JP4345189B2 - 一般缶用ラミネート鋼板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラミネート後に缶外面を塗装したり、製缶時に雰囲気温度が250℃を超えるような強加熱が部分的に施されたりする一般缶の胴部材や蓋部材、特に例えば18L缶、ペール缶などのような大型一般缶の胴部材や蓋部材として好適な一般缶用ラミネート鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般缶用途の大型缶の分野において、生産性や省エネルギーの観点から、各種ラミネート鋼板を使用した高耐食缶を製造する試みがなされている。例えば、特公平1-55104号公報、特公昭64-139号公報に、オレフィン樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を缶内面にラミネートした大型缶に関する技術が開示されている。
【0003】
また、飲料缶用途においても、レトルト後耐食性や缶加工性の向上を目的として、結晶化度、配向度、延伸倍率を詳細に規定した各種PET樹脂をラミネートしたラミネート缶やラミネート鋼板に関する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
外面塗装する一般缶(以下、外面塗装一般缶)は、160℃以上の加熱を受けるため、ラミネート樹脂に、融点の高いPET樹脂を適用する必要がある。しかし、PET樹脂ラミネート缶は、加水分解の点でアルカリ性の内容物に適用できないことから、PET樹脂ラミネート缶へ適用する内容物は、中性、酸性の内容物に限られる。PET樹脂は、特に香気成分の保持などで食品用途に適した樹脂であることが知られており、外面塗装一般缶は、食品内容物へ適用できること、すなわち食品用途適性を兼ね備えることが好ましい。
【0005】
本発明者らは、PET樹脂ラミネート鋼板を用いた外面塗装一般缶について検討し、以下の問題点のあることを見い出した。
(1)外面塗装一般缶は、150〜200℃の温度で10〜20分間、塗装仕様に応じて繰り返し加熱され、製缶加工される。前述の飲料缶用途の素材では、ラミネート後にこのような長時間の加熱が行なわれることがなく、一般缶特有の製缶工程である。このような製缶工程を経ると、PET樹脂の中でも融点の低い90mol%以下のエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂は加熱後加工耐食性の劣化を生じる傾向が顕著であった。
【0006】
(2)大型一般缶は、製缶時巻締め部のシールなどを行なう際、しばしば高周波加熱されるが、その際の温度制御は難しく、250℃以上の温度で短時間加熱される場合が多い。また、大型一般缶の内、胴部を接着して製缶する接着缶(以下、大型接着缶)などでは、バーナーなどで加熱されて胴かしめ部がシールされる場合があり、この際も250℃以上の温度で短時間加熱される。
【0007】
一度溶融したPET樹脂は、空冷され再凝固するが、その際、93mol%以上のエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂は、球晶が成長し、通常白化する。90mol%以下のエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂であればこの白化は抑制される。
【0008】
(3)大型一般缶(大型接着缶を含む)は、前記したように製缶加工時の加熱を受ける。この時、既存の93mol%以上のエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂を母層とするPET樹脂フィルムをラミネートした鋼板は、加工部でフィルム剥がれが生じた。
【0009】
したがって、本発明の目的は、前記問題点を解決し、缶外面を塗装したり、製缶時に雰囲気温度が250℃を超えるような強加熱が部分的に施されたりする一般缶の胴部材や蓋部材、特に例えば18L缶、ペール缶などのような大型一般缶の胴部材や蓋部材として好適な一般缶用ラミネート鋼板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、素材鋼板の表面処理皮膜の構成および樹脂層の構成が異なる種々のラミネート鋼板について、加熱後加工耐食性、加工後加熱密着性、耐白化性などの観点から詳細な調査検討を行ない、その結果以下の知見を得た。
【0011】
(1)外面塗装一般缶の特徴である、150〜200℃の高温度での繰り返し加熱による樹脂層の劣化や加熱後加工耐食性の劣化について検討した結果、融点の低い90mol%以下のエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂は200℃程度の高温加熱で脆化する傾向のあることが判明した。この原因はラミネート時の加熱などで生じた非晶部分で球晶を発生することによる。これらの樹脂ラミネート鋼板では、加熱後に加工を受けると、フィルムが脆化しているため、クラックなどを生じ耐食性が劣化することが判明した。
【0012】
一方、93mol%以上のエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂を母層とするラミネート鋼板では、ラミネート時の加熱により母層の配向が崩れにくく、従って非晶部も生じにくいため、球晶の生成も少なく、200℃程度の高温加熱でも脆化は穏やかであった。
【0013】
93mol%以上のエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂であっても、製膜時の配向度が小さかったり、ラミネート時に母層の融点を上回る温度でラミネートされ、製膜時の配向が損なわれているフィルムでは、加熱後加工耐食性が劣るので、ラミネート時のフィルムの面配向係数を0.05以上にすることが望ましいことが判明した。また、200℃程度の高温加熱する場合、エチレンテレフタレート単位の割合を増加して、母層を97mol%以上のエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂とすると加熱後加工耐食性が優れることが判明した。
【0014】
(2)製缶加工時の加熱による加工部での樹脂層の剥離は、樹脂層の成分に起因した以下の2点が主な原因であることが判明した。
【0015】
第1は、母層の熱収縮である。すなわち、93mol%以上のエチレンテレフタレート単位を有する高融点のPET単層フィルム、またはこの樹脂を母層とする2層フィルムは、製膜方向にかかわらず、フィルムが200℃において5%以上の熱収縮を生じる場合に、軽加工部でも剥がれを生じることが判明した。熱収縮を抑制するためには、フィルム製膜時に熱固定を210℃以上の条件で施したフィルムを使用することが必要である。
【0016】
第2は、樹脂層が接着層を備える場合に、高温加熱による接着層の特性の変化に起因したものである。すなわち、接着層が85mol%未満のエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂の場合は、150℃程度の加熱により接着層が軟化するため、加工部の樹脂層の内部応力により接着層が破壊され、母層の剥離を生じる。
【0017】
接着層が90mol%超えのエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂の場合は、ラミネート時に接着層樹脂内に生じた非晶部分で、塗装時の繰り返し加熱により球晶が発生し、接着層と鋼板界面に歪みが発生することにより密着力が低下し剥離を生じる。
【0018】
接着層が85mol%以上90mol%以下のエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂の場合は、熱軟化の程度が改善され、かつ球晶の発生も抑制されるため200℃程度の高温加熱でも剥離を生じない。
【0019】
なお、本明細書において、母層とは、樹脂層が単層で構成される場合は、この層そのもの、複層で構成される場合は、その内で最も厚い樹脂層を指している。
【0020】
また、各種缶用鋼板について検討した結果、より優れた加熱後加工密着性を得るには、素材鋼板としてめっき層の最外層に金属クロム換算で3mg/m2以上のクロム水和酸化物層を有する表面処理鋼板が必要であることが判明した。
【0021】
(3)大型一般缶(大型接着缶を含む)の製缶工程で特有のPET樹脂の融点を超える加熱部での白化現象は、球晶の生成によることが確認された。通常のホモ-PET樹脂は溶融などにより配向結晶を失い非晶化すると、結晶化速度が早く球晶を生成しやすい。球晶の成長抑制には、90mol%以下のエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂が効果的であるが、加熱脆化の観点からこのような樹脂の適用は難しい。
【0022】
そこで、93mol%以上のエチレンテレフタレート単位を有する高融点のPET樹脂について、球晶の成長抑制を検討した。その結果、PET樹脂合成の際に巻込まれる不純物が核になって球晶が成長すること、また、前記不純物を10ppm未満にすることにより、球晶生成による白化を抑制できることを見い出した。また、不純物の多くは、樹脂合成時の触媒成分であるので、触媒成分を10ppm以下にすれば、前記球晶生成を抑制する効果が十分あることが分かった。
【0023】
本発明は、このような知見に基づくものであり、前記課題を解決する本発明の手段は、以下の通りである。
(1)缶内面となる側の鋼板面にラミネート樹脂層を有する一般缶用ラミネート鋼板であって、前記ラミネート樹脂層の母層が、93mol%以上のエチレンテレフタレート単位を含み、かつ、樹脂合成時に混入する触媒成分などの不純物が10ppm未満であり、また前記ラミネート樹脂層の面配向係数が0.05以上であり、かつラミネート樹脂層を200℃で15分保持した際の収縮率が5%未満であることを特徴とする一般缶用ラミネート鋼板(第1発明)。
【0024】
(2)前記(1)において、鋼板が、その最外層に金属クロム換算で3mg/m2以上のクロム水和酸化物層を有する表面処理鋼板であり、またラミネート樹脂層の厚さが10μm以上であることを特徴とする一般缶用ラミネート鋼板(第2発明)。
【0025】
(3)缶内面となる側の鋼板面にラミネート樹脂層を有する一般缶用ラミネート鋼板であって、前記ラミネート樹脂層は、接着層とその上層としての母層からなり、前記接着層は、85mol%以上90mol%以下のエチレンテレフタレート単位を含み、厚さ1μm以上5μm以下の樹脂層であり、前記母層は、97mol%以上のエチレンテレフタレート単位を含む樹脂層であり、かつ、前記ラミネート樹脂層を200℃で15分保持した際の熱収縮率が5%未満であることを特徴とする一般缶用ラミネート鋼板(第3発明)。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細をその限定理由とともに説明する。
本発明においては、缶内面となる側の鋼板面に用いるラミネート樹脂層の母層のエチレンテレフタレート単位を93mol%以上含むことが必要である。93mol%未満では、共重合時に生成する低分子量の不純物成分が内容物中へ溶出するようになり、更には、高温加熱時の樹脂層の脆化が著しく、加熱後加工耐食性が劣化するためである。母層のエチレンテレフタレート単位を97mol%以上含有させることによって、前記効果がより優れる。
【0027】
缶内面側に用いるラミネート樹脂層の母層の樹脂合成時に混入する触媒成分に起因した不純物濃度は低いことが望ましい。不純物を核とした結晶化(球晶の成長)が促進され、加熱時の樹脂の機械特性の劣化や、白化を生じやすいためである。このような観点から、不純物濃度は100ppm以下が望ましい。
【0028】
特にラミネート樹脂層の母層のエチレンテレフタレート単位が93mol%以上では、触媒成分に起因した不純物濃度が高い場合に特に球晶生成が著しいため、触媒成分に起因した不純物による結晶化促進の傾向が顕著になる。不純物を核とした結晶化(球晶の生成)を抑制し、加熱時の樹脂の機械特性の劣化や、バーナー加熱部などでおこる樹脂の白化を防止するには、ラミネート樹脂層の母層の樹脂合成時に混入する触媒成分に起因した不純物を10ppm未満にすることが有効である。また、母層の樹脂は、アンチモン系の触媒で合成された樹脂より、ゲルマニウム系の触媒で合成された樹脂の方が、不純物濃度が低いのでより好ましい。
【0029】
ラミネートされた樹脂層を200℃で15分保持した際の収縮率を5%未満としたのは、5%以上ある場合、加工後加熱を受ける部分で樹脂層剥離を生じるためである。収縮率を5%未満にするには、例えば、フィルム製膜時の熱固定温度を210℃以上で製膜したフィルムを用いることが必要である。
【0030】
また、ラミネート樹脂層が接着層を備える場合、接着層が85mol%未満のエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂の場合は、150℃程度の加熱により接着層が軟化するため、加工部の樹脂層の内部応力により接着層が破壊され、母層の剥離が生じる。接着層が90mol%超えのエチレンテレフタレート単位を有するPET樹脂の場合は、ラミネート時に接着層樹脂内に生じた非晶部分で、塗装時の繰り返し加熱により球晶が発生し、接着層と鋼板界面に歪みが発生することにより、密着力が低下し剥離を生じる。したがって、200℃程度の高温加熱する場合、接着層は、85mol%以上90mol%以下のエチレンテレフタレート単位を含む樹脂層であることが必要である。
【0031】
ラミネート鋼板の樹脂層全体の総厚みとしては10〜55μmが望ましい。10μm未満では、樹脂層のピンホールなどにより現行の塗装鋼板並みの耐食性の保持が難しい。55μmを超えると缶成型時の巻締めの際、シール不良の原因となる。樹脂層の母層(複層の層構成の場合は最も厚い樹脂層)は、接着層(例えばエチレンテレフタレート単位が85mol%以上90mol%以下の共重合PET樹脂層)を介してラミネートされているか、母層融点以上の鋼板温度で母層の一部を溶融させる形でラミネートされているものが好ましい。
【0032】
母層を接着層を介してラミネートする場合、接着層の厚さは1〜5μmであることが望ましい。接着層の厚さが1μm未満では、良好な密着性が得られず、5μmを超えても、密着性が飽和し、却って加熱時の脆化の影響を受けるためである。
【0033】
ラミネート用の素材鋼板としては、めっき層の最外層に、金属クロム換算で3mg/m2以上のクロム水和酸化物層を有する表面処理鋼板であることが好ましい。前記クロム水和酸化物層が金属クロム換算で3mg/m2以上になると、樹脂層との密着性が更に優れる。上限については特に定めはないが、30mg/m2以上ではラミネート後の色調が暗くなる傾向があるため好ましくない。
【0034】
また、鋼板の表面粗さは、ラミネート時の気泡の巻き込みなどに影響するので、中心線平均粗さで、0.003〜0.2μmの範囲が好ましい。
【0035】
ラミネートされたフィルムの面配向係数を0.05以上としたのは、一般缶は、飲料缶と比較して、製缶加工度が小さく、かつ、塗装製缶時の加熱が厳しいことを考慮したためでる。ラミネート樹脂層の母層のエチレンテレフタレート単位を93mol%以上含む場合に、飲料缶などとは異なり、面配向係数を0.05以上の高い領域に規定することにより、一般缶での要求性能に適した加工後加熱耐食性が得られる。
【0036】
フィルムの製膜時の延伸倍率は、製膜方向と幅方向にそれぞれ1.5〜4.5倍の範囲としたものが望ましい。
【0037】
フィルムを鋼板にラミネートする際の鋼板の温度は、フィルムの配向を保持し球晶の生成を抑制するために、上限を母層の融点を大きく超えない範囲、望ましくは母層の融点+10℃以下の範囲に制御することが望ましい。
【0038】
また、ラミネート樹脂層が接着層を備える場合、ラミネート直前の鋼板温度を接着層の融点以上かつ母層の融点未満に保持してラミネートすることが好ましい。母層の融点以上にすると、ラミネート時に母層の配向層が溶融して非晶部分を多く生成するようになり、製缶時の加熱で球晶などを生じやすくなるため、好ましくない。
【0039】
【実施例】
次に具体的な実施例について説明する。
<実施例1>
(鋼板)
板厚0.32mmの冷延鋼板に、又はこの鋼板に化成処理の下地処理を施した後、化成処理を施して金属クロム層とその上にクロム水和酸化物層を有する表面処理鋼板を調製した。前記で調製した表面処理鋼板の下地処理の内容、及びめっき層の付着量(金属クロム層のクロム量、クロム水和酸化物層のクロム付着量)を表1〜表2に示す。
【0040】
(樹脂のラミネート)
前記で調製した表面処理鋼板の一方の面に、フィルムラミネートによって、PET樹脂を被覆した。すなわち、フィルムとの接着部を接着面樹脂の融点-50℃〜母層樹脂の融点+10℃の範囲に加熱した鋼板に、1層構造(母層のみ)又は2層構造(母層+接着層)のフィルムをラミネートロールで加圧しながらラミネートし、ラミネート後水冷した。フィルムの母層樹脂は、いずれも三菱化学ポリエステルフィルム製のものを用いた。
ラミネートに供したPET樹脂の内容及び膜厚を、表1〜表2に示す。
【0041】
前記で得たラミネート鋼板について、次のようにして、加熱後加工耐食性、加工後加熱密着性、耐抽出性、加熱耐白化性を評価し、またフィルムの熱収縮率、面配向係数を調査した。
【0042】
(1)加熱後加工耐食性
缶外面クリヤ塗装を想定して、ラミネート鋼板を180℃で20分加熱した後、下記の条件でラミネート面が凸になるようにデュポン衝撃加工を行なった。その後、下記の浸漬試験を行ない、溶出鉄量または溶出錫量を求め、TFS(金属クロム層:100mg/m2、クロム水和酸化物層:10mg/m2、何れも金属クロム換算の付着量)に2回塗装し、同様の試験をした場合の鉄溶出量と比較し、溶出量が1/2未満の少ないものを◎、1/2以上同等以下の少ないものを◯、多いものを×と評価した。
【0043】
デュポン衝撃加工条件:1/2インチ径の圧子を300gの荷重で50cmの高さから落下させ加工。
浸漬条件:1.5%クエン酸+1.5%NaCl、38℃、7日。
【0044】
(2)加工後加熱密着性
ラミネート鋼板のラミネート面に凹次いで凸のデュポン衝撃加工を施した後、180℃で20分の加熱を行なった。その際、加工部で樹脂層の剥離の有無を評価し、凹部加工で剥離無しを◎、凸部加工で剥離無しを◯、凹凸両方の加工で剥離有りを×と評価した。
【0045】
(3)耐抽出性
ラミネート鋼板を95℃で1時間、純水中に浸漬し、抽出された有機成分をガスクロマトグラフを用いて分析し、抽出物無しを◯、抽出物有りを×と評価した。食品用途に適用する場合は、本評価が○であることが好ましい。
【0046】
(4)加熱耐白化性
ラミネート鋼板を180℃で20分加熱後、製缶ラインのバーナー加熱部に通板し、白化の有無を評価し、白化無しを◯、白化有りを×とした。
【0047】
(5)フィルムの熱収縮率
ラミネート後の鋼板から樹脂層を剥離し、樹脂層を200℃で15分加熱し、加熱処理前後でのフィルムの収縮率(2層の場合はフィルム全体の収縮率)を求めた。
【0048】
(6)フィルムの面配向係数
前記(5)と同様、ラミネート後の鋼板から樹脂層を剥離し、アッベ方式の屈折計を用いて面配向係数を測定した。光源にはナトリウムD線を使用し、長手、幅、厚みの3方向の屈折率、Nx,Ny,Nzから下式より計算した。
面配向係数 Ns=(Nx+Ny)/2−Nz
評価結果、熱収縮率及び面配向係数の調査結果を表1、表2に併せて記載した。
【0049】
【表1】
Figure 0004345189
【0050】
【表2】
Figure 0004345189
【0051】
表1、表2において、第1発明範囲を外れる比較例は、以下に説明するように、加工後加熱密着性、加熱耐白化性、加熱後加工耐食性、耐抽出性の内の少なくとも一つの特性が劣る。
【0052】
表1の比較例1に示すように、面配向係数が0.05未満では良好な加熱耐白化性が得られない。また、球晶を非晶部で生成するため加熱密着性も劣る。更に膜厚が10μm未満と薄いため加工耐食性も悪い。
【0053】
表1の比較例1と発明例3の比較に示すように、母層が93mol%未満のエチレンテレフタレート単位である場合、耐抽出性が劣る。
【0054】
表2の比較例1、4に示すように、フィルムの熱固定温度が低く、200℃での熱収縮率が5%以上であるものは、加工後加熱密着性が劣る。
【0055】
表2の比較例2〜4に示すように、フィルム母層樹脂中の、主として触媒起因の不純物の濃度が10ppmを超える場合は、加熱耐白化性が劣る。
【0056】
これに対して、第1発明範囲を満足する表1、表2の発明例はいずれも、加工後加熱密着性、加熱耐白化性、加熱後加工耐食性、耐抽出性に優れる。また、発明例9と発明例10の比較から分かるように、表面処理鋼板のめっき層の最外層が金属クロム換算で3mg/m2以上のクロム水和酸化物層の場合、加工後加熱密着性が更に優れる。
【0057】
<実施例2>
(鋼板)
板厚0.32mmの冷延鋼板に、又はこの鋼板に化成処理の下地処理を施した後、化成処理を施して金属クロム層とその上にクロム水和酸化物層を有する表面処理鋼板を調製した。前記で調製した表面処理鋼板の下地処理の内容、及びめっき層の付着量(金属クロム層のクロム量、クロム水和酸化物層のクロム付着量)を表3〜表4に示す。
【0058】
(樹脂のラミネート)
前記で調製した表面処理鋼板の一方の面に、フィルムラミネートによって、PET樹脂を被覆した。すなわち、フィルムとの接着部を接着層樹脂の融点〜母層樹脂の融点の範囲に加熱した鋼板に、2層構造(母層+接着層)のフィルムをラミネートロールで加圧しながらラミネートし、ラミネート後水冷した。フィルムの母層樹脂は、いずれも三菱化学ポリエステルフィルム製のものを用いた。
ラミネートに供したPET樹脂の内容及び膜厚を、表3〜表4に示す。
【0059】
前記で得たラミネート鋼板について、次のようにして、200℃で高温加熱した場合の加熱後加工耐食性、加工後加熱密着性を評価し、またフィルムの熱収縮率を調査した。
【0060】
(1)加熱後加工耐食性
ラミネート鋼板を200℃で15分加熱した後、実施例1と同様、デュポン衝撃加工後、浸漬試験を行ない、溶出鉄量または溶出錫量を求め、2回塗装のTFSの鉄溶出量と比較し、溶出量が同等以下のものを◯、多いものを×と評価した。
【0061】
(2)加工後加熱密着性
ラミネート面に、実施例1と同様デュポン衝撃加工を施した後、200℃で15分の加熱を行ない、加工部で樹脂層の剥離の有無を評価し、剥離無しを◯、剥離有りを×と評価した。
評価結果及び熱収縮率の調査結果を表3〜表4に併せて記載した。
【0062】
【表3】
Figure 0004345189
【0063】
【表4】
Figure 0004345189
【0064】
表3、表4において、第3発明範囲を外れる比較例は、以下に説明するように、加工後加熱密着性、加熱後加工耐食性の少なくとも一方が劣る。
【0065】
表3の比較例1に示すように、樹脂層の接着層が90mol%超えのエチレンテレフタレート単位を含む場合、接着層の非晶の樹脂層で加熱時に球晶が生成し、加工後加熱密着性が劣化する。
【0066】
表3の比較例2に示すように、樹脂層の接着層が85mol%未満のエチレンテレフタレート単位を含む場合、接着層の樹脂層が低温で軟化するため、加工後加熱密着性が劣化する。
【0067】
表3の比較例3に示すように、樹脂層の最外層が97mol%未満のエチレンテレフタレート単位である場合、加熱時の樹脂層の脆化が著しく、加熱後加工部でクラックが生じ良好な耐食性が得られない。
【0068】
表3の比較例4に示すように、樹脂層が第3発明範囲内であっても、接着層の膜厚が5μm超えの場合、良好な加熱後加工耐食性が得られない。
【0069】
表4の比較例1,2に示すように、フィルムの熱固定温度が低く、200℃での熱収縮率が5%以上であるものは、加工加熱後密着性が劣る。特に母層中の不純物濃度が高い比較例2は、熱収縮が著しい。
【0070】
これに対して、第3発明範囲を満足する表3、表4の発明例は、200℃の高温加熱した場合でも、いずれも加工後加熱密着性、加熱後加工耐食性に優れる。
【0071】
【発明の効果】
第1発明、第2発明によれば、加熱耐白化性及び加工後加熱密着性、または更に加熱後加工耐食性、耐抽出性に優れたラミネート鋼板が得られる。第3発明によれば、高温加熱した場合に加工後加熱密着性及び加熱後加工耐食性に優れたラミネート鋼板が得られる。
【0072】
本発明のラミネート鋼板は、缶外面を塗装したり、製缶時に雰囲気温度が250℃を超えるような強加熱が部分的に施されたりする一般缶の胴部材や蓋部材、特に18L缶、ペール缶のような大型一般缶の胴部材や蓋部材への使用に好適である。また、本発明のラミネート鋼板は、食品用途適性を兼ね備えているので、前記缶を中性、酸性の食品内容物に適用することができる。

Claims (3)

  1. 缶内面となる側の鋼板面にラミネート樹脂層を有する一般缶用ラミネート鋼板であって、前記ラミネート樹脂層の母層が、93mol%以上のエチレンテレフタレート単位を含み、かつ、樹脂合成時に混入する触媒成分などの不純物が10ppm未満であり、また前記ラミネート樹脂層の面配向係数が0.05以上であり、かつラミネート樹脂層を200℃で15分保持した際の収縮率が5%未満であることを特徴とする一般缶用ラミネート鋼板。
  2. 請求項1において、鋼板が、その最外層に金属クロム換算で3mg/m2以上のクロム水和酸化物層を有する表面処理鋼板であり、またラミネート樹脂層の厚さが10μm以上であることを特徴とする一般缶用ラミネート鋼板。
  3. 缶内面となる側の鋼板面にラミネート樹脂層を有する一般缶用ラミネート鋼板であって、前記ラミネート樹脂層は、接着層とその上層としての母層からなり、前記接着層は、85mol%以上90mol%以下のエチレンテレフタレート単位を含み、厚さ1μm以上5μm以下の樹脂層であり、前記母層は、97mol%以上のエチレンテレフタレート単位を含む樹脂層であり、かつ、前記ラミネート樹脂層を200℃で15分保持した際の熱収縮率が5%未満であることを特徴とする一般缶用ラミネート鋼板。
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