポリエステル樹脂層の加工密着性が低下する。ま
た、金属クロム量は特に限定する必要はないが、加工後
の耐食性、積層されるポリエステル樹脂層も密着性の観
点から10〜200mg/m2 の範囲にあることが好まし
い。さらに、予め金属板あるいは用いられるポリエステ
ルフィルムの片面に耐食性および密着性の改良を目的と
してプライマーコートを施してもよいが、要求される特
性および経済性を損なわない範囲で行うべきである。
【0019】つぎに、本発明において重要な要因である
金属板に積層されたポリエステル樹脂層の状態について
説明するまず、本発明のポリエステル樹脂被覆金属板に
おいて、積層されたポリエステル樹脂層の配向状態も重
要な要因であり、該配向状態が適正状態でないと加工
性、密着性、あるいは耐食性が劣ってくる。該配向状態
は残存二軸配向度%により特定することができる。該残
存二軸配向度%は前記(1)〜(4)製缶方法で缶体に
成形加工し、レトルト処理される前において、2〜85
%の範囲に、より好ましくは、10〜70%の範囲にコ
ントロールされていることが好ましい。このBO%が2
%未満では、積層されたポリエステル樹脂フィルムの加
工性および耐食性に対する二軸配向の効果が発揮できず
好ましくない。一方、BO%が85%を越えると金属板
との密着性が低下する傾向がみられ好ましくない。この
BO%とはX線回折法により求められた値であり、下記
の方法で求められる。 (1)積層前および積層後の二軸配向ポリエステル樹脂
フィルムのX線回折強度を2θ=20〜30°の範囲で
測定する。 (2)2θ=20°、2θ=30°におけるX線回折強
度を直線で結びベースラインとする。 (3)2θ=23〜29°近辺にあらわれる最も高いピ
ークの高さをベースラインより測定する。 (4)積層前および積層後のポリエステル樹脂フィルム
の最も高いピークの高さを、それぞれP1、P2とし、
P2をP1で除した、すなわちP2/P1を残存二軸配
向度、P2/P1×100を残存二軸配向度%(BO
%)とする。 なお、積層前のポリエステルフイルムの二軸配向状態も
被覆金属板の特性に影響するが、該被覆金属板に要求さ
れる特性とフイルムの経済性を考慮して選択すべであ
り、ここでは特に特定しない。
【0020】つぎに、本発明において重要な要因である
金属板に積層されたポリエステル樹脂層の状態について
説明する。本発明のポリエステル樹脂被覆金属板は、用
いるポリエステル樹脂フィルムの融点以上に加熱した金
属板に二軸配向ポリエステル樹脂フィルムを積層するこ
とによって製造されるので、金属板に積層直後において
は、金属板近傍のポリエステル樹脂層は必然的に無定形
となる。この無定形層が冷却後および被覆金属板が製缶
工程にて加熱処理されない前記(4)の製缶方法に適用
する場合はもちろんのこと、製缶工程にて加熱処理され
る前記(1)、(2)、および(3)の製缶方法に適用
しても適正な結晶化状態に変化しない場合は、レトルト
処理すると表面が斑点状に乳白色に変化する。したがっ
て、前記したように、本発明のポリエステル樹脂被覆金
属板において、積層後製缶されレトルト処理前の被覆金
属板の金属板近傍のポリエステル樹脂層の結晶化状態は
重要な要因であり、該結晶化状態がレトルト処理後の被
覆金属板の表面外観を決定づける。まず、この金属板近
傍のポリエステル樹脂層の結晶化状態は、つぎに示す方
法で作成したサンプルa、bおよびcを用い測定した密
度から算出した結晶化分率%で特定することができる。
この結晶化分率が35%未満では、積層されたポリエス
テル樹脂層の金属板に対する密着性は優れているが、本
発明の目的とするレトルト処理を施すと、表面が著しく
乳白色化する。また、この結晶化分率が90%を越える
と、積層されたポリエステル樹脂層の加工性、特に衝撃
加工性が低下し、厳しい加工を施した時、無数のクラッ
クが入り、耐食性を低下させることがあり好ましくな
い。したがって、この結晶化分率%は35〜90%の範
囲に、より好ましくは、80%以下にコントロールする
ことが必要である。なお、ポリエステル樹脂被覆金属板
が製缶方法(1)、(2)、あるいは(3)のように缶
体に製缶工程で加熱処理される場合、製缶工程前のポリ
エステル樹脂被覆金属板の金属板近傍のポリエステル樹
脂層の結晶化分率%は、前記特定した結晶化分率%の範
囲の下限よりも、後の製缶工程での熱処理により結晶化
分率%は高まるため、低くてもよいのは当然である。 <結晶化分率測定用サンプルの作成方法> (1)樹脂被覆金属板を浴温25℃以下の希塩酸中に浸
漬し、金属板を完全に溶解して、樹脂フィルムだけを取
り出す。得られた樹脂フィルムを蒸留水中に3時間浸漬
後、水を拭き取った。得られた樹脂フイルムの厚みをT
とし、残留二軸配向度をQとすると、金属板に接触して
いた面からT×(1ーQ)の厚みまでの樹脂層を採取
し、25℃の雰囲気のシリカゲルを入れたデシケータ中
で1日乾燥し、サンプルaとした。 (2)上記(1)と同様な樹脂被覆金属板を該樹脂フィ
ルムの最高融点+30℃の温度で窒素中で1分間加熱
後、直ちに液体窒素中に浸漬した。その後、上記(1)
と同様にして得た樹脂フィルムをデシケータ中で1日乾
燥し、無定形のサンプルbとした。 (3)上記(1)と同様な樹脂被覆金属板を、窒素中で
60分間加熱(該樹脂フィルムの結晶化温度範囲中で加
熱後最も密度が高くなる温度で加熱)後、徐冷した。そ
の後、上記(1)と同様にして得た樹脂フィルムをデシ
ケータ中で1日乾燥し、高結晶性のサンプルcとした。
これらのサンプルa、bおよびcの密度を密度勾配管に
より公知の方法で測定(測定温度:25℃)し、下記式
より算出して求めた値を結晶化分率(%)と定義する。 <結晶化分率算出方法> 結晶化分率(%)={(DaーDb)/(Dc−Db)}×
100 式中のDa、Db、Dcは、サンプルa、b、cの各々の
密度を示す。
【0021】また、本発明における金属板の加熱方法は
特に限定するものでないが、公知の熱風循環伝熱方式、
抵抗加熱方式、誘導加熱方式、ヒートロール方式などが
あげられ、これらの方式を単独で用いても、あるいは併
用してもよい。本発明において、積層後のポリエステル
樹脂層の結晶化状態および配向状態をすでに記した限定
範囲にコントロールするため、用いられるポリエステル
樹脂フィルムの配向度、金属板の板厚、金属板の加熱温
度、用いる積層ロールの表面温度、積層ロールのニップ
長さ、積層後冷却までの時間、積層速度などを総合的に
考慮した上で積層条件は決定されるべきである。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例について
説明する。
【0023】実施例1 板厚0.22mm、板幅850mm、テンパー度T−4の帯
状のTFS(金属クロム量:105mg/m2、クロム水和
酸化物量:クロムとして17mg/m2)を誘導加熱ロール
により250℃に加熱し、その両面にポリエチレンテレ
フタレート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂を
1:1の重量比で配合した最短半結晶化時間が7.5
秒、ガラス転移温度が49℃、破断伸度132%、厚さ
12μmの二軸配向ポリエステル樹脂フィルム(平均粒
径1.5μmの球形のSiO2 を0.1%含有)を表面
温度110℃の一対の積層ロールを用いて、積層ロール
のニップ長が20mm、積層速度が25m/分の条件で積
層し、4秒後に35℃の水中に浸漬冷却してポリエステ
ル樹脂被覆金属板を得た。
【0024】実施例2 実施例1と同様なTFSを実施例1と同様な条件で加熱
し、その両面にポリエチレンテレフタレートとポリブチ
レンテレフタレート樹脂を1:0.7の重量比で配合し
た最短半結晶化時間20秒、ガラス転移温度58℃、破
断伸度147%、厚さ12μmの二軸配向ポリエステル
樹脂フィルムを実施例1と同様に積層し、10秒後に3
5℃の水中に浸漬冷却してポリエステル樹脂被覆金属板
を得た。
【0025】実施例3 実施例1と同様なTFSを実施例1と同様な条件で加熱
し、その両面にポリエチレンテレフタレート樹脂とポリ
ブチレンテレフタレート樹脂を1:1.4の重量比で配
合した最短半結晶化時間2.8秒、ガラス転移温度42
℃、破断伸度121%、厚さ12μmの二軸配向ポリエ
ステル樹脂フィルムを実施例1と同様に積層し、4秒後
に35℃の水中に浸漬冷却してポリエステル樹脂被覆金
属板を得た。
【0026】実施例4 実施例1と同様なTFSを誘導加熱ロールにより235
℃に加熱し、その両面に酸成分としてイソフタル酸9モ
ル%とテレフタル酸91モル%を用いて共重合したポリ
エチレンテレフタレート・イソフタレート樹脂を1:
0.43の重量比で配合した最短半結晶化時間80秒、
ガラス転移温度61℃、破断伸度132%、厚さ15μ
mの二軸配向ポリエステル樹脂フィルムを積層速度が1
00m/分で積層した以外は実施例1と同様に積層し、
5秒後に35℃の水中に浸漬冷却してポリエステル樹脂
被覆金属板を得た。
【0027】実施例5 実施例1と同様なTFSを実施例1と同様な方法で27
5℃に加熱し、その両面にポリエチレンテレフタレート
樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂を1:0.18
の重量比で配合した最短半結晶化時間34秒、ガラス転
移温度68℃、破断伸度115%、厚さ20μmの二軸
配向ポリエステル樹脂フィルムを積層速度が60m/分
である以外は実施例1と同様に積層し、10秒後に50
℃の温水に浸漬冷却してポリエステル樹脂被覆金属板を
得た。
【0028】実施例6 板厚0.22mm、板幅850mm、テンパー度T−4
の帯状の冷延鋼板に公知の方法で脱脂、酸洗を施し、水
洗後、硫酸錫80g/l、フェノールスルフォン酸60
g/l(65%溶液)、エトキシ化αナフトール0.0
6g/lからなる錫めっき浴を用い、陰極電流密度 2
0A/dm2、浴温度45℃の条件で錫めっき量1.5 g/dm
2 の錫めっきを施し、さらに水洗後、クロム酸50 g/
l、硫酸0.5g/lのクロム酸浴を用い、陰極電流密度4
0A/dm2、浴温度50℃の条件で下層が80g/m2の金属
クロム、上層がクロムとして13mg/m2のクロム水和酸
化物からなる二層皮膜を形成させ、湯洗乾燥した。この
錫めっき鋼板を実施例1と同様な条件で加熱し、その両
面に実施例1と同様な二軸延伸ポリエステル樹脂フィル
ムを実施例1と同様に積層し、6秒後に水中に浸漬冷却
してポリエステル樹脂被覆金属板を得た。
【0029】比較例1 実施例1と同様なTFSを実施例1と同様な方法で28
7℃に加熱し、その両面に最短半結晶化時間42秒、ガ
ラス転移温度74℃、破断伸度130%、厚さ12μm
の二軸配向ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを
積層した以外は実施例1と同様に積層し、10秒後に5
0℃の温水に浸漬冷却してポリエステル樹脂被覆金属板
を得た。
【0030】比較例2 実施例1と同様なTFSを実施例1と同様な方法で23
3℃に加熱し、その両面に最短半結晶化時間318秒、
ガラス転移温度72℃、破断伸度139%、厚さ12μ
mのイソフタル酸9モル%とテレフタル酸91モル%を
用いて共重合したポリエチレンテレフタレート・イソフ
タレート樹脂フィルムを実施例1と同様に積層し、10
秒後に50℃の温水中に浸漬冷却してポリエステル樹脂
被覆金属板を得た。
【0031】比較例3 TFSを誘導加熱ロールにより275℃に加熱した以外
は実施例1と同様のTFS、フイルム、および方法にて
積層し、4秒後に35℃の水中に浸漬冷却してポリエス
テル樹脂被覆金属板を得た。
【0032】比較例4 TFSを誘導加熱ロールにより243℃に加熱した以外
は実施例3と同様のTFS、フイルム、および方法にて
積層し、9秒後に35℃の水中に浸漬冷却してポリエス
テル樹脂被覆金属板を得た。
【0033】実施例1〜6、および比較例1〜4で得ら
れたポリエステル樹脂被覆金属板のDおよびBOをレト
ルト処理する前に、明細書に記載した方法で測定後、ポ
リエステル樹脂被覆金属板の特性をつぎに示す方法で評
価した。なお、実施例4、5、6および比較例2、3、
4で得られたサンプルは215℃で2分加熱後、評価し
た。その結果を表1〜3に示した。 1) 積層したポリエステル樹脂層の加工密着性 得られたポリエステル樹脂被覆金属板を直径187mm
の円板に打ち抜き、つぎに示す条件で薄肉化深絞り缶に
成形加工した。 [成形加工条件]A.絞り工程 絞り比:1.50 B.再絞り工程 第1次再絞り比:1.29 第2次再絞り比:1.24 第3次再絞り比:1.20 再絞り工程のダイスのコーナー部の曲率半径:0.4m
m 再絞り工程のしわ押さえ荷重:6000kg C.缶胴部の平均薄肉化率 成形前の樹脂被覆金属板の厚さに対してー20% 上記の成形加工条件で加工した薄肉化深絞り缶の各成形
加工工程で積層されたポリエステル樹脂層の剥離の有無
を肉眼で評価した。 2) レトルト処理による表面外観の変化 前記1)にて得られた薄肉化深絞り缶に25℃の水を一
杯まで充填した後、レトルト釜に入れ、120℃の加圧
水蒸気で30分レトルト処理を施し、薄肉化深絞り缶の
底のポリエステル樹脂層の表面外観の変化を肉眼で観察
し、変化なしを5、著しく斑点状に乳白色に変化を1と
し、5段階で表示した。 3) 積層されたポリエステル樹脂層の加工性 前記1)にて得られた薄肉化深絞り缶に3%食塩水を充
填し、陰極としてステンレス棒を挿入し、缶体に6.3
Vの直流電圧を印加した時流れる電流値で金属表面の露
出度、すなわち薄肉化深絞り缶へ成形加工時における積
層されたポリエステル樹脂層のクラックの程度により加
工性を評価した。
【0034】
【表1】 (注) 1) PETはホ゜リエチレンテレフタレート樹脂、PBTはホ゜リフ゛チレンテレフタ
レート樹脂、PET-Iは ホ゜リエチレンテレフタレート・イソフタレート樹脂を示
す。 2)Dは結晶化分率%、BOは残存二軸配向度%を示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂被覆金属板
は、缶体に成形加工前後に加熱を施さずに製缶する方法
および缶体に成形加工する前あるいは後に加熱を施し、
その後製缶する方法いずれの製缶方法にも適用可能であ
り、得られた缶体に内容物を充填し、レトルト処理を施
しても、表面外観が乳白色化しない優れた耐熱水性を有
し、かつ加工性、加工密着性にも優れた缶用素材であ
り、内容物充填後、レトルト処理される缶蓋、絞り缶、
絞り、再絞り缶などの外面用に適用できるだけでなく、
厳しい加工が施される薄肉化深絞り缶にも適用可能であ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の片面あるいは両面に二軸配向ポ
    リエステル樹脂フィルムを熱融着により積層したポリエ
    ステル樹脂被覆金属板において、レトルト処理を施す前
    のポリエステル樹脂層の状態が、金属板近傍のポリエス
    テル樹脂層の結晶化分率%が35〜90%であり、積層
    したポリエステル樹脂層の残存二軸配向度%が2〜85
    %であることを特徴とする耐熱水性に優れたポリエステ
    ル樹脂被覆金属板。
  2. 【請求項2】 最短半結晶化時間が20秒以内の二軸配
    向ポリエステル樹脂フィルムを金属板に積層したことを
    特徴とする請求項1の耐熱水性に優れたポリエステル樹
    脂被覆金属板。
  3. 【請求項3】 二軸配向ポリエステル樹脂フィルムのガ
    ラス転移温度が40℃以上であることを特徴とする請求
    項1、または2の耐熱水性に優れたポリエステル樹脂被
    覆金属板。
  4. 【請求項4】 二軸配向ポリエステル樹脂フィルムがポ
    リエチレンテレフタレート樹脂あるいはエチレンテレフ
    タレート単位を主体とする共重合ポリエステル樹脂にポ
    リブチレンテレフタレート樹脂を重量比で1:0.15
    〜1.5の割合でブレンドした樹脂を主体としているこ
    とを特徴とする請求項1の耐熱水性に優れたポリエステ
    ル樹脂被覆金属板。
  5. 【請求項5】 二軸配向ポリエステル樹脂フィルムがポ
    リエチレンテレフタレートあるいはエチレンテレフタレ
    ート単位を主体とする共重合ポリエステル樹脂にポリブ
    チレンテレフタレート樹脂を重量比で1:0.7〜1.
    5の割合でブレンドした樹脂を主体としていることを特
    徴とする請求項2の耐熱水性に優れたポリエステル樹脂
    被覆金属板。
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