JP2001310417A - 樹脂被覆金属板 - Google Patents
樹脂被覆金属板Info
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Abstract
に対して優れた耐食性を示し、しかも開口性に優れたイ
ージー・オープン・エンドの缶蓋を得る。 【解決手段】 金属板にポリエチレンテレフタレート系
樹脂フィルムを圧着した後、ポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂フィルムの結晶量が被覆前の原材料フィルムの
結晶量の1.1倍以上2.0倍以下が適当である。結晶
量を増加させるには、金属板に樹脂フィルムを圧着後、
所定の高温度に加熱して一定時間保持することにより達
成できる。
Description
に飲料缶の缶蓋に用いられる易開性を有する樹脂被覆金
属板に関するものである。
各種金属容器が広く使われるようになってきた。とくに
飲料缶としてはスチール缶やアルミニウム缶が多用さ
れ、その蓋部には開口が容易なイージー・オープン・エ
ンドが広く用いられている。また、最近飲料缶等の資源
リサイクルに対する社会的要求が高まっており、さら
に、製造時やリサイクル過程での有害物質の排出抑制な
ど、環境への悪影響がないことが益々重要になってき
た。
が、塗装時の大気中への有機溶剤の排出や、リサイクル
過程で塗料が燃焼する際発生する、ダイオキシン等の有
害物質の発生が問題となっている。このため水溶性塗料
の採用や有害物質を発生しにくい塗料の変更も進んでい
る。しかし、エンド部用素材は焼き付け塗装した後にエ
ンド部にスコア加工を施すため、成形加工時に塗装皮膜
の損傷が生じやすい。このため特に飲料用缶の内側で
は、耐皮膜損傷性に優れたPVC系塗料など塩素を含む
塗料が使用されており、塗装皮膜の厚さも厚くせざるを
得ないのが実状である。
に関する問題を回避して種々の樹脂フィルムをラミネー
トする方法が提案されており、例えばポリエチレンテレ
フタレートなどの、燃焼時に有害ガスの発生しない熱可
塑性樹脂を積層する方法が普及しつつある。この樹脂被
覆金属板は、金属板を予備加熱し、熱可塑性樹脂フィル
ムを一対のロールで加圧圧着することにより、金属板の
片面あるいは両面に熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせ
て製造されている。そして熱可塑性樹脂フィルムを貼り
合わせた後、所定温度に加熱して熱可塑性樹脂フィルム
の結晶量を調整して加工性を改善した後、エンド部に加
工される。
は、イソフタレート等との共重合ポリエチレンテレフタ
レートを2軸延伸した単層フィルムを、錫メッキ鋼板に
貼り合わせた例が開示されている。この例では、共重合
ポリエチレンテレフタレート単層フィルムを貼り合わせ
た後で、ポリエチレンテレフタレートフィルムの面方向
の結晶配向係数が高いと加工性に問題が生じるため、フ
ィルムを貼り合わせた後に面方向の結晶配向係数が低下
する条件下で加熱処理する方法を開示している。
半結晶熱可塑性ポリエステルからなる共押出積層フィル
ムを、アルミニウム合金板に貼り合わせた例が開示され
ている。この例においてもポリエステルフィルムを貼り
合わせたアルミニウム板の加工性を改善するために、半
結晶熱可塑性ポリエステルフィルムを貼り合わせた後、
再加熱してポリエステルフィルムの結晶量を低下させる
方法が開示されている。
り合わせた熱可塑性樹脂フィルムは、開口部を形成する
際やエンド部を胴部に取り付ける巻き締めをする際に、
貼り合わせた熱可塑性樹脂フィルムが剥がれたり傷付い
たりする欠陥が生じることがある。また、貼り合わせた
熱可塑性樹脂フィルムに欠陥が生じると、缶の内容物に
よって金属板が腐食されたり、缶の内容物に缶の金属元
素が溶け出しバリアー性が悪化したりすることが判明し
た。金属板に貼り合わせた熱可塑性樹脂フィルムの結晶
量を下げると、スコア加工性やリベット加工性は改善さ
れるものの、巻き締め性あるいは内容物に対するフレー
バー性が悪化する。
って、特に飲料缶のエンド部でイージー・オープン・エ
ンドとするために使用される熱可塑性積層樹脂フィルム
被覆金属板において、イージー・オープン・エンド用の
スコア加工性やリベット加工性あるいは巻き締め性に優
れ、かつ、内容物に対するフレーバー性やバリア性に優
れ、しかも開缶性にも優れた、全ての性質をバランス良
く兼ね備えた樹脂被覆金属板を提供することを目的とす
る。
するために、金属板に熱可塑性樹脂フィルムを圧着した
後、熱可塑性樹脂フィルムの結晶量を増加させることに
より前記特性を全て兼ね備えた樹脂被覆金属板が得られ
ることを見出した。すなわち、本発明は金属板の少なく
とも1面にポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム
を被覆した樹脂被覆金属板であって、該ポリエチレンテ
レフタレート系樹脂フィルムの結晶量が、金属板に被覆
する前の該ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム
の結晶量よりも多くなっている樹脂被覆金属板である。
このような樹脂被覆金属板とすることにより、スコア加
工性やリベット加工性あるいは巻き締め性に優れ、かつ
フレーバー性やバリア性にも優れた特性を兼ね備えた樹
脂被覆金属板となり、特に飲料缶のイージー・オープン
・エンド用として有用な材料となる。
タレート系樹脂フィルムの結晶量が、前記金属板に被覆
する前の該ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム
の結晶量の1.1倍以上で2.0倍以下である樹脂被覆
金属板とすることが望ましい。被覆後の樹脂フィルムの
結晶量が被覆する前の樹脂フィルムの結晶量の1.1倍
未満では、フレーバー性やバリア性あるいは巻き締め性
が改善されず、2.0倍を越えると材質が脆くなって加
工性が悪化するからである。
タレート系樹脂フィルムを、融点の異なる2層の2軸配
向フィルムの積層体とすることが望ましい。このような
積層構造のフィルムとすれば、融点の低い層で金属板に
しっかり密着させ、融点の高い層で内容物に対するバリ
ア機能を発揮させることが可能となる。
ンテレフタレート系樹脂フィルムのうち、金属板に接し
ない層は、エステル反復単位の全てがエチレンテレフタ
レートであるポリエチレンテレフタレートであり、金属
板に接する層は、エステル反復単位のうち76〜90m
ol%がエチレンテレフタレートであり、10〜24m
ol%がエチレンイソフタレートからなる共重合ポリエ
チレンテレフタレートである積層フィルムとすることが
できる。また、本発明では前記2層のポリエチレンテレ
フタレート系樹脂フィルムのうち、金属板に接しない層
は、エステル反復単位のうち94mol%以上がエチレ
ンテレフタレートであり、6mol%以下がエチレンイ
ソフタレートからなる共重合ポリエチレンテレフタレー
トであり、金属板に接する層は、エステル反復単位のう
ち76〜90mol%がエチレンテレフタレートであ
り、10〜24mol%がエチレンイソフタレートから
なる共重合ポリエチレンテレフタレートである積層フィ
ルムとすることもできる。
フタレート系樹脂フィルムのうち、金属板に接するポリ
エチレンテレフタレート系樹脂フィルムの融点を、金属
板に接しないポリエチレンテレフタレート系樹脂フィル
ムの融点よりも、10〜60℃低いものとする。このよ
うにすれば金属板との圧着容易となり、かつ結晶量の制
御も容易となるからである。
板、アルミニウム合金板あるいは錫メッキ鋼板等が利用
できる。これらの金属板のうち、耐食性が要求され、か
つ衝撃加工や絞り加工が施される缶蓋用の金属板が対象
となる。なかでも飲料缶の蓋部分には、イージー・オー
プン・エンドが広く用いられている。通常はアルミニウ
ム缶の場合でもスチール缶の場合でも、エンド部にはア
ルミニウム合金からなる開口部が使用されている。イー
ジー・オープン・エンドは開口部の優れた開口性が要求
され、衝撃加工によりスコア加工やリベット加工を施し
て開口部を形成した後、胴部に巻き締めして取り付けら
れている。開口部には5000番系、3000番系のア
ルミニウム合金板が使用される。アルミニウム合金板は
冷間圧延により所定の板厚にした後、クロメート処理、
陽極酸化処理あるいはエッチング処理等の表面処理を施
した後、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを
被覆する。
ムは金属板に密着し、開口部のスコア加工にも耐え、耐
食性に優れたものであることが要求される。このためポ
リエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは2層構造の
積層フィルムからなることが好ましい。すなわち、金属
板に接する側のフィルム(以下、内層フィルムとい
う。)には融点が低く、予熱された金属板表面に容易に
圧着できるフィルムを使用する。また、缶の内容物に接
する側のフィルム(以下、外層フィルムという。)に
は、耐食性に優れたフィルムを使用する。そのうえで樹
脂被覆金属板をエンド部材に加工する際の成形加工性に
優れたものとしなければならない。
密着性、耐食性及び加工性等との関係を詳細に調べた結
果、樹脂フィルムの結晶量がこれらの性質に大きく影響
していることを見出した。すなわち、樹脂フィルムの結
晶量が低いほど、スコア加工性やリベット加工性は優れ
るが、一方、巻き締め性が悪化して樹脂フィルムに傷が
生じて、耐食性が劣化するようになることが判明した。
ート系樹脂フィルムは、50%以上の結晶領域と非晶領
域からなる2相が混在した状態になっており、熱処理方
法によって結晶領域の割合が変化し、それに伴って特性
も変化する。本発明では、ポリエチレンテレフタレート
系樹脂フィルムを被覆処理した後に加熱することによ
り、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム中の結
晶量を高めて使用することとした。ここで結晶量の絶対
値を知ることは難しいが、X線回折のプロファイルを比
較することにより、結晶量の増減を知ることができる。
結晶量が高いほどX線回折のピークは強く、シャープな
ピークが現れるからである。そこで本発明ではポリエチ
レンテレフタレート系樹脂フィルムの結晶量を、X線回
折の強度(プロファイルのピーク高さ)で表わすことに
した。すなわち、X線回折によりフィルム面に平行なポ
リエチレンテレフタレート系樹脂結晶の(100)面に
よる回折強度を測定することにより、樹脂フィルムの結
晶量を比較することとした。この回折強度はフィルムの
厚さやX線回折条件に依存するため、原材料として使用
するフィルムと、被覆加工後のフィルムを同一条件で測
定することにより比較することができる。X線回折強度
の測定には、例えばディフラクトメーターを用い、Cu
のKα線を使用し、電圧は30kV、電流は10mAと
して、2θが約26度の位置に生じる回折ピーク高さを
測定することにより行う。
ンテレフタレート系樹脂フィルムの結晶量が、原料フィ
ルムの結晶量よりも高くなっていることを特徴とするも
のである。結晶量の変化はX線回折強度で比較して、被
覆処理した後のX線回折強度が、原料フィルムのX線回
折強度の1.1倍以上2.0倍以下であることが好まし
い。原料フィルムよりも結晶量を高めることにより、ス
コア加工やリベット加工、巻き締め加工等の加工時に被
覆フィルムに欠陥は生ぜず、耐食性に優れたフレーバー
性やバリア性に優れた缶材が得られる利点を有する。X
線回折強度の増加が1.1倍未満ではフレーバー性やバ
リア性が十分でなく、逆に2.0倍を越えると材質が脆
くなり、かえって加工性が悪化する。被覆前のフィルム
密度が1.390g/cm3 以下の場合には、その密度
をX(g/cm3 )とした時に、被覆処理した後のフィ
ルムの結晶量(X線回折強度)が被覆前のフィルムの結
晶量(X線回折強度)の[1.1+90×(1.390
−X)]倍以上であることが好ましい。
ート系樹脂フィルムは、融点の異なる2層の2軸配向フ
ィルムを使用することとした。すなわち、金属板に接す
る内層フィルムは、予熱された金属板表面に容易に圧着
できるように180℃から230℃の融点を有するもの
とし、缶の内容物に接する外層フィルムは加工性を重視
して245℃から265℃の融点を有する通常のフィル
ムを使用する。内層フィルムと外層フィルムの融点の差
は、10℃〜60℃が適当である。外層フィルムの融点
を上記範囲とすることにより、被覆処理後に加熱して結
晶量を制御しやすくするためである。
ル反復単位のうち10mol%〜24mol%がエチレ
ンイソフタレートである共重合ポリエチレンテレフタレ
ートが利用できる。内層フィルムの厚さは0.5〜2μ
mが適当である。外層フィルムとしては、エステル反復
単位の全てがエチレンテレフタレートであるポリエチレ
ンテレフタレート、あるいはエステル反復単位のうち6
mol%以下、好ましくは3mol%以下がエチレンイ
ソフタレートである共重合ポリエチレンテレフタレート
が利用できる。外層フィルムの厚さは5〜30μm、好
ましくは7〜15μmが適当である。このような内層と
外層からなる積層フィルムは、通常共押出して2軸延伸
した後、熱安定化させて結晶量を調整したものである。
について説明する。樹脂フィルムの貼り合わせには、
金属板を加熱する一次加熱装置、加熱された金属板と
樹脂フィルムを圧着するための加圧ロール、樹脂フィ
ルムが圧着された積層板を再加熱する二次加熱装置、
二次加熱された積層板を高温で保持する加熱保温装置、
積層板を冷却する冷却装置を主な構成要素とする貼り
合わせ装置を使用する。金属板はアンコイラーに装着さ
れたコイルによっての一次加熱装置に供給され、所定
の温度に加熱される。樹脂フィルムはの加圧ロールの
両側に配置されたからアンコイラーから供給され、予熱
された金属板の両面に圧着され被覆される。樹脂フィル
ムで被覆された金属板は、の二次加熱装置で加熱、
の加熱保温装置で保持されて、結晶量の調整が行われ
る。このようにして樹脂フィルムが被覆された金属板
は、再度コイル状に巻き取られる。
0℃ないし280℃の温度に予熱する。次いで、の加
圧ローラーで、上記温度に予熱された金属板の表面に樹
脂フィルムを圧着する。この時金属板の温度は若干低下
するものの、120℃ないし240℃を保っていること
が望ましい。なお、金属板と樹脂フィルムの圧着の際に
は外層フィルムの融点を越えないようにする。一次加熱
装置から圧着加圧ロールまでに金属板の温度が若干低下
するので、一次加熱温度は280℃まで上げても差し支
えない。圧着は加圧ローラー通過時に瞬時にして行われ
る。その後、樹脂フィルムを被覆した金属板は、の二
次加熱装置で内層フィルムの融点以上で外層フィルムの
融点以下の温度に加熱し、一定時間保持する。より好ま
しくは内層フィルムの融点よりも10℃〜30℃高い温
度に加熱するのが適当である。ここでは外層フィルムの
融点以下の温度として、外層フィルムを非晶質温度領域
にしないことが重要である。
板を、の加熱保温装置で高温保持する。加熱保温装置
での加熱温度は、上記二次加熱温度から5℃以上低くな
らない温度の範囲内とする。この温度範囲に5秒以上1
20秒以下保持して、被覆された樹脂フィルムの結晶量
の調整を行う。結晶量の調整は加熱温度と加熱時間によ
って決まるが、加熱保温装置での保持時間が5秒以下で
は結晶化が進まず、逆に加熱保温装置での保持時間が1
20秒以上では樹脂フィルムが劣化する。なお、上記説
明では二次加熱装置と加熱保温装置を別々に設ける例に
ついて説明したが、両者を一体に構成して装置内の温度
制御をし、圧着後の樹脂被覆金属板が所定温度範囲に一
定時間保持されるようにしても良いのは勿論である。ま
た、高温保持を行わずに樹脂フィルムを貼り合わせた樹
脂被覆金属板を、前記貼り合わせ装置に再度通過させて
加熱し、結晶量の調整を行っても良い。また、再加熱は
別の装置で行っても良い。
圧着後に従来よりも低温で長時間加熱し、樹脂フィルム
の結晶量を被覆前の原材料フィルムの結晶量よりも高め
る点である。結晶量を適度に高めるためには、二次加熱
の温度と加熱保持する時間が重要である。結晶量を適度
に高めることにより、イージ・オープン・エンド用の缶
材に最適な、スコア加工性、リベット加工性、巻き締め
性及びフレーバー性をバランス良く兼ね備えた樹脂被覆
金属板とすることができる。
る。 (材料)金属板として厚さ0.280mmで、クロムの
付着量が15mg/m2 にクロメート処理を施した51
82アルミニウム合金板を準備した。一方、被覆する樹
脂フィルムとしては表1に示す外層がポリエチレンテレ
フタレート(PET)またはエステル反復単位のうち、
エチレンイソフタレートが3mol%である共重合ポリ
エチレンテレフタレート(共重合PET)、内層がエス
テル反復単位のうちエチレンイソテレフタレートが15
〜22mol%である共重合ポリエチレンテレフタレー
トからなる2層ポリエチレンテレフタレートフィルムを
準備した。この2層ポリエチレンテレフタレートフィル
ムは、共押出し成形後、2軸延伸して熱処理を施したも
のである。各フィルムの融点は表1に示したとおりであ
る。また、これらフィルムの結晶量をX線回折のピーク
高さにより求めた結果も、表1に示した。X線回折強度
の測定には、CuのKα線を用いて電圧:30kV、電
流:10mA、2θのスキャンスピード:2°/分で測
定した。ディフラクトメーターを用い、フィルムは平滑
なアルミニウム板の表面に接着剤で貼り付け、2θが約
26度の位置に出現するピーク高さを計測した。なお、
測定毎のX線光学系の再現性を確認するため、標準試料
の測定を行い、標準試料の回折強度が一定となるように
補正を行った。
ーに装着したアルミニウム合金コイルを一次加熱装置に
かけ、180℃に加熱した後加圧ロールを通し、アルミ
ニウム合金板の両面に表1に示したAからEのポリエチ
レンテレフタレート積層フィルムを圧着した。加圧ロー
ルを通過した直後の樹脂被覆アルミニウム板の温度は、
140℃〜170℃であった。 (二次加熱及び加熱保持)次いで、樹脂被覆アルミニウ
ム板を二次加熱装置に通し、表2に示す加熱温度と加熱
時間で二次加熱した。この際、試料No.1,試料N
o.2,試料No.5,試料No.6及び試料No.7
は二次加熱装置に連続して加熱保温装置を設置し、二次
加熱直後に連続して、表2に示す加熱温度と加熱時間で
加熱保持を行った。また、試料No.3は二次加熱装置
で加熱した後、連続した加熱保温装置による加熱は行わ
ず、別の加熱保温装置に移してから所定温度に再加熱し
て所定時間保持したものである。また、試料No.4は
二次加熱装置で加熱した後、加熱保温装置による加熱保
持は行わず、再度貼り合わせ装置を通して所定温度に再
加熱して所定の時間保持したものである。さらに、比較
のため試料No.8から試料No.10及び試料No.
12〜試料No.18は加熱保温装置による加熱保持は
行わず、二次加熱装置を通過後約4秒経過した後、風冷
冷却装置による強制冷却を行った。また、試料No.1
1は、二次加熱温度より高温で加熱保持を行った。
ミニウム板を用いて、飲料缶用の缶蓋を作成し、以下の
通り各種特性を評価した。評価結果を表2に併記した。 結晶量の測定:X線回折強度の測定は、原材料フィルム
の場合と同様の測定条件で行った。すなわち、ディフラ
クトメーターを用い、フィルム中の結晶面がフィルム面
に平行な場合に回折波が測定されるように、樹脂フィル
ムを積層したアルミニウム合金板の試料をディフラクト
メーターに取り付けた。測定条件はCuのKα線を用い
て電圧:30kV、電流:10mA、2θのスキャンス
ピード:2°/分で測定した。2θが約26度の位置に
出現するピーク高さを計測した。なお、測定毎のX線光
学系の再現性を確認するため、標準試料の測定を行い、
標準試料の回折強度が一定となるように補正を行った。
して1%食塩水を使用し、対極はステンレス電極とし、
缶蓋内面がアノードとなるように電源を接続して両極間
に6.2Vの電圧を負荷し、通電開始4秒後の電流を測
定した。スコア加工時に樹脂フィルムに傷が発生してい
ると、電流が流れるのが検知される。 密着性:缶体に10%エチルアルコール水溶液を窒素ガ
ス充填し、缶蓋を巻き締めして封鎖した。缶蓋が下にな
るように倒置して、55℃で3日間放置した。放置後常
温環境に戻した直後に正置状態でイージー・オープン蓋
を開口した。開口部周辺のフィルムの剥離状況を調べ、
総剥離面積が1mm2 未満の場合を合格(○印)、総剥
離面積が1mm2 以上の場合を不合格(×印)と判定し
た。
10%とクエン酸0.8%を含有するpH2.3の水溶
液を窒素ガス充填し、50℃で10日間保管しておいた
缶蓋を巻き締めして封鎖した。缶蓋が下になるように倒
置して、40℃で30日間放置した。その後、缶内の水
溶液中のアルミニウム濃度を測定した。また、スコア部
内面とリベット部内面の腐食状況を目視で判定し、腐食
が認められない場合はスコア加工性・リベット加工性を
合格(○印)、腐食が認められた場合はスコア加工性・
リベット加工性を不合格(×印)と判定した。さらに、
チャック・ウオール部の腐食状況についても目視で判定
し、腐食が認められない場合はチャック・ウオールを合
格(○印)、腐食が認められた場合はチャック・ウオー
ルを不合格(×印)と判定した。
0及び試料No.12〜試料No.18は、二次加熱後
の保持を行わず、二次加熱装置を瞬時に通過させただけ
である。このため二次加熱によって樹脂フィルムの結晶
量は、被覆前よりも低下しているか増加していても増加
量が低い。二次加熱温度が高いほど結晶量の低下は著し
く、260℃に二次加熱したNo.10及び試料No.
14ではX線回折ピークは現れず、非晶質状態となった
ことを示している。また、試料No.11は加熱保持を
高温で行ったため、結晶量が低下した。これに対して本
発明の実施例である試料No.1〜試料No.7におい
ては、二次加熱後に高温で10秒間保持したので、樹脂
フィルムの結晶量は、いずれも被覆前よりも1.1倍以
上に増加している。
料No.18では、蓋を成形する際にスコア加工部の内
面の樹脂フィルムに亀裂を生じ、ERV値が高くなり、
アルミ溶出試験でもアルミニウムが溶出する。また、ア
ルミ溶出試験時にスコア加工部に腐食が発生しているの
が認められた。また、開口時に樹脂フィルムが剥離しや
すく、密着性が悪いのが認められた。比較例の試料N
o.9〜試料No.11及び試料No.13〜試料N
o.16では、スコア部の樹脂フィルムの損傷程度は比
較的少なく、ERV値も比較的低い。しかし、巻き締め
加工時にチャック・ウオール部の樹脂フィルムに損傷を
生じた。その結果、アルミ溶出試験においてアルミ溶出
量が多くなっている。また、試料No.13及び試料N
o.15では、開口部の樹脂フィルムの剥離面積が大き
くなっている。
No.7では、缶蓋成型時にスコア部の樹脂フィルムに
亀裂が発生することもなく、また、巻き締め時にチャッ
ク・ウオール部に樹脂フィルムの損傷を生じることもな
い。従って、ERV値も検知されず、アルミ溶出も認め
られない。当然、スコア部やチャック・ウオール部の腐
食も認められない。開口時の樹脂フィルムの剥離もな
く、密着性に優れた良好な缶蓋が得られている。
ジー・オープン・エンドとするために使用されるポリエ
チレンテレフタレート樹脂フィルムを被覆したアルミニ
ウム合金板において、樹脂フィルムを被覆した後に樹脂
フィルムの結晶量を被覆する前よりも高くすると、成形
加工性に優れ、特にイージー・オープン・エンド用のス
コア加工性やリベット加工性あるいは巻き締め性に優
れ、かつ、内容物に対するフレーバー性やバリア性に優
れ、しかも開缶性にも優れた、全ての性質をバランス良
く兼ね備えた樹脂被覆アルミニウム合金板金属板が得ら
れることが判る。また、被覆後の樹脂フィルムの結晶量
を高めるためのは、樹脂フィルムを圧着後に適温に加熱
して一定時間保持することにより達成されることが判
る。
・オープン・エンドに適した、スコア加工性、リベット
加工性、巻き締め性等に優れ、内容物に対するフレーバ
ー性や密着性に優れた樹脂被覆金属板が得られる。本発
明の樹脂被覆金属板を使用して開口部を形成すれば、加
工時に被覆樹脂の損傷も起こらず、内容物に対して優れ
た耐食性を示し、しかも開口性に優れた缶蓋が得られ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 金属板の少なくとも1面にポリエチレン
テレフタレート系樹脂フィルムを被覆した樹脂被覆金属
板であって、該ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィ
ルムの結晶量と前記金属板に被覆する前のポリエチレン
テレフタレート系樹脂フィルムの結晶量との比が、1.
1倍以上2.0倍以下であることを特徴とする樹脂被覆
金属板。 - 【請求項2】 前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂
フィルムが、融点の異なる2層の2軸延伸フィルムの積
層体からなり、金属板に接する層のポリエチレンテレフ
タレート系樹脂フィルムの融点が、金属板に接しない層
のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの融点よ
りも、10〜60℃低いことを特徴とする請求項1に記
載の樹脂被覆金属板。 - 【請求項3】 前記2層のポリエチレンテレフタレート
系樹脂フィルムのうち、金属板に接しない層はエステル
反復単位の全てがエチレンテレフタレートであるポリエ
チレンテレフタレートであり、金属板に接する層はエス
テル反復単位の内76〜90mol%がエチレンテレフ
タレートであり、10〜24mol%がエチレンイソフ
タレートからなる共重合ポリエチレンテレフタレートで
あることを特徴とする請求項2に記載の樹脂被覆金属
板。 - 【請求項4】 前記2層のポリエチレンテレフタレート
系樹脂フィルムのうち、金属板に接しない層はエステル
反復単位のうち94mol%以上がエチレンテレフタレ
ートであり、6mol%以下がエチレンイソフタレート
からなる共重合ポリエチレンテレフタレートであり、金
属板に接する層はエステル反復単位の内76〜90mo
l%がエチレンテレフタレートであり、10〜24mo
l%がエチレンイソフタレートである共重合ポリエチレ
ンテレフタレートであることを特徴とする請求項2に記
載の樹脂被覆金属板。 - 【請求項5】 請求項1〜請求項4のうちのいずれかに
記載の樹脂被覆金属板であって、アルミニウム缶蓋に用
いられることを特徴とする樹脂被覆金属板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000128308A JP4675454B2 (ja) | 2000-04-27 | 2000-04-27 | 樹脂被覆金属板 |
Applications Claiming Priority (1)
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