JPH0890717A - ポリエステル樹脂ラミネート金属板およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂ラミネート金属板およびその製造方法

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JPH0890717A
JPH0890717A JP6231476A JP23147694A JPH0890717A JP H0890717 A JPH0890717 A JP H0890717A JP 6231476 A JP6231476 A JP 6231476A JP 23147694 A JP23147694 A JP 23147694A JP H0890717 A JPH0890717 A JP H0890717A
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layer
metal plate
film
outer layer
metal panel
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JP6231476A
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Michihiko Izumi
充彦 和泉
Toshihiro Kikuchi
利裕 菊地
Kazuo Mochizuki
一雄 望月
Masashi Kata
雅司 堅
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JFE Steel Corp
Diafoil Co Ltd
Original Assignee
Diafoil Co Ltd
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工性、加工耐食性、耐久性に優れた容器用
のポリエステル樹脂ラミネート金属板およびその製造方
法を提供する。 【構成】 外層に融点が215〜250℃の共重合ポリ
エステルフィルム層を有し、内層に融点が170〜21
5℃の共重合ポリエステルフィルム層を有し、外層の厚
みが8〜100μm で内層より厚く、外層の2軸配向結
晶残存量が5〜95%であるラミネート金属板とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工性、加工耐食性、
耐久性に優れた容器用のポリエステル樹脂ラミネート金
属板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、製缶工業においては、ブリキ、電
解クロム処理鋼板(TFS) 、アルミニウムなどの金属板に
1回あるいは複数回にわたり塗装を行っていた。このよ
うに複数回の塗装を施すことは、焼付き工程が煩雑であ
るばかりでなく、多大な焼付き時間を必要としていた。
また、塗装時に多量の溶剤を排出するため環境・衛生上
の問題を有していた。これらの欠点を解決するために熱
可塑性樹脂フィルムを金属板に積層しようとする試みが
なされてきた。近年特に耐食性、安全性、印刷工程での
耐熱性の面から、ポリエステルフィルムがもっとも注目
を集めている。一例としてはポリエチレンテレフタレー
トフィルムを接着剤を用いることなく金属板にラミネー
トしたもの(特公昭60-47103号公報、特公平2-68094 号
公報) 、あるいは接着剤を用いてポリエステルフィルム
を金属板にラミネートしたもの( 特開昭61-149341 号公
報、特開平1-249331号公報、特公昭63-13829号公報、特
開平3-87249 号公報) などが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特公昭60-471
03号公報に開示されているポリエステルフィルムを接着
剤なしで金属板にラミネートしたものは、金属板との密
着性、耐食性などの物性の面で不十分である。特開昭61
-14931号公報、特開平1-249331号公報、特公昭63-13829
号公報、特開平3-87249 号公報に開示されている接着剤
を用いて金属板にラミネートしたものは、密着性、耐食
性などの物性で不十分であるだけでなく、ラミネート鋼
板製造工程において溶剤などの揮発性物質の飛散による
安全・衛生面で問題があり、缶または容器として使用し
た場合、未硬化のモノマー、オリゴマー成分が内容物に
溶出する危険性を含んでいる。
【0004】上述の問題点を解決するために、金属板上
に外層として2軸配向ポリエチレンテレフタレート樹脂
(PET-BO)フィルム、内層として共重合ポリエステルフィ
ルムを積層する技術が、特開昭62-286734 号公報、特公
表平2-501638号公報、特公表平2-501640号公報、特開平
1-145137号公報、特開平1-192546号公報などに開示され
ているが、外層と内層との層間の接着強度が不十分で、
加工時あるいは加工後の缶に層間での剥離が発生すると
いう問題点がある。層間剥離が発生した場合、結晶化度
が低くバリア性に劣る内層が直接内容物と接触するた
め、金属板が腐食しやすくなり、内容物のフレーバーの
低下や安全・衛生面で問題を生ずる。また缶蓋との密着
性、ネックイン加工後のフィルム密着性なども不十分で
あり、容器・缶として満足な物性を備えていないという
問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前述の問題
点を解決するために鋭意検討を進めた結果、以下の発明
をなすに至った。すなわち本発明は、金属板の少なくと
も片面の、外層に融点(TmA) が215 〜250 ℃である共重
合ポリエステルフィルム層(A) を有し、該金属板と接す
る内層に融点(TmB) が170 〜215 ℃である共重合ポリエ
ステルフィルム層(B) を有し、かつ前記(A) 層の2軸配
向結晶残存量が5〜95%であることを特徴とするポリエ
ステル樹脂ラミネート金属板であり、また本発明は、上
記の外層の共重合ポリエステルフィルム層(A) の厚み(t
A)が8〜100 μm であり、内層の共重合ポリエステルフ
ィルム層(B) の厚み(tB)が1〜20μm であり、かつtA>
tBであることを特徴とするポリエステル樹脂ラミネート
金属板であり、また本発明は、上述のラミネートを行う
際に、ラミネート直前の該金属板の板温を TmA〜TmA+10
0 ℃になるように加熱し、(A) および(B) をラミネート
後、急冷することを特徴とするポリエステル樹脂ラミネ
ート金属板の製造方法である。
【0006】
【作用】以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明
に使用される外層のポリエステルフィルム層(A) につい
て説明する。本発明の共重合ポリエステルフィルム(A)
を構成する飽和多価アルコール成分としては、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオー
ル、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、プ
ロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、
ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,
4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトールなどの1種あるいは2種以上
が用いられる。
【0007】原料の入手のしやすさ、共重合ポリエステ
ルフィルムの耐熱性、加工性などの物性から、エチレン
グリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG) 、1,4-シ
クロヘキサンジメタノール(CHDM)が好ましい。本発明の
共重合ポリエステルフィルム(A) を構成する飽和多価カ
ルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸、コハク酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバ
シン酸、ドデカンジオン酸、ジフェニルカルボン酸、2,
6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカル
ボン酸、無水トリメリット酸などの1種あるいは2種以
上が用いられる。
【0008】原料の入手のしやすさ、共重合ポリエステ
ルフィルムの耐熱性、加工性などの物性から、テレフタ
ル酸(TPA) 、イソフタル酸(IPA) が好ましい。外層の共
重合ポリエステルフィルム(A) の融点(TmA) が215 〜25
0 ℃である時に、内層の共重合ポリエステルフィルム
(B) との相乗効果で優れた接着性を示し、加工時に層間
剥離が発生せず、優れた加工性、耐食性、密着性が発現
する。なお、ここでいう融点(Tm)とは10℃/minの加熱速
度での示差走査熱量計(DSC) の吸熱ピークの最大深さを
示す。
【0009】より具体的に説明すると、外層のTmA が25
0 ℃超えの場合、フィルムの伸びや加工性不足で製缶で
きない、あるいは内層の共重合ポリエステルフィルム
(B) との接着強度が不十分で製缶加工時に層間剥離や外
層フィルムの剥離、浮き、割れ、穴あきが発生し、金属
板との接着性は高いがバリア性に劣る内層が内容物と直
接接触し、皮膜下腐食が発生するという問題点を有す
る。
【0010】また、外層のTmA が215 ℃未満の場合、結
晶性の低下に伴って、直接接する内容物からのバリア性
が低下し、皮膜下腐食が発生する、あるいは耐熱性不足
で加工時に発生する熱でフィルムが溶融し、治具に融着
するという問題点が発生する。以上のことから、外層の
共重合ポリエステルフィルム(A) の融点(TmA) は215〜2
50 ℃が好ましい。
【0011】さらに優れた物性を有する範囲として、Tm
A= 220〜240 ℃が推奨される。次に本発明に使用される
内層の共重合ポリエステルフィルム層(B) について説明
する。本発明の内層の共重合ポリエステルフィルム(B)
を構成する飽和多価アルコール成分、および飽和多価カ
ルボン酸成分は、外層の共重合ポリエステルフィルム
(A) と同じであるので省略する。
【0012】内層の共重合ポリエステルフィルム(B) の
融点(TmB) が170 〜215 ℃であるときに、外層の共重合
ポリエステルフィルム(A) との相乗効果で優れた接着性
を示し、加工時に層間剥離が発生せず、優れた加工性、
耐食性、密着性が発現する。より具体的に説明すると、
TmB が215 ℃超えの場合、外層の共重合ポリエステルフ
ィルム(A) および金属板との接着強度が不十分で製缶加
工時にフィルムの剥離、浮き、割れ、穴あきが発生する
という問題点を有する。
【0013】また、TmB が170 ℃未満の場合、製缶工程
で印刷などの後加熱工程中に高温(170〜210 ℃) で溶
融、収縮し、外層剥離、浮きなどの問題が生じる。また
バリア性が十分でないために、皮膜下腐食が発生する。
以上のことから、共重合ポリエステルフィルム(B) の融
点(TmB) は170 〜215℃であることが好ましい。
【0014】さらに優れた物性を有する範囲として、Tm
B=190 〜205 ℃が推奨される。本発明のポリエステルフ
ィルムラミネート金属板は、外層の2軸配向結晶残存量
が5〜95%であることを特徴とする。2軸配向結晶残存
量はラミネート時の熱(フィルムの融点以上)で破壊さ
れずに残存した2軸配向結晶の割合を示す。すなわち、
本発明は外層がラミネート時の加熱で溶融し、外層の結
晶化度がラミネート前よりも5〜95%低下することを特
徴とする。外層の2軸配向結晶残存量が5%未満の場
合、耐食性が不良となり、95%超えの場合、製缶後ネッ
クイン加工のような厳しい加工を受けた場合、金属板と
の密着性不足で剥離する。より好ましい外層の2軸配向
結晶残存量は10〜90%である。2軸配向結晶残存量は、
薄膜X線回折法、顕微ラマン分光法などによりラミネー
ト前後の結晶化度の変化から求めることができる。顕微
ラマン分光法の場合、カルボニル伸縮振動によるバンド
(1730cm -1) の半幅値と密度が逆相関関係にあることが
知られており[A.J.Melverger;J.Polymer Sci.,Part A2
(Polymer Physics)10,317(1972)] 、 (ラミネート前の半値幅)÷(ラミネート後の半値幅)
×100 で2軸配向結晶残存量を求めることができる。ラミネー
ト後の外層フィルムの結晶化度は、顕微ラマン分光法で
得られる1730cm-1のピークの半値幅で10〜25cm-1の範囲
が好ましい。特に好ましい範囲として、12〜23cm-1の範
囲が挙げられる。
【0015】本発明のラミネート金属板の内層フィルム
はラミネート時の加熱で2軸配向結晶が外層以上に破壊
される。密着性の点から、内層の2軸配向結晶残存量は
0〜40%が好ましい。特に好ましい範囲として0 〜30%
が挙げられる。本発明のフィルムの厚みは、外層の共重
合ポリエステルフィルム層(A) の厚み(tA)が8〜100 μ
m 、内層の共重合ポリエステルフィルム層(B) の厚み(t
B)が1〜20μm で、tA>tBであることが好ましい。
【0016】tAが8μm 未満の場合、バリア性が不十分
で、塗膜腐食が発生し、100 μm 超えの場合、外層フィ
ルムが加工時に剥離し、製缶不良が発生する。またtBが
1μm 未満の場合、金属板との密着性が不十分であり、
加工時のフィルムの剥離が発生し、20μm 超えの場合、
ラミネート時に結晶化度の低い内層の収縮が激しく、ラ
ミネート面にシワが発生する。またtA<tBの場合、内層
の収縮を外層が防御できず、ラミネート面にシワが発生
する。
【0017】より好ましい外層の厚み(tA)は10〜50μm
、内層の厚み(tB)は1〜10μm である。本発明に使用
される共重合ポリエステルフィルム(A、B)の原料である
共重合ポリエステルは、エチレングリコールなどの飽和
多価アルコール成分とイソフタル酸やテレフタル酸など
の飽和多価カルボン酸成分およびそれらの置換体を出発
原料として、エステル交換法、直接重合法など公知の重
合法により作製しても良いし、ポリエチレンテレフタレ
ートと共重合ポリエステルとのブレンドによって作製し
ても良い。
【0018】また本発明に使用される共重合ポリエステ
ルフィルム(A、B)の飽和多価アルコール成分と飽和多価
カルボン酸成分の比率はモル比で、0.95〜1.05の範囲に
あることが好ましい。本発明に使用されるポリエステル
フィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、1種お
よび2種以上の帯電防止剤、滑剤、難燃剤、アンチブロ
ッキング剤(非晶質シリカ、ゼオライト、非晶質アルミ
ナシリカ等)、着色顔料(二酸化チタン、硫酸バリウム
など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機フィラー、他
の樹脂を含んでいても良い。
【0019】また、フィルムの金属板との接触面に化学
処理法(薬品処理、溶剤処理、プライマーあるいは、ポ
リマーコーティング、接着剤の塗布、カップリング剤処
理、界面活性剤処理、表面グラフト化、コロイド処理
等)あるいは、物理的処理法(紫外線照射処理、プラズ
マ接触処理、コロナ放電処理など)によって、表面改質
を施しても良い。
【0020】本発明に用いられるポリエステルフィルム
は、最初から2層構造を有する共押出ポリエステルフィ
ルムが好ましい。つぎに本発明に使用される金属板につ
いて説明する。本発明に用いられる金属板としては、シ
ート状およびコイル状の鋼板、鋼箔およびアルミニウム
板またはそれらの金属板に表面処理を施したものが挙げ
られる。
【0021】金属板の厚さはとくに限定しないが、缶強
度と軽量性のバランスから、0.1 〜0.5mm が好ましい。
耐食性、製缶加工性、缶強度、耐食性の面から、下層が
金属クロム、上層がクロム水和酸化物の2層構造を有す
る電解クロム酸処理鋼板(TFS) 、あるいは島状錫層上に
金属クロム層、クロム水和酸化物層の表面処理を施した
鋼板、および錫めっき鋼板、極薄錫めっき鋼板、ニッケ
ルめっき鋼板、亜鉛めっき鋼板またはこれらのめっき鋼
板にクロム水和酸化物あるいは下層が金属クロム、上層
がクロム水和酸化物層からなる2層構造を持つ表面処理
を施したもの、あるいはリン酸塩処理、クロム酸処理、
クロム−クロメート処理を施した冷延鋼板およびアルミ
ニウム板などが使用できる。
【0022】本発明のラミネート金属板は、ラミネート
直前の金属板の板温を共押出ポリエステルフィルムの外
層の融点(TmA) 〜TmA+100 ℃になるように加熱し、前記
フィルムをラミネート後、急冷することによって得られ
る。外層の融点(TmA) 以下でラミネートした場合、外層
は溶融しないので、2軸配向結晶残存量が、95%以上と
なり好ましくない。TmA+100 ℃以上でラミネートを行っ
た場合、外層フィルム最表面の2軸配向結晶構造が破壊
され、2軸配向結晶残存量が、5%以下となり好ましく
ない。
【0023】より好ましいラミネート直前の金属板温度
としては、TmA 〜TmA+50℃の範囲が挙げられる。また、
ラミネート後に20秒以内で共押出ポリエステルフィルム
の内層のガラス転移点(TgB) 以下に急冷することが好ま
しい。冷却に20秒以上要した場合、あるいは冷却温度が
内層のガラス転移点(TgB)以上の場合、溶融した部分の
再結晶化が進行し、球晶が生成し、加工密着性、加工耐
食性が大きく低下するので好ましくない。
【0024】10秒以内にフィルムの内層のガラス転移点
(TgB) 以下に急冷することが、より好ましい。また、本
発明のラミネート金属板を得る別の方法として、特公表
平2-501638号公報、特公表平2-501640号公報などに開示
されているように、ラミネート後に誘導加熱などの方法
で外層のポリエステル樹脂の融点温度以上に再加熱後急
冷する方法が挙げられるが、再加熱の温度コントロール
が困難で2軸配向結晶残存度の管理が難しい、ラミネー
ト後に再溶融の装置が必要で設備が大がかりとなるなど
の問題点がある。
【0025】金属板加熱装置はとくに限定されないが、
加熱炉、誘導加熱装置、加熱ロールで接触させることに
より加熱する方法などが好ましい。ラミネート装置は特
に限定されないが、温度コントロールが可能なラミネー
トロールを用いる方法が好ましい。ラミネートロールの
表面温度は特に限定されないが、フィルムの密着性およ
び外層フィルム最表面の結晶構造を保持する点から、80
〜180 ℃が好ましい。
【0026】冷却方法としては、冷却ロール、冷却水槽
などで急冷する方法が好ましい。本発明のラミネート金
属板は、公知の絞り−しごき(DI)缶、あるいは絞り缶、
あるいは絞り−再絞り(DRD) 缶、あるいは薄肉絞り(DT
R) 缶に好ましい。本発明のラミネート金属板を缶胴と
して、公知の接着缶、溶接缶を作製しても良い。接着缶
の場合、缶外面と缶内面のポリエステル皮膜どうしを重
ね合わせ、加熱し、融着させて接合しても良い。また、
本発明のラミネート金属板を缶蓋として使用しても良
い。
【0027】また、電子レンジ用トレイ等の容器類、電
子・電気分野、自動車用としても使用できる。以下実施
例にて本発明を詳細に説明する。
【0028】
【実施例】
(1) ラミネート金属板の製造方法 幅 300mmの帯状の電解クロム酸処理鋼板(TFS) をヒート
ロールを用いて連続的に加熱した。加熱された鋼板はラ
ミネートロールに送り込まれ、連続的に両面に各フィル
ムを熱融着した。ポリエステルフィルムは最初から2層
構造を有する共押出ポリエステルフィルムを使用した。
ラミネートロールの材質はシリコンゴム製であった。ま
たロールの表面温度は 140℃であった。融着後ラミネー
ト鋼板は水槽により、5秒後に30℃まで急冷される。ラ
ミネート速度は約30m/分であった。
【0029】実験に使用したTFS の板厚は0.245mm で、
クロム水和酸化物量が18mg/m2 、金属クロム量が120mg/
m2であった。また調質度はT-4 であった。実験に使用し
たフィルムを表1に示す。使用したポリエステルフィル
ムはポリエチレンフタレート/イソフタレート共重合体
であった。 (2) 製缶方法 実施例1〜6、比較例1〜6については、得られたラミ
ネート鋼板から、ラミネート面が缶内面となるように、
公知のDI加工法により、直径 211mm(350 mlビール缶サ
イズ)のDI缶を得た。
【0030】また実施例7については、得られたラミネ
ート鋼板からラミネート面が缶内面になるように、公知
のDRD 加工法により、円径 211mm(350 mlビール缶サイ
ズ)のDRD 缶を得た。得られた缶はトリミング後、公知
の方法で、204 径の缶蓋サイズに4段ネックイン加工を
施した。
【0031】(3) 評価方法 1) 融点 示差走査熱量計(DSC) を使用して、昇温速度10℃/min
で測定した。 2) 2軸配向結晶残存量の測定方法 ラミネート前のフィルムおよびラミネート鋼板の断面試
料に対して、顕微ラマン分光法で外層について測定を行
い、カルボニル基の伸縮振動に対するバンド(1730cm
-1) の半値幅を求め、 (ラミネート前の半値幅)÷(ラミネート後の半値幅)
×100 を2軸配向結晶残存量とした。
【0032】3) 成形性 製缶後の缶内外面を目視にて観察した。また、缶の健全
性を調べるために、缶の中に1%NaCl溶液を入れ、缶体
を陽極、炭素棒を陰極として+6Vの電圧をかけた時に
流れる電流値を測定した(以下、ERV 試験とする)。ER
V 値は少ない程、被覆の欠陥が少なく、缶の健全性が高
いことを示す。
【0033】4) 耐熱性 印刷工程での加熱を想定し、180 ℃に設定したオーブン
に10分間放置し、缶内外面フィルムを観察した。 5) 耐レトルト性 得られた缶に対して、レトルト処理( 110℃×1Hr)を
施し、缶内外面フィルムを観察した。
【0034】6) 実缶試験 得られた缶に市販のコーラを充填し、2重巻締めを施し
た後、38℃で6 ケ月貯蔵し、内面の腐食状況を観察し
た。結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】本発明の条件を満足する実施例1〜7は、
成形性、耐熱性、耐レトルト性、実缶試験とも良好な性
能を示した。一方、比較例1は、内層のポリエステルフ
ィルムの融点が本発明の規定範囲を超えており、成形性
は良好であるが、耐熱性および耐レトルト性試験では内
外面フィルムの剥離が生じ、実缶試験でも内面フィルム
の剥離が生じている。
【0038】比較例2は、内層ポリエステルフィルムの
融点が規定範囲以下であるため、耐熱試験で内外面フィ
ルムが浮き、耐レトルト試験および実缶試験で塗膜下に
錆が発生した。比較例3は、外層ポリエステルフィルム
の融点が規定範囲を超えているため、成形性試験で缶が
破断した。
【0039】比較例4は、外層ポリエステルフィルムの
融点が規定範囲以下であるため、成形性試験で外面フィ
ルムが融着し、耐レトルト試験および実缶試験で塗膜下
に錆が発生した。比較例5は、内外のポリエステルフィ
ルムの融点は規定範囲内であるが、ラミネート直前の鋼
板温度が本発明の規定範囲以下であり、2軸配向結晶残
存量が95%を超え、耐熱性試験、耐レトルト試験および
実缶試験のいずれにおいてもネックイン加工部のフィル
ムの剥離を生じた。
【0040】比較例6は、内外のポリエステルフィルム
の融点は規定範囲内であるが、ラミネート直前の鋼板温
度が本発明の規定範囲を超えており、2軸配向結晶残存
量が5 %未満となり、耐レトルト試験および実缶試験の
いずれにおいても塗膜下に錆が発生した。
【0041】
【発明の効果】本発明で得られたラミネート金属板は、
従来のラミネート金属板よりも格段に加工性、加工密着
性、耐食性が優れており、より耐久性、信頼性の高い
缶、容器が提供可能となった。また、電気・電子分野、
自動車分野にも適用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊地 利裕 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社鉄鋼研究所内 (72)発明者 望月 一雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社鉄鋼研究所内 (72)発明者 堅 雅司 滋賀県坂田郡山東町井之口347 ダイアホ イルヘキスト株式会社中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の少なくとも片面の、外層に融点
    (TmA) が215 〜250℃である共重合ポリエステルフィル
    ム層(A) を有し、該金属板と接する内層に融点(TmB) が
    170 〜215 ℃である共重合ポリエステルフィルム層(B)
    を有し、かつ前記層(A) の2軸配向結晶残存量が5〜95
    %であることを特徴とするポリエステル樹脂ラミネート
    金属板。
  2. 【請求項2】 外層の共重合ポリエステルフィルム層
    (A) の厚み(tA)が 8〜100 μm であり、内層の共重合ポ
    リエステルフィルム層(B) の厚み(tB)が1〜20μm であ
    り、かつtA>tBであることを特徴とする請求項1記載の
    ポリエステル樹脂ラミネート金属板。
  3. 【請求項3】 金属板の少なくとも片面に、融点(TmA)
    が215 〜250 ℃である共重合ポリエステルフィルム層
    (A) を外層とし、融点(TmB) が170 〜215 ℃である共重
    合ポリエステルフィルム層(B) を該金属板と接する内層
    とする2層構造を有する共押出ポリエステルフィルムを
    ラミネートする際に、ラミネート直前の該金属板の板温
    を TmA〜TmA+100 ℃になるように加熱し、(A) および
    (B) をラミネート後、急冷することを特徴とするポリエ
    ステル樹脂ラミネート金属板の製造方法。
JP6231476A 1994-09-27 1994-09-27 ポリエステル樹脂ラミネート金属板およびその製造方法 Pending JPH0890717A (ja)

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