JP2001032032A - 樹脂被覆用アルミニウム合金材及びその製造方法 - Google Patents

樹脂被覆用アルミニウム合金材及びその製造方法

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JP2001032032A
JP2001032032A JP20988499A JP20988499A JP2001032032A JP 2001032032 A JP2001032032 A JP 2001032032A JP 20988499 A JP20988499 A JP 20988499A JP 20988499 A JP20988499 A JP 20988499A JP 2001032032 A JP2001032032 A JP 2001032032A
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Yukio Urayoshi
幸男 浦吉
Kazuhiko Matsuzaki
和彦 松崎
Katsumi Koyama
克己 小山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂との密着性及び強度がともに優れる樹脂
被覆用アルミニウム合金材を低コストで提供する。 【解決手段】 Si 0.01〜0.80wt%、Fe
0.20〜0.70wt%、Cu 0.15〜0.5
0wt%、Mn 0.40〜1.20wt%、Mg
0.80〜6.00wt%及びTi 0.001〜0.
15wt%を含有し、さらに必要に応じB 0.15w
t%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物である
アルミニウム合金からなり、酸化被膜厚さが200Å以
下、かつ、直径20μm以上の晶出物の面積率が20%
以下である、樹脂との密着性及び強度に優れた樹脂被覆
用アルミニウム合金材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラミネート樹脂と
の密着性に優れ、樹脂被覆時にうねりなどを生じず、十
分な強度を有する、飲料缶用のキャンボディ等に用いる
ことのできるアルミニウム合金材とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】飲料缶の缶胴部(キャンボディ)の多く
は、アルミニウムあるいはスチールの薄い板を絞り、し
ごき加工(DI加工)を行うことにより製造されてい
る。このキャンボディ材の製造工程を簡単に説明する
と、DC(ダイキャスト)鋳造、面削、均質化処理のの
ち、熱間圧延を施し、製品厚に冷間圧延を施すか、また
は、熱間圧延後もしくは冷間圧延途中で焼鈍を施し、製
品厚に冷間圧延を行うものである(特開平6−1582
44号)。このとき均質化処理は、560〜630℃で
3時間以上行うのが一般的である(特開平10−121
177号)。その理由は、均質化により生じるAl−M
n−Fe−Si系の晶出物がDI加工時に固体潤滑性を
示し、また晶出物近傍に生じる空隙により保油性が向上
するためであり、さらにはしごきダイスのセルフクリー
ニング等の効果が得られる等の作用により、DI加工時
の焼き付けによるゴーリング(DI加工時に素材板表面
にしごき方向とほぼ平行に生じる疵や変色)等の缶表面
欠陥を防止できるためである。
【0003】DI加工を行う製罐工程では、大量の潤滑
油を使用して成形加工後、缶の内外面を塗装する。この
ため、この工程からの排水の汚染と、大気汚染について
十分配慮する必要がある。これらの問題に対し、予め潤
滑性能に優れたフィルムを被覆した板材(ラミネート
材)を用い、薄肉化再絞り加工により製罐した樹脂被覆
缶が提案されている。
【0004】この樹脂被覆缶の製造において、アルミニ
ウム合金板を基板としてラミネート材を製造する際、高
温かつ高速度でフィルムを被覆すると、うねりが生じて
健全なラミネート材が得にくいという問題があった。こ
れに対し、前記の問題を生じず、かつ、目的の缶等に成
形した後も十分な強度となる機械的特性を確保する(強
度を向上する)ためには、合金成分の含有量を規格値の
範囲内で上限に近い組成とすること(以下、高組成化と
いう)や、焼鈍温度の高温化がはかられるが、いずれも
製造コストを上昇させる結果となる。また、アルミニウ
ム合金基板のラミネート材の成形加工においては、Al
−Mn−Fe−Si系の晶出物による成形時の固体潤滑
作用や、晶出物近傍の空隙による保油性の向上は特に必
要ではなく、逆に晶出物近傍の空隙が樹脂と合金材との
密着性を低下させる原因となっていた。従来ラミネート
材の基板に用いられているアルミニウム合金材はいずれ
も樹脂との密着性が十分でなく、加工条件が厳しいと樹
脂層が剥離するなどの問題を生じている。このため、被
覆する樹脂フィルムとの密着性が高く、十分な強度を有
し、かつ製造コストが低減された樹脂被覆用アルミニウ
ム合金材の開発が要望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、樹脂
との密着性及び強度がともに優れる樹脂被覆用アルミニ
ウム合金材、及び低コストで前記アルミニウム合金材を
製造しうる製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意研究した結果、所定の組成のアルミニウム合金
において、酸化被膜の厚さと晶出物の面積率を一定値以
下に制御して合金板とすることにより、従来のアルミニ
ウム合金硬質板よりも素板とラミネートフィルムとの密
着性が高く、機械的特性にも優れた樹脂被覆用アルミニ
ウム合金板が得られることを見出し、この知見に基づき
本発明をなすに至った。すなわち本発明は、(1)Si
0.01〜0.80wt%、Fe 0.20〜0.7
0wt%、Cu 0.15〜0.50wt%、Mn
0.40〜1.20wt%、Mg 0.80〜6.00
wt%及びTi 0.001〜0.15wt%を含有
し、さらに必要に応じB 0.15wt%以下を含有
し、残部がAlと不可避的不純物であるアルミニウム合
金からなり、酸化被膜厚さが200Å以下、かつ、直径
20μm以上の晶出物の面積率が20%以下であること
を特徴とする、樹脂との密着性及び強度に優れた樹脂被
覆用アルミニウム合金材、(2)前記アルミニウム合金
がSi 0.01〜0.80wt%、Fe 0.20〜
0.70wt%、Cu 0.15〜0.50wt%、M
n 0.40〜1.20wt%、Mg 0.80〜6.
00wt%及びTi 0.001〜0.15wt%を含
有し、必要に応じB 0.15wt%以下を含有し、さ
らに必要に応じZn 0.45wt%以下を含有し、残
部がAlと不可避的不純物であるアルミニウム合金から
なり、酸化被膜厚さが200Å以下、かつ、直径20μ
m以上の晶出物の面積率が20%以下であることを特徴
とする、樹脂との密着性及び強度に優れた樹脂被覆用ア
ルミニウム合金材、及び(3)(イ)Si 0.01〜
0.80wt%、Fe 0.20〜0.70wt%、C
u 0.15〜0.50wt%、Mn 0.40〜1.
20wt%、Mg0.80〜6.00wt%及びTi
0.001〜0.15wt%を含有し、さらに必要に応
じB 0.15wt%以下を含有し、残部がAlと不可
避的不純物からなるアルミニウム合金鋳魂、または
(ロ)Si 0.01〜0.80wt%、Fe 0.2
0〜0.70wt%、Cu 0.15〜0.50wt
%、Mn0.40〜1.20wt%、Mg 0.80〜
6.00wt%及びTi 0.001〜0.15wt%
を含有し、必要に応じB 0.15wt%以下を含有
し、さらに必要に応じZn 0.45wt%以下を含有
し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム
合金鋳魂、のいずれかに、550℃以下での予備加熱処
理を施したのち、300〜550℃の温度で熱間圧延を
行い、その後、必要に応じ中間焼鈍と、冷間圧延を施す
ことを特徴とする、樹脂との密着性及び強度に優れた樹
脂被覆用アルミニウム合金材の製造方法を提供するもの
である。なお、本発明における「強度」には、樹脂被
覆、成形して得られる製品の強度を確保するための特
性、及び良好に樹脂被覆処理を行ううえで必要となる特
性が含まれる。また、「面積率」とは合金材表面を真上
から見たときに直径20μm以上の晶出物が占めている
面積の割合(%)をいう。
【0007】
【発明の実施の形態】まず、本発明におけるアルミニウ
ム合金の組成について説明する。Si、Feは、アルミ
ニウム精錬において不可避的に存在し、これを低減する
ためには大きな精錬コストがかかる。また、主に缶の屑
を利用した再生地金にもこれらの元素が多く含まれる。
このため、Siを0.01wt%未満、また、Feを
0.20wt%未満という極めて低い含有量とすること
は原料コストを上昇させることになる。しかし、Siが
0.80wt%を越えると、Mgと金属間化合物を形成
するため、固溶強化に寄与するMgの減少をもたらす。
また、Feが0.70wt%を越えると、Al−Mn−
Fe系の巨大晶出物が生成し、成形性を低下させる。S
iは好ましくは0.40〜0.80wt%であり、Fe
は好ましくは0.30〜0.70wt%である。
【0008】Cuは合金材の強度向上に寄与し、結晶粒
を微細化させる元素であるが、0.15wt%未満では
所望の強度が得られず、0.50wt%を越えると粗大
な晶出物が生成し、成形性を低下させるため、0.15
〜0.50wt%とする。Mnも同様に合金材に強度を
与える元素であるが、0.40wt%未満では所望の強
度が得られない。また、1.20wt%を越えると強度
向上の効果が飽和するうえ、Al−Mn系及びAl−M
n−Fe系の巨大な晶出物が形成され、成形性を低下さ
せる。
【0009】Mgについても合金材に強度を与えるため
に添加するものであり、0.80wt%未満では十分な
強度が得られない。また、6.00wt%を越えると圧
延加工性および缶などへの成形性が低下するとともに、
合金材表面に形成される酸化被膜が厚くなり、樹脂との
密着性が低下する。Tiは鋳造組織を微細化させるため
に添加するが、0.001wt%未満ではこの効果が十
分得られず、0.15wt%を越えると粗大な晶出物が
増えて成形性を低下させるため、0.001〜0.15
wt%とする。必要に応じ、Tiとともに0.15wt
%以下のBを使用することができ、これらは鋳魂の結晶
粒を均一微細化する。また、本発明においては、必要に
応じ0.45wt%以下のZnを含有させることができ
る。Znは合金材の強度向上や晶出物微細化等の作用が
あり、本発明の合金材において目的とする密着性と強度
を得るため積極的に添加することもできるが、0.45
wt%を越えるとその効果が飽和し、また、成形性が低
下することがある。
【0010】本発明においては、合金材表面の酸化被膜
の厚さ、及び晶出物の分布状態が非常に重要である。冷
間圧延後の合金材表面に200Åを越える厚さの酸化被
膜が形成されていると、化成被膜を形成させた後にも合
金と化成被膜の間に脆い酸化被膜が残留し、これが壊れ
やすいことが原因して、樹脂フィルムと合金材の密着性
を低下させる。このため、本発明においては合金材表面
の酸化被膜厚さを200Å以下、好ましくは80〜16
0Åとする。なお、本発明における酸化被膜厚さは、オ
ージェ電子分光法(AES)による酸素のピーク値が深
さ方向で最大値の2分の1になる深さの値である。ま
た、直径(円相当径)20μm以上の晶出物の面積率が
20%を越える合金板では、晶出物近傍に生じるより大
きな空隙が、フィルムとの密着性を低下させる原因とな
るので、本発明においては直径20μm以上の晶出物の
面積率を20%以下、好ましくは10〜20%とする。
この面積率とは、合金材表面を真上から見たときに直径
20μm以上の晶出物が占めている面積の割合であり、
その測定は、測定すべき素板(最終冷延板)の表面をダ
イヤモンドペースト研磨等によりミクロ研磨後、光学顕
微鏡による表面組織像を処理して、晶出物とマトリクス
を2値化し、晶出物の占有率を面積率で求める方法など
によって行うことができる。
【0011】次に、本発明の合金材の酸化被膜厚さと晶
出物の分布状態を上記のように制御し、高速、高温で行
う樹脂被覆処理において必要となる強度などを付与する
うえで好ましい合金板の製造方法について説明する。樹
脂被覆(ラミネート)処理では、樹脂を密着させるため
樹脂温度を上げる必要があり、このために基板であるア
ルミニウム合金材を予め加熱しておいたり、溶融状態の
樹脂を用いたりするが、いずれの方法でもアルミニウム
合金材は通常150〜300℃の温度となる。この条件
で問題の生じないアルミニウム合金材の機械的特性値と
しては、耐力値が最も重要であり、300N/mm
上のものが好ましい。耐力値が低すぎる合金材を基板と
して用いると、樹脂被覆処理時に適切な張力を基板にか
けることができず、熱応力による波打ちや、部分的なフ
ィルム剥離が生じることがある。本発明の製造方法にお
いては、上記のような特性を有する合金材とするため
に、製造コストの上昇につながる合金成分の高組成化や
高温での焼鈍を行わず、均質化処理を省略して所定の温
度での予備加熱、熱間圧延を行う。これにより本発明に
おいては、低コストで、十分な密着性と必要な強度を有
するアルミニウム合金材を製造することができる。
【0012】本発明の製造方法においては、まず、上述
の組成のアルミニウム合金鋳魂を、550℃以下、好ま
しくは420〜520℃で熱間圧延前に予備加熱する。
熱間圧延前に550℃を越える温度で加熱したり、通常
の均質化処理を行ったりすると、析出物の固溶により、
缶などに成形した後の適切な強度が確保できない。この
ときの保持時間は加熱温度等により異なるが、好ましく
は1〜6時間である。その後引き続き行われる熱間圧延
は、300〜550℃、好ましくは400〜500℃で
行う。熱間圧延においても、550℃を越える温度で行
うと強度低下を招く。また、300℃未満の熱間圧延で
は、直径20μm以上の晶出物の面積率が高くなり、さ
らに、エッジ部が割れやすくなるなどの問題を生じて生
産性を低下させる。前記の温度範囲で熱間圧延を行うた
めに、上記の温度での予備加熱を行うことが必要とな
る。
【0013】熱間圧延後に行われる冷間圧延、及び必要
に応じ行われる中間焼鈍については、特に制限はなく、
目的とする形状等に応じ通常行われる条件で行うことが
できる。なお、本発明におけるアルミニウム合金材の形
状は、用途等に応じ適宜選択でき、たとえば板材、条材
などがあげられる。また、本発明のアルミニウム合金材
を被覆処理する際の樹脂の種類は特に制限はなく、通常
ラミネート処理で用いられている樹脂フィルムなどで被
覆して用いることができる。
【0014】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明する。 実施例1 下記表1に示す組成の合金をDC鋳造にて鋳魂とした。
次にこの鋳魂に熱間圧延前の予備加熱を520℃で1時
間行い、500℃で熱間圧延後、表1に示す中間焼鈍を
連続焼鈍炉により施し、冷間圧延により板厚0.3mm
の圧延板No.1〜13を製造した。得られた圧延板の
酸化被膜厚さは90Å、直径20μm以上の晶出物の面
積率は15%であった。この圧延板の引張強度及び耐力
値を、JIS5号の引張試験片を用い、引張試験機で測
定した。結果を表1に示した。次に、得られた圧延板に
対し、厚さ15μmのポリエチレンテレフタレート系熱
可塑性フィルムを、低融点接着剤を介して両面にラミネ
ート加工した。ラミネート材をいったん融点直上(27
0℃)に短時間加熱した直後、水冷を行うことによりフ
ィルムを非晶質化した。このラミネート材について、以
下の試験を行った。結果を表2に示した。
【0015】DI加工性試験 各ラミネート材をキャンボディ材としてDI加工、4段
ネッキング及びフランジ加工を施し、350mlサイズ
(内径66mm)の缶1000個を連続的に成形した。
このうち割れの発生している缶の数をカウントし、以下
の基準で評価した。 ◎: 1000缶中、割れの発生した缶なし ○: 1000缶中、1〜5缶で割れ発生 △: 1000缶中、6〜20缶で割れ発生 ×: 1000缶中、割れの発生した缶が20缶を越え
る 口拡げ性試験 DI成形(内径66mmφ、側壁板厚103μm、側壁
先端部板厚165μm)後、DI缶にトリミングと洗浄
を施した後、200℃で20分加熱し、次いでネッキン
グ加工を施し、角度90°円錐状の治具をフランジ割れ
が発生するまで押し込み、割れが発生した時の開口部の
径Dを測定し、開口部の径の増加率Pを下記式により計
算した。(式中dは治具を押し込む前の開口部の径であ
る。) P(%)=((D−d)/d)×100 このPの値により、以下の基準で口拡げ性を評価した。 ◎:15%以上 ○:14%以上15%未満 △:13%以上14%未満 ×:13%未満 (注)加工条件にもよるが実用上14%以上の拡管値が
必要である。 フィルム密着性試験 上記で成形した缶を目視観察し、フィルム剥離の発生
の有無によりフィルム密着性を評価した。 ○:フィルム剥離あり ×:フィルム剥離なし 缶体強度試験 DI成形、トリミング、洗浄、200℃で20分の加熱
を行った缶に、窒素封入を行い缶底(缶ドーム部)が内
圧上昇により反転するまでの圧力、いわゆる耐圧強度
(反転強度)を測定した。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】表1及び表2の結果から明らかなように、
本発明例の合金材No.1〜6は、耐力値がいずれも3
00N/mm以上であり、引張強さも十分で、かつ、
これらを用いたラミネート材は、缶への加工性、成形し
た缶の強度に優れ、ラミネートフィルムの剥離も少ない
ことがわかる。これに対し比較例であるNo.7、8、
11、12は強度が低く、ラミネートしたときに巾端部
で健全な被覆層が形成されない部分があり、成形した缶
の強度も低かった。また、No.9〜13は概して缶へ
の成形性が低く、連続成形で割れが多数発生した。
【0019】実施例2 表1のNo.4と同じ組成の合金鋳魂を、表3に示す条
件で予備加熱、熱間圧延したのち、冷間圧延して、板厚
0.3mmの圧延板No.14〜22を製造した。得ら
れた圧延板の酸化厚さをAESにより測定し、20μm
以上の晶出物の面積率を、先述したようにダイヤモンド
ペースト研磨等によりミクロ研磨後、画像解析装置によ
り測定したところ、表3に示すとおりであった。また、
この圧延板に実施例1と全く同様にしてラミネート加工
を施し、これをキャンボディ材として350mlサイズ
(内径66mm)の缶に成形して、得られた缶の耐圧強
度を実施例1と同様にして測定した。
【0020】
【表3】
【0021】酸化被膜が厚すぎるNo.18〜20及び
22はフィルムの密着性が低く、十分な缶体強度も得ら
れなかった(なお、No.18〜20、22の予備加熱
条件は均質化処理又はそれに類する処理に相当する)。
また、直径20μm以上の晶出物の面積率が高すぎるN
o.21では晶出物近傍の空隙が大きくなってしまい、
フィルム密着性が低下した。なお、No.22の圧延板
製造時には、熱間圧延中にエッジ部の割れが発生した。
これに対し本発明例であるNo.14〜17は、フィル
ムの剥離がなく、成形した缶の強度も十分であることが
わかる。
【0022】
【発明の効果】本発明の樹脂被覆用アルミニウム合金材
は、樹脂を被覆してラミネート材としたときに樹脂との
密着性が高く、缶などに加工する際に樹脂層の剥離を生
じない。また、本発明のアルミニウム合金材は強度も高
く、高速、高温での樹脂被覆処理でもうねりや波打ちな
どがなく、樹脂フィルムの部分剥離の発生が防止されて
おり、さらに、缶などへの成形性が良好で、成形後も十
分な強度を有する。本発明においては、このようなアル
ミニウム合金材を、高温での焼鈍などを行うことなく製
造でき、低コストで優れた樹脂被覆用アルミニウム合金
材を提供しうる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 684 684 685 685 691 691B 694 694B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si 0.01〜0.80wt%、Fe
    0.20〜0.70wt%、Cu 0.15〜0.5
    0wt%、Mn 0.40〜1.20wt%、Mg
    0.80〜6.00wt%及びTi 0.001〜0.
    15wt%を含有し、さらに必要に応じB 0.15w
    t%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物である
    アルミニウム合金からなり、酸化被膜厚さが200Å以
    下、かつ、直径20μm以上の晶出物の面積率が20%
    以下であることを特徴とする、樹脂との密着性及び強度
    に優れた樹脂被覆用アルミニウム合金材。
  2. 【請求項2】 Si 0.01〜0.80wt%、Fe
    0.20〜0.70wt%、Cu 0.15〜0.5
    0wt%、Mn 0.40〜1.20wt%、Mg
    0.80〜6.00wt%及びTi 0.001〜0.
    15wt%を含有し、必要に応じB 0.15wt%以
    下を含有し、さらに必要に応じZn 0.45wt%以
    下を含有し、残部がAlと不可避的不純物であるアルミ
    ニウム合金からなり、酸化被膜厚さが200Å以下、か
    つ、直径20μm以上の晶出物の面積率が20%以下で
    あることを特徴とする、樹脂との密着性及び強度に優れ
    た樹脂被覆用アルミニウム合金材。
  3. 【請求項3】 (イ)Si 0.01〜0.80wt
    %、Fe 0.20〜0.70wt%、Cu 0.15
    〜0.50wt%、Mn 0.40〜1.20wt%、
    Mg 0.80〜6.00wt%及びTi 0.001
    〜0.15wt%を含有し、さらに必要に応じB 0.
    15wt%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物
    からなるアルミニウム合金鋳魂、または(ロ)Si
    0.01〜0.80wt%、Fe 0.20〜0.70
    wt%、Cu 0.15〜0.50wt%、Mn 0.
    40〜1.20wt%、Mg 0.80〜6.00wt
    %及びTi 0.001〜0.15wt%を含有し、必
    要に応じB 0.15wt%以下を含有し、さらに必要
    に応じZn 0.45wt%以下を含有し、残部がAl
    と不可避的不純物からなるアルミニウム合金鋳魂、のい
    ずれかに、550℃以下での予備加熱処理を施したの
    ち、300〜550℃の温度で熱間圧延を行い、その
    後、必要に応じ中間焼鈍と、冷間圧延を施すことを特徴
    とする、樹脂との密着性及び強度に優れた樹脂被覆用ア
    ルミニウム合金材の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004300457A (ja) * 2003-03-28 2004-10-28 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 缶ボディ用アルミニウム合金板
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CN103886930A (zh) * 2014-03-04 2014-06-25 安徽海纳电缆集团有限公司 一种电缆导体用铝合金配方
CN108385002A (zh) * 2018-04-18 2018-08-10 中铝瑞闽股份有限公司 一种铝瓶螺旋盖铝合金带材及其制备方法

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