JP3489167B2 - 耐食性と耐フレーバー性の優れた2ピース絞りしごき缶およびその製造方法 - Google Patents

耐食性と耐フレーバー性の優れた2ピース絞りしごき缶およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は実質的にピンホールの存
在しないすずの薄層とその上に配置した薄いラミネート
樹脂を有する耐食性と耐フレーバー性に優れた絞りしご
き缶およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】すずメッキ鋼板を用いた2ピース缶は、
すずの被覆率が小さく、鋼面が露出する缶が多数発生す
る重大な欠陥があった。すずメッキ鋼板自体のすず被覆
率は大きく、良好であっても成形時に成形工具に接触す
ると接触した部分は鋼面が露出し、すず被覆率が低下す
るのである。殊に絞り加工としごき加工により成形を行
うと加工量が大きいため鋼面の露出が大きくなる問題が
あった。そのため絞り、しごき加工後、塗料を缶内面に
塗装することが行われているが、このような手段では耐
食性と耐フレーバー性が充分でなくこれらの点の欠陥の
発生を防止できない。
【0003】化成処理を行うこともあるが効果が充分で
なく、作業性も悪い問題がある。また、ポリエステル樹
脂をラミネートした金属板を使用し、しごき率を特定の
範囲に規定した、特開昭60−172637号と特開平
2−303634号が提案された。この他、絞り加工温
度をPETフイルムのガラス転移点近傍とした特公平1
−55055号や、表面処理被膜の上にメッキ層を設け
その上にPET被膜を設けてしごき率を特定範囲に規定
した特公平3−33506号もある。しかしながらこれ
等の先行技術はいずれも耐フレーバー性が充分でなく、
耐衝撃強度も不充分であった。しごき率で特定しても少
い加工量のしごきでもしごき加工を行うとピンホールが
発生し鋼面の露出が生じるのでしごき率だけではフレー
バー性は向上しない。これ等の先行技術はすずメッキ層
もラミネート樹脂層も被覆量で制御しているがこのよう
な単なる量による制御では被覆層の厚薄を制御出来ない
ので均一な膜厚の層とはならず、被覆層にピンホールが
存在するために充分な性能が発揮されないと考えられ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はすずの被覆率
が高く、耐食性と耐フレーバー性に優れた缶と、この缶
を高作業性で製造する方法を提供する。
【0005】
【課題を解決した手段】本発明は次の手段により全ての
課題を解決した。本発明は、 「1. 少なくとも缶内面となる片面に予め熱可塑性樹
脂を被覆したすずメッキ鋼板で成形した絞りしごき缶
あって、熱可塑性樹脂の主成分が結晶性ポリエステル樹
脂であり、缶側壁部における該樹脂層の平均厚みは5〜
30μmであり、すず被膜の平均厚みが0.2〜2.0
g /m であり、すずの有効被覆率が85%以上であ
って、最終しごき工程後直ちに冷却することによりネッ
ク部とフランジ部のすずがリフローしていないことを特
徴とする耐食性とフレーバー性に優れた2ピース絞りし
ごき缶。 2. 被覆樹脂の主成分である結晶性ポリエステル樹脂
のTgが55℃以上、固有粘度(IV)が0.65以上
である、1項に記載された耐食性とフレーバー性に優れ
た2ピース絞りしごき缶。 3. すずの有効被覆率が、すず被膜の厚みが0.1g
/m 以上の部分の占める割合を示す値である、1項
または2項に記載された、耐食性とフレーバー性に優れ
た2ピース絞りしごき缶。 4. すずメッキ厚みが0.4〜6.0g /m であ
るすずメッキ鋼板の缶内側 となる面に、結晶性ポリエ
ステル樹脂を主成分とする結晶化度が5%以下、厚みが
15〜90μm、破断伸びが100%以上、Tgが55
℃以上、固有粘度(IV)が0.65以上である熱可塑
性樹脂被覆を配置して、1回以上の絞り成形によりカッ
プを作り、次にパンチと入角度が2〜8度のアイアニン
グダイにより、しごき加工を行い、最終しごき工程後直
ちに冷却することにより、缶側壁部における樹脂層の平
均厚みが5〜30μm、すず被膜の平均厚みが0.2〜
2.0g /m 、すずの有効被覆率が85%以上であ
って、ネック部とフランジ部のすずがリフローしていな
いことを特徴とする耐食性とフレーバー性に優れた2ピ
ース絞りしごき缶の製造方法。 5. 成形前および成形時にカップ内面のすず層の温度
を232℃を越えない温度に維持して成形し、最終しご
き成形の後急冷してネッキング部とフランジ部の内面側
すず温度を232℃以下とした、4項に記載された耐食
性とフレーバー性に優れた2ピース絞りしごき缶の製造
方法。 6. ポリエステル樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂被
覆を絞りしごき加工の工程で配向結晶化させる、4項ま
たは5項に記載された耐食性とフレーバー性に優れた2
ピース絞りしごき缶の製造方法。」に関する。
【0006】
【作用】本発明の第1の特徴は耐食性を向上したことで
ある。前述のようにすずメッキ鋼板を絞りしごき加工す
るとすず層も影響を受けすず層の厚みが小さくなるだけ
でなく、厚さが不均一となり、さらには鋼面の露出が発
生する。すず層の厚さがすず有効被覆率85%以下にな
ると耐食性が悪化し、実用に供せなくなる。すずの有効
被覆率とはすず層の厚さが0.1g/m以上の部分の
占める割合であり、85%以下になるとすず層があって
もフィルム下腐食が発生し耐食性が悪化する。本発明の
前記特徴は、熱可塑性樹脂をすずメッキ面に被覆して絞
りしごき加工した缶であって、缶側壁部における樹脂層
の厚さを5〜30μmとし、すず被膜の平均厚みを0.
2〜2.0g/mとし、すずの有効被覆率を85%以
上とすることにより、耐食性の著しく向上した缶とする
点にある。何故熱可塑性樹脂をすずメッキ層にラミネー
トして絞りしごき成形加工を行うとすず層に鋼面の露出
が発生しないのかその理由について本発明者は、加工具
がすずメッキ層に直接触れないことと、熱可塑性樹脂が
緩衝材となって樹脂自身も成形加工されながらすず層に
加工の力を伝達するため、すず層に展延の加工力が急激
にかからず、展延が無理なく行われるためと考えてい
る。したがってラミネートする熱可塑性樹脂も加工性の
良好なものが好ましい。
【0007】本発明の第2の作用はフレーバー性の良好
なことである。内容物の香気成分が缶内面材料に吸着さ
れると、内容物のフレーバーが変化する。また、缶内面
材料が内容物中に溶出しても内容物のフレーバーが変化
する。このようにフレーバー性はすずメッキ層の鋼板の
露出だけでなく被覆した樹脂によっても発生する。本発
明者の研究によると缶側壁のすず層の上にラミネート層
を形成する熱可塑性樹脂としてTgが55℃以上の結晶
性ポリエステル樹脂を使用すると内容物のフレーバー成
分の収着量が大きく低下すること、特にイソフタール酸
系の共重合ポリエステル樹脂が好ましいことがわかっ
た。
【0008】この他、結晶性ポリエステルとしてポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエチレンナフタレート及びその共重合体、ブレンド
物も使用される。共重合ポリエチレンテレフタレートの
共重合成分は酸成分でもアルコール成分でもよい。該酸
成分としてはイソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸等の芳香族二塩基酸、、アジピン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジ
カルボン酸等が挙げられ、またアルコール成分としては
ブタンジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオー
ル、シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール
等が挙げられる。これらは単独又は二種以上を使用する
ことが出来る。
【0009】これらの結晶性ポリエステルは単層又は2
層以上の複層として使用できる。勿論フレーバー性には
すずメッキ層から鋼板が露出することによる影響が大き
い。本発明者は鉄の溶出量を少くするため種々研究した
結果、鉄溶出量の少い絞りしごき缶は、すずメッキ鋼板
に、すずメッキ厚みが0.4〜6.0g/mであるす
ずメッキ鋼板の缶内側となる面に、結晶性ポリエステル
樹脂を主成分とする結晶化度が5%以下、厚みが15〜
90μm、破断伸びが100%以上、Tgが55℃以
上、固有粘度(以下IVと表記する)が0.65以上で
ある熱可塑性樹脂被覆を配置して、1回以上の絞り成形
によりカップを作り、次にパンチと入角度が2〜8度の
アイアニングダイにより、しごき加工を行い、最終しご
き工程後直ちに冷却することによりネック部、フランジ
部のリフローがなく、缶側壁部における樹脂層の平均厚
みが5〜30μmとなるように成形することにより得る
ことが出来ることがわかった。
【0010】本発明の第3の特徴はすずのリフローのな
いことである。しごき成形による缶温度上昇によるすず
層の溶融、つまり缶内面のすずのリフローに関しては、
絞りしごき成形後ネッキング、フランジ成形する部分に
リフローが発生した場合に熱可塑性樹脂被膜の密着性が
低下して成形加工時や巻締め時に剥離や割れが起こる問
題がある。ネック部、フランジ部以外の缶胴部にリフロ
ーが発生してもこの部分はその後の工程で、ネッキン
グ、フランジング、巻締等の苛酷な加工が施されないこ
とから、実質的な缶性能上問題にならないことからネッ
ク部、フランジ部にリフローがないことは缶として非常
に望ましいことである。ネック部、フランジ部にリフロ
ーを発生させない絞りしごき缶は、成形前および成形時
のカップ内面側すず温度を232℃を越えない温度範囲
に維持して成形を行うこと及び成形直後(最終しごき工
程後)に急冷して、カップのネッキング部、フランジ部
に相当する部分の内面側すず温度を232℃以下に維持
することにより得ることが出来る。ラミネート樹脂層
は、すずメッキ鋼板の両面に設けても良いが缶となった
表側の面は耐食、耐フレーバー性に直接関係がなく、印
刷を行ったりするので必ずしもラミネート層は必要では
ない。
【0011】本発明の缶は内面のすずメッキ層に樹脂が
ラミネートされているので化成処理の必要はない。化成
処理を必要としないので作業性を向上させ、使用水を1
/2〜1/3に減少することが出来、廃水処理の負担や
廃水処理廃棄物を減少することが出来る利点がある。す
ず層は0.01μm〜0.25μmの薄層であるが充分
防食性を示し、鉄の溶出を防止して優れた耐フレーバー
性を奏する。このような薄層であってしかも有効被覆率
が85%以上のすず層を形成することは従来出来なかっ
た。
【0012】缶胴部は大きな加工を受けるのでメッキ層
も樹脂層も薄層化する。缶胴部は成形加工による影響が
大きく欠陥を生じ易いのである。ラミネートした熱可塑
性樹脂層は延伸配向し、強度も大きくなり、バリヤ性も
向上する。そして、成形時のすず温度を232℃を越え
ない温度に保って成形することが好ましく、成形加工前
においてもすず温度を232℃を越えないように維持す
ることが望ましい。これはすずの融点が231.9℃で
あるので、すずの融けない温度に保って成形加工するこ
とがすず被膜の均一性を保ち、リフローを防止し被覆率
の変化を防ぐのに有効であるからである。
【0013】本発明の第4の特徴は、絞りしごき加工に
おいてパンチ側のラミネート樹脂の温度を粘着温度以下
に保って成形加工を行うことである。成形加工時缶の外
面は250℃程度まで昇温し、この熱が缶の内面に拡散
するので樹脂層の温度も上昇する。温度が上昇しすぎる
と樹脂層の配向結晶が得られなくなり強度が不足して成
形欠陥を生ずる。また粘着温度以上になるとパンチに粘
着し成形後のストリップアウト不良を発生する。
【0014】これを防止するためには加工部を冷却する
とともに加工後直ぐに缶体を外面から冷却剤で冷却し、
粘着温度以下に保つのが有効である。加工性を良好にす
るためラミネート樹脂層の加工温度をTg近傍にするこ
とが好ましい。例えばPETであれば冷却剤の温度は5
0℃程度とすると良い結果が得られる。カップ成形後、
ラミネート樹脂層は一部配向した状態となり成形性が低
下するので温度を80〜200℃に昇温してアニーリン
グを行い歪みを除去することが良好な加工を行うのに好
ましい。
【0015】ラミネート樹脂層がパンチと滑り易いので
しごき加工のアイアニングダイの入り角を低くしパンチ
の面圧を大きくすることが成形加工上有効である。被覆
樹脂層がパンチと滑ると波線状の樹脂欠陥となる。アイ
アニングダイの入り角度を2〜8°とすることが好まし
く、特に6°以下とすることが好適である。絞り加工に
よりラミネート層の下の金属表面は粗度が多少増加する
のでパンチ表面の凹凸や異物の存在により絞り加工時に
樹脂欠陥を生じ易い。したがってパンチ表面を平滑に
し、また異物の存在しないようにする必要がある。さら
に本発明によると、すずメッキ鋼板に被覆したポリエス
テルを主成分とする熱可塑性樹脂層を絞りしごき加工の
工程において配向結晶化することが出来るので、耐食性
と耐フレーバー性が向上する。
【0016】
【実施例】つぎに実施例と比較例を示して具体的に説明
する。実施例、比較例において、絞りしごき条件と製缶
条件、ネック部・フランジ部のリフロー部分(しごき成
形時の缶温度上昇によるすず層の溶融が起こった部分)
の面積測定、すず被膜の被覆係数の測定、実缶保存試験
の評価は下記のように行った。
【0017】1.絞りしごき条件 実施例10−1以外の実施例・比較例は、下記絞りしご
き条件で行った。金属板厚0.245mmの片面樹脂被
覆鋼板を用い、樹脂被覆面が缶内面になるようにして、
ブランク径142mmにブランキングし、1st絞り比
1.6でカップを成形後、2nd絞り比1.3で再絞り
し、3工程のしごき成形を行い、缶胴径65.8mm、
缶胴金属厚み80μm、ネック部金属厚み135μmの
絞りしごきカップを成形した。この絞りしごきカップを
缶高さが123mmになるようにトリミングし、洗浄乾
燥した後、外面を印刷し200℃で30秒加熱後、缶上
部を内径57.25mmに縮径するとともにフランジを
成形し絞りしごき缶を得た。再絞りと3工程のアイアニ
ングの成形速度は200cpmである。
【0018】2.ネック部・フランジ部のリフロー部分
の面積測定 絞りしごき缶の缶内面側のネック部・フランジ部のすず
のリフロー部分は斜めから観察すると黒い変色部として
観察され、リフローしていない部分と区別することが出
来る。リフロー部の面積測定はリフロー部が複数ある場
合、最も大きいリフロー部を選び測定する。
【0019】3.すず被膜の被覆係数の測定 缶壁内面側の樹脂被膜を除去後、缶内面側壁を円周方向
に長さ2.0mmに区切り10個所につき下記条件です
ずのEPMA線分析を行い、各場所毎に下記式によりす
ず被膜の被覆係数を求める。こうして求めた各場所のす
ず被膜の被覆係数の中で最も小さい部分の値をもってこ
の缶のすず被膜の被覆係数とする。測定法:WDS、検
出結晶:PET、加速電圧:10kv、試料電流:1×
10E−8A、ビーム径1.0μm、検出X線:SnL
α線、タイムコンスタント:1.0(s)、走査速度:
50μm/分、である。 すず被膜被覆係数(%)=(すず量が0.1g/m
上部の長さ(mm))×100/2.0(mm)
【0020】4.フレーバー性の評価 内容物の香気成分が缶内面材料に収着されると、内容物
のフレーバーが変化する。また缶内面材料が内容物中に
溶出しても内容物のフレーバーが変化する.フレーバー
保持性を、実缶保存試験での内容物フレーバーの官能試
験、および香気成分収着率で評価した。内容物フレーバ
ー官能試験は、コカコーラライト(日本コカコーラ株式
会社製炭酸飲料)を充填したのち、室温で3か月間保管
し、経時保管なしの液との、官能的な優位差を調べた。
危険率5%での優位差なしを○、危険率5%での優位差
ありを×、と評価した。香気成分収着率測定は、日本食
品工業学会誌 Vol.34、No.5,1987,2
67〜273に記載された方法に準じて行った。すなわ
ちモデル液として、柑橘系フレーバー(ミルセン、αテ
ルピネン、dリモネン、γテルピネン、pシメン、2カ
レンをそれぞれ10ppmになるように混合した)を添
加したモデル溶液(クエン酸1%)を試験缶に充填・巻
締し、20℃10日間保管後、缶内面フイルムから香気
成分を回収・濃縮し、ガスクロマトグラフ分析を行い、
充填前溶液からの分配比(内面フイルム中の量/内容液
中の量)を求めた。香気成分の回収・濃縮・分析方法は
前述文献に準じた。d−リモネンの分配比2%未満を
○、2%以上を×と評価した。
【0021】5.実缶保存試験評価 試験缶数100缶に定法によりコカコーライト(炭酸飲
料)を充填し、蓋を巻締めた後、37℃で6ヶ月間保存
した後、開缶し、缶内面のフイルム下腐食(以下UFC
と略表記する)部の発生面積の測定、及び内容物中に溶
出した鉄イオンを原子吸光分光分析法により測定し、平
均溶出量を算出した。UFCは、UFC面積が0〜10
mmを○、10mmを超えるものを×、と評価し
た。
【0022】6.結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度の
測定 ラミネート樹脂層である結晶性ポリエステル樹脂の結晶
化度の測定は、SEN−IGAKKAISHI,Vo
l.33、No.10(1977)、780〜788に
記載された方法で行った。すなわちX線回折散乱強度分
布を結晶及び非晶相からの寄与に分離し、Bragg角
に関する積分強度比として算出した。
【0023】7.加工前樹脂のTg、破断伸び(以下E
lと表記する)、IVの測定 ラミネート板の樹脂層を金属板から剥離したのち、常法
でTg、El、を測定した。IVは、o−クロロフェノ
ール中で25℃で測定した。
【0024】8.缶壁内面平均すず被覆厚みと缶壁内面
平均有機樹脂被膜厚みの測定 缶壁内面平均すず被覆厚みは、しごき加工の最も大きい
缶壁部(缶底から30〜80mm部)内面の有機樹脂を
剥離した後、20mmφの円形資料を3ケ作製し、蛍光
X線法で測定して得た測定値を算術平均して得た。缶壁
内面平均有機樹脂被膜厚みは、同様部位の金属を溶解し
て有機樹脂を剥離し、任意の点について10個所マイク
ロメーターで測定して得られた測定値を算術平均して得
た。
【0025】実施例1−1 0.245mm厚み、テンパー4、E2.8/2.8ぶ
りきの片面に、厚み90μmの非晶状態の結晶性ポリエ
ステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート/イソフタレ
ート系)を熱被覆し、急冷した。この樹脂の被覆後のT
g、El、IV、結晶化度を表1に示す。この片面樹脂
被覆すずメッキ鋼板を用い、表1に示す条件で絞りしご
き缶を作製した。このようにして得た絞りしごき缶につ
いて、平均すず被覆厚み、有機樹脂被膜厚み、ネック
部、フランジ部のリフロー部分の面積測定、すず被膜の
被覆係数の測定、成形・製缶状態の肉眼観察、フレーバ
ー性の評価、実缶保存試験評価を行った。その結果を表
1に示す。
【0026】実施例1−2、1−3、比較例1−1、1
−2 実施例1−2、1−3、比較例1−1は、すずメッキ鋼
板に被覆した有機樹脂被膜厚みがそれぞれ30μm、1
5μm、9μmであること以外は実施例1−1と同様に
して絞りしごき缶を作製し、実施例1−1と同様にして
平均すず被覆厚み、有機樹脂被膜厚み、ネック部、フラ
ンジ部のリフロー部分の面積測定、すず被膜の被覆係数
の測定、成形・製缶状態の肉眼観察、フレーバー性の評
価、実缶保存試験評価を行った。その結果を表1に示
す。比較例1−2は、すずメッキ鋼板に被覆した有機樹
脂被膜厚みが120μmであること以外は実施例1−1
と同様にして絞りしごき缶を作製した。フランジ成形時
にフランジ部が剥離したため各種評価は行わなかった。
【0027】実施例2−1 0.245mm厚み、テンパー4、E2.8/2.8ぶ
りきの片面に、厚み30μmの二軸延伸状態の結晶性ポ
リエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート/イソフ
タレート系)を熱被覆し、ラミネート板(成形前)のポ
リエステル樹脂の結晶化度が2%になるように230℃
での保持時間を調整したのちに、急冷した。この樹脂の
被覆後のTg、El、IV、結晶化度を表1に示す。こ
の片面樹脂被覆すずメッキ鋼板を用い、表1に示す条件
で絞りしごき缶を作製した。このようにして得た絞りし
ごき缶について、平均すず被覆厚み、有機樹脂被膜厚
み、ネック部、フランジ部のリフロー部分の面積測定、
すず被膜の被覆係数の測定、成形・製缶状態の肉眼観
察、フレーバー性の評価、実缶保存試験評価を行った。
その結果を表1に示す。
【0028】実施例2−2、比較例2−1、2−2 実施例2−2、比較例2−1、2−2は、ラミネート板
(成形前)のポリエステル樹脂の結晶化度がそれぞれ5
%、9%、24%であること以外は実施例2−1と同様
にして絞りしごき缶を作製し、実施例2−1と同様にし
て平均すず被覆厚み、有機樹脂被膜厚み、ネック部、フ
ランジ部のリフロー部分の面積測定、すず被膜の被覆係
数の測定、成形・製缶状態の肉眼観察、フレーバー性の
評価、実缶保存試験評価を行った。その結果を表1に示
す。
【0029】実施例3−1 0.245mm厚み、テンパー4、E2.8/2.8ぶ
りきの片面に、厚み30μmの非晶状態の結晶性ポリエ
ステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート/イソフタレ
ート系)を熱被覆し、急冷した。このときイソフタル酸
の共重合比率を変えることでTgを64℃にした。この
樹脂の被覆後のTg、El、IV、結晶化度を表1に示
す。この片面樹脂被覆すずメッキ鋼板を用い、表1に示
す条件で絞りしごき缶を作製した。このようにして得た
絞りしごき缶について、平均すず被覆厚み、有機樹脂被
膜厚み、ネック部、フランジ部のリフロー部分の面積測
定、すず被膜の被覆係数の測定、成形・製缶状態の肉眼
観察、フレーバー性の評価、実缶保存試験評価を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0030】実施例3−2、比較例3−1、3−2 実施例3−2、比較例3−1、3−2は、ポリエステル
樹脂のTgがそれぞれ58℃(イソフタル酸共重合)、
54℃(セバシン酸共重合)、48℃(アジピン酸共重
合)であること以外は実施例3−1と同様にして絞りし
ごき缶を作製し、実施例3−1と同様にして平均すず被
覆厚み、有機樹脂被膜厚み、ネック部、フランジ部のリ
フロー部分の面積測定、すず被膜の被覆係数の測定、成
形・製缶状態の肉眼観察、フレーバー性の評価、実缶保
存試験評価を行った。その結果を表1に示す。比較例3
−3は、すずメッキ鋼板の片面(内面側)に3μm厚さ
の熱硬化樹脂を塗布したのち乾燥焼付(半硬化状態)
し、その上に30μmの非晶状態の結晶性ポリエステル
樹脂を熱被覆し、急冷すること以外は実施例3−1と同
様にして絞りしごき缶を製缶し、実施例3−1と同様に
して平均すず被覆厚み、有機樹脂被膜厚み、ネック部、
フランジ部のリフロー部分の面積測定、すず被膜の被覆
係数の測定、成形・製缶状態の肉眼観察、フレーバー性
の評価、実缶保存試験評価を行った。その結果を表1に
示す。比較例3−4は、熱被覆する樹脂が熱結晶性のな
いポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート/イ
ソフタレート系)であること以外は実施例3−1と同様
にして絞りしごき缶を製缶し、実施例3−1と同様にし
て平均すず被覆厚み、有機樹脂被膜厚み、ネック部、フ
ランジ部のリフロー部分の面積測定、すず被膜の被覆係
数の測定、成形・製缶状態の肉眼観察、フレーバー性の
評価、実缶保存試験評価を行った。その結果を表1に示
す。
【0031】実施例4−1 0.245mm厚み、テンパー4、E2.8/2.8ぶ
りきの片面に、厚み30μmの非晶状態の結晶性ポリエ
ステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート/イソフタレ
ート系)を熱被覆し、急冷した。この樹脂は共重合比率
を変えて破断伸びが285%になるようにした。この樹
脂の被覆後のTg、El、IV、結晶化度を表1に示
す。この片面樹脂被覆すずメッキ鋼板を用い、表1に示
す条件で絞りしごき缶を作製した。このようにして得た
絞りしごき缶について、平均すず被覆厚み、有機樹脂被
膜厚み、ネック部、フランジ部のリフロー部分の面積測
定、すず被膜の被覆係数の測定、成形・製缶状態の肉眼
観察、フレーバー性の評価、実缶保存試験評価を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0032】実施例4−2、比較例4−1 実施例4−2、比較例4−1は、ポリエステル樹脂の破
断伸びがそれぞれ133%、3%であること以外は実施
例4−1と同様にして絞りしごき缶を作製し、実施例4
−1と同様にして平均すず被覆厚み、有機樹脂被膜厚
み、ネック部、フランジ部のリフロー部分の面積測定、
すず被膜の被覆係数の測定、成形・製缶状態の肉眼観
察、フレーバー性の評価、実缶保存試験評価を行った。
その結果を表1に示す。
【0033】実施例5−1 0.245mm厚み、テンパー4、E2.8/2.8ぶ
りきの片面に、厚み30μmのIVが約1.0の二軸延
伸状態の結晶性ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフ
タレート/イソフタレート系)を熱被覆し、ラミネート
板(成形前)のポリエステル樹脂の結晶化度が5%にな
るように230℃に保持したのち、急冷した。この樹脂
の被覆後のTg、El、IV、結晶化度を表1に示す。
このときのラミネート後のポリエステル樹脂のIVは
1.00であった。この片面樹脂被覆すずメッキ鋼板を
用い、表1に示す条件で絞りしごき缶を作製した。この
ようにして得た絞りしごき缶について、平均すず被覆厚
み、有機樹脂被膜厚み、ネック部、フランジ部のリフロ
ー部分の面積測定、すず被膜の被覆係数の測定、成形・
製缶状態の肉眼観察、フレーバー性の評価、実缶保存試
験評価を行った。その結果を表1に示す。
【0034】実施例5−2、比較例5−1、5−2 実施例5−2、比較例5−1、5−2は、ラミネート後
のポリエステル樹脂のIVがそれぞれ0.68、0.6
3、0.56であること以外は実施例5−1と同様にし
て絞りしごき缶を作製し、実施例5−1と同様にして平
均すず被覆厚み、有機樹脂被膜厚み、ネック部、フラン
ジ部のリフロー部分の面積測定、すず被膜の被覆係数の
測定、成形・製缶状態の肉眼観察、フレーバー性の評
価、実缶保存試験評価を行った。その結果を表1に示
す。
【0035】比較例6−1、6−2 比較例6−1、6−2は、0.245mm厚み、テンパ
ー4、D6.0/2.8ぶりき、E2.8/2.8ぶり
きを、2.8側を外面側にして、有機樹脂被覆のない状
態で絞りしごき加工し、洗浄・乾燥したのちに、ビニル
オルガノゾル系の樹脂をスプレー塗装し、焼付硬化を行
い、絞りしごき缶を製缶し、缶壁内面平均すず被覆厚み
の測定、すず被膜の被覆係数の測定、フレーバー性の評
価、実缶保存試験評価を行った。その結果、缶壁内面平
均すず被覆厚みはそれぞれ2.0g/m、0.9g/
であり、缶壁内面すず被覆率はそれぞれ81%、7
7%であり、実缶保存試験でのFe溶出量はそれぞれ
2.7ppm、6.5ppmであり、UFC評価はそれ
ぞれ×、×であり、フレーバー官能試験評価はそれぞれ
×、×であった。また実缶保管試験ではそれぞれ100
缶中、5缶、9缶に蓋巻締部からの穿孔漏洩があった。
【0036】実施例7−1 0.245mm厚み、テンパー4、D6.0/2.8の
軟鋼板の6.0側(内面側)に、厚み30μmの非晶状
態の結晶性ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレ
ート/イソフタレート系)を熱被覆し、急冷した。この
樹脂の被覆後のTg、El、IV、結晶化度を表1に示
す。この片面樹脂被覆すずメッキ鋼板を用い、表1に示
す条件で絞りしごき缶を作製した。このようにして得た
絞りしごき缶について、平均すず被覆厚み、有機樹脂被
膜厚み、ネック部、フランジ部のリフロー部分の面積測
定、すず被膜の被覆係数の測定、成形・製缶状態の肉眼
観察、フレーバー性の評価、実缶保存試験評価を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0037】実施例7−2、7−3、比較例7−1、7
−2 実施例7−2はD4.5/2.8ぶりき(4.5が内面
側)、実施例7−3、比較例7−1、7−2は、軟鋼板
片面(内面測)のすずメッキ量がそれぞれ0.6g/m
、0.3g/m、0.0g/mであり他面(外面
側)のすずメッキ量がいずれも2.8となるようにすず
メッキを行い、それ以外は実施例7−1と同様にして絞
りしごき缶を作製し、実施例7−1と同様にして平均す
ず被覆厚み、有機樹脂被膜厚み、ネック部、フランジ部
のリフロー部分の面積測定、すず被膜の被覆係数の測
定、成形・製缶状態の肉眼観察、フレーバー性の評価、
実缶保存試験評価を行った。その結果を表1に示す。
【0038】比較例8 比較例8は、最終しごき後の冷却を行わないこと以外は
実施例1−2と同様にして絞りしごき缶を作製した。実
施例1−2と同様にしてネック部・フランジ部のリフロ
ー部分の面積測定を行った。その結果を表1に示す。ネ
ック・フランジ成形時、ネック部・フランジ部のリフロ
ー部からのポリエステル被膜が剥離したため、その他の
評価は行わなかった。
【0039】実施例9−1 1st、2nd、3rdとも入角2°のアイアニングダ
イ(以下IDと略)を用いた以外は実施例1−2と同様
にして、絞りしごき缶を作製した。このときの各種条件
を表1に示す。このようにして得た絞りしごき缶につい
て、平均すず被覆厚み、有機樹脂被膜厚み、ネック部、
フランジ部のリフロー部分の面積測定、すず被膜の被覆
係数の測定、成形・製缶状態の肉眼観察、フレーバー性
の評価、実缶保存試験評価を行った。その結果を表1に
示す。
【0040】実施例9−2、9−3、比較例9−1、9
−2 実施例9−2、9−3、比較例9−1、9−2は、ID
入角がそれぞれ6°、8°、10°、12°であること
以外は実施例9−1と同様にして絞りしごき缶を作製
し、実施例9−1と同様にして平均すず被覆厚み、有機
樹脂被膜厚み、ネック部、フランジ部のリフロー部分の
面積測定、すず被膜の被覆係数の測定、成形・製缶状態
の肉眼観察、フレーバー性の評価、実缶保存試験評価を
行った。その結果を表1に示す。
【0041】実施例10−1 0.245mm厚み、テンパー1、E2.8/2.8ぶ
りきの片面に、厚み30μmの非晶状態の結晶性ポリエ
ステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート/イソフタレ
ート系)を熱被覆し、急冷した。この樹脂の被覆後のT
g、El、IV、結晶化度を表1に示す。この片面樹脂
被覆すずメッキ鋼板を用い、樹脂被覆面が缶内面になる
ようにして、ブランク径142mmにブランキングし、
絞り比2.1でカップを成形後、3工程のしごき成形を
行い、缶胴径65.8mm、缶胴金属厚み80μm、ネ
ック部金属厚み135μmの絞りしごきカップを成形し
た。この絞りしごきカップを、缶高さが123mmにな
るようにトリミングし、洗浄乾燥した後、外面を印刷し
200℃で30秒加熱後、缶上部を内径57.25mm
に縮径するとともにフランジを成形し絞りしごき缶を得
た。成形の条件を表1に示す。このようにして得た絞り
しごき缶について、平均すず被覆厚み、有機樹脂被膜厚
み、ネック部・フランジ部のリフロー部分の面積測定、
すず被膜の被覆係数の測定、成形・製缶状態の肉眼観
察、フレーバー性の評価、実缶保存試験評価を行った。
その結果を表1に示す。
【0042】実施例1−1〜1−3、3−1、3−2、
7−1〜7−3、10−1から、絞りしごき缶が缶内面
となる面に予め熱可塑性樹脂を熱被覆したすずメッキ鋼
板から成形されており、缶胴内面の熱可塑性樹脂の主成
分が結晶性ポリエステル樹脂であり、缶側壁部における
熱可塑性樹脂層の平均厚みが5〜30μmであり、缶壁
内面平均すず被覆厚みが0.2〜2.0g/mであ
り、すずの有効被覆率が85%以上であって、ネック部
とフランジ部のすずがリフローしていない場合、耐食性
(Fe溶出、UFC、穿孔腐食性)とフレーバー性(耐
香気成分収着性、耐異臭成分溶出性)に優れることが分
かる。
【0043】比較例6−1、6−2から、絞りしごき缶
が有機被膜の内すずメッキ鋼板から成形されたのち、ス
プレー塗装されることにより有機被膜を形成された場
合、缶壁内面平均すず被覆厚みが0.2〜2.0g/m
であり、ネック部とフランジ部のすずがリフローして
いなくても、すずの有効被覆率が85%を下回り、耐食
性とフレーバー性が劣ることが分かる。
【0044】比較例3−3から、絞りしごき缶が、缶内
面となる面に予め熱硬化性樹脂を被覆しその上に熱可塑
性樹脂を被覆したすずメッキ鋼板から成形された場合、
熱可塑性樹脂の主成分が結晶性ポリエステル樹脂であ
り、缶側壁部における熱可塑性樹脂層の平均厚みが5〜
30μmであり、缶壁内面平均すず被覆厚みが0.2〜
2.0g/mであり、ネック部とフランジ部のすずが
リフローしていなくても、すずの有効被覆率が85%を
下回り、耐食性とフレーバー性が劣ることが分かる。
【0045】比較例3−4から、缶胴内面の熱可塑性樹
脂の主成分が非晶性(熱結晶性のない)ポリエステル樹
脂の場合、絞りしごき缶が缶内面となる面に予め熱可塑
性樹脂を熱被覆したすずメッキ鋼板から成形されてお
り、缶側壁部における熱可塑性樹脂の平均厚みが5〜3
0μmであり、缶壁内面平均すず被覆厚みが0.2〜
2.0g/mであり、ネック部とフランジ部のすずが
リフローしていなくても、すずの有効被覆率が85%を
下回り、耐食性とフレーバー性が劣ることが分かる。
【0046】比較例1−1から、缶側壁部における熱可
塑性樹脂の平均厚みが5μmを下回る場合、絞りしごき
缶が缶内面となる面に予め熱可塑性樹脂を熱被覆したす
ずメッキ鋼板から成形されており、缶胴内面の熱可塑性
樹脂の主成分が結晶性ポリエステル樹脂であり、缶壁内
面平均すず被覆厚みが0.2〜2.0g/mであり、
ネック部とフランジ部のすずがリフローしていなくて
も、すずの有効被覆率が85%を下回り、耐食性とフレ
ーバー性が劣ることが分かる。
【0047】比較例1−2から、缶側壁部における熱可
塑性樹脂の平均厚みが30μmを上回る場合、絞りしご
き缶が缶内面となる面に予め熱可塑性樹脂を熱被覆した
すずメッキ鋼板から成形されており、缶胴内面の熱可塑
性樹脂の主成分が結晶性ポリエステル樹脂であり、缶壁
内面平均すず被覆厚みが0.2〜2.0g/mであ
り、すずの有効被覆率が85%を以上であり、ネック部
とフランジ部のすずがリフローしていなくても、フラン
ジ部に有機樹脂と金属の間で剥離が起こり、製缶出来な
いことが分かる。
【0048】比較例7−1、7−2から、缶壁内面平均
すず被覆厚みが0.2g/mを下回る場合、絞りしご
き缶が缶内面となる面に予め熱可塑性樹脂を熱被覆した
すずメッキ鋼板から成形されており、缶胴内面の熱可塑
性樹脂の主成分が結晶性ポリエステル樹脂であり、缶側
壁部における熱可塑性樹脂の平均厚みが5〜30μmで
あり、ネック部とフランジ部のすずがリフローしていな
くても、すずの有効被覆率が85%を下回り、耐食性と
フレーバー性が劣ることが分かる。
【0049】比較例1−1、2−1、2−2、3−1〜
3−4、4−1、5−1、5−2、6−1、6−2、7
−1、7−2、9−1、9−2、10−1から、すずの
有効被覆率が85%を下回ると、耐食性とフレーバー性
が劣ることが分かる。
【0050】比較例8から、絞りしごき缶が缶内面とな
る面に予め熱可塑性樹脂を熱被覆したすずメッキ鋼板か
ら成形されており、ネック部とフランジ部のすずがリフ
ローした場合、缶胴内面の熱可塑性樹脂の主成分が結晶
性ポリエステル樹脂であり、缶側壁部における熱可塑性
樹脂の平均厚みが5〜30μmであり、缶壁内面平均す
ず被覆厚みが0.2〜2.0g/mであっても、ネッ
ク・フランジ加工時に有機樹脂と金属の間に剥離が起こ
り、製缶できないことが分かる。
【0051】実施例2−1、2−2、3−1、3−2、
4−1、4−2、5−1、5−2、9−1〜9−3、比
較例2−1、2−2、3−1、3−2、4−1、5−
1、5−2、8、9−1、9−2、から、缶胴内面の熱
可塑性樹脂の主成分である結晶性ポリエステル樹脂のT
gが55℃以上、IVが0.65以上で、成形加工前樹
脂の結晶化度が5%以下であり、Elが100%以上で
あり、アイアニングダイの入角度が2〜8度であり、最
終しごき工程後直ちに冷却して製造することにより、絞
りしごき缶が缶内面となる面に予め熱可塑性樹脂を熱被
覆したすずメッキ鋼板から成形されており、缶胴内面の
熱可塑性樹脂の主成分が結晶性ポリエステル樹脂であ
り、缶側壁部における熱可塑性樹脂層の平均厚みが5〜
30μmであり、缶壁内面平均すず被覆厚みが0.2〜
2.0g/mであり、すずの有効被覆率が85%を以
上であって、ネック部とフランジ部のすずがリフローし
ていない、耐食性とフレーバー性に優れた絞りしごき缶
を製造することが分かる。
【0052】
【表1】
【0053】(註) 表中のA〜Sは次の意味の略号で
ある。 A: イソフタル酸共重合PET B: セバシン酸共重合PET C: アジピン酸共重合PET D: 熱硬化樹脂(接着層)+イソフタル酸共重合PE
T E: 熱結晶性のないイソフタル酸共重合PET F: 缶内面平均有機樹脂被膜(μm) G: 缶内面平均すず被覆厚み(g/m) H: 缶内面すず有効被覆率(0.1g/m) I: ネックフランジ部リフロー面積(cm) J: 加工前樹脂のTg(℃) K: 加工前樹脂のIV(dl/g) L: 加工前樹脂のEI(%) M: 加工前樹脂の結晶化度(%) N: 最終しごき直前の冷却 O: アイアニングダイ入角度(度) P: 腐食性評価 Q: フレーバー性評価 R: 香気成分収着 S: フレーバー官能試験 なお、比較例1−2は成形、製缶状態が不良でフランジ
が剥離した。比較例8はネックフランジ部が剥離した。
【0054】
【発明の効果】本発明は従来知られていない、すずメッ
キ層が0.2g/m〜2.0g/mの薄層であっ
て、その表面に熱可塑性樹脂の5〜30μmの同時加工
されたラミネート層を設けたすずの有効被覆率が85%
以上の絞りしごき缶であって耐食性と耐フレーバー性に
非常に優れた効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B32B 15/08 104 B32B 15/08 104A C23C 2/08 C23C 2/08 (56)参考文献 特開 昭60−168643(JP,A) 特開 平4−224936(JP,A) 実開 昭60−1515(JP,U) 特公 平1−55055(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21D 22/02 B21D 22/28 B21D 24/00 B21D 51/18 B21D 51/26

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも缶内面となる片面に予め熱可
    塑性樹脂を被覆したすずメッキ鋼板で成形した絞りしご
    き缶であって、熱可塑性樹脂の主成分が結晶性ポリエス
    テル樹脂であり、缶側壁部における該樹脂層の平均厚み
    は5〜30μmであり、すず被膜の平均厚みが0.2〜
    2.0g /m であり、すずの有効被覆率が85%以
    上であって、最終しごき工程後直ちに冷却することによ
    ネック部とフランジ部のすずがリフローしていないこ
    とを特徴とする耐食性とフレーバー性に優れた2ピース
    絞りしごき缶。
  2. 【請求項2】 被覆樹脂の主成分である結晶性ポリエス
    テル樹脂のTgが55℃以上、固有粘度(IV)が0.
    65以上である、請求項1に記載された耐食性とフレー
    バー性に優れた2ピース絞りしごき缶。
  3. 【請求項3】 すずの有効被覆率が、すず被膜の厚みが
    0.1g/m以上の部分の占める割合を示す値であ
    る、請求項1または2に記載された、耐食性とフレーバ
    ー性に優れた2ピース絞りしごき缶。
  4. 【請求項4】 すずメッキ厚みが0.4〜6.0g/m
    であるすずメッキ鋼板の缶内側となる面に、結晶性ポ
    リエステル樹脂を主成分とする結晶化度が5%以下、厚
    みが15〜90μm、破断伸びが100%以上、Tgが
    55℃以上、固有粘度(IV)が0.65以上である熱
    可塑性樹脂被覆を配置して、1回以上の絞り成形により
    カップを作り、次にパンチと入角度が2〜8度のアイア
    ニングダイにより、しごき加工を行い、最終しごき工程
    後直ちに冷却することにより、缶側壁部における樹脂層
    の平均厚みが5〜30μm、すず被膜の平均厚みが0.
    2〜2.0g/m、すずの有効被覆率が85%以上で
    あって、ネック部とフランジ部のすずがリフローしてい
    ないことを特徴とする耐食性とフレーバー性に優れた2
    ピース絞りしごき缶の製造方法。
  5. 【請求項5】 成形前および成形時にカップ内面のすず
    層の温度を232℃を越えない温度に維持して成形し、
    最終しごき成形の後急冷してネッキング部とフランジ部
    の内面側すず温度を232℃以下とした、請求項4に記
    載された耐食性とフレーバー性に優れた2ピース絞りし
    ごき缶の製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリエステル樹脂を主成分とする熱可塑
    性樹脂被覆を絞りしごき加工の工程で配向結晶化させ
    る、請求項4または5に記載された耐食性とフレーバー
    性に優れた2ピース絞りしごき缶の製造方法。
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