JP4492103B2 - 表面処理金属材料及びその表面処理方法、並びに樹脂被覆金属材料、金属缶、缶蓋 - Google Patents

表面処理金属材料及びその表面処理方法、並びに樹脂被覆金属材料、金属缶、缶蓋 Download PDF

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本発明は、表面処理金属材料及びその表面処理方法に関し、より詳細には、ノンクロムで環境性に優れていると共に、有機樹脂被膜との密着性、接着性、耐食性、耐デント性、耐磨耗性等に優れた表面処理金属材料、及びこのような表面処理金属材料の表面処理方法、また、かかる表面処理金属材料に樹脂被覆して成る樹脂被覆金属材料及びこれから成る金属缶及び缶蓋に関する。
鋼板、亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板、亜鉛合金板、錫系めっき鋼板、アルミニウム箔、アルミニウム合金板、マグネシウム合金板等の金属材料と有機膜との密着性を向上させる処理として、また、接着剤を用いて金属材料を同種又は異種の金属材料と接合するための処理として、クロメート処理、リン酸塩処理、シランカップリング剤による処理、陽極酸化処理などが従来から知られている。
これらの処理を利用した金属材料は、家電製品や建材、車両、航空機、容器などの用途に広く利用されており、中でも、クロメート処理はその優れた耐食性と密着性から最も広く利用されてきた。
クロメート処理を処理方法から大別すると、化成型(反応型・塗布型)と電解型に分類でき、形成皮膜から大別すると、自己修復効果をより大きく利用するために最終製品中に微量の6価クロムが残存するタイプと最終製品中に6価クロムが残存しないタイプに分類できる。
最終製品中に微量の6価クロムが残存するタイプについては、廃棄時に土壌等の環境に溶出する可能性が指摘されており、ヨーロッパを中心にクロメート処理の使用を撤廃する方向に進んでいる。また、何れのタイプのクロメート処理でも処理液中には有害物質である6価クロムを含んでいることから、環境上の種々の問題を有している。すなわち、6価クロム含有処理液の排水及び排気処理等を完全に行い、外部に排出させないことが必須であり、排水及び排気処理設備、廃棄処理費用等に多額の費用が必要になる。更に排水処理スラッジの移動や排気等についても規制が強くなっていることから、従来のクロメート処理に匹敵するノンクロム系の表面処理の開発が望まれている。
金属容器用の金属材料では、当然、最終製品には6価クロムが残存しないタイプのクロメート処理が利用されており、更にその上に有機樹脂等のコーティングが行われている。例えば、錫めっき鋼板を重クロム酸ソーダの水溶液中で陰極電解したり、鋼板をフッ化物含有無水クロム酸水溶液中で陰極電解処理したり、アルミニウム合金をリン酸クロメート処理し、その上に有機樹脂がコーティングされたものが用いられている。
ノンクロム系表面処理としては、ジルコニウム、チタン、またはこれらの化合物と、リン酸塩およびフッ化物を含有し、約pH1.0〜4.0の酸性処理液を用いて、アルミニウム含有金属材料の表面上にジルコニウム及び/又はチタンの酸化物を主成分とする化成皮膜が形成したものが実際に利用されており、有機樹脂との相性によっては化成皮膜自体を無くしたものも実用されている(例えば特許文献1参照)。
近年、金属容器の衛生性や内容品のフレーバー保持性の観点から、ポリエステル樹脂を被覆したプレコート材料が広く利用されている。しかしながら、ポリエステル樹脂を利用した場合、従来広く用いられてきたエポキシフェノール系塗料やアクリルエポキシ系塗料に比較して透水性が高く、このことがプレコートであることと相俟って、クロメート処理を利用しなければ密着性や耐食性の点で内容品に制限を受ける場合があった。また、このようなポリエステル樹脂をアルミニウムに被覆したものをアルミニウム蓋材として用いた場合には、クロメート処理であっても、密着性が十分でないという問題があった。
すなわち、プレコート材料の加工製品の例である、ポリエステル樹脂を被覆した缶では、プレコート金属材料を出発材料として利用できるという利点があるが、高加工部でのポリエステル樹脂の密着性低下や缶落下などの衝撃によって生じるポリエステル樹脂からのクラック部分からの腐食、またレトルト殺菌時における密着性の低下、更にはポリエステル被膜自体に欠陥がなくても内容品の成分によっては透過イオンによる腐食の誘発等といった、缶成形後に表面処理及び塗料をポストコートしていた従来の製法とは異なる問題点を有している。
一方、缶蓋においては、従来より塗料をコイルコートして成形するプレコート材料を用いていたが、内容品のフレーバー保持性や衛生性の点から、ポリエステル樹脂を被覆したプレコート材料を利用する研究が盛んに行われている。ポリエステル樹脂を被覆したイージーオープン缶蓋では、ポリエステル樹脂との密着性低下によって、スコア開口部近傍において、樹脂と金属とが剥離するデラミネーションやそれによって誘発される開口部の樹脂の伸び、すなわちフェザリングという現象が起こりやすく、特にレトルト殺菌直後の缶蓋では、樹脂との密着性低下により開口不良が発生しやすいという問題点があった。
このような観点から、カーボンを主成分とする有機化合物とリン化合物とジルコニウムあるいはチタニウム化合物を含む有機−無機複合皮膜を形成する方法(特許文献2)や、アルミニウム基体の表面に無機物を主体とする表面処理層、その上に水性フェノール樹脂を主体とする有機表面処理層を形成する方法が提案されている(特許文献3)。また、主に蓋材としての観点から陽極酸化処理の利用が提案されている(特許文献4及び5)。
またポリアクリル酸−ジルコニウム化合物によるアルミニウム材の処理についても提案されている(特許文献6及び非特許文献1参照)。
一方、ジルコニウム酸化膜を得る方法としては、ZrOなどをPVDやCVDなどによって、形成したり、湿式法により有機ジルコニウム化合物を塗布後加熱乾燥して酸化膜を得ることも試みられている。
更にまた、ジルコニウムイオンを含む水溶液中で陰極電解することにより、グラファイトやチタン基板上に酸化ジルコニウム粉や膜を形成する研究も行われている(非特許文献2及び3及び4参照)。
特開昭52−131937号公報 特開平11−229156号公報 特開2001−121648号公報 特開平11−91034号公報 特開2002−266099号公報 特開平06−322552号公報 「軽金属」(1990)p298−p304 「Materials Research Society Symosium Proceedings」 (1988)VOL.121 p111−p114 「Journalof Electrochemical Society」(1991)VOL.138 No.7 p1939−p1942 「Journalof Electrochemical Society」(1991)VOL.138 No.7 p1942−p1946
しかしながら、カーボンを主成分とする有機化合物とリン化合物とジルコニウムあるいはチタニウム化合物を含む有機−無機複合皮膜を形成する方法では、ある程度密着性は向上するが、耐食性が十分でなく、またアルミニウム基体の表面に無機物を主体とする表面処理層、その上に水性フェノール樹脂を主体とする有機表面処理層を形成する方法では、密着性、耐食性ともにある程度向上するが、工程数が増えるとともに、薬液使用後の廃液処理が煩雑化するという問題があった。
また、陽極酸化処理を利用した方法では、一次密着性は良好であるが、内容物充填後のレトルト殺菌処理により密着性が低下するという傾向にある他、処理設備にもコストがかかる上、処理に大電力を必要とするためコスト高となる問題があった。
更に、アルミニウム箔のような基材自身の厚みが薄い場合には、陽極酸化処理時の基材の溶解や加工性の乏しい陽極酸化膜の占める割合が高くなり、箔の柔軟性を低下させるという問題があった。
ポリアクリル酸−ジルコニウム化合物によるアルミニウム材の処理では、形成される皮膜は有機−無機複合皮膜であり、処理方法も基本的に塗布型処理であるため、高速処理時の金属材料基体との濡れ性や密着性の点で問題がある。
更に、上記従来技術の多くは、用いる金属材料がアルミニウム合金に限定されるものであり、金属材料全体の課題を解決できるものではない。
一方、金属材料の表面にZrOなどをPVDやCVDなどによって、形成することも公知であるが、真空を要するために、設備にコストがかかる上、高速処理は困難であり、結果的に更にコスト高となる。また、金属材料基体と処理膜との密着性や加工後の耐食性を確保することが難しい。
同様に、湿式法により有機ジルコニウム化合物を塗布後加熱乾燥して酸化膜を得る方法においても、金属材料基体と処理膜との密着性や加工後の耐食性を確保することが難しい。
更にまた、ジルコニウムイオンを含む水溶液中で陰極電解して酸化粉や酸化膜を形成する手段として、pH2.3の0.1モル/リットル−オキシ硝酸ジルコニウム水溶液中でグラファイトやチタン基板上に連続的に陰極電解を行う方法が提案されている。この方法によると、アルミ板や亜鉛めっき鋼板あるいはスズめっき鋼板などに用いるにはpHが低く基材の溶解が生じやすい、浴濃度が高く局部的な析出が起こりやすい、ゲル状の被膜として電解析出するので、電解後水洗時に被膜が脱落しやすいばかりでなく、処理液に流れがあるとゲル状物が浴中に脱落するため、必然的に浴が攪拌される帯状金属材料の連続高速処理は困難であるなどの問題点があった。また、電解直後に指でこすると析出物のほとんど全部が脱落してしまい、基材との密着性が弱く、特性面においても、高温多湿環境下での表面状態を保持することが難しく、耐食性や密着性などの諸特性に問題があった。
従って本発明の目的は、ノンクロムの表面処理で環境性に優れていると共に、有機樹脂被膜との密着性、接着性、耐食性、耐デント性、耐傷性、耐磨耗性等の諸特性に優れた表面処理金属材料、及びこのような表面処理金属材料の表面処理方法を提供することである。
また本発明の他の目的は、水溶液からの高速処理により製造が容易で低コストの表面処理方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、上記表面処理金属材料に有機樹脂、中でも特にポリエステル樹脂を被覆して成る樹脂被覆金属材料から成る耐食性、耐デント性、耐傷性、耐磨耗性等に優れた金属缶及び開口性に優れた缶蓋を提供することである。
本発明によれば、金属表面に無機成分を主体とする表面処理層、及び該表面処理層の少なくとも片面上に有機樹脂被覆が形成されている樹脂被覆表面処理金属材料であって、前記無機表面処理層が、Zrの重量膜厚で5〜300mg/m のZrを含有し、且つリン酸イオンを含有せずFと水酸基を含むジルコニウム酸化物から成ると共に、陰極電解により形成されていることを特徴とする缶又は缶蓋用樹脂被覆表面処理金属材料が提供される。
更に、本発明によれば、金属表面に無機成分を主体とする表面処理層、及び該表面処理層の少なくとも片面上に有機樹脂被覆が形成されている樹脂被覆表面処理金属材料であって、前記無機表面処理層が、Zrの重量膜厚で5〜300mg/m のZrを含有し、且つFと水酸基を含むジルコニウム酸化物から成ると共に、前記無機表面処理層の最表面に含有されるPとZrの原子比が、0≦P/Zr<0.6であり、陰極電解により形成されていることを特徴とする缶又は缶蓋用樹脂被覆表面処理金属材料が提供される。
本発明の缶又は缶蓋用樹脂被覆表面処理金属材料においては、
1.無機表面処理層の最表面に含有されるOとZrの原子比が、1<O/Zr<10であること、
2.無機表面処理層の最表面に含有されるFとZrの原子比が、0.1<F/Zr<2.5であること、
3.表面の少なくとも一部に粒径10乃至100nmのZrを含有する微粒子が存在していること、
4.有機樹脂被覆がポリエステル樹脂から成ること、
が好ましい。
本発明によればまた、上記樹脂被覆表面処理金属材料から成る金属缶及び缶蓋が提供される。
本発明によれば更にまた、ZrとFを含有し、リン酸イオン濃度が、POとして0.003モル/リットル未満である水溶液中で陰極電解処理を断続的に実施することにより金属板表面にFと水酸基を含むジルコニウム酸化物から成る無機表面処理層を形成して無機表面処理材料を成形し、次いで該無機表面処理材料の少なくとも片面上に有機樹脂被覆を形成することを特徴とする缶又は缶蓋用樹脂被覆表面処理金属材料の製造方法が提供される。
上記製造方法によれば、無機表面処理における水溶液中に、Zrとして0.010〜0.050モル/リットルの範囲にあるZrイオンを含有すること、Fとして0.03〜0.35モル/リットルの範囲にあるFイオンを含有することが好ましい。
本発明によれば、金属の表面に、少なくともZr,O,Fを主成分とすると共に、リン酸イオンを含有しない無機表面処理層を陰極電解によって形成することにより、あるいはまた、金属表面に少なくともZr,O,Fを主成分とすると共に、最表面に含有されるPとZrの原子比が、0≦P/Zr<0.6である無機表面処理層を陰極電解によって形成することにより、高速生産性、環境保全性、耐傷性、接着性、加工性、密着性に優れた表面処理金属材料を低コストで提供することが可能であり、この表面処理金属材料に有機樹脂、中でも特にポリエステル樹脂被覆を行った金属材料から金属缶を形成することにより、高度の加工部においても、優れた密着性と耐食性とが得られ、また、この表面処理金属材料に有機樹脂、中でも特にポリエステル樹脂被覆を行った金属材料から缶蓋を形成することにより、加熱殺菌後においても優れた開口性が得られる。
本発明の表面処理金属材料及び樹脂被覆金属材料においては、特に金属缶及び缶蓋に有効に使用できるが、これ以外にも自動車、家電製品、建材等の用途にも有効に使用することができる。
本発明の表面処理金属材料においては、金属材料表面に形成された無機表面処理層が、少なくともZr,O,Fを主成分とすると共に、リン酸イオンを含有しない、あるいは、Zrに対するPの比率を極力抑制することが重要な特徴である。
従来の金属材料の表面処理方法である、化成処理や陽極酸化処理では、皮膜形成機構上、硫酸イオンやリン酸イオンが膜中に含まれやすく、化成処理では構成成分となっている。これら膜中のアニオン、特にリン酸イオンのように、イオン半径の大きいアニオンは、レトルト殺菌処理などの高温多湿下で溶出しやすいことがわかっており、処理皮膜からこのようなアニオンが溶出すると、表面処理金属材料上に設けられた樹脂被膜の密着性や接着性が低下することになる。
本発明においては、無機表面処理層のアニオン量、特にリン酸イオンまたはP/Zrを制御することにより、レトルト殺菌や高温多湿条件下での経時保管などに付された場合にも、処理皮膜中からのアニオンの溶出が有効に抑制されているため、樹脂被膜の密着性又は接着性が低下することが有効に防止されているのである。
また本発明の表面処理金属材料においては、無機表面処理層が、Zr,O,Fを主構成成分とすることにより、高温多湿環境下においても処理層の最表面の状態を保持して安定な表面を維持することが可能であり、結果として耐食性の保持、及び樹脂被膜の密着性または接着性の低下を抑制することが可能となるのである。
すなわち、無機表面処理層が、Zr,Oを主構成成分とし、Fを含まない場合には、処理膜の構造は、ZrO(OH)の様な構造になっていると予想される。
しかし、水酸基は、高温多湿環境下において、水和して処理層の構造変化を誘起し諸特性に悪影響を及ぼす可能性がある。適量のFを含む事によって、水酸基の少なくとも一部をFで置換して、ZrO(OH)Y−Zの様な安定化構造をとることにより、高温多湿環境下での処理層の構造変化を抑制し、より一層安定な表面を保持することが可能となるのである。
本発明の表面処理金属材料及びこの表面処理金属材料に有機樹脂、中でも特にポリエステル樹脂を被覆して成る樹脂被覆金属材料から作成した金属缶又は缶蓋においては、密着性及び耐食性に優れた上記樹脂被覆金属材料を利用していることから、高加工部でのポリエステル樹脂被膜の密着性や、衝撃によって生じるポリエステル樹脂被膜のクラック部分からの耐食性(耐デント性)、更にレトルト殺菌時での密着性を改善することができると共に、透過イオン量による腐食が抑制され、イージーオープン缶蓋の開口性等も改善することが可能となる。
更に、本発明の金属材料の表面処理方法においては、ZrとFを含有しリン酸イオン濃度が、POとして0.003モル/リットル未満、より好ましくはリン酸イオンを含有しない水溶液中で陰極電解処理することが重要な特徴である。
陰極電解処理によれば、従来の化成処理皮膜と比較して、単位時間あたりのZr重量膜厚の制御範囲を大幅に広げることができ、用途に応じた皮膜生成が可能となるのである。
一方、従来の化成処理においては、処理液組成による化学反応に依存していることから皮膜形成速度が限定されており、このため高速処理では膜厚が制限されるのに対して、陰極電解処理では、電解反応を利用するため、皮膜形成の高速処理が可能になるのである。また化成処理や陽極酸化処理では、皮膜形成機構上、硫酸イオンやリン酸イオンが膜中に含まれやすく、化成処理では構成成分になってしまうため、上述したようなアニオン量の制御が困難である。これに対して、陰極電解処理によれば、フッ化物の水溶液を用いるため、硫酸イオンやリン酸イオンのような大きなイオン半径を持つアニオンの量が制御された皮膜を形成することが可能になるのである。
更に、本発明の金属材料の表面処理方法においては、陰極電解処理を断続的に実施することが好ましい。すなわち、電解を連続的に行うのではなく、電解途中に停止時間を設けることにより、表面処理層のO/Zr比をコントロールし、かつ、連続電解時より析出効率を高めることができ、結果として高品質で高速な処理が可能となるのである。
(表面処理金属材料)
本発明の表面処理金属材料においては、上述した通り、表面処理金属材料の無機表面処理層が、リン酸を含有していないことが一つの重要な特徴であるが、このことは以下の解析結果から明らかである。
すなわち、図1にリン酸イオンを含有する表面処理膜の代表例であるリン酸ジルコニウム化成処理1と、本発明によるリン酸イオンを含有しないZr,O,Fを含む無機表面処理2において、X線光電子分光装置(以下、XPSという)により、P2pのピークを測定し比較した例を示した。化成処理表面1では、処理液中にリン酸を含有しているため、P2pのピークがはっきりと認められるのに対して、本発明による無機表面処理2においてはP2pのピークが認められないことは図1から明らかである。
一方、図2及び図3は、上記リン酸ジルコニウム化成処理1と本発明の無機表面処理2について表面からスパッタリングを併用した深さ方向分析を行ったO1sピークを示す図である。図2及び図3中、最表面から得られたピークが最も下に位置し、表面から離れて金属基板に近いピークほど上側に示した。図2及び図3より、最表面では、表面汚染に由来したOが存在するため、エネルギー位置からは判断できないが、深さ方向分析を行なうことにより、リン酸イオンに由来するO1sピークを持つ化成処理1のO1sピークの束縛エネルギー位置11は、本発明によるリン酸イオンを含有しないZr,O,Fを含む無機表面処理膜2のO1sピークの束縛エネルギー位置21に比較して高エネルギー側に現れている。このことから、本発明の表面処理金属材料においては、表面処理層がリン酸を含有していないことが明らかである。
更に、本発明の表面処理金属材料においては、表面処理金属材料の無機表面処理層の最表面に含有されるPとZrの原子比が、0≦P/Zr<0.6の範囲、より好ましくは0≦P/Zr<0.1の範囲にあることが重要な特徴である。P/Zrが上記範囲よりも大きい場合には、皮膜中にリン酸または、不純物成分としてのPが多く存在しており、十分な密着性が得られないからである。
また本発明の表面処理金属材料の無機表面処理層はZr、O、Fを主構成成分として含有し、特にその最表面層は、O/Zrの値が原子比で1〜10の範囲、特に1〜5の範囲にあることが望ましい。O/Zrが上記範囲よりも小さい場合には、皮膜作成が困難であり、一方O/Zrが上記範囲よりも大きい場合には、十分な密着性が得られないからである。
更に、本発明の表面処理金属材料においては、表面処理金属材料の無機表面処理層の最表面に含有されるF/Zrの値が原子比で0.1〜2.5の範囲、特に0.5〜2.0の範囲にあることが望ましい。F/Zrが上記範囲より小さい場合には、前述したZrO(OH)Y−Zのような安定化構造をとれずに、高温多湿環境下での密着性が低下しやすく、一方F/Zrが上記範囲よりも大きい場合にも、イオン半径が小さいとはいえ、Zrに対するアニオン量が過多となり、やはり密着性が低下する。
P/Zr,O/ZrおよびF/Zrの原子比の測定方法としては、XPSにより、P2p,O1s,F1s,Zr3dのピークをそれぞれ測定し、解析ソフトにより原子濃度を求めた値から求めることができる。測定に用いる表面処理金属材料の状態としては、清浄な状態であれば、そのまま表面を解析する。有機樹脂が接着や融着された後であれば煮沸した過酸化水素水などに数分間浸漬してまず有機樹脂層を除去する必要がある。
清浄でないサンプルや前述の有機樹脂被覆層を除去後のサンプルは、有機物由来によるC層をC,O,F,Zr,基材金属元素などの主要元素の和を100%とした時に対して、Cが原子濃度で10%以下となるまでArスパッタリングにより汚染層を軽く除去した時点でのP/Zr,O/ZrおよびF/Zr比を求めることができる。また、定法により、P,O,FおよびZrの各元素についてバックグランド除去後のピーク面積を求めてから、測定装置の相対感度係数を用いて各元素の原子濃度を求め、P/Zr,O/ZrおよびF/Zr比を計算により求めてもよい。
図4にZr3dピーク3の例を示す。バックグランドの基準線4とピーク3に囲まれる範囲がピーク面積5となる。尚、当然ではあるが、バックグランドの引き方によって、原子比が変動するので、バックグランドの引き方には注意が必要である。
また、P2pのピークは、Al2sのプラズモンロスピークと混同しやすいので、注意が必要である。特に、深さ方向にスパッタリングするにつれて、P2pと考えられるピークがAl2sピークとともに単調に増加するような場合には、表面皮膜単離後特性X線分析するなど他の方法でP元素の存在を確認する必要がある。
また、膜厚としては、Zrの重量膜厚で、5〜300mg/mの間にあることが好ましく、5mg/m未満では皮膜の均一な生成が困難であり被覆率が充分でなく、300mg/mを越えると、加工により密着性が低下するので好ましくない。
Zr膜厚の測定方法としては、市販の蛍光X線分析装置により定量する。まず、Zr重量膜厚既知の複数のサンプルからZr膜厚とZrのX線強度の関係を示す検量線を作成し、ついで、未知試料を用いて測定したZrのX線強度を、検量線に基づき重量膜厚に換算する。
また本発明の表面処理金属材料においては、被処理材となる金属材料基体がアルミニウム合金またはアルミニウム被覆鋼板など傷付きやすい金属からなる場合には、表面に粒径10〜100nmの微粒子を析出させ、金属材料表面を被覆することができる。これは、Zrを主体とする酸化物微粒子と考えられ、特殊な前処理を行うことなく、陰極電解によってアルミ表面を改質し、耐傷性や耐摩耗性などを改善する効果が得られる。
図5乃至図7は、本発明の表面処理金属材料の一例をそれぞれ示す断面図である。図5に示す表面処理金属材料31は、金属材料基体32、基体表面に設けられた、Zr,O,Fを主構成成分とする無機表面処理層33を有している。図6の例では、無機表面処理層33の中に粒径10nm〜100nmのZrを含有する微粒子34が存在している。
図7に示す表面処理金属材料31は、Zr,O,Fを主構成成分とする無機表面処理層33を有している点は図5と同じであるが、金属材料基体32が金属材料32aと金属メッキ層32bにより構成されている。基体32の大部分を占める金属材料32aに被覆される金属メッキ層32bは、後述するように、金属材料32aの耐食性を高める役割を持つものが使用される。
(金属材料基体)
本発明に用いる金属材料基体としては、各種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属材料などが使用される。表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍した後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメッキ、アルミニウムメッキ等の表面処理の一種または二種以上行ったものを用いることができ、他にアルミニウムクラッド鋼板なども用いることができる。金属材料基体の表面側にメッキまたはクラッドなどにより形成される金属は、中心側に位置する金属の耐食性や耐摩耗性、通電性などの様々な性質を改善する目的で付けられているが、一般的には、耐食性を改善する目的で付与されている場合がほとんどである。また、軽金属材料としては、いわゆる純アルミニウムの他にアルミニウム合金が使用される。金属材料の元厚は、特に限定はなく、金属の種類、容器の用途或いはサイズによっても相違するが、金属板としては一般に0.10乃至0.50mmの厚みを有するのがよく、この中でも表面処理鋼板の場合には0.10乃至0.30mmの厚み、軽金属板の場合は0.15乃至0.40mmの厚みを有するのがよい。
(表面処理方法)
本発明の金属材料の表面処理方法においては、ZrとFを含有しリン酸イオン濃度が、POとして0.003モル/リットル未満、より好ましくはリン酸を含有しない水溶液中で陰極電解処理することが重要な特徴である。
前述した通り、陰極電解処理によれば、従来の化成処理皮膜と比較して、単位時間あたりのZr重量膜厚の制御範囲を大幅に広げることができ、用途に応じた皮膜生成が可能となる。
また、本発明の表面処理方法においては、陰極電解処理を断続的に実施すること、すなわち電解途中に停止時間を設けて、攪拌した水溶液中で通電と停止のサイクルを複数回繰り返して電解を行う断続電解を行うことが好ましい。図8は、通電時間と停止時間の総和であるトータル電解時間とZr重量膜厚の関係を示すものであり、図8から明らかなように、連続的に陰極電解を行った場合よりも断続的に陰極電解を行った場合のほうが、Zr重量膜厚の形成速度が速いことが理解される。
これは、連続的に電解していると陰極近傍で濃度分極を生じ、析出が阻害されるのに対し、断続的に電解することにより、電解停止の間に攪拌効果により、陰極近傍へZr,O,OH,Fなどのイオンが供給されると共に、陰極に生成したルーズな膜、すなわち、O/Zr比の大きい膜を取り去り、結果としてZr重量膜厚の形成速度が速く、かつ、より高品質な膜を提供することになる。
通電と停止のサイクルは、これに限定されるものではないが、通電時間が0.1乃至0.8秒、停止時間が0.3乃至1.5秒の範囲で、2乃至10サイクル行うことが好ましい。
本発明の表面処理方法に用いる水溶液は、浴濃度が、Zrとして0.010〜0.050モル/リットル、特に0.015〜0.035モル/リットルの範囲にあることが好ましい。陰極電解処理では、表面に緻密な酸化膜が形成されている金属板への処理は局所的な電解集中が生じることから均一な皮膜形成が困難であり、特殊な前処理が必要とされることが多いが、本発明においては、特殊な前処理を行うことなく、できるだけ均一な表面処理膜を生成するために、低濃度浴で電解処理を行うこととしている。すなわち、上記範囲よりも浴濃度が高いと、核生成が局所的に生じ、その部分に電解が優先的に集中するため、結果的に不均一な皮膜が形成され、一方上記範囲よりも浴濃度が低い場合には、浴の電気伝導度が低く、処理に要する電力上昇を招くので好ましくない。
表面処理に用いる水溶液は、pH3.0〜8.0、より好ましくはpH3.5〜6.5の水溶液であることが好ましく、処理液に用いるZr薬剤としてはフッ化ジルコニウムカリウムKZrFやフッ化ジルコニウムアンモニウム(NHZrF、炭酸ジルコニウムアンモニウム溶液(NHZrO(COなどを用いることができる。また、ジルコニウムイオンとフッ素イオンを別々の薬剤より供給することもでき、Zr薬剤としてオキシ硝酸ジルコニウムZrO(NO、オキシ酢酸ジルコニウムZrO(CHCOO)など、F薬剤としてフッ化ナトリウムNaF、フッ化カリウムKF、フッ化アンモニウムNHFなどを用いることができる。
浴中のFイオンの浴濃度としては、Fとして、0.03モル/リットル〜0.35モル/リットルの範囲にある事が好ましい。上記範囲よりもフッ素イオン濃度が低いと、陰極である金属表面上にゲル状物質が生成し、連続生産時のハンドリング性を阻害するとともに、特性面でも高温多湿環境下で経時的に不安定な表面となるので好ましくなく、上記範囲よりも浴濃度が高いと析出効率を阻害する傾向があるとともに、浴中に沈殿物を生じやすいので好ましくない。
更に、表面処理に用いる水溶液には必要に応じて硝酸イオン、過酸化物、および錯化剤を添加してもよい。硝酸イオンは、長期にわたって電解する際に、析出状態の安定性を保つ効果があり、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウムなどをイオン源として用いる事ができる。過酸化物は、水溶液中で酸素を発生し、陰極表面近傍の濃度分極を抑制する効果があり、浴の攪拌が乏しい時に特に有用である。過酸化物としては、例えば、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソホウ酸ナトリウム、ペルオキソ炭酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウムなどを用いる事ができる。さらに、錯化剤は、浴中に沈殿物が生成するのを抑える働きがあり、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリシンなどを用いる事ができる。硝酸イオン、過酸化物、および錯化剤の添加濃度は、高濃度すぎると析出効率を阻害する傾向があり、硝酸イオン、過酸化物、錯化剤のそれぞれの濃度は0.2モル/リットル以下である事が好ましい。
金属材料基体の前処理としては、定法により、脱脂、水洗、必要に応じて、酸洗、水洗を行い、表面を清浄化し、上記水溶液を30〜65℃の温度において、攪拌しながら、電流密度が0.5〜100A/dmで、通電と停止のサイクルを繰り返す断続電解方式により、トータル電解時間が0.3〜20秒間陰極電解し、最後に水洗することにより、好適な表面構造を得ることができる。
陽極側に相当する対極板には、酸化イリジウム被覆したチタン板が好適に用いられる。対極板の条件としては、電解中に対極材料が処理液中に溶解せず、酸素過電圧の小さい不溶性陽極であることが望ましい。
(樹脂被覆金属材料)
本発明の樹脂被覆金属材料は、上記表面処理金属材料の少なくとも片面に有機樹脂、中でも特にポリエステル樹脂から成る層を被覆して成るものであり、上述した表面処理金属材料を用いることから、樹脂被覆の密着性及び接着性に優れており、このため優れた耐食性、耐デント性を有している。
本発明の樹脂被覆金属材料の一例の断面図を示す図9において、この樹脂被覆金属材料41は、容器としたときの内面側(図において右側)で見て、金属材料基体42、基体表面に設けられた、Zr,O,Fを主構成成分とする表面処理層43、及びその上に設けられたポリエステル樹脂被覆層44の多層構造を有している。図9の例では、容器としたときの外面側(図において左側)において、前記無機表面処理層3を介して外面樹脂保護層45を備えているが、外面樹脂保護層45は、前記ポリエステル樹脂被覆層44と同一のポリエステル樹脂であっても、或いはこれと異なるポリエステル樹脂からなっていてもよく、また異なる樹脂からなっていてもよい。
また、樹脂被覆金属材料の他の例を示す図10において、この樹脂被覆金属材料41は、Zr、O、Fを主構成成分とする表面処理層43、基体42の容器内面となる側に施されたポリエステル樹脂層44及び外面となる側に施された外面樹脂保護層45を備えている点では、図9のものと同様であるが、基体2が金属材料42aと金属メッキ層42bにより構成されており、更に、ポリエステル樹脂層44がポリエステル樹脂表層44aとポリエステル樹脂下層4bとの積層構造となっている。基体42の大部分を占める金属材料42aに被覆される金属メッキ層42bは、金属材料42aの耐食性を高める役割を持つものが使用されることは既に述べたとおりである。また、ポリエステル樹脂下層44bとしては金属基体との接着性に優れたものが使用され、一方ポリエステル樹脂表層44aとしては耐内容物性に優れたものが使用されることは既に述べたとおりである。
(有機樹脂被覆層)
本発明の樹脂被覆金属材料において、金属材料上に設ける有機樹脂としては、特に限定はなく、各種熱可塑性樹脂や熱硬化性乃至熱可塑性樹脂を挙げることができる。
有機樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリルエステル共重合体、アイオノンマー等のオレフィン系樹脂フィルム、またはポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、もしくはナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムの未延伸または二軸延伸したものであってもよい。積層の際に接着剤を用いる場合は、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性オレフィン樹脂系接着剤、コポリアミド系接着剤、コポリエステル系接着剤(厚さ:0.1〜5.0μm)等が好ましく用いられる。さらに熱硬化性塗料を、厚み0.05〜2μmの範囲で表面処理金属板側、あるいはフィルム側に塗布し、これを接着剤としてもよい。
さらに有機樹脂としては、フェノールエポキシ、アミノ−エポキシ等の変性エポキシ塗料、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エポキシ変性−、エポキシアミノ変性−、エポキシフェノール変性−ビニル塗料または変性ビニル塗料、アクリル塗料、スチレン−ブタジェン系共重合体等の合成ゴム系塗料等の熱可塑性または熱硬化性塗料の単独または2種以上の組合わせであってもよい。
これらの中でも、容器用素材としてポリエステル樹脂が最も好適に用いられる。ポリエステル樹脂としては、エチレングリコールやブチレングリコールを主体とするアルコール成分と、芳香族二塩基酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の酸成分とから誘導される熱可塑性ポリエステルが挙げられる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートそのものも勿論使用可能であるが、フィルムの到達し得る最高結晶化度を下げることが耐衝撃性や加工性の点で望ましく、この目的のためにポリエステル中にエチレンテレフタレート以外の共重合エステル単位を導入するのがよい。エチレンテレフタレート単位或いはブチレンテレフタレート単位を主体とし、他のエステル単位の少量を含む融点が210乃至252℃の共重合ポリエステルを用いることが特に好ましい。尚、ホモポリエチレンテレフタレートの融点は一般に255〜265℃である。
一般に共重合ポリエステル中の二塩基酸成分の70モル%以上、特に75モル%以上がテレフタル酸成分から成り、ジオール成分の70モル%以上、特に75モル%以上がエチレングリコールまたはブチレングリコールから成り、二塩基酸成分の1乃至30モル%、特に5乃至25モル%がテレフタル酸以外の二塩基酸成分から成ることが好ましい。
テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸:シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸:コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸:の1種又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコールまたはブチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられる。勿論、これらのコモノマーの組合せは、共重合ポリエステルの融点を前記範囲とするのが好ましい。
また、このポリエステルは、成形時の溶融流動特性を改善するために、三官能以上の多塩基酸及び多価アルコールから成る群より選択された少なくとも1種の分岐乃至架橋成分を含有することができる。これらの分岐乃至架橋成分は、3.0モル%以下、好適には0.05乃至3.0モル%の範囲にあるのがよい。
三官能以上の多塩基酸及び多価アルコールとしては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ヘミメリット酸、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸等の多塩基酸や、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、1,1,4,4−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等の多価アルコールが挙げられる。
本発明の樹脂被覆金属材料において、製缶用または製蓋用素材に利用できる特に好適なポリエステル樹脂として、イソフタル酸成分を5乃至25モル%含有するポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、シクロヘキサンジメタノール成分を1乃至10モル%含有するポリエチレン/シクロへキシレンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。
ホモポリエステル或いは共重合ポリエステルは、フィルム形成範囲の分子量を有するべきであり、溶媒として、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定した固有粘度〔η〕は0.5乃至1.5、特に0.6乃至1.5の範囲にあるのがよい。
本発明に用いるポリエステル樹脂層は、上述したポリエステル或いはコポリエステル単独から形成されていても、或いはポリエステル或いはコポリエステルの2種以上のブレンド物、或いはポリエステル或いはコポリエステルと他の熱可塑性樹脂とのブレンド物から形成されていてもよい。ポリエステル或いはコポリエステルの2種以上のブレンド物としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレン/シクロへキシレンジメチレンテレフタレートの2種以上の組合せなどが挙げられるが、勿論この例に限定されない。
ポリエステル中に配合できる他の熱可塑性樹脂としては、エチレン系重合体、熱可塑性エラストマー、ポリアリレート、ポリカーボネート等を挙げることができる。これらの改質樹脂成分の少なくとも1種を更に含有させ、耐高温湿熱性や耐衝撃性を更に向上させることができる。この改質樹脂成分は、一般にポリエステル100重量部当たり50重量部迄の量、特に好適には5乃至35重量部の量で用いるのが望ましい。
エチレン系重合体として、例えば低−、中−或いは高−密度のポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの内でも、アイオノマーが好適なものであり、アイオノマーのベースポリマーとしては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、イオン種としては、Na、K、Zn等のものが使用される。熱可塑性エラストマーとしては、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が使用される。
ポリアリレートは、二価フェノールと二塩基酸とから誘導されたポリエステルとして定義され、二価フェノールとしては、ビスフェノール類として、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、4−ヒドロキシフェニルエーテル、p−(4−ヒドロキシ)フェノール等が使用されるが、ビスフェノールA及びビスフェノールBが好適である。二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,2−(4−カルボキシフェニル)プロパン、4, 4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4, 4’−ジカルボキシベンゾフェノン等が使用される。ポリアリレートは、上記単量体成分から誘導されたホモ重合体でもよく、また共重合体でもよい。
また、その本質を損なわない範囲で、脂肪族グリコールと二塩基酸とから誘導されたエステル単位との共重合体であってもよい。これらのポリアリレートは、ユニチカ社のUポリマーのUシリーズ或いはAXシリーズ、UCC社のArdelD−100、Bayer社のAPE、Hoechst社のDurel、DuPont社のArylon、鐘淵化学社のNAP樹脂等として入手できる。
ポリカーボネートは、二環二価フェノール類とホスゲンとから誘導される炭酸エステル樹脂であり、高いガラス転移点と耐熱性とを有することが特徴である。ポリカーボネートとしては、ビスフェノール類、例えば、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等から誘導されたポリカーボネートが好適である。
本発明に用いるポリエステル樹脂層は、単層の樹脂層であってもよく、また同時押出などによる多層の樹脂層であってもよい。多層のポリエステル樹脂層を用いると、下地層、即ち表面処理金属材料側に接着性に優れた組成のポリエステル樹脂を選択し、表層に耐内容物性、即ち耐抽出性やフレーバー成分の非吸着性に優れた組成のポリエステル樹脂を選択できるので有利である。
多層ポリエステル樹脂層の例を示すと、表層/下層として表示して、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン・シクロへキシレンジメチレン・テレフタレート、イソフタレート含有量の少ないポリエチレンテレフタレート・イソフタレート/イソフタレート含有量の多いポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート/[ポリエチレンテレフタレート・イソフタレートとポリブチレンテレフタレート・アジペートとのブレンド物]等であるが、勿論上記の例に限定されない。表層:下層の厚み比は、5:95乃至95:5の範囲にあるのが望ましい。
上記ポリエステル樹脂層には、それ自体公知の樹脂用配合剤、例えば非晶質シリカ等のアンチブロッキング剤、無機フィラー、各種帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を公知の処方に従って配合することができる。
中でも、トコフェロール(ビタミンE)を用いることが好ましい。トコフェロールは、従来より酸化防止剤としてポリエステル樹脂の熱処理時における減成による分子量低下を防止して耐デント性を向上させるものであることが知られているが、特にポリエステル樹脂に前述したエチレン系重合体を改質樹脂成分として配合したポリエステル組成物にこのトコフェロールを配合すると、耐デント性のみならず、レトルト殺菌やホットベンダー等の過酷な条件に付され皮膜にクラックが生じたような場合でも、クラックから腐食が進むことが防止され、耐食性が著しく向上するという効果を得ることができる。
トコフェロールは、0.05乃至3重量%、特に0.1乃至2重量%の量で配合することが好ましい。
本発明において、有機樹脂層の厚みは、一般に3乃至50μm、特に5乃至40μmの範囲にあることが望ましい。即ち、厚みが上記範囲を下回ると、耐腐食性が不十分となり、厚みが上記範囲を上回ると加工性の点で問題を生じやすい。
(樹脂被覆金属材料の製造)
本発明において、表面処理金属材料へのポリエステル被覆層の形成は任意の手段で行うことができ、例えば、押出コート法、キャストフィルム熱接着法、二軸延伸フィルム熱接着法等により行うことができる。押出コート法の場合、表面処理金属材料の上にポリエステル樹脂を溶融状態で押出コートして、熱接着させることにより製造することができる。即ち、ポリエステル樹脂を押出機で溶融混練した後、T−ダイから薄膜状に押し出し、押し出された溶融樹脂膜を表面処理金属材料と共に一対のラミネートロール間に通して冷却下に押圧一体化させ、次いで急冷する。多層のポリエステル樹脂層を押出コートする場合には、表層樹脂用の押出機及び下層樹脂用の押出機を使用し、各押出機からの樹脂流を多重多層ダイ内で合流させ、以後は単層樹脂の場合と同様に押出コートを行えばよい。また、一対のラミネートロール間に垂直に表面処理金属材料を通し、その両側に溶融樹脂ウエッブを供給することにより、前記基体両面にポリエステル樹脂の被覆層を形成させることができる。
樹脂被覆金属材料の押出コート法による製造は具体的には次のように行われる。表面処理金属材料(以下単に金属材料とも呼ぶことがある)を必要により加熱装置により予備加熱し、一対のラミネートロール間のニップ位置に供給する。一方、ポリエステル樹脂は、押出機のダイヘッドを通して薄膜の形に押し出し、ラミネートロールと金属材料との間に供給され、ラミネートロールにより金属材料に圧着される。ラミネートロールは、一定の温度に保持されており、金属材料にポリエステル等の熱可塑性樹脂から成る薄膜を圧着して両者を熱接着させると共に両側から冷却して樹脂被覆金属材料を得る。一般に、形成される樹脂被覆金属材料を更に冷却用水槽等に導いて、熱結晶化を防止するため、急冷を行う。
この押出コート法では、樹脂組成の選択とロールや冷却槽による急冷とにより、ポリエステル樹脂層は、結晶化度が低いレベル、非晶密度との差が0.05g/cm以下に抑制されているため、ついで行う製缶加工や蓋加工等に対する十分な加工性が保証される。勿論、急冷操作は上記例に限定されるものではなく、形成される樹脂被覆金属材料に冷却水を噴霧して、ラミネート板を急冷することもできる。
金属材料に対するポリエステル樹脂の熱接着は、溶融樹脂層が有する熱量と、金属材料が有する熱量とにより行われる。金属材料の加熱温度(T)は、一般に90℃乃至290℃、特に100℃乃至280℃の温度が適当であり、一方ラミネートロールの温度は10℃乃至150℃の範囲が適当である。
また、本発明の樹脂被覆金属材料は、T−ダイ法やインフレーション製膜法で予め製膜されたポリエステル樹脂フィルムを金属材料に熱接着させることによっても製造することができる。フィルムとしては、押し出したフィルムを急冷した、キャスト成形法による未延伸フィルムを用いることもでき、また、このフィルムを延伸温度で、逐次或いは同時二軸延伸し、延伸後のフィルムを熱固定することにより製造された二軸延伸フィルムを用いることもできる。
本発明においては、上記層構成以外にも種々の構成を採用することができ、表面処理金属材料とポリエステル層の間に、従来公知の接着用プライマーを設けることも可能である。この接着プライマーは、金属素材とフィルムとの両方に優れた接着性を示すものである。密着性と耐腐食性とに優れたプライマー塗料としては、種々のフェノールとホルムアルデヒドから誘導されるレゾール型フェノールアルデヒド樹脂と、ビスフェノール型エポキシ樹脂とから成るフェノールエポキシ系塗料であり、特にフェノール樹脂とエポキシ樹脂を50:50乃至1:99の重量比、特に40:60乃至5:95の重量比で含有する塗料である。接着プライマー層は一般に0.01乃至10μmの厚みに設けるのがよい。接着プライマー層は予め金属素材上に設けてもよく、或いはポリエステルフィルムに設けてもよい。
(金属缶及びその製法)
本発明の金属缶は、前述した樹脂被覆金属材料から形成されている限り、任意の製缶法によるものでよい。この金属缶は、側面継ぎ目を有するスリーピース缶であることもできるが、一般にシームレス缶(ツーピース缶)であることが好ましい。このシームレス缶は、表面処理金属材料のポリエステル樹脂の被覆面が缶内面側となるように、絞り・再しぼり加工、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし・しごき加工或いは絞り・しごき加工等の従来公知の手段に付すことによって製造される。
本発明の金属缶の一例であるシームレス缶を示す図11において、このシームレス缶51は、前述した樹脂被覆金属材料の絞り・しごき成形で形成されており、底部52と胴部53とを備えている。底部52と胴部53とは継ぎ目なしに接続されている。底部52は、その中心部において、用いた樹脂被覆金属材料と実質上同一の厚み構成を有しているが、胴部53の少なくとも一部は元板厚の30%〜70%まで薄肉化加工されている。胴部53の上部には、一段或いは多段のネック部54を介して、缶蓋との巻締用のフランジ部15が形成されている。
このシームレス缶の製造は、既に述べたとおり、絞り加工としごき加工とにより行われるが、この方法としては、絞り加工としごき加工とは、ワンストロークで同時に行ってもよいし、また別のストロークで別に行ってもよい。
例えば、シームレス缶の好適な製造法では、樹脂被覆金属材料を円形にせん断し、これを絞りダイスと絞りポンチの組み合わせを用いて、絞り加工により浅絞りカップを作り、ついで同一金型中で絞りながらしごきを行う同時絞りしごき加工を複数回繰り返して径が小さくハイトの大きいカップに成形する。この成形法では、薄肉化のための変形が、缶軸方向(高さ方向)の荷重による変形(曲げ伸ばし)と缶厚み方向の荷重による変形(しごき)との組み合わせでしかもこの順序に行われ、これにより、缶軸方向への分子配向が有効に付与されるという利点がある。その後、ドーミング成形、加工により生じる被覆樹脂の残留歪みの除去を目的とした熱処理、続いて開口端部のトリミング加工、曲面印刷、ネックイン加工、フランジ加工を行って缶を作成する。
勿論、本発明の金属缶の製造には、公知の製缶法を適用することができ、例えば特開平4−231120号公報に記載された絞り・しごき成形法や、特開平9−253772号公報に記載された同時絞り・しごき成形法を適用することができる。
(缶蓋及びその製法)
本発明の缶蓋は、上述した樹脂被覆金属材料から形成されている限り、従来公知の任意の製蓋法によるものでよい。一般には、ステイ・オン・タブタイプのイージーオープン缶蓋やフルオープンタイプのイージーオープン缶蓋に適用することができる。
本発明のイージーオープン缶蓋の上面を示す図12及び断面を拡大して示す図13において、この蓋60は、前述した樹脂被覆金属材料から形成されており、缶胴側面内面に嵌合されるべき環状リム部(カウンターシンク)61を介して外周側に密封用溝62を備えており、この環状リム部61の内側には開口すべき部分63を区画する全周にわたり形成されたスコア64が設けられている。この開口すべき部分63の内部には、大略中央部を押入して形成した略半円状の凹部パネル65と凹部パネル65の周囲に蓋材を突出させて形成したディンプル66と蓋材を缶蓋外面側に突出させて形成したリベット67とが形成され、開口用タブ68がこのリベット67のリベット打ちにより固定されている。開口用タブ68は、一端に押し裂きによる開口用先端69及び他端に保持用リング70を有している。リベット67の近傍において、スコア64と反対側には、スコア64とは不連続に並設された破断開始用スコア71が形成されている。
開口に際しては、開口用タブ68のリング70を保持して、これを上方に持上げる。これにより破断開始用スコア71が破断されて、開口用タブ68の開口用先端69が比較的大きく下方に押込まれ、スコア64の一部が剪断開始される。
次いで、リング70を上方に引張ることにより、スコア64の残留部が全周にわたり破断されて開口が容易に行われる。
上記具体例の蓋は、いわゆるフルオープンタイプであるが、勿論、ステイ・オン・タブタイプのイージーオープン蓋にも適用可能である。
イージーオープン缶蓋の好適な製造方法では、樹脂被覆金属材料をプレス成形工程で円形に打抜くと共に蓋の形にし、密封用溝へのコンパウンドのライニング及び乾燥によるライニング工程を経て、スコア刻設工程で蓋の外面側から金属素材の途中に達するようにスコアの刻設を行い、ついでリベット形成、リベットにタブを取付け後、リベットを鋲打することによるタブ取付けを行い、イージーオープン缶蓋を作成する。イージーオープン缶蓋の適当な例は、例えば特開2000−128168号公報に記載されている。
次に実施例と比較例とを示して本発明を具体的に説明し、効果を明らかにする。
金属容器は、表面処理金属材料又は樹脂被覆金属材料の加工性、耐食性の点で最も厳しい環境下におかれているので、実施例は金属缶および缶蓋で示すが、もちろん、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
ジルコニウムイオンおよびフッ素イオンの濃度がそれぞれ、ZrおよびFとして表1に示すモル濃度で、リン酸イオンを含有しない水溶液となるよう調整し、処理浴とした。但し、ジルコニウム薬剤として、処理浴A,B,C,Eにはフッ化ジルコニウムカリウム、処理浴Dにはフッ化ジルコニウムアンモニウム、処理浴F,Gにはオキシ硝酸ジルコニウムを用いた。また、処理浴A,Fには所定の濃度となるようフッ化ナトリウムを添加して調整した。
Figure 0004492103
[ポリエステルフィルムの作製]
2台の押出機から2層Tダイを介して表2に示す組成のエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂を溶融押出し後、冷却ロールにて冷却して得られたフィルムを巻き取り、表3に示す構成のキャストフィルムa,b,c,d,eを得た。
Figure 0004492103
Figure 0004492103
[表面原子比の測定]
表面処理後の金属材料をX線光電子分光装置(XPS)により下記条件で、P2p,O1s,F1s,Zr3dのピークをそれぞれ測定し、解析ソフトにより求めた原子濃度からP/Zr,O/Zr,F/Zrの原子比を計算により求めた。
装 置 PHI社製 Quantum 2000
励起X線源 Alモノクロメーター75W−17kV
測定径 φ100μm
光電子取り出し角 90°(試料の法線に対し0°)
解析ソフト;MultiPak
[接着性評価]
表面処理金属材料を5mm幅で80mm長さに短冊状に切断し、表3のcに示すキャストフィルムを5mm幅で80mm長さに短冊状に切段した。得られた2枚の表面処理短冊切片間に上記ポリエステルフィルム切片を挟み、2.0kg/cmの圧力下で250℃3秒間加熱してTピール試験片とした。その後、110℃60分間のレトルト処理を行い、終了後すぐに水中に浸漬し、引張試験機による測定直前に水中から引き上げて、引張速度10mm/分で接着強度を測定した。
(実施例1)
1.表面処理金属板の作成
金属板として厚み0.25mmのJIS5021H18アルミ合金板を用い、脱脂剤322N8(日本ペイント社製)を用いて、定法により、70℃の浴中で10秒間処理し、水洗後、40℃の1%硫酸中に5秒間浸漬し、水洗、純水洗し、前処理を行った。ついで、浴温45℃の表1のAに示す処理浴中で、攪拌を行いながら、極間距離30mmの位置に配置した酸化イリジウム被覆チタン板を陽極として、電流密度10A/dmで、0.4秒通電−0.6秒停止を4回繰り返して断続的に陰極電解を行い、その後すぐに、流水による水洗、純水洗、乾燥の後処理を行って表面処理アルミニウム板を得た。
2.樹脂被覆金属板の作成
得られた表面処理金属板を用いて、以下の方法で製蓋用の樹脂被覆金属板を作成した。
まず、予め板温度250℃に加熱しておいた表面処理金属板の蓋内面側となる片面上に、表3のbのキャストフィルムの下層側が接するようにラミネートロールを介して熱圧着後、直ちに水冷することにより、片面にフィルムをラミネートとした。
次に、蓋外面側となる、金属板のもう一方の片面にエポキシアクリル系塗料をロールコートにより塗装し、185℃10分間加熱の焼付け処理を行った。
3.表面処理金属板の評価
得られた表面処理金属板の一部は、Zr膜厚測定、表面原子比測定の測定、接着性評価に供した。結果を表4に示した。
表中、接着性の評価は、引張試験機により試験片を10mm以上剥離した後の最大引張強度が、0.6kg/5mm以上のものを◎、0.3kg/5mm以上0.6kg/5mm未満のものを○、0.3kg/5mm未満のものを×とした。
4.缶蓋の開口性評価
得られた樹脂被覆金属板を用いて、定法により301径のフルオープン缶蓋を作製後、アルミ製の絞り−しごき加工による350gシームレス缶胴に水を充填して巻締めた後、110℃60分のレトルト殺菌処理を行い、冷却後直ちに開口してスコア部周辺開口部の樹脂剥離状態を観察し、缶蓋の開口性評価を行った。結果を表4に示した。
表中、缶蓋の開口性評価は、開口部周辺のフェザリングを観察し、フェザリングが0.5mm未満で樹脂の剥離がないものを○、フェザリングが0.5mm以上のものを×とした。
(実施例2)
処理浴として表1のBに示す浴を用いて電流密度を3A/dmとした以外は、実施例1と同様に、表面処理、樹脂被覆、製蓋および評価を行った。
(実施例3)
処理浴として表1のBに示す浴を用いて電流密度を5A/dmとした以外は、実施例1と同様に、表面処理、樹脂被覆、製蓋および評価を行った。
(実施例4)
処理浴として表1のCに示す浴を用いた以外は、実施例1と同様に、表面処理、樹脂被覆、製蓋および評価を行った。
(実施例5)
処理浴として表1のDに示す浴を用いた以外は、実施例1と同様に、表面処理、樹脂被覆、製蓋および評価を行った。
(実施例6)
処理浴として表1のEに示す浴を用いて電解時間を0.4秒間の連続電解1回のみとした以外は、実施例1と同様に、表面処理、樹脂被覆、製蓋および評価を行った。
(実施例7)
処理浴として表1のBに示す浴にリン酸二水素カリウムを0.001モル/リットル添加し、0.6秒通電−0.4秒停止を4回繰り返して陰極電解した以外は実施例1と同様に、表面処理、樹脂被覆、製蓋および評価を行った。
(実施例8)
処理浴として表1のBに示す浴にリン酸二水素カリウムを0.002モル/リットル添加し、0.6秒通電−0.4秒停止を8回繰り返して陰極電解した以外は実施例1と同様に、表面処理、樹脂被覆、製蓋および評価を行った。
(実施例9)
処理浴として表1のFに示す浴を用いて陰極電解した以外は実施例1と同様に、表面処理、樹脂被覆、製蓋および評価を行った。
(比較例1)
実施例1で用いた脱脂水洗後の金属板を、市販のジルコニウム系化成処理液(アロジン404、日本パーカライジング社製)を用いて定法により浴を作製し、液温40℃で15秒間スプレー処理し、その後すぐに、水洗、純水洗、乾燥の後処理を行い、表面処理アルミニウム板を得た以外は実施例1と同様に、樹脂被覆、製蓋および評価を行った。
(比較例2)
スプレー処理時間を18秒間とした以外は、比較例1と同様に、表面処理、樹脂被覆、製蓋および評価を行った。
(比較例3)
処理浴として表1のBに示す浴にリン酸二水素カリウムを0.005モル/リットル添加し、0.6秒通電−0.4秒停止を4回繰り返して陰極電解した以外は実施例1と同様に表面処理、樹脂被覆、製蓋および評価を行った。
(比較例4)
処理浴として表1のGに示す浴をアンモニアでpH2.3に調整し、攪拌せずに陰極電解した以外は実施例1と同様に表面処理を行った。得られた皮膜を流水で洗浄すると皮膜が脱落するため、電解後は、溜まり水に静かに浸した後、乾燥した。樹脂被覆、製蓋および評価についても実施例1と同様に行った。
(比較例5)
攪拌しながら陰極電解した以外は比較例4と同様に表面処理を行った。得られた皮膜を流水で洗浄すると皮膜が脱落するため、電解後は、溜まり水に静かに浸した後、乾燥した。樹脂被覆、製蓋および評価についても比較例4と同様に行った。
(比較例6)
処理浴として表1のGに示す浴を用いた。pH調整せずに陰極電解した以外は比較例4と同様に表面処理を行った。浴のpHは1.53であった。得られた皮膜を流水で洗浄すると皮膜が脱落するため、電解後は、溜まり水に静かに浸した後、乾燥した。樹脂被覆、製蓋および評価についても比較例4と同様に行った。
(比較例7)
攪拌しながら陰極電解した以外は比較例6と同様に表面処理を行った。得られた皮膜を流水で洗浄すると皮膜が脱落するため、電解後は、溜まり水に静かに浸した後、乾燥した。樹脂被覆、製蓋および評価についても比較例4と同様に行った。
(実施例10)
1.表面処理金属板の作成
金属板として厚み0.26mmのJIS3004H19アルミ合金板を用いた以外は、実施例1と同様に表面処理を行った。
2.樹脂被覆金属板の作成
得られた表面処理金属板を、予め板温度250℃に加熱しておき、缶蓋内面側となる金属板の片面上に表3のbのキャストフィルムの下層側が、缶外面側となるもう一方の片面上に表3のaのキャストフィルムが、接して被覆されるように、ラミネートロールを介して熱圧着後、直ちに水冷することにより、樹脂被覆金属板を得た。
3.金属缶の作成
得られた樹脂被覆金属板の両面に、パラフィンワックスを両面に静電塗油後、直径154mmの円形に打抜き、定法に従い浅絞りカップを作成した。ついでこの絞りカップを同時絞りしごき加工を2回繰り返して径が小さくハイトの大きいカップに成形した。この様にして得られたカップの諸特性は以下の通りであった。
カップ径 66mm、
カップ高さ 128mm、
元板厚に対する缶壁部の厚み −60%
このカップはドーミング成形後、樹脂フィルムの歪みをとるために220℃で60秒間熱処理を行い、続いて開口端端部のトリミング加工、曲面印刷、206径へネックイン加工、フランジ加工を行って350gシームレス缶を作成した。
4.表面処理金属板の評価
得られた表面処理金属板の一部は、実施例1と同様に、Zr膜厚測定、表面原子比測定の測定、接着性評価に供し、結果を表4に示した。
5.金属缶のレトルト密着性評価
フランジ加工後の缶の開口端より5mm下部に缶内面側の全周に亘って素地に達する傷を入れ、空缶の状態で125℃の熱水蒸気中に30分間保持し、缶内面側傷周辺部の被覆樹脂の剥離程度を観察し、レトルト密着性を評価した。結果を表4に示した。
表中、金属缶のレトルト密着性評価は、20缶中一部でも剥離した缶が全くない時を○、20缶中一部でも剥離した金属缶がある場合を×とした。
6.金属缶の耐食性評価
25℃での缶内圧が3.5kg/cmとなるように炭酸水をパックした金属缶を37℃で1週間貯蔵後、缶温を5℃に下げた後、金属缶を正立の状態から、水平方向に対し15°傾斜した厚さ10mmの鋼板上に、50cmの高さから落下させボトムラジアス部を変形させた。その後、ボトムラジアス部を含む缶底部を円周方向に切り出し、0.1%塩化ナトリウム水溶液に50℃で2週間経時後のボトムラジアス変形部周辺の腐食状態を観察し、耐食性を評価した。
結果を表4に示した。表中、金属缶の耐食性評価は、ボトムラジアスの変形部周辺を実体顕微鏡観察し、腐食が認められない場合を○、少しでも腐食している場合を×とした。
(実施例11)
処理浴として表1のBに示す浴を用いて電流密度を5A/dmとした以外は、実施例10と同様に表面処理、樹脂被覆、製缶および評価を行った。
(実施例12)
処理浴として表1のCに示す浴を用いた以外は、実施例10と同様に表面処理、樹脂被覆、製缶および評価を行った。
(比較例8)
金属板として厚み0.26mmのJIS3004H19アルミ合金板を用いた以外は、比較例1と同様に表面処理を行った。樹脂被覆、製缶および評価については実施例10と同様に行った。
(比較例9)
スプレー処理時間を18秒間とした以外は、比較例8と同様に表面処理、樹脂被覆、製缶および評価を行った。
Figure 0004492103
(実施例13)
1.表面処理金属板の作成
金属板として厚み0.22mm、調質度DR8の冷延鋼板を電解脱脂、酸洗、水洗、純水洗し、前処理を行った。ついで、電流密度2.4A/dmとした以外は、実施例1と同様に、表1のAの処理浴中で陰極電解処理を行って、表面処理金属板を得た。
2.樹脂被覆金属板の作成
得られた表面処理金属板を予め板温度250℃に加熱しておき、内面側となる片面上に表3のbのキャストフィルムの下層側が接して被覆され、外面側となるもう一方の片面上に表3のdのキャストフィルムが被覆されるように、ラミネートロールを介して熱圧着後、直ちに水冷することにより、樹脂被覆金属板を得た。
3.缶胴および缶蓋の作成
得られた樹脂被覆金属板に加工用潤滑剤を塗油後、再絞り加工(絞り比2.5)を行い、内径65.3mmの缶胴を作成した。続いて、樹脂フィルムの歪みをとるために220℃で60秒間熱処理を行い、開口端端部のトリミング加工、フランジ加工を行って、高さ101.1mm深絞り缶を作成した。一方、得られた樹脂被覆金属板の一部を用いて、定法により、211径のフルオープン蓋に成形した。
4.内容品充填試験
このようにして作成した缶胴および缶蓋を用いて、缶胴にミートソースを充填後、フルオープン蓋を2重巻締めし、120℃30分のレトルト殺菌処理を行った。
5.表面処理金属板の評価
得られた表面処理金属板の一部は、実施例1と同様に、Zr膜厚測定、表面原子比の測定に供し、結果を表5に示した。
6.容器評価
容器成形後の有機被膜の状態を調べ、剥離、穴あき等の以上がないかを観察した。また、内容物充填後、37℃で6ヶ月貯蔵後開缶し、容器内面側の腐食や有機被膜の浮きなどが発生していないかを調べ、結果を表5に示した。
(実施例14)
1.表面処理金属板の作成
金属板として厚み0.17mm、調質度DR8の冷延鋼板を、電解脱脂、酸洗、水洗、純水洗し、前処理を行い、片面あたりニッケルを0.3g/mにめっきした後、片面あたりスズを0.6g/mにめっきし、リフロー処理を行って、ニッケル−スズ−鉄の合金層を形成した。続いて、実施例13と同様に、表1のAの処理浴中で陰極電解処理を行って表面処理金属板を得た。
2.樹脂被覆金属板の作成
得られた表面処理金属板を、エポキシアクリル系水性塗料を用い、焼付け後の塗膜厚みが10μmになるように両面にロールコートし、200℃10分間の焼付け処理を行うことにより、樹脂被覆金属板を得た。
3.缶胴および缶蓋の作成
得られた樹脂被覆金属板に加工用潤滑剤を塗油後、絞り加工(絞り比1.3)を行い、内径83.3mmの缶胴を作成した。続いて、開口端端部のトリミング加工、フランジ加工を行って、高さ45.5mmの絞り缶を作成した。一方、得られた樹脂被覆金属板の一部を用いて、定法により、307径のフルオープン蓋に成形した。
4.内容品充填試験
このようにして作成した缶胴および缶蓋を用いて、缶胴にツナ油漬けを充填後、フルオープン蓋を2重巻締めし、115℃60分のレトルト殺菌処理を行った。
5.表面処理金属板の評価
実施例13と同様に、Zr膜厚測定、表面原子比の測定を実施した。
6.容器評価
開缶後硫化変色の有無を調べた以外は、実施例13と同様に容器評価を実施した。
(実施例15)
1.表面処理金属板の作成
金属板として厚み0.22mm、調質度T4の冷延鋼板を、電解脱脂、酸洗、水洗、純水洗し、前処理を行い、片面あたりスズを2.0g/mにめっき後、リフロー処理を行い、続いて、電流密度を1.0A/dmとした以外は実施例13と同様に、表1のAの処理浴中で陰極電解処理を行って、缶胴用表面処理金属板を得た。
一方、0.21mmの調質度T4の冷延鋼板についても、上記と同様に処理し、缶蓋用表面処理金属板を得た。
2.樹脂被覆金属板、缶胴および缶蓋の作成
缶胴用表面処理金属板を用いて、エポキシアクリル系水性塗料を缶胴の継目部分にあたる場所を除いて、焼付け後の膜厚が内面側5μm、外面側3μmになるようにマージン塗装し、200℃の熱風乾燥炉中で10分間焼付け硬化させて樹脂被覆金属板を得た。
作成した樹脂被覆金属板をブランク状に切断し、そのブランクを線電極を用いた市販の電気抵抗溶接機にて円筒状にて溶接し、次に、缶胴の溶接継ぎ目部の内外面側に溶剤型エポキシユリア系補修塗料を乾燥塗膜厚みが40μmになるようにスプレー塗装した後250℃の熱風乾燥炉中で3分間焼付け、継ぎ目部分を被覆して溶接缶胴(缶径65.4mm、缶胴高さ122mm)を作成した。
一方、缶蓋用表面処理金属板に、エポキシアクリル系水性塗料を、焼付け後の塗膜厚みが10μmになるように両面にロールコートし、200℃10分間の焼付け処理を行った後、定法により、209径のシェル蓋に成形した。
缶胴の一方の開口端を、フランジ加工、ネックイン加工し、前記209径の蓋を巻締めた後、もう一方の開口端をトリプルネックイン、フランジ加工した。
3.内容品充填試験
50℃でコーヒー飲料を充填した後、市販の206径アルミSOT蓋を2重巻締めし、125℃25分のレトルト殺菌処理を行った。
4.表面処理金属板の評価
実施例13と同様に、Zr膜厚測定、表面原子比の測定を実施した。
5.容器評価
開缶後の鉄溶出量も測定した以外は、実施例13と同様に容器評価を実施した。
(実施例16)
1.表面処理金属板の作成
金属板として厚み0.22mm、調質度T4の冷延鋼板を、電解脱脂、酸洗、水洗、純水洗し、前処理を行い、片面あたりニッケルを0.03g/mにめっきした後、片面あたりスズを1.3g/mにめっき後、リフロー処理を行い、続いて、実施例15と同様に、表1のAの処理浴中で陰極電解処理を行って缶胴用表面処理金属板を得た。
一方、0.21mmの調質度T4の冷延鋼板についても、上記と同様に処理し、缶蓋用表面処理金属板を得た。
2.樹脂被覆金属板、缶胴および缶蓋の作成
缶胴用表面処理金属板を用いて、エポキシフェノール溶剤型塗料を缶胴の継目部分にあたる場所を除いて、焼付け後の膜厚が内面側5μm、外面側3μmになるようにマージン塗装し、200℃の熱風乾燥炉中で10分間焼付け硬化させて樹脂被覆金属板を得た。
作成した樹脂被覆金属板をブランク状に切断し、そのブランクを線電極を用いた市販の電気抵抗溶接機にて円筒状にて溶接し、次に、缶胴の溶接継ぎ目部の内外面側に溶剤型エポキシユリア系補修塗料を乾燥塗膜厚みが40μmになるようにスプレー塗装した後250℃の熱風乾燥炉中で3分間焼付け、継ぎ目部分を被覆して溶接缶胴(缶径65.4mm、缶胴高さ122mm)を作成した。
一方、缶蓋用表面処理金属板に、エポキシフェノール溶剤型塗料を、焼付け後の塗膜厚みが10μmになるように両面にロールコートし、200℃10分間の焼付け処理を行った後、定法により、209径のシェル蓋に成形した。
缶胴の一方の開口端を、フランジ加工、ネックイン加工し、前記209径の蓋を巻締めた後、もう一方の開口端をトリプルネックイン、フランジ加工した。
3.内容品充填試験
93℃でオレンジジュースをホットパックした後、206径アルミSOT蓋を2重巻締めて密封した。
4.表面処理金属板の評価
実施例13と同様に、Zr膜厚測定、表面原子比の測定を実施した。
5.容器評価
実施例15と同様に容器評価を実施した。
(実施例17)
1.表面処理金属板の作成
金属板として厚み0.195mm、調質度T3の冷延鋼板を、電解脱脂、酸洗、水洗、純水洗し、前処理を行い、片面あたりスズを1.0g/mにめっきした後、続いて、実施例15と同様に、表1のAの処理浴中で陰極電解処理を行って、缶胴用表面処理金属板を得た。
一方、金属板として厚み0.285mmのJIS5182H19アルミ合金板を用いた以外は、実施例1と同様に前処理および陰極電解処理を行って缶蓋用表面処理金属板を得た。
2.樹脂被覆金属板の作成
得られた缶胴用および缶蓋用表面処理金属板を予め板温度250℃に加熱しておき、片面上に表3のeのキャストフィルムの下層側が接して被覆され、外面側となるもう一方の片面上に表3のdのキャストフィルムが被覆されるように、ラミネートロールを介して熱圧着後、直ちに水冷することにより、樹脂被覆金属板を得た。
3.缶胴および缶蓋の作成
缶胴用樹脂被覆金属板の両面にパラフィンワックスを静電塗油後、直径140mmの円形に打抜き、定法に従い浅絞りカップを作成した。ついでこの絞りカップを再絞り・しごき加工を2回繰り返して径が小さくハイトの大きい、絞りーしごきカップを得た。この様にして得られたカップの諸特性は以下の通りであった。
カップ径 52mm、
カップ高さ 138mm、
元板厚に対する缶壁部の厚み −50%
このカップはドーミング成形後、樹脂フィルムの歪みをとるために220℃で60秒間熱処理を行い、続いて開口端端部のトリミング加工、曲面印刷、200径へネックイン加工、フランジ加工を行って250gシームレス缶を作成した。
また、缶蓋用樹脂被覆金属板から定法に従い、200径のSOT蓋を作成した。
4.内容品充填試験
前記250g缶に5℃でコーラをコールドパックし、直ちに、前記SOT蓋を2重巻締めして密封した。
5.表面処理金属板の評価
実施例13と同様に、Zr膜厚測定、表面原子比の測定を実施した。
6.容器評価
実施例15と同様に容器評価を実施した。
(実施例18)
1.表面処理金属板および樹脂被覆金属板の作成
缶胴用金属板として厚み0.28mmのJIS3004H19アルミ合金板を、缶蓋用金属板として厚み0.25mmのJIS5182H19アルミ合金板を用いて、両面に表3のaのキャストフィルムを被覆した以外は、実施例1と同様にして、前処理、表面処理、樹脂被覆を行った。
得られた缶胴用樹脂被覆金属板の両面に、パラフィンワックスを両面に静電塗油後、直径166mmの円形に打抜き、定法に従い、浅絞りカップを作成した。次いで、この浅絞りカップを、再絞り−しごき加工を行い、絞り−しごき加工により缶体を得た。この様にして得られた缶体の諸特性は以下の通りであった。
缶体径 66mm、
缶体高さ 128mm、
元板厚に対する缶壁部の厚み −63%
この缶体を、定法に従い、ドーミング成形後、樹脂フィルムの歪みをとるために220℃で60秒間熱処理を行い、続いて開口端端部のトリミング加工、曲面印刷、206径へネックイン加工、フランジ加工を行って350gシームレス缶を作成した。
一方、缶蓋用樹脂被覆金属板から定法に従い、206径のSOT蓋を作成した。
2.内容品充填試験
前記350g缶に5℃でビールをコールドパック後、前記SOT蓋を2重巻締めして密封した。
3.表面処理金属板の評価
実施例13と同様に、Zr膜厚測定、表面原子比の測定を実施した。
4.容器評価
開缶後のアルミ溶出量も測定した以外は、実施例13と同様に容器評価を実施した。
Figure 0004492103
本発明の表面処理金属材料とリン酸ジルコニウム化成処理による表面処理金属材料について、XPSによりP2pのピークを測定した図である。 リン酸ジルコニウム化成処理による表面処理金属材料について、スパッタリングを併用した深さ方向分析を行ったO1sピークを示す図である。 本発明の表面処理金属材料について、スパッタリングを併用した深さ方向分析を行ったO1sピークを示す図である。 本発明の表面処理金属材料について、Zr3dピークを示す図である。 本発明の表面処理金属材料の一例を示す断面図である。 本発明の表面処理金属材料の他の一例を示す断面図である。 本発明の表面処理金属材料の他の一例を示す断面図である。 トータル電解時間とZr重量膜厚の関係を示す図である。 本発明の樹脂被覆金属材料の一例を示す図である。 本発明の樹脂被覆金属材料の他の一例を示す図である。 本発明の金属缶の一例であるシームレス缶の側面図である。 本発明の缶蓋の一例であるイージーオープン缶蓋の平面図である。 図12のX−X線断面の拡大図である。

Claims (10)

  1. 金属表面に無機成分を主体とする表面処理層、及び該表面処理層の少なくとも片面上に有機樹脂被覆が形成されている樹脂被覆表面処理金属材料であって、前記無機表面処理層が、Zrの重量膜厚で5〜300mg/m のZrを含有し、且つリン酸イオンを含有せずFと水酸基を含むジルコニウム酸化物から成ると共に、陰極電解により形成されていることを特徴とする缶又は缶蓋用樹脂被覆表面処理金属材料。
  2. 金属表面に無機成分を主体とする表面処理層、及び該表面処理層の少なくとも片面上に有機樹脂被覆が形成されている樹脂被覆表面処理金属材料であって、前記無機表面処理層が、Zrの重量膜厚で5〜300mg/m のZrを含有し、且つFと水酸基を含むジルコニウム酸化物から成ると共に、前記無機表面処理層の最表面に含有されるPとZrの原子比が、0≦P/Zr<0.6であり、陰極電解により形成されていることを特徴とする缶又は缶蓋用樹脂被覆表面処理金属材料。
  3. 前記無機表面処理層の最表面に含有されるOとZrの原子比が、1<O/Zr<10である請求項1又は2記載の缶又は缶蓋用樹脂被覆表面処理金属材料。
  4. 前記無機表面処理層の最表面に含有されるFとZrの原子比が、0.1<F/Zr<2.5である請求項1乃至3の何れかに記載の缶又は缶蓋用樹脂被覆表面処理金属材料。
  5. 表面の少なくとも一部に粒径10乃至100nmのZrを含有する微粒子が存在している請求項1乃至の何れかに記載の缶又は缶蓋用樹脂被覆表面処理金属材料。
  6. 前記有機樹脂被覆がポリエステル樹脂から成る請求項1乃至の何れかに記載の缶又は缶蓋用樹脂被覆樹脂被覆金属材料。
  7. 請求項1乃至の何れかに記載の樹脂被覆金属材料から成ることを特徴とする金属缶。
  8. 請求項1乃至の何れかに記載の樹脂被覆金属材料から成ることを特徴とする缶蓋。
  9. ZrとFを含有し、リン酸イオン濃度が、POとして0.003モル/リットル未満である水溶液中で陰極電解処理を断続的に実施することにより金属板表面にFと水酸基を含むジルコニウム酸化物から成る無機表面処理層を形成して無機表面処理材料を成形し、次いで該無機表面処理材料の少なくとも片面上に有機樹脂被覆を形成することを特徴とする缶又は缶蓋用樹脂被覆表面処理金属材料の製造方法
  10. 前記無機表面処理における水溶液の浴濃度が、Zrとして0.010〜0.050モル/リットル、Fとして0.03〜0.35モル/リットルの範囲にある請求項記載の缶又は缶蓋用樹脂被覆表面処理金属材料の製造方法
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