JP4056210B2 - 樹脂フィルム積層めっき鋼板、それを用いた缶、および樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

樹脂フィルム積層めっき鋼板、それを用いた缶、および樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂フィルム積層めっき鋼板、それを用いた缶、および樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法に関する。より詳しくは、樹脂フィルム積層めっき鋼板を絞りしごき加工を施した後も樹脂被覆層の優れた加工密着性を有する樹脂フィルム積層めっき鋼板、それを絞りしごき加工してなる缶、およびそれに用いる樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポリエステル樹脂を2軸方向に延伸した配向フィルムを金属板に被覆し、絞り加工や、さらに缶側壁部の減厚率を高めるために絞りしごき加工等を用いる、厳しい成形加工方法を用いて製缶した缶が、主に飲料缶の用途で用いられている。この2軸配向ポリエステル樹脂フィルム被覆金属板を絞りしごき加工すると、金属板表面に被覆された樹脂フィルムが変形量の大きい加工に完全に対応できず、フィルムに微小なクラックが生じて耐食性が劣化したり、加工時にフィルムが割れて破胴し、製缶が不可能になることがあり、絞り加工や絞りしごき加工による缶側壁部の減厚率をさらに高めて缶のコストダウンを図ることが極めて困難になっている。
【0003】
ポリエステル樹脂フィルムを被覆する金属板としては、主に加工密着性の観点から、鋼板上に下層の金属クロム層と上層のクロム水和酸化物層の2層からなる層を形成させた電解クロム酸処理鋼板(ティンフリースチールまたはTFSともいう)が多用されてきた。しかし、ポリエステル樹脂フィルムをTFSに被覆し、絞り加工や絞りしごき加工により胴部と底部が一体となった2ピース缶に成形し、腐食性の強い酸性飲料などの内容物を充填した場合、樹脂フィルムの被覆下地のTFSの耐食性が十分ではなく腐食することがある。
【0004】
そのため、腐食性の強い内容物に対して優れた耐食性を有するSnめっき鋼板を樹脂フィルムの被覆下地として用いることが試みられている。特公昭61−3676号公報は、Snめっき鋼板をSnの融点以下の温度に加熱し、ポリエステル樹脂フィルムを当接して加圧して仮接着させた後、Snの融点以上に加熱して本接着する方法を開示している。この方法で得られる樹脂被覆めっき鋼板はTFSを被覆下地とする樹脂被覆鋼板に比べて、樹脂皮膜の加工密着性に乏しく、絞り加工や絞りしごき加工を施した場合に樹脂皮膜が剥離し、樹脂被覆缶に成形できない。
【0005】
上記のような耐食性と加工密着性を改良する試みとして、特開平3−239538号公報は、特定組成のSnめっき液を用い、鋼板表面に鋼板露出部が多く、かつ電着したSnが散在したSnめっきを施し、次いで下層の金属クロム層と上層のクロム水和酸化物層の2層からなる層を形成させた、Snめっき鋼板とTFSの複合的な表面処理鋼板にポリエステル樹脂フィルムを積層した樹脂被覆鋼板を開示している。この樹脂被覆鋼板は耐食性は優れているが、Snめっきや金属クロム層とクロム水和酸化物層の2層を形成させる工程が複雑で、かつ鋼板露出部面積を一定範囲内にコントロールすることが困難であり、実用性に乏しい。
【0006】
また特開平5−98465号公報は、鋼板にSnめっきを施し、あるいはさらに少量のNiめっきを施した後、Snの融点以上に加熱し、Snが溶融した状態で熱可塑性樹脂フィルムを加圧積層した後直ちに急冷する方法を開示している。この方法によると、Snが溶融した状態で熱可塑性樹脂フィルムと当接し、加圧積層する際にSn表面に生成した酸化皮膜が破壊され、活性な金属Snが熱可塑性樹脂フィルムと直接接するようになり、優れた加工密着性が得られるとしている。しかしこの方法によると、熱可塑性樹脂フィルムを積層した直後樹脂被覆めっき鋼板は優れた加工密着性を示すが、経時するにつれて加工密着性が低下する傾向を示すようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の欠点を克服し、缶用材料として用いた際に、腐食性の強い内容物に対して優れた耐食性を有し、かつ皮膜の加工密着性にも優れた実用的な樹脂フィルム積層めっき鋼板、それを用いた缶、および樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂フィルム積層めっき鋼板は、鋼板表面にSnめっき層が形成され、その上層に直接シランカップリング剤を塗布乾燥してなる有機処理被膜層が形成され、さらにその上層に無配向の樹脂フィルムが積層されてなる樹脂フィルム積層めっき鋼板、または、
鋼板表面にNiめっき層、Snめっき層が順次形成され、その上層に直接シランカップリング剤を塗布乾燥してなる有機処理被膜層が形成され、さらにその上層に無配向の樹脂フィルムが積層されてなる樹脂フィルム積層めっき鋼板であり、
有機処理被膜の厚さが0.02〜1μmであること、
nめっき層が100〜2800mg/mの量で形成されてなること、
Niめっき層が10〜100mg/mの量で形成されてなること、
樹脂フィルムが固有粘度0.6〜1.4であるポリエステル樹脂からなる皮膜であることを特徴とする。
【0009】
本発明の缶は、上記のいずれかの樹脂フィルム積層めっき鋼板を用いてなる缶である。
また、本発明の樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法は、鋼板の両面に片面当たり100〜2800mg/mの量のSnめっきを施した後、Snめっき上に直接シランカップリング剤を塗布乾燥して、厚さが0.02〜1μmとなるように有機処理被膜を形成させ、次いで加熱し、その表面に固有粘度0.6〜1.4であるポリエステル樹脂からなるフィルムを当接し、1対の加圧ロールで両者を挟み付けて圧着する、樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法、または鋼板の両面に片面当たり10〜100mg/mの量のNiめっきを施し、次いで100〜2800mg/mの量のSnめっきを施した後、Snめっき上に直接シランカップリング剤を塗布乾燥してなる厚さが0.02〜1μmとなるように有機処理被膜を形成させ、次いで加熱し、その表面に固有粘度0.6〜1.4であるポリエステル樹脂からなるフィルムを当接し、1対の加圧ロールで両者を挟み付けて圧着する、樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法であり、
加熱する温度がSnの融点以下であること
加熱する温度がポリエステル樹脂の融点以下であること、
特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においては、缶用材料として用いた際に、腐食性の強い内容物に対して優れた耐食性を有し、かつ皮膜の加工密着性にも優れた実用的な樹脂フィルム積層めっき鋼板を得ることを目的として鋭意検討した結果、鋼板表面に一定量のSnめっき層、または一定量のNiめっき層、Snめっき層を形成し、その上層に一定の厚さで有機処理被膜層を形成し、さらにその上層に無配向の樹脂フィルムを積層した樹脂被覆めっき鋼板とすることにより、上記の目的を達成することが可能となった。
Snメッキ層は、その電気化学的特性により、基質金属である鋼の腐食を防止できるという特徴を有するが、その反面として、表面にスズ酸化物層が形成されやすく、このスズ酸化物層は凝集力が小さいため、容易に破壊されやすく、樹脂層との密着力が不十分であるという欠点がある。
本発明によれば、メッキ鋼板のSnめっき層の上に有機処理被膜層を設け、その上に無配向樹脂フィルムを設けることにより、樹脂層との密着性を優れたレベルに維持すると共に、金属の皮膜下腐食をも防止できるものである。これは、有機処理皮膜がSn酸化皮膜の形成を抑制し、樹脂皮膜の密着性を向上させているためと思われる。
【0011】
以下に本発明についてその内容を説明する。
まず、樹脂フィルム積層めっき鋼板の樹脂フィルムを積層する被覆下地となるめっき鋼板について説明する。めっき鋼板としては、下記の2通りのいずれかを用いる。
(1)鋼板表面にSnめっき層が形成され、その上層に有機処理被膜層が形成されてなるめっき鋼板。
(2)鋼板表面にNiめっき層、Snめっき層が順次形成され、その上層に有機処理被膜層が形成されてなるめっき鋼板。
【0012】
鋼板表面にSnめっき層のみを形成させる(1)の場合は、ぶりきの製造に用いる公知のフェロスタン浴、ハロゲン浴などのめっき浴を用い、100〜2800mg/mの量でめっきする。めっき量が100mg/m未満では十分な耐食性が得られず、2800mg/mを超えると耐食性の向上効果が飽和する。
鋼板表面にNiめっき層とSnめっき層を順次形成させる(2)の場合は、Niめっき浴として公知のワット浴やスルファミン酸浴を用い、10〜100mg/mの量でめっきする。このNiめっき層を設けることにより耐食性がさらに向上する。めっき量が10mg/m未満では耐食性の向上に効果が認められず、100mg/mを超えると耐食性向上の効果が飽和して経済的に有利でなくなる。この上にさらに(1)の場合と同様にしてSnめっき層を形成させる。めっき量は(1)の場合と同様の理由により限定する。
【0013】
上記のように、鋼板表面にSnめっき層のみ、またはNiめっき層とSnめっき層を形成させた後、ぶりきの製造で実施されているように、めっき鋼板をSnの融点以上に加熱する溶錫処理を施してもよい。溶錫処理を施すことにより、鋼板とめっき層の間に合金層が形成され、耐食性が向上する。特にSnめっき層の下にNiめっき層が形成されている場合は緻密な合金層が生成し、優れた耐食性が得られる。
【0014】
上記のようにして得られためっき鋼板のめっき層の上層に、有機処理被膜層を形成させる。有機処理被膜層は、溶剤系または水溶性の有機化合物をロールコート法など、通常の塗装方法を用いて塗布した後、乾燥させることにより形成する。有機化合物としては、アクリル変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂とフェノール樹脂を混合して成るエポキシ/フェノール樹脂、エポキシ樹脂とアクリル樹脂とフェノール樹脂を混合して成るエポキシ/アクリル/フェノール樹脂、シランカップリング剤を塗布乾燥してなる被膜などが好適に用いられる。
塗布厚さは乾燥後の厚さで0.02〜1μmであることが好ましい。0.02μm未満の厚さでムラなく均一に塗布することは極めて困難であり、均一な加工密着性を発現させることができない。塗布厚さが1μmを超えると加工密着性は低下するようになり好ましくない。
以上のようにして、樹脂フィルムを積層する被覆下地となるめっき鋼板が得られる。
【0015】
次に、上記のようにして得られためっき鋼板に積層する樹脂フィルムについて説明する。
本発明に適用する樹脂フィルムは単層フィルムまたは2層以上の複層フィルムのいずれも適用可能であり、熱可塑性樹脂、特にポリエステル樹脂からなるフィルムであることが好ましい。ポリエステル樹脂としては、エチレンテレフタレート、エチレンイソフタレート、ブチレンテレフタレート、ブチレンイソフタレートなどのエステル単位を有するものが好ましく、さらにこれらの中から選択される少なくとも1種類のエステル単位を主体とするポリエステルであることが好ましい。このとき、各エステル単位は共重合されていてもよく、さらには2種類以上の各エステル単位のホモポリマーまたは共重合ポリマーをブレンドして用いてもよい。上記以外のもので、エステル単位の酸成分として、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸などを用いたものなど、またエステル単位のアルコール成分として、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトールなどを用いたものを用いてもよい。
このポリエステルは、ホモポリエステル或いはコポリエステル、或いはこれらの2種以上から成るブレンド物からなる2種以上のポリエステル層の積層体であってもよい。例えば、ポリエステルフィルムの下層を熱接着性に優れた共重合ポリエステル層とし、該テープの上層を強度や耐熱性更には腐食成分に対するバリアー性に優れたPET層或いは改質PET層とすることができる。
【0016】
本発明においては後記するように無配向のポリエステル樹脂からなるフィルムを用いることを前提としており、ポリエステル樹脂フィルムをめっき鋼板に積層する作業において樹脂が切れたり、ポリエステル樹脂フィルムを積層しためっき鋼板に絞り加工や絞りしごき加工のような厳しい成形加工を施しても樹脂が削れたり疵付いたりすることがなく、またクラックが生じたり割れたり、さらに剥離することがないようにするため、樹脂の固有粘度を高め、樹脂を強化させる必要がある。
このため、上記のポリエステル樹脂の固有粘度(IV)を0.6〜1.4の範囲とすることが好ましく、0.8〜1.2の範囲とすることがより好ましい。固有粘度が 0.6未満のポリエステル樹脂を用いた場合は樹脂の強度が極端に低下し、絞り加工や絞りしごき加工を施して成形する缶に適用できない。一方、樹脂の固有粘度が 1.4を超えると樹脂を加熱溶融させた際の溶融粘度が極端に高くなり、ポリエステル樹脂フィルムをめっき鋼板に積層する作業が極めて困難になる。
【0017】
樹脂フィルムの厚さは単層フィルムの場合は5〜60μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。厚さが5μm未満の場合はめっき鋼板に積層する作業が著しく困難になり、また絞り加工や絞りしごき加工を施した後の樹脂層に欠陥を生じやすく、缶に成形して内容物を充填した際に、腐食成分に対する耐透過性も十分ではない。厚さを増加させると耐透過性は十分となるが、60μmを超える厚さにすることは経済的に不利となる。複層フィルムの場合は成形加工性や、耐透過性、あるいは内容物のフレーバーに与える影響などの観点から各層の厚さの比率は変動するが、トータル厚みが5〜60μmとなるように、各層の厚さを調整する。
また、樹脂フィルムを製膜加工する際に、樹脂中に必要な特性を損なわない範囲で着色顔料、安定剤、酸化防止剤、滑材などを含有させて、フィルムに製膜してもよい。
【0018】
無配向の樹脂フィルムは次のようにして製膜加工する。すなわち、押出機を用いて樹脂ペレットを樹脂の融解温度より20〜40℃高い温度で加熱溶融し、溶融樹脂をTダイからフィルム状に冷却したキャスティングロール上に押し出し、延伸せずに無配向フィルムとしてコイラーに巻き取る。
【0019】
次に、樹脂フィルムをめっき鋼板に積層する方法について説明する。
まずコイル状に巻き取られた長尺帯状の前記めっき鋼板を解きほどきながら連続的に加熱する。加熱温度はめっき層であるSnの融点以上でかつ樹脂フィルム(複層フィルムの場合はめっき鋼板と接する樹脂層、以下同様)の融解温度以上、Snの融点以上でかつ樹脂フィルムの融解温度未満、Snの融点未満でかつ樹脂フィルムの融解温度以上、Snの融点未満でかつ樹脂フィルムの融解温度未満のいずれの温度でもよいが、積層作業を実施しやすい、Snの融点未満でかつ樹脂フィルムの融解温度以上の範囲に加熱することが好ましい。しかし、無配向フィルムは樹脂フィルムの融解温度以下の温度でもめっき鋼板に接着するので、Snの融点未満でかつ樹脂フィルムの融解温度未満に加熱しても樹脂フィルムをめっき鋼板に積層することができる。好ましい温度は100〜232℃、より好ましい温度は150〜220℃である。
【0020】
連続的に移動する長尺帯状のめっき鋼板を上記の温度範囲に加熱し、この片面もしくは両面に前記の樹脂フィルムを当接し、1対の加圧ロールで両者を挟み付けて圧着し、直ちに急冷する。以上のようにして本発明の樹脂フィルム積層めっき鋼板が得られる。
【0021】
本発明の樹脂フィルム積層めっき鋼板を用いた缶は、以下のようにして缶に成形する。すなわち、樹脂フィルム積層めっき鋼板から円形のブランクを打ち抜き、次いで1〜複数段の絞り加工を施し、さらに1〜複数段の絞り加工を施し或いは更にしごき加工を施して底部と胴部が一体で成形され、缶側壁部の減厚率を高めた缶に成形する。
この缶への成形に際して、缶胴の樹脂フィルム層には、樹脂フィルム積層めっき鋼板の缶軸方向への塑性流動に伴って、一軸配向が付与され、しごき加工を行う場合には、圧延と同様な面配向が付与され、これらの分子配向は、耐熱性、機械的強度の向上に役立っている。
【0022】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例)
板厚:0.18mm、板幅:800mmの低炭素鋼板の両面に、表1に示すめっき層を形成させた。次いでこれらのめっき鋼板のめっき面に表1に示す有機樹脂皮膜層を形成させた。表中の樹脂種類の記号で記載した樹脂は、それぞれ下記に示す樹脂であり、いずれもロールコート法を用いて塗布し、乾燥した。
AE :水溶性アクリル変性エポキシ樹脂の28%水溶液をロールコート
EAP:水溶性エポキシ/アクリル/フェノール樹脂の30%水溶液をロールコート
EP :溶剤系エポキシ/フェノール樹脂の20%溶液をロールコート
SC :オルガノシランカップリング材をロールコート
【0023】
【表1】
Figure 0004056210
【0024】
次いで表1に示した各めっき番号のめっき鋼板を表2に示す温度に加熱し、缶に成形した際に外面側と成る面に、エチレンテレフタレート(88モル%)とエチレンイソフタレート(12モル%)からなる共重合ポリエステル樹脂(以下、PETI12で示す(12はエチレンイソフタレートのモル数))(固有粘度:0.8、融解温度:228℃)に酸化チタン系白色顔料を20%含有させてなる、厚さ:15μmの無配向フィルムを、缶に成形した際に外面側と成る面に、表2の試料番号1〜23に示した無配向の透明樹脂フィルムをそれぞれ当接し、1対の加圧ロールで挟み付けて圧着し、直ちに水中に浸漬し急冷して樹脂フィルム積層めっき鋼板を得た。
表2において、表中の樹脂組成の記号で記載した樹脂フィルムは、それぞれ下記に示す樹脂フィルムである。
PETI12 : エチレンテレフタレート(88モル%)とエチレンイソフタレート(12モル%)からなる共重合ポリエステル樹脂(融解温度:228℃)
PET : ポリエチレンテレフタレート(エチレンテレフタレート(100モル%)を重合)(融解温度:267℃)
PETI5 (15)/PET12 (10) : 上層がエチレンテレフタレート(95モル%)とエチレンイソフタレート(5モル%)(融解温度:251℃)からなる厚さ:15μmの共重合ポリエステル樹脂と、下層がエチレンテレフタレート(88モル%)とエチレンイソフタレート(12モル%)(融解温度:228℃)からなる厚さ:10μmの共重合ポリエステル樹脂からなる2層フィルム
【0025】
【表2】
Figure 0004056210
【0026】
上記のようにして作成された樹脂フィルム積層鋼板を、下記のようにして絞りしごき缶に成形した。まず直径:160mmの円板状のブランクに打ち抜いた後、白色に着色したフィルムを積層した面が容器の外側となるようにして絞り加工を施し、100mm径の絞り容器に成形した。次いで再絞り加工を施して80mm径の再絞り容器に成形した。この再絞り容器を再絞り加工としごき加工を同時に行う再絞りしごき加工を施して、缶径:66mmで高さ:125mmの部分にフランジを有する円筒缶に成形した。次いで、上端部をトリミングして高さを122mmとした後、上端部を縮径加工して開口端部の径を57mmとした。次いで、開口端部を缶の外側に向かって張り出し加工し、フランジ端部の径が62mmとなるようにフランジ部を形成させ、内容物を充填する前の最終形状の缶とした。
【0027】
上記のようにして試料番号1〜23の樹脂フィルム積層鋼板から成形したしぼりしごき缶の特性を下記のように評価した。
[加工密着性]
絞りしごき加工し、フランジ成形した後の缶を肉眼観察し、下記の基準で加工密着性を評価した。
【0028】
◎:樹脂フィルムの剥離は認められない。
○:フランジ加工部に実用上問題とならない程度のわずかな樹脂フィルムの剥離が認められる。
△:フランジ加工部に実用上問題となる程度の樹脂フィルムの剥離が認められる。
×:フランジ加工部全体に樹脂フィルムの剥離が認められる。
【0029】
[耐食性]
絞りしごき加工し、フランジ成形した後の缶にpH:2.6の酸性飲料(商品名:アセロラドリンク、株式会社ニチレイ製)を充填してフランジ部で天蓋を二重巻締めして密封し、氷水中に浸漬した。5分間後に取り出し、約5℃の温度の温度の缶外面に、円周方向で15mm間隔で先端に直径:1/2インチの鋼球を付設した鋼棒(重さ:1kg)を40mmの高さから落下させて凹部を形成させた。この状態で37℃で1ヶ月経時させた後、開封し缶内部の酸性飲料に溶出した金属量を原子吸光法を用いて測定し、その多少から下記の基準で耐食性を評価した。
◎:0.3ppm未満
○:0.3ppm以上でかつ0.5ppm未満
△:0.5ppm以上でかつ1.0ppm未満
×:1.0ppm以上
これらの結果を表3に示す。
【0030】
【表3】
Figure 0004056210
【0031】
表3に示すように、本発明の樹脂フィルム積層めっき鋼板は優れた加工密着性を有しており、本発明の樹脂フィルム積層めっき鋼板を用いて成形した絞りしごき缶は、腐食性の強い酸性飲料に対しても優れた耐食性を示す。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、鋼板表面にSnめっき、またはNiめっきとSnめっきを施した後、有機処理被膜を形成させ、次いで加熱し、その表面に固有粘度0.6〜1.4であるポリエステル樹脂からなるフィルムを当接して圧着してなる樹脂フィルム積層めっき鋼板であり、絞りしごき加工を施しても樹脂フィルムが剥離することがなく優れた加工密着性を示す。また本発明の樹脂フィルム積層めっき鋼板を用いて絞りしごき加工を施して成形した缶は耐食性に優れており、酸性飲料を充填した場合でも金属溶出は極めて少ない。

Claims (11)

  1. 鋼板表面にSnめっき層が形成され、その上層に直接シランカップリング剤を塗布乾燥してなる有機処理被膜層が形成され、さらにその上層に無配向の樹脂フィルムが積層されてなる、樹脂フィルム積層めっき鋼板。
  2. 鋼板表面にNiめっき層、Snめっき層が順次形成され、その上層に直接シランカップリング剤を塗布乾燥してなる有機処理被膜層が形成され、さらにその上層に無配向の樹脂フィルムが積層されてなる、樹脂フィルム積層めっき鋼板。
  3. 有機処理被膜の厚さが0.02〜1μmである、請求項1または2に記載の樹脂フィルム積層めっき鋼板。
  4. Snめっき層が100〜2800mg/mの量で形成されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂フィルム積層めっき鋼板。
  5. Niめっき層が10〜100mg/mの量で形成されてなる、請求項2に記載の樹脂フィルム積層めっき鋼板。
  6. 樹脂フィルムが固有粘度0.6〜1.4であるポリエステル樹脂からなる皮膜である、請求項1〜のいずれかに記載の樹脂フィルム積層めっき鋼板。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂フィルム積層めっき鋼板を用いてなる缶。
  8. 鋼板の両面に片面当たり100〜2800mg/mの量のSnめっきを施した後、Snめっき上に直接シランカップリング剤を塗布乾燥して、厚さが0.02〜1μmとなるように有機処理被膜を形成させ、次いで加熱し、その表面に固有粘度0.6〜1.4であるポリエステル樹脂からなるフィルムを当接し、1対の加圧ロールで両者を挟み付けて圧着する、樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法。
  9. 鋼板の両面に片面当たり10〜100mg/mの量のNiめっきを施し、次いで100〜2800mg/mの量のSnめっきを施した後、Snめっき上に直接シランカップリング剤を塗布乾燥してなる厚さが0.02〜1μmとなるように有機処理被膜を形成させ、次いで加熱し、その表面に固有粘度0.6〜1.4であるポリエステル樹脂からなるフィルムを当接し、1対の加圧ロールで両者を挟み付けて圧着する、樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法。
  10. 加熱する温度がSnの融点以下である、請求項8または9に記載の樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法。
  11. 加熱する温度がポリエステル樹脂の融点以下である、請求項8〜10のいずれかに記載の樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法。
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