JPH11207860A - 熱可塑性樹脂被覆アルミニウム又はアルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂被覆アルミニウム又はアルミニウム合金板及びその製造方法

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JPH11207860A
JPH11207860A JP10033649A JP3364998A JPH11207860A JP H11207860 A JPH11207860 A JP H11207860A JP 10033649 A JP10033649 A JP 10033649A JP 3364998 A JP3364998 A JP 3364998A JP H11207860 A JPH11207860 A JP H11207860A
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aluminum
film
thermoplastic resin
alloy plate
resin
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JP10033649A
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Inventor
Nobuo Hattori
伸郎 服部
Masanobu Fukui
正信 福井
Shunichiro Maezono
俊一郎 前園
Koichi Hatanaka
孝一 畑中
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過酷な条件で絞り加工又は絞りしごき加工を
施しても、表面に形成された熱可塑性樹脂皮膜が剥離す
ることがなく、優れた密着性を得ることができる熱可塑
性樹脂被覆アルミニウム又はアルミニウム合金板及びそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂被覆アルミニウム又はアル
ミニウム合金板は、アルミニウム又はアルミニウム合金
板と、このアルミニウム又はアルミニウム合金板の上に
形成された陽極酸化皮膜と、この陽極酸化皮膜の上に形
成された熱可塑性樹脂皮膜とを有する。前記陽極酸化皮
膜は、膜厚が0.1乃至1μmであると共に、直径が1
0nm以上の孔を有する領域の面積が全体の面積の75
%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は絞り加工が施される
熱可塑性樹脂被覆アルミニウム又はアルミニウム合金板
及びその製造方法に関し、特に、絞り比が2.5を超え
る絞り加工又は絞りしごき加工を施しても、加工後の樹
脂皮膜密着性が優れている熱可塑性樹脂被覆アルミニウ
ム又はアルミニウム合金板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム又はアルミニウム合金(以
下、総称してアルミニウムという)からなる薄板は、絞
り加工が施された後、種々の用途に使用されている。こ
の代表的な例としては、ガラス瓶及びポリエチレンテレ
フタレート(PET)からなるボトル等の容器のキャッ
プがある。このキャップの腐食を防止するために、その
表面上に樹脂皮膜層を形成することにより、キャップに
耐食性が付与されている。
【0003】アルミニウム板からキャップを形成する場
合には、一般的に、以下に示す方法で樹脂皮膜層が形成
される。先ず、予めアルミニウム板の表面を脱脂した
後、リン酸クロメート処理又はジルコニウム系塗布型表
面処理を施す。次に、この処理材の上に、片面ずつ交互
に熱硬化性樹脂系の焼付塗料を塗装した後、この塗装板
に絞り加工を施す。
【0004】他に、アルミニウム薄板に絞りしごき加工
を施して製品を加工する代表的な例としては、飲料缶の
缶胴がある。アルミニウム飲料缶を形成する場合には、
先ず、圧延されたアルミニウムコイルを絞りしごき加工
により缶胴形状に加工した後、各加工材に対して脱脂及
びジルコニウム系化成処理を実施する。次いで、この処
理材の上にエポキシ樹脂系の熱硬化性樹脂焼付け塗料を
スプレー塗布し、これを焼き付ける。その後、この上に
印刷を施し、缶胴のエッジの部分に対してネッキング加
工及びフランジング加工が施される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アルミ
ニウム板からキャップ又は飲料缶用缶胴を形成する場合
には、以下に示す問題点がある。即ち、熱硬化性樹脂系
の塗料を塗装した塗装板を絞り加工してキャップを形成
する場合に、塗装により得られた樹脂皮膜は伸びが小さ
いので、例えば絞り比が2.5以上となる厳しい加工が
塗装板に施されると、樹脂皮膜が加工に追従できず、樹
脂皮膜にクラックが発生したり、キャップのエッジの部
分におけるアルミニウム材と樹脂皮膜との密着性が低下
して、剥離することがある。
【0006】また、アルミニウム薄板を絞りしごき加工
により缶胴形状に加工する場合には、缶胴の側面の板厚
は加工前の板厚の約1/3となり、アルミニウム薄板は
極めて過酷なしごき加工を受ける。そして、このしごき
加工の後に、缶胴のエッジの部分は、更にネッキング加
工及びフランジング加工を受ける。従って、キャップを
形成する場合と同様に、予め樹脂皮膜が形成された塗装
板に対してしごき加工が施されると、樹脂皮膜にクラッ
クが発生したり、アルミニウム材と樹脂皮膜との密着性
が低下して剥離することがある。即ち、伸びが小さい熱
硬化性樹脂皮膜をアルミニウム薄板の上に形成する場合
において、予め樹脂皮膜が塗装されている塗装板を加工
する技術(プレコート加工技術)は確立されていない。
【0007】熱硬化性樹脂皮膜の伸びが小さくなるの
は、熱硬化性樹脂が焼付工程で架橋反応により網目状に
結合して、分子鎖の自由な運動が阻害されるためであ
る。従って、生産性が高いプレコートアルミニウム板に
対して過酷な加工を施す場合には、伸びが大きい樹脂を
使用することが必要であるので、熱可塑性樹脂を選択す
ることが極めて重要となる。
【0008】熱可塑性樹脂皮膜を金属板の上に被覆する
技術としては、予め予熱した金属板の上に熱可塑性樹脂
フィルムを積層して被着させる方法、及び金属板の上に
樹脂接着剤層を形成しておき、この樹脂接着剤層の上に
熱可塑性樹脂フィルムを積層して接着する方法がある。
これらのいずれの方法についても、鉄製の金属板を使用
する場合には、すでに実用化されており、飲料缶に使用
されている。しかし、アルミニウム板の表面上に熱可塑
性樹脂フィルムを被着させてプレコートアルミニウム板
を作製し、これをキャップ又は缶胴の製造に使用する
と、熱硬化性樹脂を使用した場合と同様に、樹脂の剥離
が発生する。このように、アルミニウム板の上に熱可塑
性樹脂フィルムを密着性良く被着させる技術は未だ開発
されていない。
【0009】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、過酷な条件で絞り加工又は絞りしごき加工
を施しても、表面に形成された熱可塑性樹脂皮膜が剥離
することがなく、優れた密着性を得ることができる熱可
塑性樹脂被覆アルミニウム又はアルミニウム合金板及び
その製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る熱可塑性樹
脂被覆アルミニウム又はアルミニウム合金板は、アルミ
ニウム又はアルミニウム合金板と、このアルミニウム又
はアルミニウム合金板の上に0.1乃至1μmの膜厚で
形成された陽極酸化皮膜と、この陽極酸化皮膜の上に形
成された熱可塑性樹脂皮膜とを有し、前記陽極酸化皮膜
は、直径が10nm以上の孔を有する領域の面積が全体
の面積の75%以上であることを特徴とする。
【0011】前記陽極酸化皮膜は、リン酸アルマイト処
理皮膜及びシュウ酸アルマイト処理皮膜からなる群から
選択された少なくとも1種の処理皮膜であることが好ま
しく、前記熱可塑性樹脂皮膜は、ポリオレフィン系樹
脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂からなる
群から選択された少なくとも1種の樹脂からなることが
望ましい。
【0012】本発明に係る熱可塑性樹脂被覆アルミニウ
ム又はアルミニウム合金板の製造方法は、アルミニウム
又はアルミニウム合金板の表面に陽極酸化処理を施し
て、直径が10nm以上の孔を有する領域の面積が全体
の面積の75%以上である陽極酸化皮膜を0.1乃至1
μmの膜厚で形成する工程と、前記陽極酸化皮膜の上に
熱可塑性樹脂皮膜を形成する工程とを有することを特徴
とする。
【0013】この陽極酸化皮膜を形成する工程において
は、リン酸アルマイト処理及びシュウ酸アルマイト処理
からなる群から選択された少なくとも1種の処理方法を
使用することが好ましく、前記熱可塑性樹脂皮膜は、ポ
リオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミ
ド系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹
脂からなることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本願発明者等は、熱可塑性樹脂皮
膜とアルミニウム板との密着性が低い原因について、種
々研究を行った。その結果、熱可塑性樹脂を溶融させた
ときの粘度は、一般的な塗料の粘度と比較して高いの
で、アルミニウム板の表面の凹凸に沿って熱可塑性樹脂
皮膜が被着されにくいことを見い出した。即ち、通常の
アルミニウム板の粗面では、凹みの内部に熱可塑性樹脂
が侵入しにくく、熱可塑性樹脂の密着性を向上させるこ
とが困難である。
【0015】本発明においては、アルミニウム板の表面
に陽極酸化処理を施して陽極酸化皮膜を形成した後に、
この上に熱可塑性樹脂皮膜を形成する。アルミニウム板
の表面に陽極酸化処理を施すと、このアルミニウム板の
上には、蜂の巣状に形成された円筒状の孔を有する酸化
アルミニウム皮膜が形成されることは公知である。この
皮膜に形成される孔の大きさ及び皮膜の厚さは陽極酸化
処理の処理条件によって変化するが、一般的には、孔の
直径は主として陽極酸化処理液の組成に依存し、皮膜の
厚さは通電条件及び処理時間に依存する。
【0016】そこで、本発明においては、陽極酸化処理
の処理条件を制御して、直径が10nm以上の孔を有す
る領域の面積が全体の面積の75%以上となるように陽
極酸化皮膜を0.1乃至1μmの膜厚で形成する。孔の
直径を10nm以上となるように陽極酸化皮膜を形成す
ると、この皮膜の表面から熱可塑性樹脂を加熱溶融しな
がら積層した場合に、溶融した熱可塑性樹脂が陽極酸化
皮膜の孔の内部に侵入する。そして、侵入した熱可塑性
樹脂は冷却後に固化するので、投錨効果によって熱可塑
性樹脂皮膜と陽極酸化皮膜との密着性を向上させること
ができる。なお、孔に熱可塑性樹脂が侵入している状態
は、得られた樹脂皮膜を強制的に剥離したときの表面を
走査電子顕微鏡で拡大することにより、容易に確認する
ことができる。
【0017】また、直径が10nm以上である孔を有す
る陽極酸化皮膜をアルミニウム板の上に形成すると、ア
ルミニウム板に加工を施す前における樹脂皮膜と陽極酸
化皮膜との密着性を向上させることができるのみでな
く、このアルミニウム板に絞り加工を施した後であって
も、樹脂皮膜の密着性を強固なものにすることができ
る。これは、陽極酸化皮膜が高い硬度を有しているの
で、絞り加工を施した後でも孔の殆どがその形状を維持
しているからである。従って、絞り加工を施した後で
も、熱可塑性樹脂の陽極酸化皮膜との密着性の低下を防
止することができる。
【0018】陽極酸化皮膜に形成される孔の直径が10
nm未満であると、この孔の内部に熱可塑性樹脂が侵入
することができなくなり、投錨効果による密着性の向上
効果を得ることができず、絞り加工後の樹脂皮膜の密着
性が低下する。なお、陽極酸化皮膜に形成される孔の直
径の上限については、特に制限するものではないが、通
常の陽極酸化処理により得られる皮膜に形成される直径
であればよい。例えば、陽極酸化処理によって直径が1
0μmである孔を形成することができた場合であって
も、本発明の効果を得ることができる。
【0019】また、直径が10nm以上である孔を有す
る領域の面積が陽極酸化皮膜全体の面積の75%未満で
あると、熱可塑性樹脂が侵入することができる孔の数が
減少するので、樹脂皮膜の密着性を向上させる効果を十
分に得ることができなくなる。従って、本発明において
は、直径が10nm以上の孔を有する領域の面積が全体
の面積の75%以上となるように陽極酸化皮膜を形成す
るものとする。
【0020】なお、陽極酸化処理以外に、例えばベーマ
イト処理又は電解エッチング処理等の表面処理方法を使
用しても、アルミニウム板の上に微細な凹凸を有する皮
膜を形成することはできる。これらの処理により形成さ
れる微細な凹凸の形状は、陽極酸化皮膜に形成される孔
の形状とは異なったものとなるが、熱可塑性樹脂を加熱
溶融しながらこの皮膜上に積層すると、凹凸面の凹部に
樹脂が侵入する。しかし、これらの微細な凹凸は、陽極
酸化皮膜に形成された孔と比較して硬度が低く、脆弱な
ものである。従って、ベーマイト処理又は電解エッチン
グ処理等の表面処理が施されたアルミニウム板上に熱可
塑性樹脂皮膜を形成した後に絞り加工すると、凹凸自体
が破壊され、絞り加工後の樹脂皮膜の密着性が低下す
る。このように、凹凸及び孔の硬度は絞り加工後の樹脂
皮膜の密着性に大きく影響を及ぼし、ベーマイト処理又
は電解エッチング処理等の表面処理により得られた微細
な凹凸は硬度が低いので、この表面処理皮膜の上に形成
された樹脂皮膜は絞り加工後に剥離することがある。
【0021】更に、本発明においては、陽極酸化皮膜の
膜厚を規定している。この膜厚が0.1μm未満である
と、孔の深さが不足し、樹脂皮膜の密着性を向上させる
効果を得ることができない。一方、陽極酸化皮膜の膜厚
が1μmを超えると、絞り加工時に陽極酸化皮膜が受け
る変形が大きくなるので、クラックの発生が増加し、絞
り加工後の密着性が低下する原因となる。また、1μm
を超える膜厚で陽極酸化皮膜を形成しようとすると、長
時間の陽極酸化処理が必要となり、生産性が低いものと
なる。従って、本発明においては、陽極酸化皮膜の膜厚
を0.1乃至1μmとする。
【0022】なお、本発明において、アルミニウム板に
施す陽極酸化処理の処理浴の種類、並びに陽極酸化皮膜
上に形成する熱可塑性樹脂皮膜の種類及びその形成方法
については、特に制限するものではない。陽極酸化処理
の処理浴としては、例えば、10nm以上の大きい直径
を有する孔が形成されやすいリン酸浴又はシュウ酸浴を
使用することが好ましい。熱可塑性樹脂皮膜の種類は、
加工後の耐食性及び原料コストによって選択することが
でき、例えば、ポリオレフィン系樹脂を使用すると、原
料コストが低いものとなるので好ましく、ポリエステル
系樹脂又はポリアミド系樹脂を使用すると、樹脂皮膜の
接着性が良好となるので好ましい。
【0023】また、熱可塑性樹脂の積層方法としては、
予め陽極酸化処理が施された後、予熱されたアルミニウ
ムコイルの上に熱可塑性フィルムをロールで押圧するこ
とにより、熱可塑性樹脂皮膜をアルミニウム板の上に貼
り合わせる方法を使用することができる。他に、熱可塑
性樹脂ペレットを加熱溶融させた後、この溶融樹脂を押
出機によりアルミニウム板上にフィルム状に押出してロ
ールで押圧することにより、熱可塑性樹脂皮膜をアルミ
ニウム板の上に貼り合わせる方法又は熱可塑性樹脂フィ
ルムをアルミニウム板の上に配置して、両者をホットプ
レスにより加熱しつつ加圧することにより両者を張り合
わせる方法等を使用することができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明に係る熱可塑性樹脂被覆アルミ
ニウム又はアルミニウム合金板の実施例についてその比
較例と比較して具体的に説明する。第1実施例として、
先ず、板厚が0.24mmであるJIS A1200
H34のアルミニウム板の両面に下記表1及び2に示す
下地処理を施して皮膜を形成した後、この処理材の両面
に下記表3に示す樹脂フィルムをラミネートすることに
より、試験板を作製した。ラミネートの方法としては、
ホットプレスにより樹脂フィルムを処理材の両面に仮接
着する工程と、樹脂フィルムの密着性向上及び樹脂フィ
ルムの非晶質化を目的とした再加熱(リメルト)水冷工
程との2工程とした。
【0025】仮接着工程としては、先ず、アルミニウム
板の両面に樹脂フィルムを重ねて配置し、更に、この両
面にテフロンシートを重ねて配置した。次に、これらの
積層材をポットプレスにセットし、1kg/cm2の面
圧で60秒間予熱した後、これを40kg/cm2の面
圧で300秒間加圧することにより、樹脂フィルムをア
ルミニウム板に接着させた。このときの加熱温度につい
ては、下記表4に示すように、樹脂フィルムの種類によ
って選択した。その後のリメルト工程としては、仮接着
後の積層板を加熱した後、直ちに水冷した。リメルト工
程における加熱温度及び加熱時間を下記表4に併せて示
す。
【0026】次いで、各処理材の両面に、全ての組み合
わせで樹脂フィルムを形成することにより得られた試験
板を絞り加工することによりカップ形状に成形し、カッ
プの外側面における樹脂フィルムの剥離状態により加工
密着性を評価した。絞り加工時においては、直径が8
7.6mmであるブランクを使用し、絞り加工及び2回
の再絞り加工により、絞り比が3.0となるように加工
した。加工密着性の評価結果を下記表5に示す。但し、
加工密着性は、加工後のカップの外側面を観察すること
により評価し、外側面の樹脂フィルムが全面剥離してい
るものを×、部分的に剥離しているものを△、加工後の
剥離は発生していないが、粘着テープを使用した剥離試
験によって容易に樹脂フィルムが剥離したものを○と
し、加工後に剥離が発生しないと共に、粘着テープを使
用した剥離試験によっても樹脂フィルムの剥離が発生し
なかったものを◎とした。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】上記表1乃至5に示すように、リン酸アル
マイト処理又はシュウ酸アルマイト処理により陽極酸化
皮膜を形成した実施例No.1及び2は、陽極酸化皮膜
において直径が10nm以上の孔を有する領域の面積率
及び陽極酸化皮膜の厚さが適切に規制されているので、
いずれの熱可塑性樹脂皮膜を形成した場合であっても、
樹脂皮膜と陽極酸化皮膜との良好な密着性を得ることが
できた。
【0033】一方、比較例No.3、5、6、7及び8
はアルミニウム板の表面に孔又は凹凸が形成されたもの
であり、下地処理皮膜における直径が10nm以上の孔
を有する領域の面積率が本発明範囲の下限未満であるの
で、熱可塑性樹脂皮膜の種類によっては、密着性が低下
したものがあった。比較例No.4及び9は、陽極酸化
処理以外の方法でアルミニウム板の表面に凹凸を形成し
たものであるので、凹凸の硬度が低くなり、熱可塑性樹
脂皮膜の種類によっては、密着性が低下したものがあっ
た。
【0034】次に、第2実施例として、板厚が0.24
mmであるJIS A1200 H34のアルミニウム
板の両面に硫酸アルマイト処理を施して、種々の膜厚で
陽極酸化皮膜を形成した後、この処理材の両面に膜厚が
30μmであるポリエチレンフィルムをラミネートする
ことにより、試験板を作製した。ラミネートの方法は、
第1実施例と同様とし、仮接着温度は135℃、リメル
ト温度は130℃とし、リメルト時間は120秒間とし
た。その後、全ての試験材に対して、第1実施例と同様
の方法及び条件で絞り加工試験を実施し、成形されたカ
ップの外側面における樹脂皮膜の剥離状態を観察するこ
とにより、加工密着性を評価した。これらの評価結果を
下記表6に示す。
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】上記表6及び7に示すように、実施例N
o.11は陽極酸化皮膜の膜厚が適切に規制されている
ので、熱可塑性樹脂皮膜と陽極酸化皮膜との間で優れた
密着性を得ることができた。一方、比較例No.12及
び13は、陽極酸化皮膜の膜厚が本発明に規定する範囲
から外れているので、樹脂皮膜と陽極酸化皮膜との間の
密着性が低下した。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
アルミニウム又はアルミニウム合金板の上に孔を有する
陽極酸化皮膜が形成されており、この陽極酸化皮膜の膜
厚及び10nm以上の直径の孔を有する領域の面積率が
適切に規定されているので、この陽極酸化皮膜の上に熱
可塑性樹脂皮膜を形成した後に、絞り比が2.5以上と
なるような過酷な条件で絞り加工又は絞りしごき加工を
施しても、熱可塑性樹脂皮膜がアルミニウム又はアルミ
ニウム合金板から剥離することがなく、優れた密着性を
得ることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C25D 11/04 302 C25D 11/04 302 11/18 306 11/18 306Z (72)発明者 畑中 孝一 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金板
    と、このアルミニウム又はアルミニウム合金板の上に
    0.1乃至1μmの膜厚で形成された陽極酸化皮膜と、
    この陽極酸化皮膜の上に形成された熱可塑性樹脂皮膜と
    を有し、前記陽極酸化皮膜は、直径が10nm以上の孔
    を有する領域の面積が全体の面積の75%以上であるこ
    とを特徴とする熱可塑性樹脂被覆アルミニウム又はアル
    ミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 前記陽極酸化皮膜は、リン酸アルマイト
    処理皮膜及びシュウ酸アルマイト処理皮膜からなる群か
    ら選択された少なくとも1種の処理皮膜であることを特
    徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂被覆アルミニウ
    ム又はアルミニウム合金板。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性樹脂皮膜は、ポリオレフィ
    ン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂か
    らなる群から選択された少なくとも1種の樹脂からなる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂
    被覆アルミニウム又はアルミニウム合金板。
  4. 【請求項4】 アルミニウム又はアルミニウム合金板の
    表面に陽極酸化処理を施して、直径が10nm以上の孔
    を有する領域の面積が全体の面積の75%以上である陽
    極酸化皮膜を0.1乃至1μmの膜厚で形成する工程
    と、前記陽極酸化皮膜の上に熱可塑性樹脂皮膜を形成す
    る工程とを有することを特徴とする熱可塑性樹脂被覆ア
    ルミニウム又はアルミニウム合金板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記陽極酸化皮膜を形成する工程におい
    ては、リン酸アルマイト処理及びシュウ酸アルマイト処
    理からなる群から選択された少なくとも1種の処理方法
    を使用することを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性
    樹脂被覆アルミニウム又はアルミニウム合金板の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂皮膜は、ポリオレフィ
    ン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂か
    らなる群から選択された少なくとも1種の樹脂からなる
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の熱可塑性樹脂
    被覆アルミニウム又はアルミニウム合金板の製造方法。
JP10033649A 1998-01-29 1998-01-29 熱可塑性樹脂被覆アルミニウム又はアルミニウム合金板及びその製造方法 Pending JPH11207860A (ja)

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