JP2910488B2 - 溶接缶用ラミネート鋼板 - Google Patents
溶接缶用ラミネート鋼板Info
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Description
いられる缶用鋼板で、予め樹脂を鋼板にラミネートして
あるが、溶接に適した溶接缶用鋼板に関する。
法、接着製缶法、絞りしごき製缶法、絞り製缶法等があ
る。溶接製缶法は、他の製缶法に比べ装置が簡単で設備
費が安く作業が容易に確実に行なうことができ、且つ溶
接部の強度が高く高度な加工に耐えられる等の利点があ
ることから、急速に普及してきた製缶法である。
は、当初錫めっき鋼板が用いられたが、溶接の場合半田
付けに較べ錫の付着量が遙に少なくても済むことから、
薄めっきや他の金属との併用が行われている。この点で
も、溶接製缶法の伸びが期待されている。
きた。缶内面の耐食性を高めるための厚膜塗装や外面の
保護塗装、印刷等である。しかし、これらを施す場合、
めっき鋼板を所定寸法のシート状に切り、これらの一枚
づつに塗装或いは印刷を施す。この工程は、物流コスト
がかかったり、塗装による環境汚染に対する対策等を要
し、製缶工程における合理化すべき課題の一つになって
いた。
避けて、鋼帯にフィルムを帯状に積層した溶接缶向けの
積層鋼帯が提案されている。例えば、特開平3−236
954号公報では、幅2〜5mmの非積層部を残して、缶
の高さに対応する幅で熱可塑性フィルムを積層した缶用
材が提案されており、熱可塑性フィルムの樹脂種は、ポ
リエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン
がよいことを開示している。
提案された缶用材では溶接時や溶接部の補修塗装時或い
はレトルト処理時等の熱影響による樹脂フィルムと下地
の密着力の低下が考慮されておらず、レトルト処理によ
り樹脂フィルムが膨れたり剥離するという問題があっ
た。
れたもので、溶接時の熱影響を低減する工夫と熱影響を
受けても低下しない密着力を確保することによって、耐
レトルト密着性の良い溶接缶用ラミネート鋼板を提供し
ようとするものである。
の手段は、めっき鋼板の表面に所定幅のニス避け部を残
してストリップのライン方向に沿って帯状に樹脂フィル
ムをラミネートした鋼板で、めっき皮膜には次の(い)
と(ろ)とがあり、樹脂フィルムには次の(は)、
(に)及び(ほ)があり、各樹脂フィルムが各めっき皮
膜の上にラミネートされるが、(は)と(に)の樹脂フ
ィルムは表面粗さPPI(しきい値0.5μm)5以上
150以下のめっき皮膜面に直接熱圧着され、(ほ)の
樹脂フィルムは次の(へ)の接着層によってめっき皮膜
面に接着され、各々めっき鋼板の片面又は両面にラミネ
ートされた溶接缶用ラミネート鋼板である。
以下の錫めっき層上に金属クロム量が5mg/m2 以上50
mg/m2 以下で水和酸化物クロムがクロムとして5mg/m2
以上25mg/m2 以下の化成処理層を有するめっき皮膜 (ろ)付着量が15mg/m2 以上100mg/m2 以下のニッ
ケルめっき層の上に付着量が0.6g/m2以上2.0g/m2
以下の錫めっきを施した二層めっき層の上に、更に、金
属クロム量が5mg/m2 以上50mg/m2 以下で水和酸化物
クロムがクロムとして5mg/m2 以上25mg/m2 以下の化
成処理層を有するめっき皮膜 (は)酸成分の0.5mol %以上10mol %以下がイソ
フタル酸であるポリエチレンテレフタレート共重合体の
二軸延伸フィルム
%以下がイソフタル酸であるポリエチレンテレフタレー
ト共重合体を下層とし、ポリエチレンテレフタレート単
独重合体を上層とする二層構造の二軸延伸フィルム (ほ)ポリエチレンテレフタレート単独重合体の二軸延
伸フィルム (へ)数平均分子量が15000以上30000以下の
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールAを
基体とするレゾール型フェノール樹脂からなる接着剤
で、前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂を70wt% 以
上90wt% 以下含む接着剤を加熱硬化させた接着層
錫めっきの上に塗料の密着をよくする化成処理が施され
ている。図1にこのラミネート鋼板の表面を示す。帯状
のニス避け部4と樹脂ラミネート帯5とが鋼板の圧延方
向に平行して交互に設けられている。図2に断面を示
す。1は樹脂フィルム、6は化成処理層、7はめっき
層、8は鋼板である。ニス避け部4の皮膜は化成処理層
6とめっき層7とからのみ構成され樹脂フィルム1が被
覆されていない。したがって、ニス避け部を溶接代とす
ることによって、予め樹脂フィルム1をラミネートした
鋼板であっても、製缶時の溶接に際して樹脂皮膜を取り
除く必要がなくなる。
4と同様にめっき層に化成処理が施され、その上に樹脂
がラミネートされている。このため、製缶時に手間の掛
かる塗装を施す必要がない。この樹脂ラミネート帯の幅
は缶の直径によって決まり、例えば200ml飲料缶では
161mmである。
鋼板の両面に必要であるが、樹脂ラミネート帯は少なく
とも缶の内面となる片面に有していればよい。勿論、両
面に設けても差し支えなく、この場合は缶の内面と外面
とを考慮して処理する。例えば、内面相当面にはこの発
明による樹脂ラミネート帯を有し、外面相当面はめっき
皮膜のみとしたり、塗装塗膜帯としたり、ホワイトコー
ト樹脂ラミネート或いは印刷された樹脂ラミネート帯と
する等需要に応じた処理面とすればよい。
樹脂がラミネートされているので、製缶時の溶接、外面
印刷、加工等の工程を経ても破損や劣化が生じることな
く、且つ内容物充填時及び充填後も耐食性を始め皮膜の
密着性等を維持する皮膜でなければならない。
意味を持つ。溶接部の温度は1000℃を超え、その熱
は缶の周方向にも伝播する。この影響で樹脂フィルムの
密着力その他の特性が低下してはならない。ニス避け部
の幅が狭過ぎる場合樹脂が溶融したり変質したりして密
着力や加工性、防食性を低下させる。熱伝播域について
調べると、溶接速度や板厚、熱伝導度等が関係するが、
溶接速度の影響が大きい。溶接時の熱の影響を避けるた
めに必要な溶接部の幅は、溶接の方法により異なるが、
現在多用されている電気抵抗ナローラップシーム溶接法
の場合では5mm以上とするのが安全である。更に高密度
エネルギーによる高速溶接法が使われれば、この幅は狭
くてもよいが、缶用鋼板の厚さが0.2mm前後であるこ
とから、0.5mm程度は必要である。ニス避け部が鋼板
の縁端に位置する場合は上記の半分の幅でよいことは言
うまでもない。
間には、ネックイン加工等に耐える密着力が存在しなけ
ればならない。溶接や外面印刷に伴う加熱を受けると
き、樹脂フィルムは収縮しようとする。この時、樹脂フ
ィルムとめっき鋼板表面の間に閉じ込められた空気や水
分があると充分な密着力が得られない。ここで、密着力
が低下した部分が出来ると、ネックイン加工やフランジ
出し加工或いはフランジ巻き締め加工時に剥離が起こ
る。めっき鋼板表面に凹凸があると、ラミネート時に凹
部の底まで軟化した樹脂フィルムが侵入し難く空気や水
分が巻き込まれ易い。これらの巻き込みを防ぐには、め
っき鋼板表面の凹凸が緩やかであるとともに、樹脂フィ
ルムが熱圧着時に流動性を持つとよい。
m ) が150以下であれば、空気や水分の巻き込みが少
なく、後述する樹脂フィルムをラミネートしたとき充分
な密着性が得れる。この表面の粗さPPI は、表面の断面
に現れる山のうち高さがしきい値を超える山の1 インチ
当たりの数である。PPI が小さいほど空気や水分の巻き
込みが少ない。この様子を図3に示す。(a)は表面のPPI
(しきい値0.5 μm )が500 程度の大きいめっき鋼板にラ
ミネートした場合で、(b)はPPI(しきい値0.5μm ) が50
程度の比較的小さい表面にラミネートした場合である。
(a)では、樹脂フィルム1とめっき鋼板表面2との間に
空間3が存在するが、(b)では存在しない。
ぎる鋼板表面は、印刷焼付等のハンドリング時に擦り傷
が発生し易い。即ち、めっき鋼板表面の粗さPPI(しきい
値0.5 μm ) は5以上150以下が適当である。100
以下であれば一層好ましい。
地鋼板の粗さを小さくすることが効果的である。PPI(し
きい値0.5 μm ) 150以下のめっき鋼板表面を得るに
は、表面のPPI(しきい値0.5 μm ) 180以下の鋼板を
使用すればよい。
生ずるものを避けるのは勿論のこと、熱圧着時にめっき
鋼板表面の凹部の隅々にまで行き渡る(以下、熱融着性
と称す)ものがよい。このような樹脂種には、ポリオレ
フィンやポリエステル或いはナイロン等がある。しか
し、レトルト処理時には100℃を超える過熱蒸気に曝
されるので、融点が比較的低く高温で不安定なポリオレ
フィンやナイロンは耐レトルト性に問題を残す。ポリエ
ステル樹脂の中でも耐熱性に優れるのはポリエチレンテ
レフタレートやポリエチレンナフタレートである。特に
ポリエチレンテレフタレート系の樹脂は耐食性とともに
厳しい加工にも耐える可とう性を備え、中でもその二軸
延伸フィルムは腐蝕物質を遮断する性能では特に優れて
いる。しかしながら、ポリエチレンテレフタレート系で
あっても、酸成分としてテレフタル酸を100%用いた
単独重合体は、融点が260℃を超え、熱圧着時に充分
な流動性が得られない。熱圧着温度は、めっき層の錫が
合金化するのを避けるため、230℃以下に制限される
からである。
成分を変えることによって融点が下がることはよく知ら
れている。しかし、単独重合体が有する耐熱性、防食性
等の特徴を失わせることなく融点を下げなければ目的を
達しない。発明者らは、酸成分について種々検討の結
果、テレフタル酸の一部をイソフタル酸に置き換えるこ
とによって上記目的が達せられることを見出した。イソ
フタル酸置換は、フィルム形成時に樹脂の結晶化を低減
し融点を下げるものと考えられる。
0.5mol%以上でなければ熱融着性改善の効果が顕著に
ならない。一方、イソフタル酸含有量が多過ぎると、製
缶工程での加熱時に樹脂皮膜の収縮が起こる。熱収縮が
起こると樹脂フィルム内には応力が蓄積され、加工した
ときにめっき鋼板表面との密着性が劣化し易い。このた
め、酸成分の10mol%を超える含有は避けるべきであ
る。即ち、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする
二軸延伸フィルムで、その酸成分の0.5mol %以上1
0mol%以下がイソフタル酸であると、熱融着性もよく又
製缶工程において密着力が低下することも防げる。なか
でも、イソフタル酸含有量が1.0mol%以上8.0mol%
以下であると一層好ましい。
ートの単独重合体は加熱による収縮が無く遮蔽効果に優
れており、イソフタル酸を含有した共重合体は熱融着性
がよい。したがって、フィルムを二層構造にし、酸成分
の0.5mol %以上10mol%以下がイソフタル酸である
共重合体を下層として、上層をポリエチレンテレフタレ
ートの単独重合体とすれば、両者の長所を活かすことが
でき、熱収縮が極めて少なく熱融着性のよい遮蔽効果の
大きいラミネート層を得ることができる。このようなフ
ィルム構造にすることによって、フィルム全体を共重合
体とするフィルムよりもコスト面で有利となる。この場
合、共重合体層の厚さは少なくともめっき面の表面粗さ
のしきい値0.5μm以上は必要で、1μm以上である
ことが望ましい。
熱融着性に劣る欠点を補うもう一つの手段に接着剤を用
いる方法がある。この接着剤は、充分な接着性は勿論の
こと樹脂フィルムと同様に耐熱性があり、しかもラミネ
ート鋼板を連続的に製造する場合など短時間で充分に硬
化するものでなければならない。硬化が不十分のまま製
缶されるとレトルト処理の際樹脂フィルムの密着性が低
下したり、樹脂フィルムが白く曇ってくるいわゆる白化
と称する現象が現れたりする。
る樹脂である。中でもビスフェノールA型エポキシは化
学的に安定で耐熱性も有する。しかし、接着剤樹脂の分
子量にもよるが、硬化に時間が掛かり過ぎる欠点や場合
によっては硬くなりすぎ接着層の加工性を低下させるこ
ともある。発明者らは、これらの現象と樹脂との関係を
つぶさに調べることによって、エポキシ樹脂の欠点を補
う樹脂があること、及びエポキシ樹脂にも最適分子量範
囲が存在することを突き止めた。
は、ビスフェノールAを基体とするレゾール型フェノー
ル樹脂を適当量混合するとよい。この樹脂は、その添加
によって接着剤が短時間で硬化する( 以下、短時間硬化
性と称す) 以外に、前述した耐熱性や加工性を考慮して
選ばれたものである。このレゾール型フェノール樹脂
は、その反応性により、接着加熱時にエポキシ樹脂の未
反応官能基と反応しエポキシを架橋することによって硬
化時間を短縮する。
の分子量にも関係し、分子量が大きい樹脂程短時間で硬
化する。この様子を図4に示す。図で、縦軸は短時間硬
化性、横軸は接着剤中のエポキシ樹脂の含有率で、残り
は上記のレゾール型フェノール樹脂である。エポキシ樹
脂の数平均分子量が約5000、10000 、15000 、20000、3
0000 の場合について調べた結果であるが、エポキシ樹
脂含有率が大きくなるに従って短時間硬化性は低下し、
特に90wt% を超えるとその低下は顕著になる。短時間
硬化性の低下は、レトルト時の白化につながる。又、エ
ポキシ樹脂の数平均分子量が大きいほど短時間硬化性は
優れており、その効果は15000 以上で明瞭である。
樹脂に主として依存するものであり、エポキシ樹脂含有
率を70wt% 未満にすると、加工に際して充分な密着力
が得られないことがある。又、エポキシ樹脂の分子量に
も上限があり、分子量が大きいと加熱硬化後の接着剤皮
膜が硬くなる。数平均分子が30000 を超えると加工時に
亀裂を生じたり割れたりするおそがある。
A型エポキシ樹脂にビスフェノールAを基体とするレゾ
ール型フェノール樹脂を含むものであるが、このビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂剤の含有率が70wt% 以上9
0wt% 以下であって、その数平均分子量が15000以
上30000以下であると、樹脂フィルムがポリエチレ
ンテレフタレートであっても、めっき鋼板の表面と間に
短時間の加熱でも強力な密着力が得られ、且つ、製缶工
程における加熱や加工或いはレトルト処理によって皮膜
の亀裂や剥離或いは白化等の欠陥発生を免れることが出
来る。
粗さによって適切な塗布量が異なる。空気や水分を巻き
込んではいけないので、表面粗さを補う量は必要であり
表面粗さが大きい場合は適切な塗布量は多くなる。しか
し、現状のクロメート処理を施された錫めっき鋼板或い
はニッケル・錫めっき鋼板の表面粗さはPPI(しきい値0.
5 μm ) 20〜200程度である。このようなめっき鋼
板では接着層量は2mg/dm2〜50mg/dm2程度が適切であ
る。
フィルムは、単独重合体に限らず、酸成分として10mo
l%以下のイソフタル酸を含む共重合体でもよい。又、ラ
ミネートに際して、コロナ放電等の処理を併用してもよ
い。
ためであって、樹脂層のみだと、イオン透過を完全に防
ぐことが困難で、大きな腐食には到らなくとも、僅かな
鉄の溶出によって、食缶では内容物の味や香りが変わる
ことがある。又、めっき皮膜が存在することによって、
高温に曝されるレトルト処理で仮に樹脂フィルムや溶接
部補修塗膜など有機樹脂層に小さな欠陥が生じても防食
効果が保たれる。
着量があると、ラミネートされる樹脂フィルム或いはニ
ス避け部では塗膜と相まって、味や香りの変化を防ぐこ
とは勿論、耐レトルト性も格段に向上する。2.8 g/m2
を超える錫のめっき量は過剰品質となる。ニッケルめっ
きを施す場合は、更に、錫めっきを施す。これは、上記
の耐食性を確保するとともに、高速溶接が容易に出来る
ニス避け部を得るためでもある。
接時には錫の軟化により電極との間に容易に大きな接触
面積が得られる。このため、比較的低電圧で溶接に必要
な電流が均一に流れ、確実な溶接面が得られる。シーム
溶接では局部的に過剰な電流が流れると、金属の一部が
飛び散るスプラッシュが発生し、溶接部を汚したり電流
不足の部分の接合が不充分になったりする。この現象は
溶接が高速であるほど顕著に起こる。薄いニッケルめっ
き層の上に錫めっきが施してあると、錫量は少なくても
その効果は認められ、0.6g/m2以上あれば高速の溶接
にも充分耐えることができる。錫量は多くても2.0g/
m2あれば充分で、これを超える量ではさらなる品質の向
上はなく経済的に不利となる。
に優れている。又、錫層と鋼板との間にニッケル層を介
在させると、錫・鉄合金の生成を抑止する。このため、
めっき層がニッケルと錫の二層めっきの場合は、下層と
してニッケルを15mg/m2 以上めっきすることによっ
て、錫めっきの付着量を減らすことが出来、100mg/m
2 を超える量は不要である。
共に満足するので、内面にも又外面にも使用することが
できる。即ち、めっき層は両面とも錫めっき或いはニッ
ケルと錫の二層めっきであってもよく、又、何れか片面
が錫めっきで他面がニッケルと錫の二層めっきでもよ
い。更に、これらのめっき層は、この発明のめっき鋼板
の表面粗さの範囲を維持する限り、めっき金属が粒状な
いしは島状に分布していてもよい。
接後補修塗装を施され、その後ネックインと称する絞り
加工を受ける。即ち、缶の胴の上方が細く絞り込まれて
首の部分が成形される。更に、缶蓋を付けるために開口
部はフランジ加工を受ける。このような加工を受ける
と、熱融着性はよくても密着力が小さい場合、フィルム
や塗膜は剥離する。
ート皮膜を生成させ、これによってめっき鋼板表面と樹
脂フィルム或いは塗膜との密着力を高めるためである。
この処理皮膜はクロムの水酸化物や酸化物(水和酸化物
と称す)と金属クロムとからなるが、金属クロムの量が
5mg/m2 以上で水和酸化物クロムがクロムとして5mg/m
2 以上の皮膜を形成すると一層強固な密着力が得られ
る。金属クロムの量が50mg/m2 を超えて多くても、又
水和酸化物クロムの量がクロムとして25mg/m2を超え
て多くても密着力に対する効果は変わらない。更に、水
和酸化物クロムがクロムとして25mg/m2 を超えて厚い
と、褐色が強くなり印刷下地としては好ましくない。
脂及び酸洗により浄化した後、両面にめっきを施し、化
成処理を行った。但し、錫めっきを施した場合はリフロ
ー処理を行った後化成処理を施した。この処理鋼板をイ
ンダクションヒーターで180〜230℃に予熱し、樹
脂フィルムをロールで圧着させながら連続的に接着した
後、後加熱を行い冷却してラミネート鋼板を得た。得ら
れたラミネート鋼板について、溶接性、ラミネート皮膜
の熱融着性、収縮性、加工密着性及び耐レトルト密着性
を調べた。
ケルめっきはワット浴を用いて行った。化成処理は、硫
酸ナトリウムを含む無水クロム酸浴を用いて行った。ラ
ミネートでは、幅161mm、厚さ10〜50μm の樹脂
フィルムを、ニス避け部を設けながら連続的に圧着した
後、205℃〜225℃で5秒〜10分の後加熱を行い
水冷した。
エチレンテレフタレート共重合体の単層フィルム(試験
No.1〜10)、及び、この共重合体を下層としポリエ
チレンテレフタレート単独重合体を上層とする二層構造
フィルム(試験No.11、17)とである。二層構造フ
ィルムは、下層を4μm、上層を25μmの厚さとし
た。
pmで200ml缶胴を溶接し、スプラッシュの発生有無
を評価した。
ルを行い、樹脂フィルムがちぎれるまで剥離しなかった
ものを〇印で、200g/cm以上で剥離したものを△印
で、又200g/cm以下で剥離したものを×印で評価し
た。 収縮性:ラミネート直後の鋼板をブランキングし、21
0℃で30秒加熱後急冷し、加熱前後の樹脂フィルム幅
の差から収縮した率を求めた。
側として、溶接により缶胴を製缶した後、溶接部近傍の
缶胴から試験片を切り出し、そのフィルム面に2mm間隔
に碁盤目カットを刻み、エリクセン4mm押出し後、粘着
テープで強制的に剥離し、剥離面積の百分率を基準に評
価した。なお、試験結果は、剥離面積が10%未満の場
合〇、10%以上30%未満の場合△、30%以上の場
合×として取りまとめた。
を内面側として、溶接により缶胴を製缶した後、溶接部
近傍の缶胴から試験片を切り出し、そのフィルム面にク
ロスカットを入れエリクセン4mm押出しを行った試験片
を、1.5%のNaClを含む125℃の水溶液に30
分間浸漬した後、粘着テープで強制的に剥離し、剥離の
状況を評価した。評価は、全く剥離しなかったもの〇、
クロスカット周辺部に僅かに剥離が見られたもの△、ほ
ぼ全面に剥離が見られたもの×とした。
比較例についても行い、この発明の実施例と比較した。
調査に供した試験片の詳細な条件及び試験の結果を表1
に示す。
ッシュの発生も無く溶接速度40pmpを達成し、熱融
着性もよく、熱収縮率も小さく、加工密着性、耐レトル
ト密着性共に満足な結果が得られた。
であった。 試験No.12:錫めっき量が不十分なため、スプラッシ
ュが発生し高速溶接ができず、溶接性が劣った。 試験No.13:化成処理の金属クロム量が少なく加工密
着性が低下し、耐レトルト性に劣った。 試験No.14:めっき鋼板表面が粗く加工密着性、耐レ
トルト性に劣った。これらの試験では皮膜に膨れも見ら
れた。
含有率が小さいので熱融着性が低下し、したがって加工
密着性、耐レトルト性に劣った。 試験No.16:酸成分中のイソフタル酸の含有率が大き
いので樹脂フィルムの収縮率が大きく、耐レトルト性密
着性に劣った。 試験No.17:下層のイソフタル酸の含有率が小さいの
で熱融着性が低下し、加工密着性及び耐レトルト密着性
に劣った。
で、加工密着性、耐レトルト性に劣った。試験No.19
では、樹脂フィルムが不適切なためレトルト処理時の熱
で樹脂フィルムが軟化するとともに剥がれてしまった。
試験No.20では、樹脂フィルムが不適切で、レトルト
処理により軟化剥離した。
を同様に前処理を行った後、同じく180〜230℃に
予熱し、フィルムのめっき表面と接する面に接着剤を3
0mg/dm 2 程度(乾燥重量)塗布し、樹脂フィルムをロ
ールで圧着させながら連続的に接着した後、後加熱を行
ってラミネート鋼板を得た。得られたラミネート鋼板に
ついて、溶接性、ラミネート皮膜の収縮性、加工密着
性、耐レトルト密着性及び耐白化性を調べた。
50μm のポリエチレンテレフタレートの単独重合体の
樹脂フィルムを、ニス避け部を設けながら連続的に圧着
した。圧着ロールはシリコンゴム製で表面の温度を19
5℃に維持した。圧着直後、鋼板温度を205℃〜22
5℃に5秒〜30秒保って後加熱を行い、直ちに水冷し
た。
工密着性及び耐レトルト密着性については、実施例1.
と同じである。 耐白化性については、125℃の1.
5%NaCl水溶液に30分間浸漬するレトルト処理を
行って、白化の度合いを観察し、全く白化が認められな
いものを〇、僅かでも白化が認められるものを△、白く
曇って明瞭に白化が起きたものを×、として評価した。
比較例についても行い、この発明の実施例と比較した。
調査に供した試験片の詳細な条件及び試験の結果を表1
に示す。
験で満足な結果が得られた。これに対して、比較例では
次のような結果であった。 試験No.10:錫めっき量が不充分なため、スプラッシ
ュが発生し高速溶接が出来ず、溶接性に劣った。 試験No.11:化成処理の金属クロム量が少なく加工密
着性、耐レトルト性に劣った。 試験No.12:接着剤のエポキシ樹脂の分子量が小さく
未硬化成分が残留し、加工密着性、耐レトルト密着性が
低下していると共に耐白化性に劣った。
子量が大きく加工密着性が低下し、耐レトルト性に劣っ
た。 試験No.14:接着剤中のエポキシ樹脂含有率が小さく
加工密着性、耐レトルト密着性に劣った。 試験No.15:接着剤中のエポキシ樹脂含有率が大き
く、30秒の加熱時間では硬化不充分で、耐レトルト密
着性が低下し耐白化性に劣った。
ラミネート鋼板は、溶接性、防食性及び樹脂フィルム密
着性に優れためっき鋼板の表面に、ニス避け部を除い
て、加工性がよく遮蔽効果が大きいポリエチレンテレフ
タレート系の二軸延伸樹脂フィルムをラミネートしてあ
る。特に熱収縮性が非常に小さいポリエチレンテレフタ
レート単独重合体は熱融着性に問題があったが、これを
熱融合収縮性を損なわない範囲でイソフタル酸を含ませ
た共重合体として解決し、或いはこの共重合体を下層と
する二層構造の樹脂フィルムとし、或いは、密着性に加
えて耐熱性、加工性、短時間硬化性のよい接着剤を用い
ることによって解決している。
に加工、加熱の工程を経ても密着力が低下することな
く、過酷な環境に曝されるレトルト処理においても優れ
た耐性を有する。このように優れた缶用材を提供するこ
とによって、製缶工程及び製品の合理化に貢献するこの
発明の効果は大きい。
ある。
ある。
鋼板の一部断面図である。
剤中エポキシ樹脂含有率との関係を示す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 次の(い)のめっき皮膜を有するめっき
鋼板であって、このめっき鋼板の表面粗さPPI(しき
い値0.5μm)が5以上150以下である片面又は両
面上に、所定幅のニス避け部を残してストリップのライ
ン方向に沿って帯状に熱圧着された次の(は)の樹脂フ
ィルムを有することを特徴とする溶接缶用ラミネート鋼
板。 (い)付着量が0.9g/m2以上2.8g/m2以下の錫めっ
き層上に金属クロム量が5mg/m2 以上50mg/m2 以下で
水和酸化物クロムがクロムとして5mg/m2 以上25mg/m
2 以下の化成処理層を有するめっき皮膜 (は)酸成分の0.5mol %以上10mol %以下がイソ
フタル酸であるポリエチレンテレフタレート共重合体の
二軸延伸フィルム - 【請求項2】 請求項1記載の溶接缶用ラミネート鋼板
において、(は)の樹脂フィルムに代えて(に)の樹脂
フィルムを有する溶接缶用ラミネート鋼板。 (に)酸成分の0.5mol %以上10mol %以下がイソ
フタル酸であるポリエチレンテレフタレート共重合体を
下層とし、ポリエチレンテレフタレート単独重合体を上
層とする二層構造の二軸延伸フィルム - 【請求項3】 鋼板の表面に次の(い)のめっき皮膜を
有するめっき鋼板の少なくとも片面上に、所定幅のニス
避け部を残してストリップのライン方向に沿って帯状に
次の(へ)である接着層によって接着された次の(ほ)
の樹脂フィルムを有することを特徴とする溶接缶用ラミ
ネート鋼板。(い)付着量が0.9g/m 2 以上2.8g/m 2 以下の錫めっ
き層上に金属クロム量が5mg/m 2 以上50mg/m 2 以下で水
和酸化物クロムがクロムとして5mg/m 2 以上25mg/m 2 以
下の化成処理層を有するめっき皮膜 (ほ)ポリエチレンテレフタレート単独重合体の二軸延
伸フィルム (へ)数平均分子量が15000以上30000以下の
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールAを
基体とするレゾール型フェノール樹脂からなる接着剤
で、前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂を70wt%以
上90wt%以下含む接着剤を加熱硬化させた接着層 - 【請求項4】 請求項1記載の溶接缶用ラミネート鋼板
において、(い)のめっき皮膜に代えて次の(ろ)のめ
っき皮膜を有する溶接缶用ラミネート鋼板。 (ろ)付着量が15mg/m2 以上100mg/m2 以下のニッ
ケルめっき層の上に付着量が0.6g/m2以上2.0g/m2
以下の錫めっきを施した二層めっきの上に、更に、金属
クロム量が5mg/m2 以上50mg/m2 以下で水和酸化物ク
ロムがクロムとして5mg/m2 以上25mg/m2 以下の化成
処理層を有するめっき皮膜 - 【請求項5】 請求項2記載の溶接缶用ラミネート鋼板
において、(い)のめっき皮膜に代えて(ろ)のめっき
皮膜を有する溶接缶用ラミネート鋼板。 - 【請求項6】 請求項3記載の溶接缶用ラミネート鋼板
において、(い)のめっき皮膜に代えて(ろ)のめっき
皮膜を有する溶接缶用ラミネート鋼板。
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JP6749892 | 1992-03-25 | ||
JP4-67498 | 1992-03-25 | ||
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1993
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