JP3125157B2 - 加工密着性に優れた樹脂被覆鋼板の製造方法 - Google Patents

加工密着性に優れた樹脂被覆鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工密着性に優れた樹
脂被覆鋼板の熱接着法による製造方法に関する。より詳
細には、多段圧着を行う加工密着性に優れた樹脂被覆鋼
板の製造方法に関するものであり、缶蓋(エンド)・イ
ージーオープンエンド(EOE)・絞り缶・絞り再絞り
缶(DRD缶)・ストレッチ加工を伴う絞り再絞り缶
(DTR缶)・5gal缶などの容器材料としての樹脂
フィルム被覆鋼板の熱接着法による製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、エンド・EOE・絞り缶・5
gal缶は、ブリキ板、電解クロム酸処理鋼板或いはア
ルミニウム板に一回あるいは複数回の塗装、焼付けを施
した後、加工されていた。このように塗装を施すこと
は、焼付け工程が煩雑であるばかりでなく、多大な焼付
け時間を必要としていた。また、塗膜形成時に多量の溶
剤を排出するため、公害面からも排出溶剤を特別の焼却
炉に導き焼却しなければならないという欠点を有してい
た。
【0003】近年、これらの欠点を解決するためにポリ
エステルフィルム或いはポリプロピレンフィルムを金属
板に被覆したもの、あるいはその製造方法の提案がなさ
れている。特に、熱接着法は、少なくともラミネート時
には溶剤を全く使わない点、高速生産性の点で有利であ
る。
【0004】容器用樹脂積層鋼板の製造方法について
は、熱可塑性樹脂からなるフィルムを鋼板基質に対して
毎分100m以上の高速度で融着し、欠陥のないフィル
ム被覆鋼板を製造する方法(特開昭51−114484
号公報)、単層のポリエステルフィルムを用いて、積層
時の鋼板温度を樹脂フィルムの融点Tm〜Tm+100
℃、ラミネートロールの表面温度を30〜180℃とす
ることにより樹脂皮膜の配向結晶構造を残そうとするも
の(特開昭61−149340号公報)がある。さら
に、2層構造のフィルムを使用した例が特開平1−18
0336号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ポリエステルやポリプ
ロピレン樹脂フィルムを熱接着法で積層した樹脂ラミネ
ート鋼板を容器材料として使用する場合には、缶体に内
容物を充填した後の皮膜の耐食性を確保するため、樹脂
皮膜に配向結晶構造を残すこと、さらにこの配向結晶構
造を残した皮膜が鋼板に十分な密着力をもって積層され
ていることが必要である。
【0006】鋼板と樹脂皮膜との十分な密着力を確保す
るためには、樹脂フィルムを溶融させられる鋼板温度で
もって樹脂フィルムを鋼板にラミネートしなければなら
ないが、鋼板温度が高過ぎると樹脂皮膜全体の配向結晶
構造が破壊されてしまう。つまり、鋼板が有する熱によ
って樹脂の結晶を加熱溶融して非晶質として鋼板との密
着力を確保し、フィルムの厚み方向の一部では配向結晶
性を残すようにラミネートする必要がある。このため、
ラミネート時の鋼板温度の非常に厳しい管理が必要とな
っている。特に、帯状鋼板を用いて連続的に生産を行う
場合には、鋼板の幅方向での温度管理が極めて難しいこ
とから、生産性が悪く問題である。
【0007】本発明は上記実状に鑑みなされたもので、
樹脂フィルム皮膜の加工密着性を確保し、厳しい加工用
途に対しても使用できる樹脂フィルム被覆鋼板を製造す
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、以下の
通りである。
【0009】 下層樹脂の粘着開始温度(Tas1)
に対し上層樹脂の粘着開始温度(Tas2)が5℃以上
高く、かつ、上層樹脂の融点(Tm2)が下層樹脂の粘
着開始温度(Tas1)よりも20〜70℃高い2層構
造の樹脂フィルムを用い、下層樹脂の粘着開始温度(T
as1)〜上層樹脂の融点(Tm2)の範囲内に加熱さ
れた鋼板の片面あるいは両面に第一回目の圧着を行い、
次いで下層樹脂の粘着開始温度(Tas1)〜上層樹脂
の粘着開始温度(Tas2)の範囲内の鋼板温度で第二
回目以降の圧着を行う多段圧着を特徴とする加工密着性
に優れた樹脂被覆鋼板の製造方法。
【0010】 該2層構造の樹脂フィルムの少なくと
も上層樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする
前記の加工密着性に優れた樹脂被覆鋼板の製造方法。
【0011】 該2層構造の樹脂フィルムの少なくと
も上層樹脂がポリプロピレン樹脂であることを特徴とす
る前記の加工密着性に優れた樹脂被覆鋼板の製造方
法。
【0012】
【作用】本発明に用いる2層構造の樹脂フィルムは、下
層樹脂の粘着開始温度をTas1とし、上層樹脂の粘着
開始温度をTas2とし、上層樹脂の融点をTm2とし
たとき、5℃≦Tas2−Tas1かつ20℃≦Tm2
−Tas1≦70℃の要件を満たす。さらに、下層樹脂
の粘着開始温度(Tas1)〜上層樹脂の融点(Tm
2)の範囲内に加熱された鋼板の片面あるいは両面に第
一回目の圧着を行い、下層樹脂の粘着開始温度(Tas
1)〜上層樹脂の粘着開始温度(Tas2)の範囲内の
鋼板温度で第二回目以降の圧着を行う多段圧着により樹
脂積層鋼板を製造する。この条件を満足していれば、鋼
板との十分な密着力を有し、かつ配向結晶性を有する皮
膜をもつラミネート鋼板を得ることができる。なお、こ
こで下層樹脂とは、鋼板との接着界面側の樹脂層を指
し、他の面側、即ちラミネート後に最表面となる側の樹
脂層を上層樹脂とする。
【0013】なお、本発明における粘着開始温度とは、
鋼板上に樹脂フィルムを置き、100g/cm2 の圧力
を加えて鋼板を加熱したとき、フィルムが鋼板に融着す
る最低温度を記録することにより測定された温度であ
る。結晶性樹脂の場合、示差熱分析において、昇温速度
10deg/minの測定条件で得られる結晶融解の吸
熱ピークの立ち上がりを示す部分の温度、即ち融解開始
温度が粘着開始温度とほぼ一致する。
【0014】また、融点とは、示差熱分析において、昇
温速度10deg/minの測定条件で得られる結晶融
解の吸熱ピークのピーク温度をいう。
【0015】まず、多段で圧着を行う理由は、一回の圧
着だけでは樹脂フィルムと鋼板との十分な密着力が確保
できない場合が多いためである。特に、帯状鋼板に連続
的にラミネートを行う場合には、圧着ロールを用いて鋼
板にフィルムの圧着を行うが、生産性を上げるために通
板速度を高くする。通板速度が高くなると鋼板とフィル
ムを圧着している時間が短くなり、鋼板界面の樹脂フィ
ルムの分子が鋼板表面にしっかりと馴染む前に圧下力の
作用がなくなってしまうため、十分な密着力を確保でき
なくなる。したがって、第一回目の圧着後、鋼板が加熱
されている間に更に第二回目以降の圧着をすることで、
樹脂の分子を鋼板表面にしっかりと馴染ませることがで
き、密着力が確保できるようになる。
【0016】圧着に用いるロールについては、少なくと
もフィルムの接触する側のロールはシリコンゴムあるい
はフッ素ゴムでライニングしたロールが望ましい。圧着
時間を稼ぐだけであれば、圧着ロールの材質の柔らかい
ものを用いてニップ幅を広く取るようにすることもでき
るが、高速では圧着ロールの偏心やラミネート皮膜のシ
ワ発生の原因となる。また、圧着ロールを大径化するこ
とも考えられる。しかしながら、圧着ロール温度が一定
になるのに時間がかかりラミネート鋼板の歩留まりが悪
くなることや、フィルムによってはシワや収縮が起こり
易い場合があるため好ましくない。
【0017】特に、絞り缶用ラミネート鋼板について
は、鋼板とラミネート皮膜との密着性は、密着ラミネー
ト鋼板状態での密着力をピール法にて測定した場合に皮
膜の破断が起こりピール強度が測定できない程に強固に
密着したレベルが少なくとも必要である。12μmのP
ETフィルムでの破断強度がおおよそ2.1kg/10
mmであるから、これ以上の密着力が必要となる。
【0018】なお、ピール法とは、幅10mm、180
°ピール剥離、引っ張り速度100mm/minの条件
で測定するもので、試料の作成方法は、鋼板との密着力
を測定しようとする皮膜の積層された逆の面から、測定
しようとする皮膜に疵を付けることなく鋼板のみに切れ
込みをいれて鋼板のみを切断し、試料とする。
【0019】さらに、ピール強度測定試験で膜破断を生
じるようなラミネート鋼板でも、製缶工程での絞り成形
を受けると皮膜の密着力は低下する。加工が厳しい場合
には、皮膜が容易に剥離することもある。実用上、表1
に示す条件で絞り成形を行った後の皮膜のピール強度値
は0.1kg/10mm以上が必要である。
【0020】
【表1】
【0021】圧着を行う回数については、多段圧着を行
った場合の圧着回数と皮膜と鋼板との密着力との関係
は、4回以上の圧着ではほぼ一定の密着力となり効果が
飽和した。1回しか圧着しなかったものと2回圧着した
ものを比較すると、2回圧着で密着力は大きく向上した
が、2回と3回ではその差はあまり大きくなかった。実
用上は2回の圧着でも十分な密着力が確保できた。圧着
回数の効果が飽和すること、設備上幾つも圧着ロールを
設けることは設備コストの負担が大きくなることから、
3回以下にすることが望ましい。しかも、圧着線圧は1
0〜60kg/cmが望ましい。
【0022】次に、第1回目の圧着時の鋼板温度を、下
層樹脂の粘着開始温度(Tas1)〜上層樹脂の融点
(Tm2)の範囲内とした理由は、下限の下層樹脂の粘
着開始温度(Tas1)以下では樹脂が鋼板に粘着せ
ず、密着力が確保できないだけでなく、鋼板とフィルム
の間に空気巻き込みによる微細な気泡が残り、第2回目
以降の圧着でもこの気泡が消えなかったりしてシワ発生
の原因となる場合が多いためである。一方、上限の上層
樹脂の融点(Tm2)超の鋼板温度では、上層の配向結
晶が全て壊されてしまうためである。
【0023】更に、第2回目以降の圧着時の鋼板温度
を、下層樹脂の粘着開始温度(Tas1)〜上層樹脂の
粘着開始温度(Tas2)の範囲内としたのは、下限の
下層樹脂の粘着開始温度(Tas1)以下では鋼板界面
の樹脂の分子鎖が動き難く、鋼板表面にうまく馴染んで
行かず、密着力に対して効果が現れないためである。一
方、上限の上層樹脂の融解開始温度(Tas2)超で
は、上層樹脂が圧着ロールへ粘着してしまい、ラミネー
ト皮膜の外観が悪くなるためである。
【0024】次に、本発明に用いる樹脂フィルムの特性
についてであるが、まず、本発明ではラミネートに用い
る樹脂フィルムを2層構造としたものに限定している。
この理由は、ラミネート後に形成される皮膜において、
上層樹脂層が配向結晶を有し、耐食性、機械的特性、耐
熱水性を有する層として、また、下層樹脂層が上層樹脂
層と鋼板との接着層として働くように機能分担を行うた
めである。このことにより、配向結晶構造を有する皮膜
が鋼板に十分な密着力をもって積層されているラミネー
ト鋼板を製造するラミネート条件、即ち圧着時の鋼板加
熱温度を広く設定できる。
【0025】上層樹脂の粘着開始温度(Tas2)−下
層樹脂の粘着開始温度(Tas1)が5℃未満では、第
2回以降の圧着の鋼板温度を5℃未満の範囲で制御しな
ければ密着力の確保と良好な外観との両立ができない。
好ましくは10℃以上60℃以下とする。
【0026】上層樹脂の融点(Tm2)−下層樹脂の粘
着開始温度(Tas1)が20℃未満では、第1回目の
圧着での鋼板温度範囲が狭くなり、ラミネート条件が厳
しくなる。特に、帯状鋼板を用いた連続生産の第1回目
の圧着において、非常に厳しい鋼板の温度管理を行って
も配向結晶構造を有しかつ十分に密着した皮膜を得るこ
とが非常に難しくなる。すなわち、鋼板の長手方向と鋼
板幅方向の両方向での温度のバラツキを非常に小さくす
る必要があり、このバラツキによってしばしば生産性が
低下してしまう。一方、前述したように、本発明で2層
構造の樹脂フィルムを用いるのはラミネート条件を広く
設定できるように機能を分担させるためであり、下層樹
脂は接着剤層として働けばよい。ラミネート条件を広く
設定することから言えば、上限値の70℃で既に2層構
造とした効果は飽和する。70℃を超すような下層を選
定した場合には、耐熱性が低下するという問題が生じ
る。すなわち、樹脂積層鋼板を加工後加熱を受ける工程
中の上層皮膜は十分熱的に耐え得る温度範囲において、
皮膜が収縮し、鋼板からの膜ズレを生じる。したがっ
て、接着層の粘着開始温度を必要以上に下げるとラミネ
ート材としての耐熱温度が下がってしまう。好ましく
は、30〜60℃とする。
【0027】樹脂フィルムの少なくとも上層をポリエス
テル樹脂とするのが好ましい理由は、ポリエステル樹脂
の基礎特性として、ポリエチレンやポリプロピレン等の
ポリオレフィン樹脂のようなオレフィン臭がないため、
フレーバー性が良好であるという優れた内容物特性を有
するからである。
【0028】本発明において上層に使用するポリエステ
ル樹脂は、フィルム分子鎖中に二重結合を含まない飽和
ポリエステル樹脂で、周知のように飽和多価カルボン酸
と飽和多価アルコールとの重合体である。飽和多価カル
ボン酸としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル
酸、コハク酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバチン
酸、ドデカンジオン酸、ジフェニルカルボン酸、2,6
ナフタレンジカルボン酸、1,4シクロヘキサンジカル
ボン酸、無水トリメッリト酸等のカルボン酸が、また、
飽和多価アルコールとしては、エチレングリコール、4
ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6ヘキ
サンジオール、プロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4シクロ
ヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペン
タエリスリトール等があり、これらのホモポリマー、コ
ポリマーの単体及びブレンドされたポリエステル樹脂を
使用する。
【0029】また、上記ポリエステル樹脂に衝撃強度、
レトルト性等の改善を目的にポリアルキレングリコール
誘導体等を添加したものも使用できる。
【0030】また、フレーバー性の問われない内容物用
途に対しては、上層樹脂としてポリプロピレン樹脂の使
用が可能であり、この場合、ポリエチレンを配合した
り、密着性を改善するためにマレイン酸を配合した樹脂
を使用する。
【0031】ポリエステル、ポリプロピレンのいずれの
樹脂においても、必要に応じて酸化防止剤、熱安定剤、
紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤などを添加すること
は差し支えない。
【0032】下層樹脂の組成については特に限定しない
が、上層樹脂に近い成分のものが望ましい。これは、樹
脂フィルムの製造において、寸法精度が良好で比較的低
コストな共押しだしによる二軸延伸法が採用できるため
である。また、上層樹脂と下層樹脂の層間密着力が大き
くなることも利点である。コスト的には不利となるが、
単層二軸延伸樹脂フィルムにエポキシ樹脂、不飽和ポリ
エステル、アルキッド樹脂、フェノール樹脂などの熱硬
化性樹脂を下層樹脂層となるよう塗布して作った2層構
造のフィルムを用いることも差し支えない。
【0033】また、本発明に用いる樹脂フィルムの厚み
は、上層樹脂の厚みが5〜45μm、下層樹脂の厚みが
0.1〜5μm、そしてフィルムの総厚みが7〜50μ
mの範囲とする。
【0034】上層樹脂の厚みは耐食性の点から決めたも
ので、製缶工程におけるフィルム損傷による耐食性劣化
を想定し、十分な内容物保存性を確保するためには5μ
m未満では不十分である。一方、上限の45μmを超え
ても耐食性の点での効果は飽和し、経済的に不利とな
る。したがって、上層樹脂の厚みは5〜45μmとする
必要があり、望ましくは10〜30μmの範囲とする。
【0035】フィルムの下層樹脂の厚みが下限値の0.
1μm未満では鋼板との十分な密着性が確保できず、一
方、上限の5μmを超えても密着性の点では飽和し、逆
に加工試験の結果では皮膜剥離が起こることがある。
【0036】フィルム総厚みは、上層樹脂の機能及び下
層樹脂の機能を勘案しつつ実験検討した結果によるもの
で、下限の7μm未満では耐食性が不十分であり、上限
の50μ超では耐食性の点での効果が飽和し、経済的に
不利となる。したがって、フィルムの総厚みは7〜50
μmとする必要があり、望ましくは12〜33μmの範
囲とする。
【0037】本発明に使用する鋼板は、Snめっき・N
iめっき・Sn/Niめっきのそれぞれめっき層の上層
に化成処理を施しためっき鋼板及び電解クロム酸処理鋼
板である。電解クロム処理鋼板は通称TFS(Tin
Free Steel)と呼ばれているクロム・クロメ
ート処理鋼板で、付着量は金属クロムが30〜150m
g/m2 、水和酸化クロムが金属クロム換算で5〜20
mg/m2 である。Snめっき鋼板、Sn/Niめっき
鋼板、Niめっき鋼板の各々のめっき皮膜の上層に施す
化成処理は、前述したTFSのようなクロム、クロメー
ト処理、及び従来からぶりきの化成処理として用いられ
ているCDC処理と呼ばれるクロメート処理等である。
容器は絞り等の加工が行われるため、鋼板と皮膜の密着
性が要求される。このため、鋼板の化成処理が重要とな
る。
【0038】本発明における板の加熱方法としては、加
熱した炉の中を通す方法、鋼板に通電して加熱する通電
加熱方法、誘導加熱方法、加熱されたロールに接触させ
て加熱する方法等が使用できる。
【0039】熱接着法でポリエステル或いはポリプロピ
レンを積層した鋼板を製造する場合、鋼板と皮膜の密着
性を確保するためには圧着後の冷却条件も重要となる。
ラミネート後ガラス転移点以下に急冷されないと、ラミ
ネートの加熱で溶融した鋼板界面の樹脂が再結晶化して
無配向結晶となり、密着性の低下をまねくことから、最
終圧着終了後、速やかに樹脂のガラス転移点以下に冷却
するのが良い。急冷の方法としては、水に浸漬して急冷
する方法、冷えた空気を吹き付けて急冷する方法、空気
と水を同時に吹きかけて急冷する方法、及びこれらの併
用等が採用できるが、いずれの方法を採用するにしろ、
冷却速度は十分に確保する必要がある。
【0040】
【実施例】通電加熱方式で加熱したTFS(板厚0.2
0mm、テンパーDR9、金属クロム80mg/m2
水和酸化クロム15mg/m2 )の両面に、二軸延伸製
膜法で作った樹脂フィルムを一回ないし2回両面同時圧
着した後水中急冷する熱接着法で樹脂被覆鋼板を得た。
なお、実施例に用いた2層構造ポリエステルフィルムA
〜Eの諸特性を表2に、2層構造ポリプロピレンフィル
ムF〜Jの諸特性を表3に示す。ラミネート条件及びラ
ミネートで得られた皮膜の評価結果は表4〜7に示した
通りである。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】得られた樹脂被覆鋼板を次のように評価し
た。
【0048】(1)外観 得られたラミネート鋼板の外観を○、×で評価した。
【0049】(2)密着性 ピール試験を行い、膜破れしたものを○、しなかったも
のを×として評価した。なお、ピール試験条件は、幅1
0mm、角度180°、引っ張り速度100mm/mi
nとした。
【0050】(3)加工密着性 加工密着性は表8に示す条件の2段絞り後前記(2)の
密着性と同一のピール試験を行い、密着力を調べた。密
着力0.1kg/10mm以上を○、0.1kg/10
mm未満を×とした。
【0051】
【表8】
【0052】(4)耐熱性 得られた最終再絞り缶を上層樹脂の融点(Tm2)−5
0℃の温度に10分間加熱し、膜ズレの状況を肉眼で観
察し、膜ズレの状況を○、△、×の3段階に分けて評価
した。
【0053】(5)耐食性 得られた最終再絞り缶に3%酢酸水を充填し、50℃で
3ヵ月貯蔵後開缶し、缶内面の腐食状況を肉眼で観察
し、腐食の状況を○、△、×の3段階に分けて評価し
た。
【0054】
【発明の効果】本発明により製造された樹脂フィルム被
覆鋼板は加工密着性に優れ、かつ製缶後の耐食性が優れ
た絞り缶を安価に製造することができる。また、絞り缶
だけでなくエンド、イージーオープン蓋、5gal缶そ
の他の容器用材料としても広く使用できる。さらに、建
材、家電、自動車等の用途でも使用可能な樹脂被覆鋼板
を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−42643(JP,A) 特開 平1−192546(JP,A) 特開 昭62−211141(JP,A) 特開 昭58−82717(JP,A) 特開 昭51−90378(JP,A) 特開 昭54−141886(JP,A) 特表 平2−501644(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 65/00 - 65/82 B32B 1/00 - 35/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下層樹脂の粘着開始温度(Tas1)に
    対し上層樹脂の粘着開始温度(Tas2)が5℃以上高
    く、かつ、上層樹脂の融点(Tm2)が下層樹脂の粘着
    開始温度(Tas1)よりも20〜70℃高い2層構造
    の樹脂フィルムを用い、下層樹脂の粘着開始温度(Ta
    s1)〜上層樹脂の融点(Tm2)の範囲内に加熱され
    た鋼板の片面あるいは両面に第一回目の圧着を行い、次
    いで下層樹脂の粘着開始温度(Tas1)〜上層樹脂の
    粘着開始温度(Tas2)の範囲内の鋼板温度で第二回
    目以降の圧着を行う多段圧着を特徴とする加工密着性に
    優れた樹脂被覆鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 該2層構造の樹脂フィルムの少なくとも
    上層樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請
    求項1記載の加工密着性に優れた樹脂被覆鋼板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 該2層構造の樹脂フィルムの少なくとも
    上層樹脂がポリプロピレン樹脂であることを特徴とする
    請求項1記載の加工密着性に優れた樹脂被覆鋼板の製造
    方法。
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