JP5411924B2 - Al−Mg系合金熱延上り板の製造法 - Google Patents
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Description
本発明は、自動車用ボデイシート、骨格材やホイールあるいは船舶や電気製品の外板等の構造材料として幅広く利用されるAl−Mg系合金板であって、とくに高い機械的強度が要求されるAl−Mg系合金熱延上り板の製造法に関する。
自動車のボディシート、骨格あるいはホイール等の構造用材料としては、軽量化はもとより省エネルギー化や省資源化の要求に応えて、アルミニウム合金材が鋼材に代わってすでに使用されている。このような用途向けのアルミニウム合金としては、優れた強度および成形性を有し、しかも溶接性も良好なAl−Mg系合金が適している。
自動車用材料の中でもとりわけ需要量の多いホイールの場合、そのディスク部は、鋳造または鍛造により製造する以前の方法から、すでにリム部と同様に板材(展伸材)に成形加工を施して製造されるようになっている。従って、リム部に使用されるアルミニウム合金材には、軽量化の要請から必然的に高い機械的強度が要求される。
また、近年、液化天然ガスの陸上貯蔵タンクやタンカー用タンクなどの大型溶接構造物、さらにはタンクローリーなどの大型成形溶接構造材料等には、従来の代表的なAl−Mg合金であるJIS 5083合金材が広く用いられるようになっている。このタイプのAl−Mg合金は非熱処理型高強度材であることから、溶接材料の進歩とあいまって歓迎され、今後材料使用量の低減によるコストダウンを目的として、より高強度と薄肉化を図ることが強く望まれる。
その他、Al−Mg系合金は、真空チャンバー材およびその他の付帯設備用材料やプラスチック成形用金型のような高強度の構造用材料としての適用も期待されている。
上述した各分野で高強度Al−Mg素材として実際に使用される合金としては、JIS 5000系のAl−Mg系合金が一般的であり、とくにJIS 5083、5052、5154合金がよく使用される。たとえば、5083合金は、合金強度に寄与する主な合金元素として、Mg:4.0〜4.9%、Mn:0.30〜1.0%およびCr:0.05%〜0.25%を含有し、とりわけMgが合金強度に及ぼす寄与率が高い。したがって、従来、合金を高強度化するには、Mg量を増加させのが一般的であるが、Mg量を増加するほど熱間加工性が低下するので、Mg量増加にも限界がある。
このような観点から改良された技術として、下記特許文献の発明がある。特許文献1は、熱間加工性が改良された高耐力のAl−Mg系合金の熱延上り板で、各種大型溶接構造材を用途とする。本合金は、Mg:5.7〜9%、Fe:0.25〜1.00%、Mn:0.05〜1.0%およびTi:0.005〜0.2%の積極添加により、結晶粒を微細化して熱間加工中の粒界破壊および粒界への変形ひずみを緩和しようとする。
しかし、本合金は、強度を向上するためにMg量が5.7〜9%と多く、それだけ原料コストが高くなる。これに対して、5083系合金に代表されるMg:5%未満の材料は、現在の適用分野も広いが、特許文献1の方法に準拠して、Mg:5%未満の合金を処理しようとしても結晶粒微細化は困難である。
また、特許文献1の合金は、Fe、Mn、Cr、Ti等をも積極添加するが、真空装置に適用する合金では、これらの元素は真空容器内の汚染元素として有害であり、添加量を可能な限り少なくすることも困難である。つまり、このような元素の積極添加を回避しつつ合金の高強度化をはかる手段が必要とされる。
特許文献2は、自動車向け車体パネル用途として、高速超塑性成形後の強度が高く、しかも高速超塑性成形性にも優れたAl−Mg系アルミニウム合金板を提案する。本合金は、Mg:3.5〜7.0%、Cu:0.5%を超えて1.0%以下、Ti:0.001〜0.1%を含み、かつSi、Feを各々0.2%以下、Mn:0.1%以下に規制する。そして、その製造面では、500℃で3分間保持して室温まで放冷する熱処理後、さらに人工時効硬化処理することで、0.2%耐力が150MPa以上の特性を得るとしている。
しかし、本合金の最終板材は、冷延―溶体化処理されており、従来の5000系合金の板材の製造法でも冷延および溶体化処理工程の省略が困難であるのと同じ問題がなお未解決と解釈される。つまり、ともにそれ以上のコストダウンに限界があるのが当業界の現状といえる。
なお、自動車等に採用される通常1〜10mm程度の薄板用Al−Mg系合金は、熱間圧延後に冷間圧延および焼鈍して製造されているのが実状で、まだ熱延上り状態で実用的に製造されるまでに至っていない。
本発明は、構造材料として幅広く利用されるAl−Mg系合金板であって、Mgの増量に依存することを避けながら、高強度、結晶粒微細化および表面性状に優れ、しかも低コストで製造できる熱間圧延ままの板材を確実容易に製造できる方法の提供を課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため、熱延条件と材料組織との関連性を解明した研究成果を基礎として、含有Mn量を抑制しながら熱間加工条件の適切な制御により、その後の焼鈍をすることなく、熱間加工上りで微細粒組織による高い機械的強度を有するAl−Mg系合金板材料の有用な製造方法の提供を可能にしたものである。そして、本発明は、下記する手段を特徴とする。
均熱鋳塊を熱間粗圧延したのち最終熱間仕上圧延し、それ以降は冷間圧延ならびに焼鈍を行なわずに、板厚表層部および板厚中心部の各平均結晶粒径がともに50μm以下であり、板厚表層部の平均結晶粒径が、板厚中心部の平均結晶粒径の0.95倍以下であるAl−Mg系合金熱延上り板を製造する方法であって、280℃(280℃を除く)〜400℃の加工温度、50%を超える圧下率および50m/m〜350m/mの圧延速度の条件下において、10/s以上のひずみ速度で最終熱間仕上圧延することを特徴とするAl−Mg系合金熱延上り板の製造法。
均熱鋳塊を熱間粗圧延したのち最終熱間仕上圧延し、それ以降は冷間圧延ならびに焼鈍を行なわずに、板厚表層部および板厚中心部の各平均結晶粒径がともに50μm以下であり、板厚表層部の平均結晶粒径が、板厚中心部の平均結晶粒径の0.95倍以下であるAl−Mg系合金熱延上り板を製造する方法であって、280℃(280℃を除く)〜400℃の加工温度、50%を超える圧下率および50m/m〜350m/mの圧延速度の条件下において、10/s以上のひずみ速度で最終熱間仕上圧延することを特徴とするAl−Mg系合金熱延上り板の製造法。
熱間加工における最終加工温度、圧下率およびひずみ速度条件をそれぞれ前記のように制御しておこなう本発明の熱延方法は、熱間圧延のままでも微細結晶組織による高い機械的強度およびすぐれた表面性状を有する熱間圧延ままのAl−Mg系合金板材を効果的に製造することができる。
本発明の対象とするAl−Mg系合金熱延上り板は、合金成分の面からは、比較的少量のMgの単独配合で固溶強化による強度向上ならびに加工硬化能を高め、材料を均一に塑性変形させるものである。
この合金材に含有されるMgは3%以上・5%未満とする。この種合金としては、高強度化のためにMg量を増加させることが従来の知見であるが、本発明では、Mg量が5%を超えると、成形時に粒界破壊が発生しやすくなるとの知見に立脚する。しかし、Mgが3%未満では、合金材の高強度化および結晶粒微細化の効果が得られない。厳密にいえば、Mgの含有量は、3.1%以上・4.9%以下がよい。
そして、本発明のAl−Mg系合金板は、板厚が1.5〜10mmの熱延上り板であるが、従来のAl−Mg系合金板は1mm程度の比較的薄いもので、冷間圧延および焼鈍工程を経て製造される。そこで、従来の熱延条件をそのまま応用してこの冷間圧延および焼鈍工程を省略しようとしても、望ましい結晶粒組織の高強度熱延上り板は得られないので、本発明のAl−Mg系合金厚板は熱延上り板であることが最大の特徴である。
本発明の合金厚板は、板厚が1.5mm未満では、熱間圧延において板厚精度が悪化しやすく面ひずみが出やすく、10mmを超えると所望の微細結晶粒組織が得られない。好ましくは、1.8mm以上・8mm以下がよい。
以上の条件に加えて、本発明では、熱延上り材の板厚表層部および板厚中心部の各平均結晶粒径をそれぞれ50μm以下とする。板厚表層部とは最表面から500μmの領域を指し、この領域の結晶粒径が50μm以下であれば、成形後の表面性状を向上して美しい製品が得られるが、結晶粒径が50μmを超えると肌荒れが生じるおそれがある。
なお、従来の熱延では、高温寄りに条件制御しても、板厚表層部の結晶粒径は70〜100μm程度と大きく、加工組織が部分再結晶組織となり、均一な再結晶組織にするためには、やはり焼鈍工程が避けられない。
さらに、本発明の熱延上り材は、板厚表層部の平均結晶粒径を板厚中心部の平均結晶粒径の0.95倍以下となるように制御することにより、熱延板の組織の特徴がより強化される。
一般に、熱延板の表面組織状態は、冷延・焼鈍材のそれよりも結晶粒径が大きくて粗く、表面性状が劣る。本発明の熱延上り材であっても、表層部に高いひずみ量が導入されており、板材表層部の結晶粒組織が板厚中心部のそれより0.95倍以下と細かくすると、表面性状の劣化が抑制される。
また、本発明は、0.6%以下のCuを含有するAl−Mg合金がさらに好ましい。Cuの意識的な添加は、熱延後の冷却中に生成する微細析出物Al2CuMgの形成や固溶によって合金強度を向上するとともに、光の反射率を向上して光輝性向上に寄与する効果がある。しかし、Cuが0.5%を超えると、Al2CuMgが粗大化して脆くなるおそれがあるので0.6%以下とする。
さらに、本発明のAl−Mg合金は、Mn:1.0%以下、Fe:0.5%以下、Si:0.5%以下、Cr:0.4%以下、Zn:0.5%以下、Zr:0.3%以下の1種もしくは2種以上を追加的に含有させることができる。これらの元素はAl−Mg合金材の結晶粒をより効果的に微細化し、その強度、延性、靭性および成形性の向上に寄与する。
しかし、これらの添加量が多すぎると、粗大化合物が多くなり、延性および靭性が低下する。ことに、真空装置用部材に適用する場合、これらの元素さらにはその化合物等が汚染物質となるため、上記添加量以下に抑制することが好ましい。
以上のことを個別に説明する。
Mnは、Al−Mg合金材の結晶粒を微細化し、強度、延性、靭性および成形性の向上に寄与し、また、固溶Mnおよび化合物であるAl−Fe−Mn−Si相(α相)の適正分布によって加工性も向上できる。しかし、1.0%以上では、MnAl6の初晶巨大金属化合物が晶出し、成形性の低下につながる。より好ましい含有量は、0.9%以下である。
Fe:0.5%以下、Si:0.5%以下、Zn:0.5%以下、Cr:0.4%以下、Zr:0.3%以下で、1種または2種以上を積極的に添加することで、強度、延性、靭性および硬化等の機械的特性や成形性がさらに向上できる。
FeやSiは、Al合金中でAl−Fe系[AlmFe(m:3〜6の整数)等]、Al−Fe−Si系(α−AlFeSi等)あるいはAl−Mn−Fe−Siなど種々の晶出物および析出物を形成し、結晶粒の微細化や加工性等を高めるように作用する。
Fe:0.5%以下は、結晶粒の微細化及び化合物の適正分布による成形性の向上に効果があるが、0.5%を超えると化合物の粗大化による成形性の低下につながる。また、Feが0.01%未満ではその効果がないので、好適な下限量は0.01%である。
Si:0.5%以下は、上述の金属間化合物を生成し、成形性の向上に寄与するが、0.5%を超えると時効硬化により材料が硬くなりすぎて成形性を阻害する。好ましい下限量は0.02%である。
Zn:0.5%以下は、合金材の強度向上に寄与するが、添加量が0.5%を超えると粗大なAl−Zn系化合物が形成され、合金材が脆くなる上に耐食性を劣化させる。好ましい上限値は0.4%であるが、強度向上効果を期待する好ましい下限量は0.05%である。
以上のほか、Cr、Zn、Zrも強度向上に効果的な元素であり、Cr:0.4%以下、Zn:0.5%以下、Zr:0.3%以下でこの効果を発揮するが、これ以上になると、巨大晶出物の生成によって成形性の低下を招く。
また、この種アルミニウム合金においては、鋳塊結晶粒微細化のためにTiあるいはTiおよびBを微量添加することが行われており、この発明においても、必要に応じてTi:0.005〜0.20%またはこれとB:0.0001〜0.05%との組合わせで添加してもよい。
Tiは0.005%未満ではその効果が得られず、0.20%を超えると巨大なAl−Ti系金属間化合物が晶出して成形性を阻害する。TiとBとを添加しても鋳塊結晶粒微細化効果を示すが、B量が0.0001%未満ではその効果がなく、0.05%を超えるとTi−B系の粗大粒子が混入して成形性を阻害する。
なお、本発明の実施にあたっては、要求に応じて合金の様々な特性を付与するために所望の合金元素を添加してもよい。
本発明は、既述したAl−Mg系合金熱延上り板が効果的に製造できる方法に特徴がある。すなわち、所定の合金組成に配合された合金材の鋳塊を均熱、熱延粗圧延および仕上げ圧延して板材を製品化するに際して、これら工程での操業条件を精緻に制御することに特徴がある。
本法は、250℃以上・400℃以下の加工温度、50%を超える圧化率ならびに10/s以上のひずみ速度で最終の熱間加工をおこなうことを特徴とする。
以下、工程順に説明する。
本法を実施するときの鋳造、均熱および熱間粗圧延までの3工程は、常法に従えばよい。
まず、所定の合金組成に配合された合金原料の鋳塊を製造するための鋳造は、たとえば、DC鋳造法(半連続鋳造)等によってスラブ等の形で合金鋳塊を製造する。
つぎに、この合金鋳塊に均質化処理を施す。この均熱工程は、AlマトリックスへのMg固溶量を増加させることによって、熱延板の組織を制御することを目的とするもので、好ましくは、450〜550℃の均熱温度および1〜20時間の保持時間でおこなう。
均熱温度が低すぎると、充分な均熱効果が得られないし、20時間を超える長時間加熱や2回にわたる均熱処理は、含有することのある補助的成分元素であるMn、Fe系の析出物が粗大化し、熱延板で所望の結晶粒組織が得られないことがあるから、実施にあたっては留意する。
つぎにおこなう熱間粗圧延の開始温度は、上記均熱工程に引き続いて行うため同じく450〜550℃とする。450℃未満では、粗圧延中に十分な再結晶ができないままで圧延されるため、組織が粗大化して好ましくない。また、550℃を超えると、熱延板の表面において、酸化、焼きつきあるいは再結晶粒が粗大化して表面性状の悪化、成形性の低下そして成形後の肌荒れが生じる場合があるので注意する。
この熱間粗圧延の終了温度は350〜470℃がよい。熱延終了温度は高温寄りが好ましく、350℃未満では仕上げ圧延後に再結晶するための十分な自己熱が不足し、また次の熱間仕上圧延で圧延温度が低くなってエッジ割れが生ずる。しかし、470℃を超えると、次の熱間仕上圧延で結晶粒が粗大化することになるので、上記の温度範囲がよい。
さて、本発明方法の特徴は、以上の3工程につづく仕上圧延である熱間加工の最終加工条件として、加工温度が250℃以上・400℃以下、最終圧下率が50%を超え、ひずみ速度が10/s以上とすることにより、所定の効果的再結晶を効果的におこなわせることである。
まず、加工温度を250℃以上・400℃以下とするのは、250℃未満では、加工後および冷却中に充分に再結晶が進行せず、加工組織が残存して合金材の延性が低下する。しかし、加工温度が400℃を超えると、結晶粒径が50μm以下に調整することができず、本発明の特徴とする品質の熱延上リの製品が得られない。より好ましい加工温度は280℃〜380℃である。
つぎに、仕上圧延における最終圧下率を50%を超えることとするのは、50%未満では、結晶粒径が期待する50μm以下にならないからである。
最後に、仕上圧延におけるひずみ速度が10/s以上となるように制御するのは10/s未満では、結晶粒径が上記のように安定的に50μm以下にならないで、好ましくない混粒組織を生じさせるからである。
仕上圧延工程での総加工率は60%〜95%になり、また、最終圧延速度は50m/m〜350m/mとする。実際の操業時には、これら圧下率と圧延速度と上記加工温度との組み合わせを選択することによって、熱延板の結晶粒組織を所望通りに制御することができる。
なお、熱延以降の工程では、板厚制御およびひずみ矯正のためのレベラー(圧下率〜10%以下)は、必要に応じて、表面の潤滑油除去のための表面洗浄を施してよい。しかし、本発明では、通常の冷間圧延ならびに焼鈍工程(中間焼鈍および最終焼鈍)は行わない。
表1に示す合金組成となるようなアルミニウムおよび合金材等の原料を溶解し、DC鋳造法によって、板厚600mm、幅1300mmのAl合金鋳塊を得た。本発明の実施例3種ABCおよび比較例2種DEとした。
つぎに、これらの各Al合金鋳塊に510℃・6時間の均熱処理を施し、つづいて熱間粗圧延を施した。粗圧延の開始温度は490〜510℃とし、粗圧延終了温度は370〜470℃の範囲にあった。
得られた板材の厚さは30mmで、これらを供試材として、表2に示すように異なる複数の加工条件に振り分けてそれぞれ仕上熱間圧延し、最終的にAl−Mg系合金の熱間上リ板の供試材15種を得た。
そして、各供試材について、板圧表層部および板圧中心部の各結晶粒径ならびに両者の比率を計測し、さらに機械的強度を強靭性について計測した。表3および図1〜3にその結果を表示するが、これらの計測試験評価方法は以下のとおりである。
<結晶粒径の評価方法>
各供試材の断面に機械研磨およびバフ研磨を行った後電解研磨した。そして、各供試材の最表面から500μmの領域の板厚表層部および板厚1/2部に相当する板厚中心部からそれぞれサンプルを採取した。
各供試材の断面に機械研磨およびバフ研磨を行った後電解研磨した。そして、各供試材の最表面から500μmの領域の板厚表層部および板厚1/2部に相当する板厚中心部からそれぞれサンプルを採取した。
これらのサンプルについて定量的な評価を行うために、SEM−EBSP(Electron Back Scattering (Scattered) Pattern)またはEBSD(Diffraction)ともいう)による評価を行った。この評価は、サンプルの表層部板面および板厚1/2部板面を対象に、約1000μm×1000μmの領域における結晶粒をステップ間隔3μm以下で測定することで評価した。
なお、SEM装置としては、日本電子社製SEM(JEOL JSM 5410)またはPhilips社製FE−SEM(電解放出型走査電子顕微鏡、Field Emission Scanning Electron Microscopy)(XL30S−FEG)を使用した。EBSP測定・解析システムはTSL社製EBSP(OIM)を用いた。
本評価では、個々の結晶粒について、結晶粒と結晶粒との方位差が5°以上あるものを結晶粒界と判定することとした。
<強靱性>
一般に、金属材料の強靱性はビッカース硬さと相関があるため、ビッカース硬さによって材料の室温強度および高温強度を評価することとし、荷重500gのもとで、室温におけるビッカース硬さを測定してサンプルの強靱性を表わした。
一般に、金属材料の強靱性はビッカース硬さと相関があるため、ビッカース硬さによって材料の室温強度および高温強度を評価することとし、荷重500gのもとで、室温におけるビッカース硬さを測定してサンプルの強靱性を表わした。
表2と表3とを対照すると、本発明の実施例7種のサンプルは、仕上熱間加工におけるひずみ速度は20/sおよび50/s、圧化率は53〜70%ならびに終了温度250〜300℃と、いずれも本発明の規制範囲に調整されており、また、得られた板厚は5〜10mmとなっている。
一方、本条件のもとで仕上熱間加工された本発明の実施例7種のサンプルの評価結果は、板厚表層部および板厚中心部の結晶粒径(図1参照)ならびに両者の比率は、いずれも本発明の規制範囲に収束していることが明らかである。そして、これらサンプルの強靭性は65〜80Hvと満足できる機械的強度を具備していることがわかる。
なお、本発明の実施例7種のサンプルのうち、No.Aは5053ベ―ス、No.BはCu添加材、そしてNo.Cは5182ベースである。
本発明の実施例に対して、比較例8種の内No.8〜13の1群は、本発明相当のサンプルを、そしてNo.14と15は比較材のサンプル(Mg量が逸脱)をそれぞれ使用し、仕上熱間圧延は、本発明および本発明外の条件を合理的に組み合わせて実施した。得た熱延上りサンプルの表層部および中心部の結晶粒径は、粗大化していることが図2および図3からもわかる。そして、強靭性自体には数値上65Hvを超えるものが混在するとはいえ、組織的には未再結晶や熱間割れを招来したりして製品品質が不安定で評価できない。
Claims (1)
- 均熱鋳塊を熱間粗圧延したのち最終熱間仕上圧延し、それ以降は冷間圧延ならびに焼鈍を行なわずに、板厚表層部および板厚中心部の各平均結晶粒径がともに50μm以下であり、板厚表層部の平均結晶粒径が、板厚中心部の平均結晶粒径の0.95倍以下であるAl−Mg系合金熱延上り板を製造する方法であって、280℃(280℃を除く)〜400℃の加工温度、50%を超える圧下率および50m/m〜350m/mの圧延速度の条件下において、10/s以上のひずみ速度で最終熱間仕上圧延することを特徴とするAl−Mg系合金熱延上り板の製造法。
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