JP5377817B2 - 耐食性に優れたキャップ適用可能な缶体 - Google Patents

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本発明は、キャップを適用可能な缶体に関するものであり、より詳細には、缶胴上部の縮径のための口絞り加工やカール加工或いはねじ加工等の過酷な加工が施された缶体において、腐食性の強い内容物も充填可能な耐食性に優れた缶体に関する。
一般にシームレス缶は、ティン・フリー・スチール(以下、TFSという)や錫めっき鋼板等を基材として、二軸延伸ポリエステルフィルムをラミネートしたプレコート鋼板を絞りしごき加工等に付して成形されている(例えば、特許文献1等)。
また、シームレス缶の開口部付近を縮径して円筒形状部分に形成し、該円筒形状部分にネジ部を設けた缶体(以下、リシール缶という)はキャップをリシールすることができることから、近年その需要が増加している。このようなリシール缶では、缶胴上部を縮径する際にトリムエッジからフィルムが剥離する等の問題を有しており、この問題を解決するために、非晶質のフィルムをラミネートしたラミネート鋼板を用いて成るシームレス缶も知られている(特許文献2)。
特開平7-164068号公報 特開2001−246695号公報
しかしながら、TFSを基材とするシームレス缶の場合、用途によっては加工密着性に劣るため、適用内容物に制約があった。
また、非晶質フィルムをラミネートしたTFSを基材とするラミネート鋼板を用いたシームレス缶の開口部付近が縮径された缶体においては、腐食性の低い内容物を充填した場合には、何等問題を生じない場合でも、腐食性の強い内容物や或いはレトルト殺菌が必要な内容物等を充填した場合には、開口部及びその近傍の内面被覆にフィルム割れにより下地金属が露出したり、或いはレトルト処理により内面被覆に亀裂を生じてしまうという問題が生じる。
また内容物充填後の缶が、デンティングにより衝撃を受けて、経時保管されると、缶胴に生じたデント部と缶開口部のカール部でガルバニック電池を形成し、缶胴デント部では腐食が進行し、カール部ではフィルム浮きが発生するという問題も生じる。
従って本発明の目的は、TFSを基材とするラミネート鋼板を用いて成るシームレス缶或いはリシール缶で顕著である、腐食性の内容物等を充填した場合に、厳しい加工が付された缶胴上部においても内面被覆の割れや下地金属の露出による腐食、変色を生じることがなく、しかも開口部付近が胴部に対して縮径された、キャップを適用可能な缶体においても、上述したような問題を生じることがない、耐食性に顕著に優れた缶体を提供することである。
本発明によれば、表面処理が施された錫めっき量が0.7乃至4.0g/mである錫めっき鋼板の少なくとも一方の面に非晶質の熱可塑性樹脂被覆が施された有機樹脂被覆錫めっき鋼板を、元板厚に対する胴部の板厚最大減少率が20%以上になるようにストレッチドローアイアニング成形して成り、胴部に対して縮径された肩部及び該肩部から連なる円筒形状の首部から成る缶胴上部を有し且つ開口端部にカール加工が施されている缶体であって、前記缶胴上部のフリー錫量が0.1乃至1.8g/mであり且つ錫−鉄合金中の錫量が1.5g/m以下であることを特徴とする缶体が提供される。
本発明の缶体においては、
1.ストレッチドローアイアニング成形の前に絞り成形に付されていること、
.円筒形状部分にネジ部が形成されていること、
.有機樹脂被覆が錫めっき鋼板の両面に施されていると共に、ストレッチドローアイアニング成形が水系潤滑剤及び/又はクーラントを使用せずに行われること、
.表面処理が、クロム酸電解処理、重クロム酸ソーダ電解処理、シランカップリング剤処理、電解金属酸化物処理、フェノール樹脂系処理の少なくとも一つであること、
.非晶質の熱可塑性有機樹脂が、225℃以下の融点を有するものであること、
.非晶質の熱可塑性有機樹脂被覆が、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレートを少なくとも含むこと、
が好適である。
本発明の缶体によれば、缶胴上部の開口部近傍を縮径するための口絞り加工、カール加工、ネジ加工等の過酷な加工が施されたキャップ適用可能な缶体に成形され、腐食性の内容物やレトルト殺菌が必要な内容物等が充填された場合にも、開口部及びその近傍の内面被覆にフィルム割れにより下地金属が露出したり、或いはレトルト処理により内面被覆に亀裂を生じてしまうこと等を有効に防止することが可能となる。
本発明の缶体においては、クーラントや潤滑剤等を使用しないドライ成形が可能であるため、その後の洗浄・乾燥工程等が不要であり、生産性や環境性にも優れている。
本発明の缶体に用いる有機樹脂被覆錫めっき鋼板は、必要により表面処理が施された錫めっき鋼板の少なくとも一方の面に非晶質の熱可塑性樹脂被覆が施された、耐食性、加工密着性に優れたものであり、本発明においては、かかる有機樹脂被覆錫めっき鋼板を、缶胴上部のフリー錫量が0.1乃至1.8g/m、特に0.2乃至1.6g/mであり且つ錫−鉄合金中の錫量が1.5g/m以下、特に1.4g/m以下となるように、元板厚に対する胴部の板厚最大減少率が20%以上のストレッチドローアイアニング成形することが重要である。
前述した通り缶胴上部は、ネックイン加工、ビード加工等の過酷な加工が施される箇所であり、特にリシール機能を有するリシール缶においては、上記加工の他、口絞り加工、ネジ加工、カール加工等のより過酷な加工が施されるため、これらの過酷な加工により有機樹脂被覆材料は大きなダメージを受け、金属露出、被膜浮き等が生じ、ひいては耐食性が損なわれてしまう。また缶胴にデントが生じた場合にデント部とカール部でガルバニック電池を形成し、デント部では腐食が進行しカール部ではフィルム浮きが発生してしまうのである。
本発明の缶体において、缶胴上部のフリー錫量及び錫−鉄合金中の錫量が上記範囲にあることが上記問題を解決する上で臨界的であることは後述する実施例の結果からも明らかであり、一つでもその値が外れた場合には上述した問題をすべて解決することができないのである。
すなわち、フリー錫量が上記範囲よりも少ないと耐食性に劣り(比較例6及び7)、一方フリー錫量が多いと被膜の密着性に劣り、加工部での被膜の浮きが生じ(比較例2)、また錫−鉄合金中の錫量が上記範囲よりも多いと、被膜の密着性に劣り、加工による金属露出が生じるようになる(比較例4)。
尚、上記フリー錫量及び錫−鉄合金中の錫量の測定は、特に厳しい加工に付される缶胴上部であり、口絞り缶においては、口絞り加工により、胴部に対し縮径された円筒形状部における測定値である。
(錫めっき鋼板)
本発明の缶体に用いる錫めっき鋼板は、缶体とした時の缶胴上部におけるフリー錫量及び錫−鉄合金層中の錫量が上述した範囲となることが重要である。
缶体とした時の缶胴上部におけるフリー錫量及び錫−鉄合金層中の錫量は、用いる錫めっき鋼板の錫めっき量、リフロー処理の有無及びその条件、樹脂被覆の錫めっき鋼板へのラミネート条件、或いは成形条件等によって変化するため、これらの条件を調整し、適宜組み合わせることによって上記範囲に調整することができる。
錫めっき鋼板の錫めっき量(トータル錫量)は、一般に0.7乃至4.0g/m、特に1.0乃至3.5g/mの範囲にあることが好ましい。錫めっきは少なくとも缶内面側となるべき面に施されるべきであるが、好適には缶外面側となるべき面にも、上記範囲の錫めっき層を設けることが望ましい。
またラミネート条件については、ラミネート温度が高いほど、加熱時間が長いほど錫―鉄合金層中の錫量は増加する。成形条件については、板厚減少率が高いほど、成形ツール温度が高いほど錫―鉄合金層中の錫量は増加する。
リフロー処理は行っても行わなくてもよいが、リフロー処理を行うことにより合金中の錫量が増加する。また錫めっき量が多い場合には、一般にフリー錫量が多くなる。従って、錫めっき量が多い場合には、リフロー処理を行って、フリー錫量及び合金中の錫量を調整してもよい。
リフロー処理は、鋼板上に所定量の錫めっきを行った後、錫の融点(232℃)以上に加熱し一定時間保持した後冷却を行うことにより行うことができる。リフロー処理による合金化は、錫めっき層に含有される錫量の25乃至70%であることが望ましい。このように錫−鉄合金層を形成することによって、加工密着性が向上すると共に、鋼板自体の耐食性も向上させることが可能になる。
錫めっきを施す鋼板としては、製缶用に用いられていた従来公知の冷延鋼板等を使用することができ、板厚は0.1乃至0.4mm程度のものを好適に用いることができる。
(表面処理層)
本発明においては、厳しい加工が付された高加工部においても有機樹脂被覆との密着性や、耐食性、耐錆性を向上させる観点から、錫めっき鋼板は表面処理されていることが好ましい。
本発明に用いる錫めっき鋼板に施すことができる表面処理としては、これに限定されないが、クロム酸電解処理、重クロム酸ソーダ電解処理、シランカップリング剤処理、電解金属酸化物処理、フェノール樹脂系処理等を挙げることができる。
特に環境性の問題からは、ノンクロム系のシランカップリング剤処理、電解金属酸化物処理、フェノール樹脂系処理等を好適に施すことができる。
またこれらの表面処理を組み合わせで行うこともでき、例えば、先に電解金属酸化物処理を行った後、シランカップリング剤処理又はフェノール樹脂系処理等を行うことが好ましい。
[クロム系表面処理]
クロム系表面処理としては、従来この種の分野で通常行われている処理を行うことができ、無水クロム酸を用いる処理又は重クロム酸ナトリウムを用いる処理等を挙げることができる。無水クロム酸の場合、鋼板上に金属クロム層を形成させ、その上にクロム酸化物あるいはクロム水和酸化物からなる被膜を有する。電流密度および電解時間は特に制限されるものではないが、電流効率の点から10乃至100A/dmの範囲にあること、電解時間は0.1乃至1.0秒の範囲にあることが好ましい。重クロム酸ナトリウムの場合、鋼板上に金属クロム層は形成されず、クロム酸化物あるいはクロム水和酸化物からなる皮膜を有する。電流密度および電解時間は特に制限されるものではないが、電流効率の点から1乃至5A/dmの範囲にあること、電解時間は0.5乃至2.0秒の範囲にあることが好ましい。
[シランカップリング剤表面処理]
シランカップリング剤表面処理は、シランカップリング剤が有する反応基により、錫めっき層と熱可塑性ポリエステル樹脂層の密着性を向上させることが可能となる。またシランカップリング剤処理層自体が耐久性と耐水性を向上させる一方、錫めっき層へのガス透過を抑制し、これにより錫めっき層の酸化皮膜の形成を抑制するため、酸化皮膜の生成・成長による有機樹脂被覆層の密着性の低下を防止できる。
シランカップリング剤表面処理層は、Si量が2〜50mg/m、特に3〜15mg/mとなるように形成されていることが好ましい。
シランカップリング剤表面処理のために用いるシランカップリング剤は、有機樹脂被覆と化学結合する反応基と錫めっき鋼板と化学結合する反応基を有するものであり、アミノ基、エポキシ基、メタクリロキシ基、メルカプト基等の反応基と、メトキシ基、エトキシ基等の加水分解性アルコキシ基を含むオルガノシランから成るものや、メチル基、フェニル基、エポキシ基、メルカプト基等の有機置換基と加水分解性アルコキシ基を含有するシランを使用することができる。
本発明において、好適に用いることができるシランカップリング剤の具体例としては、γ-APS(γ-アミノプロピルトリメトキシシラン)、γ−GPS(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、BTSPA(ビストリメトキシシリルプロピルアミノシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
シランカップリング剤処理層を形成するには、上述したシランカップリング剤溶液を錫めっき鋼板上に塗布、若しくはシランカップリング剤溶液中に、錫めっき鋼板を浸漬し、その後絞りロールで過剰な溶液を除去することにより形成することができる。好適なシランカップリング剤溶液の組み合わせ及び処理の順序は以下の通りである。
(i) アミノ基含有シラン溶液及び/又はエポキシ基含有シランカップリング剤溶液を用いて処理生成する。
(ii) アミノ基及び/又はエポキシ基を含むシランカップリング剤と有機置換基と加水分解性アルコキシ基を含有したシランから成る混合溶液を用いて処理生成する。
(iii) 有機置換基と加水分解性アルコキシ基を含有したシランで処理した後、次いでアミノ基含有シラン溶液及び/又はエポキシ基含有シラン溶液から成るシランカップリング剤溶液を用いて処理生成する。
[水溶性フェノール系化合物から成る表面処理]
水溶性フェノール系化合物から成る表面処理層は、C量が0.8〜50mg/m、特に1〜40mg/mの範囲となるように形成することが好ましく、下記式(1)の重合体から成る水溶性フェノール樹脂を用いて形成することができる







OH

− φ −CH− ・・・(1)


式中、φはベンゼン環を表し、Xは水素原子又は下記式(2)
Z= −CH−N−R ・・・(2)


式中、R及びRの各々は炭素数10以下のアルキル基又は炭素数10以下のアルキル基又は炭素数10以下のヒドロキシアルキル基である、で表されるZを表し、基Zの導入率はベンゼン環1個当たり0.2〜1.0であるものとする、
で表される反復単位から成るフェノール樹脂であることが好適である。
また水溶性フェノール系化合物の他の例としては、タンニンを挙げることができる。タンニンは、タンニン酸ともいい、フェノール性ヒドロキシル基を有する複雑な構造の芳香族化合物の総称である。
タンニンとしては、ハマメリタンニン、カキタンニン、チャタンニン、五倍子タンニン、没食子タンニン、ミロバランタンニン、ジビジビタンニン、アルガロビラタンニン、バロニアタンニン、カテキンタンニン等を挙げることができる。タンニンは、数平均分子量が200以上であることが好ましい。
本発明においては上記水溶性フェノール系化合物単独で表面処理層を形成する他、かかる水溶性フェノール系化合物にジルコニウム、チタン等の無機物を含有させて表面処理層を形成することもでき、これにより耐食性を更に向上させることが可能となる。
無機物は全炭素の4乃至3750重量%の量で含有されていることが望ましい。
水溶性フェノール系化合物による表面処理層を錫めっき鋼板上に形成するには、上述した水溶性フェノール系化合物を錫めっき鋼板の表面に塗布乾燥することにより形成できる。
[電解金属酸化物による無機表面処理]
電解金属酸化物による無機表面処理は、Zr,Ti,Alの少なくとも一つを主成分として含有する処理液を用いて形成されるものであり、本発明においては特にこれらの無機成分とO,Fを含有し、リン酸を含有しない水溶液中で陰極電解処理することにより形成されるものであることが好ましい。
表面処理に用いる処理液は、浴濃度が、Zr,Ti,Alが0.010〜0.050モル/リットルの範囲にあることが好ましく、またpHが3.0〜8.0の水溶液であることが好ましい。
処理液に用いるZr薬剤としてはフッ化ジルコニウムカリウムKZrFやフッ化ジルコニウムアンモニウム(NHZrF、炭酸ジルコニウムアンモニウム溶液(NHZrO(COなどを用いることができる。
またTi薬剤としては、チタンフッ化カリウムKTiF、チタンフッ化アンモニウム(NHTiF、チタンフッ化ソーダNaTiFなどを用いることができる。
またAl薬剤としては、硝酸アルミニウムAl(NO・9HOの他、硫酸アルミニウムカリウムAlK(SO・12HO、硫酸アルミニウムAl(SO・13HO、リン酸二水素アルミニウム液Al(HPO、リン酸2水素アルミニウムAlPO、 乳酸アルミニウム〔CHCH(OH)COO〕Alなどを用いることができる。
また、チタンイオン,ジルコニウムイオン,アルミニウムイオンとフッ素イオンを別々の薬剤より供給することもでき、Ti薬剤としてシュウ酸チタンカリウム2水和物KTiO(C・2HO、塩化チタン(III)溶液TiCl、塩化チタン(IV)溶液TiClなど、Zr薬剤としてオキシ硝酸ジルコニウムZrO(NO、オキシ酢酸ジルコニウムZrO(CHCOO)など、F薬剤としてフッ化ナトリウムNaF、フッ化カリウムKF、フッ化アンモニウムNHFなどを用いることができる。
浴中のFイオンの浴濃度としては、Fとして、0.03モル/リットル〜0.35モル/リットルの範囲にあることが好ましい。
また処理液中には、粒径4〜80nmの水分散性シリカをSi量で3〜100mg/mの範囲で配合することが、耐食性、膜形成性の点から好ましく、更に必要に応じて硝酸イオン、過酸化物及び錯化剤を添加することもできる。
表面処理の前処理としては、定法により、脱脂、水洗、必要に応じて、酸洗、水洗を行い、表面を清浄化し、上記処理液を30〜65℃の温度において、3〜100A/dmで0.3〜20秒間断続的に陰極電解し、最後に水洗することにより、好適な表面処理層を得ることができる。
陽極側に相当する対極板には、酸化イリジウム被覆したチタン板が好適に用いられる。対極板の条件としては、電解中に対極材料が処理液中に溶解せず、酸素過電圧の小さい不溶性陽極であることが望ましい。
形成される表面処理層の厚みは、Zr,Ti,Alの重量膜厚で、5〜300mg/mの間にあることが、被覆の均一性や加工密着性の点から好ましい。
(非晶質の熱可塑性樹脂被覆)
本発明の缶体の製造に用いられる有機樹脂被覆錫めっき鋼板において、錫めっき層上或いは表面処理層上に形成される熱可塑性樹脂被覆は、未延伸の実質的に非晶質のフィルムであることが重要である。またかかる有機樹脂被覆は錫メッキ鋼板の缶内面側となる少なくとも一方の面に形成されていればよいが、後述するように、ドライ成形による場合には、両面に形成されていることが必要である。
有機樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリルエステル共重合体、アイオノンマー等のオレフィン系樹脂フィルム、またはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、もしくはナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等の熱可塑性樹脂を挙げることができるが、ポリエステル樹脂を最も好適に使用することができる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートそのものも勿論使用可能であるが、フィルムの到達し得る最高結晶化度を下げることが耐衝撃性や加工性の点で望ましく、また、錫めっき鋼板へのラミネートの際に錫のリフローが生じると、フリー錫量、合金中の錫量を調整する上で望ましくないことから、錫の融点(232℃)よりも低い融点を有するものであることが好ましく、好適には、225℃以下、特に215℃以下の融点を有するものであることが望ましい。この目的のためにポリエステル中にエチレンテレフタレート以外の共重合エステル単位を導入するのがよい。
一般に共重合ポリエステル中の二塩基酸成分の70モル%以上、特に75モル%以上がテレフタル酸成分から成り、ジオール成分の70モル%以上、特に75モル%以上がエチレングリコールまたはブチレングリコールから成り、二塩基酸成分の1〜30モル%、特に5〜25モル%がテレフタル酸以外の二塩基酸成分から成ることが好ましい。
テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸:シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸:コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸:の1種又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコールまたはブチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられる。勿論、これらのコモノマーの組合せは、共重合ポリエステルの融点を前記範囲とするのが好ましい。
また、このポリエステルは、成形時の溶融流動特性を改善するために、三官能以上の多塩基酸及び多価アルコールから成る群より選択された少なくとも1種の分岐〜架橋成分を含有することができる。これらの分岐〜架橋成分は、3.0モル%以下、好適には0.05〜3.0モル%の範囲にあるのがよい。
三官能以上の多塩基酸及び多価アルコールとしては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ヘミメリット酸、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸等の多塩基酸や、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、1,1,4,4−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等の多価アルコールが挙げられる。
特に好適なポリエステル樹脂としては、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。
上述したようにポリエステル樹脂の融点は225℃以下であることが好ましいことから、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートにおいては、イソフタル酸成分が5乃至25モル%の範囲、また同様にナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレートにおいては、ナフタレンジカルボン酸成分が5乃至25モル%の範囲で含有されていることが好ましい。
ホモポリエステル或いは共重合ポリエステルは、フィルム形成範囲の分子量を有するべきであり、溶媒として、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定した固有粘度〔η〕は0.5〜1.5、特に0.6〜1.5の範囲にあるのがよい。
本発明に用いるポリエステル樹脂層は、上述したポリエステル或いはコポリエステル単独から形成されていても、或いはポリエステル或いはコポリエステルの2種以上のブレンド物、或いはポリエステル或いはコポリエステルと他の熱可塑性樹脂とのブレンド物から形成されていてもよい。
ポリエステル中に配合できる他の熱可塑性樹脂としては、エチレン系重合体、熱可塑性エラストマー、ポリアリレート、ポリカーボネート等を挙げることができる。これらの改質樹脂成分の少なくとも1種を更に含有させ、耐高温湿熱性や耐衝撃性を更に向上させることができる。この改質樹脂成分は、一般にポリエステル100重量部当たり50重量部迄の量、特に好適には5〜35重量部の量で用いるのが望ましい。
本発明の有機樹脂被覆に用いる熱可塑性樹脂層は、単層の樹脂層であってもよく、また同時押出などによる多層の樹脂層であってもよい。多層のポリエステル樹脂層を用いると、下地層、即ち表面処理金属材料側に接着性に優れた組成のポリエステル樹脂を選択し、表層に耐内容物性、即ち耐抽出性やフレーバー成分の非吸着性に優れた組成のポリエステル樹脂を選択できるので有利である。
上記ポリエステル樹脂層には、それ自体公知の樹脂用配合剤、例えば非晶質シリカ等のアンチブロッキング剤、無機フィラー、各種帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を公知の処方に従って配合することができる。
本発明において、有機樹脂層の厚みは、一般に3〜50μm、特に5〜40μmの範囲にあることが望ましい。即ち、厚みが上記範囲を下回ると、耐腐食性が不十分となり、厚みが上記範囲を上回ると加工性の点で問題を生じやすい。
錫めっき鋼板への積層は、押出ラミネートにより行うことができるが、別途作成されたキャストフィルムを熱接着や接着剤を用いて積層することも勿論できる。
積層の際に接着剤を用いる場合は、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性オレフィン樹脂系接着剤、コポリアミド系接着剤、コポリエステル系接着剤(厚さ:0.1〜5.0μm)等が好ましく用いられる。さらに熱硬化性塗料を、厚み0.05〜2μmの範囲で表面処理金属材料側、あるいはフィルム側に塗布し、これを接着剤としてもよい。
(成形加工)
本発明の缶体は、上述した有機樹脂被覆錫めっき鋼板を、板厚減少率が20%以上となるようにストレッチドローアイアニング加工を行って、シームレス缶を作成する。また、板厚減少率が大きくなると、錫−鉄合金中の錫量が増加し、フリー錫量は減少することから、板厚減少率は25乃至70%の範囲にあることが好ましい。
尚、本発明におけるストレッチドローアイアニング加工とは、ストレッチドロー加工とこれに続くアイアニング加工を一回乃至複数回行うことを意味する。この際、ストレッチドローアイアニング加工においては、ストレッチドローでバックテンションをかけながらしごき加工を行うため、樹脂被覆が両面に形成されている場合には、水系潤滑剤及び/又はクーラントを使用することなく、ストレッチドローアイアニング加工を行うことが可能となる。これにより成形後の洗浄等が不要であり、環境性及び生産性よく製造することが可能となる。
また、絞り加工によりファーストカップを成形した後、このファーストカップをストレッチドローアイアニング加工してもよい。
本発明の缶体を得るためのストレッチドローアイアニング成形として、ストレッチドローアイアニング成形の前に絞り成形を行うか否かにより、一般的に次のように大別される。
(1)鋼板→絞り成形→ストレッチドローアイアニング成形→ストレッチドローアイアニング成形
(2)鋼板→ストレッチドローアイアニング成形→ストレッチドローアイアニング成形
本発明の缶体は、金属蓋を開口端に巻締めして使用される、通常の缶体であってもよいが、好適には、胴部上方が胴部に対して縮径された円筒形状を有し且つ開口端部にカール加工が施されている口絞り缶であることが好ましく、より好適には円筒形部分にネジ部が形成されているリシール缶であることが好ましい。
図1は、本発明のリシール缶の一例を示す図であり、全体を1で示すリシール缶は、有機樹脂被覆錫めっき鋼板から一体に成形された胴部3、底部2、胴部から連なり上方に行くに従って径が漸次減少する肩部4、及び肩部4から連なる円筒形状の首部5からなっている。首部5にはキャップと係合し、リシール機能を付与するためのネジ部6、開口端が外側にカールされたカール部7が形成されている。尚、この態様においては、本発明における缶胴上部は、肩部から円筒形状の首部の開口端までがこれに対応する。
リシール缶の製造工程は、一般に以下の通りである。
有機樹脂被覆錫めっき鋼板を絞り加工或いはストレッチドローアイアニング加工により浅絞りカップを作成し、この浅絞りカップにストレッチドローアイアニング加工を行って、深絞りカップを成形する。次いでこの深絞りカップを常法に従いボトム成形した後、有機樹脂被覆の歪を緩和すべく、Tm−10℃乃至Tm+15℃(Tm:有機樹脂被覆の融点)の温度範囲(ただし錫の融点232℃を超えないこと)で0.5乃至3分間加熱した後冷却する。次いで開口部側をトリミング加工した後、口絞り加工により縮径し円筒形状部を形成し、続いてビード加工、ネジ加工、カール加工を行い、最後にキャップとの嵌合および密封性確保のためにカール外側にライナー材を塗布・乾燥することにより、図1に示す形状のリシール缶が作製される。
(口絞り缶の加工密着性)
プレコート鋼板の両面にワックス系潤滑剤を塗布して、プレスにより直径158mmのブランクを打ち抜き浅しぼりカップを得た。続いてこの浅しぼりカップを2回のストレッチドローアイアニング加工を行い、カップ径52mm、カップ高さ141.5mm、元板厚に対する胴部板厚最大減少率が35%の深絞りカップを得た。このカップを常法に従いボトム成形し、熱処理を行い、このカップを冷却後、開口部側をトリミング加工し、曲面印刷・焼き付け乾燥を行った。さらにこのカップの開口部側をネッキング加工により縮径し円筒形状部を設け、続いてビード加工、ネジ加工、カール加工を行い、最後にキャップとの嵌合および密封性確保のためにカール外側にライナー材を塗布・乾燥して口絞り缶を作製した。
このように製缶した缶の内外面について、ネッキング加工後のネッキング部および最終缶のカール部・ネジ部・ビード部における金属基材と有機被覆樹脂の加工密着状態を目視観察した。
(350ml缶の加工密着性)
プレコート鋼板の両面にワックス系潤滑剤を塗布して、プレスにより直径155mmのブランクを打ち抜き、浅しぼりカップを得た。続いてこの浅しぼりカップを2回のストレッチドローアイアニング加工を行い、カップ径66mm、カップ高さ128mm、元板厚に対する胴部板厚最大減少率が55%の深絞りカップを得た。このカップを常法に従いボトム成形し、熱処理を行い、このカップを冷却後、開口部側をトリミング加工し、曲面印刷・焼き付け乾燥、ネッキング加工、フランジ加工を行い、容量350mlの薄肉缶を得た。
このように製缶した缶の内外面について、ネッキング部における金属基材と有機被覆樹脂の加工密着状態を目視観察した。
尚、この350ml薄肉缶に関する実施例4は参考例である。
(缶内面フリーSn量と合金Sn量の測定)
缶内面フリーSn量および合金量の測定は蛍光X線分析装置を使用し検量線法で行った。まず缶内面の有機被覆樹脂を剥離した後、金属側の蛍光X線分析によりフリーSnと合金SnからなるトータルSn量を得た。次いで、トータルSn量測定部を0.5%炭酸ソーダ中で電解脱脂後、約40℃の5%水酸化ナトリウム中で定電圧アノード電解することによりフリーSnを除去し、合金Snのみからなる金属板を得た。この試料を蛍光X線分析することで同部位における合金Sn量を得た。フリーSn量は(トータルSn量)−(合金Sn量)として算出した。測定径はいずれも3mmφとした。
口絞り缶はネジ・カール加工部の形状が複雑であるため、これらの部分はフリーSn量および合金Sn量の測定部位としては適当ではない。このため、口絞り缶についてはネッキング加工された縮径部、すなわち胴部に対して縮径された円筒形状部(ビード・ネジ加工前の工程缶)のトリムエッジより10mm下部を測定部位とした。350g缶については最終缶のネッキング加工部を測定部位とした。
(金属露出)
口絞り缶および350ml缶の最終缶内面について、製缶後、1%塩化ナトリウム水溶液からなる電解液を缶に充填後、エナメルレータで缶と電極間に流れる電流を測定し、この電流値から金属露出の程度を評価した。
口絞り缶カール部の金属露出の評価には、口部内側にゴムキャップを嵌め、口部外側にはOリング付専用治具を嵌め、この専用治具内に上述の電解液を入れエナメルレータでカール部(外面ネジ部含む)と電極間の電流を測定した。
(実液保存試験)
口絞り缶の実液保存試験は、製缶後、コーンスープを充填しアルミニウムキャップを巻き締め、124℃で30分のレトルト処理を施した後、缶胴側壁部にデンティングを施し55℃で3ヶ月間保存した。
350ml缶の保存試験は、製缶後、コーラを充填しアルミニウム蓋を巻き締め、37℃で3ヶ月間保存した。いずれの缶種においても、保存期間終了後、内容液を除去し缶内面を水洗後に缶内面の金属基材と有機被覆樹脂との2次密着性および腐食状態を目視観察した。
(実施例1)
板厚0.240mmの冷延鋼板上に片面当たり1.0g/mの付着量のSnめっきを両面に施した後、リフロー処理を施したSnめっき鋼板にアミノ系シランカップリング剤の表面処理を施し、両面に非晶質の熱可塑性有機樹脂(イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、融点210℃)をラミネート温度220℃で被覆し有機樹脂被覆錫めっき鋼板を得た。この有機樹脂被覆錫めっき鋼板から直径158mmのブランクを打ち抜き、浅絞りカップを得た。続いてこの浅絞りカップに2回のストレッチドローアイアニング加工を施し、元板厚に対する胴部板厚最大減少率が35%である深絞りしごきカップを得た後、常法によるボトム成形を行った。続いてこの深絞りしごきカップを220℃で熱処理を行い、カップを冷却後、開口部側をトリミング加工し、曲面印刷・焼き付け乾燥を行った。このカップの開口部側をネッキング加工により縮径し円筒形状部を設け、続いてビード加工、ネジ加工、カール加工を行い缶を作製した。この缶について、製缶状態の肉眼観察、所定部におけるフリーSn量および合金Sn量の測定、実液保存試験を実施した。
(実施例2)
片面あたり1.3g/mの付着量のSnめっきを施したこと、Snめっき層上に常法の電解クロム酸による表面処理を施したこと、および有機樹脂に融点215℃のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートを用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。
(実施例3)
Snめっき後にリフロー処理を施さなかったこと以外は実施例2と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。
(実施例4)
板厚0.180mmの冷延鋼板上に片面当たり1.3g/mの付着量のSnめっきを両面に施した後、通常のリフロー処理を施したSnめっき鋼板にアミノ系シランカップリング剤の表面処理を施し、両面に非晶質の熱可塑性有機樹脂(イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、融点210℃)をラミネート温度220℃で被覆し有機樹脂被覆錫めっき鋼板を得た。この有機樹脂被覆錫めっき鋼板から直径155mmのブランクを打ち抜き、浅絞りカップを得た。続いてこの浅しぼりカップに2回のストレッチドローアイアニング加工を施し、元板厚に対する胴部板厚最大減少率が55%である深絞りしごきカップを得た後、常法によるボトム成形を行った。続いてこの深絞りしごきカップを220℃で熱処理を行い、このカップを冷却後、開口部側をトリミング加工し、曲面印刷・焼き付け乾燥を行い、ネッキング加工、フランジ加工を行い350ml缶を得た。この缶について、製缶状態の肉眼観察、所定部におけるフリーSn量の測定、実缶保存試験を実施した。
(実施例5)
片面あたり2.0g/mの付着量のSnめっきを施したこと、およびSnめっき層上に常法の電解クロム酸による表面処理を施したこと以外は実施例1と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。
(実施例6)
片面あたり2.8g/mの付着量のSnめっきを施したこと以外は実施例5と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。
(実施例7)
片面あたり3.2g/mの付着量のSnめっきを施したこと、および有機樹脂に融点212℃のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートを用いたこと以外は実施例5と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。
(実施例8)
片面あたり3.2g/mの付着量のSnめっきを施し、Snめっき後にリフロー処理を施さなかったこと、Snめっき層上の表面処理に常法の重クロム酸ソーダ中での陰極電解による表面処理を施したこと、および非晶質の熱可塑性有機樹脂に融点210℃のナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレートを用いたこと、さらには元板厚に対する胴部板厚最大減少率が45%であること以外は実施例1と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。
(実施例9)
片面あたり3.8g/mの付着量のSnめっきを施したこと、Snめっき層上に希薄硝酸Al浴中での陰極電解による表面処理を施したこと、および有機樹脂に融点220℃のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートを用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。
(比較例1)
板厚0.240mmの冷延鋼板上に常法の電解クロム酸による表面処理を施しTFSを作製し、両面に非晶質の熱可塑性有機樹脂(イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、融点210℃)を被覆し有機樹脂被覆錫なし鋼板を得た。以下、実施例1と同様にして製缶、各評価を行った。
(比較例2)
片面あたり4.1g/mの付着量のSnめっきを施したこと以外は実施例1と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。
(比較例3)
片面あたり5.6g/mの付着量のSnめっきを施したこと、およびSnめっき層上に常法の電解クロム酸による表面処理を施したこと以外は実施例1と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。
(比較例4)
片面あたり3.3g/mの付着量のSnめっきを施したこと、Snめっき後のリフロー処理については実施例1と同温度でリフロー時間を10%長くすることによりSnめっき層中の合金Sn量の割合を高くしたこと、Snめっき層上に常法の電解クロム酸による表面処理を施したこと、および有機樹脂に融点212℃のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートを用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。
(比較例5)
片面あたり7.0g/mの付着量のSnめっきを施したこと、元板厚に対する胴部板厚最大減少率が45%であること、Snめっき層上に常法の電解クロム酸による表面処理を施したこと、および有機樹脂に融点220℃のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートを用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。
(比較例6)
片面あたり0.4g/mの付着量のSnめっきを施したこと以外は実施例1と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。
(比較例7)
片面あたり0.4g/mの付着量のSnめっきを施したこと以外は実施例4と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。
(比較例8)
片面あたり3.3g/mの付着量のSnめっきを施したこと、および熱可塑性有機樹脂に融点225℃の2軸延伸された配向結晶性イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機樹脂被覆錫めっき鋼板の作製、製缶、各評価を行った。ただし、板材でのフィルム密着性不足のため加工不良缶が発生し実液保存試験は実施できなかった。
Figure 0005377817
本発明の缶体の一例を示す側面図である。

Claims (7)

  1. 表面処理が施された錫めっき量が0.7乃至4.0g/mである錫めっき鋼板の少なくとも一方の面に非晶質の熱可塑性樹脂被覆が施された有機樹脂被覆錫めっき鋼板を、元板厚に対する胴部の板厚最大減少率が20%以上になるようにストレッチドローアイアニング成形して成り、胴部に対して縮径された肩部及び該肩部から連なる円筒形状の首部から成る缶胴上部を有し且つ開口端部にカール加工が施されている缶体であって、前記缶胴上部のフリー錫量が0.1乃至1.8g/mであり且つ錫−鉄合金中の錫量が1.5g/m以下であることを特徴とする缶体。
  2. 前記ストレッチドローアイアニング成形の前に絞り成形に付されている請求項1記載の缶体。
  3. 前記円筒形状部分にネジ部が形成されている請求項1又は2記載の缶体。
  4. 前記有機樹脂被覆が錫めっき鋼板の両面に施されていると共に、ストレッチドローアイアニング成形が水系潤滑剤及び/又はクーラントを使用せずに行われる請求項1乃至3の何れかに記載の缶体。
  5. 前記表面処理が、クロム酸電解処理、重クロム酸ソーダ電解処理、シランカップリング剤処理、電解金属酸化物処理、フェノール樹脂系処理の少なくとも一つである請求項1乃至4の何れかに記載の缶体。
  6. 前記非晶質の熱可塑性有機樹脂が、225℃以下の融点を有するものである請求項1乃至5の何れかに記載の缶体。
  7. 前記非晶質の熱可塑性有機樹脂被覆が、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレートを少なくとも含む請求項1乃至6の何れかに記載の缶体。
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