JP4057199B2 - Al−Mg−Si系合金板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ボディパネル等の材料に好適な金属板で、一般にJIS6000系に属するAl−Mg−Si系合金板に関するものであり、プレス成形性、特に張出し成形性や曲げ加工性が求められる自動車のエンジンフードやトランクフード等、又は深絞り成形性が求められる自動車ドアやフェンダー等に好適な材料としてのAl−Mg−Si系合金板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車パネル材としては冷間圧延鋼板が使用されてきたが、最近では、排ガス低減や燃費削減を目的とする車体軽量化の要求が高まるにつれてAl合金板が用いられることが多くなっている。強度的に鋼板と対抗し得るアルミニウム材料は知られているが、その様なアルミニウム材料では、一般に深絞り成形や張出し成形等のプレス成形性が劣っているため、プレス成形性についての改善が強く望まれている。成形性に優れるアルミニウム合金板としては、従来からAl−Mg系合金が主として用いられてきたが、塗料の焼付硬化性が劣ることや、プレス成形時にストレッチャストレインマークが発生しやすいこと等から、近年JIS 6000系のAl−Mg−Si系合金が注目される様になった。そして、6009合金や6010合金、さらには特開平5−295475号公報に開示された合金等のAl−Mg−Si系合金が自動車ボディパネルに適用される様になった。
【0003】
また最近では、板材の集合組織及び結晶粒径などの組織形態を制御することにより成形性を向上させることが提案されている。例えば、特開平5−295476号公報に集合組織及び結晶粒径を最適化して深絞り性を向上させたAl−Mg系合金板が提案されており、特開平8−325663号公報に各方位の割合を抑制したプレス成形性に優れたAl−Mg−Si系合金板が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらのAl−Mg−Si系合金板は、未だ成形性が充分とはいえず、自動車メーカーから更なる成形性の向上が要求されている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来のJIS6000系のAl−Mg−Si系合金板よりもプレス成形性(特に深絞り成形性,張出し成形性,曲げ加工性)を高めたAl−Mg−Si系合金板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明のAl−Mg−Si系合金板とは、合金成分として、Mg:0.1〜1.5%、Si:0.1〜1.5%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系合金板であって、(1)Cube方位の方位密度に対するS方位の方位密度の割合(S/Cube)を1以上とし、Cube方位の方位密度に対するGoss方位の方位密度の割合(Goss/Cube)を0.3以下とし、且つ結晶粒径を80μm以下として、深絞り成形性を高めたAl−Mg−Si系合金板;(2)Cube方位密度を[Cube]と表し、RW方位密度を[RW]と表し、CR方位密度を[CR]と表し、Brass方位密度を[Brass]と表し、Goss方位密度を[Goss]と表し、PP方位密度を[PP]と表し、C方位密度を[C]と表し、S方位密度を[S] と表したとき、下記式で求められるX1の値が0以上である集合組織を有することにより張出し成形時における割れ限界高さを高めたAl−Mg−Si系合金板;(3)下記式で求められるYの値が11以下である集合組織を有することによりプレス曲げ加工性を高めたAl−Mg−Si系合金板である。
X1=0.02[Cube]−1.8[RW]+1.05[CR]−2.84[Brass]
−0.22[Goss]−0.76[PP]−0.32[C]−1.49[S]+5.2
Y=0.66[Cube]−1.98[RW]+2.26[CR]+4.48[Brass]
−1.36[Goss]−1.17[PP]+1.67[C]+0.07[S]
【0007】
上記(2)又は(3)のAl−Mg−Si系合金板において、結晶粒径が80μm以下であることが好ましい。
【0008】
また下記式で求められるX2の値が0以上となる集合組織を有する様に、Al−Mg−Si系合金板の集合組織を制御することにより張出し成形時における割れ限界歪み率を高めたAl−Mg−Si系合金板を得ることができる。
X2=0.38[Cube]+0.76[CR]−1.97[RW]−0.42[Goss]−1.50
【0010】
本発明のAl−Mg−Si系合金板の合金成分として、更にFe:1.0%以下(0%を含まない)、Mn:1.0%以下(0%を含まない)、Cr:0.3%以下(0%を含まない)、Zr:0.3%以下(0%を含まない)、V:0.3%以下(0%を含まない)、Ti:0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上を合計で0.01〜1.5%含有させれば、成形性を高めることができ望ましい。
【0011】
またCu:1.0%以下(0%を含まない)、Ag:0.2%以下(0%を含まない)、Zn:1.0%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上を合計で0.01〜1.5%含有させるか、Snを0.2%以下(0%を含まない)含有させれば、焼付塗装時の時効硬化速度を高めることができ望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、Al−Mg−Si系合金について集合組織とプレス成形性の関係について、鋭意実験を重ねてきた。その結果、圧延後のAl−Mg−Si系合金板には、種々の方位に集合組織が見られるが、その集合組織の中にはプレス成形性の向上に有効なものと、悪影響があるもの、さらには影響がないものがあり、特定の集合組織を制御することがプレス成形性の向上に非常に有効であることを見出し、本発明に想到した。
【0013】
ここでアルミニウム合金板の集合組織について説明すると、アルミニウム合金板の場合、Cube方位,CR方位,RW方位,Goss方位,Brass方位,PP方位,C方位(Copper方位),S方位に集合組織が発達することが知られている(図1参照)。これらの集合組織の体積分率が変化すると塑性異方性が変化する。集合組織のでき方は同じ結晶系の場合でも加工法によって異なり、圧延による板材の集合組織の場合には、圧延面と圧延方向で表されており、圧延面は{ABC}で表現され、圧延方向は<DEF>で表現される(A,B,C,D,E,Fは整数)。かかる表現方法に基づいて、各方位は以下のように示される。
Cube方位 {001}<100>
CR方位 {001}<520>
RW方位 {001}<110>
Goss方位 {011}<100>
Brass方位 {011}<211>
PP方位 {011}<122>
C方位 {112}<111>
S方位 {123}<634>
【0014】
上記集合組織の方位密度とは、ランダムな方位に対する各方位の強度を比率で示したものであり、本発明では基本的に、これらの方位から±10度以内の方位のずれは同一の方位因子に属するものと定義する。ただしBrass方位とPP方位に関しては±8度以内の方位のずれは同一の方位因子に属するものと定義する。
【0015】
通常のAl−Mg−Si系合金板の集合組織はこれらの方位因子から成立しており、これらの構成比率が変化すると板材の塑性異方性が変化し、プレス成形性が良くも悪くもなる。しかし、少なくともCube方位の方位密度をプレス成形の種類に応じて制御することにより、優れたプレス成形性を達成することができる。具体的には、張出し成形性,深絞り成形性,プレス曲げ加工性に応じて集合組織を制御することが好ましい。
【0016】
尚、方位分布密度の測定方法としては、通常のX線回折法を用いて、最低3面(板の表面,表面から厚み1/4の部分,板の厚さ方向の中心部の3面)の完全正極点図または不完全正極点図を測定し、それから結晶粒方位分布関数を用いて求めてもよいし、或いは電子線回折法やSEM(Scanning Electron Microscopy)−ECP(Electron Channeling Pattern )法,SEM−EBSP(Electron Back Scattered Pattern )法等により得られた測定データをもとに方位密度を求めてもよい。方位分布は板厚方向に変化しているため、板厚方向に何点か任意に採取し、平均の値を求めることが好ましい。
【0017】
以下、プレス成形性の種類と集合組織,結晶粒径,合金組成,製造条件との関係について説明する。
【0018】
(1)深絞り成形性と集合組織の関係
ここでいう深絞り成形性が優れるとは、フランジ部での板の絞り込みが容易で且つポンチで押し出し変形させたときのポンチの側部が破断しにくいことである。
【0019】
本発明者らは、各集合組織因子が深絞り成形性に及ぼす影響を詳細に調査した結果、集合組織として、▲1▼Cube方位及びGoss方位は深絞り性を低下させること、▲2▼S方位は深絞り性を向上させること、▲3▼その他の方位の影響は無視できることを見出した。
【0020】
▲1▼〜▲3▼の知見に基づき、Cube方位の方位密度に対するS方位の方位密度の割合(S/Cube)が1以上であり、かつCube方位の方位密度に対するGoss方位の方位密度の割合(Goss/Cube)が0.3以下である時に深絞り性が飛躍的に良くなる。
【0021】
さらに、深絞り成形性については、結晶粒径の影響が特に大きく、結晶粒径に関しては、80μmを超えると成形時に粒界破壊などが発生しやすくなって成形性が低下することがわかった。
【0022】
従って、深絞り成形性に優れたAl−Mg−Si系合金板は、Cube方位の方位密度に対するS方位の方位密度の割合(S/Cube)が1以上であり、Cube方位の方位密度に対するGoss方位の方位密度の割合(Goss/Cube)が0.3以下である集合組織を有し、且つ結晶粒径が80μm以下である。好ましい結晶粒径は60μm以下である。
【0023】
(2)張出し成形性と集合組織の関係
(イ) 張出し成形性に優れるとは二軸応力下での割れ限界が高いことである。この条件を満足するための支配因子は3つあり,塑性異方性が弱いこと,加工硬化能が高いこと,ひずみ速度感受性指数が高い値を示すことである。集合組織が弱いものが張出し成形性に優れることは従来からわかっていたことであるが、圧延で板を製造する場合、完全に等方的なもの(換言すると集合組織が弱い)を得ることは不可能で、何らかの方位が強くなる。本発明者らは集合組織を種々変化させたAl−Mg−Si系合金板の張出し成形性を評価し、各集合組織因子が張出し成形性に及ぼす影響を詳細に調査した結果、Cube方位密度を[Cube]とし、RW方位密度を[RW]とし、CR方位密度を[CR]とし、Brass方位密度を[Brass] とし、Goss方位密度を[Goss]とし、PP方位密度を[PP]とし、C方位密度を[C] とし、S方位密度を[S] として、下記式で表されるX1の値が0以上である集合組織を有する場合に張出し成形性を満足することができることを見い出した。
X1=0.02[Cube]−1.8 [RW]+1.05[CR]−2.84[Brass]
−0.22[Goss]−0.76[PP]−0.32[C] −1.49[S] +5.2
更なる張出し成形性の向上のためには、X1の値が1以上が好ましく、2以上が特に好ましい。
【0024】
尚、結晶粒径は、80μm以下が好ましいとされるが、張出し成形性に関しては、これは必ずしも絶対条件ではない。好ましい条件についてまとめると、結晶粒径の上限は、粒界破壊防止の点から80μm以下、特に60μm以下であることが好ましい。
【0025】
(ロ) また、集合組織におけるCube方位密度を[Cube]と表し、またCR方位密度,RW方位密度,Goss方位密度を、夫々[CR],[RW],[Goss]と表したとき、下記式で求められるX2の値が0以上となる様な集合組織が得られれば、張出し成形性に優れたAl−Mg−Si系合金板を得ることが可能である。
X2=0.38[Cube]+0.76[CR]−1.97[RW]−0.42[Goss]−1.50
【0026】
この式は、多数の実験データに基づいて得た回帰曲線を基に導出したものであり、Cube方位及びCR方位の集合組織は、張出し成形性の向上に非常に有効であるが、RW方位及びGoss方位の集合組織は張出し成形性に悪影響を与え、これら以外の方位(例えばBrass方位,S方位,Copper方位)の集合組織は張出し成形性にさほど大きな影響を与えないという結果を定量的に表すものである。
【0027】
(ハ)更に、実際のプレス成形の際には、張出し成形性に加えて、深絞り成形性の要素が要求される。より詳細に説明すれば、張出し成形試験では、短冊状の試験片の両端を例えば200kNの高い圧力でクランプし且つクランプ型には摺動を防止する為の溝が形成されているので、張出し成形を行っても試験片の両端が成形加工部に追随して流れ込むことはないが、実際のプレス成形ではクランプ型と板材の間で摺動があり、深絞り性も要求される。本発明者らは、集合組織とプレス成形性の関係に関する研究を重ねる中で、張出し性を高めるには、Cube方位密度を高めることが非常に有効であるが、一方でCube方位密度を高めると深絞り性に悪影響を及ぼすことを見出した(図2参照)。従って、実際のプレス成形を行うにあたっては、Cube方位密度を適度な範囲で高めることが重要である。すなわち、張出し成形性を向上させるという観点からCube方位密度の下限は5とすることが望ましく、8以上であればより望ましい。一方、Cube方位密度が高すぎると、強度が低下し、板材の流れ込み(摺動)がある場合の張出し性を劣化させるので(深絞り性を劣化させる)ので、Cube方位密度の上限は15とすることが望ましく、12以下がより望ましい。
【0028】
さらに、張出し成形性と深絞り成形性を同時に満足する実プレス成形性は、結晶粒を微細化することによる強度上昇で向上するものであり(図3参照)、平均結晶粒径を30μm以下とすることが望ましく、25μm以下とすればより望ましい。
【0029】
(3)プレス曲げ加工性と集合組織の関係
プレス曲げ加工性に優れるとは、曲げモーメントをかけた状態でプレスしたときの湾曲部の外部に「サケキズ」が発生しにくいことをいう。
【0030】
更に、本発明者らは集合組織を種々変化させたAl−Mg−Si系合金板の曲げ加工性を形性を評価し、各集合組織因子が曲げ加工性に及ぼす影響を詳細に調査した結果、Cube方位密度を[Cube]とし、RW方位密度を[RW]とし、CR方位密度を[CR]とし、Brass方位密度を[Brass] とし、Goss方位密度を[Goss]とし、PP方位密度を[PP]とし、C方位密度を[C] とし、S方位密度を[S] として、下記式で表されるYの値が11以下である集合組織を有するときに曲げ加工性を満足できることを見い出した。
Y=0.66[Cube]−1.98[RW]+2.26[CR]+4.48[Brass]
−1.36[Goss]−1.17[PP]+1.67[C] +0.07[S]
更なる曲げ加工性の向上のためには、Yの値が10以下であることが好ましい。
【0031】
尚、結晶粒径は80μm以下が好ましいとされるが、プレス曲げ加工性に関しては、張出し成形性の場合と同様に、必ずしも絶対条件ではない。好ましい条件についてまとめると、結晶粒径の上限は、粒界破壊防止の点から80μm以下、特に60μm以下であることが好ましい。
【0032】
(4)化学組成について
本発明のAl−Mg−Si合金は、一般にJIS6000系に属するもので、上記集合組織の条件を満足するものであれば、プレス成形性を満足することができるが、その合金組成は、プレス成形性の種類に拘わらず、以下の数値範囲が好ましい。
【0033】
Mg:0.1〜1.5%、
Si:0.1〜1.5%、
Mgは強度および延性の向上にも寄与する固溶強化元素である。MgとSiは、G.P.ゾーンと称されるMg2Si組成の集合体(クラスター)又は中間相を形成し、ベーキング処理(焼付塗装)による高強度化に寄与する元素であり、Mg及びSi共に、0.1%以上必要であり、0.4%以上であると望ましい。但し、多過ぎるとベーキング処理時にかえって強度が劣化するので、Mg及びSi共に、1.5%以下とすべきである。
【0034】
Fe:1.0%以下(0%を含まない)
Mn:1.0%以下(0%を含まない)
Cr:0.3%以下(0%を含まない)
Zr:0.3%以下(0%を含まない)
V :0.3%以下(0%を含まない)
Ti:0.1%以下(0%を含まない)
これらの元素は、Al−Mg−Si系合金板を連鋳法で製造する場合に、結晶粒を微細化する効果を有する。従ってこれらの元素1種以上を添加すれば、粒界破壊を起こしにくくすることができ、より成形性を高めることができる。また、これらの元素は均質化処理の間や熱間圧延中に析出物を多く形成する。これらの析出物は、再結晶方位の優先核生成サイトとして働き、好適な集合組織を形成するためにも有効である。しかし、上限値を超えて各元素を含有させると、Alとこれらの元素との間で粗大な化合物が生成し破壊の起点となり却って成形性を悪化させるため、上記上限値以下の添加とすることが望ましい。より望ましい添加量は、Mnが0.6%以下、Crが0.2%以下、Zrが0.2%以下、Vが0.2%以下、Tiが0.05%以下である。尚、これらの元素は合計量では0.01%以上1.5%以下とすることが望ましい。
【0035】
尚、本発明においては、資源の有効利用や低コスト化の観点から、Alスクラップ材を原料として板材を製造してもよく、この場合Feは不可避的に多量に含まれる。Feは、Fe系晶出物[α-AlFeSi,β-AlFeSi,Al2Fe,Al2(Fe,Mn),Al12(Fe,Mn)3Cu12,Al7Cu2Fe等]を形成し、結晶粒の微細化効果および再結晶方位の優先核生成サイトとして働く元素であり、少な過ぎると、結晶粒微細化効果が得られないと共に、所望の集合組織の形成を阻害するので、0.1%以上とすることが必要であり、0.3%より多ければ望ましい。一方、多過ぎても、粗大な晶出物が形成され、これが破壊の起点となると共に所望の集合組織の形成を阻害し、成形性が著しく劣化するので、1.5%以下とすることが必要であり、1.0%以下であると望ましい。尚、本発明によれば、Alスクラップ材を原料として、Fe含有量が0.3%を超えているAl−Mg−Si系合金板や0.6%を超えているAl−Mg−Si系合金板においても優れた張出し成形性が得られる。
【0036】
Cu:1.0%以下(0%を含まない)
Ag:0.2%以下(0%を含まない)
Zn:1.0%以下(0%を含まない)
ベーキング時の時効硬化速度を向上させる元素であり、上限値を超えると、粗大な化合物を形成して成形性が劣化するので、上記上限値以下の添加とすることが望ましい。より望ましい添加量は、Cuが0.6%以下、Agが0.1%以下、Znが0.6%以下である。また、これらの元素は合計量では0.01%以上1.5%以下とすることが望ましい。
【0037】
Sn:0.2%以下(0%を含まない)
Snは、ベーキング前の室温時効を抑制し、ベーキング時の時効を促進する元素であり、多過ぎると粗大な化合物を形成して成形性が劣化するので0.2%以下とすることが望ましく、0.1%以下であるとより望ましい。
【0038】
(5)集合組織と製造条件
本発明のAl−Mg−Si系合金板は、鋳造,均質化熱処理,熱間圧延,冷間圧延,最終焼鈍の工程を経て製造されるが、化学組成や各工程の設定条件により、得られる集合組織は変わるので、一連の製造工程として、総合的に条件を選択して、目的とする集合組織を得られればよい。よって、各工程における製造条件は、特に限定しない。
【0039】
具体的には、鋳造は、一般にAl系合金で行われている鋳造方法であればよく、連続鋳造が一般的である。
【0040】
鋳造後、均質化熱処理を施すが、Mn,Cr,Fe,Zr,V等の遷移金属を添加する場合には、析出物を所望の形態に制御することが重要である。これらの析出物は再結晶方位の優先核生成サイトとして働き、どのような集合組織が形成されるかを支配するからである。またこれらの析出物は結晶粒径をも支配し、成形割れ限界を大きく左右する。従って最適均質化熱処理条件は、Mn,Cr,Fe,Zr,V等の遷移金属の種類、添加量に応じて適宜選択する必要がある。
【0041】
均質化熱処理工程の後に行なう熱間圧延工程や冷間圧延工程の最適条件は、均質化熱処理で形成される析出物の形態によって変化するので適宜選択することが好ましい。また、熱間圧延及び冷間圧延における温度,圧下率、及びその組み合わせは適宜選択できるが、一般に、熱間圧延は300〜550℃程度で行ない、冷間圧延は室温〜150℃程度で行ない、各圧延工程の最終パス圧下率や最終冷延率は10〜95%程度とすることが好ましい。さらに、熱間圧延後、冷間圧延を行なう前に荒鈍、即ち熱延時に生じた不均一組織に焼鈍を施して再結晶させることによって均一組織にしてもよいし、冷間圧延の途中で中間焼鈍を行なってもよい。熱間圧延後に荒鈍を行なう場合と行なわない場合、冷間圧延の途中で中間焼鈍を行なう場合と行なわない場合では、最適な圧延条件は異なる。よって、荒鈍,中間焼鈍、さらにこれらの焼鈍処理条件に応じて、圧延条件を選択することが好ましい。尚、最終冷延率とは、冷間圧延工程の途中で中間焼鈍を行なった場合は中間焼鈍から最終厚みまでの圧下率をいい、中間焼鈍を行なわない場合は冷間圧延率に該当する。
【0042】
冷間圧延後に最終熱処理(溶体化処理)を行なう。溶体化処理は、処理温度(特に限定しないが、一般に500〜580℃)まで1段で急速に加熱してもよいし、徐加熱後、急速に処理温度まで加熱するという2段階加熱によってもよい。また、処理温度における保持時間も適宜選択でき、これらの溶体化処理条件によっても、集合組織は変化する。また、溶体化処理後、水冷するか、空冷するかについても、合金組成,圧延条件,溶体化処理条件等に応じて適宜選択する。
【0043】
以上のように、均質化熱処理条件,圧延条件,荒鈍条件,溶体化処理条件などを複合的に制御することによって、最適な集合組織を形成することができ、プレス成形性を大きく向上させることができる。従って、これらの製造条件は、個々には従来の製造条件とオーバーラップするものもあるが、一連の製造工程としては特殊な組み合わせを行うことで要求される成形性に好適な集合組織を得ることができる。
【0044】
ただし、傾向としては、最終冷間圧延率が30%以下と低い時には深絞り成形性に優れた集合組織を得ることが容易であり、最終冷間圧延率が50%程度の時には張出し成形性に優れた集合組織を得ることが容易であり、最終冷間圧延率が70%以上と高い時には曲げ加工性に優れた集合組織を得ることが容易である。また、深絞り成形性に優れた集合組織は、冷間圧延の途中で焼鈍を行なうことが効果的である。尚、最終冷間圧延率とは、冷間圧延の途中で焼鈍を行なった場合に焼鈍後行なう圧延率をいい、途中で焼鈍を行なわない場合には冷間圧延率が最終冷間圧延率となる。
【0045】
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
【0046】
【実施例】
まず、下記実施例で用いた評価方法及び測定方法について説明する。
【0047】
〔評価方法,測定方法〕
▲1▼集合組織の測定
溶体化処理後の板の表面,表面から厚み1/4の部分,板の厚み方向の中心部の3面について、通常のX線回折法でターゲットはCuを用い、管電圧50kV、管電流200mAの条件で、(100),(110),(111)完全正極点図を測定し、それから結晶方位分布関数を用いて各面における各方位の方位密度を計算し、それらの平均をとって板材全体の方位密度を求めた。
【0048】
▲2▼結晶粒径の測定
板厚長手方向の切断面を顕微鏡観察又は写真にし、既知の長さの線分によって完全に切られた結晶粒の数をかぞえ、その切断長さの平均値を求めて、結晶粒径とした。
【0049】
▲3▼深絞り成形性(角筒絞り試験)
厚み1mmで、1辺が90mmの方形状の板材の周辺を強く押えて、一辺が40mmの角筒型パンチで板材が割れるまで深絞り変形を行ない、板材が割れるときの深絞り高さ(mm)を測定した。絞り高さが高い程、深絞り成形性に優れていることを示し、13.3mm以上であれば、要求を満足できる。
【0050】
尚、深絞り成形において、潤滑材としてはミネラルオイルを用いた。
【0051】
▲4▼張出し成形性(LDH0試験)
厚み1mmの板材を、長さ180mm,幅110mmの試験片に切り、直径101.6mmの球状張出しパンチを用い、潤滑剤としてR−303Pを用いて、しわ押え圧力200kN、パンチ速度4mm/sで張出し成形し、試験片が割れるときの高さ(mm)を求めた。
【0052】
割れ限界高さが大きい程、張出し成形性に優れていることを意味し、要求される張出し成形性を満足するためには27.5mm超、好ましくは29mm以上であればよい。
【0053】
▲5▼曲げ加工性(180°密着曲げ試験)
JIS Z2248に規定されている曲げ試験において、180°曲げ密着させた。湾曲部の外部の「サケキズ」の有無を目視で判定した。「サケキズ」が認められない場合を良好とし、認められた場合を不良とした。
【0054】
以下、プレス成形性を高めたAl−Mg−Si系合金のうち、特に深絞り性を高めたAl−Mg−Si系合金,張出し成形性を高めたAl−Mg−Si系合金,曲げ加工性を高めたAl−Mg−Si系合金の順に、具体的な実施例に基づいて説明するが、本発明のAl−Mg−Si系合金は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
尚、以下に示す表中、均質化熱処理及び中間焼鈍の欄における(A:B)の表示は、A℃でB時間保持したことを示す。
【0056】
〔深絞り成形性に優れるAl−Mg−Si系合金〕
実施例1
Al−0.6%Mg−1.2%Si合金(以下、本実施例において「ベース合金」といい、表1中、F1,F2,F9,F10が該当する)、Al−0.6%Mg−1.2%Si−0.2%Mn合金(以下、本実施例において「Mn添加合金」といい、表1中、F3〜5,F11〜13が該当する)、Al−0.6%Mg−1.2%Si−0.2%Fe合金(以下、本実施例において「Fe添加合金」といい、表1中、F6〜8,F14〜16が該当する)用いて、厚み500mmの板材を鋳造し、表1に示す均質加熱処理を施した。
【0057】
均質化熱処理温度から熱間粗圧延をして厚み30mmの板材とし、続いて熱間仕上げ圧延により厚み5mmの板材とした。粗圧延における最終パス圧下率は70%とした。仕上げ圧延の開始温度は、表1に示す通りである。荒鈍(480℃で2分間保持)を施した後、冷間圧延をして、厚み1mmの板材を得た。冷間圧延時に行なう中間焼鈍の位置を変化させることにより、最終冷間圧延率を変化させた。ここで、最終冷間圧延率とは、中間焼鈍を行なった時点の厚みから、最終的に得られる厚み1mmまでに行なった圧延率をいう。冷間圧延により得られた厚み1mmの板材を溶体化処理した。
【0058】
ここで、上記一連の製造方法において、均質化処理条件,仕上げ圧延開始温度,最終冷間圧延率,中間焼鈍の条件,溶体化処理条件を表1に示すように変化させることにより、集合組織及び結晶粒径を変化させたF1〜16材を得た。
【0059】
集合組織は、Cube方位,RW方位,CR方位,Brass方位,Goss方位,PP方位,C方位,S方位の各方位密度を測定し、深絞り性に関係あるCube方位密度に対するS方位密度の割合(S/Cube),Cube方位密度に対するGoss方位密度の割合(Goss/Cube)を算出した。得られたF1〜16材について、角筒絞り試験を行った。
【0060】
試験結果を、合金組成,製造条件,集合組織,結晶粒径と併せて、表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
表1から、S/Cubeが1.0未満、又はGoss/Cubeが0.3超の合金(F9, 10,12,13,15,16)は、絞り高さが13.4mm未満であった。また、S/Cubeが1.0未満、又はGoss/Cubeが0.3超の合金であっても、結晶粒径が80μm超の合金(F11)は、絞り高さが13.4未満で、深絞り成形性を満足できない。一方、S/Cubeが1.0以上でGoss/Cubeが0.3以下で、結晶粒径が80μm以下の合金(F1〜8)は、絞り高さが13.4mm以上で、深絞り成形性を満足していた。
【0063】
実施例2
表2の組成を有するAl−Mg−Si系合金(Al−Mg−Si合金F21,31と、Mn,Fe,Cr,Zr,V,Tiの少なくともいずれか1種を含有するAl−Mg−Si系合金F22〜30,32〜38)について、製造条件(均質化処理条件,熱間仕上げ圧延の開始温度,中間焼鈍条件,最終冷延率,溶体化処理条件)を表2に示すように変えた以外は実施例1の場合と同様にして、表2に示すような集合組織及び結晶粒径を有する合金板F21〜38を得た。
【0064】
得られた合金板について、角筒絞り試験を行った。
【0065】
試験結果を、合金組成,製造条件,集合組織,結晶粒径と併せて、表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】
表2から、Mn,Fe,Cr,Zr,V,Tiの少なくともいずれか1種を所定範囲内で含有する合金組成で、S/Cube及びGoss/Cubeの割合が本発明の範囲で、且つ結晶粒径が80μm以下の合金(F21〜30)は、絞り高さが13.4mm以上で、深絞り成形性に優れている。
【0068】
実施例3
表3の組成を有するAl−Mg−Si系合金(Mn,Fe,Cr,Zr,V及びTiの少なくともいずれか1種を含有するAl−Mg−Si系合金にGP促進元素(Cu,Ag,Zn及びSnの少なくとも1種)を含有する合金)について、製造条件(均質化処理条件,熱間仕上げ圧延の開始温度,中間焼鈍条件,最終冷延率,溶体化処理条件)を表2に示すように変えた以外は実施例1の場合と同様にして、表3に示すような集合組織及び結晶粒径を有する合金板F41〜55を得た。
【0069】
得られた合金板について、角筒絞り試験を行った。
【0070】
試験結果を、合金組成,製造条件,集合組織,結晶粒径と併せて、表3に示す。
【0071】
【表3】
【0072】
表3から、Mn,Fe,Cr,Zr,V,Tiの少なくともいずれか1種及びGP促進元素を所定範囲内で含有する合金組成で、S/Cube及びGoss/Cubeの割合が本発明の範囲で、且つ結晶粒径が80μm以下の合金(F41〜48)は、絞り高さが13.4mm以上で、深絞り成形性に優れている。
【0073】
〔張出し成形性に優れるAl−Mg−Si系合金〕
実施例4
ベース合金(表4中、H1,H2,H9,H10が該当する)、Mn添加合金(表4中、H3〜5,H11〜13が該当する)、Fe添加合金(表4中、H6〜8,H14〜16が該当する)用いて、厚み500mmの板材を鋳造し、表1に示す均質加熱処理を施した。
【0074】
均質化熱処理温度から熱間粗圧延をして厚み30mmの板材とし、続いて熱間仕上げ圧延により厚み10〜1.5mmの板材とした。続いて、冷間圧延をして、厚み1mmの板材を得た。冷間圧延により得られた厚み1mmの板材を、550℃で一定時間保持するという溶体処理をして、表4に示す集合組織及び結晶粒径を有する板材H1〜16を得た。
【0075】
上記一連の製造方法において、仕上げ圧延開始温度,冷間圧延率,溶体化処理条件を表4に示すように変化させることにより、集合組織及び結晶粒径を変化させた。最終冷間圧延率は、熱間仕上げ圧延により得られる板材の厚みを変えることにより変化させた。また、溶体化処理条件は、溶体化処理温度(550℃)までの加熱方法及び保持時間を表4に示すように変えた。表中、溶体化処理において「急速」とあるのは、急速加熱(1000℃/min)のことであり、「2段」とあるのは、300℃まで徐加熱(40℃/h)し、300℃で1時間保持した後、550℃まで急速加熱(1000℃/min)したことを意味する。溶体化処理後、水中で焼入れした。
【0076】
集合組織は、Cube方位,RW方位,CR方位,Brass方位,Goss方位,PP方位,C方位,S方位の各方位密度を測定し、X値を算出した。
【0077】
H1〜16について、張出し試験を行い、割れ限界高さを測定した。測定結果を、製造方法(最終冷間圧延率,溶体化処理温度及び保持時間,加熱速度)、結晶粒径及び集合組織とともに表4に示す。
【0078】
【表4】
【0079】
表4より、X値が0以上の場合には、割れ限界高さは、27.5mm超であり、一方、X値が0未満の場合には、割れ限界高さは27.5mm以下と小さくなった。さらに、X値が2.4以上のときには、割れ限界高さを29.5mm以上とすることができる。
【0080】
実施例5
表5の組成を有するAl−Mg−Si系合金(Al−Mg−Si系合金H21,31と、Mn,Fe,Cr,Zr,V,Tiの少なくともいずれか1種を含有するAl−Mg−Si系合金H22〜30,32〜38)について、製造条件(均質化処理条件,熱間仕上げ圧延の開始温度,最終冷延率,溶体化処理条件)を表5に示すように変えた以外は実施例1の場合と同様にして、表5に示すような集合組織及び結晶粒径を有する合金板H21〜38を得た。
【0081】
得られた合金板について、LDH0試験を行った。
【0082】
試験結果を、合金組成,製造条件,集合組織,結晶粒径と併せて、表5に示す。
【0083】
【表5】
【0084】
表5より、X値が0以上の場合には、割れ限界高さは、27.5mm超であり、一方、X値が0未満の場合には、割れ限界高さは27.5mm以下と小さくなった。さらに、X値が2.5以上のときには、割れ限界高さを29.5mm以上とすることができる。
【0085】
実施例6
表6の組成を有するAl−Mg−Si系合金[Mn,Fe,Cr,Zr,V及びTiの少なくともいずれか1種を含有するAl−Mg−Si系合金にGP促進元素(Cu,Ag,Zn及びSnの少なくとも1種)を含有する合金]について、製造条件(均質化処理条件,熱間仕上げ圧延の開始温度,最終冷延率,溶体化処理条件)を表6に示すように変えた以外は実施例4の場合と同様にして、表6に示すような集合組織及び結晶粒径を有する合金板H41〜55を得た。
【0086】
得られた合金板について、LDH0試験を行った。
【0087】
試験結果を、合金組成,製造条件,集合組織,結晶粒径と併せて、表6に示す。
【0088】
【表6】
【0089】
表6より、X値が0以上の場合には、割れ限界高さは、27.5mm超であり、一方、X値が0未満の場合には、割れ限界高さは27.5mm以下と小さくなった。さらに、X値が2.5以上のときには、割れ限界高さを29.5mm以上とすることができる。
【0090】
〔曲げ加工性に優れるAl−Mg−Si系合金〕
実施例7
ベース合金(表7中、M1,M2,M9,M10が該当する)、Mn添加合(表7中、M3〜5,M11〜13が該当する)、Fe添加合金(表7中、M6〜8,M14〜16が該当する)用いて、厚み500mmの板材を鋳造し、表7に示す均質加熱処理を施した。
【0091】
均質化熱処理温度から熱間粗圧延をして厚み30mmの板材とし、続いて熱間仕上げ圧延により厚み10〜1.5mmの板材とした。続いて、冷間圧延をして、厚み1mmの板材を得た。冷間圧延により得られた厚み1mmの板材を、550℃で一定時間保持するという溶体化処理をして、表7に示す集合組織及び結晶粒径を有する板材M1〜16を得た。
【0092】
上記一連の製造方法において、仕上げ圧延開始温度,冷間圧延率,溶体化処理条件を表7に示すように変化させることにより、集合組織及び結晶粒径を変化させた。最終冷間圧延率は、熱間仕上げ圧延により得られる板材の厚みを変えることにより変化させた。また、溶体化処理は、溶体化処理温度(550℃)までの加熱方法及び保持時間を表7に示すように変えた。表中、溶体化処理において「急速」とあるのは、急速加熱(1000℃/min)のことであり、「2段」とあるのは、300℃まで徐加熱(40℃/h)して、300℃で1時間保持した後、550℃まで急速加熱(1000℃/min)したことを意味する。溶体化処理後、水中で焼入れした。
【0093】
集合組織は、Cube方位,RW方位,CR方位,Brass方位,Goss方位,PP方位,C方位,S方位の各方位密度を測定し、Y値を算出した。
【0094】
M1〜16について、張出し試験を行い、割れ限界高さを測定した。測定結果を、製造方法(最終冷間圧延率,溶体化処理温度及び保持時間、加熱速度)、結晶粒径及び集合組織とともに表7に示す。
【0095】
【表7】
【0096】
表7から、Y値が11.0以下の場合には曲げ加工性は良好であり、Y値が11.0超の場合には曲げ加工性不良であった。
【0097】
実施例8
表8の組成を有するAl−Mg−Si系合金(Al−Mg−Si合金M21,31と、Mn,Fe,Cr,Zr,V,Tiの少なくともいずれか1種を含有するAl−Mg−Si系合金M22〜30,32〜38)について、製造条件(均質化処理条件,熱間仕上げ圧延の開始温度,最終冷延率,溶体化処理条件)を表8に示すように変えた以外は実施例7の場合と同様にして、表8に示すような集合組織及び結晶粒径を有する合金板M21〜38を得た。
【0098】
得られた合金板について、曲げ加工性試験を行った。
【0099】
試験結果を、合金組成,製造条件,集合組織,結晶粒径と併せて、表8に示す。
【0100】
【表8】
【0101】
表8から、Y値が11.0以下の場合には曲げ加工性は良好であり、Y値が11.0超の場合には曲げ加工性不良であった。
【0102】
実施例9
表9の組成を有するAl−Mg−Si系合金(Mn,Fe,Cr,Zr,V及びTiの少なくともいずれか1種を含有するAl−Mg−Si系合金にGP促進元素(Cu,Ag,Zn及びSnの少なくとも1種)を含有する合金について、製造条件(均質化処理条件,熱間仕上げ圧延の開始温度,最終冷延率,溶体化処理条件)を表9に示すように変えた以外は実施例7の場合と同様にして、表9に示すような集合組織及び結晶粒径を有する合金板M41〜55を得た。
【0103】
得られた合金板について、LDH0試験を行った。
【0104】
試験結果を、合金組成,製造条件,集合組織,結晶粒径と併せて、表9に示す。
【0105】
【表9】
【0106】
表9から、Y値が11.0以下の場合には曲げ加工性は良好であり、Y値が11.0超の場合には曲げ加工性不良であった。
【0107】
実施例10
表10,11に示す種々の成分組成のAl合金を用い、DC鋳造法または薄板連続鋳造法により造塊し、得られた鋳塊を540℃、8時間の均質化処理を行った後、表1,2に示す種々の圧下率及び終了温度で熱間圧延を行った。得られた種々の厚さの板材の一部は、中間焼鈍を施した後、冷間圧延を行い、厚さ1mmの板材とし、その後溶体化処理を行い、水焼入れしてT4材を得た。中間焼鈍の有無と焼鈍温度,冷間圧延率,溶体化処理時の昇温速度及び到達温度は、表1,2に併記する。
【0108】
得られたT4材について、板の表面,表面から厚み1/4の部分,板の厚さ方向の中心部の3面について、X線回折装置を用いて(100),(110),(111)の完全正極点図を測定し、結晶方位分布関数を用いて各面における各方位の方位密度を計算し、それらの平均を取って板材全体の方位密度を求め、前記X値を算出した。
【0109】
また、張出し成形性を評価することを目的として、101.6mmφの球頭張出し治具を用い、長さ180mm,幅110mmの試験片に潤滑剤を塗布し、成形速度4mm/s、しわ押さえ圧200kNで張出し成形試験を行い、割れ限界歪み率を測定した。上記割れ限界歪み量は、成形前の試験片表面の全面に亘ってφ6.0mmの円を各円が隣接する様に転写しておき、成形後の割れが発生した円の長手方向の歪み増加量を測定し、割れ限界歪み率とした。
[割れ限界歪み率]=
([割れが発生した楕円の長径]−[円の直径])/[円の直径]×100
結果は、表10,11に示す。
【0110】
【表10】
【0111】
【表11】
【0112】
表10におけるNo.1〜10及び表11におけるNo.19〜26が本発明に係るAl−Mg−Si系合金板であり、いずれも割れ限界歪み率が大きく、張出し成形性に優れている。
【0113】
一方、表10におけるNo.11〜18及び表11におけるNo.27〜32は、いずれもXが負の値である場合の比較例であり、割れ限界歪み率が小さく、張出し成形性に劣っていることが分かる。
【0114】
〔実プレス加工性に優れるAl−Mg−Si系合金〕
実施例11
表12,13に示す種々の成分組成のAl合金を用い、表12及び表13に示した製造条件に従ったこと以外は、実施例10と同様にして試験片を得た。
【0115】
尚、結晶粒径の測定は、板厚方向の所定の領域毎に、クロスカット法で行い、結晶粒を100個以上カットして求めた平均切片長さを平均粒径として算出した。
【0116】
また、実プレス成形性は実施例10で行った張出し成形性試験におけるしわ押さえ圧を50kNに変えることで張出し成形加工時に押さえ型と試験片の間に摺動摩擦(流れ込み現象)を発生させて、割れ限界高さを測定することで評価した。
【0117】
結果は、表12,13に示す。
【0118】
【表12】
【0119】
【表13】
【0120】
表12におけるNo.1〜10及び表13におけるNo.13〜20が本発明に係るAl−Mg−Si系合金板であり、いずれも割れ限界高さが高く、実プレス成形性に優れている。
【0121】
一方、表12におけるNo.11〜12及び表13におけるNo.21〜22は、いずれもCube方位密度が5〜15の範囲以外の例であり、割れ限界高さが低く実プレス成形性に劣っていることが分かる。
【0122】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されているので、深絞り成形性,張出し成形性,曲げ加工性等といったプレス成形性に優れたAl−Mg−Si系合金板が提供できることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】集合組織の方位を示す説明図である。
【図2】Cube方位密度と実プレス成形性の関係を示すグラフである。
【図3】結晶粒の微細化が実プレス成形性に与える影響を示すグラフである。
Claims (8)
- 合金成分として、Mg:0.1〜1.5%(重量%の意味:以下同じ)、Si:0.1〜1.5%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系合金板であって、Cube方位の方位密度に対するS方向の方位密度の割合(S/Cube)を1以上とし、Cube方位の方位密度に対するGoss方位の方位密度の割合(Goss/Cube)を0.3以下とし、且つ結晶粒径を80μm以下とすることにより、深絞り成形性を高めたことを特徴とするAl−Mg−Si系合金板。
- 合金成分として、Mg:0.1〜1.5%、Si:0.1〜1.5%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系合金板であって、Cube方位密度を[Cube]と表し、RW方位密度を[RW]と表し、CR方位密度を[CR]と表し、Brass方位密度を[Brass]と表し、Goss方位密度を[Goss]と表し、PP方位密度を[PP]と表し、C方位密度を[C]と表し、S方位密度を[S]と表したとき、下記式で求められるX1の値が0以上である集合組織を有することにより張出し成形時における割れ限界高さを高めたことを特徴とするAl−Mg−Si系合金板。
X1=0.02[Cube]−1.8[RW]+1.05[CR]−2.84[Brass]
−0.22[Goss]−0.76[PP]−0.32[C]−1.49[S] +5.2 - 合金成分として、Mg:0.1〜1.5%、Si:0.1〜1.5%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系合金板であって、Cube方位密度を[Cube]と表し、RW方位密度を[RW]と表し、CR方位密度を[CR]と表し、Brass方位密度を[Brass]と表し、Goss方位密度を[Goss]と表し、PP方位密度を[PP]と表し、C方位密度を[C]と表し、S方位密度を[S]と表したとき、下記式で求められるYの値が11以下である集合組織を有することによりプレス曲げ加工性を高めたことを特徴とするAl−Mg−Si系合金板。
Y=0.66[Cube]−1.98[RW]+2.26[CR]+4.48[Brass]
−1.36[Goss]−1.17[PP]+1.67[C]+0.07[S] - 結晶粒径が80μm以下である請求項2または3に記載のAl−Mg−Si系合金板。
- 合金成分として、Mg:0.1〜1.5%、Si:0.1〜1.5%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系合金板であって、Al−Mg−Si系合金板内部の様々な方位に形成された集合組織において、Cube方位密度を[Cube]と表し、またCR方位密度,RW方位密度,Goss方位密度を、夫々[CR],[RW],[Goss]と表したとき、下記式で求められるX2の値が0以上とすることにより張出し成形時における割れ限界歪み率を高めたことを特徴とするAl−Mg−Si系合金板。
X2=0.38[Cube]+0.76[CR]−1.97[RW]−0.42[Goss]−1.50 - 合金成分として、更に
Fe:1.0%以下(0%を含まない)、
Mn:1.0%以下(0%を含まない)、
Cr:0.3%以下(0%を含まない)、
Zr:0.3%以下(0%を含まない)、
V :0.3%以下(0%を含まない)、
Ti:0.1%以下(0%を含まない)
よりなる群から選択される1種以上を合計で0.01〜1.5%含有する請求項1〜5のいずれかに記載のAl−Mg−Si系合金板。 - 合金成分として、更に
Cu:1.0%以下(0%を含まない)、
Ag:0.2%以下(0%を含まない)、
Zn:1.0%以下(0%を含まない)、
よりなる群から選択される1種以上を合計で0.01〜1.5%含有する請求項1〜6のいずれかに記載のAl−Mg−Si系合金板。 - 合金成分として、更に
Sn:0.2%以下(0%を含まない)
を含有する請求項1〜7のいずれかに記載のAl−Mg−Si系合金板。
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