JP2970459B2 - シームレス缶 - Google Patents

シームレス缶

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JP2970459B2
JP2970459B2 JP4733395A JP4733395A JP2970459B2 JP 2970459 B2 JP2970459 B2 JP 2970459B2 JP 4733395 A JP4733395 A JP 4733395A JP 4733395 A JP4733395 A JP 4733395A JP 2970459 B2 JP2970459 B2 JP 2970459B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属板とポリエステル
乃至コポリエステルの二軸配向フィルムとの積層体から
成るシームレス缶に関するもので、より詳細には、優れ
た耐衝撃性(耐デント性)、耐腐食性及び巻締性乃至密
封性の組み合わせを有するシームレス缶に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、側面無継目缶(サイド・シームレ
ス缶)としては、アルミニウム板、ブリキ板或いはティ
ン・フリー・スチール板等の金属素材を、絞りダイスと
ポンチとの間で少なくとも1段の絞り加工に付して、側
面継目のない胴部と該胴部に、継目なしに一体に接続さ
れた底部とから成るカップに形成し、次いで所望により
前記胴部に、しごきポンチとダイスとの間でしごき加工
を加えて、容器胴部を薄肉化したものが知られている。
また、しごき加工の代わりに、再絞りダイスの曲率コー
ナ部で曲げ伸ばして側壁部を薄肉化することも既に知ら
れている(特公昭56−501442号公報)。
【0003】また、側面無継目缶の有機被覆法として
は、一般に広く使用されている成形後の缶に有機塗料を
施す方法の他に、成形前の金属素材に予め樹脂フィルム
をラミネートする方法が知られており、特公昭59−3
4580号公報には、金属素材にテレフタル酸とテトラ
メチレングリコールとから誘導されたポリエステルフィ
ルムをラミネートしたものを用いることが記載されてい
る。また、曲げ伸ばしによる再絞り缶の製造に際して、
ビニルオルガノゾル、エポキシ、フェノリクス、ポリエ
ステル、アクリル等の被覆金属板を用いることも知られ
ている。ポリエステル被覆金属板の製造に付いても、多
くの提案があり、例えば、特開平51−4229号公報
には、表面に二軸配向が残存しているポリエチレンテレ
フタレートより成る塗膜が記載され、更に特開平6−1
72556号公報には、極限粘度[η]が0.75以上
のポリエステルフィルムを金属ラミネートに用いること
が提案されている。
【0004】また、特開平3−101930号公報に
は、金属板と、エチレンテレフタレート単位を主体とす
るポリエステルフィルム層と、必要により金属板とポリ
エステルフィルムとの間に介在する接着プライマー層と
の積層体から成り、該ポリエステルフィルム層は、式 Rx =IA /IB 式中、IA はポリエステルフィルム表面に平行な、面間
隔約0.34nm(CuKαX線回折角が24゜から2
8゜)の回折面によるX線回折強度、IB はポリエステ
ルフィルム表面に平行な、面間隔約0.39nm(Cu
KαX線回折角が21.5゜から24゜)の回折面によ
るX線回折強度、 で定義されるX線回折強度が0.1乃至15の範囲内に
あり且つ結晶の面内配向の異方性指数が30以下である
フィルム層から成ることを特徴とする絞り缶用被覆金属
板が記載されており、また、上記被覆金属板を絞り再絞
り成形し、且つ再絞り成形に際して缶胴側壁部を曲げ伸
ばしにより薄肉化して成る薄肉化絞り缶が記載されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術に認めら
れる提案は、成形前の金属素材に樹脂フィルムを施せば
よく、通常の塗装処理のように、塗膜の焼き付け炉や塗
料排ガスの処理施設が不要で、大気汚染がなく、また成
形後の缶体に塗装処理を行わなくてもよいという利点を
与えるものであるが、缶の諸特性、特に耐衝撃性(耐デ
ント性)、耐腐食性及び巻締性乃至密封性等の点で改善
されるべき余地がある。
【0006】上記特開平3−101930号公報の提案
は、絞り−再絞り用の被覆金属素材のポリエステルフィ
ルム層に一定のバランスされた配向結晶を付与しておく
ことにより、優れた加工性と耐腐食性(耐ピンホール
性)とを付与するものであるが、なお耐衝撃性や腐食性
の強い内容物に対する耐腐食性の点では未だ十分満足し
うるものではなかった。実際の缶詰製品に要求される実
用的な耐衝撃性として、耐デント性と呼ばれるものがあ
る。これは、缶詰製品を落下して、或いは缶詰製品同士
が相互に衝突して、缶詰製品に打痕と呼ばれる凹みが生
じた場合にもなお、被覆の密着性やカバレージが完全に
保たれることが要求されるという特性である。即ち、デ
ント試験で被覆が剥離し或いは被覆にピンホールやクラ
ックが入る場合には、この部分から金属溶出や孔食によ
る漏洩等を生じて、内容物の保存性を失うという問題を
生じるのである。
【0007】次ぎに、缶詰用缶の場合、被覆への熱処理
の影響を避けることができない。即ち、缶の外面に内容
物等を表示する印刷を施すのが普通であり、印刷インク
を焼き付けるための加熱の影響が、ポリエステルフィル
ムに生じる。ポリエステルは、加熱により結晶化が進行
する(脆くなる)傾向があり、これにより耐デント性が
低下し、金属基体との密着性低下或いは被覆性低下やネ
ックイン加工、巻締加工等の際の加工性が低下する。
【0008】以上の事実を考慮すると、ポリエステルフ
ィルム等を被覆した金属缶における缶の諸特性、特に耐
衝撃性(耐デント性)、耐腐食性及び巻締性乃至密封性
等は、金属板に施す前或いは施された後でのポリエステ
ルフィルムの物性ではなく、実際に缶に成形された状態
でのフィルムの物性に依存することが了解されよう。
【0009】更に、被覆金属板から成形されたシームレ
ス缶においては、缶胴側壁部を高度に薄肉化すること
も、素材コストの節減及び容器重量の低減から極めて重
要である。再絞りに際してRの小さいダイコーナー部で
側壁部を曲げ伸ばし(曲げ−曲げ戻し変形)で薄肉化す
る方法は、シームレス缶の側壁部の厚みを小さくすると
共に厚みを一様にして缶ハイトを大きくし、ある程度素
材コストの節減及び容器重量の低減には成功している
が、曲げ伸ばしによる薄肉化には当然限度があると共
に、ポリエステルの配向特性の点からは好ましくない影
響もあることがわかった。即ち、曲げ伸ばしによりポリ
エステルに配向を付与したシームレス缶では、熱処理後
の耐デント性等が未だ不十分なのである。
【0010】本発明者らは、ポリエステル被覆金属板の
絞り−再絞り加工に際して、缶胴側壁部に対して、曲げ
伸ばしと同時に特定の条件下でのしごき加工を加える
と、側壁部のポリエステルフィルムに新規な分子配向を
付与することができ、これにより、ポリエステルが熱処
理を受けた後での耐衝撃性(耐デント性)、耐腐食性及
び巻締性乃至密封性を顕著に向上させることができると
共に、素材コストの節減及び容器重量の低減も可能にな
ることを見いだした。
【0011】即ち、本発明の目的は、ポリエステルフィ
ルム層が、新規な分子配向を有しており、これにより、
ポリエステルが熱処理を受けた後での耐衝撃性(耐デン
ト性)、耐腐食性及び巻締性乃至密封性を顕著に向上さ
れており、しかも素材コストの節減及び容器重量の低減
も行われている被覆金属シームレス缶を提供するにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、金属板
とエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステ
ル乃至コポリエステルの二軸配向フィルムとの積層体か
ら成る薄肉化深絞りしごき加工シームレス缶において、
缶側壁部は積層体元厚の30%乃至85%の厚みとなる
ように薄肉化されていると共に、前記缶側壁部における
フィルム層は、 下記式(1) B D1 = −−−−− × 100 ‥‥(1) A 式中、Aは、缶側壁部から剥離したフィルムの多数を缶
高さ方向が互いに平行になるように重ね合わせ、このフ
ィルム面に対して、缶高さ方向に対して垂直にX線(C
u−Kα)を入射させ、X線入射線を含み且つ前記高さ
方向に垂直な面内で回折角度(2θ)を変化させて得ら
れるX線回折曲線について2θ=10゜から60゜まで
の範囲でピーク間の極小点である谷同士を結ぶベースラ
イン又は該極小点を通って該ピークの裾に接線を引いた
ときの当該接線であるベースラインを引いて得られる補
正X線回折曲線において、概ね2θ=24゜乃至29゜
のピークの当該ベースラインからの強度を表し、Bは上
記補正X線回折曲線における概ね2θ=14゜乃至20
゜のピークの当該ベースラインからの強度を表す、で定
義される平行成分配向度(D1 )が65%以上であり且
つ上記補正X線回折曲線について求めた概ね2θ=14
゜乃至20゜のピークの半値巾(Wh)が1.0乃至
1.25゜の範囲内にあることを特徴とするシームレス
缶が提供される。
【0013】本発明において、複屈折法で測定した下記
式(2) Δn14 = nh −nt ‥‥(2) nh はフィルムの缶長方向の屈折率であり、nt はフィ
ルムの厚み方向の屈折率である、 による複屈折(Δn)が缶側壁部のポリエステル系フィ
ルムの表面側(Δn1 )で0.020乃至0.180で
あり、金属板に接する側(Δn4 )で0.005乃至
0.100であり、表面から金属板側の面に至る厚み方
向の途中で少なくとも2個以上の複屈折のピークを有
し、表面側に近い複屈折のピーク(P1 )(Δn2 )と
金属側に近い複屈折のピーク(P2 )(Δn3 )とを有
し、表面側に近い複屈折のピーク(P1 )(Δn2 )が
0.020乃至0.220で、高い方の裾からの高さが
少なくとも0.005高い複屈折のピークを有し、且つ
金属側に近い複屈折のピーク(P2 )(Δn3 )が0.
010乃至0.200で、高い方の裾からの高さが少な
くとも0.005高い複屈折のピークを有することが好
ましい。
【0014】
【作用】本発明のシームレス缶は、金属板とエチレンテ
レフタレート単位を主体とするポリエステル乃至コポリ
エステルの二軸配向フィルムとの積層体から成るが、缶
側壁部は積層体元厚の30乃至85%の厚みとなるよう
に薄肉化されていると共に、前記缶側壁部におけるフィ
ルム層が、前記式(1) B D1 = −−−−− × 100 ‥‥(1) A 式中、Aは、缶側壁部から剥離したフィルムの多数を缶
高さ方向が互いに平行になるように重ね合わせ、このフ
ィルム面に対して、缶高さ方向に対して垂直にX線(C
u−Kα)を入射させ、X線入射線を含み且つ前記高さ
方向に垂直な面内で回折角度(2θ)を変化させて得ら
れるX線回折曲線について2θ=10゜から60゜まで
の範囲でピーク間の極小点である谷同士を結ぶベースラ
イン又は極小点を通って該ピークの裾に接線を引いた
ときの当該接線であるベースラインを引いて得られる補
正X線回折曲線において、概ね2θ=24゜乃至29゜
のピークの当該ベースラインからの強度を表し、Bは上
記補正X線回折曲線における概ね2θ=14゜乃至20
゜のピークの当該ベースラインからの強度を表す、で定
義される平行成分配向度(D1 )が65%以上であり、
且つ上記補正X線回折曲線について求めた概ね2θ=1
4゜乃至20゜のピークの半値巾(Wh)が1.0乃至
1.25゜の範囲内となるように分子配向されているこ
とが顕著な特徴である。なお、本発明において上記のよ
うにして補正X線回折曲線を作成する理由は、各ピーク
について上記のようにベースラインを引くことにより、
ピーク及びこのベースラインにより囲まれる部分の面積
が最大となり、ピークの存在を一義的に決定することが
できるからである。即ち、本発明は前記式(1)により
一義的に特定されるものであるから、A及びBの値も一
義的に決定される必要がある。このため本発明において
は、上記のようなベースラインが一義的に決定される作
図方法が当然に要求されるのである。言うまでもなく、
この作図方法は、スペクトルチャート等からピークのベ
ースラインを求めるために通常行われている。
【0015】本発明において、缶胴側壁部のポリエステ
ルの平行成分配向度(D1 )を65%以上、特に75%
以上とし、且つ上記補正X線回折曲線について求めた概
ね2θ=14゜乃至20゜のピークの半値巾(Wh)
1.0乃至1.25゜の範囲内とすることにより、熱処
理を受けた後での耐衝撃性(耐デント性)、耐腐食性及
び巻締性乃至密封性を顕著に向上させることができる。
【0016】後述する例を参照されたい。即ち、金属板
とポリエステル二軸配向フィルムとの積層体を、絞り−
再絞り加工に際して、缶胴側壁部に対して曲げ伸ばしの
みを行ったシームレス缶では、缶側壁部が積層体元厚の
80%の厚みとなるように薄肉化されていても、平行成
分配向度(D1 )が65%よりも小さく、この缶では、
ネック部近傍のデント性が悪く、デント部の腐食という
欠点を生じる(実験例)。一方、金属板とポリエステ
ルフィルムとの積層体を絞り−再絞り加工に際して、缶
胴側壁部に対して、曲げ伸ばしと同時にしごき加工を行
ったシームレス缶では、缶側壁部が積層体元厚の65%
の厚みとなるように薄肉化されていても、2θ=14゜
乃至20゜のピークの半値巾が1.8゜よりも大きく、
この缶では、ネック部近傍のデント性が悪く、デント部
の腐食という欠点を生じる(実験例)。これに対し
て、金属板とポリエステル二軸配向フィルムとの積層体
を、絞り−再絞り加工に付して、缶胴側壁部に対して曲
げ伸ばしと特定条件(後述する)でのしごき加工を行っ
たシームレス缶では、缶側壁部が積層体元厚の30乃至
85%の厚みとなるように薄肉化されていながら、平行
成分配向度(D1 )が65%以上、2θ=14゜乃至2
0゜のピークの半値巾が1.8゜以内であり、この缶で
は、ネック部近傍のデント性が良好であり、優れた耐衝
撃性(耐デント性)、耐腐食性及び巻締性乃至密封性の
組み合わせを示す(実験例1ほか)。
【0017】本発明における平行成分配向度(D1 )及
び半値巾(Wh)の測定に用いるX線回折法は、通常の
X線回折法とは、全く異なるものであり、この測定法に
おける測定値は次の意味を有する。先ず、この発明で用
いるX線回折法を説明するための図1において、缶側壁
部から剥離したフィルムサンプルの多数を缶高さ方向Y
が互いに平行になるように重ね合わせる。このフィルム
面に対して、缶高さ方向Yに対して垂直にX線(Cu−
Kα)を入射させ、X線入射線を含み且つ前記高さ方向
に垂直な面内で回折角(2θ)を変化させて、回折され
たX線の強度を検出器(カウンター)でカウントする。
【0018】一方、ポリエチレンテレフタレートの結晶
構造は、三斜晶系であり、その格子定数は次のとおりで
ある。 a= 4.56オングストローム b= 5.94オングストローム c=10.75オングストローム α=98.5゜ β=118゜ γ=112゜
【0019】ポリエチレンテレフタレートの結晶単位格
子における原子配列を示す図2において、ポリエチレン
テレフタレートの分子鎖はc軸方向に延びていると共
に、C軸方向の各稜線に位置しており、ベンゼン環を含
む面は面指数(100)の面にほぼ沿っている。この結
晶単位格子の各面(h k l)と面間隔d(h k
l)及び回折角2θとの関係を示すと次の表1のとおり
である。
【0020】
【表1】
【0021】図3は従来の曲げ伸ばし法で得られたシー
ムレス缶の側壁部のポリエステルフィルム層について、
図1のX線回折法を適用した場合に得られるX線回折曲
線であり、図4は図のX線回折曲線について2θ=1
0゜から60゜までの範囲でピーク間の谷及び裾を結ぶ
ベースラインを引いて得られる補正X線回折曲線を示
す。
【0022】図5は本発明による曲げ伸ばし−しごき加
工法で得られたシームレス缶の側壁部のポリエステルフ
ィルム層について、図1のX線回折法を適用した場合に
得られるX線回折曲線であり、図6は図5のX線回折曲
線について2θ=10゜から60゜までの範囲でピーク
間の谷及び裾を結ぶベースラインを引いて得られる補正
X線回折曲線を示す。図5に基づいてベースラインの作
成方法について説明する。各ピークを低角度側からピー
クP1、ピークP2、ピークP3とする。ピーク間のX
線回折強度の最小点を谷として、低角度側からB1、B
2とする。ピークP1において、ピークP1の面積が最
大となるように、谷B1からピークP1の低角度側に延
びる裾に接線を引き、その接点をS1とする。一方、ピ
ークP3において、ピークP3の面積が最大となるよう
に、谷B2からピークP3の高角度側に延びる裾に接線
を引き、その接点をS2とする。S1とB1、B1とB
2、及びB2とS2をそれぞれ結んでベースラインを引
く。これらベースラインを基準にして得られた補正X線
回折曲線が図6である。
【0023】これらの図から、何れの場合も面指数(0
10)、(1−10)及び(100)に対応する2θ=
14゜乃至20゜、2θ=20゜乃至24゜及び2θ=
24゜乃至29゜の位置に回折ピークが現れているが、
従来の曲げ伸ばし加工のものでは、(100)面のピー
クが相対的に大きく、(010)面のピークが相対的に
小さいのに対して、本発明のシームレス缶では、(10
0)面のピークが相対的に減少していると共に、(01
0)面のピークが相対的に増大しているのが了解され
る。
【0024】図1のX線回折法で得られる図3乃至6の
X線回折図における回折ピークの意味するところは次の
とおりである。即ち、このX線回折法では、図7の説明
図に示すとおり、ベンゼン面が試料フィルム面にほぼ平
行になっているとすると、これに対しほぼ垂直になった
(010)面の反射が測定される。かくして、(01
0)面の回折ピーク強度が大きいということは、エチレ
ンテレフタレート単位のベンゼン面がフィルム面と平行
になっているということであり、逆に(100)面の回
折ピーク強度が大きいということは、エチレンテレフタ
レート単位のベンゼン面がフィルム面に対して傾いてお
り、平行になっていないということを意味している。
【0025】前記式(1)の右辺の分母は上記(10
0)面のピーク強度を示すものであり、右辺の分子は上
記(010)面のピーク強度を示すものであるから、式
(1)で定義される平行成分配向度(D1 )は、ポリエ
チレンテレフタレートのベンゼン面がフィルム面に平行
になっている尺度を表しており、この値が大きいほど、
ポリエチレンテレフタレートのベンゼン面がフィルム面
と平行になるように配向していることを示している。
【0026】絞り−再絞り加工に際して、缶胴側壁部に
対して曲げ伸ばしを行うと、フィルム中のポリエチレン
テレフタレートは曲げ伸ばし方向、即ち缶高さ方向に分
子配向するが、ポリエチレンテレフタレートのベンゼン
面に着目すると、ベンゼン面はフィルム面に対して傾斜
する傾向があり、これが図3及び4において(100)
面のピーク強度が大きくなる理由である。
【0027】これに対して、曲げ伸ばし後の側壁部を、
以下に述べるようにダイのしごき部に導き、しごき加工
を行うと、フィルム中のポリエチレンテレフタレート
は、ベンゼン面がフィルム面に対して平行となるように
配向を生じるのであり、これが図5及び6において(0
10)面のピーク強度が大きくなる理由である。上記の
ベンゼン面がフィルム面に対して平行となるような分子
配向は、ポリエチレンテレフタレートの圧延において認
められているものであるが、本発明のシームレス缶で
は、圧延と同様なフィルム面に平行な分子配向が生じて
いるものである。
【0028】本発明において、フィルム中のポリエチレ
ンテレフタレートのベンゼン面がフィルム面に対して平
行に配向していることは、前述したとおり、耐衝撃性
(耐デント性)の向上やフィルム下腐食の防止に有効に
役立つが、これは、フィルム中のポリエチレンテレフタ
レートのベンゼン面がフィルム面に対して傾斜している
場合には、所謂配向分子のフィブリル化が発生しやすい
のに対して、ポリエチレンテレフタレートのベンゼン面
がフィルム面と平行な成分が多くなってくると、配向分
子のフィブリル化が起こりにくくなってくることと関連
している。
【0029】本発明では、2θ=14゜乃至20゜のピ
ーク、即ち(010)面のピークの半値巾が1.8゜以
内、特に1.4゜以内にあることも特に重要である。
【0030】図8は、ポリエチレンテレフタレートを未
延伸状態でラミネートした積層体を曲げ伸ばし−しごき
加工して得られたシームレス缶の側壁部のポリエステル
フィルム層について、図1のX線回折法を適用した場合
に得られるX線回折曲線であり、図9は図のX線回折
曲線について2θ=10゜から60゜までの範囲でピー
ク間の谷及び裾を結ぶベースラインを引いて得られる補
正X線回折曲線を示す。
【0031】二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを積
層した積層体を用いて同様の加工を行った図5及び6と
これらの図8及び9とを対比すると、面指数(010)
の半値巾(Wh)が、未延伸フィルムを用いた場合1.
8゜以上と大きいのに対して、二軸延伸フィルムを用い
た場合1.8゜以内と小さくなっていることが明らかで
ある。
【0032】結晶高分子のX線回折では、下記のBra
ggの式(4) nλ = 2dhkl Sinθ ‥‥(4) 式中、nは次数であり、λはX線の波長であり、dhkl
は結晶の(hkl)の面間隔であり、θは回折角であ
る、 を満足するとき、干渉に強度ピークが現れることが知ら
れており、この干渉ピークの鋭さと結晶の大きさとの間
にも、下記のScherrerの式(5) 式中、Lhkl は結晶の(hkl)面に垂直な方向の寸
法、Kは約0.9の定数、Hは干渉ピークの半値巾(ラ
ジアン)、λ及びθは前記式(4)と同一である、 で表される。
【0033】本発明において、面指数(010)のピー
クの半値巾が小さいということは、これに垂直方向、即
ち(100)面方向への結晶サイズが大きいということ
であり、単にポリエチレンテレフタレートのベンゼン面
がフィルム面と平行に配向しているだけではなく、ベン
ゼン面の方向の結晶サイズも大きくなっているという事
実を物語っている。
【0034】実際、λ=1.542オングストローム
(Cu−Kα)、θ(Bragg角)=17.5゜の場
合について、(010)面に垂直な微結晶のサイズを前
記式(5)に基づいて検討すると、本発明において半値
巾(Wh)=1.8゜以内というのは、微結晶のサイズ
が46.3オングストローム以上に対応するものであ
り、一方ポリエチレンテレフタレートを未延伸状態でラ
ミネートした積層体を曲げ伸ばし−しごき加工して得ら
れたシームレス缶の側壁部のポリエステルフィルム層で
は、半値巾(Wh)=1.9゜で、微結晶のサイズが4
3.9オングストロームであり、結晶サイズが小さくな
っていることが明らかである。
【0035】本発明では、この様に、ポリエチレンテレ
フタレートのベンゼン面がフィルム面と平行に配向して
いると共に、ベンゼン面の方向の結晶サイズも大きくな
っているため、腐食性成分に対するバリアー性が顕著に
向上しており、またデント試験において、金属基体に垂
直方向の割れも少なく、優れた耐腐食性と耐衝撃性との
組み合わせが得られるものである(後述する実験例1と
実験例10とを比較参照)。
【0036】本発明のシームレス缶では、缶胴側壁部に
おけるポリエステル系フィルム層において、前記式
(2)による複屈折(Δn)がポリエステル系フィルム
の表面側(Δn1 )で0.020乃至0.180であ
り、金属板に接する側(Δn4 )で0.005乃至0.
120であり、表面から金属板側の面に至る厚み方向の
途中で少なくとも2個以上の複屈折のピークを有し、表
面側に近い複屈折のピーク(P1 )(Δn2 )と金属側
に近い複屈折のピーク(P2 )(Δn3 )とを有するこ
とが好ましい。
【0037】この配向度のフィルム厚さ方向の分布は、
金属板側では、ポリエステルの熱接着のための部分乃至
完全溶融とその後の急冷により分子配向が少なくなって
いるのに対して、ポリエステルフィルムの表面では、熱
接着の際の温度も概して低く、急冷による温度の低下も
早いため、ポリエステルフィルムが有する二軸配向があ
る程度緩和されているとはいえ、未だ残留されることに
よる。
【0038】本発明のシームレス缶では、表面から金属
板側の面に至る厚み方向の途中で表面側配向度よりも高
い配向度のピークを有すること、即ちフィルムの厚み方
向途中に二軸分子配向の最も高い部分が存在する。
【0039】図10は、本発明のシームレス缶の側壁部
のラミネートにおいて、フィルムの表面を原点とした厚
み方向寸法とポリエステルの複屈折法配向度(Δn)と
の関係をプロットしたグラフであり、表面から金属板側
の面に至る厚み方向の途中で表面側配向度よりも高い配
向度のピークを有することが明かとなる。
【0040】本発明のシームレス缶では、上記の配向度
の厚み方向分布をとることにより、優れた加工性及び密
着性と優れたフレーバー保持性及び耐腐食性とを両立さ
せることが可能となる。
【0041】後述する表2を参照されたい。フィルム表
面側が金属板側に比して高い配向度を有するが、厚み方
向の途中に表面側配向度よりも高い配向度のピークを有
しないシームレス缶では、表面側の配向度が低い場合
(実験例11)には、満足すべき加工性と皮膜密着性と
が得られるとしても、内容物のフレーバー吸着による香
味保持性の低下や皮膜下腐食(UFC)傾向が著しい
【0042】これに対して、本発明の好適態様に従い、
フィルム表面側が金属板側に比して高い配向度を有する
と共に、表面から金属板側の面に至る厚み方向の途中に
表面側配向度よりも高い配向度のピークを有するポリエ
ステル−金属ラミネート板(実験例1)では、フィルム
の金属に対する密着性が良好であると共に、フィルムの
破断や剥離或いはクラック、ピンホール等の発生なしに
深絞り等の過酷な加工が可能であり、しかも加工後のラ
ミネート皮膜は、内容物のフレーバー成分を吸着するこ
とがなく、香味保持性に優れており、皮膜下腐食(UF
C)を生じることもなく、耐腐食性に優れている。ま
た、上記特性は、深絞り缶のフランジ部やその近傍にお
いても維持されるばかりではなく、この部分での耐デン
ト性にも優れている。
【0043】本発明のシームレス缶のポリエステル層で
は、金属板側の低配向度部分、表面側の比較的高配向度
の部分、及び途中の最も高配向度のピーク部分から成る
が、これらの内、金属板との密着性に役立つのは金属板
側の低配向度部分であり、フレーバー成分吸着防止に補
助的に役立つのは表面側の比較的高配向度の部分であ
り、腐食成分に対するバリーアーとして、またフレーバ
ー成分吸着防止に役立ち、耐デント性の向上に寄与する
のは途中の最も高配向度のピーク部分である。
【0044】本発明のシームレス缶では、缶底部におけ
るポリエステル系フィルム層において(図11)複屈折
法で測定した下記式(3) Δn57 = nm −nt ‥‥(3) nm はフィルムの最大配向方向の屈折率であり、nt
フィルムの厚み方向の屈折率である、 による複屈折(Δn)が、缶底部のポリエステル系フィ
ルムの表面側(Δn5 )で0.020乃至0.140で
あり、金属板に接する側(Δn7 )で0.005乃至
0.100であり、表面から金属板側の面に至る厚み方
向の途中(Δn6 )で少なくとも1個の複屈折のピーク
を有し、厚み方向途中の複屈折(Δn6 )のピークが
0.020乃至0.160であり、高い方の裾からの高
さが少なくとも0.005高い複屈折のピークを有する
ことが好ましい。
【0045】ポリエステルフィルムの表面側での複屈折
(Δn)は、0.020乃至0.140であり、この範
囲より小さいと底部の耐デント性が低下し、この範囲よ
り大きいと缶胴成形に耐えられなくなり缶胴フィルムに
キレツを生じ、耐食性が低下する。
【0046】金属板に接する側での複屈折が、上記範囲
より低くても、また、高くても、金属との密着性が低下
するようになる。金属板に接する側で複屈折が小さくす
ぎると密着性が低下する理由は、充填時の熱処理等にお
いて、熱結晶化が生じたり、充填後の保存中に、疑似結
晶化現象が生じたりすることにより、歪応力が発生する
ためと思われる。
【0047】一方、厚み方向途中の複屈折(Δn6 )の
ピークは0.02乃至0.160の範囲にあるのが、耐
腐食性、フレーバー成分の吸着防止及び耐デント性の点
でよい。
【0048】本発明のシームレス缶において、フランジ
部のポリエステル層は、過酷な巻締加工を受けることか
ら、缶側壁部のポリエステル層に比して、平行成分配向
度(D1 )が相対的に低い範囲にあるのがよく、一般に
平行成分配向度(D1 )は、10%以上であり、且つ概
ね2θ=14゜乃至20゜のピークの半値巾が1.8゜
以内にあることが好ましい。D1 が10%未満であると
フィルムのTg以下の低温で充填される場合に、巻締部
のフィルムに割れが生ずることが多く、耐食性、密封性
が低下する。半値巾が1.80より大きい場合にも同様
の結果となる。
【0049】
【発明の好適な態様】本発明のシームレス缶の一例を示
す図12において、この深絞り缶11は前述したポリエ
ステル−金属ラミネートの曲げ伸ばし−しごき加工によ
り形成され、底部10と側壁部12とから成っている。
側壁部12の上端には所望によりネック部13を介して
フランジ部14が形成されている。この缶11では、底
部10に比して側壁部12は曲げ伸ばし及び特定のしご
き加工により積層体元厚の30乃至85%の厚みとなる
ように薄肉化されている。
【0050】側壁部12の断面構造の一例を示す図13
において、この側壁部12は金属基体15とポリエステ
ル系フィルム16とから成っている。金属基体15には
外面被膜17が形成されているが、この外面被膜17は
フィルム内面被膜16と同様のものであってもよいし、
また通常の缶用塗料や樹脂フィルム被覆であってもよ
い。
【0051】側壁部の断面構造の他の例を示す図14に
おいて、ポリエステル層16と金属基体15との間に接
着用プライマーの層18を設けている以外は、図13の
場合と同様である。これらの何れの場合も、底部10の
断面構造は、薄肉化加工を受けていないだけで、側壁部
12の断面構造と同様である。
【0052】[金属板]本発明では、金属板としては各
種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板が使用され
る。
【0053】表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍
後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメ
ッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の
一種または二種以上行ったものを用いることができる。
好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板で
あり、特に10乃至200mg/m2 の金属クロム層と
1乃至50mg/m2 (金属クロム換算)のクロム酸化
物層とを備えたものであり、このものは塗膜密着性と耐
腐食性との組合せに優れている。表面処理鋼板の他の例
は、0.5乃至11.2g/m2 の錫メッキ量を有する
硬質ブリキ板である。このブリキ板は、金属クロム換算
で、クロム量が1乃至30mg/m2 となるようなクロ
ム酸処理或いはクロム酸−リン酸処理が行われているこ
とが望ましい。
【0054】更に他の例としては、アルミニウムメッ
キ、アルミニウム圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板
が用いられる。
【0055】軽金属板としては、所謂アルミニウム板の
他に、アルミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加
工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.
2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至5重量%、Z
n:0.25乃至0.3重量%、及びCu:0.15乃
至0.25重量%、残部がAlの組成を有するものであ
る。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、クロム量
が20乃至300mg/m2 となるようなクロム酸処理
或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ま
しい。
【0056】金属板の素板厚、即ち缶底部の厚み(t
B )は、金属の種類、容器の用途或いはサイズによって
も相違するが、一般に0.10乃至0.50mmの厚み
を有するのがよく、この内でも表面処理鋼板の場合に
は、0.10乃至0.30mmの厚み、また軽金属板の
場合には0.15乃至0.40mmの厚みを有するのが
よい。
【0057】[ポリエステル系フィルム]本発明に用い
るポリエステル系フィルムは、テレフタル酸を主体とす
る二塩基酸とエチレングリコールを主体とするジオール
とから誘導されたホモポリエステル或いは共重合ポリエ
ステルであることが好ましい。
【0058】テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イ
ソフタル酸、P−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフタ
レン−2,6−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−
4,4´−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピン酸、セバ
シン酸等を挙げることができる。
【0059】またエチレングリコール以外のジオール成
分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール
Aのエチレンオキサイド付加物などのグリコール成分を
挙げることができる。
【0060】この共重合ポリエステルの酸性分は、テレ
フタル酸及びイソフタル酸からなることが、配向度及び
結晶化度の調節の点で、また香味保持性の点で特に好ま
しい。酸成分として、他の二塩基酸成分の小量、例えば
3モル%以下の量が含有されることが許容されるが、香
味成分の吸着を防止し、且つポリエステル成分の溶出を
抑制するという点で、少なくとも容器内表面ポリエステ
ル層は脂肪族二塩基酸は含まないことが望ましい。イソ
フタル酸を酸成分として含有するポリエステルは、種々
の成分、香味成分や腐食成分に対してバリアー効果が大
きく、吸着性においても少ないという特徴を有する。
【0061】共重合ポリエステルのジオール成分として
は、エチレングリコールを主体とするものが好ましい。
ジオール成分の95モル%以上、特に97モル%以上が
エチレングリコールからなることが、分子配向性、腐食
成分や香気成分に対するバリアー性等から好ましい。
【0062】ホモポリエステル或いは共重合ポリエステ
ルは、フィルム形成範囲の分子量を有するべきであり、
溶媒として、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒
を用いて測定した固有粘度〔η〕は0.5乃至1.5、
特に0.6乃至1.5の範囲にあるのがよい。
【0063】本発明に用いる金属板−ポリエステル積層
体のポリエステル層は、ホモポリエステル或いはコポリ
エステルの単独から成るフィルムでも、或いはこれらの
2種以上から成るブレンド物のフィルムでも或いは、2
種以上のポリエステルフィルムの積層体から成る積層フ
ィルムであってもよい。
【0064】好適な共重合ポリエステルは、平均で、テ
レフタル酸100乃至80%及びイソフタル酸0乃至2
0%からなる。平均という意味は、このポリエステル系
フィルムは、イソフタル酸の含有量を異にする複数種の
共重合ポリエステルのブレンド物でもよいし、イソフタ
ル酸の含有量を異にする複数種の共重合ポリエステルの
積層フィルムであってもよい。後者の場合、イソフタル
酸の含有量の多い共重合ポリエステルが金属板に接する
側に位置することになる。
【0065】本発明に使用するポリエステル系フィルム
の厚みは、全体として、2乃至100μm、特に5乃至
50μmの範囲にあるのが金属の保護効果及び加工性の
点でよい。
【0066】ポリエステル系フィルムは一般に二軸延伸
されているべきである。二軸配向の程度は、X線回折
法、偏光蛍光法、複屈折法、密度勾配管法密度等でも確
認することができる。フィルムの2軸延伸の程度は、
(010)面の半値巾(Wh)、従ってフィルム面に平
行な微結晶のサイズに大きな影響を与える。
【0067】勿論、このポリエステル系フィルムには、
それ自体公知のフィルム用配合剤、例えば非晶質シリカ
等のアンチブロッキング剤、二酸化チタン(チタン白)
等の顔料、各種帯電防止剤、滑剤等を公知の処方に従っ
て配合することができる。
【0068】一般に必要でないが、接着用プライマーを
用いる場合には、フィルムへの接着用プライマーとの密
着性を高めるために、二軸延伸ポリエステルフィルムの
表面をコロナ放電処理しておくことが一般に望ましい。
コロナ放電処理の程度は、そのぬれ張力が44dyne
/cm以上となるようなものであることが望ましい。
【0069】この他、フィルムへのプラズマ処理、火炎
処理等のそれ自体公知の接着性向上表面処理やウレタン
樹脂系、変性ポリエステル樹脂系等の接着性向上コーテ
ィング処理を行っておくことも可能である。
【0070】[ラミネートの製造方法]本発明に用いる
ポリエステル−金属ラミネート板は、二軸延伸ポリエス
テルフィルムを金属に熱接着させることにより製造する
ことができる。また、得られるシームレス缶に前述した
配向度の分布を有するようにすることが好ましく、この
ものはポリエステルの溶融相から固相への遷移状態にお
いて、配向の戻り現象を利用することにより製造するこ
とができる。
【0071】ポリエステル−金属ラミネート板の製造方
法を説明するための図15において、金属板20を加熱
ロール21により用いるポリエステルの融点(Tm)以
上の温度(T1 )に加熱し、ラミネートロール22、2
2間に供給する。一方、ポリエステルフィルム23は、
供給ロール24から巻きほぐされ、ラミネートロール2
2、22間に金属板20をサンドイッチする位置関係で
供給される。ラミネートロール22、22は、加熱ロー
ル21よりも若干低い温度(T2 )に保たれており、金
属板20の両面にポリエステルフィルムを熱接着させ
る。ラミネートロール22、22の下方には、形成され
るラミネート25を急冷するための冷却水26を収容し
た水槽が設けられており、この水槽中にラミネートを導
くガイドローラ27が配置されている。ラミネートロー
ル22、22と冷却水26との間には一定の間隔のギャ
ップ28を形成し、このギャップ28に保温機構29を
設けて、一定の温度範囲(T3 )に保持し、ポリエステ
ルの溶融相から固相への遷移状態において、配向の戻り
によるフィルム厚み方向途中における二軸配向のピーク
が形成されるようにする。
【0072】金属板の加熱温度(T1 )は、一般にTm
−50℃乃至Tm+100℃、特にTm−50℃乃至T
m+50℃の温度が適当であり、一方ラミネートロール
22の温度T2 は、T1 −300℃乃至T1 −10℃、
特にT1 −250℃乃至T1−50℃の範囲が適当であ
る。上記の温度設定により、金属板上のポリエステルに
は、上記温度差に対応する温度勾配が形成され、この温
度勾配は次第に低温側に移行しやがて消失するが、ポリ
エステルの表面側から金属板側への厚み方向途中の部分
が、溶融相から固相への遷移状態において配向の戻り現
象を生じる温度領域を十分な時間をかけて通過するよう
にする。このために、ラミネートロール通過後のラミネ
ートを、保温域で保温するのが有効であり、この保持温
度(T3)は、ラミネートロール22の温度T2 を基準
にして、Tg+5℃乃至Tm−5℃、特に2軸フィルム
のヒートセット温度℃乃至Tm−5℃の範囲が適当であ
る。上記温度T2 舳の保持時間は0.1乃至10秒、特
に0.1乃至3秒が適当である。
【0073】ポリエステルフィルムと金属素材の間に所
望により設ける接着プライマーは、金属素材とフィルム
との両方に優れた接着性を示すものである。密着性と耐
腐食性とに優れたプライマー塗料の代表的なものは、種
々のフェノール類とホルムアルデヒドから誘導されるレ
ゾール型フェノールアルデヒド樹脂と、ビスフェノール
型エポキシ樹脂とから成るフェノールエポキシ系塗料で
あり、特にフェノール樹脂とエポキシ樹脂とを50:5
0乃至5:95重量比、特に40:60乃至10:90
の重量比で含有する塗料である。
【0074】接着プライマー層は、一般に0.01乃至
10μmの厚みに設けるのがよい。接着プライマー層は
予め金属素材上に設けてよく或いは予めポリエステルフ
ィルム上に設けてもよい。
【0075】[シームレス缶の製造]本発明のシームレ
ス缶は、上記のポリエステル−金属ラミネートをポンチ
とダイスとの間で、有底カップに絞り−深絞り成形し、
深絞り段階で曲げ伸しとしごきによりカップ側壁部の薄
肉化を行なうことにより製造される。
【0076】ラミネート板の絞り−しごき成形は次の手
段で行われる。即ち、図16に示す通り、被覆金属板か
ら成形された前絞りカップ30は、このカップ内に挿入
された環状の保持部材31とその下に位置する再絞り−
しごきダイス32とで保持される。これらの保持部材3
1及び再絞り−しごきダイス32と同軸に、且つ保持部
材31内を出入し得るように再絞り−しごきポンチ33
が設けられる。再絞り−しごきポンチ33と再絞り−し
ごきダイス32とを互いに噛みあうように相対的に移動
させる。
【0077】再絞り−しごきダイス32は、上部に平面
部34を有し、平面部の周縁に曲率半径の小さい作用コ
ーナー部35を備え、作用コーナー部に連なる周囲に下
方に向けて径の増大するテーパー状のアプローチ部36
を有し、このアプローチ部に続いて小曲率部37を介し
て円筒状のしごき用のランド部(しごき部)38を備え
ている。ランド部38の下方には、逆テーパ状の逃げ3
9が設けられている。
【0078】前絞りカップ30の側壁部は、環状保持部
材31の外周面40から、その曲率コーナ部41を経
て、径内方に垂直に曲げられて環状保持部材31の環状
底面42と再絞りダイス32の平面部34とで規定され
る部分を通り、再絞りダイス32の作用コーナ部35に
より軸方向にほぼ垂直に曲げられ、前絞りカップ30よ
りも小径の深絞りカップに成形される。この際、作用コ
ーナー部35において、コーナー部35と接する側の反
対側の部分は、曲げ変形により伸ばされ、一方、作用コ
ーナー部と接する側の部分は、作用コーナー部を離れた
後、戻し変形で伸ばされ、これにより側壁部の曲げ伸ば
しによる薄肉化が行われる。
【0079】曲げ伸ばしにより薄肉化された側壁部は、
その外面が径の次第に増大する小テーパー角のアプロー
チ部36と接触し、その内面がフリーの状態で、しごき
部38に案内される。側壁部がアプローチ部を通過する
行程は続いて行うしごき行程の前段階であり、曲げ伸ば
し後のラミネートを安定化させ、且つ側壁部の径を若干
縮小させて、しごき加工に備える。即ち、曲げ伸ばし直
後のラミネートは、曲げ伸ばしによる振動の影響があ
り、フィルム内部には歪みも残留していて、未だ不安定
な状態にあリ、これを直ちにしごき加工に付した場合に
は、円滑なしごき加工を行い得ないが、本発明によれ
ば、側壁部の外面側をアプローチ部36と接触させてそ
の径を縮小させると共に、内面側をフリーの状態にする
ことにより、振動の影響を防止し、フィルム内部の不均
質な歪みも緩和させて、円滑なしごき加工を可能にする
ものである。
【0080】アプローチ部36を通過した側壁部は、し
ごき用のランド部(しごき部)38と再絞り−しごきポ
ンチ33との間隙に導入され、この間隙(C1)で規制
される厚みに圧延される。本発明では、最終側壁部の厚
みC1は積層体元厚(t)の30%乃至85%の厚みと
なるように定める。尚、しごき部導入側の小曲率部37
は、しごき開始点を有効に固定しながら、しごき部38
への積層体の導入を円滑に行うものであり、ランド部3
8の下方の逆テーパ状の逃げ39は、加工力の過度の増
大を防ぐものである。
【0081】再絞り−しごきダイス32の曲率コーナー
部35の曲率半径Rdは、曲げ伸ばしを有効に行う上で
は、ラミネートの肉厚(t)の2.9倍以下であるべき
であるが、この曲率半径があまり小さくなるとラミネー
トの破断が生じることから、ラミネートの肉厚(t)の
1倍以上であるべきである。
【0082】テーパー状のアプローチ部36のアプロー
チ角度(テーパー角度の1/2)αは1乃至5゜を有す
るべきである。このアプローチ部角度が上記範囲よりも
小さいと、ポリエステルフィルム層の配向緩和やしごき
前の安定化が不十分なものとなり、アプローチ部角度が
上記範囲よりも大きいと、曲げ伸ばしが不均一な(戻し
変形が不十分な)ものとなり、何れの場合もフィルムの
割れや剥離を生じることなしに、ポリエステルフィルム
に前記特定の配向を与えるようなしごき加工が困難とな
る。
【0083】小曲率部37の曲率半径Riは、しごき開
始点の固定有効に行う上では、ラミネートの肉厚(t)
の0.3倍以上、20倍以下であるべきであるが、この
曲率半径があまり大きくなるとラミネートの削れが生じ
ることから、ラミネートの肉厚(t)の20倍以下にす
ることが特に望ましい。
【0084】しごき用のランド部38と再絞り−しごき
ポンチ33ポンチとクリアランスは前述した範囲にある
が、ランド長Lは、一般に0.5乃至3mmの長さを有
しているのがよい。この長さが上記範囲よりも大きいと
加工力が過度に大きくなる傾向があり、一方上記範囲よ
りも小さいとしごき加工後の戻りが大きく、好ましくな
い場合がある。
【0085】本発明において、フランジ部のポリエステ
ル層は、過酷な巻締加工を受けることから、缶側壁部の
ポリエステル層に比して、平行成分配向度(D1 )が相
対的に低い範囲にあるのがよく、一般に平行成分配向度
(D1 )は、10%以上が好ましい。また、2θ=14
゜乃至20゜のピークの半値巾(Wh)が1.8゜の以
内にあるのがよい。これにより、巻締部の密封性及び耐
腐食性を向上させることができる。
【0086】この目的のため、しごき後の缶側壁部の上
端に、缶側壁部の厚みよりも厚いフランジ形成部が形成
されるようにする。即ち、缶側壁部の厚みをt1 及びフ
ランジ部の厚みをt2 とすると、t2 /t1 の比は、
1.0乃至2.0、特に1.0乃至1.7の範囲に定め
るのがよい。
【0087】再絞り−しごき成形後のシームレス缶を示
す図17、図18及び図19において、シームレス缶5
0は、素板厚とほぼ同じ厚みを有する底部51と、再絞
り−しごき加工により薄肉化された側壁部52とから成
るが、側壁部52の上部には、これよりも厚肉のフラン
ジ形成部53が形成されている。勿論、フランジ形成部
と側壁部の厚みが等しい場合もある(図示せず)。
【0088】フランジ形成部53には、種々の構造があ
り、図17に示した例では、側壁部52の内面とフラン
ジ形成部53の内面とが同一径の円筒面上にあり、フラ
ンジ形成部53の外面は側壁部52の外面よりも大きい
径を有している。このタイプのフランジ形成部53は、
再絞り−しごきダイのランド部の長さLを短くすると共
に、このランド部に続く部分にランド部よりも小径の部
分を設けて、フランジ形成部53が戻り変形させること
により形成される。
【0089】フランジ形成部53´の図18に示した例
では、側壁部52´の外面とフランジ形成部53´の外
面とが同一径の円筒面上にあり、フランジ形成部53´
の内面は側壁部52´の内面よりも小さい径を有してい
る。このタイプのフランジ形成部53´は、再絞り−し
ごきポンチ33において、側壁部が伸ばされてフランジ
形成部53´が位置する部分を他の部分に比して小径に
しておくことにより形成される。
【0090】フランジ形成部53″の図19に示した例
では、フランジ形成部53″の外面は側壁部52″の外
面よりも大きい径を有すると共に、フランジ形成部5
3″の内面は側壁部52″の内面よりも小さい径を有し
ている。このタイプのフランジ形成部53″は、再絞り
−しごきポンチ33において、側壁部が伸ばされてフラ
ンジ形成部53″が位置する部分を他の部分に比して小
径にしておくと共に、再絞り−しごきダイのランド部の
長さLを短くすると共に、このランド部に続く部分にラ
ンド部よりも小径の部分を設けて、フランジ形成部5
3″が戻り変形させることにより形成される。
【0091】本発明のシームレス缶を製造するに際し
て、表面のポリエステル層は十分な潤滑性能を付与する
ものであるが、より潤滑性を高めるために、各種油脂類
或いはワックス類等の潤滑剤を少量塗布しておくことが
できる。勿論、潤滑剤を含有する水性クーラント(当然
冷却も兼ねる)を使用することもできるが、操作の簡単
さの点では避けた方がよい。
【0092】また、再絞り−しごき加工時の温度(しご
き終了直後の温度)は、ポリエステルのガラス転移点
(Tg)よりも50℃高い温度以下で且つ10℃以上の
温度であることが好ましい。このため、工具の加温を行
ったり、或いは逆に冷却を行うことが好ましい。
【0093】本発明によれば、次いで絞り成形後の容器
を、少なくとも一段の熱処理に付することができる。こ
の熱処理には、種々の目的があり、加工により生じるフ
ィルムの残留歪を除去すること、加工の際用いた滑剤を
表面から揮散させること、表面に印刷した印刷インキを
乾燥硬化させること等が主たる目的である。この熱処理
には、赤外線加熱器、熱風循環炉、誘導加熱装置等それ
自体公知の加熱装置を用いることができる。また、この
熱処理は一段で行ってもよく、2段或いはそれ以上の多
段で行うこともできる。熱処理の温度は、180乃至2
40℃の範囲が適当である。熱処理の時間は、一般的に
いって、1分乃至10分のオーダーである。
【0094】熱処理後の容器は急冷してもよく、また放
冷してもよい。即ち、フィルムや積層板の場合には急冷
操作が容易であるが、容器の場合には、三次元状でしか
も金属による熱容量も大きいため、工業的な意味での急
冷操作はたいへんであるが、本発明では急冷操作なしで
も、結晶成長が抑制され、優れた組合せ特性が得られる
のである。勿論、所望によっては、冷風吹付、冷却水散
布等の急冷手段を採用することは任意である。
【0095】得られた缶は、所望により、一段或いは多
段のネックイン加工に付し、フランジ加工を行って、巻
締用の缶とする。
【0096】
【実施例】本発明を次の例で説明する。本発明の特性値
は以下の測定法による。
【0097】 X線回折 理学電機(株)製、微小部X線回折装置を用いて、以下
の条件下で測定した。 X線 :CuKαX線(1.542オングストロー
ム) 管電圧 :40KV 管電流 :200mA X線ビーム径:100μmφ 検出器 :湾曲形位置敏感検出器(PSPC) サンプリングは金属板の圧延方向に直角な方向の軸線上
で、缶側壁部は缶高さ80mmの点を中心に20mm角
に切り出した。フランジ部のサンプリングは、フランジ
部先端より10mmの点を中心に20mm角に切り出し
た。それぞれの切り出したサンプルについて50%塩酸
にて金属板を溶解し、フィルムを板から単離して24時
間の真空乾燥を行った。次いで、得られたフィルム片
を、金属板の圧延方向に直角な方向の軸線上で、缶側壁
部は缶高さ80mmの点を中心に、缶軸方向が10m
m、缶円周方向が1mmに切り出し缶長方向に互いに平
行になる様に6枚重ねてサンプルとした。フランジ部は
フランジ部先端より缶長方向に5mm、缶円周1mmを
切り出し上記同様に6枚重ねサンプルとした。図1に示
す様にX線ビームをサンプル表面に垂直にあてて、X線
回折測定を行った。得られたX線回折チャートの一例を
図3に示し、ベースライン補正後のX線回折チャートを
図4に示しピーク強度A,B及び半値幅Whは図中に示
した。
【0098】 複屈折 金属板の圧延方向に直角な方向の軸線上で、缶胴側壁部
のサンプリングは缶高さ80mmの点を中心に、缶底部
のサンプリングは缶底中央部を中心に、フランジ部のサ
ンプリングはフランジ部先端より5mmの点を中心に、
それぞれ5mm角に切り出した。それぞれの切り出した
サンプルについて50%塩酸にて金属板を溶解し、フィ
ルムを単離した。その後少なくとも24時間の真空乾燥
を行い試料を得た。缶側壁部、缶底部、フランジ部のフ
ィルムの所定位置をエポキシ樹脂にて包埋し、厚み方向
(nt に相当)と2軸配向面の最大配向(nh に相当)
に平行となるように、3μmに切り出し、偏光顕微鏡に
よりレターデーションを測定したが、複屈折の値は、断
面の5ケ所の平均値とした。Δn1 、Δn4 、Δ5 及び
Δ7の値は、厚み方向において、Δn1 と、Δ5 はフィ
ルム表面側より、また、Δn4 とΔ7 はフィルムの金属
側より、それぞれ2μmまでの複屈折の平均値を採用し
た。測定波長は546nmを用いた。
【0099】 貯蔵試験 コーラを充填した缶を5℃において、金属板の圧延方向
に対し直角となる軸線上にある缶のネック部直下に径6
5.5mmの鋼製の棒を置き、1kgのおもりを60m
mの高さから落下させて衝撃を与え、更にこの缶を缶軸
を15°傾けて30cmの高さから落下させて衝撃を与
えた。その後、37℃の温度で貯蔵試験を行い1年後の
缶の状態を調べた。尚、実験例6及び7の陰圧缶はミル
クコーヒーを充填して、125℃、30分のレトルト殺
菌を行った後、上記衝撃を与え、貯蔵試験に供した。
【0100】実験例1 テレフタル酸/イソフタル酸(重量比88/12)とエ
チレングリコールからなる共重合ポリエステル(Tm=
228℃)を120℃にて縦方向に3.0倍及び横方向
に3.0倍延伸し、180℃にて熱固定を行い、厚み2
5μmの2軸延伸フィルムを得た。次いで、素板厚0.
18mm、調質度DR−6のティンフリースチール(T
FS)板の両面に、2軸延伸フィルムを、板温を240
℃、ラミネートロール温度を150℃、通板速度を40
m/分で熱ラミネートし、直ちに水冷することにより、
ラミネート金属板を得た。この被覆金属板にワックス系
潤滑剤を塗布し、直径166mmの円板を打ち抜き、浅
絞りカップを得た。次いでこの浅絞りカップを図19の
構造をとるように再絞り・しごきを行い深絞り−しごき
カップを得た。この深絞りカップの諸特性は以下の通り
であった。 カップ径 66mm カップ高さ 128mm 素板厚に対する缶側壁部の厚み 65% 素板厚に対するフランジ部の厚み 77% このときのしごき率は12%であった。この深絞り−し
ごきカップを、常法に従いドーミング成形を行い、21
5℃にて熱処理を行った後、カップを放冷後、開口端縁
部のトリミング加工、曲面印刷及び焼き付け乾燥、フラ
ンジング加工を行って、350g用のシームレス缶を得
た。次いでコーラを充填し、貯蔵経時後の缶内面の状態
及び漏洩について調べた。表2に、缶体のフィルム特性
値及び評価結果を示すが、優れた耐衝撃性(耐デント
性)、耐腐食性及び巻締め性乃至密封性のシームレス缶
を得た。
【0101】実験例2 実験例1で用いた2軸延伸フィルムの片面にエポキシフ
ェノール系接着プライマーを固形分として10mg/d
2 の塗布量となる様に塗布し、60℃で乾燥させた。
素板厚0.175mm、調質度DR−6のTFS板の両
面に、前記2軸延伸フィルムをTFS材と接着プライマ
ーとが接するように供給して、熱ラミネートし、直ちに
水冷し、被覆金属板を得た。この被覆金属板を用いて、
図18の構造をとるようにした以外は実験例1と同様に
してシームレス缶を得た。表2に、缶体のフィルム特性
値及び評価結果を示すが、優れた耐衝撃性(耐デント
性)、耐腐食性及び巻締め性乃至密封性のシームレス缶
を得た。
【0102】実験例3 テレフタル酸/イソフタル酸(重量比97/3)とエチ
レングリコールからなる共重合ポリエステル(Tm=2
48℃)を120℃にて縦方向に3.0倍及び横方向に
3.0倍延伸し、180℃にて熱固定を行い、厚み25
μmの2軸延伸フィルムを得た。熱ラミネートの板温を
258℃、ラミネートロール温度を150℃、通板速度
を60m/分で行った以外は実験例1と同様にしてラミ
ネートし、ラミネート金属板を得た。この被覆金属板を
直径163mmの円板に打ち抜き、缶側壁部の厚みが素
板厚に対して60%、このときのしごき率が17%であ
る以外は実験例1と同様にして深絞り−しごき加工によ
りカップを得た。この深絞り−しごきカップを235℃
にて熱処理を行った以外は実験例1と同様に行いシーム
レス缶を得た。表2に、缶体のフィルム特性値及び評価
結果を示すが、優れた耐衝撃性(耐デント性)、耐腐食
性及び巻締め性乃至密封性のシームレス缶を得た。
【0103】実験例4 ポリエステル層Aとしてテレフタル酸/イソフタル酸
(重量比88/12)とエチレングリコールからの共重
合ポリエステル(Tm=228℃)とポリエステル層B
としてテレフタル酸/イソフタル酸(重量比94/6)
とエチレングリコールからの共重合体とポリブチレンテ
レフタレートとを重量比で70/30をブレンドしたポ
リエステル(Tm=236℃)とからなる積層体を12
0℃にて縦方向に3.0倍及び横方向に3.1倍延伸
し、180℃にて熱固定を行い、2軸延伸フィルムを得
た。この積層フィルムは、ポリエステル層Aが4μm、
ポリエステル層Bが16μmで総厚みは20μmであっ
た。この積層フィルムのポリエステルB層が金属板に接
するように熱ラミネートし、深絞り・しごきカップの熱
処理を220℃にした他は、実験例1に記載した方法と
同様に行いシームレス缶を得た。表2に、缶体のフィル
ム特性値及び評価結果を示すが、優れた耐衝撃性(耐デ
ント性)、耐腐食性及び巻締め性乃至密封性のシームレ
ス缶を得た。
【0104】実験例5 素板厚0.190mmにポリエチレンテレフタレートの
2軸延伸フィルム(延伸倍率3.3×3.3、熱固定温
度180℃、Tm=255℃、厚み25μm)を用い、
熱ラミネートする際に、板温を263℃、ラミロール温
度を160℃、通板速度を100m/分で行った以外
は、実験例1と同様に深絞り−しごき加工によりカップ
を得た。缶側壁厚みは素板厚に対し50%、このときの
しごき率は20%であった。この深絞り−しごきカップ
を245℃にて熱処理を行った他は実験例1と同様にし
て、シームレス缶を得た。表2に、缶体のフィルム特性
値及び評価結果を示すが、優れた耐衝撃性(耐デント
性)、耐腐食性及び巻締め性乃至密封性のシームレス缶
を得た。
【0105】実験例6 素板厚0.215mmに実験例1で用いた2軸延伸フィ
ルムを実験例1と同様にしてラミネート金属板を得て、
この被覆金属板を直径143mmの円板に打ち抜き、浅
絞りカップを得た。次いで、図17の構造をとるよう
に、このカップを薄肉化再絞り−しごき加工を行った。
このようにして得られた深絞り−しごきカップの諸特性
は以下の通りであった。 カップ径 52mm カップ高さ 110mm 素板厚に対する缶側壁部の厚み 73% 素板厚に対するフランジ部の厚み 78% このときのしごき率は13%であった。この深絞り−し
ごきカップを陰圧缶用のドーミング成形に賦し、、以下
実験例1と同様に行って200g用のシームレス缶を得
た。表2に、缶体のフィルム特性値及び評価結果を示す
が、優れた耐衝撃性(耐デント性)、耐腐食性及び巻締
め性乃至密封性のシームレス缶を得た。
【0106】実験例7 実験例6で用いたラミネート金属板を直径162mmの
円板に打ち抜き、浅絞りカップを得た。次いで、このカ
ップを薄肉化再絞り−しごき加工を行いカップを得た。
このようにして得られた深絞り−しごきカップの諸特性
は以下の通りであった。 カップ径 52mm カップ高さ 135mm 素板厚に対する缶側壁部の厚み 80% 素板厚に対するフランジ部の厚み 83% このときのしごき率は10%であった。この深絞り−し
ごきカップを実験例1と同様に行って250g用のシー
ムレス缶を得た。表2に、缶体のフィルム特性値及び評
価結果を示すが、優れた耐衝撃性(耐デント性)、耐腐
食性及び巻締め性乃至密封性のシームレス缶を得た。
【0107】実験例8 実験例1で使用したラミネート板を直径179mmに打
ち抜き、浅絞りカップを成形した後、薄肉化再絞り−絞
り成形を行い、得られた深絞りカップの諸特性のうち、
側壁厚みが素板厚の80%の厚みである以外は、実験例
1と同様にして350g用のシームレス缶を得た。表2
にフィルム特性値及び評価結果を示す。貯蔵経時後、ネ
ック部のデント周辺部のフィルム下に腐食が見られ、容
器として不適であった。
【0108】実験例9 実験例1で使用した2軸延伸フィルムを板温260℃、
ラミロール温度90℃、通板速度10m/分で熱ラミネ
ートし、実験例1の方法と同様に成形カップを得て、次
いで235℃,3分の熱処理を行った。他は、実験例1
と同様に行って、シームレス缶を得た。表2に、フィル
ム特性値及び評価結果を示す。貯蔵経時後、ネック部周
辺のフィルムが割れて金属板の腐食が見られ、実用に適
さないと判断した。
【0109】実験例10 素板厚0.210mmのTFSの両面に、厚み40μm
の非晶状態(未延伸)のポリエステルフィルム(ポリエ
チレンテレフタレート、Tm=255℃)を板温度を2
70℃、ラミネートロール温度を90℃、通板速度を5
m/分で熱ラミネートし直ちに水冷し、ラミネート金属
板を得た。この被覆金属板を直径163mmの円板に打
ち抜き、缶側壁部の厚みが素板厚に対し50%であり、
このときのしごき率が30%となる様に、実験例1と同
様にシームレス缶を得た
【0110】表2に、フィルム特性値及び評価結果を示
す。貯蔵経時後、ネックのデント部周辺、巻締め部周辺
及び缶底部周辺のフィルムが割れて金属板の腐食が著し
く、実用に適さなかった。
【0111】実験例11 実験例1で使用した2軸延伸フィルムを実験例1と同様
に熱ラミネートし、更に、250℃の加熱を2分施した
後急冷を行ってラミネート金属板を得た他は、実験例1
と同様にシームレス缶を得た
【0112】表2に、フィルム特性値及び評価結果を示
す。貯蔵経時後、ネックのデント部周辺、巻締め部周辺
及び缶底部周辺のフィルムが割れて金属板の腐食が著し
く、実用に適さなかった。
【0113】
【表2】
【0114】
【発明の効果】本発明によれば、ポリエステル被覆金属
板の絞り−再絞り加工に際して、缶胴側壁部に対して、
曲げ伸ばしと同時に特定の条件下でのしごき加工を加え
ることにより、側壁部のポリエステルフィルムに新規な
分子配向を付与することができ、これにより、ポリエス
テルが熱処理を受けた後での耐衝撃性(耐デント性)、
耐腐食性及び巻締性乃至密封性を顕著に向上させること
ができると共に、素材コストの節減及び容器重量の低減
も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例で行った微小部X線回折測定の概略図で
ある。
【図2】ポリエチレンテレフタレートの結晶単位格子に
おける原子配列図である。
【図3】従来の曲げ伸ばし法で得られたシームレス缶の
缶側壁部のフィルム層のX線回折チャート図(実験例
8)である。
【図4】従来の曲げ伸ばし法で得られたシームレス缶の
缶側壁部のフィルム層のベースライン補正後のX線回折
チャート図(実験例8)である。
【図5】本発明のシームレス缶の缶側壁部のフィルム層
のX線回折チャート図である。
【図6】本発明のシームレス缶の缶側壁部のフィルム層
のベースライン補正後のX線回折チャート図である。
【図7】X線回折法における、分子配向と回折強度との
関係を説明する図である。
【図8】未延伸フィルム積層体からなるシームレス缶の
缶側壁部のフィルム層のX線回折チャート図である。
【図9】未延伸フィルム積層体からなるシームレス缶の
缶側壁部のフィルム層のベースライン補正後のX線チャ
ート図である。
【図10】缶側壁部のフィルム層の複屈折分布図であ
る。
【図11】缶底部のフィルム層の複屈折分布図である。
【図12】シームレス缶の一例を表す図である。
【図13】シームレス缶の側壁部の断面構造を表す図で
ある。
【図14】シームレス缶の側壁部の断面構造(プライマ
ー層介在)を表す図である。
【図15】ラミネート金属板の製造装置の概略図であ
る。
【図16】ラミネート板の絞り−しごき成形の説明図で
ある。
【図17】特定のフランジ部を有するシームレス缶の断
面図である。
【図18】特定のフランジ部を有するシームレス缶の断
面図である。
【図19】特定のフランジ部を有するシームレス缶の断
面図である。
【符号の説明】 10 底部 11 深絞り缶 12 側壁部 13 ネック部 14 フランジ部 15 金属基体 16 内面被膜 17 外面被膜 18 プライマー層 20 金属版 21 加熱ロール 22 ラミネートロール 23 ポリエステルフィルム 24 フィルム供給ロール 25 ラミネート 26 冷却水 27 ガイドローラ 28 ギャップ 29 保温機構 30 前絞りカップ 31 保持部材 32 再絞り−しごきダイス 33 再絞り−しごきポンチ 34 平面部 35 作用コーナー部 36 アプローチ部 37 小曲率部 38 ランド部 39 逃げ 40 外周面 41 外周面の曲率コーナー部 42 環状底面 50 シームレス缶本体 51 底部 52 側壁部 53 フランジ形成部 51´ 底部 52´ 側壁部 53´ フランジ形成部 51″ 底部 52″ 側壁部 53″ フランジ形成部

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板とエチレンテレフタレート単位を
    主体とするポリエステル乃至コポリエステルの二軸配向
    フィルムとの積層体から成る薄肉化深絞りしごき加工シ
    ームレス缶において、缶側壁部は積層体元厚の30%乃
    至85%の厚みとなるように薄肉化されていると共に、
    前記缶側壁部におけるフィルム層は、 下記式(1) B D1 = −−−−− × 100 ‥‥(1) A 式中、Aは、缶側壁部から剥離したフィルムの多数を缶
    高さ方向が互いに平行になるように重ね合わせ、このフ
    ィルム面に対して、缶高さ方向に対して垂直にX線(C
    u−Kα)を入射させ、X線入射線を含み且つ前記高さ
    方向に垂直な面内で回折角度(2θ)を変化させて得ら
    れるX線回折曲線について2θ=10゜から60゜まで
    の範囲でピーク間の極小点である谷同士を結ぶベースラ
    イン又は該極小点を通って該ピークの裾に接線を引いた
    ときの当該接線であるベースラインを引いて得られる補
    正X線回折曲線において、概ね2θ=24゜乃至29゜
    のピークの当該ベースラインからの強度を表し、Bは上
    記補正X線回折曲線における概ね2θ=14゜乃至20
    ゜のピークの当該ベースラインからの強度を表す、 で定義される平行成分配向度(D1 )が65%以上であ
    り且つ上記補正X線回折曲線について求めた概ね2θ=
    14゜乃至20゜のピークの半値巾(Wh)が1.0乃
    至1.25゜の範囲内にあることを特徴とするシームレ
    ス缶。
  2. 【請求項2】 複屈折法で測定した下記式(2) Δn14 = nh −nt ‥‥(2) nh はフィルムの缶長方向の屈折率であり、nt はフィ
    ルムの厚み方向の屈折率である、 による複屈折(Δn)が缶胴側壁部のポリエステル系フ
    ィルムの表面側(Δn1)で0.020乃至0.180
    であり、金属板に接する側(Δn4 )で0.005乃至
    0.120であり、表面から金属板側の面に至る厚み方
    向の途中で少なくとも2個以上の複屈折のピークを有
    し、表面側に近い複屈折のピーク(P1 )(Δn2 )と
    金属側に近い複屈折のピーク(P2 )(Δn3 )とを有
    し、表面側に近い複屈折のピーク(P1 )(Δn2 )が
    0.020乃至0.220で高い方の裾からの高さが少
    なくとも0.005高い複屈折のピークを有し、且つ金
    属側に近い複屈折のピーク(P2 )(Δn3 )が0.0
    10乃至0.200で、高い方の裾からの高さが少なく
    とも0.005高い複屈折のピークを有することを特徴
    とする請求項1記載のシームレス缶。
  3. 【請求項3】 複屈折法で測定した下記式(3) Δn57 = nm −nt ‥‥(3) nm はフィルムの最大配向方向の屈折率であり、nt
    フィルムの厚み方向の屈折率である、 による複屈折(Δn)が、缶底部のポリエステル系フィ
    ルムの表面側(Δn5 )で0.020乃至0.140で
    あり、金属板に接する側(Δn7 )で0.005乃至
    0.100であり、表面から金属板側の面に至る厚み方
    向の途中(Δn6 )で少なくとも1個の複屈折のピーク
    を有し、厚み方向途中の複屈折(Δn6 )のピークが
    0.020乃至0.160であり、高い方の裾からの高
    さが少なくとも0.005高い複屈折のピークを有する
    ことを特徴とする請求項1記載のシームレス缶。
  4. 【請求項4】 缶側壁部上端のフランジ部において、前
    記式(1)で定義される平行成分配向度(D1 )が10
    %以上であり且つ概ね2θ=14゜乃至20゜のピーク
    の半値巾(Wh)が1.8゜の以内にあることを特徴と
    する請求項1乃至3の何れかに記載のシームレス缶。
  5. 【請求項5】 複屈折法で測定した下記式(2) Δn14 = nh −nt ‥‥(2) nh はフィルムの缶長方向の屈折率であり、nt はフィ
    ルムの厚み方向の屈折率である、 による複屈折(Δn)が前記フランジ部のポリエステル
    系フィルムの表面側(Δn1 )で0.020乃至0.1
    80であり、金属板に接する側(Δn4 )で0.005
    乃至0.100であり、表面から金属板側の面に至る厚
    み方向の途中で少なくとも2個以上の複屈折のピークを
    有し、表面側に近い複屈折のピーク(P1)(Δn2
    と金属側に近い複屈折のピーク(P2 )(Δn3 )とを
    有し、表面側に近い複屈折のピーク(P1 )(Δn2
    が0.020乃至0.220で、高い方の裾からの高さ
    が少なくとも0.005高い複屈折のピークを有し、且
    つ金属側に近い複屈折のピーク(P2 )(Δn3 )が
    0.010乃至0.200で、高い方の裾からの高さが
    少なくとも0.005高い複屈折のピークを有すること
    を特徴とする請求項4記載のシームレス缶。
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