JP2858069B2 - 耐応力腐食割れ性高強度アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

耐応力腐食割れ性高強度アルミニウム合金板およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は主として自動車用ホイ
ールのリム材やディスク材あるいは足廻り部品等の自動
車部品として使用されるアルミニウム合金板に関し、特
に耐応力腐食割れ性(以下耐SCC性と記す)に優れ、
かつ高強度を有し、成形性も良好なアルミニウム合金板
およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に自動車用2ピースホイールあるい
は3ピースホイールのリム材としては、成形加工性が良
好であることはもちろんのこと、高強度を有することが
必要であり、さらに応力付加状態で使用されかつ腐食環
境に曝されることが多いことから、耐SCC性に優れて
いることが要求される。このような要求を満たすアルミ
ニウム合金のリム材としては、従来はJIS 5454
合金で代表されるAl−Mg−Mn系合金の軟質材が広
く使用されており、そのほか一部ではJIS 5052
合金で代表されるAl−Mg系合金の軟質材も使用され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、自動車車体の軽
量化による燃費向上あるいは材料コストの低減などを目
的として、自動車用ホイールのリムを従来よりも一層薄
肉化することが強く望まれている。薄肉化を図るために
は、リム材を従来の5454合金よりも高強度化する必
要がある。高強度化のための方法としては、Mg量を増
量することが考えられるが、Mgは耐SCC性に悪影響
を及ぼす元素であり、そのため従来の5454合金より
Mg量を増量すれば、高強度化は図れても耐SCC性が
低下してしまい、したがってMgの増量によって高強度
化を図ることは実際上好ましいことではなかった。
【0004】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、耐SCC性を損なうことなく、従来よりも高
強度化して、リムの薄肉化を図れるようにしたアルミニ
ウム合金板およびその製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するため、本発明者等が種々実験検討を重ねた結果、耐
SCC性に悪影響を与えるMgは特に増量させない代り
に、Mn量を5454合金よりも若干増量させ、しかも
鋳塊の均質化処理においてAl6 Mn析出物を適度に析
出させて、最終板の再結晶粒径を微細化することによっ
て、耐SCC性を損なうことなく高強度化を図れること
を見出し、この発明をなすに至った。
【0006】具体的には、請求項1の発明の耐SCC性
高強度アルミニウム合金板は、Mg2.0〜3.5%、
Mn1.0%を越え1.8%以下、Fe0.20%以下
を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、
かつ粒径1μm以上のAl6Mn析出物粒子の数が0.
1mm2 当り1000個以上で、しかも平均結晶粒径が5
0μm以下であることを特徴とするものである。
【0007】また請求項2の発明の耐SCC性高強度ア
ルミニウム合金板の製造方法は、Mg2.0〜3.5
%、Mn1.0%を越え1.8%以下、Fe0.20%
以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりな
る合金の鋳塊を鋳造し、得られた鋳塊に500〜600
℃の範囲内の温度で5〜48時間の均質化処理を施し
て、粒径1μm以上のAl6 Mn粒子を0.1mm2 当り
1000個以上析出させ、その後圧延を施して所要の最
終板厚とするにあたり、熱間圧延での圧延終了温度を2
80℃以下とし、さらに最終板厚の圧延板に対して30
0〜500℃にて軟質化処理を施すことを特徴とするも
のである。
【0008】
【作用】先ずこの発明における成分組成の限定理由につ
いて説明する。
【0009】Mg:Mgは強度向上に有効な元素である
が、耐SCC性を低下させる元素でもある。Mg量が
2.0%未満ではこの発明の主用途であるリム材として
強度不足となり、一方3.5%を越えれば耐SCC性が
悪くなる。したがってMg量は2.0〜3.5%の範囲
内とした。
【0010】Mn:Mnは鋳造時に強制固溶されて、固
溶強化により強度向上に有効となるばかりでなく、鋳塊
に対する高温の均熱処理(均質化処理)によって析出す
るAl6 Mnが最終板の再結晶粒を微細化して、強度を
向上させるに有効に作用する。但し、Mn量が1.0%
以下ではMnの固溶量が不充分で、高温の均熱処理によ
り析出するAl6 Mn粒子の数、大きさが充分ではな
く、そのため最終板の再結晶粒を微細化する効果が充分
に得られず、強度向上が充分に図れなくなる。一方Mn
量が1.8%を越えればAl−Fe−Mn系の晶出物が
粗大となって成形性を阻害するおそれがある。したがっ
てMn量は1.0%を越え1.8%以下とした。
【0011】Fe:Feは通常のアルミニウム合金にお
いて不純物として不可避的に含有される元素である。F
eが0.20%を越えれば、Al−Fe−Mn系の化合
物晶出物の数が増えてMn固溶量が減少し、強度向上を
図れなくなるとともに成形性を阻害するから、Feは
0.20%以下に規制することとした。
【0012】以上の各元素のほかは、基本的にはAlお
よびFe以外の不可避的不純物とすれば良い。
【0013】なおFe以外の不可避的不純物としては、
Si,Zn,Cu等が含有されることがあるが、Siは
0.4%以下、Znは0.5%以下、Cuは0.3%以
下であれば、この発明の効果を損なうことはない。
【0014】また一般のアルミニウム合金においては、
鋳塊結晶組織の微細化のために、少量のTiを単独で、
あるいは少量のTiを微量のBもしくはCと組合せて添
加することがあるが、この発明の場合も必要に応じてこ
れらを添加しても良い。但し、Tiを単独で添加する場
合のTi量は0.20%以下、TiとBとを複合添加す
る場合のTi量は0.10%以下、Bは0.05%以
下、TiとCとを複合添加する場合のTi量は0.10
%以下、C量は0.05%以下とすることが望ましく、
これらの範囲内であれば特にこの発明の効果を損なうこ
とはない。
【0015】そのほか、強度向上のためにCr0.15
%以下、V0.15%以下、Zr0.15%以下のいず
れか1種または2種以上を含有することは許容される。
また、鋳造時の溶湯酸化の防止のため、Beを0.01
%以下添加することも許容される。
【0016】請求項1の発明のアルミニウム合金板にお
いては、前述のように成分組成を規定するのみならず、
Al6 Mn析出物の析出状態、および結晶粒径(再結晶
粒径)が重要である。すなわちこの発明では耐SCC性
を損なうことなく強度向上を図ることを目的としている
が、そのためには、最終板の状態で、粒径1μm以上の
Al6 Mn析出物が0.1mm2 当り1000個以上分散
している状態とし、平均結晶粒径を50μm以下とする
ことが必要である。
【0017】最終板の結晶粒径(通常は最終板厚の圧延
板に軟質化処理を施した軟質材の再結晶粒径)は強度に
大きく影響を与え、平均結晶粒径が50μm以下の微細
組織とすることによって所期の高強度が得られ、50μ
mを越える結晶粒径の組織では充分な高強度が得られな
い。また上述のような微細組織を得るためには、Al6
Mn析出物の分散状態が関係し、粒径1μm以上のAl
6 Mn析出物の数が0.1mm2 当り1000個以上であ
れば、最終軟質化処理時に微細に再結晶して、平均結晶
粒径50μm以下の微細組織が得られる。Al6 Mn析
出物の大きさが1μm未満では軟質化処理時に再結晶遅
れが生じて未再結晶粒組織あるいは未再結晶粒と再結晶
粒との混粒組織となり、伸びや成形性が低下する。一方
Al6 Mn析出物の大きさが1μm以上であっても、そ
の数が0.1mm2 当り1000個未満では、平均結晶粒
径が50μmを越えて大きくなり、充分な強度が得られ
なくなる。
【0018】なおここで、最終軟質化処理時において再
結晶組織を微細化するためには、その最終軟質化処理直
前の状態で前述のように1μm以上のAl6 Mn析出物
が0.1mm2 当り1000個以上存在することが必要で
あるが、最終軟質化処理後の状態でAl6 Mn析出物が
上記の条件を満たしていれば、必然的に最終軟質化処理
直前でもその条件を満たすところから、請求項1の発明
では最終軟質化処理後の板として、上記条件を規定し
た。
【0019】次に上述のようなアルミニウム合金板の製
造方法、すなわち請求項2の発明の製造方法について説
明する。
【0020】先ず前述のような成分組成の合金を鋳造す
る。鋳造方法は特に限定されるものではないが、Mnの
固溶量を高めてAl−Fe−Mn系の化合物晶出物を微
細化するためには、DC鋳造法(半連続鋳造法)などに
よって0.5℃/sec 以上の冷却速度で鋳造することが
好ましい。
【0021】得られた鋳塊に対しては、均質化処理(均
熱処理)を施す。この均熱処理は、単に鋳塊組織を均一
化するのみならず、Al6 Mnを析出させるために重要
な工程である。すなわちこの発明では高温長時間の均熱
処理を施すことによって、1μm以上のAl6 Mn析出
物を0.1mm2 当り1000個以上析出させ、これによ
って後の軟質化処理時における再結晶粒を微細化させ、
耐SCC性の低下を招くことなく強度向上を図ることが
できるのである。ここで、均熱処理温度が500℃未満
または均熱処理時間が5時間未満ではAl6 Mn析出物
の析出が不充分となり、一方均熱処理温度が600℃を
越えれば局部融解を生じてしまい、また均熱処理時間が
48時間を越えれば、Al6 Mn析出の効果が飽和して
経済性の点で問題が生じ、しかも表面の酸化が進行して
表面品質が悪くなる。したがって均熱処理条件は、50
0〜600℃×5〜48時間の範囲内とする必要があ
る。なおこのような均熱処理によって析出したAl6
n析出物は、その後のプロセスでマトリックスに固溶し
てしまうことはなく、またそもそも微細であるため加工
によって破砕されてそれ以上小径となってしまうことも
ほとんどなく、したがって均熱処理段階で1μm以上の
Al6 Mn析出物を0.1mm2 当り1000個以上析出
させておけば、最終板の再結晶処理時においてもAl6
Mn析出物は同じ条件を満たすことができ、そのため既
に述べたように再結晶組織を平均結晶粒径が50μm以
下の微細組織として、強度向上を図ることができるので
ある。
【0022】均熱処理後には熱間圧延を行なう。この熱
間圧延開始温度は、従来のAl−Mg−Mn系合金と同
様であれば良く、通常は400〜550℃とする。なお
この熱間圧延を行なうにあたっては、均熱処理後、一旦
冷却してから400〜550℃に再加熱しても良く、あ
るいは均熱処理後再加熱することなく、400〜550
℃の状態から熱間圧延を施しても良い。この熱間圧延に
おいては、熱間圧延終了温度が重要である。すなわち、
熱間圧延終了温度を280℃以下と比較的低温とするこ
とによって、最終板の軟質化処理時における再結晶粒を
微細化する効果が得られる。熱間圧延終了温度が280
℃を越える高温の場合には、再結晶粒が微細化されず、
したがって強度向上の効果も得られなくなる。
【0023】熱間圧延終了後の板は、その熱延板のまま
で最終板厚の板(最終圧延板)としても良く、また板厚
精度や組織の安定性等を考慮してさらに冷間圧延を施し
て冷延板としても良い。
【0024】また最終板厚となった圧延板(最終圧延
板)に対しては、軟質化処理を施す。この軟質化処理
は、最終圧延板の組織を再結晶させ、所要の軟質材を得
るために必要な工程であり、その温度が300℃未満で
は再結晶が充分に進行せず、500℃を越えれば再結晶
粒の粗大化が生じやすい。したがって軟質化処理は30
0〜500℃の範囲内の温度で行なう必要がある。なお
軟質化処理の時間は特に限定しないが、通常は0.5〜
5時間の範囲内とすることが好ましい。このような軟質
化処理においては、既に述べたように1μm以上のAl
6 Mn析出物が0.1mm2 当り1000個以上分散して
いるため、平均結晶粒径が50μm以下となる微細な再
結晶組織が得られる。そしてこのような微細な再結晶組
織となるため、強度向上を充分に図ることができるので
ある。
【0025】なお請求項2の発明の製造方法では、軟質
化処理を必須の要件としているが、さほど成形性が要求
されないような比較的単純な成形加工材、構造材とし
て、主として強度を重視する場合は、上述のような条件
の軟質化処理に代えて、H3nあるいはH2nの調質処理を
行なって、請求項1で規定するアルミニウム合金板を得
ることも可能である。
【0026】
【実施例】表1の合金符号A〜Eに示される合金につい
て、常法に従ってDC鋳造法(半連続鋳造法)により鋳
造し、厚さ460mm、幅1200mm、長さ3000mmの
鋳塊を得た。得られた鋳塊に対し、表2の製造条件N
o.1〜No.8に示すような種々の条件で均熱処理
(均質化処理)、熱間圧延前予備加熱、熱間圧延を施し
て、厚さ7mmの圧延板とした。その後冷間圧延を施して
板厚5mmの冷延板とした後、350℃×2時間の軟質化
処理を施した。なお製造条件No.2の場合のみ、熱間
圧延によって厚さ5mmの熱延板とした後、冷間圧延を施
すことなく、350℃×2時間の軟質化処理を施した。
【0027】均熱処理直後、および軟質化処理後におい
て、それぞれ1μm以上のAl6 Mn析出物の0.1mm
2 当りの数を調べ、また軟質化処理後の平均結晶粒径を
調べたので、その結果を表2中に併せて示す。
【0028】また、軟質化処理後の各板について引張試
験を施して機械的特性を調べ、さらにSCC試験による
破断寿命を調べたので、その結果を表3に示す。なお耐
SCC性に関しては、軟質材のままではSCC感受性は
低く、成形加工後の経時変化によってMg2 Al3 が粒
界に析出し、SCC感受性が高くなることが一般に知ら
れている。そこでこの実施例では、軟質化処理後の板
(軟質材)に対し、成形加工相当の30%の冷間圧延を
施して板厚3.5mmとし、さらに約10年間のMg2
3 の変化に相当する120℃×7日間の熱処理を施す
ことによってSCC感受性を高めた状態とし、その状態
でSCC試験を実施した。またこのSCC試験は、Na
Cl水溶液中での単軸引張による応力付加を行なうとと
もに、耐SCC性を比較的短時間で評価するために試験
片に直流5mA/cm2 の電流を流すことで粒界腐食を促進
させる方法、すなわち電流付加単軸引張方式で行なっ
た。なお付加応力は100N/mm2 と150N/mm2
2水準として調べた。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】以上の実施例において製造条件No.7
は、従来の代表的なリム材である5454合金に相当す
る合金符号Dの合金を用いて、従来の一般的な製造プロ
セスを適用して製造した例である。一般に5454合金
は、厳しい条件下においてもSCCを生じないことが知
られており、そこで実施例においてもこの製造条件N
o.7によって得られた5454相当合金の材料を基準
として、機械的特性、耐SCC性を評価した。
【0033】製造条件No.1〜No.3の材料は、い
ずれも成分組成および製造プロセスの両者がこの発明で
規定する条件を満たすものであり、これらはNo.7の
5454相当の合金の比較例と比較して、SCC破断寿
命は同等に優れており、一方引張強さは約40N/m
m2 、また耐力は約25N/mm2 高く、したがって54
54合金よりも高い強度を有する高強度耐SCC性材料
となっていることが明らかである。
【0034】一方製造条件No.4の材料は、この発明
で規定する成分組成範囲内の合金Aを用いてはいるが、
熱間圧延終了温度がこの発明で規定する上限よりも高い
比較例であり、この場合は熱間圧延終了温度が高過ぎた
ため、軟質化処理後の平均結晶粒径が大きくなってN
o.7の5454相当合金並みの低強度しか得られなか
った。また製造条件No5の材料も、この発明で規定す
る成分組成範囲内の合金Aを用いているが、均熱処理温
度がこの発明で規定する範囲よりも低い比較例であり、
この場合には均熱処理温度が低いため、均熱処理中のA
6 Mnの析出が不充分となり、軟質化処理時における
再結晶が遅れ、未再結晶粒と再結晶粒との混粒組織とな
ってしまい、その結果伸びが著しく小さくなり、成形性
に著しく劣るものとなった。さらに製造条件No.6の
材料は、Mg量がこの発明で規定する範囲を越えている
合金Cを用い、製造プロセス条件はこの発明で規定する
条件範囲内とした比較例であり、この場合はMg量が多
いため強度はNo.7の5454相当合金よりも高い
が、SCC破断寿命は約1/2〜1/4と短かくなって
しまった。一方製造条件No.8の材料は、Mg量がこ
の発明で規定する量よりも格段に多い従来合金である5
083合金(合金E)について、従来の通常のプロセス
で製造した比較例であり、この場合は、強度は高いもの
の、本発明例のNo.1〜No.3、5454相当合金
のNo.7と比較してSCC破断寿命は約1/10〜1
/25と著しく短かくなってしまった。
【0035】ところで応力腐食割れは粒界腐食と応力と
の相互作用による脆性破壊であることが知られている。
前述のSCC試験では、破断寿命のみによって耐SCC
性を評価しているが、破断寿命だけではなく、破面の破
壊様式からも耐SCC性を評価することが必要であると
考えられ、そこで前述のSCC試験において負荷応力1
50N/mm2 で破断した試験片の破面について、走査電
子顕微鏡にて破面の破壊様式を観察したので、その結果
を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】表4から明らかなように、成分組成がこの
発明で規定する範囲内の合金A,Bを用いた製造条件N
o.1〜No.5、No.7の場合は、いずれも破面の
全域でディンプルが観察された。これは、粒界からの破
壊が生じていないことを意味し、したがって耐SCC性
が優れていることが明らかである。一方Mg量がこの発
明で規定する範囲よりも若干多い4.0%である合金C
を用いた製造条件No.6の材料の破面は、大部分はデ
ィンプル破面ではあったが、一部に粒界破面が観察さ
れ、したがって耐SCC性が充分ではないと推定され
る。さらに、Mg量が4.6%とこの発明で規定する範
囲よりも格段に多い5083相当合金(合金E)を用い
たNo.8の材料の破面は、広範囲にわたって粒界破面
が観察され、したがってSCCが極めて生じ易いと推定
できる。
【0038】また表4に示したような破壊様式の観察結
果による耐SCC性評価と表3に示した破断寿命の結果
とは良く対応しており、したがって表3の電流付加単軸
引張方式のSCC試験破断寿命は、耐SCC性を妥当に
評価していることが明らかである。
【0039】
【発明の効果】前述の実施例からも明らかなように、こ
の発明によれば、耐応力腐食割れ性については、従来か
ら耐応力腐食割れ性が良好であることが知られている5
454合金並みに優れていて厳しい使用環境下でも応力
腐食割れのおそれがなく、しかも強度については545
4合金よりも格段に高い、高強度を有する耐応力腐食割
れ性アルミニウム合金板を得ることができる。
【0040】そしてこの発明によるアルミニウム合金板
を自動車ホイール用のリム材やディスク材に使用するこ
とによって、従来よりも薄肉化を図って、車体重量の軽
量化および材料コストの低減を図ることができる。なお
この発明のアルミニウム合金板は、その他の自動車の足
廻り部品や各種構造材料などにも使用できることはもち
ろんである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 630 C22F 1/00 630A 630K 631 631Z 640 640A 682 682 683 683 686 686A 691 691B 691C 694 694B

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg2.0〜3.5%(重量%、以下同
    じ)、Mn1.0%を越え1.8%以下、Fe0.20
    %以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物より
    なり、かつ粒径1μm以上のAl6 Mn析出物粒子の数
    が0.1mm2当り1000個以上で、しかも平均結晶粒
    径が50μm以下であることを特徴とする、耐応力腐食
    割れ性高強度アルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 Mg2.0〜3.5%、Mn1.0%を
    越え1.8%以下、Fe0.20%以下を含有し、残部
    がAlおよび不可避的不純物よりなる合金の鋳塊を鋳造
    し、得られた鋳塊に500〜600℃の範囲内の温度で
    5〜48時間の均質化処理を施して、粒径1μm以上の
    Al6 Mn粒子を0.1mm2 当り1000個以上析出さ
    せ、その後圧延を施して所要の最終板厚とするにあた
    り、熱間圧延での圧延終了温度を280℃以下とし、さ
    らに最終板厚の圧延板に対して300〜500℃にて軟
    質化処理を施すことを特徴とする、耐応力腐食割れ性高
    強度アルミニウム合金板の製造方法。
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