JP3915187B2 - 積層体及びそれを用いた容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属基体とこれに積層されたポリエステルフィルムとから成る積層体並びにこの積層体を絞り或いは更にしごき加工により成形したシームレス容器に関するものである。より詳細には、耐熱デント性、高温での熱履歴を受けた後での耐デント性が顕著に改善された積層体及びこの積層体から形成されたシームレス容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、側面無継目缶(サイド・シームレス缶)としては、アルミニウム板、ブリキ板或いはティン・フリー・スチール板等の金属素材を、絞りダイスとポンチとの間で少なくとも1段の絞り加工に付して、側面継目のない胴部と該胴部に、継目なしに一体に接続された底部とから成るカップに形成し、次いで所望により前記胴部に、しごきポンチとダイスとの間でしごき加工を加えて、容器胴部を薄肉化したものが知られている。また、しごき加工の代わりに、再絞りダイスの曲率コーナ部で曲げ伸ばして側壁部を薄肉化することも既に知られている(特公昭56−50142号公報)。
【0003】
また、側面無継目缶の有機被覆法としては、一般に広く使用されている成形後の缶に有機塗料を施す方法の他に、成形前の金属素材に予め樹脂フィルムをラミネートする方法が知られており、特公昭59−34580号公報には、金属素材にテレフタル酸とテトラメチレングリコールとから誘導されたポリエステルフィルムをラミネートしたものを用いることが記載されている。また、曲げ伸ばしによる再絞り缶の製造に際して、ビニルオルガノゾル、エポキシ、フェノリクス、ポリエステル、アクリル等の被覆金属板を用いることも知られている。
【0004】
ポリエステル被覆金属板の製造についても、多くの提案があり、例えば、特開平51−4229号公報には、表面に二軸配向が残存しているポリエチレンテレフタレートより成る被膜が記載され、更に特開平6−172556号公報には、極限粘度[η]が0.75以上のポリエステルフィルムを金属ラミネートに用いることが提案されている。
【0005】
また、特開平3−101930号公報には、金属板と、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルフィルム層と、必要により金属板とポリエステルフィルムとの間に介在する接着プライマー層との積層体から成り、該ポリエステルフィルム層は、式
Rx =IA /IB
式中、IA はポリエステルフィルム表面に平行な、面間隔約0.34nm(CuKαX線回折角が24゜から28゜)の回折面によるX線回折強度、IB はポリエステルフィルム表面に平行な、面間隔約0.39nm(CuKαX線回折角が21.5゜から24゜)の回折面によるX線回折強度、
で定義されるX線回折強度が0.1乃至15の範囲内にあり且つ結晶の面内配向の異方性指数が30以下であるフィルム層から成ることを特徴とする絞り缶用被覆金属板が記載されており、また、上記被覆金属板を絞り再絞り成形し、且つ再絞り成形に際して缶胴側壁部を曲げ伸ばしにより薄肉化して成る薄肉化絞り缶が記載されている。
【0006】
ポリエステルの耐熱性や耐衝撃性を改善するために、ポリエステルに酸化防止剤を配合することはよく行われており、また、金属板にラミネートするポリエステルフィルムの耐熱性や耐衝撃性を改善するために、ポリエステル中に酸化防止剤を配合することも既に知られており、例えば、特開平7−138387号公報には、酸化防止剤0.01乃至5重量%を含むポリエステル組成物より形成された金属ラミネート用ポリエステル系フィルムが記載されており、特開平7−207039号公報には、融点が120乃至260℃、ジエチレングリコール成分を0.01乃至1重量%含有し、酸化防止剤を0.001乃至1重量%含有することを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィルムが記載されている。
【0007】
本発明者らは先に、金属基体とポリエステルを主体とする樹脂層とから成る積層体において、前記樹脂層が、(i)エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルと(ii) (a)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたエステル単位と (b)ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたエステル単位とを90:10乃至40:60のモル比で含む共重合ポリエステルとを(i):(ii)=70:30乃至10:90の重量比で含有する組成物から成ることを特徴とする積層体及びこの積層体を絞り成形或いは更にしごき成形して成るシームレス容器を提案した(これについて特許出願中)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
実際の缶詰製品に要求される実用的な耐衝撃性として、耐デント性と呼ばれるものがある。これは、缶詰製品を落下して、或いは缶詰製品同士が相互に衝突して、缶詰製品に打痕と呼ばれる凹みが生じた場合にもなお、被覆の密着性やカバレージが完全に保たれることが要求されるという特性である。即ち、デント試験で被覆が剥離し或いは被覆にピンホールやクラックが入る場合には、この部分から金属溶出や孔食による漏洩等を生じて、内容物の保存性を失うという問題を生じるのである。
【0009】
次に、缶詰用缶の場合、被覆への熱処理の影響を避けることができない。即ち、缶の外面に内容物等を表示する印刷を施すのが普通であり、印刷インクを焼き付けるための加熱の影響が、ポリエステルフィルムに生じる。また、実際の製缶においては、樹脂被覆の歪み除去安定化等を目的として、缶の加熱が行われる場合もあり、この加熱によるポリエステルへの影響も無視できない。ポリエステルは、加熱により熱劣化、即ち分子量が低下する傾向があり、これにより耐デント性が低下し、金属基体との密着性低下或いは被覆性低下やネックイン加工、巻締加工等の際の加工性が低下する。
【0010】
本発明者らが先に提案した、特定組成のポリエステル組成物の層を備えた積層体は、加工性、耐デント性、耐腐食性及び耐熱性の組み合わせに優れたものであるが、一定限度以上の温度での熱履歴を受けると、耐デント性が著しく低下することが分かった。
【0011】
従って、本発明の目的は、高温での熱履歴を受けた後での耐デント性が顕著に改善されたポリエステル−金属積層体並びにこの積層体から形成されたシームレス容器を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、金属基体とポリエステルを主体とする樹脂層とから成る積層体において、前記樹脂層が、(I)ポリエチレンテレフタレート・セグメントと(II)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントと(III )ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントとを、合計量を100重量部として、I:II:III =10〜70:12〜81:3〜54の重量比で含有するポリエステル乃至ポリエステル組成物から成り且つ該ポリエステル乃至ポリエステル組成物100重量部当たり0.01乃至1.5重量部の分子量400以上の非イオウ系酸化防止剤を少なくとも一種類含有することを特徴とする積層体が提供される。
【0013】
本発明によればまた、金属基体とポリエステルを主体とする複層樹脂層とから成る積層体において、前記複層樹脂層の表面樹脂層がエチレンテレフタレート単位或いはエチレンテレフタレート/イソフタレート単位を主体とするポリエステルから成り且つ前記複層樹脂層の下地樹脂層が、(I)ポリエチレンテレフタレート・セグメントと(II)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントと(III )ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントとを、合計量を100重量部として、I:II:III =10〜70:12〜81:3〜54の重量比で含有するポリエステル乃至ポリエステル組成物から成り且つ該ポリエステル乃至ポリエステル組成物100重量部当たり0.01乃至1.5重量部の分子量400以上の非イオウ系酸化防止剤を少なくとも一種類含有することを特徴とする積層体が提供される。
【0014】
本発明によれば更に、上記積層体をしぼり成形或いは更にしごき成形して成ることを特徴とするシームレス容器が提供される。
【0015】
【作用】
本発明では、金属基体に積層されるポリエステルとして、(I)ポリエチレンテレフタレート・セグメントと(II)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントと(III )ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントとを、合計量を100重量部として、I:II:III =10〜70:12〜81:3〜54の重量比で含有するポリエステル乃至ポリエステル組成物を用いることが第一の特徴であり、これにより、積層体に優れた加工性、耐衝撃性(耐デント性)、耐腐食性及び耐熱性を付与することができる。これらの特性は、金属基体−ポリエステル積層体を絞り−再絞り加工或いは絞り−しごき加工等に付して、シームレス缶を製造するときに極めて重要な特性である。
【0016】
本発明に使用するポリエステルにおいて、上記エチレンテレフタレート・セグメント(I)は、形成される被覆に機械的強度や剛性及び耐熱性を付与する成分であり、一方ポリエステル・セグメント(II)及び(III )は形成されるポリエステル被覆のガラス転移温度を低下させると同時に結晶化速度を速くし、微細結晶を生成するとともに、ポリエステル被覆層の加工性を向上させ、さらに缶の用途に適用した際の耐デント性を向上させる成分であり、これらを組み合わせて用いることにより、耐熱性を低下させることなく、耐衝撃性の向上が得られる。
【0017】
即ち、ポリエステル・セグメント(II)及びポリエステル・セグメント(III )を同時に組み込むことによって、デント試験後の金属露出による電流値を約3桁低い値に抑制できる。
【0018】
本発明のポリエステル乃至ポリエステル組成物は、前述した重量比の組成を有することも重要であり、ポリエステル・セグメント(I)の量が70重量部よりも多いときには、ポリエステル組成物の耐衝撃性が本発明の範囲内にある場合に比して低下する傾向があり、一方ポリエステル(I)の量が10重量部よりも少ないときには、ポリエステル組成物の耐熱性が本発明の範囲内にある場合に比して低下する傾向があり、更にフィルムが工具に粘着したりする成形上の問題があり、いずれも好ましくない。
【0019】
また、ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメント(II)の量が81重量部よりも多いときや、ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメント(III )の量が54重量部よりも多いときには、耐衝撃性が本発明の場合に比して低下する傾向があり、特にシームレス缶にしたとき、衝撃を受けた際の金属露出(ERV)が大きくなる。また、ポリエステル・セグメント(II)の量が12重量部よりも少ないときや、ポリエステル・セグメント(III )の量が3重量部よりも少ないときには、耐衝撃性能がやはり本発明の場合に比して低下する傾向があり、特にシームレス缶にしたとき、衝撃を受けた際の金属露出(ERV)が大きくなり、耐衝撃性に関してポリエステル・セグメント(II)及び(III )の量には最適範囲がある。
【0020】
本発明においては、ポリエステル組成物が(I)エチレンテレフタレート・セグメントを主体とするポリエステルと、ポリエステル・セグメント(II)及びポリエステル・セグメント(III )を含む共重合ポリエステルとのブレンド物であることが、耐熱性の点で、特に好ましい。たとえば同じ成分比であっても、これら三者が共重合ポリエステル中に存在する場合には、その融点が低下する傾向があるが、上記のブレンドの形で用いることにより、被覆の耐熱性が向上する。
【0021】
本発明では、上記のポリエステル乃至ポリエステル組成物100重量部当たり分子量400以上の非イオウ系酸化防止剤を0.01乃至1.5重量部の範囲で含有させることが第二の特徴であり、これにより、高温での熱処理を受けた後での耐デント性を著しく向上させることができる。
【0022】
即ち、金属−ポリエステル積層体を絞り成形して成るシームレス缶では、ポリエステル被覆層に歪みが残留しており、缶の耐久性や耐熱水性の点では、この歪みを高温での熱処理により除去することが望ましい。本発明で用いる特定のポリエステル乃至ポリエステル組成物は、それ自体耐デント性に優れたものではあるが、例えば240℃で3分間の熱処理を受けると、デント試験後の電流値(金属露出の尺度)が十数mAという大きな値に達するのであり(後述する比較例1及び8、9参照)この原因は、ポリエステルが著しい熱減成を受けるためである。
【0023】
樹脂の熱減成防止のために、酸化防止剤を配合することは一般的であるが、例えば酸化防止剤として最も一般的な2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を配合したのでは、熱処理時における熱減成防止も達成されず、デント試験後の電流値も依然として高いレベルである。これはBHTの分子量が小さく、比較的高温となるポリエステルの溶融押出し条件では、その多くが揮発してしまい、熱処理時には十分な酸化防止効果が得られないことに起因する。(後述する比較例3参照)。
【0024】
これに対して、分子量400以上の非イオウ系酸化防止剤を選択し、これを前記ポリエステル乃至ポリエステル組成物に配合すると、熱処理時における減成が完全に防止されると共に、デント試験後における電流値を未添加の場合の値よりも4桁低い値に抑制できるのであって、これは本発明における予想外の効果である。尚、使用する酸化防止剤を非イオウ系と限定しているのは、イオウ系の酸化防止剤では、添加したポリエステル組成物に着色や異臭が生じるためである(後述する比較例2参照)。
【0025】
本発明では、上記酸化防止剤を0.01乃至1.5重量部の限定された量で用いることも重要であり、上記範囲を下回ると所定の効果が得られなく、一方上記範囲を上回ると、ポリエステルのゲル化を生じて被膜の平滑性が失われてシームレス缶への成形が困難となる傾向がある。
【0026】
本発明の積層体及びシームレス容器において、上記ポリエステル・セグメント(I)(II)及び(III )を含有する酸化防止剤配合ポリエステル乃至ポリエステル組成物は、少なくとも、耐食性が問題となる缶内面側に設けるべきであり、これは単層で設けても、或いは多層で設けてもよい。後者の場合、酸化防止剤配合ポリエステル層を下地樹脂層として設け、この下地樹脂層の上に表面樹脂層として、エチレンテレフタレート単位或いはエチレンテレフタレート/イソフタレート単位を主体とするエチレンテレフタレート系ポリエステルを設けるのが、加工性、耐食性、耐衝撃性、フレーバー保持性等の総合的見地から望ましい。
【0027】
本発明において、ポリエステルを主体とする層は、押出コートにより金属基体上に設けられていても、或いは二軸延伸フィルムの形で金属基体上に熱接着されていてもよい。前者の場合、ポリエステルを製膜し、二軸延伸することなしに直接ラミネートすることができ、この場合にも十分にシームレス缶に加工でき、この缶においても前述した諸特性が得られるという利点がある。このため、前者の態様によれば、諸工程を省略して、生産性を高め、設備費を節減して、高性能のシームレス缶を安価に提供できるという利点をもたらす。また、後者の場合、フィルムの製膜工程やラミネート工程での熱減成の程度が少なく、缶底部において、ポリエステルの二軸分子配向による耐衝撃性や耐腐食性の向上効果を享受できるという利点がある。
【0028】
【発明の実施形態】
[ポリエステル組成物]
(ポリエステル)
本明細書において、セグメントとは、通常使用されている意味、即ち、鎖状高分子の特性を統計的に表現する際に使用される高分子鎖中の最小単位である。本発明に用いるポリエステル乃至ポリエステル組成物は、(I)ポリエチレンテレフタレート・セグメントと(II)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントと(III )ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントとを、合計量を100重量部として、I:II:III =10〜70:12〜81:3〜54の重量比、特にI:II:III =10〜55:18〜60:15〜54の重量比で含有する。即ち、これらの各ポリエステル・セグメントは、それぞれ固有の特性を示すものであることは、既に指摘したところであるが、これらの各ポリエステル・セグメントは、統計的に上記の組成比でポリエステル乃至ポリエステル組成物に含まれていればよく、その存在状態は特に問わない。例えば、ポリエステル相互のブレンド物でもよく、また共重合ポリエステルでもよい。しかしながら、本発明においては、(I)エチレンテレフタレート・セグメントを主体とするポリエステルと、ポリエステル・セグメント(II)及びポリエステル・セグメント(III )を含む共重合ポリエステルとのブレンド物であることが好ましいので、以下この例について詳細に説明するが、本発明はこの場合に限定されない。
【0029】
本発明で一方の成分として用いるエチレンテレフタレート系結晶性ポリエステルは、エステル反復単位の大部分、80モル%以上をエチレンテレフタレート単位が占める結晶性ポリエステルが好適である。ホモポリエチレンテレフタレートが耐熱性の点で好適であるが、エチレンテレフタレート単位以外のエステル単位の少量を含む共重合ポリエステルも使用し得る。
【0030】
テレフタル酸以外の酸成分としては、イソフタル酸、オルソフタル酸、P−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリメリット酸及びピロメリット酸から成る群より選ばれた多塩基酸の少なくとも1種が好適である。共重合成分としてイソフタル酸を含むポリエステルは耐内容物性、内容物の香味保持性等に優れている。
【0031】
ジオール成分は、エチレングリコールのみからなることが好適であるが、本発明の本質を損なわない範囲で、それ以外のジオール成分、例えば、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が含まれていてもよい。
【0032】
用いるエチレンテレフタレート系結晶性ポリエステルは、フィルム形成範囲の分子量を有するべきであり、溶媒として、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定した極限粘度〔η〕は0.5乃至1.5、特に0.6乃至1.5の範囲にあるのがよい。
また、このポリエステルの融点(Tm)は、200乃至290℃、特に210乃至280℃の範囲に、またガラス転移点(Tg)は、20乃至90℃、特に30乃至90℃の範囲にあるのがよい。
【0033】
本発明で他方の成分として用いる共重合ポリエステルは、(II)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたエステル単位と(III )ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたエステル単位とを前記量比で含む共重合ポリエステルである。
【0034】
エステル単位(II)を構成する芳香族二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、P−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸等が挙げれるが、テレフタル酸が好適である。
【0035】
エステル単位(III )を構成する脂肪族二塩基酸成分としては、コハク酸、アゼライン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ダイマー酸等をあげることができるが、Tgを低下する効果が大きいことから長鎖の脂肪族二塩基酸が好ましく、工業的生産の見地から特にアジピン酸が好ましい。
【0036】
ジオール成分は、ブチレングリコールのみからなることが好適であるが、本発明の本質を損なわない範囲内で、ブチレングリコール以外のジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上を含有していてもよい。
【0037】
この共重合ポリエステルは、芳香族エステル単位(II)と 脂肪族エステル単位(III )とを前記量比で含むことも重要であり、脂肪族エステル単位の含有量が上記範囲よりも少ないときには、耐衝撃性(耐デント性)の改善が不十分であり、一方上記範囲を上回ると、被覆の耐熱性、加工性、腐食成分に対するバリアー性等が低下するようになる。
【0038】
この共重合ポリエステルも、フィルム形成範囲の分子量を有するべきであり、溶媒として、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定した極限粘度〔η〕は0.5乃至1.5、特に0.6乃至1.5の範囲にあるのがよい。 また、共重合ポリエステル(ii)の融点(Tm)は、120乃至230℃、特に130乃至225℃の範囲に、またガラス転移点(Tg)は、−30乃至30℃、特に−30乃至20℃の範囲にあるのがよい。
【0039】
本発明では、エチレンテレフタレート系ポリエステルと上記の特定の共重合ポリエステルとを前述した量比となるようにブレンドして使用する。混合は乾式混合で行っても、或いはメルトブレンドによって行ってもよい。
【0040】
本発明で用いるポリエステル組成物は、エチレンテレフタレート系ポリエステルと共重合ポリエステルのブレンドであることに関連して、示差熱分析に付すると、エチレンテレフタレート系ポリエステルに特有の融点(Tm1 )、共重合ポリエステルに特有の融点(Tm2 )を示す。勿論、各ピークの高さは両成分の配合比に依存する。この事実は、均一の組成物であっても、エチレンテレフタレート系ポリエステルと共重合ポリエステルとが主として互いに独立の相として存在していることを示している。
【0041】
(酸化防止剤)
本発明に用いる酸化防止剤は、分子量400以上の酸化防止剤であり、これに限定されるものではないが、高分子フェノール系酸化防止剤、例えば、
テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン(分子量1177.7)、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(分子量544.8)、
1,3,5−トリメチルー2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(分子量775.2)、
ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル(分子量794.4)、
1,3,5−トリス(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン 2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン(分子量783.0)、
トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](分子量586.8)、
1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(分子量638.9)
等を用いることができる。中でも特に、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンが好適である。
【0042】
分子量400以上の酸化防止剤の他の例として、トコフェロール系酸化防止剤、例えばα−型、β−型、γ−型、δ−型等のトコフェロールを挙げることができる。α−トコフェロールが特に好適である。
【0043】
これらの酸化防止剤は、前記ポリエステル乃至ポリエステル組成物100重量部当たり0.01乃至1.5重量部の量で用いる。
【0044】
勿論、このポリエステル組成物には、それ自体公知の樹脂用配合剤、例えば非晶質シリカ等のアンチブロッキング剤、二酸化チタン(チタン白)等の顔料、各種帯電防止剤、滑剤等を公知の処方に従って配合することができる。
【0045】
本発明において、積層体の製造に予め製膜されたポリエステルフィルムを使用する場合、このフィルムは前述したブレンド物単独のフィルムであっても、このブレンド物層を含む多層フィルムであってもよい。多層フィルムの場合、下地樹脂層がブレンド物から成り、表面樹脂層が前述したエチレンテレフタレート系結晶性ポリエステル或いはエチレンテレフタレート単位を主体としエチレンイソフタレート単位を20モル%以下の量で含む共重合ポリエステルから成るのがよい。このフィルムは、上記ポリエステル組成物をT−ダイ法やインフレーション製膜法でフィルムに成形し、このフィルムを延伸温度で、逐次或いは同時二軸延伸し、延伸後のフィルムを熱固定することにより製造される。
【0046】
本発明に使用するポリエステル系フィルムの厚みは、全体として、2乃至100μm、特に5乃至50μmの範囲にあるのが金属の保護効果及び加工性の点でよい。多層フィルムの場合、ブレンド物層と、エチレンテレフタレート系ポリエステル層とは、96:4乃至4:96の厚み比を有するのがよい。
【0047】
ポリエステル系フィルムは一般に二軸延伸されているべきである。二軸配向の程度は、X線回折法、偏光蛍光法、複屈折法、密度勾配管法密度等でも確認することができる。フィルムの二軸延伸の程度は、0.04乃至0.18の複屈折を有するものが適当である。フィルムの延伸は一般に80乃至130℃の温度で、面積延伸倍率が2.5乃至16.0、特に4.0乃至14.0となる範囲から、ポリエステルの種類や他の条件との関連で、複屈折が前記範囲となる延伸倍率を選ぶ。また、フィルムの熱固定は、130乃至240℃、特に150乃至230℃の範囲から、やはり前記条件が満足されるような熱固定温度を選ぶ。
【0048】
一般に必要でないが、接着用プライマーを用いる場合には、フィルムへの接着用プライマーとの密着性を高めるために、二軸延伸ポリエステルフィルムの表面をコロナ放電処理しておくことが一般に望ましい。コロナ放電処理の程度は、そのぬれ張力が44dyne/cm以上となるようなものであることが望ましい。
【0049】
この他、フィルムへのプラズマ処理、火炎処理等のそれ自体公知の接着性向上表面処理やウレタン樹脂系、変性ポリエステル樹脂系等の接着性向上コーティング処理を行っておくことも可能である。
【0050】
[金属板]
本発明では、金属板としては各種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板が使用される。
【0051】
表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の一種または二種以上行ったものを用いることができる。好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板であり、特に10乃至200mg/m2 の金属クロム層と1乃至50mg/m2 (金属クロム換算)のクロム酸化物層とを備えたものであり、このものは塗膜密着性と耐腐食性との組合せに優れている。表面処理鋼板の他の例は、0.5乃至11.2g/m2 の錫メッキ量を有する硬質ブリキ板である。このブリキ板は、金属クロム換算で、クロム量が1乃至30mg/m2 となるようなクロム酸処理或いはクロム酸−リン酸処理が行われていることが望ましい。
【0052】
更に他の例としては、アルミニウムメッキ、アルミニウム圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板が用いられる。
【0053】
軽金属板としては、所謂アルミニウム板の他に、アルミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至5重量%、Zn:0.25乃至0.3重量%、及びCu:0.15乃至0.25重量%、残部がAlの組成を有するものである。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、クロム量が20乃至300mg/m2 となるようなクロム酸処理或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ましい。
【0054】
金属板の素板厚、即ち缶底部の厚み(tB )は、金属の種類、容器の用途或いはサイズによっても相違するが、一般に0.10乃至0.50mmの厚みを有するのがよく、この内でも表面処理鋼板の場合には、0.10乃至0.30mmの厚み、また軽金属板の場合には0.15乃至0.40mmの厚みを有するのがよい。
【0055】
[ラミネート及びその製造方法]
本発明の積層体の断面構造の一例を示す図1において、この積層体1は金属基体2と少なくとも内面側に位置する酸化防止剤含有ポリエステル組成物層3とから成っている。金属基体2には外面被膜4が形成されているが、この外面被膜4はポリエステル組成物層3と同様のものであってもよいし、また通常の缶用塗料や樹脂(ポリエステル)フィルム被覆であってもよい。
【0056】
積層体の断面構造の他の例を示す図2において、酸化防止剤含有ポリエステル組成物層3と金属基体2との間に接着用プライマーの層5を設けている以外は、図1の場合と同様である。
【0057】
積層体の断面構造の他の例を示す図3において、酸化防止剤含有ポリエステル組成物層3を下地樹脂層とし、このポリエステル組成物層3の上にエチレンテレフタレート系ポリエステルの表面樹脂層6を設けている以外は図1の場合と同様である。
【0058】
本発明に用いるポリエステル−金属ラミネートは、前記ポリエステル組成物を溶融状態で金属基体上に押出しコートして、熱接着させることにより製造することができる。
【0059】
ポリエステル−金属ラミネートの押出コート法による製造方法を説明するための図4において、金属板11を必要により加熱ロール12により予備加熱し、チルロール13とニップロール14間に供給する。一方、ポリエステル組成物は、押出機のダイヘッド15を通して薄膜16の形に押し出し、チルロール13とニップロール14間に金属板11と重ねられるように供給される。チルロール13とニップロール14は、強制冷却されており、金属板11にポリエステル組成物から成る薄膜16を圧着して両者を熱接着させると共に両側から急冷することにより積層体17を得る。
【0060】
金属基体に対するポリエステル組成物の熱接着は、溶融ポリエステル層が有する熱量と、金属板が有する熱量とにより行われる。金属板の加熱温度(T1 )は、一般に90乃至290℃、特に100乃至280℃の温度が適当である。
【0061】
二軸延伸ポリエステルフィルムを用いる製造法の場合、図4のダイヘッドの代わりに、フィルムのロールを設け、巻き戻したフィルムをチルロール13とニップロール14間に供給するようにすればよい。この場合、金属板の加熱ロール12による加熱を、ポリエステル組成物の融点以上の温度に加熱することが必要である。
【0062】
ポリエステルフィルムと金属素材の間に所望により設ける接着プライマーは、金属素材とフィルムとの両方に優れた接着性を示すものである。密着性と耐腐食性とに優れたプライマー塗料の代表的なものは、種々のフェノール類とホルムアルデヒドから誘導されるレゾール型フェノールアルデヒド樹脂と、ビスフェノール型エポキシ樹脂とから成るフェノールエポキシ系塗料であり、特にフェノール樹脂とエポキシ樹脂とを50:50乃至5:95重量比、特に40:60乃至10:90の重量比で含有する塗料である。
【0063】
接着プライマー層は、一般に0.01乃至10μmの厚みに設けるのがよい。接着プライマー層は予め金属素材上に設けてよく或いは予めポリエステルフィルム上に設けてもよい。
【0064】
[シームレス缶及びその製造方法]
本発明のシームレス缶の一例を示す図5において、このシームレス缶21は前述したポリエステル−金属ラミネート1の絞り−再絞り加工による曲げ伸ばし或いは更にしごき加工により形成され、底部20と側壁部22とから成っている。側壁部22の上端には所望によりネック部23を介してフランジ部24が形成されている。この缶21では、底部20に比して側壁部22は曲げ伸ばし或いは更にしごき加工により積層体元厚の20乃至95%、特に30乃至85%の厚みとなるように薄肉化されている。
【0065】
本発明のシームレス缶は、上記のポリエステル−金属ラミネートをポンチとダイスとの間で、有底カップに絞り−深絞り成形し、深絞り段階で曲げ伸し或いは更にしごきによりカップ側壁部の薄肉化を行なうことにより製造される。即ち、薄肉化のための変形を、缶軸方向(高さ方向)の荷重による変形(曲げ伸ばし)と缶厚み方向の荷重による変形(しごき)との組み合わせでしかもこの順序に行う。曲げ伸ばしはエチレンテレフタレート単位のc軸方向への分子配向を与え、一方しごきはエチレンテレフタレート単位のベンゼン面のフィルム面に平行な分子配向を与える。
【0066】
ラミネートの絞り−しごき成形は次の手段で行われる。即ち、図6に示す通り、被覆金属板から成形された前絞りカップ30は、このカップ内に挿入された環状の保持部材31とその下に位置する再絞り−しごきダイス32とで保持される。これらの保持部材31及び再絞り−しごきダイス32と同軸に、且つ保持部材31内を出入し得るように再絞り−しごきポンチ33が設けられる。再絞り−しごきポンチ33と再絞り−しごきダイス32とを互いに噛みあうように相対的に移動させる。
【0067】
再絞り−しごきダイス32は、上部に平面部34を有し、平面部の周縁に曲率半径の小さい作用コーナー部35を備え、作用コーナー部に連なる周囲に下方に向けて径の減少するテーパー状のアプローチ部36を有し、このアプローチ部に続いて曲率部37を介して円筒状のしごき用のランド部(しごき部)38を備えている。ランド部38の下方には、逆テーパ状の逃げ39が設けられている。
【0068】
前絞りカップ30の側壁部は、環状保持部材31の外周面40から、その曲率コーナ部41を経て、径内方に垂直に曲げられて環状保持部材31の環状底面42と再絞りダイス32の平面部34とで規定される部分を通り、再絞りダイス32の作用コーナ部35により軸方向にほぼ垂直に曲げられ、前絞りカップ30よりも小径の深絞りカップに成形される。この際、作用コーナー部35において、コーナー部35と接する側の反対側の部分は、曲げ変形により伸ばされ、一方、作用コーナー部35と接する側の部分は、作用コーナー部を離れた後、戻し変形で伸ばされ、これにより側壁部の曲げ伸ばしによる薄肉化が行われる。
【0069】
曲げ伸ばしにより薄肉化された側壁部は、その外面が径の次第に減少する小テーパー角のアプローチ部36と接触し、その内面がフリーの状態で、しごき部38に案内される。側壁部がアプローチ部を通過する行程は続いて行うしごき行程の前段階であり、曲げ伸ばし後のラミネートを安定化させ、且つ側壁部の径を若干縮小させて、しごき加工に備える。即ち、曲げ伸ばし直後のラミネートは、曲げ伸ばしによる振動の影響があり、フィルム内部には歪みも残留していて、未だ不安定な状態にあり、これを直ちにしごき加工に付した場合には、円滑なしごき加工を行うことができないが、側壁部の外面側をアプローチ部36と接触させてその径を縮小させると共に、内面側をフリーの状態にすることにより、振動の影響を防止し、フィルム内部の不均質な歪みも緩和させて、かつ曲げ伸ばしにより発生した熱も奪い、円滑なしごき加工を可能にするものである。
【0070】
アプローチ部36を通過した側壁部は、しごき用のランド部(しごき部)38と再絞り−しごきポンチ33との間隙に導入され、この間隙(C1)で規制される厚みに圧延される。最終側壁部の厚みC1は積層体元厚(t)の20乃至95%、特に30乃至85%の厚みとなるように定める。尚、しごき部導入側の曲率部37は、しごき開始点を有効に固定しながら、しごき部38への積層体の導入を円滑に行うものであり、ランド部38の下方の逆テーパ状の逃げ39は、加工力の過度の増大を防ぐものである。
【0071】
再絞り−しごきダイス32の曲率コーナー部35の曲率半径Rdは、曲げ伸ばしを有効に行う上では、ラミネートの肉厚(t)の2.9倍以下であるべきであるが、この曲率半径があまり小さくなるとラミネートの破断が生じることから、ラミネートの肉厚(t)の1倍以上であるべきである。
【0072】
テーパー状のアプローチ部36のアプローチ角度(テーパー角度の1/2)αは1乃至5゜を有するべきである。このアプローチ部角度が上記範囲よりも小さいと、ポリエステルフィルム層の配向緩和やしごき前の安定化が不十分なものとなり、アプローチ部角度が上記範囲よりも大きいと、曲げ伸ばしが不均一な(戻し変形が不十分な)ものとなり、何れの場合もフィルムの割れや剥離を生じることなしに、円滑なしごき加工が困難となる。
【0073】
しごき用のランド部38と再絞り−しごきポンチ33とクリアランスは前述した範囲にあるが、ランド長Lは、一般に0.5乃至30mmの長さを有しているのがよい。この長さが上記範囲よりも大きいと加工力が過度に大きくなる傾向があり、一方上記範囲よりも小さいとしごき加工後の戻りが大きく、好ましくない場合がある。
【0074】
本発明のシームレス缶において、フランジ部のポリエステル層は、過酷な巻締加工を受けることから、缶側壁部のポリエステル層に比して、マイルドな加工を受けていることが好ましい。これにより、巻締部の密封性及び耐腐食性を向上させることができる。この目的のため、しごき後の缶側壁部の上端に、缶側壁部の厚みよりも厚いフランジ形成部が形成されるようにする。即ち、缶側壁部の厚みをt1 及びフランジ部の厚みをt2 とすると、t2 /t1 の比は、1.0乃至2.0、特に1.0乃至1.7の範囲に定めるのがよい。
【0075】
再絞り−しごき成形後のシームレス缶を示す図7、図8及び図9において、シームレス缶50は、素板厚とほぼ同じ厚みを有する底部51と、再絞り−しごき加工により薄肉化された側壁部52とから成るが、側壁部52の上部には、これよりも厚肉のフランジ形成部53が形成されている。
【0076】
フランジ形成部53には、種々の構造があり、図8に示した例では、側壁部52の外面とフランジ形成部53の外面とが同一径の円筒面上にあり、フランジ形成部53の内面は側壁部52の内面よりも小さい径を有している。このタイプのフランジ形成部53は、再絞り−しごきポンチ32において、側壁部が伸ばされてフランジ形成部53が位置する部分を他の部分に比して小径にしておくことにより形成される。
【0077】
フランジ形成部53の図7に示した例では、側壁部52の内面とフランジ形成部53の内面とが同一径の円筒面上にあり、フランジ形成部53の外面は側壁部52の外面よりも大きい径を有している。このタイプのフランジ形成部53は、再絞り−しごきダイのランド部と共に、このランド部に続く部分にランド部よりも小径のしごき部分を設けることで、フランジ形成部53と側壁部52とが形成される。
【0078】
フランジ形成部53の図9に示した例では、フランジ形成部53の外面は側壁部52の外面よりも大きい径を有すると共に、フランジ形成部53の内面は側壁部52の内面よりも小さい径を有している。このタイプのフランジ形成部53は、再絞り−しごきポンチ32において、側壁部が伸ばされてフランジ形成部53が位置する部分を他の部分に比して小径にしておくと共に、再絞り−しごきダイのランド部と、更に、このランド部に続く部分にランド部よりも小径のしごき部分を設けることで、フランジ形成部53と側壁部52とが形成される。
【0079】
本発明のシームレス缶を製造するに際して、表面のポリエステル層は十分な潤滑性能を付与するものであるが、より潤滑性を高めるために、各種油脂類或いはワックス類等の潤滑剤を少量塗布しておくことができる。勿論、潤滑剤を含有する水性クーラント(当然冷却も兼ねる)を使用することもできるが、操作の簡単さの点では避けた方がよい。
【0080】
また、再絞り−しごき加工時の温度(しごき終了直後の温度)は、ポリエステルのガラス転移点(Tg)よりも50℃高い温度以下で且つ10℃以上の温度であることが好ましい。このため、工具の加温を行ったり、或いは逆に冷却を行うことが好ましい。
【0081】
本発明によれば、次いで絞り成形後の容器を、少なくとも一段の熱処理に付することができる。この熱処理には、種々の目的があり、加工により生じるフィルムの残留歪を除去すること、加工の際用いた滑剤を表面から揮散させること、表面に印刷した印刷インキを乾燥硬化させること等が主たる目的である。この熱処理には、赤外線加熱器、熱風循環炉、誘導加熱装置等それ自体公知の加熱装置を用いることができる。また、この熱処理は一段で行ってもよく、2段或いはそれ以上の多段で行うこともできる。熱処理の温度は、180乃至250℃の範囲が適当である。熱処理の時間は、一般的にいって、1乃至10分のオーダーである。
【0082】
熱処理後の容器は急冷してもよく、また放冷してもよい。即ち、フィルムや積層板の場合には急冷操作が容易であるが、容器の場合には、三次元状でしかも金属による熱容量も大きいため、工業的な意味での急冷操作はたいへんであるが、本発明では急冷操作なしでも、結晶成長が抑制され、優れた組合せ特性が得られるのである。勿論、所望によっては、冷風吹付、冷却水散布等の急冷手段を採用することは任意である。
【0083】
得られた缶は、所望により、一段或いは多段のネックイン加工に付し、フランジ加工を行って、巻締用の缶とする。また、ネックイン加工に先立って、ビード加工や、特公平7−5128号公報に記載された周状多面体壁加工を施すことができる。
【0084】
【実施例】
本発明を次の例で説明する。
本発明の特性値は以下の測定法による。
【0085】
(1)デントERV試験
缶底部を切り出し、室温、湿潤下で、厚み3mm、硬度50゜のシリコンゴムに内面側を接触させて、外面側に直径5/8インチの鋼球を置き、1kgのおもりを40mm高さから落下させて衝撃張り出し加工を行う。
衝撃加工部の樹脂被膜の割れの程度を電圧6.30Vでの電流値で測定し、6個の平均を取った。
水充填後の缶を37℃雰囲気下で1週間貯蔵経時を行った後、上記試験に供したものを以下の基準で評価した。
Figure 0003915187
【0086】
(2)スポーツ飲料貯蔵試験
スポーツ飲料[アクエリアス(登録商標)]を充填した缶を5℃にて、ボトムラジアス部に直径10mmの鋼製の棒を置き、500gのおもりを60mmの高さから落下させて衝撃を与えた。その後、室温にて貯蔵試験を行い、1年後の缶の内面及び漏洩状態を調べた。
【0087】
(3)融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)
示差熱走査型熱量計DSC7(パーキンエルマー社製)を用いた。積層フィルムにおいては、各組成で単層フィルムを試作したときの値を測定した。試料約5mgを窒素気流下にて樹脂の融点より30℃高い温度で3分間溶融保持し、500℃/分の速度で0℃まで急冷冷却する。ついで、10℃/分の昇温速度で測定した。
結晶融解に基づく吸熱ピークの最大高さの温度をTmとし、ガラス転移に基づく比熱変化点をもってTgとした。
【0088】
(4)固有粘度(IV)
樹脂をフェノール、テトラクロロエタンの重量比1:1混合溶媒に120℃で10分間攪拌して溶かし、30℃にて毛細管法で測定した。樹脂層が複層構成の場合は、分離せずに全体の粘度を測定した。
後述する熱処理前後で固有粘度を測定し、その変化から樹脂の分解程度の目安とした。
【0089】
実施例1(A3004H39、缶成形)
250℃に加熱した板厚0.260mmのアルミ合金板(A3004H39材)上に、表1に示される組成の樹脂を、表1に示す酸化防止剤とドライブレンドしてエクストリュージョン・ラミネーション設備を備えた65mmφ押出し機に供給し、厚さ20μmとなるように溶融押出しを行いアルミ板片面側にラミネートした。次いで同じ樹脂成分を、エクストリュージョン・ラミネーション設備を備えた65mmφ押出し機に供給した後、板温度を樹脂の融点より30℃低い温度に加熱し、厚さ20μmとなるように溶融押出しを行い、もう一方の面にラミネートした。被覆アルミ板にペトロレイタムを塗布し、直径152mmの円板を打ち抜き、常法に従い浅絞りカップを成形した。この絞り工程における絞り比は1.65であった。次いでこの絞りカップの第一次、第二次薄肉化再絞り成形を行った。
第一次再絞り比 1.18
第二次再絞り比 1.18
このようにして得られた深絞りカップの諸特性は以下の通りであった。
カップ径 66mm
カップ高さ 127mm
側壁厚み変化率 −55%(素板厚に対して)
この絞りカップを常法に従いドーミング成形を行い、樹脂の歪み除去の目的で240℃3分間の熱処理を行った。その後、開口端縁部ののトリミング加工、曲面印刷、フランジング加工を行って350gツーピース缶を作成した。
この缶をデントERV試験、スポーツ飲料貯蔵試験に供し評価を行った。表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生せず、熱処理前後で樹脂のIV変化はなかった。耐衝撃性にも優れ、貯蔵テスト後の缶の状態にも特に異常はなかった。
【0090】
実施例2
表1に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使用した他は、実施例1と同様にした。実施例1の酸化防止剤添加量を増加した例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生せず、熱処理前後で樹脂のIV変化はなかった。耐衝撃性にも優れ、貯蔵テスト後の缶の状態にも特に異常はなかった。
【0091】
実施例3
2台の押出し機と2層ダイを用いて共押出しすることにより、樹脂層を2層構成とした。表層と下層の層厚み比は1:1とした。各層は表1に示す構成で、表層側には酸化防止剤を添加せず下層にのみ添加した。この他は実施例1と同様にした。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生せず、熱処理によりIV低下が見られたがその低下幅は小さく、耐衝撃性にも優れ、貯蔵テスト後の缶の状態にも特に異常はなかった。
【0092】
実施例4
表1に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使用し、Tダイ法により未延伸シートを得た。このシートを二軸延伸機にて3.0×3.0倍に延伸し、二軸延伸フィルムを得た。
アルミ板を樹脂の融点より30℃高い温度に加熱し、このフィルムを熱ラミネートして被覆アルミ板を得た。
以降、缶成形については実施例1と同様にした。実施例1の未延伸樹脂被膜を二軸延伸樹脂被膜にした例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生せず、熱処理前後で樹脂のIV変化も非常に小さかった。耐衝撃性にも優れ、貯蔵テスト後の缶の状態にも特に異常はなかった。
【0093】
実施例5
表1に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使用した他は、実施例1と同様にした。
実施例1の酸化防止剤の種類を変更した例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生せず、熱処理後の樹脂のIV低下は見られなかった。耐衝撃性にも優れ、貯蔵テスト後の缶の状態にも特に異常はなかった。
【0094】
実施例6
表1に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使用した他は、実施例1と同様にした。
実施例5の酸化防止剤の添加量を増加した例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生せず、熱処理後の樹脂のIV低下は見られなかった。耐衝撃性にも優れ、貯蔵テスト後の缶の状態にも特に異常はなかった。
【0095】
実施例7
表1に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使用した他は、実施例3と同様にした。
実施例3の酸化防止剤の種類を変更した例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生せず、熱処理により樹脂のIV低下が見られたが、その低下幅は小さく、耐衝撃性にも優れ、貯蔵テスト後の缶の状態にも特に異常はなかった。
【0096】
実施例8
表1に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使用した他は、実施例4と同様にした。
実施例4の酸化防止剤の種類を変更した例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生せず、熱処理により樹脂のIV低下が見られたが、その低下幅は非常に小さく、耐衝撃性にも優れ、貯蔵テスト後の缶の状態にも特に異常はなかった。
【0097】
比較例1
表1に示した構成のポリエステル樹脂を使用し、酸化防止剤は添加しなかった他は実施例1と同様にした。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。熱処理により樹脂のIVは大きく低下し、耐衝撃性に劣る。貯蔵テスト後の缶にはデント部から漏洩が見られた。
【0098】
比較例2
表1に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使用した他は、実施例1と同様にした。
実施例1の酸化防止剤を変更した例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加により押出し時に異臭が発生し、樹脂の変色も著しい。デントERV試験、アクエリアス貯蔵試験は行わなかった。
【0099】
比較例3
表1に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使用した他は、実施例1と同様にした。
実施例1の酸化防止剤を変更した例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生しないが、酸化防止剤の効果が薄く熱処理により樹脂のIVは大きく低下し、耐衝撃性に劣る。貯蔵テスト後の缶にはデント部から漏洩が見られた。
【0100】
比較例4
表1に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使用した他は、実施例1と同様にした。
実施例1の酸化防止剤添加量を減少した例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生しないが、酸化防止剤の効果が薄く熱処理により樹脂のIVは大きく低下し、耐衝撃性に劣る。貯蔵テスト後の缶にはデント部から漏洩が見られた。
【0101】
比較例5
表1に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使用した他は、実施例1と同様にした。
実施例1の酸化防止剤添加量を増大した例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加により押出し時にゲルが多発した。熱処理によるIV低下は無く、耐衝撃にも優れるが、表面の荒れにより破胴が多発し缶成形が困難であった。必要な缶数が得られないために貯蔵試験は行わなかった。
【0102】
比較例6
表1に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使用した他は、実施例1と同様にした。
実施例5の酸化防止剤添加量を減少した例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生しないが、樹脂のIV低下の抑制が不十分であり、耐衝撃性に劣る。貯蔵テスト後の缶は漏洩したものは無かったが缶内面には腐食が認められた。
【0103】
比較例7
表1に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使用した他は、実施例1と同様にした。
実施例5の酸化防止剤添加量を増大した例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤の添加により押出し時にゲルが多量に発生した。熱処理による樹脂のIV低下は無く、耐衝撃性に優れるが、表面の荒れに起因する破胴が多発し缶成形が困難であった。必要な缶数が得られないため貯蔵テストは行わなかった。
【0104】
比較例8
表1に示した構成のポリエステル樹脂を使用し酸化防止剤を使用しない他は、実施例3と同様にした。実施例3の酸化防止剤を添加しない例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。熱処理により樹脂のIVは大きく低下し、耐衝撃性に劣る。貯蔵テスト後の缶にはデント部から漏洩が見られた。
【0105】
比較例9
表1に示した構成のポリエステル樹脂を使用し酸化防止剤を使用しない他は、実施例4と同様にした。実施例4の酸化防止剤を添加しない例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。熱処理により樹脂のIVは大きく低下し、耐衝撃性に劣る。貯蔵テスト後の缶にはデント部から漏洩が見られた。
【0106】
比較例10
表1に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使用した他は、実施例1と同様にした。実施例1と樹脂系が異なる場合の例である。
表1にこの缶の特性及び評価結果を示した。熱処理により樹脂のIVは大きく低下し、耐衝撃性に劣る。この樹脂系ではIVを保持しても十分な耐衝撃性能が得られない。貯蔵テスト後の缶のデント部から漏洩が見られた。
【0107】
【表1】
Figure 0003915187
【0108】
但し、表中の樹脂構成で、使用されている略号は以下の通りである。
PET=ポリエチレンテレフタレート
PEI=ポリエチレンイソフタレート
PBT=ポリブチレンテレフタレート
PBA=ポリブチレンアジペート
また、酸化防止剤種類で、使用されている記号は以下の通りである。
A=IRGANOX1010(商品名)(主成分はテトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)
B=トコフェロール
C=Distearyl3,3'-thiodipropionate
D=BHT
更に、表中のIVの単位は、dL/gである。
【0109】
【発明の効果】
本発明によれば、(I)ポリエチレンテレフタレート・セグメントと(II)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントと(III )ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントとを、合計量を100重量部として、I:II:III =10〜70:12〜81:3〜54の重量比で含有するポリエステル乃至ポリエステル組成物を使用し、しかもこのポリエステル乃至ポリエステル組成物100重量部当たり0.01乃至1.5重量部の分子量400以上の非イオウ系酸化防止剤を含有させたポリエステル組成物を、金属基体へのラミネートに用いたことにより、耐熱デント性が顕著に改善された金属−ポリエステル積層体、並びにこの積層体から形成されたシームレス容器を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる積層体の断面構造の一例を示す拡大断面図である。
【図2】本発明に用いる積層体の断面構造の他の例を示す拡大断面図である。
【図3】本発明に用いる積層体の断面構造の他の例を示す拡大断面図である。
【図4】ラミネート板の製造装置の断面図である。
【図5】本発明のシームレス缶の一例を示す断面図である。
【図6】本発明のシームレス缶の絞りしごき成形装置の要部を示す断面図である。
【図7】本発明のシームレス缶のフランジ部の一例を示す断面図である。
【図8】本発明のシームレス缶のフランジ部の他の例を示す断面図である。
【図9】本発明のシームレス缶のフランジ部の別の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 積層体
2 金属基体
3 ポリエステルブレンド物層
4 外面被膜
5 プライマー層
6 表面樹脂層

Claims (9)

  1. 金属基体とポリエステルを主体とする樹脂層とから成る積層体において、前記樹脂層が、(I)ポリエチレンテレフタレート・セグメントと(II)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントと(III )ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントとを、合計量を100重量部として、I:II:III =10〜70:12〜81:3〜54の重量比で含有するポリエステル乃至ポリエステル組成物から成り且つ該ポリエステル乃至ポリエステル組成物100重量部当たり0.01乃至1.5重量部の分子量400以上の非イオウ系酸化防止剤を少なくとも一種類含有することを特徴とする積層体。
  2. 金属基体とポリエステルを主体とする複層樹脂層とから成る積層体において、前記複層樹脂層の表面樹脂層がエチレンテレフタレート単位或いはエチレンテレフタレート/イソフタレート単位を主体とするポリエステルから成り且つ前記複層樹脂層の下地樹脂層が、(I)ポリエチレンテレフタレート・セグメントと(II)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントと(III )ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメントとを、合計量を100重量部として、I:II:III =10〜70:12〜81:3〜54の重量比で含有するポリエステル乃至ポリエステル組成物から成り且つ該ポリエステル乃至ポリエステル組成物100重量部当たり0.01乃至1.5重量部の分子量400以上の非イオウ系酸化防止剤を少なくとも一種類含有することを特徴とする積層体。
  3. 前記ポリエステル組成物が(I)エチレンテレフタレート・セグメントを主体とするポリエステルと、ポリエステル・セグメント(II)及びポリエステル・セグメント(III )を含む共重合ポリエステルとのブレンド物である請求項1または2記載の積層体。
  4. 酸化防止剤が分子量400以上のフェノール系酸化防止剤である請求項1乃至3の何れかに記載の積層体。
  5. 酸化防止剤がテトラキス[メチレン−3(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである請求項1乃至4の何れかに記載の積層体。
  6. 酸化防止剤がトコフェロールである請求項1乃至3の何れかに記載の積層体。
  7. ポリエステルを主体とする樹脂層が金属基体上に押出しラミネートされている請求項1乃至6の何れかに記載の積層体。
  8. ポリエステルを主体とする樹脂層が二軸延伸されたフィルムであり、金属基体上に熱接着されている請求項1乃至6の何れかに記載の積層体。
  9. 請求項1乃至8の何れかに記載の積層体をしぼり成形或いは更にしごき成形して成ることを特徴とするシームレス容器。
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