JPH09279281A - 耐蝕性に優れた缶蓋材用Al合金焼付塗装板とその製造方法 - Google Patents
耐蝕性に優れた缶蓋材用Al合金焼付塗装板とその製造方法Info
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- JPH09279281A JPH09279281A JP9104496A JP9104496A JPH09279281A JP H09279281 A JPH09279281 A JP H09279281A JP 9104496 A JP9104496 A JP 9104496A JP 9104496 A JP9104496 A JP 9104496A JP H09279281 A JPH09279281 A JP H09279281A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐蝕性に優れた缶蓋材用Al合金焼付塗装板
を見出すこと。 【解決手段】 Mg2.0〜3.0wt%未満、Mn
0.20〜0.70wt%、Cu0.01〜0.15w
t%、Fe0.35wt%以下、Si0.20wt%以
下を含み、かつMn/Si≧2.0を満たし、更にCr
0.10wt%以下及びTi0.05wt%以下のうち
1種又は2種を含み、残部がAl及び不可避不純物から
なるAl合金焼付塗装板であって、 圧延方向と平行な
断面の金属組織において、平均粒径1μm以上のMg2
Si化合物の面積分率が1.2%以下であり、Cuを含
む析出物のうち平均粒径0.1μm以上の析出物量がC
u換算量で0.040wt%以下であることを特徴とす
る耐蝕性に優れた缶蓋材用Al合金焼付塗装板。
を見出すこと。 【解決手段】 Mg2.0〜3.0wt%未満、Mn
0.20〜0.70wt%、Cu0.01〜0.15w
t%、Fe0.35wt%以下、Si0.20wt%以
下を含み、かつMn/Si≧2.0を満たし、更にCr
0.10wt%以下及びTi0.05wt%以下のうち
1種又は2種を含み、残部がAl及び不可避不純物から
なるAl合金焼付塗装板であって、 圧延方向と平行な
断面の金属組織において、平均粒径1μm以上のMg2
Si化合物の面積分率が1.2%以下であり、Cuを含
む析出物のうち平均粒径0.1μm以上の析出物量がC
u換算量で0.040wt%以下であることを特徴とす
る耐蝕性に優れた缶蓋材用Al合金焼付塗装板。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飲料用缶の缶蓋材
用Al合金焼付塗装板とその製造方法に関するものであ
り、缶蓋材として必要な強度、成形性等の特性を具備す
ると同時に、特に開缶の容易な缶蓋(イージーオープン
キャンエンド、略してEOEという)用材料において、
耐蝕性に優れたAl−Mg系合金焼付塗装板とその製造
方法に関するものである。
用Al合金焼付塗装板とその製造方法に関するものであ
り、缶蓋材として必要な強度、成形性等の特性を具備す
ると同時に、特に開缶の容易な缶蓋(イージーオープン
キャンエンド、略してEOEという)用材料において、
耐蝕性に優れたAl−Mg系合金焼付塗装板とその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来缶蓋材には強度、耐食性、リベット
等の成形性の観点からJIS−5082(Al−4.5
wt%Mg合金)、5182(Al−4.5wt%Mg
−0.35wt%Mn合金)、5052(Al−2.5
wt%Mg−0.25wt%Cr合金)等のAl−Mg
系合金が用いられている。
等の成形性の観点からJIS−5082(Al−4.5
wt%Mg合金)、5182(Al−4.5wt%Mg
−0.35wt%Mn合金)、5052(Al−2.5
wt%Mg−0.25wt%Cr合金)等のAl−Mg
系合金が用いられている。
【0003】この缶蓋の製造は、所定のAl合金焼付塗
装板コイルから円形の缶蓋素板を打ち抜き、これを成形
して作られる。まず缶蓋材であるAl合金焼付塗装板
は、前記Al合金組成の鋳塊を均質化熱処理し、これを
熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延、焼付塗
装の工程を経て厚さ0.2〜0.3mmのAl合金板と
し、更にこの板を塗装焼付して焼付塗装板コイルとす
る。次に缶蓋は、前記の焼付塗装板コイルから、シェル
工程(板コイルから円形の缶蓋素板の形に打ち抜き、外
周部をプレス成形)、カーリング工程(外周部の縁を内
側に曲げる)、コンバージョンプレス工程(内側パネル
に凹凸部、スコア、リベット等の加工を行う)をへて、
最終形状の缶蓋とされる。
装板コイルから円形の缶蓋素板を打ち抜き、これを成形
して作られる。まず缶蓋材であるAl合金焼付塗装板
は、前記Al合金組成の鋳塊を均質化熱処理し、これを
熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延、焼付塗
装の工程を経て厚さ0.2〜0.3mmのAl合金板と
し、更にこの板を塗装焼付して焼付塗装板コイルとす
る。次に缶蓋は、前記の焼付塗装板コイルから、シェル
工程(板コイルから円形の缶蓋素板の形に打ち抜き、外
周部をプレス成形)、カーリング工程(外周部の縁を内
側に曲げる)、コンバージョンプレス工程(内側パネル
に凹凸部、スコア、リベット等の加工を行う)をへて、
最終形状の缶蓋とされる。
【0004】一般に、コーヒー、果汁等の負圧缶にはJ
IS−5052合金が使用されることが多いが、従来の
合金においては、例えばコーヒー飲料においては乳分が
含まれているため、微生物が繁殖しやすく、そのため密
封後に高温の殺菌処理が施される。これはレトルト処理
と呼ばれ、120℃程度で数10分間行われる。この
時、コーヒー中に含まれるCl- の作用により、浸食さ
れやすいという問題がある。
IS−5052合金が使用されることが多いが、従来の
合金においては、例えばコーヒー飲料においては乳分が
含まれているため、微生物が繁殖しやすく、そのため密
封後に高温の殺菌処理が施される。これはレトルト処理
と呼ばれ、120℃程度で数10分間行われる。この
時、コーヒー中に含まれるCl- の作用により、浸食さ
れやすいという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、強度
や、リベット等の成形性を損なうことなく、耐蝕性を向
上させた缶蓋材用Al合金焼付塗装板とその製造方法を
見出すことである。
や、リベット等の成形性を損なうことなく、耐蝕性を向
上させた缶蓋材用Al合金焼付塗装板とその製造方法を
見出すことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】Al−Mg系合金板は、
通常晶出物としてAl6 (Fe、Mn)、α−AlFe
SiといったFe、Mn系晶出物とともにMg2 Si化
合物が含まれており、本願発明では合金組成、均質化熱
処理、熱間圧延等の条件を制限することにより、このM
g2 Si化合物の大きさ、量をコントロールしている。
また Al−Mg系合金板において、強度の向上のため
に添加しているCuは、S相(Al−Cu−Mg系)や
Q相(Al−Cu−Mg−Si系)等の中間相の形態で
析出しているが、本願発明では製造条件により、このC
uの固溶、析出状態を制御している。本願発明は、前記
Mg2 Si化合物とCu析出物の制御により、従来に比
べ強度、成形性といった缶蓋材としての必須性能を損な
うことなく、耐蝕性を向上させたAl合金焼付塗装板と
その製造方法を提供するものである。
通常晶出物としてAl6 (Fe、Mn)、α−AlFe
SiといったFe、Mn系晶出物とともにMg2 Si化
合物が含まれており、本願発明では合金組成、均質化熱
処理、熱間圧延等の条件を制限することにより、このM
g2 Si化合物の大きさ、量をコントロールしている。
また Al−Mg系合金板において、強度の向上のため
に添加しているCuは、S相(Al−Cu−Mg系)や
Q相(Al−Cu−Mg−Si系)等の中間相の形態で
析出しているが、本願発明では製造条件により、このC
uの固溶、析出状態を制御している。本願発明は、前記
Mg2 Si化合物とCu析出物の制御により、従来に比
べ強度、成形性といった缶蓋材としての必須性能を損な
うことなく、耐蝕性を向上させたAl合金焼付塗装板と
その製造方法を提供するものである。
【0007】即ち、本願の請求項1の発明は、Mg2.
0〜3.0wt%未満、Mn0.20〜0.70wt
%、Cu0.01〜0.15wt%、Fe0.35wt
%以下、Si0.20wt%以下を含み、かつMn/S
i≧2.0を満たし、更にCr0.10wt%以下及び
Ti0.05wt%以下のうち1種又は2種を含み、残
部がAl及び不可避不純物からなるAl合金焼付塗装板
であって、 圧延方向と平行な断面の金属組織におい
て、平均粒径1μm以上のMg2 Si化合物の面積分率
が1.2%以下であり、Cuを含む析出物のうち平均粒
径0.1μm以上の析出物量がCu換算量で0.040
wt%以下であることを特徴とする耐蝕性に優れた缶蓋
材用Al合金焼付塗装板であり、
0〜3.0wt%未満、Mn0.20〜0.70wt
%、Cu0.01〜0.15wt%、Fe0.35wt
%以下、Si0.20wt%以下を含み、かつMn/S
i≧2.0を満たし、更にCr0.10wt%以下及び
Ti0.05wt%以下のうち1種又は2種を含み、残
部がAl及び不可避不純物からなるAl合金焼付塗装板
であって、 圧延方向と平行な断面の金属組織におい
て、平均粒径1μm以上のMg2 Si化合物の面積分率
が1.2%以下であり、Cuを含む析出物のうち平均粒
径0.1μm以上の析出物量がCu換算量で0.040
wt%以下であることを特徴とする耐蝕性に優れた缶蓋
材用Al合金焼付塗装板であり、
【0008】また、請求項2の発明は、Mg2.0〜
3.0wt%未満、Mn0.20〜0.70wt%、C
u0.01〜0.15wt%、Fe0.35wt%以
下、Si0.20wt%以下を含み、かつMn/Si≧
2.0を満たし、更にCr0.10wt%以下及びTi
0.05wt%以下のうち1種又は2種を含み、残部が
Al及び不可避不純物からなるAl合金溶湯を半連続鋳
造により鋳塊とし、次にこの鋳塊を400〜480℃の
温度範囲を昇温速度20℃/h以上で加熱して480〜
580℃で1時間以上の均質化熱処理を行い、続いてこ
れを熱間圧延して所定の熱延板とするが、均質化熱処理
後から熱間圧延を終了までの間に、480〜400℃の
温度範囲に30分を越えて保持されることなく熱間圧延
を終了し、その後これを40%以上の加工率で冷間圧延
し、次にこれを中間焼鈍するがこの条件は、昇温速度1
0℃/sec以上、到達温度400〜580℃、この温
度での保持時間2分以内、冷却速度5℃/sec以上と
し、続いて50%以上の加工率で最終冷間圧延し、これ
を更に常法に従って焼付塗装する製造方法であって、圧
延方向と平行な断面の金属組織において、平均粒径1μ
m以上のMg2 Si化合物の面積分率を1.2%以下と
し、Cuを含む析出物のうち平均粒径0.1μm以上の
析出物量をCu換算量で0.040wt%以下とするこ
とを特徴とする耐蝕性に優れた缶蓋材用Al合金焼付塗
装板の製造方法である。
3.0wt%未満、Mn0.20〜0.70wt%、C
u0.01〜0.15wt%、Fe0.35wt%以
下、Si0.20wt%以下を含み、かつMn/Si≧
2.0を満たし、更にCr0.10wt%以下及びTi
0.05wt%以下のうち1種又は2種を含み、残部が
Al及び不可避不純物からなるAl合金溶湯を半連続鋳
造により鋳塊とし、次にこの鋳塊を400〜480℃の
温度範囲を昇温速度20℃/h以上で加熱して480〜
580℃で1時間以上の均質化熱処理を行い、続いてこ
れを熱間圧延して所定の熱延板とするが、均質化熱処理
後から熱間圧延を終了までの間に、480〜400℃の
温度範囲に30分を越えて保持されることなく熱間圧延
を終了し、その後これを40%以上の加工率で冷間圧延
し、次にこれを中間焼鈍するがこの条件は、昇温速度1
0℃/sec以上、到達温度400〜580℃、この温
度での保持時間2分以内、冷却速度5℃/sec以上と
し、続いて50%以上の加工率で最終冷間圧延し、これ
を更に常法に従って焼付塗装する製造方法であって、圧
延方向と平行な断面の金属組織において、平均粒径1μ
m以上のMg2 Si化合物の面積分率を1.2%以下と
し、Cuを含む析出物のうち平均粒径0.1μm以上の
析出物量をCu換算量で0.040wt%以下とするこ
とを特徴とする耐蝕性に優れた缶蓋材用Al合金焼付塗
装板の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明について、詳細に説明
する。まず請求項1の発明についての合金添加元素の意
義と範囲の限定理由について述べる。Mgは、強度を与
えるために添加するものであるが、その範囲を2.0〜
3.0wt%未満としたのは、2.0wt%未満では所
望の強度が得られず、3.0wt%以上では熱間加工性
が悪くなるうえ、耐食性、成形性も悪くなるからであ
る。
する。まず請求項1の発明についての合金添加元素の意
義と範囲の限定理由について述べる。Mgは、強度を与
えるために添加するものであるが、その範囲を2.0〜
3.0wt%未満としたのは、2.0wt%未満では所
望の強度が得られず、3.0wt%以上では熱間加工性
が悪くなるうえ、耐食性、成形性も悪くなるからであ
る。
【0010】Mnは、上記と同様に強度を与えるととも
にMg2 Siの析出を防ぐために添加するものである
が、その範囲を0.20〜0.70wt%としたのは、
0.20wt%未満では強度が十分でないうえ、Mg2
Si化合物量が増加し、耐蝕性を低下させ、また0.7
0wt%を越えると前述の効果が飽和するうえに、粗大
なFe、Mn系晶出物量が増加し、缶蓋材に通常行われ
るリベット成形の際に割れの起点となり、成形性を低下
させるからである。
にMg2 Siの析出を防ぐために添加するものである
が、その範囲を0.20〜0.70wt%としたのは、
0.20wt%未満では強度が十分でないうえ、Mg2
Si化合物量が増加し、耐蝕性を低下させ、また0.7
0wt%を越えると前述の効果が飽和するうえに、粗大
なFe、Mn系晶出物量が増加し、缶蓋材に通常行われ
るリベット成形の際に割れの起点となり、成形性を低下
させるからである。
【0011】Cuは、固溶強化に寄与するとともに、S
相(Al−Cu−Mg系金属間化合物)やθ相(Al−
Cu−Mg−Si金属間化合物)等の中間相として析出
し、析出硬化にも寄与する。しかしその範囲を0.01
〜0.15wt%としたのは、0.01wt%未満では
その効果が見受けられず、また0.15wt%を越える
と、加工性、耐食性が劣化するからである。
相(Al−Cu−Mg系金属間化合物)やθ相(Al−
Cu−Mg−Si金属間化合物)等の中間相として析出
し、析出硬化にも寄与する。しかしその範囲を0.01
〜0.15wt%としたのは、0.01wt%未満では
その効果が見受けられず、また0.15wt%を越える
と、加工性、耐食性が劣化するからである。
【0012】Fe、Siは不可避的不純物として通常A
l地金に含まれるが、Feは0.35wt%以下、Si
は0.20wt%以下に規制する。Feが0.35wt
%を越えると成形性が悪くなる。また、Siも0.20
wt%を越えると成形性が悪くなるうえ、Mg2 Si化
合物が増えて耐蝕性が悪くなるからである。また、Mn
/Si≧2.0としたのは、これを満たさないとMg2
Si化合物が増えてしまい、成形性、耐蝕性が低下する
からである。
l地金に含まれるが、Feは0.35wt%以下、Si
は0.20wt%以下に規制する。Feが0.35wt
%を越えると成形性が悪くなる。また、Siも0.20
wt%を越えると成形性が悪くなるうえ、Mg2 Si化
合物が増えて耐蝕性が悪くなるからである。また、Mn
/Si≧2.0としたのは、これを満たさないとMg2
Si化合物が増えてしまい、成形性、耐蝕性が低下する
からである。
【0013】Crは、合金の強度向上に寄与する元素で
あるが、その範囲を0.10wt%以下としたのは、
0.10wt%を越えると粗大な晶出物が形成されて、
成形性の低下を招くからである。Tiは、結晶粒を微細
化させるために添加するものであるが、その範囲を0.
05wt%以下としたのは、0.05wt%を越えると
粗大な晶出物が増え、成形性を低下させるからである。
なお、CrとTiは、上記の範囲でいずれか1種又は2
種を添加する。前記以外の他の不可避的不純物として
は、Zn等があるが、Zn0.25wt%以下の範囲内
ならば、特に問題ない。
あるが、その範囲を0.10wt%以下としたのは、
0.10wt%を越えると粗大な晶出物が形成されて、
成形性の低下を招くからである。Tiは、結晶粒を微細
化させるために添加するものであるが、その範囲を0.
05wt%以下としたのは、0.05wt%を越えると
粗大な晶出物が増え、成形性を低下させるからである。
なお、CrとTiは、上記の範囲でいずれか1種又は2
種を添加する。前記以外の他の不可避的不純物として
は、Zn等があるが、Zn0.25wt%以下の範囲内
ならば、特に問題ない。
【0014】次に、合金組成以外の要件である板の圧延
方向と平行な断面の金属組織において、平均粒径1μm
以上のMg2 Si化合物の面積分率が、1.2%以下と
したのは、1.2%を越えると成形性が低下すると共
に、耐蝕性が低下するからである。また、Cuを含む析
出物のうち、平均粒径0.1μm以上の析出物量が、C
u換算量で0.040wt%以下としたのは、0.04
0wt%を越えると耐蝕性が悪くなるからである。
方向と平行な断面の金属組織において、平均粒径1μm
以上のMg2 Si化合物の面積分率が、1.2%以下と
したのは、1.2%を越えると成形性が低下すると共
に、耐蝕性が低下するからである。また、Cuを含む析
出物のうち、平均粒径0.1μm以上の析出物量が、C
u換算量で0.040wt%以下としたのは、0.04
0wt%を越えると耐蝕性が悪くなるからである。
【0015】以上の構成要件を満足する缶蓋材用Al合
金焼付塗装板は、缶蓋材に要求される一般的特性(強
度、リベット成形性)に優れるとともに、特に耐蝕性に
優れている。
金焼付塗装板は、缶蓋材に要求される一般的特性(強
度、リベット成形性)に優れるとともに、特に耐蝕性に
優れている。
【0016】次に請求項2の発明に係わる焼付塗装板の
製造方法について、説明する。先ず、前述の組成からな
るAl合金溶湯を半連続鋳造により鋳塊とし、この鋳塊
を面削後、均質化熱処理し、続いて熱間圧延する。均質
化熱処理の際の加熱は400〜480℃の温度範囲を2
0℃/h以上の速度で昇温し、均質化熱処理は480〜
580℃で1時間以上保持し、その後熱間圧延して熱延
板とするが、均質化熱処理終了から熱間圧延終了までの
間に、400〜480℃の温度範囲に30分を越えて保
持されることなく熱間圧延を終了する必要がある。
製造方法について、説明する。先ず、前述の組成からな
るAl合金溶湯を半連続鋳造により鋳塊とし、この鋳塊
を面削後、均質化熱処理し、続いて熱間圧延する。均質
化熱処理の際の加熱は400〜480℃の温度範囲を2
0℃/h以上の速度で昇温し、均質化熱処理は480〜
580℃で1時間以上保持し、その後熱間圧延して熱延
板とするが、均質化熱処理終了から熱間圧延終了までの
間に、400〜480℃の温度範囲に30分を越えて保
持されることなく熱間圧延を終了する必要がある。
【0017】均質化熱処理で400〜480℃の温度範
囲を20℃/h以上の速度で昇温するのは、昇温過程で
析出したMg2 Siは、再びマトリックス中に固溶させ
ることができるが、400〜480℃で20℃/h未満
の速度で昇温すると、この温度範囲では析出物の数は少
ないものの粗大なMg2 Siが析出し、これを均質化に
より固溶させるには多大な時間を要するためである。粗
大なMg2 Si化合物は、リベットの成形性を悪くする
と共に、耐蝕性を悪くする。均質化熱処理温度が480
℃未満では、均質化中に粗大なMg2 Siが大量に生成
し、耐蝕性に悪影響を及ぼす。また、580℃を越える
と局所的に溶融を起こしてしまい表面欠陥となり好まし
くない。また,均質化時間が1時間未満では均質化が十
分に進まないためである。
囲を20℃/h以上の速度で昇温するのは、昇温過程で
析出したMg2 Siは、再びマトリックス中に固溶させ
ることができるが、400〜480℃で20℃/h未満
の速度で昇温すると、この温度範囲では析出物の数は少
ないものの粗大なMg2 Siが析出し、これを均質化に
より固溶させるには多大な時間を要するためである。粗
大なMg2 Si化合物は、リベットの成形性を悪くする
と共に、耐蝕性を悪くする。均質化熱処理温度が480
℃未満では、均質化中に粗大なMg2 Siが大量に生成
し、耐蝕性に悪影響を及ぼす。また、580℃を越える
と局所的に溶融を起こしてしまい表面欠陥となり好まし
くない。また,均質化時間が1時間未満では均質化が十
分に進まないためである。
【0018】また、均質化熱処理の終了から熱間圧延終
了までの間に、400〜480℃の温度範囲に、30分
を越えて保持されることがないように熱間圧延を終了す
るのは、30分を越えると粗大なMg2 Siが大量に析
出し、耐蝕性が悪くなる。この時間をなるべく迅速に終
了させるのが好ましい。なお、均質化熱処理の終了から
熱間圧延終了までの間で、400〜480℃の温度範囲
に30分以内とする時間帯は、具体的には均質化熱処理
の終了から熱間圧延開始まで及び熱間圧延開始から熱間
圧延終了までの時間帯である。従って、均質化熱処理の
終了から熱間圧延開始及び熱間圧延開始から熱間圧延終
了までの時間は、いずれも速やかに行うのが望ましく、
前記両時間帯で400〜480℃に保持される時間は合
計で30分以内とするが、各々15分以内が望ましい。
了までの間に、400〜480℃の温度範囲に、30分
を越えて保持されることがないように熱間圧延を終了す
るのは、30分を越えると粗大なMg2 Siが大量に析
出し、耐蝕性が悪くなる。この時間をなるべく迅速に終
了させるのが好ましい。なお、均質化熱処理の終了から
熱間圧延終了までの間で、400〜480℃の温度範囲
に30分以内とする時間帯は、具体的には均質化熱処理
の終了から熱間圧延開始まで及び熱間圧延開始から熱間
圧延終了までの時間帯である。従って、均質化熱処理の
終了から熱間圧延開始及び熱間圧延開始から熱間圧延終
了までの時間は、いずれも速やかに行うのが望ましく、
前記両時間帯で400〜480℃に保持される時間は合
計で30分以内とするが、各々15分以内が望ましい。
【0019】前記熱間圧延した後、次に冷間圧延される
が、加工率で40%以上の冷間圧延を施すのは,後の中
間焼鈍での再結晶の前に歪みを与え、再結晶時の結晶粒
を微細化し、成形性を高めるためであり、加工率が40
%未満ではその効果が十分ではないからである。
が、加工率で40%以上の冷間圧延を施すのは,後の中
間焼鈍での再結晶の前に歪みを与え、再結晶時の結晶粒
を微細化し、成形性を高めるためであり、加工率が40
%未満ではその効果が十分ではないからである。
【0020】続いて、次に中間焼鈍するが、その場合昇
温速度は10℃/sec以上で加熱し、400〜580
℃の焼鈍温度に2分以内保持後、5℃/sec以上の冷
却速度で冷却する。焼鈍温度が400℃未満ではCuの
十分な固溶と完全な再結晶が行われず、また580℃を
越えると部分的に融解を起こし、表面欠陥等を引き起こ
す。また、保持時間が2分を越えると結晶粒が粗大化し
てしまう。また、昇温速度が10℃/sec未満である
と、結晶粒が粗くなり成形性が悪くなる。冷却速度が5
℃/sec未満であると、冷却過程でMg2 Si化合物
が数多く析出するとともに、またCu析出物が析出し耐
蝕性に悪影響を及ぼす。
温速度は10℃/sec以上で加熱し、400〜580
℃の焼鈍温度に2分以内保持後、5℃/sec以上の冷
却速度で冷却する。焼鈍温度が400℃未満ではCuの
十分な固溶と完全な再結晶が行われず、また580℃を
越えると部分的に融解を起こし、表面欠陥等を引き起こ
す。また、保持時間が2分を越えると結晶粒が粗大化し
てしまう。また、昇温速度が10℃/sec未満である
と、結晶粒が粗くなり成形性が悪くなる。冷却速度が5
℃/sec未満であると、冷却過程でMg2 Si化合物
が数多く析出するとともに、またCu析出物が析出し耐
蝕性に悪影響を及ぼす。
【0021】次に50%以上の加工率で最終の冷間加工
を施すのは、強度を付与するためであるが、加工率が5
0%未満ではその効果が十分ではない。
を施すのは、強度を付与するためであるが、加工率が5
0%未満ではその効果が十分ではない。
【0022】最終冷間圧延した板(コイル)は、更に最
終的に常法に従って連続焼付塗装ラインで焼付塗装され
るが、その焼付塗装条件は、220〜300℃で2分以
下保持(加熱速度5℃/sec以上、冷却速度10/s
ec以上)が好ましい。なお、この場合の塗料は有機樹
脂で、溶剤型塗料としてエポキシ−フエノール系、エポ
キシ−アミノ系、ビニル系、ビニル−エポキシ−フエノ
ール系等があり、また水性塗料としてエポキシ−アクリ
ル系等があり、これらの塗料で両面に焼付塗装され、塗
膜の厚さは、乾燥時において3〜15μmの範囲が一般
的である。
終的に常法に従って連続焼付塗装ラインで焼付塗装され
るが、その焼付塗装条件は、220〜300℃で2分以
下保持(加熱速度5℃/sec以上、冷却速度10/s
ec以上)が好ましい。なお、この場合の塗料は有機樹
脂で、溶剤型塗料としてエポキシ−フエノール系、エポ
キシ−アミノ系、ビニル系、ビニル−エポキシ−フエノ
ール系等があり、また水性塗料としてエポキシ−アクリ
ル系等があり、これらの塗料で両面に焼付塗装され、塗
膜の厚さは、乾燥時において3〜15μmの範囲が一般
的である。
【0023】以上の如く製造したAl合金焼付塗装板
は、圧延方向と平行な断面の金属組織において平均粒径
1μm以上のMg2 Si化合物の面積分率が1.2%以
下であり、Cuを含む析出物のうち平均粒径0.1μm
以上の析出物量がCu換算量で0.040wt%以下と
なっている。これらの要件の意義および限定理由は、前
記請求項1と同様である。
は、圧延方向と平行な断面の金属組織において平均粒径
1μm以上のMg2 Si化合物の面積分率が1.2%以
下であり、Cuを含む析出物のうち平均粒径0.1μm
以上の析出物量がCu換算量で0.040wt%以下と
なっている。これらの要件の意義および限定理由は、前
記請求項1と同様である。
【0024】以上説明したように、本発明の製造方法で
得られたAl合金焼付塗装板(コイル)は、缶蓋材に要
求される一般的特性(板の表面性状、強度、リベット成
形性等)に優れるとともに、特に耐蝕性に優れ、缶蓋材
料として好適である。
得られたAl合金焼付塗装板(コイル)は、缶蓋材に要
求される一般的特性(板の表面性状、強度、リベット成
形性等)に優れるとともに、特に耐蝕性に優れ、缶蓋材
料として好適である。
【0025】
【実施例】以下本発明の実施例について、比較例と対比
して詳細に説明する。 〔実施例1〕表1(試験No.1〜19)に示す各種組
成のAl合金(A〜S)を、常法により溶解しDC鋳造
にて鋳塊とした。次に、これを面削後、500℃で6時
間の均質化熱処理を施した。処理温度までの加熱速度は
400〜480℃間で25〜30℃/hであった。次
に、これを480℃で熱間圧延を開始し、厚さ490m
mの鋳塊から厚さ3.5mmまで熱間圧延した。均質化
熱処理終了から熱間圧延終了までの480〜400℃間
の保持時間は、20〜30分であり、熱間圧延終了温度
は300〜320℃であった。次に、この熱延板を厚さ
1.0mmまで冷間圧延した。冷間圧延の加工率は71
%であった。続いてこれを500℃×0秒の中間焼鈍を
行った(加熱速度100℃/sec、冷却速度40℃/
sec)。
して詳細に説明する。 〔実施例1〕表1(試験No.1〜19)に示す各種組
成のAl合金(A〜S)を、常法により溶解しDC鋳造
にて鋳塊とした。次に、これを面削後、500℃で6時
間の均質化熱処理を施した。処理温度までの加熱速度は
400〜480℃間で25〜30℃/hであった。次
に、これを480℃で熱間圧延を開始し、厚さ490m
mの鋳塊から厚さ3.5mmまで熱間圧延した。均質化
熱処理終了から熱間圧延終了までの480〜400℃間
の保持時間は、20〜30分であり、熱間圧延終了温度
は300〜320℃であった。次に、この熱延板を厚さ
1.0mmまで冷間圧延した。冷間圧延の加工率は71
%であった。続いてこれを500℃×0秒の中間焼鈍を
行った(加熱速度100℃/sec、冷却速度40℃/
sec)。
【0026】次に、これを厚さ0.25mmまで冷間圧
延した(冷間圧延率 75%)。続いてこの板を常法に
従って焼付塗装した。なお焼付塗装の条件は以下のとお
りである。 塗料及び塗膜の厚さ:内面はエポキシフエノール系で厚
さは7μm 外面はエポキシユリア系で厚さは4μm 加熱速度 :10℃/sec 焼付処理温度、時間:285℃×0sec 冷却速度 :20℃/sec
延した(冷間圧延率 75%)。続いてこの板を常法に
従って焼付塗装した。なお焼付塗装の条件は以下のとお
りである。 塗料及び塗膜の厚さ:内面はエポキシフエノール系で厚
さは7μm 外面はエポキシユリア系で厚さは4μm 加熱速度 :10℃/sec 焼付処理温度、時間:285℃×0sec 冷却速度 :20℃/sec
【0027】
【表1】
【0028】なお、試験No.18、19のAl合金焼
付塗装板は、表1の試験No.2に示すAl合金(B)
を使用して、合金組成以外の他の構成要件が本発明の範
囲外となる材料を以下のごとく作製した。 ・試験No.18の焼付塗装板(平均粒径1μm以上の
Mg2 Si化合物の面積分率だけが本発明の範囲外) 450℃で12時間の均質化熱処理 熱間圧延:開始温度420℃、終了温度280℃ 他の条件は、試験No.2の焼付塗装板と同様である。 ・試験No.19の焼付塗装板(平均粒径0.1μm以
上のCuを含む析出物量だけが本発明の範囲外) 中間焼鈍:380℃で0sec保持 加熱速度60℃/sec 冷却速度2℃/sec 他の条件は、試験No.2の焼付塗装板と同様である。
付塗装板は、表1の試験No.2に示すAl合金(B)
を使用して、合金組成以外の他の構成要件が本発明の範
囲外となる材料を以下のごとく作製した。 ・試験No.18の焼付塗装板(平均粒径1μm以上の
Mg2 Si化合物の面積分率だけが本発明の範囲外) 450℃で12時間の均質化熱処理 熱間圧延:開始温度420℃、終了温度280℃ 他の条件は、試験No.2の焼付塗装板と同様である。 ・試験No.19の焼付塗装板(平均粒径0.1μm以
上のCuを含む析出物量だけが本発明の範囲外) 中間焼鈍:380℃で0sec保持 加熱速度60℃/sec 冷却速度2℃/sec 他の条件は、試験No.2の焼付塗装板と同様である。
【0029】以上のように製造した缶蓋材用Al合金焼
付塗装板について、平均粒径1μm以上のMg2 Si化
合物の面積分率(%)、Cuを含む析出物のうち平均粒
径0.1μm以上の析出物量(Cu換算量でのwt%)
を測定し、その結果を表1に併記した。なお、Mg2 S
i化合物の面積分率(%)は、圧延方向に平行な断面を
研磨し、これを光学顕微鏡と組み合わせた画像解析装置
を用いて1画素当たり0.5μm長さの条件で0.25
mm2 の視野で測定した。また、Cuの析出量について
は、最終板をフェノールに溶解し、これを0.1μmの
フィルターでこして、ろ液中のCuを分析し、配合量か
ら差し引いた値とした。
付塗装板について、平均粒径1μm以上のMg2 Si化
合物の面積分率(%)、Cuを含む析出物のうち平均粒
径0.1μm以上の析出物量(Cu換算量でのwt%)
を測定し、その結果を表1に併記した。なお、Mg2 S
i化合物の面積分率(%)は、圧延方向に平行な断面を
研磨し、これを光学顕微鏡と組み合わせた画像解析装置
を用いて1画素当たり0.5μm長さの条件で0.25
mm2 の視野で測定した。また、Cuの析出量について
は、最終板をフェノールに溶解し、これを0.1μmの
フィルターでこして、ろ液中のCuを分析し、配合量か
ら差し引いた値とした。
【0030】以上の試験材について、材料の機械的強
度、リベットの成形性、耐蝕性を試験評価し、その結果
を表2に記した。なお、試験評価方法は以下のとおりで
ある。 〔試験評価方法〕 (1)材料の機械的強度試験 焼付塗装板から、圧延方向と平行にJIS5号試験片を
切り出して、引張試験を行い、引張強さ(N/m
m2 )、耐力(N/mm2 )、伸び(%)を測定した。 (2)リベットの成形性試験 リベットの成形性は、焼付塗装板から缶蓋でリベット成
形したものを1000個作製し、リベット部の割れの有
無を目視で観察した。一個でも成形不良があった場合は
×、成形不良が全くなかった場合を○とした。
度、リベットの成形性、耐蝕性を試験評価し、その結果
を表2に記した。なお、試験評価方法は以下のとおりで
ある。 〔試験評価方法〕 (1)材料の機械的強度試験 焼付塗装板から、圧延方向と平行にJIS5号試験片を
切り出して、引張試験を行い、引張強さ(N/m
m2 )、耐力(N/mm2 )、伸び(%)を測定した。 (2)リベットの成形性試験 リベットの成形性は、焼付塗装板から缶蓋でリベット成
形したものを1000個作製し、リベット部の割れの有
無を目視で観察した。一個でも成形不良があった場合は
×、成形不良が全くなかった場合を○とした。
【0031】(3)耐蝕性試験 内容物がコーヒー等の負圧缶は、缶胴部がスチールであ
る3ピース缶が用いられることが多いが、この場合スチ
ールの缶胴部の方が電位的に貴であるため、Al合金の
缶蓋材が、異種金属との接触により腐食が促進される傾
向がある。そこで、腐食試験も、実際の3ピース缶を想
定して以下のごとく行った。具体的な耐蝕性試験は、A
l合金焼付塗装板とスチール板をそれぞれ両者の端縁を
折り曲げて係合後、かしめて固着し、Al合金焼付塗装
板とスチール板を電気的に接続した(係合部は脱膜処理
を施してある)。これを更にAl合金焼付塗装板の皮膜
にナイフで×印の傷を入れた。このようにして作製した
試料を3%食塩水中に1ケ月間浸漬し、×印の腐食のさ
れかた(×の交点からの腐食の範囲の最大距離と孔食の
最大深さ)について調べた。なお、評価は以下のごとく
行った。 (a)腐食範囲の最大距離 2mm以下の腐食は○、 2mmを越え5mm以下の腐
食は△、5mmを越える腐食は× (b)孔食の最大深さ 100μm以下の孔食は○、 100μmを越え板厚以
下の孔食は△、貫通している孔食は×
る3ピース缶が用いられることが多いが、この場合スチ
ールの缶胴部の方が電位的に貴であるため、Al合金の
缶蓋材が、異種金属との接触により腐食が促進される傾
向がある。そこで、腐食試験も、実際の3ピース缶を想
定して以下のごとく行った。具体的な耐蝕性試験は、A
l合金焼付塗装板とスチール板をそれぞれ両者の端縁を
折り曲げて係合後、かしめて固着し、Al合金焼付塗装
板とスチール板を電気的に接続した(係合部は脱膜処理
を施してある)。これを更にAl合金焼付塗装板の皮膜
にナイフで×印の傷を入れた。このようにして作製した
試料を3%食塩水中に1ケ月間浸漬し、×印の腐食のさ
れかた(×の交点からの腐食の範囲の最大距離と孔食の
最大深さ)について調べた。なお、評価は以下のごとく
行った。 (a)腐食範囲の最大距離 2mm以下の腐食は○、 2mmを越え5mm以下の腐
食は△、5mmを越える腐食は× (b)孔食の最大深さ 100μm以下の孔食は○、 100μmを越え板厚以
下の孔食は△、貫通している孔食は×
【0032】
【表2】
【0033】表1、表2から明らかなように、本発明の
範囲内にあるAL合金焼付塗装板(本発明例)は、缶蓋
材として必要な特性を満足する上、耐蝕性に優れている
ことがわかる。これに対し比較例は、合金組成または金
属組織が本発明の範囲外にあり、その結果いずれかの特
性が劣っていることがわかる。
範囲内にあるAL合金焼付塗装板(本発明例)は、缶蓋
材として必要な特性を満足する上、耐蝕性に優れている
ことがわかる。これに対し比較例は、合金組成または金
属組織が本発明の範囲外にあり、その結果いずれかの特
性が劣っていることがわかる。
【0034】〔実施例2〕実施例1のBのAl合金を、
常法により溶解鋳造し、面削後、均質化熱処理を施し、
熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延、焼付塗
装を施した。その詳細な製造条件を表3に示す。なお、
焼付塗装の条件は、実施例1と同様である。
常法により溶解鋳造し、面削後、均質化熱処理を施し、
熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延、焼付塗
装を施した。その詳細な製造条件を表3に示す。なお、
焼付塗装の条件は、実施例1と同様である。
【0035】
【表3】
【0036】このようにして得たAl合金焼付塗装板に
ついて、実施例1と同様に、材料の機械的強度、リベッ
トの成形性、、耐蝕性を試験評価し、その結果を表4に
記した。なお、板の表面性状についても、目視で観察し
て○(合格)、×(不合格)で記した。
ついて、実施例1と同様に、材料の機械的強度、リベッ
トの成形性、、耐蝕性を試験評価し、その結果を表4に
記した。なお、板の表面性状についても、目視で観察し
て○(合格)、×(不合格)で記した。
【0037】
【表4】
【0038】表3、表4から明らかなように、本発明の
製造方法によるAl合金焼付塗装板(本発明例)は、い
ずれの特性においても良好であることがわかる。これに
対し、本発明の範囲外の製造方法によるAl合金焼付塗
装板(比較例)は、いずれかの特性で劣っていることが
わかる。
製造方法によるAl合金焼付塗装板(本発明例)は、い
ずれの特性においても良好であることがわかる。これに
対し、本発明の範囲外の製造方法によるAl合金焼付塗
装板(比較例)は、いずれかの特性で劣っていることが
わかる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による缶蓋
用Al合金焼付塗装板は、缶蓋の強度、リベット成形性
等を損なう事無く、耐蝕性に優れている。従って,この
発明によるAl合金焼付塗装板は、飲料用アルミニウム
缶全般の缶蓋材として好適であり、特に腐食性の高い内
容物を包装する缶蓋材に適している。
用Al合金焼付塗装板は、缶蓋の強度、リベット成形性
等を損なう事無く、耐蝕性に優れている。従って,この
発明によるAl合金焼付塗装板は、飲料用アルミニウム
缶全般の缶蓋材として好適であり、特に腐食性の高い内
容物を包装する缶蓋材に適している。
Claims (2)
- 【請求項1】 Mg2.0〜3.0wt%未満、Mn
0.20〜0.70wt%、Cu0.01〜0.15w
t%、Fe0.35wt%以下、Si0.20wt%以
下を含み、かつMn/Si≧2.0を満たし、更にCr
0.10wt%以下及びTi0.05wt%以下のうち
1種又は2種を含み、残部がAl及び不可避不純物から
なるAl合金焼付塗装板であって、 圧延方向と平行な
断面の金属組織において、平均粒径1μm以上のMg2
Si化合物の面積分率が1.2%以下であり、Cuを含
む析出物のうち平均粒径0.1μm以上の析出物量がC
u換算量で0.040wt%以下であることを特徴とす
る耐蝕性に優れた缶蓋材用Al合金焼付塗装板。 - 【請求項2】 Mg2.0〜3.0wt%未満、Mn
0.20〜0.70wt%、Cu0.01〜0.15w
t%、Fe0.35wt%以下、Si0.20wt%以
下を含み、かつMn/Si≧2.0を満たし、更にCr
0.10wt%以下及びTi0.05wt%以下のうち
1種又は2種を含み、残部がAl及び不可避不純物から
なるAl合金溶湯を半連続鋳造により鋳塊とし、次にこ
の鋳塊を400〜480℃の温度範囲を昇温速度20℃
/h以上で加熱して480〜580℃で1時間以上の均
質化熱処理を行い、続いてこれを熱間圧延して所定の熱
延板とするが、均質化熱処理後から熱間圧延を終了まで
の間に、480〜400℃の温度範囲に30分を越えて
保持されることなく熱間圧延を終了し、その後これを4
0%以上の加工率で冷間圧延し、次にこれを中間焼鈍す
るがこの条件は、昇温速度10℃/sec以上、到達温
度400〜580℃、この温度での保持時間2分以内、
冷却速度5℃/sec以上とし、続いて50%以上の加
工率で最終冷間圧延し、これを更に常法に従って焼付塗
装する製造方法であって、圧延方向と平行な断面の金属
組織において、平均粒径1μm以上のMg2 Si化合物
の面積分率を1.2%以下とし、Cuを含む析出物のう
ち平均粒径0.1μm以上の析出物量をCu換算量で
0.040wt%以下とすることを特徴とする耐蝕性に
優れた缶蓋材用Al合金焼付塗装板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9104496A JPH09279281A (ja) | 1996-04-12 | 1996-04-12 | 耐蝕性に優れた缶蓋材用Al合金焼付塗装板とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9104496A JPH09279281A (ja) | 1996-04-12 | 1996-04-12 | 耐蝕性に優れた缶蓋材用Al合金焼付塗装板とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09279281A true JPH09279281A (ja) | 1997-10-28 |
Family
ID=14015512
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9104496A Pending JPH09279281A (ja) | 1996-04-12 | 1996-04-12 | 耐蝕性に優れた缶蓋材用Al合金焼付塗装板とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09279281A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001295008A (ja) * | 2000-04-13 | 2001-10-26 | Nissan Motor Co Ltd | 耐糸錆び性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 |
JP2007070711A (ja) * | 2005-09-09 | 2007-03-22 | Furukawa Sky Kk | 高強度キャップ用アルミニウム合金およびその製造方法 |
WO2012043582A1 (ja) * | 2010-09-30 | 2012-04-05 | 株式会社神戸製鋼所 | ボトル缶用アルミニウム合金冷延板 |
CN103757504A (zh) * | 2014-01-21 | 2014-04-30 | 亚洲铝业(中国)有限公司 | 铝合金彩涂板带材及其生产方法 |
WO2022223634A1 (en) | 2021-04-21 | 2022-10-27 | Constellium Neuf-Brisach | 5xxx aluminium sheets with high formabilty |
-
1996
- 1996-04-12 JP JP9104496A patent/JPH09279281A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001295008A (ja) * | 2000-04-13 | 2001-10-26 | Nissan Motor Co Ltd | 耐糸錆び性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 |
JP2007070711A (ja) * | 2005-09-09 | 2007-03-22 | Furukawa Sky Kk | 高強度キャップ用アルミニウム合金およびその製造方法 |
WO2012043582A1 (ja) * | 2010-09-30 | 2012-04-05 | 株式会社神戸製鋼所 | ボトル缶用アルミニウム合金冷延板 |
JP2012092431A (ja) * | 2010-09-30 | 2012-05-17 | Kobe Steel Ltd | ボトル缶用アルミニウム合金冷延板 |
AU2011309067B2 (en) * | 2010-09-30 | 2015-08-20 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | Cold-rolled aluminum alloy sheet for bottle can |
CN103757504A (zh) * | 2014-01-21 | 2014-04-30 | 亚洲铝业(中国)有限公司 | 铝合金彩涂板带材及其生产方法 |
WO2022223634A1 (en) | 2021-04-21 | 2022-10-27 | Constellium Neuf-Brisach | 5xxx aluminium sheets with high formabilty |
FR3122187A1 (fr) * | 2021-04-21 | 2022-10-28 | Constellium Neuf-Brisach | Tôles d’aluminium 5xxx dotée d’une aptitude à la mise en forme élevée |
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