JP4366730B2 - 製缶用積層体及びシームレス缶 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は製缶用積層体及びこの積層体を用いて製造されたシームレス缶に関するもので、より詳細には、高温殺菌されているコーヒー飲料、お茶類充填に使用でき、高温での貯蔵安定性が顕著に改善され、且つ、優れた加工性、耐衝撃性(耐デント性)、耐食性を有し、内容物の保存性に優れた積層体及びこの積層体から成形されたシームレス容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、側面無継目缶(サイド・シームレス缶)としては、アルミニウム板、ブリキ板或いはティン・フリー・スチール板等の金属素材を、絞りダイスとポンチとの間で少なくとも1段の絞り加工に付して、側面継目のない胴部と該胴部に、継目なしに一体に接続された底部とから成るカップに形成し、次いで所望により前記胴部に、しごきポンチとダイスとの間でしごき加工を加えて、容器胴部を薄肉化したものが知られている。また、しごき加工の代わりに、再絞りダイスの曲率コーナ部で曲げ伸ばして側壁部を薄肉化することも既に知られている(特公昭56−501442号公報)。
【0003】
また、側面無継目缶の有機被覆法としては、一般に広く使用されている成形後の缶に有機塗料を施す方法の他に、成形前の金属素材に予め樹脂フィルムをラミネートする方法が知られており、特公昭59−34580号公報には、金属素材にテレフタル酸とテトラメチレングリコールとから誘導されたポリエステルフィルムをラミネートしたものを用いることが記載されている。また、曲げ伸ばしによる再絞り缶の製造に際して、ビニルオルガノゾル、エポキシ、フェノリクス、ポリエステル、アクリル等の被覆金属板を用いることも知られている。
【0004】
ポリエステル被覆金属板の製造についても、多くの提案があり、例えば、特公昭59−34580号公報には、金属素材にテレフタル酸とテトラメチレングリコールとから誘導されたポリエステルフィルムをラミネートしたものを製缶に用いることが記載されている。
また、特開平5−4229号公報には、表面に二軸配向が残存しているポリエチレンテレフタレートより成る塗膜が記載され、更に特開平6−172556号公報には、極限粘度[η]が0.75以上のポリエステルフィルムを金属ラミネートに用いることが提案されている。
【0005】
更に、特開平3−101930号公報には、金属板と、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルフィルム層と、必要により金属板とポリエステルフィルムとの間に介在する接着プライマー層との積層体から成り、該ポリエステルフィルム層は、式
Rx =IA /IB
式中、IA はポリエステルフィルム表面に平行な、面間隔約0.34nm(CuKαX線回折角が24゜から28゜)の回折面によるX線回折強度、IB はポリエステルフィルム表面に平行な、面間隔約0.39nm(CuKαX線回折角が21.5゜から24゜)の回折面によるX線回折強度、
で定義されるX線回折強度が0.1乃至15の範囲内にあり且つ結晶の面内配向の異方性指数が30以下であるフィルム層から成ることを特徴とする絞り缶用被覆金属板が記載されており、また、上記被覆金属板を絞り再絞り成形し、且つ再絞り成形に際して缶胴側壁部を曲げ伸ばしにより薄肉化して成る薄肉化絞り缶が記載されている。
【0006】
更にまた、特開平7−195619号公報には、金属板と、該金属板片面または両面上に設けられた樹脂被覆とからなり、この樹脂被覆は、
[A]ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とから誘導され、ジカルボン酸成分を100モル%とするとき、ジカルボン酸成分は、テレフタル酸99〜85モル%とイソフタル酸1〜15モル%とから成る結晶性飽和ポリエステル樹脂層と、
[B]ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とから誘導され、
ジカルボン酸成分はテレフタル酸からなり、
ジヒドロキシ成分は、エチレングリコール99〜70モル%、シクロヘキサンジメタノール1〜30モル%及びジエチレングリコール0〜5モル%からなる非晶性飽和ポリエステル樹脂層との2層からなると共に、
[B]非晶性飽和ポリエステル樹脂層が上記金属板に接するように積層されていることを特徴とする絞りしごき缶用樹脂被服金属板が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
熱可塑性ポリエステルを被覆した積層体から形成されたシームレス缶は、成形前の金属素材に樹脂フィルムを施せばよく、通常の塗装処理のように、塗膜の焼き付け炉や塗料排ガスの処理施設が不要で、大気汚染がなく、また成形後の缶体に塗装処理を行わなくてもよいという利点を与えるものであるが、ポリエステルフィルムとして、二軸延伸されたフィルムを使用する必要があり、このためフィルムのコストが高くなるという欠点がある。
【0008】
即ち、一般の金属−樹脂積層体においては、金属基体上に樹脂を押し出しコートすることが広く行われてているが、ポリエステルの場合にもこの押し出しコート法が適用できれば、製膜及び延伸に伴う作業やそのためのコストを低減できることが期待できる。
【0009】
しかしながら、金属−ポリエステル積層体、特にシームレス容器形成用の積層体においては、製造工程上種々の熱処理を受けるが、この熱処理に際して未延伸、即ち末配向のポリエステルが熱結晶化(白化−ラメラの生成)する傾向があり、被覆が脆くなり、加工性が損なわれるという問題を生じる。積層体のポリエステルを分子配向状態に維持しておけば、熱処理の際のラメラ化が防止されるので、これが、積層用に配向されたポリエステルフィルムを用いる理由である。
【0010】
また、熱可塑性樹脂を基材上に押出しラミネートして積層体を製造する方法としては押出機とTダイを用いる、いわゆるTダイ法が知られているが、ポリエステル樹脂をTダイ法で押出ラミネートしようとすると、押出機およびダイ内部での不安定流動や、Tダイを出てからの張力不足に起因する、耳ぶれや蛇行現象を生起するいわゆるドローレゾナンス現象を起こし、均一な膜厚が得られにくく、また、耳ぶれした両端部をトリミングする必要があることから、歩留まりが悪いなどの問題点があった。これらの現象は、樹脂の引き取り速度を上げていったときに特に起こりやすく、ポリエステル樹脂の高速ラミネーションを非常に困難にしている。
また、ポリエステル樹脂は熱劣化による減粘を起こしやすいため、甚だしい場合にはTダイからポタ落ちするような場合もある。
【0011】
従って、本発明の目的は、金属等の基体にポリエステルの押出コート層を設けた積層体において、上記の問題点を解消し、被覆の均一性、被覆の完全さ、密着性、耐熱性及び成形性に優れた積層体を提供するにあり、更に、安価に且つ歩留まりよく、しかも高速で製造することが可能な積層体を提供するにある。
【0012】
更に、熱可塑性ポリエステルを被覆した積層体から形成されたシームレス缶は、耐腐食性については、一応満足できる評価は得られているものの、近年、レトルト殺菌の合理化や効率化のために、高温レトルトが望まれている。高温でのレトルトでは、内面側のポリエステルフィルムからの低分子量成分の溶出量が大きくなることが分かった。特に、シームレス缶を、缶ウオーマーやホットベンダーで販売されているコーヒー飲料やお茶類の充填の用途に用いた場合には、未だある種の問題を発生することが分かった。
【0013】
即ち、高温湿熱条件下では、フィルム中に必然的に含まれている低分子量成分の内容物への移行量が大きくなり、また、低分子量成分の中でも、比較的高分子成分であり、本来水溶液に対する溶解度の極めて小さいものである成分の抽出が顕著になる。内容物に移行する量は、厚生省告示規則、及び米国FDA規則による制限量よりもはるかに少なくとも、高温処理、或いは更に長期間保存される場合、内容物中に移行した比較的高分子量の成分は凝集して、粒子サイズが大きくなって、濁りを生じる場合があり、心理的に好ましいものではない。
更に、ポリエステル被覆金属積層体のシームレス缶への成形に際しても、成形性の一層の向上が望まれている。即ち、材料コストの節約のためには、絞り比を向上させると共に、缶胴の薄肉化を高度に行うことが必要であるが、このためには、用いるポリエステル被覆層もこの苛酷な加工に耐えるものでなければならない。
【0014】
従って、本発明の他の目的は、金属等の基体にポリエステルの押出コート層を設けるに当たって、被覆の完全さ及び密着性に優れ且つ成形性に優れたラミネート板を、安価に且つ歩留まりよくしかも高速で製造できると共に、高温処理及び長期保存において、ポリエステル中に必然的に存在する低分子量成分の内容物中への移行を極力抑え、濁りを抑制するシームレス缶及びこのシームレス缶を製造するための製缶用積層体を提供するにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、金属基体と該基体表面に押出コートにより形成された熱可塑性ポリエステル層とからなる製缶用積層体において、前記熱可塑性ポリエステル層が、芳香族ジカルボン酸成分を主体とするジカルボン酸成分と全グリコール成分の1乃至15モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール成分であるグリコール成分を含有すると共に、三官能以上の多塩基酸及び/又は多価アルコールの多官能成分を0.1乃至3.0モル%含有し、溶融押出時の温度において、下記式(1)
R=η12.2/η1216・・・(1)
式中、η12.2はポリエステルの押出し温度におけるせん断速度12.2sec−1での溶融粘度であり、η1216はポリエステルの押出温度におけるせん断速度1216sec−1での溶融粘度である、
で定義される溶融粘度比(R)が2.0以上の範囲にあり且つη1216が500ポイズ以上の範囲にある共重合ポリエステルの層を備えていることを特徴とする製缶用積層体が提供される。
本発明によればまた、上記積層体を絞り成形或いは絞り・しごき成形で形成されることを特徴とするシームレス缶が提供される。
【0016】
【発明の実施形態】
[作用]
本発明は、金属基体と該基体表面に設けられた熱可塑性ポリエステル層とからなる製缶用積層体に関するが、この熱可塑性ポリエステルとして、芳香族ジカルボン酸成分と全グリコール成分の0.5モル%以上、20モル%未満、好適には1乃至15モル%が1,4-シクロヘキサンジメタノール成分であるグリコール成分とよりなる共重合ポリエステルであって、しかも溶融押出時の温度において、前記式(1)で定義される溶融粘度比(R)が2.0以上の範囲にあり且つη1216が500ポイズ以上の範囲にある共重合ポリエステルを用いたことが本発明の特徴である。
本発明によれば、上記の特徴により、従来技術の問題点を解消し、被覆の均一性、被覆の完全さ、密着性、耐熱性及び成形性に優れた積層体を、安価に且つ歩留まりよく、しかも高速で製造することが可能となり、更にこの積層体を用いて缶を製造すると、高温処理及び長期保存において、ポリエステル中に必然的に存在する低分子量成分の内容物中への移行を極力抑え、濁りを抑制することが可能となる。
【0017】
先ず、本発明で用いる共重合ポリエステルは、多価アルコール成分として上記の限定された量の1,4-シクロヘキサンジメタノール成分を含有することが、溶融流動特性の点でも、耐レトルト性の点でも重要である。
【0018】
添付図面の図1は、種々のポリエステルについて、前述した溶融粘度比(R)を縦軸、η1216を横軸として、溶融流動特性をプロットしたグラフである。
【0019】
本発明において、剪断速度1216sec−1での溶融粘度(η1216)を問題としているのは、押出機やダイス内部では、高剪断速度でポリエステルの溶融押出が行われており、この高剪断速度の一基準値として上記剪断速度を採用している。また、前記式(1)の溶融粘度比(R)は、高剪断速度1216sec−1での溶融粘度と低剪断速度12.2sec−1での溶融粘度との比であって、剪断速度の範囲として100倍の範囲をとったものであるが、この比はポリエステル溶融流動体の非ニュートニアン性を示すものである。即ち、ニュートニアン性流体の場合、溶融粘度比(R)は1.0であるが、ニュートニアン流体からのずれが大きくなるに従って、この溶融粘度比(R)は1に比べて大きな値をとるようになる。
【0020】
一般に、ドローレゾナンス現象を抑制するためには、安定した流動性を持ち、溶融張力の大きい樹脂を用いることが有効であるが、ポリエステルでは溶融張力の増大は粘度の著しい上昇を伴うことから、通常の押出し機では押出し自体が不能となる場合が多く、高速押出しは不可能であった。押出し温度を上げて押出し可能にした場合、樹脂の減粘・張力減少などから、前述のドローレゾナンス現象やダイからの溶融樹脂の滴下を引き起こし、高速ラミネーションを行うことはできない。
【0021】
これに対して、本発明においては、前述した溶融粘度特性に関連して、剪断速度の大きい押出し機内部においては、ポリエステル溶融物が低粘度に維持されて低負荷で押出しが可能となると共に、ダイスから解放された後は剪断が掛からず粘度上昇し溶融張力も増大するため、樹脂のタレやドローレゾナンス現象が抑制される。
また流路内やダイス内部では、ポリエステル溶融物は非ニュートン流動特性を持つため、不安定流動を生じにくく、この点でもドローレゾナンス現象の発生が抑制されるものである。
【0022】
従来、金属−ポリエステル積層体の製造に使用されているポリエステルの溶融粘度比(R)は1或いはその前後の値をとるものであり、このようなポリエステルを押出コートで基体上にラミネートすると、後述する比較例に示すとおり、耳ぶれを発生する。耳ぶれは高速になるほど激しくなるため、高速押出しを行うことはできない。
【0023】
これに対して、本発明によれば、溶融粘度比(R)及びη1216を上記範囲に設定することにより、後述する実施例に示すとおり、耳ぶれやボタ落ちの発生を完全に抑制しながら、100m/min以上の高速でのラミネートが可能となるのであって、これは本発明による予想外の利点である。
【0024】
本発明に用いるポリエステルにおいて、剪断速度1216sec−1における溶融粘度(η1216)は500ポイズ以上であることが必要であり、これ以下ではダイスからの溶融樹脂の滴下を生じて製膜できない。
またその上限は押出し機の性能に依存するが、一般に押出し機の過度の負荷を軽減させ、メルトフラクチャーの発生を防止するためには、上記η1216は4000ポイズ以下であることが望ましい。
一方、溶融粘度比(R)は2.0以上であることが必要であり、上限は特にないが、工業的に入手しうるポリエステルの上限は10のものである。
【0025】
本発明で規定した量の1,4-シクロヘキサンジメタノール成分を含む共重合ポリエステルは、高温処理及び長期保存において、ポリエステル中に必然的に存在する低分子量成分の内容物中への移行を極力抑え、濁りを抑制するという予想外の作用効果を示す。後述する例に示すとおり、1,4-シクロヘキサンジメタノール成分を含有しない以外は同様の組成からなるポリエステルは、レトルト試験において濁度4の濁りを発生する(後述する比較例2参照)のに対して、5モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール成分を含有する共重合ポリエステルでは、同様の試験において濁りの発生が濁度0.7に抑制されるのである(後述する実施例1参照)。
【0026】
共重合ポリエステル中の1,4-シクロヘキサンジメタノール成分の含有量が本発明の範囲よりも低い場合、低分子量成分の溶出を抑制するという効果が不十分であり、一方本発明で規定した範囲を上回ると、内容物中の香味成分の吸着傾向が増大し、これにより内容物の保存性が低下するので好ましくない。また、1,4-シクロヘキサンジメタノール成分の含有量が過大になると、ポリエステルが非晶性となり、レトルト殺菌の工程で白化や腐食を生じるようになる。
【0027】
本発明によれば、製膜時或いはラミネート時のドローレゾナンス現象が解消されるため、利用できる膜幅が広く、膜の歩留まりがよく、また製膜時或いはラミネート時の生産性に優れるという利点がある。また、押出時のネックインが小さいため、膜のトリミング幅が小さくて済み、利用できる膜幅が広く、歩留まりがよくなると共に、膜の平面性も優れたものとなる。このため、本発明によると、被覆の均一性及び被覆の完全さに優れた共重合ポリエステル被覆層が形成される。本発明によるラミネート板の共重合ポリエステル被覆層は、金属等の基体との密着性に優れ且つ容器等への成形性にも優れている。
【0028】
本発明では、上記の通り、特定の溶融粘度特性の共重合ポリエステルを溶融押出することが重要であるが、それと同時に押出物を急冷することが重要である。即ち、押出後に樹脂を急冷することにより、粗大結晶の生成を抑制し、ラミネート板の容器への成形やフィルムの二軸延伸加工に際して、優れた成形性が保持される。
【0029】
[熱可塑性共重合ポリエステル]
本発明に用いる熱可塑性ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分を主体とするジカルボン酸成分と全グリコール成分の0.5モル%以上、20モル%未満、好適には1乃至15モル%が1,4-シクロヘキサンジメタノール成分であるグリコール成分とを含有するものである。
【0030】
ポリエステルが誘導される酸成分としては、テレフタル酸、イソフタール酸、オルソフタール酸、P−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の二塩基性芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、シクロヘキサンジ酢酸等の脂環族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ヘミメリット酸、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸等の多塩基酸等が挙げられる。勿論、これらは、単独でも或いは2種以上の組み合わせでも使用される。
【0031】
ポリエステルが誘導されるアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール類や、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、1,1,4,4−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等の多価アルコール等が挙げられる。勿論、これらは、単独でも或いは2種以上の組み合わせでも使用される。
【0032】
本発明に用いる共重合ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸を主体とするジカルボン酸成分から誘導されるものであり、テレフタール酸等の芳香族ジカルボン酸は二塩基酸成分の50モル%以上で存在するのが好ましい。
また、グリコール成分の0.5モル%以上、20モル%未満、好適には1乃至15モル%が1,4-シクロヘキサンジメタノール成分から成るが、それ以外のグリコール成分はエチレングリコール及び/またはブチレングリコール、特に好適にはエチレングリコールから成るのがよい。
【0033】
三官能以上の多塩基酸及び/または多価アルコールの多官能成分は、共重合ポリエステル全体当たり0.05乃至3.0モル%、好ましくは0.1乃至3.0モル%含有されていることが好ましく、上記含有量よりも低いと、前述した溶融粘度特性を得ることが困難となる傾向があり、上記含有量よりも多いと溶融押出特性が低下したり、被覆層の機械的性質や耐熱性が低下する傾向がある。多官能成分としては、ペンタエリスリトール等の多価アルコールが特に好適である。
【0034】
本発明に用いる共重合ポリエステルは、フィルム形成範囲の分子量を有するべきであり、溶媒として、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定した極限粘度〔η〕は0.5乃至1.5、特に0.6乃至1.5の範囲にあるのがよい。
また、共重合ポリエステルの融点(Tm)は、200乃至260℃、またガラス転移点(Tg)は、50乃至100℃の範囲にあるのがよい。
【0035】
本発明に用いる共重合ポリエステルはまた、溶融押出し時の温度において、0.2乃至2.0グラムの溶融張力を有するものであることが好ましく、溶融張力が上記範囲よりも低い場合には、ドローレゾナンス(耳ぶれ)が発生する傾向があり、一方溶融張力が上記範囲よりも高い場合には、高速下で膜切れを発生する傾向がある。
【0036】
共重合ポリエステルは更に、溶融押出し時の温度において、1.3乃至2.0のダイスウェルを有するものであることが好ましく、溶融張力にも関係するが、ダイスウェルが上記範囲よりも小さい場合には、ドローレゾナンス(耳ぶれ)が発生する傾向があり、一方ダイスウェルが上記範囲よりも大きい場合には、高速下で膜切れを発生する傾向がある。
【0037】
共重合ポリエステルはまた、下記式(2)
d=Mw/Mn …(2)
式中、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量である、
で定義される多分散度(d)が2.5以上であるものであることが好ましく、多分散度(d)が上記の範囲内にあれば、安定した押出性が確保される。
【0038】
本発明の押出加工によるラミネート板の共重合ポリエステル被覆層の密度と非晶密度の差は、0.05以下、特に0.03以下という特徴がある。
ここで上記密度の関係式は、下記式
ρ−ρ ≦ 0.05
式中、ρはポリエステル被覆層の密度勾配管法で測定される密度であり、ρ は上記ポリエステル被覆層を融点より30℃高い温度で3分間保持し、次いで液体窒素中で急冷して作成した非晶試料の密度である。
で表される。
【0039】
本発明のラミネート板では、共重合ポリエステル被覆層の密度が、上記の範囲に抑制されているため、その構造は非晶に近く、金属等の基体に対する密着性が向上し、且つ絞りや絞り−しごきに対する加工性が向上しているものと認められる。
【0040】
本発明では、上記の共重合ポリエステル100重量部当たり分子量400以上の非イオウ系酸化防止剤を0.01乃至1.5重量部の範囲で含有させることが好ましく、これにより、高温での熱処理を受けた後での耐デント性を著しく向上させることができる。
【0041】
即ち、金属−ポリエステル積層体を絞り成形して成るシームレス缶では、共重合ポリエステル被覆層に歪みが残留しており、缶の耐久性や耐熱水性の点では、この歪みを高温での熱処理により除去することが望ましい。本発明で用いる特定の共重合ポリエステルは、それ自体耐デント性に優れたものではあるが、例えば240℃で3分間の熱処理を受けると、デント試験後の電流値(金属露出の尺度)が十数mAという大きな値に達するのであり、この原因は、共重合ポリエステルが著しい熱減成を受けるためである。
【0042】
樹脂の熱減成防止のために、酸化防止剤を配合することは一般的であるが、例えば酸化防止剤として最も一般的な2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を配合したのでは、熱処理時における熱減成防止も達成されず、デント試験後の電流値も依然として高いレベルである。これはBHTの分子量が小さく、比較的高温となるポリエステルの溶融押出し条件では、その多くが揮発してしまい、熱処理時には十分な酸化防止効果が得られないことに起因する。
【0043】
これに対して、分子量400以上の非イオウ系酸化防止剤を選択し、これを前記共重合ポリエステルに配合すると、熱処理時における減成が完全に防止されると共に、デント試験後における電流値を未添加の場合の値よりも4桁低い値に抑制できるのであって、これは本発明における予想外の効果である。尚、使用する酸化防止剤を非イオウ系と限定しているのは、イオウ系の酸化防止剤では、添加したポリエステル組成物に着色や異臭が生じるためである。
【0044】
本発明では、上記酸化防止剤を0.01乃至1.5重量部の限定された量で用いることも重要であり、上記範囲を下回ると所定の効果が得られなく、一方上記範囲を上回ると、ポリエステルのゲル化を生じてシームレス缶への成形が困難となる傾向がある。
【0045】
本発明に用いる酸化防止剤は、分子量400以上の酸化防止剤であり、これに限定されるものではないが、高分子フェノール系酸化防止剤、例えば、
テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン(分子量1177.7)、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(分子量544.8)、
1,3,5−トリメチルー2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(分子量775.2)、
ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル(分子量794.4)、
1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン 2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン(分子量783.0)、
トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](分子量586.8)、
1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(分子量638.9)
等を用いることができる。中でも特に、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンが好適である。
【0046】
分子量400以上の酸化防止剤の他の例として、トコフェロール系酸化防止剤、例えばα−型、β−型、γ−型、δ−型等のトコフェロールを挙げることができる。α−トコフェロールが特に好適である。
【0047】
これらの酸化防止剤は、前記ポリエステル乃至ポリエステル組成物100重量部当たり0.01乃至1.5重量部の量で用いる。
【0048】
勿論、このポリエステル組成物には、それ自体公知の樹脂用配合剤、例えば非晶質シリカ等のアンチブロッキング剤、二酸化チタン(チタン白)等の顔料、各種帯電防止剤、滑剤等を公知の処方に従って配合することができる。
【0049】
本発明において、用いる共重合ポリエステルには、所望により種々の樹脂改質剤を配合することができる。このような樹脂改質剤としては、オレフィン系樹脂、例えば低−、中−或いは高−密度のポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変成ポリエチレン、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルグラフト変性ポリプロピレン、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルグラフト変性ポリエチレン等が挙げられる。
これらの樹脂改質剤は、共重合ポリエステル100重量部当たり50重量部以下で用いるのがよい。
【0050】
[金属等の基体]
本発明では、ポリエステル層をラミネートすべき基体としては、金属板や金属箔、紙、他のプラスチックフィルム乃至シート等が挙げられる。これらの内でも金属板が好ましく、金属板としては各種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板が使用される。
【0051】
表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の一種または二種以上行ったものを用いることができる。好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板であり、特に10乃至200mg/mの金属クロム層と1乃至50mg/m(金属クロム換算)のクロム酸化物層とを備えたものであり、このものは塗膜密着性と耐腐食性との組合せに優れている。表面処理鋼板の他の例は、0.5乃至11.2g/mの錫メッキ量を有する硬質ブリキ板である。このブリキ板は、金属クロム換算で、クロム量が1乃至30mg/mとなるようなクロム酸処理或いはクロム酸−リン酸処理が行われていることが望ましい。
【0052】
更に他の例としては、アルミニウムメッキ、アルミニウム圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板が用いられる。
【0053】
軽金属板としては、所謂アルミニウム板の他に、アルミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至5重量%、Zn:0.25乃至0.3重量%、及びCu:0.15乃至0.25重量%、残部がAlの組成を有するものである。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、クロム量が20乃至300mg/mとなるようなクロム酸処理或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ましい。
【0054】
金属板の素板厚、即ち缶底部の厚み(tB )は、金属の種類、容器の用途或いはサイズによっても相違するが、一般に0.100乃至0.500mmの厚みを有するのがよく、この内でも表面処理鋼板の場合には、0.10乃至0.30mmの厚み、また軽金属板の場合には0.15乃至0.40mmの厚みを有するのがよい。
【0055】
金属箔としては、表面処理鋼箔や軽金属箔の内、厚みが0.005乃至0.120mmの範囲にあるものが使用される。この金属箔は所謂カップ容器を製造するのに有用である。
【0056】
[積層体及びその製造方法]
本発明の積層体の断面構造の一例を示す図2において、この積層体1は金属基体2と少なくとも内面側に位置する共重合ポリエステル層3とから成っている。金属基体2には外面被膜4が形成されているが、この外面被膜4は共重合ポリエステル層3と同様のものであってもよいし、また通常の缶用塗料や樹脂(ポリエステル)フィルム被覆であってもよい。
【0057】
積層体の断面構造の他の例を示す図3において、共重合ポリエステル層3と金属基体2との間に接着用プライマーの層5を設けている以外は、図2の場合と同様である。
【0058】
積層体の断面構造の他の例を示す図4において、共重合ポリエステル層3を下地樹脂層とし、この共重合ポリエステル層3の上にエチレンテレフタレート系或いはエチレンナフタレート系のポリエステルの表面樹脂層6を設けている以外は図2の場合と同様である。
【0059】
本発明に用いるポリエステル−金属ラミネート板は、前記共重合ポリエステルを溶融状態で金属基体上に押出しコートして、熱接着させることにより製造することができる。また、別法として、予め製膜された共重合ポリエステルフィルムを金属基体に熱接着させることによっても製造することができる。
【0060】
本発明において、押出コートやフィルムの熱接着に使用する共重合ポリエステル層は、単層であっても、また多層の積層構造のものであってもよい。多層の場合、下地樹脂層が前述した共重合ポリエステルから成り、表面樹脂層が前述したエチレンテレフタレート系或いはエチレンナフタレート系結晶性ポリエステル或いはエチレンテレフタレート単位を主体としエチレンイソフタレート単位を20モル%以下の量で含む共重合ポリエステルから成るのがよい。表面樹脂層は、70℃以上のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。
【0061】
本発明に使用する共重合ポリエステル層の厚みは、全体として、2乃至100μm、特に5乃至50μmの範囲にあるのが金属の保護効果及び加工性の点でよい。
【0062】
ポリエステル−金属ラミネート板の押出コート法による製造方法を説明するための図5において、金属板11を必要により加熱装置12により予備加熱し、一対のラミネートロール13、13間のニップ位置13aに供給する。一方、共重合共重合ポリエステルは、金属板の両側に配置された押出機のダイヘッド14、14を通して薄膜15、15の形に押し出し、ラミネートロール13と金属板11との間に供給され、ラミネートロール13により金属板11に圧着される。ラミネートロール13は、一定の温度に保持されており、金属板11に共重合ポリエステルから成る薄膜15を圧着して両者を熱接着させると共に両側から冷却して積層体16を得る。一般に、形成される積層体16を更に冷却用水槽18等に導いて、熱結晶化を防止するため、急冷を行う。
【0063】
この押出コート法では、樹脂組成の選択とロールや冷却槽による急冷とにより、共重合ポリエステルの層は、結晶化度が、低いレベル、非晶密度との差が0.05以下に抑制されているため、ついで行う絞り加工等に対する十分な加工性が保証される。勿論、急冷操作は上記例に限定されるものではなく、形成されるラミネートに冷却水を噴霧して、ラミネートを急冷することもできる。
【0064】
金属基体に対する共重合ポリエステルの熱接着は、溶融ポリエステル層が有する熱量と、金属板が有する熱量とにより行われる。金属板の加熱温度(T)は、一般に90℃乃至290℃、特に100℃乃至280℃の温度が適当であり、一方ラミネートロールの温度は10℃乃至150℃の範囲が適当である。
【0065】
本発明において、積層体の製造に予め製膜されたポリエステルフィルムを使用することもできる。
このフィルムは、上記共重合ポリエステルをT−ダイ法でフィルムに成形し、過冷却された未配向のキャストフィルムとする。この未配向のフィルムを熱接着に用いることもできるし、また、このキャストフィルムを延伸温度で、逐次或いは同時二軸延伸し、延伸後のフィルムを熱固定したものをラミネートの製造に用いることもできる。
【0066】
ポリエステルフィルムを使用するラミネート方法を説明するための図6において、金属板11を加熱ロール12により用いるポリエステルの融点(Tm)以上の温度(T)に加熱し、ラミネートロール13、13間に供給する。一方、ポリエステルフィルム15は、供給ロール17から巻きほぐされ、ラミネートロール13、13間に金属板11をサンドイッチする位置関係で供給される。ラミネートロール13、13は、加熱ロール12よりも低い温度(T)に保たれており、金属板11の両面にポリエステルフィルムを熱接着させる。ラミネートロール13、13の下方には、形成されるラミネート板16を急冷するための冷却水18を収容した水槽が設けられており、この水槽中にラミネート板を導くガイドローラ19が配置されている。
【0067】
金属板の加熱温度(T)は、一般にTm+0℃乃至Tm+100℃、特にTm+0℃乃至Tm+50℃の温度が適当であり、一方ラミネートロール13の温度Tは、70℃乃至180℃、特に80℃乃至150℃の範囲が適当である。
【0068】
ポリエステルフィルムと金属素材の間に所望により設ける接着プライマーは、金属素材と共重合ポリエステル層との両方に優れた接着性を示すものである。密着性と耐腐食性とに優れたプライマー塗料の代表的なものは、種々のフェノール類とホルムアルデヒドから誘導されるレゾール型フェノールアルデヒド樹脂と、ビスフェノール型エポキシ樹脂とから成るフェノールエポキシ系塗料であり、特にフェノール樹脂とエポキシ樹脂とを50:50乃至5:95重量比、特に40:60乃至10:90の重量比で含有する塗料である。
接着プライマー層は、一般に0.01乃至10μmの厚みに設けるのがよい。接着プライマー層は予め金属素材上に設けてもよい。
【0069】
本発明におけるラミネート板の製造は、上記の方法に限定されない。即ち、予め形成された延伸乃至未延伸のフィルムと金属基体等との間に、前述した共重合ポリエステルを溶融押出する、所謂サンドイッチラミネーションによっても、ラミネート板を製造することができる。この手段は、非常に融点の異なる複数の樹脂や基材密着性に劣る樹脂を積層できる利点を有する。勿論、エチレンテレフタレート系高結晶性ポリエステルフィルムと、金属基体を前述したポリエステルブレンド物の溶融物を介して積層するのにも有利に使用できる。
【0070】
[シームレス缶及びその製造]
本発明のシームレス缶の一例を示す図7において、このシームレス缶21は前述したポリエステル−金属ラミネート1の絞り−再絞り加工による曲げ伸ばし或いは更にしごき加工により形成され、底部20と側壁部22とから成っている。側壁部22の上端には所望によりネック部23を介してフランジ部24が形成されている。この缶21では、底部20に比して側壁部22は曲げ伸ばし或いは更にしごき加工により積層体元厚の20乃至95%、特に30乃至85%の厚みとなるように薄肉化されている。
【0071】
本発明のシームレス缶は、上記の共重合ポリエステル−金属ラミネート板をポンチとダイスとの間で、有底カップに絞り−深絞り成形し、深絞り段階で曲げ伸し或いは更にしごきによりカップ側壁部の薄肉化を行なうことにより製造される。即ち、薄肉化のための変形を、缶軸方向(高さ方向)の荷重による変形(曲げ伸ばし)と缶厚み方向の荷重による変形(しごき)との組み合わせでしかもこの順序に行う。曲げ伸ばしはエチレンテレフタレート単位のc軸方向への分子配向を与え、一方しごきはエチレンテレフタレート単位のベンゼン面のフィルム面に平行な分子配向を与える。
【0072】
本発明のシームレス缶は、上記のポリエステル−金属ラミネート板を有底カップに絞り成形或いは更に深絞り成形することにより得られ、好ましくは、この深絞り段階で曲げ伸し或いは曲げ伸しとしごきを行うことによりカップ側壁部の薄肉化を行なう。
【0073】
例えば、深絞り曲げ延ばし成形(絞り−曲げ延ばし再絞り成形)によれば、被覆金属板から成形された前絞りカップを、このカップ内に挿入された環状の保持部材とその下に位置する再絞りダイスとで保持する。これらの保持部材及び再絞りダイスと同軸に、且つ保持部材内を出入し得るように再絞りポンチ配置する。再絞りポンチと再絞りダイスとを互いに噛みあうように相対的に移動させる。
【0074】
これにより、前絞りカップの側壁部は、環状保持部材の外周面から、その曲率コーナ部を経て、径内方に垂直に曲げられて環状保持部材の環状底面と再絞りダイスの上面とで規定される部分を通り、再絞りダイスの作用コーナ部により軸方向にほぼ垂直に曲げられ、前絞りカップよりも小径の深絞りカップに成形することができる。
【0075】
この際、再絞りダイスの作用コーナー部の曲率半径(Rd )を、金属板素板厚(tB )の1乃至2.9倍、特に1.5乃至2.9倍の寸法とすることにより、側壁部の曲げ引張りによる薄肉化を有効に行うことができる。のみならず、側壁部の下部と上部とにおける厚みの変動が解消され、全体にわたって均一な薄肉化が可能となる。一般に、缶胴の側壁部を素板厚(tB )基準で80%以下の厚み、45%迄、特に40%迄の厚みに薄肉化することができる。
【0076】
深絞り缶の場合、下記数式(5)
Figure 0004366730
式中、Dは剪断したラミネート材の径であり、dはポンチ径である、
で定義される絞り比RD は一段では1.1乃至3.0の範囲、トータルでは1.5乃至5.0の範囲にあるのがよい。
【0077】
また再絞り或いは曲げ伸ばしでは、再絞りダイの曲げ伸ばし加工部の後方にしごき加工部を配置して、側壁部に対してしごき加工を行うこともできる。
【0078】
曲げ伸ばし或いは更にしごきにより、下記数式(6)
Figure 0004366730
式中、tB は素板厚であり、tW は側壁部の厚みである
で定義されるリダクション率RI が20乃至95%、特に30乃至85%の厚みになるように薄肉化することが好ましい。
【0079】
絞り成形等に際して、被覆金属板或は更にカップに、各種滑剤、例えば流動パラフィン、合成パラフィン、食用油、水添食用油、パーム油、各種天然ワックス、ポリエチレンワックスを塗布してドライ潤滑による成形を行うのがよい。滑剤の塗布量は、その種類によっても相違するが、一般に0.1乃至10mg/dm 、特に0.2乃至5mg/dmの範囲内にあるのがよく、滑剤の塗布は、これを溶融状態で表面にスプレー塗布することにより行われる。
【0080】
カップへの絞り成形性を向上させるため、共重合ポリエステル被覆絞りカップの温度をPETのガラス転移点(Tg)以上、特に熱結晶化温度以下の範囲に予め設定加熱して、樹脂被覆層の塑性流動を容易にした状態で成形することが有利である。
【0081】
成形後の内面側有機被覆金属製カップは、カップ開口部の耳の部分を切断する、所謂トリミングを行った後、印刷工程に付する。このトリミング処理に先立って、成形後のカップを被覆樹脂のガラス転移点(Tg)以上で融点よりも低い温度に加熱して、被覆樹脂の歪みを緩和しておくことができる。この操作は、熱可塑性樹脂の場合特に被覆と金属との密着性を高めるために有効である。
【0082】
ラミネートの絞り−しごき成形は、好適には次の手段で行われる。即ち、図8に示す通り、被覆金属板から成形された前絞りカップ30は、このカップ内に挿入された環状の保持部材31とその下に位置する再絞り−しごきダイス32とで保持される。これらの保持部材31及び再絞り−しごきダイス32と同軸に、且つ保持部材31内を出入し得るように再絞り−しごきポンチ33が設けられる。再絞り−しごきポンチ33と再絞り−しごきダイス32とを互いに噛みあうように相対的に移動させる。
【0083】
再絞り−しごきダイス32は、上部に平面部34を有し、平面部の周縁に曲率半径の小さい作用コーナー部35を備え、作用コーナー部に連なる周囲に下方に向けて径の増大するテーパー状のアプローチ部36を有し、このアプローチ部に続いて小曲率部37を介して円筒状のしごき用のランド部(しごき部)38を備えている。ランド部38の下方には、逆テーパ状の逃げ39が設けられている。
【0084】
前絞りカップ30の側壁部は、環状保持部材31の外周面40から、その曲率コーナ部41を経て、径内方に垂直に曲げられて環状保持部材31の環状底面42と再絞りダイス32の平面部34とで規定される部分を通り、再絞りダイス32の作用コーナ部35により軸方向にほぼ垂直に曲げられ、前絞りカップ30よりも小径の深絞りカップに成形される。この際、作用コーナー部35において、コーナー部35と接する側の反対側の部分は、曲げ変形により伸ばされ、一方、作用コーナー部35と接する側の部分は、作用コーナー部を離れた後、戻し変形で伸ばされ、これにより側壁部の曲げ伸ばしによる薄肉化が行われる。
【0085】
曲げ伸ばしにより薄肉化された側壁部は、その外面が径の次第に増大する小テーパー角のアプローチ部36と接触し、その内面がフリーの状態で、しごき部38に案内される。側壁部がアプローチ部を通過する行程は続いて行うしごき行程の前段階であり、曲げ伸ばし後のラミネートを安定化させ、且つ側壁部の径を若干縮小させて、しごき加工に備える。即ち、曲げ伸ばし直後のラミネートは、曲げ伸ばしによる振動の影響があり、フィルム内部には歪みも残留していて、未だ不安定な状態にあり、これを直ちにしごき加工に付した場合には、円滑なしごき加工を行うことができないが、側壁部の外面側をアプローチ部36と接触させてその径を縮小させると共に、内面側をフリーの状態にすることにより、振動の影響を防止し、フィルム内部の不均質な歪みも緩和させて、円滑なしごき加工を可能にするものである。
【0086】
アプローチ部36を通過した側壁部は、しごき用のランド部(しごき部)38と再絞り−しごきポンチ33との間隙に導入され、この間隙(C1)で規制される厚みに圧延される。最終側壁部の厚みC1は積層体元厚(t)の20乃至95%、特に30乃至85%の厚みとなるように定める。尚、しごき部導入側の小曲率部37は、しごき開始点を有効に固定しながら、しごき部38への積層体の導入を円滑に行うものであり、ランド部38の下方の逆テーパ状の逃げ39は、加工力の過度の増大を防ぐものである。
【0087】
再絞り−しごきダイス32の曲率コーナー部35の曲率半径Rdは、曲げ伸ばしを有効に行う上では、ラミネートの肉厚(t)の2.9倍以下であるべきであるが、この曲率半径があまり小さくなるとラミネートの破断が生じることから、ラミネートの肉厚(t)の1倍以上であるべきである。
【0088】
テーパー状のアプローチ部36のアプローチ角度(テーパー角度の1/2)αは1乃至5゜を有するべきである。このアプローチ部角度が上記範囲よりも小さいと、ポリエステルフィルム層の配向緩和やしごき前の安定化が不十分なものとなり、アプローチ部角度が上記範囲よりも大きいと、曲げ伸ばしが不均一な(戻し変形が不十分な)ものとなり、何れの場合もフィルムの割れや剥離を生じることなしに、円滑なしごき加工が困難となる。
【0089】
小曲率部37の曲率半径Riは、しごき開始点の固定を有効に行う上では、ラミネートの肉厚(t)の0.3倍以上、20倍以下であるべきであるが、この曲率半径があまり大きくなるとラミネートの削れが生じることから、ラミネートの肉厚(t)の20倍以下にすることが特に好ましい。
【0090】
しごき用のランド部38と再絞り−しごきポンチ33とクリアランスは前述した範囲にあるが、ランド長Lは、一般に0.5乃至30mmの長さを有しているのがよい。この長さが上記範囲よりも大きいと加工力が過度に大きくなる傾向があり、一方上記範囲よりも小さいとしごき加工後の戻りが大きく、好ましくない場合がある。
【0091】
本発明のシームレス缶において、フランジ部のポリエステル層は、過酷な巻締加工を受けることから、缶側壁部のポリエステル層に比して、マイルドな加工を受けていることが好ましい。これにより、巻締部の密封性及び耐腐食性を向上させることができる。この目的のため、しごき後の缶側壁部の上端に、缶側壁部の厚みよりも厚いフランジ形成部が形成されるようにする。即ち、缶側壁部の厚みをt1 及びフランジ部の厚みをt2 とすると、t2 /t1 の比は、1.0乃至2.0、特に1.0乃至1.7の範囲に定めるのがよい。
【0092】
再絞り−しごき成形後のシームレス缶を示す図9、図10及び図11において、シームレス缶50は、素板圧とほぼ同じ厚みを有する底部51と、再絞り−しごき加工により薄肉化された側壁部52とから成るが、側壁部52の上部には、これよりも厚肉のフランジ形成部53が形成されている。
フランジ形成部53には、種々の構造があり、図10に示した例では、側壁部52の外面とフランジ形成部53の外面とが同一径の円筒面上にあり、フランジ形成部53の内面は側壁部52の内面よりも小さい径を有している。このタイプのフランジ形成部53は、再絞り−しごきポンチ32において、側壁部が伸ばされてフランジ形成部53が位置する部分を他の部分に比して小径にしておくことにより形成される。
フランジ形成部53の図9に示した例では、側壁部52の内面とフランジ形成部53の内面とが同一径の円筒面上にあり、フランジ形成部53の外面は側壁部52の外面よりも大きい径を有している。このタイプのフランジ形成部53は、再絞り−しごきダイのランド部の長さLを短くすると共に、このランド部に続く部分にランド部よりも小径の部分を設けて、フランジ形成部53が戻り変形させることにより形成される。
フランジ形成部53の図11に示した例では、フランジ形成部53の外面は側壁部52の外面よりも大きい径を有すると共に、フランジ形成部53の内面は側壁部52の内面よりも小さい径を有している。このタイプのフランジ形成部53は、再絞り−しごきポンチ32において、側壁部が伸ばされてフランジ形成部43が位置する部分を他の部分に比して小径にしておくと共に、再絞り−しごきダイのランド部の長さLを短くし、更に、このランド部に続く部分にランド部よりも小径の部分を設けて、フランジ形成部43が戻り変形させることにより形成される。
【0093】
本発明によるシームレス缶は、印刷工程等を含めて、少なくとも一段の熱処理に付することができる。この熱処理には、種々の目的があり、加工により生じるフィルムの残留歪を除去すること、加工の際用いた滑剤を表面から揮散させること、表面に印刷した印刷インキを乾燥硬化させること等が主たる目的である。この熱処理には、赤外線加熱器、熱風循環炉、誘導加熱装置等それ自体公知の加熱装置を用いることができる。また、この熱処理は一段で行ってもよく、2段或いはそれ以上の多段で行うこともできる。熱処理の温度は、180乃至240℃の範囲が適当である。熱処理の時間は、一般的にいって、1秒乃至5分間のオーダーである。
熱処理後の容器は急冷してもよく、また放冷してもよい。即ち、フィルムや積層板の場合には急冷操作が容易であるが、容器の場合には、三次元状でしかも金属による熱容量も大きいため、工業的な意味での急冷操作は面倒なものであるが、本発明では急冷操作なしでも、結晶成長が抑制され、優れた組合せ特性が得られるのである。勿論、所望によっては、冷風吹付、冷却水散布等の急冷手段を採用することは任意である。
【0094】
本発明による積層体の内、押出コート法によるものやキャストフィルムを用いたものでは、共重合ポリエステル層は本質的に未配向なものであるが、前述した絞り加工或いは再絞り加工の際、側壁部のポリエステル層が缶軸方向に一軸配向され、この分子配向により、薄肉化された側壁部の共重合ポリエステル層の機械的強度や腐食成分に対するバリアー性の点で多くの利点が奏される。勿論、シームレス缶の缶底部のポリエステル層は実質上未配向の状態で残留するが、前述した理由により、缶底部のポリエステル層も耐デント性に優れた状態に維持されることはいうまでもない。
このタイプのシームレス缶の側壁部におけるポリエステル層は、複屈折法で測定した下記式(7)、
Δn=n−n ‥‥(7)
はフィルムの最大配向方向の複屈折率であり、nはフィルムの厚み方向の複屈折率である、
による配向度(Δn)が0.02乃至0.3の範囲にあることが好適である。
【0095】
得られた缶は、所望により、一段或いは多段のネックイン加工に付し、フランジ加工を行って、巻締用の缶とする。また、ネックイン加工に先立って、ビード加工や、特公平7−5128号公報に記載された周状多面体壁加工を施すことができる。
本発明の缶に周状多面体壁加工を施すと、側壁が外圧によって変形しにくい耐圧強度に優れた構造となり、更に缶体の手による把持が容易となり、また缶の意匠性が独特のものとなるという利点がある。
【0096】
本発明の周状多面体壁缶の一例を示す図12において、(A)はこの容器の側面図、(B)は部分側面断面図及び(C)は水平断面図である。この容器60は、前述したラミネートの絞りしごき加工で形成された上部開口の側壁部66及び閉塞底部67と上端に巻締めにより設けられた蓋体68とから成っている。この胴部60には、周状に多面体壁が形成されており、この多面体壁は、構成単位面61と、構成単位面同士が接する境界稜線62及び境界稜線同士が交わる交叉部63を有し、該境界稜線62及び交叉部63は構成単位面に比べて相対的に容器外側に凸、構成単位面61の対向する交叉部間の部分65は相対的に容器内側に凹となっている。またこの多面体壁では、構成単位面61の隣合った容器軸方向配列が位相差をなした配列とされている。
【0097】
この具体例において、構成単位面1は、四辺形(菱形)abcd(図13参照)から成っており、構成単位面1の周方向に隣合った容器軸方向配列が丁度1/2の位相差をなして配列されている。
【0098】
図13は構成単位面の説明図であって、(A)は構成単位面の平面図であり、(B)、(C)及び(D)は、窪みの曲率半径Rとの関係で構成単位面の中央部の垂直断面を示す図である。図13の(A)は図12の容器胴部に使用される多面体壁面の四辺形単位面61の一例を取り出して示したものであり、菱形abcdが構成単位面61となっている。菱形における各辺ab、bc、cd、daは容器側面に形成される境界稜線62に相当する辺であり、外向きに凸となる頂点a、b、c、dが交叉部63に該当する。
側壁が円筒の場合、上方頂点aと下方頂点cとは同一径の円周面上に位置しており、左方頂点bと右方頂点dとは同一径の円周面上に位置している。配列が1/2の位相差をなしている場合、全ての頂点は同一径の円周面上に位置しており、図12の(C)に示す通り、これら頂点に対応する容器胴部内半径は、最大半径rである。一方、各稜線ab、bc、cd、daは端で径外方に最も突出しているが、中間に行くに従って容器中心軸からの距離、即ち径が減少するようになっている。周方向の対角線bdの中点の径sをとると、この径sはrよりも小さく、図12の(C)の場合、最小内半径を与える。容器胴上の単位面を軸方向に投影したとき、頂点acは重なるが、軸方向の対角線acは、周方向の対角線bdとは重ならずに対角線bdよりも径外方向に位置しており、四辺形abcdは滑らかに湾曲した面となっている。
【0099】
図13の(A)において、構成単位面としての菱形寸法は、周方向対角線bdの長さをwとし、軸方向対角線acの高さをLとすると、w及びLはそれぞれ構成単位面の周方向最大巾及び軸方向の最大長さとなる。軸方向対角線の長さac(高さL)に比して、実際の構成単位面上のac断面での長さは長く、このac断面は容器内側に滑らかに窪んだ曲線となっている。構成単位面のac断面の長さは、窪みの曲率半径R=5t(図13の(B))、R=0.3r(図13の(C))、R=r(図13の(D))が大きくなるに従って、短くなる。
各構成単位面において、周方向対角線bdの長さ(w)と実際の構成単位面上のbd断面での長さとが異なる場合がある。例えば、図12の(C)では、周方向対角線bdと実際の構成単位面上のbd断面とが一致していて、それらの長さが等しいが、この断面における辺の中点は周方向対角線bdの位置よりも径外方向に位置していたり、径内方向に位置している場合がある。
図12及び図13に示す例では、ac断面が滑らかに湾曲しており、bd断面は実質上ストレートであるが、他の具体例を示す図12においては、ac断面もbd断面も共に内方に滑らかに窪むように湾曲している。
【0100】
本発明のラミネートは、重ね合わせ接合部をもった接着缶の製造にも適応できる。接着缶の製造は、それ自体公知の方法で行うことができる。例えば、缶胴の素材となる長方形のラミネート板の両端縁に、予めテープ状の熱可塑性有機接着剤を融着した後、そのラミネート板を円筒形に曲げ、有機接着剤が融着された端縁を加熱すると共に、その接着剤が互いに接着するごとく重ね合わせ、次いで重ね合わせ部分を圧着冷却して接着を完成させる。
【0101】
この際、缶胴継ぎ目の内側となるラミネートの切断端面の金属が露出するのを防止するため、テープ状接着剤を、その幅方向の一部を折り返し部分として残して接着し、この折り返し部分を端縁の切断端面を包囲するごとくほぼ180度折り曲げ、切断端面を被覆保護するようにするのがよい。
【0102】
熱可塑性有機接着剤としては、コポリアミド系接着剤や、コポリエステル系接着剤等が使用され、これらはテープの形で用いられる。
【0103】
本発明のラミネートは更に、溶接缶の製造にも適応できる。溶接缶の製造には、それ自体公知のラップ接合或いは突き合わせ接合による電気抵抗溶接を用いることができる。例えば、缶胴の素材となる長方形のラミネート板の両端縁を、予めポリエステルフィルムが施されていない状態としておくか、或いはポリエステルフィルム層が研磨により除去された状態とし、そのラミネート板を円筒形に曲げ、金属が露出した端縁を重ね合わせ、次いで重ね合わせ部分を圧着して通電することにより、溶接による継ぎ目を形成する。
【0104】
この溶接による継ぎ目では、金属が露出しているので、金属露出面と密着する樹脂被覆層を設ける。樹脂被覆層としては、コポリエステル樹脂、コポリアミド樹脂等が適している。
【0105】
更に、本発明の積層体は、いわゆるステイ・オン・タブ型式のイージイオープン蓋やフルオープンタイプのイージイオープン蓋等のや缶蓋の製造にも用いることができる。
【0106】
【実施例】
本発明を次の例で説明する。
【0107】
▲1▼ 積層体の作成
表1に示した組成の樹脂を用い、表に示した方法にあった前述の積層板作製方法にて積層板を作製した。この際、各樹脂の最適温度条件にて押出しコート、キャスト膜製膜を行い、30,50,70,120,150m/minとラインスピードを変え、ドローレゾナンス現象、溶融樹脂の滴下現象のない安定した操業が可能な最大速度を求め、高速でのライン適性を評価した。
【0108】
▲2▼ 溶融粘度比R、溶融粘度
東洋精機製作所製キャピログラフ1B型を使用し測定した。キャピラリは流入角無しで直径1mm、長さ10mmのものを用いた。溶融粘度比は、ピストン速度1mm/min(剪断速度12.16sec−1)と100mm/min(剪断速度1216sec−1)の比をとった。溶融粘度は、剪断速度1216sec−1で測定した。
【0109】
▲3▼ 樹脂固有粘度(IV)
樹脂200mg分をフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶液(重量比1:1)に110℃で溶解し、ウベローデ型粘度計を用いて30℃で比粘度を測定した。
固有粘度は下記式により求めた。
[η]=[(−1+(1+4K’ηsp1/2)/2K’C](dl/g)
K’:ハギンスの恒数(=0.33)
C :濃度(g/100ml)
ηsp :比粘度[=(溶液の落下時間−溶媒の落下時間)/溶媒の落下時間]
【0110】
▲4▼ デント試験
コーラを充填した缶を横向きに静置した後、5℃において、金属板の圧延方向に対し直角となる缶軸線上で、缶のネック加工部の缶底側終点に、径65.5mmの球面を有する1kgのおもりを60mmの高さから球面が缶に当たるように落下させて衝撃を与えた。その後、37℃の温度で貯蔵試験を行い1年後の缶内面の状態を観察した。
【0111】
▲5▼ レトルト処理試験
95℃で蒸留水を充填後、135℃、30分のレトルト処理を行い、室温に戻し蒸留水を抜き取り、濁度測定に供した。また、缶内面の腐食状態を観察した。濁度測定は、安井機器製簡易型高感度濁度・色度計を用い、検体100mlを濁度用比色管に採り、検体用セルに入れ、一方比較用の標準として希釈濁度標準液100mlを採った濁度用比色管を対照セルに入れ、上部から底部を透視し両者の底部の明るさを比較して濁度を測定した。
【0112】
実施例1
表1に示した組成の樹脂を用い、押出しコートにて積層体を作製した。この際、150m/minにおいてもドローレゾナンス現象、溶融樹脂の滴下現象は認められず、この樹脂は、高速での押出しコート性を有するものであった。
ここで得られた積層体にワックス系潤滑剤を塗布し、直径166mmの円盤を打ち抜き、浅絞りカップを得た。次いでこの浅絞りカップを再絞り・しごき加工を行い、深絞り−しごきカップを得た。
この深絞りカップの諸特性は以下の通りであった。
カップ径:66mm
カップ高さ:128mm
素板厚に対する缶壁部の厚み65%
素板厚に対するフランジ部の厚み77%
この深絞りしごきカップを、常法に従いドーミング成形を行い、220℃にて熱処理を行った後、カップを放冷後、開口端縁部のトリミング加工、曲面印刷および焼き付け乾換 、ネック加工、フランジ加工を行って350g用のシームレス缶を得た。成形上、問題はなかった。
次いで、コーラ充填によるデント試験及び蒸留水充填によるレトルト処理試験に供した。
表2に示したように、デント試験におけるデント部腐食、レトルト試験による腐食の発生は認められず、良好であった。また、レトルト後の濁度も低い値であり、良好であった。これらの結果より、ここで得られたシームレス缶は、飲料保存用に優れたものであると評価された。
【0113】
実施例2
表1に示した組成の樹脂を用い、キャスト膜を作製した。この際、150m/minにおいてもドローレゾナンス現象、溶融樹脂の滴下現象は認められず、この樹脂は、高速での製膜性を有するものであった。このキャスト膜を金属基体に熱接着し積層体を得た。この積層体を実施例1と同様に成形を行った。
表2に示したように、成形上、問題はなかった。また、どの評価においても、良好な結果を得ており、ここで得られたシームレス缶は、飲料保存用に優れたものであると評価された。
【0114】
実施例3
表1に示した組成の樹脂を用い、押出しコートにて積層体を作製した。この際、150m/minにおいてもドローレゾナンス現象、溶融樹脂の滴下現象は認められず、この樹脂は、高速での押出しコート性を有するものであった。
ここで得られた積層体を実施例1と同様に成形した。表2に示したように、成形上、問題はなかった。また、どの評価においても、良好な結果を得ており、ここで得られたシームレス缶は、飲料保存用に優れたものであると評価された。
【0115】
実施例4
表1に示した組成の樹脂を用い、押出しコートにて積層体を作製した。この際、150m/minにおいてもドローレゾナンス現象、溶融樹脂の滴下現象は認められず、この樹脂は、高速での押出しコート性を有するものであった。
ここで得られた積層体を実施例1と同様に成形した。表2に示したように、成形上、問題はなかった。また、どの評価においても、良好な結果を得ており、ここで得られたシームレス缶は、飲料保存用に優れたものであると評価された。
【0116】
実施例5
表1に示した組成の樹脂を用い、押出しコートにて積層体を作製した。この際、150m/minにおいてもドローレゾナンス現象、溶融樹脂の滴下現象は認められず、この樹脂は、高速での押出しコート性を有するものであった。
ここで得られた積層体を実施例1と同様に成形した。表2に示したように、成形上、問題はなかった。また、どの評価においても、良好な結果を得ており、ここで得られたシームレス缶は、飲料保存用に優れたものであると評価された。
【0117】
比較例1
表1に示した組成の樹脂を用い、押出しコートにて積層体を作製した際、70m/minにおいてもドローレゾナンス現象が認められ、高速で安定的に操業できるものではなかった。また、実施例1と同様に成形を行ったところ、缶上部において、フィルムの亀裂が認められた。この缶を実施例1と同様にデント試験に供したところデント部において、激しい腐食が認められた。さらに、レトルト試験に供したところ、ネック部においても、腐食の発生が激しかった。この腐食による内容物の茶色い濁りが認められたため、濁度の測定は行わなかった。
これらの結果よりここで得られた缶は、飲料保存用には、不適なものであると評価された。
【0118】
比較例2
表1に示した組成の樹脂を用い、押出しコートにて積層体を作製した。この際、150m/minにおいてもドローレゾナンス現象、溶融樹脂の滴下現象は認められず、この樹脂は、高速での押出しコート性を有するものであった。
ここで得られた積層体を実施例1と同様に成形、評価を行った。成形上、問題はなく、腐食も認められなかった。しかし、濁度の測定値が、実施例1〜5に比較し大きなものとなった。これらの結果より、ここで得られた缶は、飲料保存上、大きな問題のあるものではなかったが、実施例1〜5に比較し、濁度の点で劣るものであった。
【0119】
比較例3
表1に示した組成の樹脂を用い、押出しコートにて積層体を作製した。この際、150m/minにおいてもドローレゾナンス現象、溶融樹脂の滴下現象は認められず、この樹脂は、高速での押出しコート性を有するものであった。
ここで得られた積層体を実施例1と同様に成形、評価を行った。成形上、問題はなく、デント試験での腐食は認められなかった。しかし、レトルト処理により、膜は全体的に白化し、腐食が発生した。この腐食のため、濁度の測定は行わなかった。
これらの結果より、ここで得られた缶は、飲料保存用には、不適なものであると評価された。
【0120】
比較例4
表1に示した組成の樹脂を用い、押出しコートにて積層体を作製した際、70m/minにおいてもドローレゾナンス現象が認められ、高速で安定的に操業できるものではなかった。ここで得られた積層体を実施例1と同様に成形、評価を行った。成形上、問題はなかったが、デント試験で腐食が認められた。
これらの結果より、ここで得られた缶は、飲料保存用には、不適なものであると評価された。
【0121】
【表1】
Figure 0004366730
【0122】
【表2】
Figure 0004366730
【0123】
【表3】
Figure 0004366730
【0124】
【発明の効果】
本発明によれば、金属等の基体にポリエステルの押出コート層或いは熱接着フィルム層を設けるに当たって、芳香族ジカルボン酸成分を主体とするジカルボン酸成分と全グリコール成分の0.5モル%以上、20モル%未満、好適には1乃至15モル%が1,4-シクロヘキサンジメタノール成分であるグリコール成分とを含有し、しかも特定の溶融粘度特性を有するポリエステルを用いることにより、被覆の均一性、被覆の完全さ及び密着性に優れ且つ成形性に優れたラミネート板を、安価に且つ歩留まりよくしかも高速で製造することが可能となった。
また、本発明のシームレス缶では、高温処理及び長期保存において、ポリエステル中に必然的に存在する低分子量成分の内容物中への移行を極力抑え、濁りを抑制することが可能となった。
勿論、本発明のラミネート材は、上記の優れた特性を有することから、通常の絞りカップの製造、缶蓋、王冠、キャップ等の製造にも有用であり、またこの複合フィルムは、一般の包装材としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々のポリエステルについて、溶融粘度比(R)を縦軸及びη1216を横軸として、ドローレゾナンスとの関係をプロットしたグラフである。
【図2】本発明のラミネートの断面構造の一例を示す断面図である。
【図3】本発明のラミネートの断面構造の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明のラミネートの断面構造の更に他の例を示す断面図である。
【図5】押出コートによるラミネートの製造を説明するための装置の配置図である。
【図6】フィルムの熱接着によるラミネートの製造を説明するための装置の配置図である。
【図7】本発明のシームレス缶の構造を示す側面断面図である。
【図8】本発明のラミネートの絞り−しごき成形を説明するための図である。
【図9】本発明のシームレス缶のフランジ部の一例を示す断面図である。
【図10】本発明のシームレス缶のフランジ部の他の例を示す断面図である。
【図11】本発明のシームレス缶のフランジ部の別の例を示す断面図である。
【図12】四辺形を構成単位面とする多面体壁を設けた容器の一例を示し、(A)は平面図、(B)は縦断面図及び(C)は水平断面図である。
【図13】図12の容器の側面に形成された多面体壁の構成単位面の一例を示し、(A)は平面図、(B)、(C)及び(D)は窪んだ部分の曲率半径を変化させて示す構成単位面の垂直断面図である。
【符号の説明】
1 積層体 2 金属基体 3 共重合ポリエステル層 4 外面被膜
5 接着用プライマー表面樹脂層 11 金属板 12 加熱装置
13 ラミネートロール 14 ダイヘッド 15 薄膜 16 積層体
17 供給ロール 19 ガイドローラ 20 底部 21 シームレス缶
22 側壁部 23 ネック部 24 フランジ部

Claims (2)

  1. 金属基体と該基体表面に押出コートにより形成された熱可塑性ポリエステル層とからなる製缶用積層体において、前記熱可塑性ポリエステル層が、芳香族ジカルボン酸成分を主体とするジカルボン酸成分と全グリコール成分の1乃至15モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール成分であるグリコール成分を含有すると共に、三官能以上の多塩基酸及び/又は多価アルコールの多官能成分を0.1乃至3.0モル%含有し、溶融押出時の温度において、下記式(1)
    R=η12.2/η1216・・・(1)
    式中、η12.2はポリエステルの押出し温度におけるせん断速度12.2sec−1での溶融粘度であり、η1216はポリエステルの押出温度におけるせん断速度1216sec−1での溶融粘度である、
    で定義される溶融粘度比(R)が2.0以上の範囲にあり且つη1216が500ポイズ以上の範囲にある共重合ポリエステルの層を備えていることを特徴とする製缶用積層体。
  2. 請求項1記載の積層体を絞り成形或いは絞り・しごき成形で形成されることを特徴とするシームレス缶。
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