JP3796110B2 - ポリエステル系フィルムラミネート金属板および金属容器 - Google Patents

ポリエステル系フィルムラミネート金属板および金属容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属材料に使用されるラミネート用フィルムがラミネートされた金属板、ならびに当該ラミネート金属板を缶状に成形してなる金属容器に関する。詳しくは、落下、特に硬化性樹脂層を焼き付け塗装した後に落下させても、ラミネートされたフィルムに亀裂が入りにくい金属容器、ならびにこれに用いるラミネート金属板に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】
一般に金属缶は、その少なくとも内面に、防食の目的で熱硬化性樹脂塗料が塗布されている。この塗装は、製缶後にスプレー塗装法等で一缶毎に行われるために能率が悪く、また塗料を高温で焼き付けるために多大なエネルギーが必要である。さらに、有機溶剤の飛散による環境悪化の問題もある。
【0003】
近年、このような欠点を解消するため、缶を成形する以前に金属板に予め塗料をコーティングしておく技術(プレコート技術)やフィルムをラミネートしておく技術(プレラミネート技術)が開発されつつある。しかし、これらコートやラミネートされた有機樹脂層は、製缶工程において過酷な変形や熱履歴を受けるため、製缶後に欠陥が生じやすい。そのため、十分な耐食性を発揮させるのが困難である。
【0004】
プレラミネート技術においては、衛生性や保香性の点からポリエチレンテレフタレートを中心としたポリエステル系のフィルムが用いられている。ここで使用されるポリエステル系フィルムは、予め延伸配向されていると、製缶時の変形に追従できず、フィルムに亀裂が入って耐食性が悪化し、それと共に缶の外観も悪いものとなる。これに対して、非晶質無配向であると、該フィルムは製缶時の変形に追従しやすいため製缶後も亀裂ができず、良好な耐食性が得られるが、耐衝撃性が悪く、缶を落下させると亀裂が入りやすく、耐食性を維持できない。特に、熱履歴による脆化が著しく、印刷し、さらに熱硬化性塗料を焼き付けた後や、高温殺菌処理(レトルト処理等)した後の缶は、ラミネートフィルムが脆化している。そのため、衝撃が加わると、容易にフィルムに亀裂が生じる。
【0005】
そこで、ポリエステル系フィルムの面配向度や結晶化度を低めにコントロールする方法が検討されている。しかし低面配向フィルムは、大きな変形を伴う製缶加工を行うと、フィルムに亀裂が発生してしまう。この他に、フィルムを多層化し衝撃を吸収する方法やポリエステル樹脂を改質する方法等も開発されてきたが、未だ上記問題を解決するには至っていない。
【0006】
本発明の目的は、耐衝撃性に優れた、特に焼き付け塗装等の処理後も良好な耐衝撃性を有する金属容器、ならびにそれに用いるラミネート金属板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、ナフタレンジカルボン酸由来の部位を特定量有するポリエチレンテレフタレート共重合体を含んでなり、かつ非晶質無配向であるポリエステル系フィルムをラミネートした金属板を用いてなる金属容器が、落下させてもフィルムに亀裂が入らず、金属露出部が少ないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、以下の通りである。
(1)ポリエチレンテレフタレート共重合体を含んでなる非晶質無配向のポリエステル系フィルムであって、該共重合体がナフタレンジカルボン酸由来の基を有し、かつ該フィルムを形成する成分が下記(1)〜(3)の条件を満足し、さらに該フィルムの融点が200〜250℃であることを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムが金属板の少なくとも片面に積層されてなるラミネート金属板。
(1)ジカルボン酸成分の3〜12モル%がナフタレンジカルボン酸である。
(2)ジカルボン酸成分の75〜97モル%がテレフタル酸である。
(3)ジオール成分の75モル%以上がエチレングリコールである。
(2)ポリエステル系フィルムが、2軸延伸された後、金属板の少なくとも片面に積層され、さらに溶融後、急冷固化されてなる(1)記載のラミネート金属板。
(3)金属板がアルミニウム板である(1)記載のラミネート金属板。
(4)(1)〜(3)のいずれか一つに記載のラミネート金属板を用いて成形されてなる、少なくとも缶内面に前記ポリエステル系フィルムが積層されている金属容器。
(5)さらに少なくとも1層の熱硬化性樹脂層が金属容器表面に塗装により形成されてなる(4)記載の金属容器。
(6)(1)〜(3)のいずれか一つに記載のラミネート金属板を用いて絞りしごき加工されてなる、少なくとも缶内面に前記ポリエステル系フィルムが積層されている金属容器。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル系フィルムは、ナフタレンジカルボン酸由来の基を有するポリエチレンテレフタレート共重合体を含んでなる。該共重合体が有するナフタレンジカルボン酸由来の基は、本発明のポリエステル系フィルムを形成するジカルボン酸成分の3〜12モル%がナフタレンジカルボン酸となる範囲で含まれ、さらにジカルボン酸成分の75〜97モル%がテレフタル酸、ジオール成分の75モル%以上がエチレングリコールである。また、本発明のポリエステル系フィルムは、非晶質無配向であり、その融点が200〜250℃である。
【0010】
該ポリエチレンテレフタレート共重合体は、これを形成するジオール成分がエチレングリコールであり、ジカルボン酸成分がナフタレンジカルボン酸およびテレフタル酸である。
ナフタレンジカルボン酸としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、2,6−ナフタレンジカルボン酸が経済的に入手しやすい点から好ましい。
【0011】
該ポリエチレンテレフタレート共重合体における上記各成分は、後述するポリエステル系フィルムの特性を損なわない範囲で配合すればよい。
【0012】
該ポリエチレンテレフタレート共重合体は、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸およびエチレングリコールを用い、自体既知の方法により製造される。例えば、エステル交換法や直接重合法で、溶融下に縮重合することにより得ることができる。
ナフタレンジカルボン酸由来の基を、該ポリエチレンテレフタレート共重合体中に含有させる段階は、重合初期、重合途中、重合後の押出し機中等のどの段階でもよい。
【0013】
該ポリエチレンテレフタレート共重合体は、その他のジカルボン酸、その他のジオール、オキシカルボン酸、トリカルボン酸由来の基を、後述するポリエステル系フィルムの特性を損なわない範囲でさらに含有させてもよい。
【0014】
その他のジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、ダイマー酸、インダンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、スルホイソフタル酸金属塩等が挙げられる。
【0015】
その他のジオールとしては、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0016】
オキシカルボン酸成分としては、オキシ安息香酸等が挙げられる。
【0017】
トリカルボン酸成分としてはトリメリット酸、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0018】
本発明のポリエステル系フィルムは、上記ポリエチレンテレフタレート共重合体からなるフィルムであるか、或いはこれを含む2種類以上のポリエステルをブレンドしたものでもよい。但し、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸およびエチレングリコールの含有量、融点が後記範囲内となることが必要である。
【0019】
本発明のポリエステル系フィルムは、該フィルムを形成するジカルボン酸成分の3〜12モル%がナフタレンジカルボン酸である。
全ジカルボン酸成分に対してナフタレンジカルボン酸が12モル%を越えると、経済的でない。また、2軸延伸フィルムの製膜性が悪い等の弊害が生じる。さらに、ガラス転移温度が上がるため、製缶加工温度が低いと、製缶加工時のフィルムの追従性が劣る可能性がある。一方、3モル%未満であると、製缶後の耐衝撃性が十分でない。
【0020】
該フィルムを形成するジカルボン酸成分中、ナフタレンジカルボン酸は、好ましくは5〜10モル%である。
【0021】
また、該ポリエステル系フィルムは、当該フィルムを形成するジカルボン酸成分の75〜97モル%がテレフタル酸であり、かつジオール成分の75モル%以上がエチレングリコールである。
これらが75モル%未満であると、ポリエステル系フィルムの融点が下がり、焼き付け塗装等の熱処理に対する耐熱性が不足する傾向がある。また、2軸延伸フィルムを得る場合の製膜性も悪くなる傾向がある。
【0022】
該フィルムを形成するジカルボン酸成分中、テレフタル酸は、好ましくは85〜95モル%である。
該フィルムを形成するジオール成分中、エチレングリコールは、好ましくは90モル%以上である。
【0023】
また、本発明のポリエステル系フィルムは、その融点が200〜250℃の範囲である。
フィルムを金属板に融着したり、フィルムを溶融する際の作業性や省エネルギーの点から、融点は250℃以下であることが好ましい。一方、焼き付け塗装等の熱処理に対する耐熱性や2軸延伸フィルムを製造する際の製膜性の点から、その融点は200℃以上である必要がある。
好ましくは210〜235℃である。
【0024】
本発明において融点は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、サンプル量10mg、昇温速度20℃/分で測定した。
【0025】
本発明のポリエステル系フィルムの融点は、主にテレフタル酸由来の基とエチレングリコール由来の基の含有量によって調整される。
【0026】
本発明のポリエステル系フィルムを構成するポリエステルは、その還元粘度が0.40〜1.0dl/g、特に0.5〜0.8dl/gが好ましい。
還元粘度が0.4dl/g未満であると、金属容器の耐衝撃性が不足しやすくなる傾向がある。還元粘度が1.0dl/gを越えると、原料の重合、フィルムの製膜、ラミネート金属板の製造等のコストが上がる傾向にある。
【0027】
本発明において、還元粘度は、フェノール/テトラクロロエタンの重量比6/4の混合溶媒を用い、溶液濃度0.4g/dl、温度30℃で測定した値である。
【0028】
本発明のポリエステル系フィルムを構成するポリエステルの還元粘度は、原料に用いる各ポリエステルの重合度や原料の水分率、押出しの温度と時間、また金属板上で再溶融する時の温度と時間等で調整される。
【0029】
さらに、本発明のラミネート金属板に用いられるポリエステル系フィルムは非晶質無配向である。
本発明において、非晶質とは、フィルムの密度が1.35g/cm3 以下である結晶化度の低いフィルムを意味する。無配向とは、屈折率から求めた面配向係数が0.01以下であるフィルムを意味する。
【0030】
フィルムの密度測定は、四塩化炭素とヘプタンの密度勾配管を用いて行った。
【0031】
面配向係数は、偏光板付き屈折率計を用い、フィルムの流れ方向、幅方向および厚み方向の屈折率(Nx、NyおよびNz)を測定し、下式より求めた。封入液はジヨードメタン、光源はナトリウムランプである。
面配向係数=(Nx+Ny)/2−Nz
【0032】
本発明のポリエステル系フィルムの非晶質無配向は、溶融状態のフィルムを固化する際の冷却速度を10℃/秒以上、好ましくは50℃/秒以上にすることによって調整される。
【0033】
本発明のポリエステル系フィルムは、単層でも複層でもよい。該フィルムの厚さは、通常8〜50μm、好ましくは10〜20μmである。
【0034】
本発明のポリエステル系フィルムは、用途によっては接着性や濡れ性を良くするためにコロナ処理、コーティング処理、火炎処理等が施されていてもよい。
【0035】
本発明のポリエステル系フィルムは、必要に応じ、例えば白色顔料、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤等の公知の添加剤が配合されていてもよい。
【0036】
本発明のラミネート金属板は、上記ポリエステル系フィルムが金属板の少なくとも片面に積層されてなる。
【0037】
該金属板の材料は、特に限定されず、例えば鉄、鋼、ブリキ、ティンフリースチール、黄銅、銅、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。
本発明に用いられる金属板は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、電気化学的処理、無機化学的処理、有機化学的処理等があり、例えばクロメート処理、リン酸クロメート処理、ジンククロメート処理、アルマイト処理等が挙げられる。
【0038】
金属板の少なくとも片面とは、製缶後の缶内面側または缶外面側または内外両面いずれであってもかまわない。特に耐食性が強く要求される缶内面側にフィルムを積層することが好ましい。
【0039】
本発明のラミネート金属板の製造方法、即ちポリエステル系フィルムの金属板への積層方法は、例えば(1)2軸延伸したフィルムを金属板に融着または接着した後、溶融し急冷固化する方法、(2)未延伸フィルムを融着または接着する方法、(3)押出しラミネート方式で直接金属板に融着する方法が挙げられる。
特に(1)の方法が、厚み斑の少ない薄いフィルムを金属板に積層できることから好ましい。ここで、厚み斑の少ないラミネート金属板は、特に後述する絞りしごき加工に好適である。
【0040】
2軸延伸フィルムを金属板へ融着または接着する方法としては、該フィルムの軟化点以上に暖められた金属板にフィルムを圧着する方法等が挙げられる。金属板に積層された該フィルムは2軸配向性を残しているので、さらに該フィルムを完全に溶融させて配向を無くした後、急冷固化すると非晶質無配向のポリエステル層が得られる。
【0041】
該フィルムを完全に溶融するための加熱方法としては、熱風加熱、ロール加熱、通電加熱、誘電加熱、高周波加熱等が挙げられる。例えば、熱風加熱の場合、通常フィルムの融点〜融点+40℃で15〜120秒間、好ましくは融点+5〜融点+20℃で30〜60秒間加熱される。
【0042】
また、急冷固化する方法としては水中浸漬、冷風吹き付け等の方法が挙げられる。ここで、急冷とは溶融フィルムが固化する際に結晶が生成するのを防止するのに十分な冷却速度を持つ冷却操作であり、通常10℃/秒以上、好ましくは50℃/秒以上である。
【0043】
ここで、2軸延伸フィルムは、公知の方法で製膜、延伸することにより製造される。例えば、(1)Tダイより溶融押し出しした未延伸のシートをロール式延伸機で縦方向に延伸した後、テンター式延伸機で横方向に延伸する方法(逐次2軸延伸法)、(2)未延伸シートをテンター式同時二軸延伸機で縦横同時に延伸する方法(同時2軸延伸法)、(3)チューブ状に溶融押し出ししたシートを気体の圧力で膨張させ延伸する方法(インフレーション法)等が挙げられる。
【0044】
本発明の金属容器は、上記ラミネート金属板を用いて成形されてなり、例えば蓋、胴および底が別々のスリーピース缶、底と一体となった缶胴および蓋からなるツーピース缶等に成形される。
ツーピース缶としては、例えば絞り法により作られる浅絞り缶、絞り再絞り法により作られる再絞り缶、絞り引っ張り曲げ伸ばし法により作られる薄肉化絞り缶、絞りしごき法(DI法)により作られる絞りしごき缶(DI缶)が挙げられる。
例えば、絞りしごき法(DI法)、すなわち金属板をブランクに打ち抜き、絞りダイとパンチ間で絞り加工を行ってカップを形成し、該カップの缶胴壁をカップ内に挿入されたパンチとカップ外周に設けられたしごきリングの間の、板厚より小さい間隙をしごき通過させしごき加工することにより、缶胴壁を徐々に薄肉化させると同時に高い缶体に成形する方法等により成形される。
【0045】
特に、本発明のラミネート金属板を用いてなる金属容器として好適なものは、加工時に大きな変形を受けるため、配向したフィルムを積層した場合にフィルムがその変形に追従できない等の問題が生じ易いアルミニウムの絞りしごき缶(DI缶)である。
【0046】
本発明の金属容器は、表面の耐擦傷性を上げるために、少なくとも1層の熱硬化性樹脂層が常法により塗装されていてもよい。該熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。例えば、熱硬化性のトップクリア塗料等が焼き付け塗装されていてもよい。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例における物性の評価方法は以下の通りである。
【0048】
(1)融点
ラミネート金属板から剥がしたポリエステル系フィルムの融点を、理学電機社製外熱型の示差走査型熱量計(DSC)を用い、サンプル量10mg、昇温速度20℃/分で測定した。ここで、融解の吸熱ピーク温度を融点とした。
【0049】
(2)密度
ラミネート金属板から剥がしたポリエステル系フィルムを、四塩化炭素とヘプタンの密度勾配管を用いて測定した。
【0050】
(3)面配向係数
アタゴ社製偏光板付きの屈折率計を用い、ラミネート金属板から剥がしたポリエステル系フィルムの流れ方向、幅方向および厚み方向の屈折率(それぞれ、Nx、NyおよびNz)を測定し、下式から面配向係数を求めた。封入液はジヨードメタンを、光源はナトリウムランプを使用した。
面配向係数=(Nx+Ny)/2−Nz
【0051】
(4)還元粘度
フェノール/テトラクロロエタンの重量比6/4の混合溶媒に、ラミネート金属板から剥がしたポリエステル系フィルムを溶液濃度0.4g/dlとなるように溶解し、ウベローデ型粘度管を用いて温度30℃で、還元粘度を測定した。
【0052】
(5)製造直後の缶のERV
作製したDI缶に350mlの1重量%食塩水を満たし、エナメルレーターでERV(エナメルレイティング値)を測定した。電圧は直流6ボルト、缶底外側に金属露出部を作りそこを陽極に接続し、通電時間30秒で、30秒後の電流値を測定した。
【0053】
(6)落下衝撃後の缶のERV(熱処理前)
作製したDI缶に水350mlを満たし、缶底を下向きにして1mの高さより落下させた後、水を除去して(5)と同様にして食塩水を満たしてERVを測定した。
【0054】
(7)落下衝撃後の缶のERV(熱処理後)
作製したDI缶を、焼き付け処理条件に対応する200℃、15分間熱処理を行った後、(6)と同様に落下衝撃を加えた後のERVを測定した。
【0055】
製造例1〜7
表1に示す割合で、ジカルボン酸成分およびジオール成分を、エステル交換法または直接重合法で、溶融下に重縮合した。ここで、製造例6としては、シクロヘキサンジメタノールが35モル%共重合したポリエチレンテレフタレートであるコダール(イーストマンケミカルズ社製)を用いた。
【0056】
【表1】
Figure 0003796110
【0057】
実施例1〜4、比較例1〜9
(2軸延伸フィルムの作製)
製造例1〜7で得られたポリエステルのチップと、還元粘度0.65dl/gのポリエチレンテレフタレートのチップとを表2の量になるように配合して、真空乾燥し、水分率0.01重量%以下にした。ここで、実施例2、比較例1においては、製造例7のポリエステルのチップを用いた。全てのポリエステルには、フィルムのブロッキング防止と滑り性付与のために、平均粒径が1.8μmのシリカゲル微粉末をフィルム中に0.6重量%含有するように添加し、分散させた。
これを、Tダイより押出機で270℃で溶融押出しして、30℃の冷却ロールに引き取り、未延伸シートを得た。該シートを、直ちにロール式延伸機で縦方向に90℃で3.2倍延伸し、更にテンター式延伸機で横方向に100℃で4倍延伸した。さらに該フィルムを、10%緩和させつつ(融点−30)℃で熱固定し、厚さ12μmの延伸フィルムを得た。
【0058】
(ラミネート金属板の作製)
厚み0.3mm、幅20cmのリン酸クロメート処理されたアルミニウム板の両面に、上記2軸延伸フィルムをロールラミネーターで融着させた。ここで、アルミニウム板は室温で供給し、ゴムロール温度は180〜250℃、通過速度は25〜100cm/分、ゲージ圧力は6kg/cm2 である。
2軸延伸フィルムを融着させたアルミニウム板を、熱風オーブン中で200〜270℃、30〜90秒加熱し、フィルムを完全に溶融させた。これをオーブンより取り出し、5秒以内に15〜25℃の水に漬け、フィルムを固化させてラミネート金属板を得た。
但し、比較例1については、溶融、急冷の非晶質無配向化処理を行わず、アルミニウム板に2軸延伸フィルムを融着させたものをラミネート金属板とした。
【0059】
(DI缶の作製)
上記ラミネート金属板を直径150mmの円に切り出し、絞りしごき加工して、直径66mm、高さ125mm、壁面の厚み0.12mmのDI缶を作製した。
【0060】
ラミネート金属板に積層されたポリエステル系フィルムの特性と、これを用いてなるDI缶の特性を表2および表3に示す。
【0061】
【表2】
Figure 0003796110
【0062】
【表3】
Figure 0003796110
【0063】
表に示したとおり、本発明による缶は、フィルムに欠陥が少なく、ERV値が低い。また、落下衝撃を加えてもERV値が低く、フィルムに亀裂や欠陥ができにくいものであった。さらに、焼き付け塗装に相当する熱履歴を受けた後に、落下衝撃を加えても、ERV値は低く、フィルムに亀裂や欠陥ができにくい。
ERV値測定において、電流がたくさん流れるほど絶縁体であるフィルムに欠陥が存在し、金属が露出しているため腐食が起こりやすく、製缶直後のERV値、熱処理前の缶の落下衝撃後のERV値、熱処理後の缶の落下衝撃後のERV値は20mA以下が望ましい。
一方、ナフタレンジカルボン酸以外の共重合成分を用いた比較例3〜8では、熱処理後の缶に落下衝撃を加えた場合のERV値が高く、焼き付け塗装等の処理後の缶の耐衝撃性が劣ると考えられる。
また、ナフタレンジカルボン酸の含有量が少ない比較例2の場合も、熱処理後の缶に落下衝撃を加えた場合のERV値が高く、焼き付け塗装等の処理後の缶の耐衝撃性が劣ると考えられる。
比較例1では、アルミニウム板に2軸延伸フィルムを融着させた後、溶融、急冷の非晶質無配向化処理を行わず、絞りしごき加工を行いDI缶を得た。得られた缶は、フィルムの剥離が多く、製缶直後のERV値も高いものであった。
比較例9の場合は、熱処理後、フィルム表面にアバタ状のムラが発生しており、商品価値のないものであった。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、製缶加工性に優れ、かつ耐衝撃性、耐食性に優れた金属容器、ならびにそれに用いるラミネート金属板を提供することができる。特に、焼き付け塗装やレトルト処理等の熱処理による脆化が起こりにくく、フィルムの亀裂等の発生が抑制できる。

Claims (6)

  1. ポリエチレンテレフタレート共重合体を含んでなる非晶質無配向のポリエステル系フィルムであって、該共重合体がナフタレンジカルボン酸由来の基を有し、かつ該フィルムを形成する成分が下記(1)〜(3)の条件を満足し、さらに該フィルムの融点が200〜250℃であることを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムが金属板の少なくとも片面に積層されてなるラミネート金属板。
    (1)ジカルボン酸成分の3〜12モル%がナフタレンジカルボン酸である。
    (2)ジカルボン酸成分の75〜97モル%がテレフタル酸である。
    (3)ジオール成分の75モル%以上がエチレングリコールである。
  2. ポリエステル系フィルムが、2軸延伸された後、金属板の少なくとも片面に積層され、さらに溶融後、急冷固化されてなる請求項1記載のラミネート金属板。
  3. 金属板がアルミニウム板である請求項1記載のラミネート金属板。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のラミネート金属板を用いて成形されてなる、少なくとも缶内面に前記ポリエステル系フィルムが積層されている金属容器。
  5. さらに少なくとも1層の熱硬化性樹脂層が金属容器表面に塗装により形成されてなる請求項4記載の金属容器。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のラミネート金属板を用いて絞りしごき加工されてなる、少なくとも缶内面に前記ポリエステル系フィルムが積層されている金属容器。
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