JP3427655B2 - 缶用有機被覆鋼板およびその製造方法 - Google Patents

缶用有機被覆鋼板およびその製造方法

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JP3427655B2
JP3427655B2 JP617997A JP617997A JP3427655B2 JP 3427655 B2 JP3427655 B2 JP 3427655B2 JP 617997 A JP617997 A JP 617997A JP 617997 A JP617997 A JP 617997A JP 3427655 B2 JP3427655 B2 JP 3427655B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性、製缶加工
性および密着性に優れた有機被覆鋼板、並びに、生産性
に優れ、簡易な設備で製造可能な経済性に優れた前記有
機被覆鋼板の製造方法を提供するものである。本発明の
有機被覆鋼板は、特に缶用鋼板として好適である。
【0002】
【従来の技術】従来、製缶工程では、ぶりき、電解クロ
ム酸処理鋼板やアルミニウムなどの金属板に1回以上の
塗装および焼付けが行われてきた。塗装・焼付け工程
は、大規模な設備が必要で、さらに有機溶剤の大気中へ
の飛散、焼付け時の二酸化炭素の放出、熱エネルギーの
多量の消費などが生じ、環境、衛生面で将来問題になる
と考えられる。
【0003】このため、製缶工程から、塗装・焼付け工
程を省く方向で様々な検討が行われてきた。なかでも、
ポリエステルフィルムなどの熱可塑性樹脂を金属板に積
層した鋼板を用いて製缶する方法が、得られる製品の性
能面やコスト面から最も有力な手段と考えられる。
【0004】上記した方法として、例えばフィルムラミ
ネート鋼板として、共重合ポリエステル樹脂フィルムを
金属板に積層した鋼板(特公昭57−23584 号公報)、熱
融着法でポリエステルフィルムを金属板に積層する方法
(特公昭60−47103 号公報)、接着剤を塗布したポリエ
ステルフィルムを積層してなる鋼板(特公昭63−13829
号公報)、押出ラミネート法でポリエステル樹脂を金属
板に積層する方法(特開平5−42650 号公報)などが挙
げられる。
【0005】さらに、ラミネート金属板よりなる缶とし
ては、缶外面が錫めっきで缶内面がポリエステルフィル
ムラミネート鋼板からなる絞り−しごき缶(特公平3−
33506 号公報)、熱可塑性樹脂被覆鋼板からなる薄肉化
深絞り缶(特開平2−263523号公報)、ポリエステルフ
ィルムラミネート鋼板よりなる溶接缶(特開平5−3225
6 号公報)などが挙げられる。
【0006】しかしながら、上記のラミネート鋼板およ
び缶は、耐食性、製缶加工性、密着性の点で充分でな
く、より一層の改善が望まれている。耐食性、密着性を
向上させる方法として、接着剤を塗布したポリエステル
フィルムを鋼板に積層する方法が提案されている(特公
昭63−13829 号公報)。しかし、接着剤を塗布したポリ
エステルフィルムを鋼板に積層する方法は下記の問題点
が残されている。
【0007】:塗布した接着剤を乾燥・硬化する工程
が必要で、溶剤の放出などから環境面で問題がある。 :乾燥・硬化工程で生産速度が大幅に低下する。 :乾燥・硬化時の熱でフィルムが収縮・変形したり、
フィルムが結晶化し製缶加工性が低下する。
【0008】:架橋度のコントロールが微妙で、硬化
が不足あるいは過度であると充分な密着性が得られな
い。 :ラミネートしただけでは鋼板と接着剤との密着性が
不充分で、ラミネート後に熱処理などの硬化工程が必要
である。また、接着剤を塗布した鋼板に樹脂フィルムを
積層する場合も、同様に環境面、設備コストの面、生産
速度の面での問題を有し、さらに、架橋度の微妙なコン
トロールが必要である。
【0009】一方、溶剤を用いないホットメルト型の接
着剤を使用した例が、特公平3−76830 号公報に開示さ
れている。しかし、ホットメルト型の接着剤を使用した
場合は、硬化型の接着剤よりも鋼板との密着力が弱く、
また押出機やホットメルトバスなどの塗工設備が必要で
ある。
【0010】また、有機皮膜の形成の別の手段として電
解重合法がある。電解重合法はモノマーから出発し、電
解によって重合と皮膜形成を同時におこなって、被処理
材に有機皮膜を形成させるものである。電解重合法は、
主にコンデンサやエレクトロニクス材料分野で近年急速
に用いられるようになった(特公平3−65008 号公報、
特公平3−61314 号公報、特公平4−7521号公報)。
【0011】しかし、この場合、要求される皮膜の特性
はおもに導電性であり、被処理材の耐食性、密着性への
寄与については全く検討されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術の問題点を解決し、耐食性、有機皮膜の密着性、
樹脂フィルムなど有機樹脂の密着性および製缶加工性に
優れ、経済性にも優れた缶用鋼板、およびその製造方
法、並びに当該缶用鋼板を用いた缶・容器を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、電解クロ
ム酸処理鋼板の表面に電解重合により有機皮膜を形成せ
しめることにより、耐食性、密着性および製缶加工性に
優れた有機被覆鋼板が得られることを見い出した。
【0014】本発明によれば、接着剤塗布法よりも優れ
た耐食性、密着性が発現し、さらに、クロムめっきの予
備タンクや後処理設備を利用すれば、新たな建設費用を
かけることなく有機被覆鋼板が製造でき、めっきライン
だけで製品ができる(コイルアップできる)ため、生産
性も高く、経済性に優れた操業が可能となる。すなわ
ち、第1の発明は、電解クロム酸処理鋼板の片面あるい
は両面に、電解重合により形成された有機皮膜を有する
ことを特徴とする缶用有機被覆鋼板である。
【0015】第2の発明は、電解クロム酸処理鋼板の片
面あるいは両面に、電解重合により形成された有機皮膜
と、さらに該有機皮膜の上に形成された有機樹脂層とを
有することを特徴とする缶用有機被覆鋼板である。第3
の発明は、前記第2の発明における前記有機樹脂層の膜
厚が3〜50μmであることを特徴とする缶用有機被覆鋼
板である。
【0016】第4の発明は、前記第2の発明または第3
の発明における前記有機樹脂層の樹脂がポリエステルで
あることを特徴とする缶用有機被覆鋼板である。第5の
発明は、前記第2の発明または第3の発明における前記
有機樹脂層がポリエステルフィルムの熱融着法により形
成された有機樹脂層であることを特徴とする缶用有機被
覆鋼板である。
【0017】第6の発明は、前記第1の発明〜第5の発
明のいずれかの発明における前記電解クロム酸処理鋼板
の金属クロムの付着量が20〜 200mg/m2 、クロム水和酸
化物の付着量がクロムとして3〜50mg/m2 であることを
特徴とする缶用有機被覆鋼板である。第7の発明は、前
記第1の発明〜第6の発明のいずれかの発明における前
記電解重合により形成された有機皮膜の付着量が0.01〜
20g/m2であることを特徴とする缶用有機被覆鋼板であ
る。
【0018】第8の発明は、前記第1の発明〜第7の発
明のいずれかの発明における前記電解重合により形成さ
れた有機皮膜がビニルピリジン、アクリル酸、メタクリ
ル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ア
クリロニトリル、スチレン、クロトン酸、アセトニトリ
ル、アクロレイン、スチレンスルホン酸ソーダ、ピロー
ル、チオフェン、アズレン、フェノール、アニリン、ベ
ンゼン、アセチレンおよびこれらの誘導体からなる群よ
り選ばれる少なくとも1種の重合体であることを特徴と
する缶用有機被覆鋼板である。
【0019】第9の発明は、鋼板に電解クロム酸処理を
施した後、得られた鋼板を有機モノマーを含有する電解
液中で電解し、当該鋼板の表面に電解重合有機皮膜を形
成させることを特徴とする缶用有機被覆鋼板の製造方法
である。第10の発明は、鋼板に電解クロム酸処理を施し
た後、逆電解処理を施し、得られた鋼板を有機モノマー
を含有する電解液中で電解し、当該鋼板の表面に電解重
合有機皮膜を形成させることを特徴とする缶用有機被覆
鋼板の製造方法である。
【0020】第11の発明は、前記第9の発明または第10
の発明において、前記有機モノマーが、ビニルピリジ
ン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、
メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、
クロトン酸、アセトニトリル、アクロレイン、スチレン
スルホン酸ソーダ、ピロール、チオフェン、アズレン、
フェノール、アニリン、ベンゼン、アセチレンおよびこ
れらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種で
あることを特徴とする缶用有機被覆鋼板の製造方法であ
る。
【0021】第12の発明は、前記第1の発明〜第8の発
明のいずれかの発明の缶用有機被覆鋼板を成形、加工し
て得られた缶・容器であることを特徴とする缶・容器で
ある。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明者らは、前記従来技術の問題点を解決すべ
く鋭意検討を行った結果本発明に至った。本発明の缶用
有機被覆鋼板は、電解クロム酸処理鋼板を基材とし、そ
の表面に電解重合により形成された有機皮膜を有するこ
とを特徴とする。
【0023】本発明において基材として用いる電解クロ
ム酸処理鋼板は、電解重合で形成される有機皮膜との密
着性が優れており、さらに耐食性や安全性(:耐ピンホ
ール性)の面でも信頼性が高く、経済性の面でも優れて
いる。本発明に使用される電解クロム酸処理鋼板は、金
属クロムの付着量が鋼板単位被覆面積当たり7〜 200mg
/m2 、クロム水和酸化物の付着量がクロムとして鋼板単
位被覆面積当たり3〜50mg/m2 であることが好ましい。
【0024】金属クロムの付着量が20mg/m2 未満の場
合、耐食性および電解重合により形成した有機皮膜と鋼
板との密着性が不充分である。また、クロム水和酸化物
の付着量がクロムとして3mg/m2未満の場合も同様に、
耐食性および電解重合により形成した有機皮膜と鋼板と
の密着性が不充分である。
【0025】逆に、金属クロムの付着量が 200mg/m2
えの場合は、色調の低下が著しく、有機皮膜との密着
性、耐食性の向上効果も飽和し、製造時のライン速度の
低下や電流密度の著しい増加が必要となり、生産性およ
び経済性の観点から好ましくない。また、得られた有機
被覆鋼板の製缶加工性や溶接性が低下する。
【0026】また、クロム水和酸化物の付着量がクロム
として50mg/m2 超えの場合も同様に、色調、溶接性の低
下や製造時のライン速度低下の問題から好ましくない。
耐食性、有機皮膜との密着性、色調のいずれもが格段と
優れ、製造が容易で、生産性が高く、経済性に優れた範
囲として、金属クロムの付着量が50〜 150mg/m 2 、クロ
ム水和酸化物の付着量がクロムとして3〜50mg/m2 の範
囲が、より好ましい。
【0027】本発明に使用される電解クロム酸処理鋼板
の製造方法は特に限定されないが、無水クロム酸、クロ
ム酸塩、重クロム酸塩などを含有する6価のクロムを主
体とする水溶液中で陰極電解を施して得ることができ
る。この場合の条件としては、下記条件であることが、
より好ましい。 〔浴組成、浴温、電流密度〕 Cr6+含有量: 5〜 300g/L 浴温 : 10〜 90℃ 電流密度 : 1〜 300A/dm2 また、電解クロム酸処理鋼板の製造方法は1液法、2液
法のいずれの方法を用いても良い。
【0028】また、例えば特公昭60-41157号公報等の方
法で逆電解処理を施した電解クロム酸処理鋼板や、めっ
き助剤としてケイフッ化ナトリウム、フッ酸などのフッ
素化合物を用いて得られる電解クロム酸処理鋼板が、レ
トルト処理後の有機皮膜の密着性の点から好ましい。逆
電解処理(陽極処理)の条件としては、下記条件である
ことが、より好ましい。
【0029】 〔電流密度、電気量、浴温〕 電流密度: 1 〜 300A/dm2 電気量 : 0.1〜 100C/dm2 浴温 : 10 〜 80℃ 共析可溶性成分を除去もしくは減少させるために、電解
クロム酸処理後に高温水での洗浄や電解洗浄を施しても
良い。
【0030】また、金属クロムの突起を有する電解クロ
ム酸処理鋼板を使用しても良い。本発明の基材である電
解クロム酸処理鋼板の素地鋼板としては、缶重量や缶強
度の点から、板厚が0.10〜0.50mmの冷延鋼板を用いるこ
とが好ましい。次に、本発明における電解重合により形
成する有機皮膜について説明する。電解重合により形成
された有機皮膜の付着量は、鋼板単位被覆面積当たり0.
01〜20g/m2であることが好ましい。
【0031】付着量が0.01g/m2未満の場合、得られる有
機被覆鋼板の耐食性、有機皮膜の密着性が不充分で、逆
に20g/m2超えの場合、付着量増加による耐食性向上への
寄与効果が小さくなり、製造面では高電流密度化、ライ
ン速度の低下や薬液使用量の増加が必要となり、生産性
および経済性の面で好ましくない。また、逆に20g/m2
えの場合は製缶加工時に電解重合で形成された有機皮膜
にクラックが発生し、加工性およびレトルト処理後の密
着性が低下する。
【0032】本発明の缶用有機被覆鋼板は、電解重合に
より形成された有機皮膜(以下電解重合有機皮膜とも記
す)の上層として、さらに有機樹脂層を有することが、
より好ましい。電解重合有機皮膜の上層として後述の有
機樹脂層を形成する場合は、電解重合有機皮膜の付着量
が0.01〜10g/m2の範囲であることが、得られる有機被覆
鋼板の加工性、有機樹脂の密着性、経済性の面から好ま
しい。
【0033】また、電解重合有機皮膜の表面に有機樹脂
層を形成しないで使用する場合は、電解重合有機皮膜の
付着量が 0.1〜15g/m2の範囲であることが、耐食性、経
済性の面から好ましい。本発明に係わる電解重合有機皮
膜層は、電解クロム酸処理層と結合し、優れた耐食性、
加工時、レトルト処理時の密着性を有し、缶用鋼板など
に適する。
【0034】さらに、本発明に係わる電解重合有機皮膜
層は、その上層として、さらに有機樹脂層を被覆した場
合、電解重合有機皮膜層と有機樹脂層との密着性が良好
であるため、有機樹脂層、特にフィルムラミネート処理
を行う缶用鋼板の下地として好適である。電解重合によ
り形成された有機皮膜は、ビニルピリジン、アクリル
酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル、アクリロニトリル、スチレン、クロトン酸、
アセトニトリル、アクロレイン、スチレンスルホン酸ソ
ーダ、ピロール、チオフェン、アズレン、フェノール、
アニリン、ベンゼン、アセチレンおよびこれらの誘導体
からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体である
ことが好ましい。
【0035】本発明に係わる缶用有機被覆鋼板の製造方
法においては、鋼板に電解クロム酸処理を施した後、得
られた鋼板を有機モノマーを含有する電解液中で電解
し,当該鋼板の表面に電解重合有機皮膜を形成させる。
この場合の有機モノマーとしては、上記した有機モノマ
ー(以下モノマーと記す)からなる群より選ばれる少な
くとも1種を用いることが好ましい。
【0036】また、電解クロム酸処理を施した後、逆電
解処理を施し、得られた鋼板を有機モノマーを含有する
電解液中で電解し、当該鋼板の表面に電解重合有機皮膜
を形成させることが、より好ましい。また、前述のよう
に、電解クロム酸処理後に高温洗浄や電解洗浄を施した
後、モノマーを含有する電解液中で電解重合法により有
機皮膜を形成してもよい。
【0037】電解液中のモノマーの濃度は特に制限され
ないが、 0.1〜5mol/L の範囲が電解効率の点から好ま
しい。また、電解液はモノマーと溶媒とから構成され
る。溶媒は特に制限されないが、水、アルコール、エー
テル、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、塩化メチ
レンなどが挙げられ、安全性や経済性の面から水が最適
である。
【0038】モノマーが溶解しない場合は、溶媒である
水にアルコールを添加しても良い。また、電解液の電導
率を増加させる目的で、塩酸、硫酸、フェノールスルホ
ン酸、メタスルホン酸、アルカノールスルホン酸、フッ
素化合物、フェノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウムなどの助剤を適宜加えても良い。電解重合により形
成された有機皮膜は、陰極還元重合により形成された有
機皮膜または陽極酸化重合により形成された有機皮膜で
あることが好ましい。
【0039】さらに、上記した陰極還元重合により形成
された有機皮膜としては、ビニルピリジン、アクリル
酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル、アクリロニトリル、スチレン、クロトン酸、
アセトニトリル、アクロレイン、スチレンスルホン酸ソ
ーダなどのビニル系モノマーおよびこれらの誘導体から
選ばれる1種または2種以上の陰極還元重合により形成
された有機皮膜であることが好ましい。
【0040】また、上記した陽極酸化重合により形成さ
れた有機皮膜としては、ピロール、チオフェン、アズレ
ン、フェノール、アニリン、アクリル酸、メタクリル
酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよび
これらの誘導体から選ばれる1種または2種以上の陽極
酸化重合により形成された有機皮膜であることが好まし
い。
【0041】電解重合時の電流密度は 0.1〜100A/dm2
範囲が好ましい。0.1A/dm2未満の場合、ライン速度が低
下し生産性が低下するばかりでなく、電解重合有機皮膜
の付着量が鋼板板面において不均一となり、鋼板および
有機樹脂層との密着性、耐食性が低下する。逆に、100A
/dm2超えの場合は、設備面で経済性が劣る他、形成され
る有機皮膜の損傷が激しく有機皮膜にヤケやピンホール
が発生し、耐食性や鋼板および有機樹脂層との密着性が
不充分となり好ましくない。
【0042】本発明における電解重合によって形成され
た有機皮膜は、通常の塗装によって得られる有機皮膜よ
りも優れた耐食性および有機皮膜と鋼板および有機樹脂
層両者との優れた密着性を示す。これは、電解重合時
に、クロム水和酸化物を含有する鋼板表層の水酸基を起
点としてモノマーが重合し、有機皮膜層と電解クロム酸
処理層との密着性が優れるためと考えられる。
【0043】また、さらには、通常の塗装では図4の鋼
板断面図に示すように、鋼板の凹凸(粗度)に応じて皮
膜の厚みムラが存在しているが、電解重合法により形成
した皮膜の場合には図5の鋼板断面図に示すように鋼板
表面の凹凸に追従して均一な皮膜が形成するためと考え
られる。本発明の電解クロム酸処理鋼板上に電解重合に
より形成された有機皮膜層を有する鋼板は、そのままで
も缶用として使用できるが、前記したように、耐食性の
点から、さらにその上に有機樹脂層を形成することが、
より好ましい。
【0044】上層としての有機樹脂層の膜厚は、3〜50
μmであることが好ましい。3μm未満の場合は耐食性
が不充分であり、50μm超えの場合は膜厚増加による耐
食性向上への寄与効果が飽和し、経済性に劣り好ましく
ない。耐食性および経済性の面から、上層としての有機
樹脂層の膜厚は5〜30μmの範囲であることが、より好
ましい。
【0045】本発明における有機樹脂層の有機樹脂とし
ては、熱硬化性樹脂として、アクリル樹脂、ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂などから選ばれる有
機樹脂が挙げられ、熱可塑性樹脂として、ポリエステル
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチ
レン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、
アクリル樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、スチレン樹
脂、ポリアリレート樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合
体などから選ばれる有機樹脂が挙げられる。
【0046】また上記の各種有機樹脂の各モノマーの共
重合体や上記の各種有機樹脂のブレンド品も使用でき
る。また光硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化
性樹脂を使用しても良い。本発明においては、得られる
有機被覆鋼板の耐食性、生産性および製造時の作業環境
の面から、熱可塑性樹脂を用いることが、より好まし
い。
【0047】熱可塑性樹脂皮膜を形成する方法として
は、1)予めフィルム状に成形された熱可塑性樹脂を鋼板
にラミネートする方法、2)押出機を経てTダイより溶融
した熱可塑性樹脂を流下して鋼板にラミネートする方
法、3)粉状の熱可塑性樹脂を鋼板に静電塗装などで塗布
し、加熱して皮膜を形成する方法、4)通常の塗装と同様
に、ロールコータやバーコータなどで、熱可塑性樹脂を
含む溶液を塗布し、乾燥し皮膜を得る方法などが挙げら
れる。
【0048】本発明においては、皮膜の健全性(:耐ピ
ンホール性)、設備の簡略化および生産性の点から、上
記1)の方法が好ましい。上記1)の方法で用いる熱可塑性
樹脂フィルムとしては、耐食性、加工性、経済性の面か
ら、ポリエステルフィルムが最適であり、特に耐食性、
バリア性(:水蒸気非透過性など)の面から、2軸配向
ポリエステルフィルムが好ましい。
【0049】ポリエステル樹脂としては、以下に示す1
種以上の飽和多価カルボン酸と1種以上の飽和多価アル
コールより形成されるポリエステル樹脂が例示される。
飽和多価カルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフ
タル酸、オルトフタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデ
カンジオン酸、ビフェニル− 4,4'−ジカルボン酸、 2,
6−ナフタレンジカルボン酸、 1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット
酸。
【0050】飽和多価アルコール;エチレングリコー
ル、 1,4−ブタンジオール、 1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポ
リエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、 1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
ビスフェノールA、 p,p'−ビフェノール、ハイドロキ
ノン、水素化ビスフェノールA。
【0051】また、カルボキシル基と水酸基の両方を有
するモノマーとして、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒ
ドロキシ−6−ナフトエ酸などを成分中に適宜加えても
良い。本発明に使用されるポリエステル樹脂としては、
機械的強度、耐食性、耐熱性、加工性、原料の入手のし
易さの点から、飽和多価カルボン酸成分として、テレフ
タル酸、イソフタル酸から選ばれる1種以上、飽和多価
アルコール成分として、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、 1,4−ブタンジオール、 1,4−シクロヘ
キサンジメタノールから選ばれる1種以上を重合して得
られるポリエステル樹脂が、より好ましい。
【0052】中でも、テレフタル酸とエチレングリコー
ルから成るポリエチレンテレフタレートフィルムやテレ
フタル酸、イソフタル酸とエチレングリコールから成る
共重合ポリエステルフィルムが特に好ましい。本発明に
使用されるポリエステルフィルムは、本発明の効果を損
なわない範囲で、シリカなどのアンチブロッキング剤、
滑剤、酸化チタンなどの着色顔料、紫外線吸収剤、酸化
防止剤、他の樹脂、難燃剤、脱酸素剤、抗菌剤などを添
加してもよい。
【0053】また、本発明に使用されるポリエステルフ
ィルムは、単層でも使用できるが多層フィルムの形態で
も使用できる。この場合の多層フィルムとしては、例え
ば、共押出ポリエステルフィルムが好ましい。またフィ
ルムの鋼板面側に接着プライマ塗布やコロナ放電などを
施し表面改質を行っても良い。
【0054】本発明の電解クロム酸処理鋼板の表面に電
解重合により形成された有機皮膜を有する有機被覆鋼板
へのポリエステルフィルムのラミネート方法は特に限定
されず、鋼板をフィルムの融点以上に加熱し、フィルム
を一部溶融しながらラミネートし急冷する方法(熱融着
法)や、鋼板に接着剤を塗布して乾燥・硬化した後、ラ
ミネート装置でフィルムをラミネートする方法などが挙
げられ、前記した環境面の問題から、前者の方法がより
好ましく用いられる。
【0055】本発明の有機樹脂を積層した缶用有機被覆
鋼板は、2ピース缶、3ピース缶のいずれの形態でも使
用できる。2ピース缶として使用する場合は、絞り缶、
絞り−再絞り缶、薄肉化深絞り(DTR)缶、絞り−し
ごき缶のいずれの形態でも使用可能である。本発明の缶
用有機被覆鋼板は、特に薄肉化深絞り(DTR)缶用鋼
板として優れた製缶加工性、耐食性、鋼板および有機樹
脂層との密着性を有する。
【0056】DTR缶用鋼板として用いる場合は、例え
ば、特許第2504164 号の方法で2ピース缶を得ることが
できる。また、製缶加工後、缶胴部に、多面体加工を施
してもよい。また、本発明の有機樹脂を積層した缶用有
機被覆鋼板は、絞り−しごき缶にも最適で、例えば、特
許第1670957 号の方法で絞り−しごき缶を得ることがで
きる。
【0057】本発明の有機樹脂を積層した缶用有機被覆
鋼板を2ピース缶用の鋼板として使用する場合は、電解
重合により形成された有機皮膜の付着量は、耐食性、加
工性、有機樹脂の密着性、経済性の点から、0.01〜10g/
m2であることが特に好ましい。0.01g/m2未満の場合は耐
食性、有機樹脂層の密着性が不充分で、10g/m2超えの場
合は加工性および鋼板および有機樹脂層との密着性が低
下し、経済性の面でも不利となる。
【0058】本発明の有機樹脂を積層した缶用有機被覆
鋼板を3ピース缶用の鋼板として使用する場合は、半田
缶、接着缶、溶接缶のいずれの形態でも使用できる。接
着缶として使用する場合は、両端縁部のポリエステルフ
ィルム同士を熱接着してもよい。溶接缶として使用する
場合は、ストライプ状にラミネートするか、あるいはラ
ミネート後に溶接部分のフィルムを除去することによ
り、両端縁部にフィルムが無い状態でシーム溶接を行う
ことができる。
【0059】また、溶接缶として使用する場合は、溶接
性、耐食性、鋼板および有機樹脂層との密着性の点か
ら、電解重合法により形成する有機皮膜の付着量は、0.
01〜5g/m2の範囲であることが特に好ましい。0.01g/m2
未満の場合は耐食性、鋼板および有機樹脂層との密着性
が不充分で、5g/m2超えの場合は溶接性が低下する。
【0060】また、本発明の鋼板から得られる缶はフィ
ルムの密着性が優れているので、高度なネックイン加工
にも充分耐え得る。また本発明の鋼板は、缶蓋としても
使用することができる。なお、本発明に係わる電解クロ
ム酸処理鋼板の片面に電解重合有機皮膜を有する缶用有
機被覆鋼板または該電解重合有機皮膜の表面にさらに有
機樹脂層が形成された缶用有機被覆鋼板においては、他
の片面の鋼板表面の条件は制限されるものではなく、そ
の用途によって規定することができる。
【0061】すなわち、他の片面の鋼板表面は、例え
ば、Snめっき鋼板面、ティンフリー鋼板面、亜鉛めっき
鋼板面であってもよい。
【0062】
【実施例】以下、本発明およびその効果を実施例に基づ
いて具体的に説明する。 〔1〕電解重合有機被覆鋼板の製造方法: (1) 電解クロム酸処理鋼板の作製; (a) 本発明例1〜92、比較例1〜9に使用した電解クロ
ム酸処理鋼板;板厚0.18mmの冷延鋼板を公知の方法で脱
脂、酸洗した後、得られた鋼板を、溶液濃度が Cr2O3
150g/L、 Na2SiF6:7g/L 、 H2SO4:0.8g/L、Cr3+:2
g/L 、溶液温度が50℃の浴中で、電流密度:50A/dm2
陰極処理することにより、鋼板表面に主として金属クロ
ムを形成(クロムめっき)した後、引き続き同浴中で電
流密度:5A/dm2 、電気量:1C/dm2 の陽極処理(逆電
解)を施した。
【0063】上記処理後、さらに、溶液濃度が Cr2O3
50g/L 、溶液温度が40℃の浴中で、電流密度:15A/dm2
で陰極処理(ケミカル処理)することにより鋼板表面の
クロム水和酸化物付着量を調整した後、水洗し、金属ク
ロム付着量:100mg/m2、クロム水和酸化物付着量(;ク
ロムとして):20mg/m2 の電解クロム酸処理鋼板を得
た。
【0064】なお、比較例1、4、7においては、上記
で得た電解クロム酸処理鋼板を、後記の電解重合を施さ
ないで、電解クロム酸処理鋼板のままで実験に使用し
た。 (b) 本発明例93〜108 に使用した電解クロム酸処理鋼
板;また、同様の方法で金属クロム付着量、クロム水和
酸化物付着量が異なる電解クロム酸処理鋼板を作製し
た。
【0065】(2) 電解重合;上記(1) で得られた電解ク
ロム酸処理鋼板を、引き続き、当該鋼板を陰極(:陰極
還元重合)または陽極(:陽極酸化重合)として、モノ
マーを 0.1〜1.0mol/L含有する電解液を用いて、電解液
温度40℃で電解処理した。電解液としては純水を用いた
が、モノマーが水に溶解しにくい場合にはメタノールと
水との混合溶液を用いた。
【0066】また、メタノールの含有率はモノマーが溶
解する最小量とした。電解重合時の使用モノマーおよび
電解条件を、表1〜表5に示す。なお、比較例2、3、
5、6、8、9においては、上記で得た電解クロム酸処
理鋼板に、前記の電解重合を施さないで、電解クロム酸
処理鋼板に、直接、ポリアクリル酸水溶液をロールコー
タで塗装し、 120℃で5分乾燥し有機皮膜を得、実験に
使用した。
【0067】(3) 有機皮膜付着量の測定;電解重合有機
皮膜またはポリアクリル酸水溶液の塗装により形成した
有機皮膜について、蛍光X線のCのカウント数より、有
機皮膜付着量を求めた。以上の方法で作製した試料につ
いて、以下に示す試験法を用いて性能を調査した。 〔2〕ラミネート鋼板の作製:本発明例33〜63、101 〜
108 、比較例4〜6については、熱融着法により、鋼板
の両面に2軸配向ポリエステルフィルムを鋼板にラミネ
ートした。
【0068】2軸配向ポリエステルフィルムは、イソフ
タル酸成分とテレフタル酸成分とエチレングリコール成
分からなる共重合ポリエステルフィルムを使用した。使
用したポリエステルフィルムの融点は 226℃(:DSC
で測定)で、ポリエステルフィルムの厚みは25μmであ
った。鋼板はフィルムの融点以上まで加熱され、ゴムロ
ールを介してフィルムと鋼板を熱融着した。
【0069】次いで、フィルムラミネートした鋼板を水
槽で急冷した。ラミネート直前の鋼板温度は 250℃、ゴ
ムロール表面温度は 150℃、ロール加圧力は 15kg/cm、
ラミネート速度は 30mpm、ラミネート後冷却までの時間
は1秒であった。図1に、実験で使用したラミネート装
置を示す。
【0070】また、本発明例64〜92、本発明例101 〜10
8 、比較例7〜9については、同様の方法で、ストライ
プ状に幅 162mmの同じポリエステルフィルムをラミネー
トした。なお、非ラミネート部分(溶接部)の幅は4mm
とした。図2に、ストライプ状にラミネートした鋼板を
示す。
【0071】以上のフィルムラミネートにより形成した
ポリエステル樹脂層の膜厚は、25μmであった。〔3〕
製缶方法: (1) DTR缶の製造方法;本発明例33〜63、101 〜108
、比較例4〜6については、公知の方法で、 350mLサ
イズのDTR缶を得た。
【0072】ブランク径は 187mm、絞り比は1.50で、再
絞りは3段階で行い、絞り比はそれぞれ、1.29、1.24、
1.20であった。再絞り時の加工速度は10m/分であっ
た。 (2) 溶接缶の製造方法;本発明例64〜92、本発明例101
〜108 、比較例7〜9については、ストライプ状にラミ
ネートした鋼板を、 108mm(缶高さ方向)× 166mm(缶
周方向)にせん断し、筒状にした後、公知のシーム溶接
機で溶接缶を得た。
【0073】図3に溶接ブランクを示す。重ね合わせ部
の幅は 1.5mmであり、溶接部分には補修塗装を施した。
また、同じラミネート鋼板で缶底を作製し巻き締めた。 〔4〕評価方法: (1) 耐食性〔耐食性(シミ)試験〕;フィルムラミネー
トを施していない鋼板を40×80mmにせん断し、エッジ部
をシールした後、中央部をエリクセン試験機で3mm張出
し、ビーカに入れた後、90℃のトマトジュースを張出し
加工部の半分が浸漬するまで注いだ。
【0074】ラップなどでビーカを密封し、55℃で3週
間放置し、腐食、フィルムの剥離の有無を観察した。エ
リクセン加工は、JIS K 5400、JIS B 7729号に準拠した
方法で行った。 (2) 生産性、経済性;生産性(ライン速度、薬液使用
量)および設備費用から総合的に判断した。
【0075】 (3) 製缶加工性; 〔3〕(1) に示した方法で製缶加工を行い、破断の有無
やショックライン発生の有無やフィルム剥離の有無を目
視で観察した。
【0076】 (4) 溶接性; 〔3〕(2) に示した方法でシーム溶接を行い、チリやヤ
ケの発生の有無、接合部分強度で判定した。
【0077】 (5) ERV;得られた缶に1%食塩水を充填し、缶の中
央部に炭素電極を入れ、缶体を陽極として6Vの電圧を
加えた時に流れた電流値を求めた。ERV値は低い方
が、缶の健全性(:耐ピンホール性)が高い。
【0078】(6) フィルム密着性;製缶前のラミネート
鋼板および得られた缶の胴部を50mm角に切断し、レトル
ト処理( 110℃×1Hr)を施し、1mm角で 100個碁盤目
を入れ、デュポン衝撃試験で缶内面側が凸となるように
加工を行い、テープ剥離試験を施した。デュポン衝撃試
験条件は、荷重 300g、高さ20cm、ポンチ径3/8”と
した。
【0079】デュポン衝撃試験、碁盤目テープ法はJIS
K 5400号に準拠して行った。 (7) 実缶実験;得られた缶に市販のトマトジュースを充
填し、脱気した後、公知のアルミ製イージー・オープン
・エンドを二重巻き締めし、 115℃で60分加熱殺菌後、
55℃の条件で長期保存(6カ月)し、缶内面の腐食状態
の観察、真空度の変化を観察した。
【0080】 (8) 色調;カラーコンピュータSM−3〔スガ試験機
(株)社製〕で明度(L値)を測定した。測定面積はφ
30mmで、値が大きい程良好である。合格基準を30以上と
した。
【0081】実験結果を実験条件と併せて表1〜表5に
示す。本発明条件を満足する本発明例の鋼板は、比較例
の鋼板に比べて、耐食性、密着性、製缶加工性、溶接性
に優れており、しかも生産性および経済性にも優れてい
ることが分かる。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】
【0090】
【表9】
【0091】
【表10】
【0092】
【表11】
【0093】
【発明の効果】本発明の鋼板は、耐食性、製缶加工性お
よび有機皮膜、有機樹脂層の密着性が優れており、しか
も生産性および経済性にも優れており、缶、容器用素材
として広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験で使用したラミネート装置を模式的に示す
側面図である。
【図2】ストライプ状にラミネーした鋼板を模式的に示
す平面図である。
【図3】溶接ブランクを模式的に示す平面図である。
【図4】鋼板上に有機皮膜をコータ塗装によって形成し
た場合の皮膜の形状を模式的に示す鋼板の断面図であ
る。
【図5】鋼板上に有機皮膜を電解重合法によって形成し
た場合の皮膜の形状を模式的に示す鋼板の断面図であ
る。
【符号の説明】
1、10、14、16 鋼板 2 加熱装置 3a、3b、11 樹脂フィルム 4a、4b ラミネートロール 5 冷却装置 6 ラミネート鋼板 7 ペイオフリール 8 巻取りリール 12 溶接部 13、15 有機皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−218465(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 13/08 B32B 15/08 104 C25D 11/38 301 C25D 13/20

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解クロム酸処理鋼板の片面あるいは両
    面に、電解重合により形成された有機皮膜を有すること
    を特徴とする缶用有機被覆鋼板。
  2. 【請求項2】 電解クロム酸処理鋼板の片面あるいは両
    面に、電解重合により形成された有機皮膜と、さらに該
    有機皮膜の上に形成された有機樹脂層とを有することを
    特徴とする缶用有機被覆鋼板。
  3. 【請求項3】 前記有機樹脂層の膜厚が3〜50μmであ
    ることを特徴とする請求項2記載の缶用有機被覆鋼板。
  4. 【請求項4】 前記有機樹脂層の樹脂がポリエステルで
    あることを特徴とする請求項2または3記載の缶用有機
    被覆鋼板。
  5. 【請求項5】 前記有機樹脂層がポリエステルフィルム
    の熱融着法により形成された有機樹脂層であることを特
    徴とする請求項2または3記載の缶用有機被覆鋼板。
  6. 【請求項6】 前記電解クロム酸処理鋼板の金属クロム
    の付着量が20〜 200mg/m2 、クロム水和酸化物の付着量
    がクロムとして3〜50mg/m2 であることを特徴とする請
    求項1〜5いずれかに記載の缶用有機被覆鋼板。
  7. 【請求項7】 前記電解重合により形成された有機皮膜
    の付着量が0.01〜20g/m2であることを特徴とする請求項
    1〜6いずれかに記載の缶用有機被覆鋼板。
  8. 【請求項8】 前記電解重合により形成された有機皮膜
    がビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリ
    ル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリ
    ル、スチレン、クロトン酸、アセトニトリル、アクロレ
    イン、スチレンスルホン酸ソーダ、ピロール、チオフェ
    ン、アズレン、フェノール、アニリン、ベンゼン、アセ
    チレンおよびこれらの誘導体からなる群より選ばれる少
    なくとも1種の重合体であることを特徴とする請求項1
    〜7いずれかに記載の缶用有機被覆鋼板。
  9. 【請求項9】 鋼板に電解クロム酸処理を施した後、得
    られた鋼板を有機モノマーを含有する電解液中で電解
    し、当該鋼板の表面に電解重合有機皮膜を形成させるこ
    とを特徴とする缶用有機被覆鋼板の製造方法。
  10. 【請求項10】 鋼板に電解クロム酸処理を施した後、
    逆電解処理を施し、得られた鋼板を有機モノマーを含有
    する電解液中で電解し、当該鋼板の表面に電解重合有機
    皮膜を形成させることを特徴とする缶用有機被覆鋼板の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 前記有機モノマーが、ビニルピリジ
    ン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、
    メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、
    クロトン酸、アセトニトリル、アクロレイン、スチレン
    スルホン酸ソーダ、ピロール、チオフェン、アズレン、
    フェノール、アニリン、ベンゼン、アセチレンおよびこ
    れらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種で
    あることを特徴とする請求項9または10記載の缶用有機
    被覆鋼板の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜8いずれかに記載の缶用有
    機被覆鋼板を成形、加工して得られた缶・容器であるこ
    とを特徴とする缶・容器。
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