JP2007176149A - Di缶用樹脂被覆錫めっき鋼板およびそれを絞りしごき加工してなるdi缶 - Google Patents

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Abstract

【課題】 腐食度の高い内容物を充填するために錫めっき量を増加させた錫めっき鋼板を有機樹脂皮膜の下地として用いて絞りしごき加工を施した場合においても、十分な加工密着性が得られるDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板、およびそれを絞りしごき加工してなるDI缶を提供する。
【解決手段】 鋼板に錫めっきを施し、次いで錫めっき層上に水性アクリルエマルジョン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体、ポリエステル樹脂エマルジョンなどのエマルジョン系樹脂を用いた有機処理層を形成させてなる錫めっき鋼板に、有機樹脂フィルムを積層してDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板とし、これを絞りしごき加工してDI缶に成形する。
【選択図】 なし

Description

本発明は飲料缶などのDI缶に適用するDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板およびそれを絞りしごき加工してなるDI缶に関する。
従来、炭酸飲料や果汁飲料を充填する缶として、アルミニウム合金板や錫めっき鋼板を絞りしごき加工して有底の円筒状に成形したDI缶が用いられてきた。従来のDI缶の製造においては、アルミニウム合金板や錫めっき鋼板を絞りしごき加工した後に、内外面に塗料を塗布し、焼き付け乾燥することが行われていた。しかし、塗料を焼き付け・乾燥する際に、有機溶媒が周囲に飛散して環境に悪影響を与えるため、アルミニウム合金板や電解クロム酸処理鋼板に塗膜に換えて有機樹脂フィルムを積層被覆し、これを絞りしごき加工してDI缶に成形することが行われている。
しかし、これらのDI缶に充填する炭酸飲料や果汁飲料の中にはアルミニウム合金板や電解クロム酸処理鋼板に対する腐食性の高いものもあり、缶内面を被覆している有機樹脂層に極く微細な欠陥により下地のアルミニウム合金や鋼の金属部分がわずかでも露出していると金属下地が腐食し、穿孔に至る場合がある。このため、内容物に対して犠牲溶解して下地の鋼を腐食から守る、従来から飲料缶や食品缶に用いられてきた錫めっき鋼板に有機樹脂層を積層被覆してDI缶に成形することが試みられている。
しかしながら、錫めっき鋼板に有機樹脂層を積層被覆し、絞りしごき加工してDI缶に成形すると、有機樹脂層が錫層から容易に剥離してしまう、すなわち加工密着性に乏しい欠点を有している。この有機樹脂被覆錫めっき鋼板の加工密着性を改善するため、特許文献1は、鋼板に錫めっきした後にアルカリ水溶液で後処理を施して錫めっき層上の酸化物を除去し、次いでシランカップリング処理剤を塗布し乾燥してなる錫めっき鋼板に、塗膜や有機樹脂フィルムなどの有機樹脂皮膜を被覆してなる有機樹脂被覆錫めっき鋼板を提案している。
特許文献1に記載された有機樹脂被覆錫めっき鋼板は、錫めっき量が少ない場合は絞りしごき加工しても良好な加工密着性が得られるが、腐食度の高い内容物を充填するために錫めっき量を増加させた錫めっき鋼板を有機樹脂皮膜の下地として用いた場合、十分な加工密着性が得られないことが判明した。
本発明に関する先行技術文献として、以下のものがある。
特開2003−231989号公報
本発明は、腐食度の高い内容物を充填するために錫めっき量を増加させた錫めっき鋼板を有機樹脂皮膜の下地として用いて絞りしごき加工を施した場合においても、十分な加工密着性が得られるDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板、およびそれを絞りしごき加工してなるDI缶を提供することを目的とする。
本発明のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板は、錫めっき鋼板の少なくとも片面の錫めっき層上にエマルジョン系樹脂を用いた有機処理層を有し、該有機処理層上に有機樹脂フィルムを積層してなるDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板(請求項1)であり、
上記(請求項1の)DI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板において、前記エマルジョン系樹脂が水性アクリルエマルジョン樹脂(請求項2)または変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体(請求項3)もしくはポリエステル樹脂エマルジョン(請求項4)であることを特徴とし、また
上記(請求項4)のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板において、前記ポリエステル樹脂の分子量が8000〜17000であること(請求項5)、また前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度が15℃以上であること(請求項6)を特徴とし、また
上記(請求項1〜6)のいずれかのDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板において、前記有機処理層の厚さが0.5〜2000mg/mであること(請求項7)を特徴とし、さらに
上記(請求項1〜7)のいずれかのDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板において、前記錫めっき鋼板の錫めっき量が0.5〜12g/mであること(請求項8)を特徴とする。
また本発明のDI缶は、上記(請求項1〜8)のいずれかのDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板を絞りしごき加工してなるDI缶(請求項9)である。
本発明のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板は、缶に充填する高腐食性の内容物に対して、下地鋼板の耐食性を高めるために錫めっき量を増加した錫めっき鋼板に有機樹脂を積層被覆したものである。この本発明のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板は、錫めっき量を増加したにもかかわらず、有機樹脂皮膜の加工密着性が優れており、絞りしごき加工を施してDI缶に成形しても有機樹脂皮膜が剥離することがない。そのため本発明のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板は、特に腐食性の高い内容物を充填するDI缶用の樹脂被覆錫めっき鋼板として好適に適用できる。
以下、本発明の内容を説明する。本発明のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板の錫めっきを施す鋼板としては、通常のアルミキルド鋼の熱間圧延板を冷間圧延し焼鈍した後に、調質圧延した冷延鋼板、または焼鈍後さらに冷間圧延して強度を増加させた冷延鋼板が、用途に応じて選択的に用いられる。これらの冷延鋼板をアルカリ水溶液中で電解脱脂し塩酸や硫酸などの鉱酸の水溶液中で酸洗した後、鋼板上に錫めっき層を形成させる。錫めっき鋼板としては、公知のフェロスタン浴やハロゲン浴を用いて錫を電気めっきしたままの錫めっき鋼板(ノーリフローぶりき)、錫を電気めっきした後、錫の融点以上の温度に加熱し、錫を溶融させた後に水中に急冷する処理(リフロー処理)を施して得られる通常の光沢表面を有する錫めっき鋼板(リフローぶりき)がある。また、これらの錫めっき鋼板の他に、鋼板にNiめっきまたはNi−Fe合金めっきを施し、その上層に錫を電気めっきした後に錫の融点以上の温度に加熱し、次いで水中に急冷するなどの方法を用いて、島状(不連続な斑状)の錫層を形成させた島状錫めっき鋼板なども用いることができる。
これらの錫めっき鋼板の錫めっき量としては耐食性および経済性の観点から下記の範囲にあることが好ましい。すなわち、ノーリフローぶりきの場合は0.5〜12g/mの範囲であることが好ましく、1〜8g/mの範囲であることがより好ましい。リフローぶりきの場合は鋼板と錫めっき層の海面にFe−Sn合金層が形成されるので、錫の犠牲溶解の効果を発揮させるためにめっき鋼板の表面に合金化されない錫層を残す必要があることから0.8〜12g/mの範囲であることが好ましく、2〜8g/mの範囲であることがより好ましい。
島状錫めっき鋼板の場合は、錫めっきを施す前に鋼板に施すNiめっきまたはNi−Fe合金めっきの量が0.005〜0.1g/m、その上層に施す錫めっきの量が0.5〜2.5g/mの範囲であることが好ましい。このようなめっき量で鋼板上にそれぞれのめっき層を形成させた後、錫の融点以上の温度に加熱することにより、表面に錫が島状もしくは斑状に分散して存在する島状錫めっき鋼板を得ることができる。
錫は大気中に長時間放置されたり加熱されると表面に容易に酸化皮膜が形成される。錫めっき層上に酸化皮膜が形成した錫めっき鋼板に塗装やフィルム積層などの方法を用いて有機皮膜を形成して絞り加工や絞りしごき加工を施した場合、錫めっき層と有機皮膜の加工密着性が十分ではなく、剥離することがある。そのため、鋼板に錫めっきを施した後、後記するエマルジョン系樹脂を用いた有機処理を施す前に清浄化処理を施して、錫層の表面に生成している錫の酸化皮膜を取り除いて表面を清浄化してもよい。
清浄化処理としては特開2003−231989号公報に詳細が記載されている以下に示す処理を挙げることができる。
(1)アルカリ金属またはアンモニウムの炭酸塩、もしくは重炭酸塩のいずれかの水溶液中における陰極電解処理
(2)亜塩素酸ナトリウムとリン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液中における浸漬処理
(3)トリアジンチオール化合物の水溶液中における陰極電解処理
上記のようにして鋼板上に錫めっき層を形成させ、または必要に応じてさらに清浄化処理を施した後、錫めっき鋼板にエマルジョン系樹脂を用いた有機処理を施して有機処理層を形成させる。エマルジョン系樹脂としては水性アクリルエマルジョン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体、またはポリエステル樹脂エマルジョンのいずれかを用いることが好ましい。
水性アクリルエマルジョン樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブチルアクリレート、イタコン酸などのアクリル系モノマーの共重合体、またはこれらのモノマーとスチレン、酢酸ビニル、ビニルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、アクリロニトリルなどの不飽和モノマーとの共重合体を挙げることができる。
変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体としては、ポリオレフィンにα、β−不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフト重合して変性した変性ポリオレフィン樹脂に、反応性界面活性剤をを添加して水性化したものを用いる。ポリオレフィンとしてはエチレンもしくはプロピレンの単独重合体、またはエチレンもしくはプロピレンとブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などの炭素数2以上のα−オレフィンの1種または2種以上との共重合体を挙げることができる。
これらのポリオレフィンの変性に用いるα、β−不飽和カルボン酸またはその無水物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、アコニット酸、およびこれらの酸無水物を挙げることができる。
反応性界面活性剤としてはアルキルペニルフェノールポリオチレンオキシド付加体、アルキルジプロペニルフェノールポリオチレンオキシド付加体、およびそれらの硫酸エステル塩を挙げることができる。
ポリエステル樹脂エマルジョンとしては、多価カルボン酸またはそのエステル形成誘導体と多価ヒドロキシ化合物を反応させて製造する際に、ポリマー分子中に親水基を有する化合物を反応させた親水性ポリエステル樹脂を用いる。ポリエステル樹脂エマルジョンは飽和共重合ポリエステル樹脂が望ましく、分子鎖末端に水酸基とカルボキシル基を持っていることが望ましい。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、トリメシン酸を挙げることができる。
多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、P−キシレングリコール、1,6−ヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体を挙げることができる。
親水基を有する化合物としては、トリメリット酸ナトリウム、トリメシン酸アンモニウム、ジメチロールプロピオン酸カリウム、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールを挙げることができる。
上記のポリエステル樹脂の分子量は8000〜17000であることが好ましく、10000〜15000であることがより好ましい。分子量がこの範囲をはずれる場合は十分な加工密着性が得られない。また、ガラス転移温度が15℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。15℃未満の場合、絞りしごき加工時の発熱により軟化し、密着性が低下してしまう。
これらのエマルジョン系樹脂を、ロールコート法などの公知の方法を用いて錫めっき鋼板のの表面に塗布し、乾燥固化して有機処理層とする。有機処理層の厚さは乾燥固化後の厚さで0.5〜2000mg/mであることが好ましく、0.5〜500mg/mであることがより好ましい。0.5〜2000mg/mの好適範囲をはずれる場合は十分な加工密着性が得られない。
本発明のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板は、上記のようにして鋼板に錫めっきを施し次いで有機処理を施した後、その上に有機樹脂フィルムを積層被覆することにより得られる。有機樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体、ブチレンテレフタレート・ブチレンイソフタレート共重合体、エチレンテレフタレートを構成するテレフタル酸の一部をイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、トリメシン酸などの他の多価カルボン酸で置換してなる共重合体、エチレンテレフタレートを構成するエチレングリコールを1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、P−キシレングリコール、1,6−ヘキサンジメタノールなどの、他の多価アルコールで置換してなる共重合体、またはこれらの多価カルボン酸と多価アルコールの重合体などのポリエステル樹脂、あるいはこれらのポリエステル樹脂の2種類以上をブレンドした樹脂からなるフィルム、これらのポリエステル樹脂の2種類以上を積層してなる複層樹脂フィルムなどを用いることができる。
上記のポリエステル樹脂フィルム以外に、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、およびこれらをマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、アコニット酸などのα、β−不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフト重合して変性したもの、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体などのポリオレフィン樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロンなどのポリアミド樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、さらに上記のポリエステル樹脂とアイオノマーをブレンドしたものなどからなるフィルムを用いることができる。
これらの樹脂フィルムは錫めっき鋼板の少なくともDI缶に成形加工した際の内面となる側に積層被覆するが、両面に積層被覆してもよい。両面に積層被覆する場合、DI缶に成形加工した際の外面となる側に積層被覆する樹脂フィルムとしては、用途によっては錫めっき鋼板の錫めっき層を隠蔽し、印刷下地とするために樹脂に二酸化チタンなどの顔料を含有させた着色フィルムを用いてもよい。また、用途によってはDI缶に成形加工した際の外面となる側に着色フィルムを用いてもよい。
これらの樹脂フィルムの厚さは、錫めっき鋼板上へのフィルム積層作業のし易さ、樹脂フィルムを積層被覆した錫めっき鋼板を絞りしごき加工した後のDI缶における樹脂フィルムの接着強度、耐食性および経済性の観点から10〜100μmであることが好ましい。
これらの樹脂フィルムは、樹脂ペレットを加熱溶融し、それを押出機のTダイから直接上記の有機処理層を設けた錫めっき鋼板上に押し出して積層被覆してもよいし、樹脂ペレットを加熱溶融し、それを押出機のTダイから押し出した所望の厚さのフィルムに製膜したものを、熱接着法を用いて上記の有機処理層を設けた錫めっき鋼板に熱接着してもよい。以上のようにして本発明のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板を得ることができる。
上記のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板に、以下のように絞りしごき加工してDI缶に成形する。すなわち、DI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板から打ち抜いたブランクを1段または複数段の絞りダイスを用いてカップ状体に絞り加工する。次いで1段または複数段のしごきダイスを用い、カップ状体の側壁部の厚さよりも小さく設定したしごきダイスとパンチの間のクリアランス部分にカップ状体の側壁部を強制的に押し込んで、側壁部を薄肉化しながら側壁高さを高めるしごき加工を施す。このようにして、比較的缶径が小さく、缶側壁高さが高く、かつ側壁部の厚さが薄いDI缶を成形する。
このように成形加工されたDI缶は上端開口部の高さが不揃いであるので、缶高さを一定に揃えるために上端部を切断除去するトリミングを行う。次いで絞りしごき加工による加工応力を緩和し、接着強度を高めるためにDI缶を樹脂フィルムのガラス転移温度以上、樹脂フィルムの溶融温度以下に加熱する。このようにして、本発明のDI缶が得られるが、樹脂フィルムと錫めっき鋼板の密着性が十分でない場合は、絞り加工時ややしごき加工時に樹脂フィルムが剥離する、しごき加工時に缶体が破胴して成形不能になる、また、しごき加工後またはしごき加工後に缶を加熱する際に樹脂フィルムが剥離する、などの障害が発生し、実用可能なDI缶が得られない。
以下、実施例にて本発明を詳細に説明する。
(錫めっき鋼板の作成)
板厚:0.18mm、テンパー:T−2.5の冷延鋼板を、アルカリ水溶液中で電解脱脂し水洗し、次いで硫酸酸洗し水洗した後、公知のフェロスタン浴を用いて表1に示す付着量で錫めっき層を形成させて錫めっき鋼板とした。一部の錫めっき鋼板は錫めっき層を形成させた後にリフロー処理を施した。次いで表1に示す7種類のエマルジョン系の樹脂溶液をロールコート法を用いて表1に乾燥固化後の付着厚さとなるように錫めっき鋼板の両面に塗布し、100℃で90秒間加熱して乾燥固化し有機処理層を形成させ、表1に試料番号1〜9で示す錫めっき鋼板とした。また比較材として鋼板に錫めっき層を形成させたもの(試料番号10)、鋼板に錫めっき層を形成させた後にリフロー処理を施したもの(試料番号11)、次いでアミノ系シランカップリンブ剤水溶液を乾燥後の付着量が10mg/m(Siとして)となるように塗布乾燥したもの(試料番号12、13)、または電解クロム酸処理を施して付着量:12mg/mの金属クロム層と付着量:9mg/mのクロム水和酸化物層の2層を形成させたもの(試料番号14)を作成した。
Figure 2007176149
(樹脂被覆錫めっき鋼板の作成)
表1に示す試料番号1〜14の錫めっき鋼板を210℃に加熱し、その片面に上層がエチレンテレフタレート95モル%・エチレンイソフタレート5モル%共重合体(厚さ:4μm)、下層がエチレンテレフタレート85モル%・エチレンイソフタレート15モル%共重合体(厚さ:24μm)からなる2層の共重合ポリエステル樹脂フィルム(全厚さ:28μm)を当接し、錫めっき鋼板の他の片面に二酸化チタンの白色顔料を20重量%含有するエチレンテレフタレート90モル%・エチレンイソフタレート10モル%共重合体(厚さ:16μm)からなる白色の共重合ポリエステル樹脂フィルムを当接し、1対のラミネートロールで挟み付けて圧着した後、水中に急冷し、試料番号1〜14の樹脂被覆錫めっき鋼板とした。
(DI缶の成形)
試料番号1〜14の樹脂被覆錫めっき鋼板を、直径:154mmのブランクに打ち抜いた後、白色のポリエステル樹脂フィルムを積層被覆した側が缶外面側となるようにして第1段の絞り加工で缶径:91mmのカップ状体に成形し、次いで第2段の絞り加工で缶径:66mmのカップ状体に成形した後、3段のしごき加工を施し、缶径:66mm、缶高さ:約133mmのDI缶に成形した。次いで缶高さ123mmとなるように缶上端部をトリミングして缶高さを一定に揃えた後、210℃で3分間加熱し、加工応力を緩和した。このようにして試料番号1〜14のDI缶とした。
(特性評価)
以上のようにして得られた試料番号1〜14のDI缶を各試料番号についてそれぞれ300缶成形し、下記の特性を評価した。
[破胴発生の有無]
試料番号1〜14のDI缶のしごき加工工程におけ破胴発生の有無を評価した。
[樹脂フィルムの剥離]
試料番号1〜14のDI缶の各成形工程における樹脂フィルムの剥離の有無を肉眼観察した。また、最終工程のトリミング後の加熱後の缶上端部樹脂フィルムの剥離の程度を肉眼観察し、下記の基準で評価した。
◎:樹脂フィルムの剥離は認められない。
○:缶上端部に実用上問題とならない極くわずかな樹脂フィルムの剥離が認めらる。
△:缶上端部に実用上問題となるわずかな樹脂フィルムの剥離が認めらる。
×:缶上部にかなりの程度の樹脂フィルムの剥離が認めらる。
これらの評価結果を表2に示す。表2に示すように、本発明のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板はいずれも樹脂フィルムの密着性に優れており、安定してDI缶に成形加工することが可能である。
Figure 2007176149
缶に充填する高腐食性の内容物に対して、下地鋼板の耐食性を高めるために錫めっき量を増加した錫めっき鋼板に有機樹脂を積層被覆した本発明のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板は、錫めっき量を増加したにもかかわらず、有機樹脂皮膜の加工密着性が優れており、絞りしごき加工を施してDI缶に成形しても有機樹脂皮膜が剥離することがく、安定してDI缶に成形加工することが可能である。そのため、特に腐食性の高い内容物を充填するDI缶用の樹脂被覆錫めっき鋼板として好適に適用可能である。

Claims (9)

  1. 錫めっき鋼板の少なくとも片面の錫めっき層上にエマルジョン系樹脂を用いた有機処理層を有し、該有機処理層上に有機樹脂フィルムを積層してなるDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板。
  2. 前記エマルジョン系樹脂が水性アクリルエマルジョン樹脂である、請求項1に記載のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板。
  3. 前記エマルジョン系樹脂が変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体である、請求項1に記載のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板。
  4. 前記エマルジョン系樹脂がポリエステル樹脂エマルジョンである、請求項1に記載のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板。
  5. 前記ポリエステル樹脂の分子量が8000〜17000である、請求項4に記載のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板。
  6. 前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度が15℃以上である、請求項4に記載のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板。
  7. 前記有機処理層の厚さが0.5〜2000mg/mである、請求項1〜6のいずれかに記載のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板。
  8. 前記錫めっき鋼板の錫めっき量が0.5〜12g/mである、請求項1〜7のいずれかに記載のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のDI缶用樹脂被覆錫めっき鋼板を絞りしごき加工してなるDI缶。
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