JP5920279B2 - ラミネート金属板、ラミネート金属板の製造方法および食品用缶詰容器 - Google Patents

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Description

本発明は、食品用缶詰容器に使用される蓋および絞り缶などの2ピース缶に用いられるラミネート金属板、ラミネート金属板の製造方法および食品用缶詰容器に関する。
従来、金属製の食品用缶詰容器の内面および外面には、内容物の風味を保つこと、缶詰容器の素材の金属の腐食を防止すること、あるいは缶詰容器外面の意匠性の向上や印刷面の保護などを目的として、熱硬化性樹脂を主成分とする溶剤型の塗料が塗布されていた。しかし、溶剤型塗料は塗膜を形成するために高温での加熱が必要であり、また、加熱時に多量の溶剤が発生するため、作業の安全性および環境への影響の面で問題があった。そのため、最近は溶剤を用いない腐食防止法として、熱可塑性樹脂による金属の被覆が提案されている。特に、熱可塑性樹脂の中でもポリエステルは加工性、耐熱性などに優れることから、ポリエステルをベースとした金属ラミネート用フィルムの開発が進められている。
しかし、ポリエステルフィルムをラミネート(被覆)した金属缶詰容器には、レトルト処理などの高温殺菌処理の際にポリエステル樹脂中の環状三量体が樹脂表面に析出し意匠性を損なうことや、レトルト処理中に樹脂層そのものが白く濁ったように変色する現象(白化現象)が発生することなどの問題があった。
このような問題を改善する方法として、特許文献1には、容器に成形した際に外面側になる金属ラミネート用フィルムのポリエステル樹脂層として、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル30〜50質量%と、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル50〜70質量%とを含有するポリエステル組成物を使用することが開示されている。
特許文献2には、従来フィルムの結晶化速度が遅いためにレトルト処理時に樹脂の結晶が大きく成長してフィルムに白斑(白化)が発生するとして、その対策として結晶化速度を速めた金属ラミネート用フィルムの樹脂組成が記載されている。特許文献2には、ポリマーの結晶化速度を速めることで、微小な結晶を多数生成させて白化を抑制できることが記載されている。
特許文献3〜6には、ブチレンテレフタレートとエチレンテレフタレートとからなる金属ラミネート用フィルムを、主にアルミニウム板にラミネートして、絞りしごき(DI:Drawn and Ironed)缶(以下、DI缶)に用いることが開示されている。
また、特許文献6,7には、金属ラミネート用フィルムの表面に改質剤を含む樹脂をコーティングする方法が開示されている。とくに、特許文献7には、エポキシ樹脂を主成分とし、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、着色剤を含む樹脂層を、金属板とフィルムとの間に形成したものが開示されている。
特許文献8〜11には、金属板へのフィルム密着性向上を目的として、金属ラミネート用フィルムにポリエステル樹脂とエポキシ樹脂との複合系、もしくはエポキシ樹脂を主成分とする樹脂をコーティングする方法が開示されている。
特許文献12〜14には、主に成形性向上を目的として、二軸延伸工程のない無延伸フィルムを適用したラミネート金属板が開示されている。特許文献12には、化学成分をコントロールした変形抵抗の少ない鋼板に無延伸ポリエステルをラミネートして、加工性に優れかつフィルムヘアの発生しない技術が開示されている。特許文献13には、沸騰水や熱水に漬けた場合やレトルト処理で樹脂層が白化する現象を抑制するため、ポリエチレンテレフタレートのモル比率を最適化した無延伸フィルムが開示されている。特許文献14には、ポリカーボネートとイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレートの複層無延伸フィルムが開示されている。
特開2005−342911号公報 特開平5−331302号公報 特開2002−88233号公報 特開2001−335682号公報 特開2004−58402号公報 特開2004−249705号公報 特開2007−185915号公報 特開平4−266984号公報 特開平8−199147号公報 特開平10−183095号公報 特開2002−206079号公報 特開2003−277885号公報 特開平11−279294号公報 特許第3750973号公報
しかしながら、上記特許文献1,2では、白化現象のメカニズムが完全に把握できておらず、白化現象の根本的な抑制にはならない。
また、特許文献3〜6に記載の金属ラミネート用フィルムをラミネートしたラミネート金属板は、しごき加工による板厚減厚率が50%以上に及ぶ2ピース缶に使用する場合には加工性が不十分であり、食品用缶詰などの容器に使用する場合にはフィルムの破れなどの欠陥が生じる可能性がある。
一般に、食品用缶詰容器に使用するラミネート金属板には、成形性(加工性)、フィルム密着性などの基本特性のほか、2ピース缶に適用する場合には、深絞り成形性、加工・レトルト処理後のフィルム密着性や耐食性、意匠性などの多様な機能が求められる。ラミネート金属板を多機能化する方法には、(1)フィルム内に付加したい機能を有する改質剤を添加して、フィルムそのものを多機能化する方法、(2)フィルムは改質せず、フィルム表面に付加したい機能を有する改質剤もしくは改質剤を含む樹脂をコーティングする方法、の2つの方法がある。
このうち、(1)に対応するフィルム内に改質剤を添加する方法は、一定の機能を有するフィルムを大量に生産する場合には、生産効率が高く収益性が高い方法である。しかし、食品用缶詰は、形状や内容物の種類が多種多様であり、食品用缶詰の種類毎に求められる機能が異なるため、この方法は適切でない。なぜならば、フィルムに付加する機能を変更する毎に、樹脂の押し出し装置や、キャスティングドラム、冷却ロールなどの洗浄が必要となり、製造ラインを長時間停止しなければならず、生産効率が著しく低下してしまうためである。
一方、(2)に対応するフィルムの表面に改質剤を含む樹脂をコーティングする方法は、フィルムに付加する機能の変更が容易であるため、食品缶詰の多様なニーズに容易に対応できる。なぜならば、改質剤を含むコーティング液の入ったタンクを洗浄・交換することで、すばやく対応できるからである。
このようにフィルム表面に改質剤を含む樹脂をコーティングする方法は、上記特許文献6,7に開示されている。しかしながら、特許文献7に記載のエポキシ樹脂は、反応性に富み、金属板とのフィルム密着性に優れるものの、深絞り成形性が劣るという欠点があるため、2ピース缶に適用するラミネート金属板の素材として使用可能なフィルムを得ることはできない。特許文献7の樹脂を被覆したラミネート金属板を深絞り(DRD:Drawn and Redrawn)缶に成形しようとしても、金属缶の高さ方向の伸び変形にエポキシ樹脂が追随することができずラミネート金属板の変形を拘束してしまい、絞り工程で素材が破断してしまう。
特許文献8〜11に記載された樹脂によるフィルムは、金属板へのフィルム密着性向上を目的としたものであるが、特許文献1のポリエステル樹脂と同様に、深絞り成形性に難があり、2ピース缶用のラミネート金属板には適用できない。また、特許文献8〜11には製缶加工性や深絞り成形性の評価が開示されておらず、これらの樹脂によるフィルムは、深絞り加工が要求される2ピース缶用のラミネート金属板への適用が考慮されていない。
特許文献12〜14に記載されたラミネート金属板は、主に成形性向上を目的としたものである。しかしながら、特許文献12では、レトルト処理に言及されておらず、この技術はレトルト処理が必須である食品用缶詰容器に使用できない。特許文献13には、白化現象のメカニズムおよびその抑制方法について具体的には記載されておらず、白化現象の根本的な抑制に至っていない。特許文献14では、塗装材で使用されるビスフェノールAを原料とするポリカーボネートを使用しており、従来の塗装材に対するラミネート金属板の利点を損なうものである。
以上に説明したように、特許文献1〜14に開示されているフィルムを組み合わせてラミネート金属板を製造しても、DI缶に適用可能な優れた成形性と耐レトルト白化性とを備える食品用缶詰容器は得られなかった。また、これらの機能が得られたとしても、塗料を使用しないラミネート金属板で削減できるはずのビスフェノールAを原料とするフィルムを使用しており、従来の塗装材に対するラミネート金属板の利点を損なうものであった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、レトルト処理後の缶詰容器の外観の意匠性に優れ、DRD缶やDI缶などの2ピース缶に適用可能な成形性に優れたラミネート金属板および食品用缶詰容器を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、金属板ラミネート用フィルムとして特定の組成を有するポリエステルフィルムをラミネートした金属板を使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に想到した。
本発明に係るラミネート金属板は、金属板とその片面もしくは両面に形成されたポリエステルを主成分とする樹脂層とを備えるラミネート金属板であって、前記樹脂層のうち少なくとも一方の面に形成された第1樹脂層は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分としてブチレングリコールを主成分とする第1ポリエステルと、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分としてエチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールを主成分とする第2ポリエステルと、により形成されることを特徴とする。
本発明に係るラミネート金属板は、上記発明において、前記第1ポリエステルは、ジカルボン酸成分中のテレフタル酸のモル比率と、グリコール成分中のブチレングリコールのモル比率とが、ともに90モル%以上であり、前記第2ポリエステルは、ジカルボン酸成分中のテレフタル酸のモル比率が90モル%以上であり、グリコール成分中のエチレングリコールのモル比率が65〜99モル%であり、グリコール成分中のシクロヘキサンジメタノールのモル比率が1〜35モル%であることが好ましい。
本発明に係るラミネート金属板は、上記発明において、前記第1樹脂層中の前記第1ポリエステルの質量比率が65質量%以上であることが好ましい。
本発明に係るラミネート金属板は、上記発明において、前記樹脂層は、前記金属板と接する前記第1樹脂層の上層に第2樹脂層を備えた積層ポリエステル樹脂で構成され、前記第2樹脂層は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分としてブチレングリコールを主成分とするポリエステルにより形成されることが好ましい。
本発明に係るラミネート金属板は、上記発明において、前記第2樹脂層は、ジカルボン酸成分中のテレフタル酸のモル比率と、グリコール成分中のブチレングリコールのモル比率とが、ともに90モル%以上であるポリエステルにより構成されることが好ましい。
本発明に係るラミネート金属板は、上記発明において、前記樹脂層中の前記第2樹脂層の膜厚比率が85%以下であることが好ましい。
本発明に係るラミネート金属板の製造方法は、上記発明のラミネート金属板を製造することを特徴とする。
本発明に係るラミネート金属板の製造方法は、上記発明において、前記樹脂層を構成するフィルムを無延伸フィルムの状態で前記金属板にラミネートすることが好ましい。
本発明に係る食品用缶詰容器は、上記発明のラミネート金属板を使用したことを特徴とする。
本発明によれば、レトルト処理後の缶詰容器の外観の意匠性に優れ、DRD缶やDI缶などの2ピース缶に適用可能な成形性に優れたラミネート金属板、ラミネート金属板の製造方法および食品用缶詰容器を提供することができる。
以下に本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
<金属板>
本発明のラミネート金属板の下地となる金属板には、缶詰容器用材料として広く使用されている鋼板やアルミニウム板を用いることができ、特に下層が金属クロム、上層がクロム水酸化物となる二層皮膜の表面処理鋼板であるティンフリースチール(以下TFS)等が好適である。TFSの金属クロム、およびクロム水酸化物層の付着量は特に限定されないが、加工性や耐食性の観点から、金属クロム層は70〜200mg/m、クロム水酸化物層は10〜30mg/mの範囲とすることが望ましい。
<金属板にラミネートされるポリエステル樹脂層>
本発明の金属板ラミネート用ポリエステル樹脂層は、金属板と接する第1樹脂層からなるポリエステル樹脂層である。この第1樹脂層は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分としてブチレングリコールを主成分とする第1ポリエステルと、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分としてエチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールを主成分とする第2ポリエステルとにより構成される。
また、本発明の金属板ラミネート用ポリエステル樹脂層は、第1樹脂層と、その上層に形成される第2樹脂層とからなる積層ポリエステル樹脂層としてもよい。この第2樹脂層は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分としてブチレングリコールを主成分とするポリエステルにより構成される。
これらのフィルムの製造方法は、特に限定されないが、第1樹脂層用の樹脂、または、第1樹脂層用の樹脂と第2樹脂層用の樹脂とを、Tダイ押出機で共押出によって積層作製し、これを冷却ロール上で常温に冷却し、無延伸のまま製膜されたものを使用することが好ましい。二軸延伸フィルムは、延伸工程で樹脂の分子鎖が特定方位に配向した配向結晶を有する。この延伸工程により、フィルム強度は増すものの延性は損なわれる。この配向結晶は金属板に熱融着させたラミネート金属板になってもなお残存し、成形性を阻害する要因になる。このことから、二軸延伸フィルムをラミネートした鋼板はラミネート時の入熱により大きく性能が変化するため、そのコントロールに細心の注意を払う必要があることがわかる。特に、DI缶のような加工度の大きい成形では、樹脂融点近傍の高温でラミネートして配向結晶をほとんどアモルファス(非晶)化させることで成形性を向上させる必要がある。一方、無延伸フィルムは、配向結晶を溶融する必要がないため、ラミネート性と延性とに優れている。
<金属板と接する第1樹脂層>
金属板と接する第1樹脂層に形成されるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分としてブチレングリコールを主成分とする第1ポリエステルと、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分としてエチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールを主成分とする第2ポリエステルとから構成される。つまり、第1ポリエステルの主成分はポリブチレンテレフタレートであり、第2ポリエステルの主成分はシクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートである。
第1ポリエステルと第2ポリエステルとの重量比率は、耐レトルト白化性、成形性およびフィルム密着性の観点から、第1ポリエステルが65質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上とする。第1ポリエステルの重量比率が65質量%未満では、結晶化速度が遅くなり、容器の外面側フィルムに適用した場合、レトルト白化抑制ができない。また、容器の内面側フィルムに適用した場合、バリア性(被覆性)が低下し好ましくない。
第1ポリエステルの組成における主成分とは、第1ポリエステルの各成分中のモル比率が90モル%以上、好ましくは95モル%以上であることを指す。本発明の効果を妨げない範囲で、第1ポリエステルに他のモノマーを共重合してもよい。共重合する酸成分として、たとえば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンや乳酸などが挙げられる。
また、共重合するアルコール成分として、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体などが挙げられる。
さらに、少量を共重合する成分として、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3官能化合物などが挙げられる。これらの成分は2種以上併用して共重合してもよい。
第2ポリエステルの組成における主成分とは、第2ポリエステルの各成分中のモル比率が90モル%以上、好ましくは95モル%以上であることを指す。本発明の効果を妨げない範囲で、第2ポリエステルに他のモノマーを共重合してもよい。共重合する酸成分として、たとえば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンや乳酸などが挙げられる。
また、共重合するアルコール成分として、たとえば、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体などが挙げられる。
さらに、少量を共重合する成分として、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3官能化合物などが挙げられる。これらの成分は2種以上併用して共重合してもよい。
第2ポリエステルにおける全グリコール成分中のブチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールとのモル比率は、耐レトルト白化性、耐熱性および成形性の観点から決められる。全グリコール成分中のシクロヘキサンジメタノールのモル比率は1〜35モル%の範囲であり、好ましくは15〜30モル%の範囲とする。一方、全グリコール成分中のエチレングリコールのモル比率は、65〜99モル%、好ましくは70〜85モル%以上の範囲とする。シクロヘキサンジメタノールのモル比率が35モル%超、もしくはエチレングリコールのモル比率が65モル%未満となると、結晶化速度が遅くなり、容器外面側フィルムに適用した場合、レトルト白化抑制ができなくなる。また、容器の内面側フィルムに適用した場合、バリア性(被覆性)が低下し好ましくない。
<第2樹脂層>
第1樹脂層の上層に形成される第2樹脂層は、レトルト処理後の白化現象の発生を抑制する(以下、レトルト白化抑制)、成形性を確保するため、ジカルボン酸としてテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分としてブチレングリコールを主成分とする、ポリブチレンテレフタレートで構成される。ここでいう主成分とは、各成分中のモル比率が90モル%以上、好ましくは95モル%以上であることを指す。
本発明の効果を妨げない範囲で、第2樹脂層のポリエステルに他のモノマーを共重合してもよい。共重合する酸成分として、たとえば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンや乳酸などが挙げられる。
また、共重合するアルコール成分として、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体などが挙げられる。
さらに、少量を共重合する成分として、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3官能化合物などが挙げられる。これらの成分は2種以上併用して共重合してもよい。
<レトルト白化抑制について>
上記組成の樹脂層を熱融着させたラミネート金属板を用いて製造された食品缶詰容器によれば、レトルト処理時に発生する白化現象を抑制する効果を奏する。一般的なポリエステル樹脂を被覆させた金属板を用いて製造した食品缶詰容器についてレトルト処理を行うと、多くの場合、外面側樹脂層が白化する現象が見られる。これは、樹脂層内部に形成された微小な空隙が外光を乱反射するため白く濁ったように観察されるものである。これら空隙は乾燥条件下での熱処理では形成しない。さらに、内容物を充填しない空缶でのレトルト処理時には発生しない。また、白化が発生したフィルムと金属板断面とを観察すると、白化は、樹脂層の厚み全体に発生するのではなく、金属板表面近傍に発生することが観察される。これらの観察結果から、レトルト処理時の外面側樹脂層には、以下のメカニズムで空隙が発生していると考えられる。
内容物が充填された缶詰容器の缶体は、レトルト処理開始直後に高温高圧の水蒸気にさらされる。その際に、一部の水蒸気が外面側樹脂層を透過して、金属板表面近傍まで侵入する。内容物が充填されている缶体はレトルト処理前に充填した内容物によって冷やされている状態であり、金属板表面近傍の樹脂層は缶体周囲の雰囲気よりも低温である。そのため金属板表面近傍のポリエステル中で、高温の水蒸気が冷やされて凝縮水になる。この凝縮水によって樹脂層が押し広げられて水泡が形成される。この水泡は、レトルト処理が経過すると、内容物の温度が上がり、じきに気化する。この水泡が気化した後に空隙となると推定される。
従来の二軸延伸ポリエステルフィルムの場合、金属板表面近傍は、フィルムが熱融着されるため、ポリエステルの結晶配向が崩れている非晶層となっている。また、無延伸ポリエステルフィルムの場合も、製膜時に結晶が配向しないため非晶構造となっている。そのため、二軸延伸ポリエステルフィルム、無延伸ポリエステルフィルムともに、機械的強度が小さいために変形しやすく、上記のような現象が発生すると考えられる。つまり二軸延伸であろうと無延伸であろうと、製膜方法に拠らず、白化現象は発生する。根本的には、鋼板近傍の樹脂強度を結晶化により上昇させることができれば、白化現象を抑制可能である。しかし、熱融着法では、付着させる樹脂のガラス転移点もしくは融点以上の高温にした鋼板の表面にポリエステル樹脂を融着させてラミネート金属板を製造するため、あらかじめポリエステル樹脂が結晶構造を有していても、金属板表面近傍の結晶構造が崩れることは避けられない。そこで、本発明者らは、ラミネート直後は機械的強度が小さいポリエステル樹脂の非晶層を、缶詰容器として缶体および蓋とした後に硬く強固な層として形成させることによって、白化現象を抑制することに想到した。
ラミネート後の金属板表面近傍のポリエステルをレトルト処理前に結晶化させる方法には、レトルト処理前に熱処理を施すという手段がある。缶詰容器成形前に熱処理を施す場合には、結晶配向が高いポリエステル樹脂は、成形性に劣るため適用できる缶詰容器の形態が非常に限られるため現実的でない。また、ポリエステル樹脂は、缶詰容器成形後に熱処理を施す場合にも、成形後の工程が増えて製造コストが増大するデメリットがある。
そのため、本発明者らは、レトルト処理時の熱を利用して結晶化を高めることを狙い、結晶化速度の速い樹脂組成を見出し、適用することを考えた。つまり、レトルト処理で缶体外面側の樹脂層に空隙が形成される前に非晶ポリエステル樹脂を結晶化させ、非晶層の強度を向上させる必要がある。さらに、結晶化させることで、内面側フィルムのバリア性(被覆性)を向上させる必要がある。
<積層ポリエステル樹脂で構成する場合の第1樹脂層と第2樹脂層の膜厚比>
本発明において、フィルムを積層ポリエステル樹脂で構成する場合の第1樹脂層と第2樹脂層の膜厚比率は、耐レトルト白化性、成形性、成形前フィルム密着性、成形後フィルム密着性を得るために重要である。このため、全膜厚中の第2樹脂層の膜厚比率が少なくとも85%以下であり、好ましくは65%以下とする。
<積層ポリエステル樹脂の第1樹脂層と第2樹脂層との合計のフィルムの厚さ>
第1樹脂層のみの場合のフィルム厚さ、また、第1樹脂層と第2樹脂層との積層構成の場合の合計のフィルムの厚さは、金属にラミネートした後の成形性、金属に対する被覆性(フィルム密着性)、耐衝撃性、味特性の点で、容器の内面側、外面側とも、3〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは8〜30μmである。
<フィルム製造方法>
本発明のフィルムの製造方法としては、公知のポリエステルフィルムの製造方法が適用できる。一例を挙げると、押出機を用いて第2樹脂層用および第1樹脂層用のそれぞれの樹脂成分比率の樹脂ペレットを、それぞれの樹脂の融解温度より高い温度で加熱溶融して、溶融した樹脂をTダイから、冷却したキャスティングロール上に共押出しし、延伸せずに無延伸樹脂フィルムとしてコイラーに巻き取る。なお、一部の水準にて、二軸延伸したフィルムも作成した。第1樹脂層用および第2樹脂層用のフィルムの膜厚は、押出機の温度、樹脂の押出量等により調整した。本発明のフィルムには、金属板との熱圧着性(成形前フィルム密着性)およびその後の密着性(成形後フィルム密着性)を更に向上させる目的で、共押出法やラミネート加工、あるいはコーティング加工により接着層を設けることができる。接着層は乾燥膜厚で1μm以下が好ましい。接着層は、特に限定されないが、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂やこれらの各種変性樹脂からなる熱硬化性樹脂層であることが好ましい。
<ラミネート金属板製造方法>
本発明のフィルムを金属板にラミネートする方法としては、金属板を予め170〜250℃まで予熱しておき、これとフィルムとを金属板より30℃、更には50℃以上低く温度制御されたロールによって圧接して熱圧着させた後、室温まで冷却することにより連続的に製造される。
金属板の加熱方法としては、ヒーターロール伝熱方式、誘導加熱方式、抵抗加熱方式、熱風伝達方式などが挙げられる。また、ラミネート後の冷却方法については、水などの冷媒中に浸漬する方法や冷却ロールと接触させる方法を用いることができる。
ラミネート条件については、無延伸フィルムであればポリエステル樹脂の融解温度以下の温度でも金属板に融着することが可能である。ラミネート時の温度は、本発明のラミネート金属板の性能が損なわれない範囲で調整でき、例えば、ラミネート直前の金属板温度を160〜240℃、好ましくは170〜230℃、さらに好ましくは180〜220℃とする。160℃未満では、樹脂が十分に流動せず、ロールで加圧する際に金属板の表面と馴染まないためにフィルム密着性に劣る。240℃を超えると、第2樹脂層のポリエステル樹脂の融点を超えるため、再溶融したフィルムがラミネート後に結晶化し、成形性を損なう。
ラミネート時にフィルムの受ける温度履歴として、前記の温度で金属板と接している時間を1〜35msecの範囲とすることが好適である。このようなラミネート条件を達成するためには、高速でのラミネートに加えて、融着中の冷却も必要である。ラミネート時の加圧は特に規定するものではないが、面圧として9.8〜294N/cm(1〜30kgf/cm)が好ましい。この値が低すぎると、樹脂界面の到達する温度が前記の温度範囲であっても時間が短時間であるため溶融が不十分であり、十分なフィルム密着性を得難い。また、加圧が大きいとラミネート金属板の性能上は不都合がないものの、ラミネートロールにかかる力が大きく設備の強度が必要となり装置の大型化を招くため、不経済である。
以上、説明したように、本実施の形態のラミネート金属板、ラミネート金属板の製造方法および食品用缶詰容器によれば、金属板との熱ラミネート性に優れたフィルムを被覆しているので、深絞り成形およびしごき加工という加工度が高い成形が可能で、レトルト処理後の缶詰容器の外観の意匠性に優れ、DRD缶やDI缶などの2ピース缶に適用可能な成形性に優れたラミネート金属板および食品用缶詰容器を提供できる。
[実施例]
厚さ0.22mmの冷間圧延、焼鈍、調質圧延を施した鋼板(調質度T3CA)を、脱脂、酸洗後、クロムめっきを行い、クロムめっき鋼板(TFS)を製造した。クロムめっきは、CrO、F、SO 2−を含むクロムめっき浴でクロムめっき、中間リンス後、CrO、Fを含む化成処理液で電解した。その際、電解条件(電流密度・電気量等)を調整して金属クロム付着量とクロム水酸化物付着量を、Cr換算でそれぞれ120mg/m、15mg/mに調整した。
次いで、金属板の被覆装置を用い、前記で得たクロムめっき鋼板を加熱し、ラミネートロールで前記クロムめっき鋼板の両面に本発明の積層ポリエステル樹脂を被覆した。ラミネートロールは内部水冷式とし、被覆中に冷却水を強制循環し、フィルム接着中の冷却を行った。なお、金属板の表裏は同じ成分、同じ膜厚のフィルムを形成した。これらのフィルムの成分、特性を表1に示す。また、上記の方法で製造されたラミネート金属板の特性についての測定方法、評価方法を以下に示す。また、表1に示したフィルムが両面に被覆されたラミネート金属板及び缶詰容器の外面側及び内面側の評価結果を表2に示す。
(1)1次密着性(成形前フィルム密着性)
ラミネート鋼板の製缶前の平板サンプル(幅15mm、長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部からフィルムの一部を剥離する。剥離したフィルムを、剥離された方向とは逆方向(角度:180°)に開き、引張試験機を用いて、引張速度30mm/minでピール試験を行い、幅15mmあたりの密着力(1次密着性)を以下の評点に従って評価した。
(評点)
◎:10.0(N)/15(mm)以上
○:5.0(N)/15(mm)以上、10.0(N)/15(mm)未満
×:5.0(N)/15(mm)未満
(2)2次密着性(成形前フィルム湿潤密着性)
ラミネート鋼板の製缶前の平板サンプル(幅15mm、長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部からフィルムの一部を剥離する。剥離したフィルムを、剥離された方向とは逆方向(角度:180°)に開き、100gの重りを固定して、レトルト処理を行い、レトルト処理後のフィルム剥離長さを測定し、成形前フィルム湿潤密着性(2次密着性)を以下の評点に従って評価した。
(評点)
◎:10(mm)未満
○:10(mm)以上、20(mm)未満
×:20(mm)以上
(3)絞りしごき製缶性(成形性)(容器外面側及び容器内面側)
DI成形は、まずラミネート鋼板の両面に融点45℃のパラフィンワックスを50mg/m塗布した後に、123mmφのブランクを打ち抜き、そのブランクを市販のカッピングプレスで、内径71mmφ、高さ36mmのカップに絞り成形した。次いでこのカップを市販のDI成形装置に装入して、ポンチスピード200mm/s、ストローク560mmで、再絞り加工及び3段階のアイアニング加工で総リダクション率50%(それぞれのリダクション20%、19%、23%)を行い、最終的に缶内径52mm、缶高さ90mmの缶詰容器を成形した。なお、DI成形中には、水道水を50℃の温度で循環させた。製缶後の表面スクラッチ状態(絞りしごき製缶性)を以下の評点に従って評価した。
(評点)
◎:スクラッチ無く製缶
○:表面スクラッチが缶体の5%未満発生
△:表面スクラッチが缶体の5%以上15%未満発生
×:表面スクラッチが缶体の15%以上発生
××:製缶時にフィルム剥離、破胴発生
(4)製缶後被覆性(容器外面側及び容器内面側)
上記(3)の絞りしごき製缶性評価で成形可能であった缶詰容器(上記評点が××であったもの以外)の外面側および内面側を対象として、成形後の缶詰容器外面側フィルムの健全性(フィルム欠陥の少ないものが良好)により、製缶後被覆性を評価した。具体的には、洗浄、乾燥後の絞りしごき缶について、絞りしごき缶の鋼板に通電できるように缶口にやすりで傷をつけた。外面側の評価には、電解液(NaCl1%溶液、温度25℃)を入れた絞りしごき缶よりやや大きい容器に絞りしごき缶を底を下にして入れて缶詰容器の外面だけが電解液に接するようにした。その後、以下の評点に従って、缶体と電解液との間に6Vの電圧を付与した時に測定される電流値に基づいて外面被覆性を評価した。内面側の評価には、電解液(NaCl1%溶液、温度25℃)を絞りしごき缶に注ぎ、缶底から80mmまで浸漬させた。その後、以下の評点に従って、缶体と電解液との間に6Vの電圧を付与した時に測定される電流値に基づいて内面被覆性を評価した。
(評点)
◎:0.05(mA)以下
○:0.05(mA)超、0.5(mA)以下
△:0.5(mA)超、5(mA)以下
×:5mA超
(5)製缶後フィルム密着性(容器外面側及び容器内面側)
上記(3)の絞りしごき製缶性評価で成形可能であった缶詰容器(上記評点が××であったもの以外)の内外面側を対象として製缶後フィルム密着性を評価した。具体的には、成形した缶詰容器を対象に130℃、90分間の条件でレトルト処理を実施し、レトルト処理装置から取り出した後に、缶口からのフィルム剥離が発生しているか否か、または剥離した場合は剥離長さが缶口から何mmかに基づいて、以下の評点に従って製缶後フィルム密着性を評価した。
(評点)
◎◎:発生せず
◎:5(mm)未満
○:10(mm)未満、5(mm)以上
△:20(mm)未満、10(mm)以上
×:20(mm)以上
(6)耐レトルト白化性(容器外面側)
上記(3)の絞りしごき製缶性評価で成形可能であった缶詰容器(上記評点が××であったもの以外)の底部(缶詰容器外面側)を対象として耐レトルト白化性を評価した。具体的には、缶内に常温の水道水を満たした後、蓋を巻き締めて密閉した。その後、缶詰容器底部を下向きにして、蒸気式レトルト殺菌炉の中に配置し、125℃で90分間、レトルト処理を行った。レトルト処理後、缶詰容器底部外面側の外観変化を目視で観察し、以下の評点に従って耐レトルト白化性を評価した。
(評点)
◎:外観変化なし
○:外観にかすかな曇り(フィルム表面積で5%未満)発生
△:外観にかすかな曇り(フィルム表面積で5%以上10%未満)発生
×:外観が白濁(フィルム表面積で10%以上白化発生)
(7)耐熱水変色性(容器外面側)
上記(3)の絞りしごき製缶性評価で成形可能であった缶詰容器(上記評点が××であったもの以外)の底部(缶詰容器外面側)を対象として耐熱水変色性を評価した。具体的には、缶内に常温の水道水を満たした後、蓋を巻き締めて密閉した。その後、缶詰容器底部を下向きにして、熱水式レトルト殺菌炉の中に配置し、125℃で90分間、レトルト処理を行った。レトルト処理後、缶詰容器底部外面側の外観変化を目視で観察し、以下の評点に従って耐熱水変色性を評価した。
(評点)
◎:外観変化なし
○:外観にかすかな曇り(フィルム表面積で5%未満)発生
△:外観にかすかな曇り(フィルム表面積で5%以上10%未満)発生
×:外観が白濁(フィルム表面積で10%以上白化発生)
表1および2より、本発明例は、食品缶詰容器の素材であるラミネート金属板に要求される成形前フィルム密着性(1次密着性、2次密着性)、成形性(絞りしごき製缶性)、耐レトルト白化性、成形後フィルム密着性(製缶後被覆性、製缶後フィルム密着性)について、良好な性能を有することがわかる。これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、いずれかの特性が劣っていることがわかる。
Figure 0005920279
Figure 0005920279
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術などは全て本発明の範疇に含まれる。

Claims (4)

  1. 金属板とその片面もしくは両面に形成されたポリエステルを主成分とする樹脂層とを備えるラミネート金属板であって、
    前記樹脂層は、前記金属板と接する前記第1樹脂層の上層に第2樹脂層を備えた積層ポリエステル樹脂で構成され、
    前記第1樹脂層は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分としてブチレングリコールを主成分とする第1ポリエステルと、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分としてエチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールを主成分とする第2ポリエステルと、により形成され
    前記第1ポリエステルは、ジカルボン酸成分中のテレフタル酸のモル比率と、グリコール成分中のブチレングリコールのモル比率とが、ともに90モル%以上であり、
    前記第2ポリエステルは、ジカルボン酸成分中のテレフタル酸のモル比率が90モル%以上であり、グリコール成分中のエチレングリコールのモル比率が65〜99モル%であり、グリコール成分中のシクロヘキサンジメタノールのモル比率が1〜35モル%であり、
    前記第1樹脂層中の前記第1ポリエステルの質量比率が65質量%以上であり、
    前記第2樹脂層は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分としてブチレングリコールを主成分とするポリエステルにより形成され、
    前記第2樹脂層は、ジカルボン酸成分中のテレフタル酸のモル比率と、グリコール成分中のブチレングリコールのモル比率とが、ともに90モル%以上であるポリエステルにより構成され、
    前記樹脂層中の前記第2樹脂層の膜厚比率が85%以下である
    ことを特徴とするラミネート金属板。
  2. 金属板を予熱するステップと、予熱された金属板と前記樹脂層を構成するフィルムとをロールによって圧接して熱圧着させるステップと、熱圧着された金属板及びフィルムを室温まで冷却するステップとを含むことを特徴とする請求項1記載のラミネート金属板の製造方法。
  3. 前記樹脂層を構成するフィルムを無延伸フィルムの状態で前記金属板に熱圧着させることを特徴とする請求項2記載のラミネート金属板の製造方法。
  4. 請求項に記載のラミネート金属板を使用した食品用缶詰容器。
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