JP2008101239A - 曲げ性に優れるアルミニウム合金板の製造方法およびアルミニウム合金板 - Google Patents

曲げ性に優れるアルミニウム合金板の製造方法およびアルミニウム合金板 Download PDF

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Abstract

【課題】曲げ性に優れる6000系アルミニウム合金板の製造方法およびこの製造方法で製造された6000系アルミニウム合金板を提供することを目的とする。
【解決手段】特定組成の6000系アルミニウム合金を溶製し、DC鋳造により得た鋳塊を厚み方向でスライスして分割し薄い鋳塊を得るか、低冷却速度とした連続薄板鋳造により鋳造薄板を得て、これらの薄い鋳塊か鋳造薄板の組織を、晶出物同士が長さ方向および板幅方向に層状に分散し、これら層状に分散した晶出物同士が板厚方向に間隔をおいて分散する組織とした上で、圧下率が90%以下の冷間圧延を行い、所定の製品板厚とするとともに、金属間化合物同士が板の長さ方向および板幅方向に層状に分散し、これら層状に分散した金属間化合物同士が板厚方向に間隔をおいて分散する板組織として、曲げ性を向上させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車パネル成形におけるヘム加工などの曲げ性に優れる、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法およびアルミニウム合金板(以下、アルミニウムをAlとも言う)に関するものである。
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。このため、特に、自動車の車体に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、圧延板や押出形材など、より軽量なAl合金材の適用が増加しつつある。
この内、自動車のフード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体のアウタパネル (外板) やインナパネル( 内板) 等には、Al−Mg−Si系のAA乃至JIS規格でいう6000系アルミニウム合金板の使用が検討されている。これら6000系アルミニウム合金板は、合金元素量が多い他の5000系などのアルミニウム合金に比して、合金元素量が比較的少ない。このため、これら6000系アルミニウム合金パネルのスクラップを、Al合金溶解材 (溶解原料) として再利用する際に、元の6000系アルミニウム合金鋳塊が得やすく、リサイクル性にも優れているという利点もある。
6000系Al合金板は、基本的には、Mg、Siを必須として含み、優れた時効硬化能を有しているため、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効( 硬化) 処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、必要な強度を確保できるBH性 (ベークハード性、人工時効硬化能) がある。
一方、前記自動車などのアウタパネルでは、Al合金板を張出や絞りあるいはトリム等のプレス成形してアウタパネル化した後、アウタパネルの縁を折り曲げて (180 度折り返して) インナパネルの縁との接合を行う、ヘム( ヘミングの別称) 加工と呼ばれる厳しい曲げ加工が複合して施される。また、インナパネルでは深絞り等の厳しいプレス成形が複合して施される。
これに対して、6000系Al合金板は、従来から使用されてきた鋼板と比較すると曲げ性が劣るとされている。このため、従来から、曲げ性向上のための、数多くの組織の改善策が種々図られ、また提案されている。そして、最近では、6000系Al合金板の集合組織に異方性を持たせる方法なども種々提案されている (特許文献1、2、3、4、5、6、7、8参照)。
また、曲げ加工では、金属間化合物が割れの起点、伝播経路となる。このため、一般的に、曲げ性改善のためには、金属間化合物量の低減が必要であるとされている(特許文献9)。
特開2003-171726 号公報 特開2003-277869 号公報 特開2003-277870 号公報 特開2003-166029 号公報 特開2003-226926 号公報 特開2003-226927 号公報 特開2003-321723 号公報 特開2003-268475 号公報 特開2003-221637 号公報
ただ、これらの曲げ性向上策は、全て、常法によるアルミニウム合金の通常の製造方法が前提となっている。即ち、アルミニウム合金板の大量生産のために、比較的厚い大型のスラブから大圧下により薄板を製造する方法である。具体的には、DC鋳塊スラブ(300〜700mm厚さ)を、均質化熱処理(均熱処理)後、粗圧延+仕上げ圧延などからなる熱間圧延して、次いで、必要により中間焼鈍を施しながら数回の冷間圧延を行い、1mm前後の所定の板厚の薄板にする方法である。
また、これに対して、双ロール法などの薄板連鋳により、鋳造薄板(2〜30mm厚さ)を得、熱間圧延を省略して、中間焼鈍しながら数回の冷間圧延を行い、所定の板厚にする方法もある。
ただ、上記スラブからの製造方法で得られた薄板の組織中では、金属間化合物は必然的に均一に分布(ランダムに分散)して、曲げ性が低下する。これに対して、曲げ性を改善するためには、金属間化合物自体の低減が必要である。この金属間化合物を低減するためには、これら金属間化合物の素となるFeやSiなどの量を低減する必要がある。
しかし、Siは6000系アルミニウム合金板の基本成分であり、Si量を下げると、強度やBH性など、前記した6000系アルミニウム合金板の基本的な特徴が(特性)が損なわれる。また、Feは不純物であるが、含有量を低減するためには、溶解原料として、これら不純物が混入しやすいアルミニウム合金スクラップではなく、高級なアルミニウム地金を使用する必要性が生じ、製造コスト的に不利となる。
また、薄板連鋳からの製造方法においても、金属間化合物の微細化は達成されるが、やはり、薄板の組織中で、金属間化合物は、必然的に均一に分布(ランダムに分散)することになり、やはり曲げ性が低下する問題があった。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、曲げ性に優れる6000系アルミニウム合金板の製造方法およびこの製造方法で製造された6000系アルミニウム合金板を提供しようとするものである。
この目的を達成するために、本発明の曲げ性に優れるアルミニウム合金板の製造方法要旨は、質量%で、Si:0.2〜1.6%、Mg:0.3〜1.5%を各々含有し、更に、Fe:0.8%以下、Cu:1.0%以下、Mn:0.6%以下、Cr:0.5%以下、Zn:0.4%以下、Ti:0.1%以下の含有量とし、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を溶製して、DC鋳造により300mm〜700mm厚さの鋳塊を得、この鋳塊を厚み方向でスライスしてより薄い鋳塊に分割し、この分割した鋳塊に圧下率が94%以下の冷間圧延を行い、所定の製品板厚とするとともに、金属間化合物同士が板の長さ方向および板幅方向に層状に分散し、これら層状に分散した金属間化合物同士が板厚方向に間隔をおいて分散する板組織とすることである。
また、この目的を達成するために、本発明の曲げ性に優れるアルミニウム合金板の製造方法の別の要旨は、質量%で、Si:0.2〜1.6%、Mg:0.3〜1.5%を各々含有し、更に、Fe:0.8%以下、Cu:1.0%以下、Mn:0.6%以下、Cr:0.5%以下、Zn:0.4%以下、Ti:0.1%以下の含有量とし、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を溶製して、鋳造時の冷却速度を100℃/秒以下とした連続鋳造により、板厚が20mm以下の鋳造薄板を得、この鋳造薄板に圧下率が90%以下の冷間圧延を行い、所定の製品板厚とするとともに、金属間化合物同士が板の長さ方向および板幅方向に層状に分散し、これら層状に分散した金属間化合物同士が板厚方向に間隔をおいて分散する板組織とすることである。
前記溶製アルミニウム合金は、更に、Fe:0.8%以下、Cu:1.0%以下、Mn:0.6%以下、Cr:0.5%以下、Zn:0.4%以下、Ti:0.1%以下の一種または二種以上を含有しても良い。
本発明の曲げ性に優れるアルミニウム合金板の要旨は、上記いずれかの本発明製造方法で製造されたアルミニウム合金板である。
本発明では、金属間化合物の絶対量の低減ではなく、金属間化合物(晶出物)の分散状態を制御する。即ち、従来の金属間化合物(晶出物)同士が均一に分散した組織ではなく、これまでには無い、後述する図1に示す、金属間化合物(晶出物)同士が層状に分散した組織として、曲げ性を大きく改善する。
即ち、同様のサイズ、数量の金属間化合物(晶出物)であっても、前記した常法により製造されて、板幅方向や板厚方向に均一に分布(ランダムに分散)している場合には、板厚方向では、近接した金属間化合物同士の距離が近くなる。曲げ加工時には板厚方向に応力が負荷される。この結果、曲げ加工時に、板厚方向では、近接した金属間化合物同士の間で、容易に板厚方向に亀裂が伝播して、曲げ性が劣ることとなる。
一方、これに対して、金属間化合物(晶出物)同士が層状に分散した組織、即ち、金属間化合物(晶出物)同士が板の長さ方向および板幅方向に層状に分散し、これら層状に分散した金属間化合物(晶出物)同士が板厚方向に間隔をおいて分散する板組織は、板厚方向では、近接した金属間化合物同士の距離が長くなる。この結果、板厚方向に応力が負荷される曲げ加工時には、板厚方向では、近接した金属間化合物同士の間での、亀裂伝播経路が長くなり、亀裂が進展しにくくなるために、曲げ性が向上する。
ここで、本発明で言う金属間化合物とは、合金元素あるいは含有される元素同士の金属間化合物や、これら元素とAlとの金属間化合物であって、形成元素(組成)にはよらず、組織観察によって、形態の違いから区別できる金属間化合物の総称である。
このような本発明で言う金属間化合物は、鋳塊の組織の段階で形成される晶出物である。なお、金属間化合物は、熱間圧延前の均質化熱処理工程や冷延後の調質処理(熱処理)でも析出物として形成される。しかし、冷延後の調質処理(熱処理)で形成される析出物は、決して、金属間化合物同士が本発明で言う層状には分散せず、金属間化合物同士が均一に分散した組織となる。即ち、本発明で言う金属間化合物同士が層状に分散した組織は、鋳塊の組織の段階で決定され、それが、最終製品板厚とされ、調質処理されたアルミニウム合金冷延板の組織中に持ち越されてきているものである。
(化学成分組成)
先ず、本発明が対象とする6000系Al合金板の化学成分組成について説明する。本発明が対象とする6000系Al合金板は、前記した自動車の外板用の板などとして、優れた成形性やBH性、強度、溶接性、耐食性などの諸特性が要求される。
このような要求を満足するために、Al合金板の組成は、質量%で、Si:0.2〜1.6%、Mg:0.3〜1.5%を各々含有し、更に、Fe:0.8%以下、Cu:1.0%以下、Mn:0.6%以下、Cr:0.5%以下、Zn:0.4%以下、Ti:0.1%以下の各々の含有量とし、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものとする。なお、各元素の含有量の%表示は全て質量%の意味である。
Mg、Si以外のFe、Cu、Mn、Cr、Zn、Tiは、基本的には不純物である。ただ、Al合金板のリサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金やその他のAl合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として使用した場合には、これらの元素が混入される。そして、これら元素を例えば検出限界以下に低減すること自体コストアップとなり、ある程度の含有の許容が必要となる。また、許容量以下の実質量含有しても、本発明目的や効果を阻害しない範囲で、各々の元素の含有効果もある。したがって、各々以下に規定する量以下の範囲での含有を許容する。
Si:0.2〜1.6%
SiはMgとともに、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記低温での人工時効処理時に、強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、自動車のアウタパネルなどとして必要な強度(耐力)を得るための必須の元素である。Si量が0.2%未満では、前記時効硬化能、更には、パネル用途に要求される、プレス成形性、ヘム加工性等の曲げ性などの諸特性を兼備することができない。一方、Siが1.6%を越えて含有されると、特にヘム加工性やプレス成形性が著しく阻害される。更に、溶接性を著しく阻害する。したがって、Siは0.2〜1.6%の範囲とする。
Mg:0.3〜1.5%
Mgは、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記人工時効処理時に、Siとともに強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルとしての必要耐力を得るための必須の元素である。
Mgの0.3%未満の含有では、絶対量が不足するため、人工時効処理時に前記化合物相を形成できず、時効硬化能を発揮できない。このためパネルとして必要な耐力が得られない。一方、Mgが1.5%を越えて含有されると、却って、プレス成形性や曲げ性等の成形性が著しく阻害される。したがって、Mgの含有量は0.3〜1.5の範囲とする。
(組織)
本発明では、最終製品板厚とされ、調質処理されたアルミニウム合金冷延板の組織中に晶出している金属間化合物の分散状態の制御により、曲げ性を大きく改善する。
(金属間化合物層状分散組織)
即ち、図1に示す上記アルミニウム合金冷延板(後述する実施例表2の発明例2)の組織のように、金属間化合物(晶出物)同士が板の長さ方向および板幅方向に層状に分散し、これら層状に分散した金属間化合物(晶出物)同士が板厚方向に間隔をおいて分散する板組織とする。
なお、この図1および後述する図2、3に示すAl合金板の組織観察は、電解研磨処理した板の圧延平行方向の断面について、電解エッチングした後に200倍の倍率の光学顕微鏡にて行った。
図1の上下方向が板厚方向、左右方向が板幅方向である。図1において、大きな粒が結晶粒(結晶粒界)を示し、濃い灰色を示す小さな点が金属間化合物(晶出物)である。図1において、板幅方向(図の左右方向)に、前記濃い灰色の小さな点(金属間化合物)同士が層状に並ぶとともに、板厚方向(図の上下方向)には前記濃い灰色の小さな点(金属間化合物)が層状に分散していることが分かる。なお、図1において、前記濃い灰色の小さな点(金属間化合物)同士は、板の長さ方向にも同様に層状に並んでいる。
このような場合は、板厚方向では、近接した金属間化合物同士の距離が長くなる。この結果、板厚方向に応力が負荷される曲げ加工時には、板厚方向では、近接した金属間化合物同士の間での、亀裂伝播経路が長くなり、亀裂が進展しにくくなるために、曲げ性が向上する。
ここで、本発明で言う金属間化合物は、このような組織観察によって、矢印で示す、濃い灰色の小さな点(点々)として形態の違いから結晶粒(結晶粒界)とは、区別、識別、あるいは認識できる。因みに、これら濃い灰色の小さな点は、上記したSi、Mg、Fe、Cu、Mn、Cr、Zn、Tiなどの合金元素あるいは含有される元素同士の金属間化合物や、これら元素とAlとの金属間化合物である。しかし、本発明の金属間化合物は、これらの形成する元素組成にはよらず、上記組織観察によって区別(識別)できる金属間化合物の総称である。
これに対して、図2に示す上記アルミニウム合金冷延板(後述する実施例表2の比較例23)の組織は、常法により製造された場合を示す。この図2に示す組織の金属間化合物(晶出物)は、前記したDC鋳造+熱延+冷延の常法により製造された場合であり、板幅方向(図の左右方向)や板厚方向(図の上下方向)に均一に分布(ランダムに分散)している。
そして、この図2に示す組織の金属間化合物(晶出物)は、図1と同様のサイズ、数量の金属間化合物(晶出物)であるにもかかわらず、曲げ性が劣る。これは、図2に示す組織の金属間化合物(晶出物)の場合には、板厚方向では、近接した金属間化合物同士の距離が近くなる。この結果、板厚方向に応力が負荷される曲げ加工時には、板厚方向では、近接した金属間化合物同士の間で、容易に板厚方向に亀裂が伝播して、曲げ性が劣ることとなる。
(金属間化合物)
図1に示す板の組織は、鋳塊の組織の段階で決定される。したがって、本発明で言う金属間化合物は、鋳塊の組織の段階で形成される晶出物である。本発明で言う金属間化合物同士が層状に分散した組織は、鋳塊の組織の段階で決定され、それが、最終製品板厚とされ、調質処理されたアルミニウム合金冷延板の組織中に持ち越されてきているものである。即ち、鋳塊の段階で、鋳塊組織中に晶出した金属間化合物(晶出物)同士が鋳塊の長さ方向および幅方向に層状に分散し、これら層状に分散した金属間化合物同士が鋳塊の厚み方向に間隔をおいて分散する鋳塊組織となっている。
これは、板幅方向や板の厚み方向に均一に分布している図2の組織も同様で、図2に示す組織の金属間化合物(晶出物)は、鋳塊の段階で、鋳塊組織中に晶出した金属間化合物が、鋳塊の幅方向や厚み方向に均一に分布(ランダムに分散)している。
ただ、金属間化合物自体は、熱間圧延前の均質化熱処理や冷延後の調質処理(熱処理)でも析出物として形成される。この点、最終製品板厚とされ、調質処理されたアルミニウム合金冷延板の組織では、組織観察や定量分析によっても、鋳塊組織中に晶出した金属間化合物か、調質処理で析出した金属間化合物かは、履歴が区別できない。
しかし、冷延後の調質処理(熱処理)など、鋳造工程よりも後の工程で形成される析出物は、決して、金属間化合物同士が本発明で言う層状には分散せず、金属間化合物同士が均一に分散した組織となる。したがって、金属間化合物の履歴は分からずとも、最終製品板厚とされ、調質処理されたアルミニウム合金冷延板の組織の金属間化合物同士の分散状態を観察すれば、鋳塊組織中に晶出した金属間化合物か否かが識別できる。即ち、本発明で言う金属間化合物同士が層状に分散した組織では、これら層状に分散した金属間化合物は鋳塊組織中に晶出した晶出物である。
したがって、本発明では、金属間化合物を形成する元素組成の定性的、定量的な分析は必要なく、組織観察によって、分散状態や形態の違いから、鋳塊組織中に晶出した金属間化合物と同定できる。
(製造方法)
以下に、本発明アルミニウム合金板の、金属間化合物(晶出物)同士が板幅方向に並ぶとともに板厚方向に層状に分散している組織を含めた、好ましい製造方法について説明する。
(DC鋳造)
先ず、DC鋳造によって得られた比較的厚い大型のスラブから本発明アルミニウム合金板を製造する方法について説明する。この方法は、300〜700mm厚さの前記成分組成の比較的厚い大型の鋳塊スラブを、厚み方向でスライスして複数個のより薄い鋳塊に分割する。そして、これらの比較的薄い鋳塊を、必要により熱間圧延や中間焼鈍を施しながら、数回の冷間圧延し、1mm前後の所定の板厚の薄板にする。
(鋳塊厚み)
鋳塊組織中の金属間化合物(晶出物)は、等軸のデンドライト組織(樹枝状組織)の周辺に形成される。通常のDC鋳造では、冷却速度が小さくなるために、この鋳塊組織(デンドライト組織)がある程度粗大となる。このため、金属間化合物同士が板の長さ方向および板幅方向に層状に分散し、鋳塊の厚み方向には、この層状の金属間化合物(晶出物)が間隔をおいて(開けて)分散するようになる。
このような金属間化合物(晶出物)の層状分散は、通常のDC鋳造(DC鋳造の冷却速度)では、鋳塊厚さが300mm以上の比較的厚い領域で生じる。鋳塊厚さが300mm未満では、通常のDC鋳造(DC鋳造の冷却速度)では、鋳塊組織(デンドライト組織)が微細化するために、金属間化合物の層状分散化が十分でなくなる。このため、所定の製品板厚とした冷延板を、板幅方向に晶出物同士が並ぶとともに、板厚方向には晶出物同士が層状に分散する板組織とすることができない。また、鋳塊厚さが薄すぎると、DC鋳造における造塊生産性が劣る。一方で、鋳塊厚さはDC鋳造の造塊能力の限界から700mm以下とする。
(鋳塊のスライス)
このような300〜700mm厚さの鋳塊スラブを、常法により、このまま熱間圧延、次いで冷間圧延した場合には、冷延薄板の組織中では、金属間化合物は必然的に均一に分布(ランダムに分散)して、曲げ性が低下する。
これに対して、300〜700mm厚さのDC鋳造スラブを、厚み方向でスライスして複数個のより薄い鋳塊に分割する。これによって、薄板化のための熱間圧延を省略できるとともに、冷延での圧下率も小さくできる。この結果、製品板厚に薄肉化するに際しての、鋳塊に対する加工率を小さくすることができる。したがって、分割された薄い鋳塊の、94%以下の圧下率(加工率)の冷間圧延で、鋳塊の幅方向に金属間化合物(晶出物)同士が層状に並ぶとともに、鋳塊の厚み方向には、この層状の金属間化合物(晶出物)が間隔をおいて(開けて)分散する組織をそのまま保持できる。この結果、金属間化合物同士が板の長さ方向および板幅方向に層状に分散し、これら層状に分散した金属間化合物同士が板厚方向に間隔をおいて分散する板組織(以下、本発明金属間化合物層状分散組織と言う)とすることができる。
前記厚さの鋳塊スラブを厚み方向でスライスして分割される(分割する)薄い鋳塊の側の厚みは、94%以下の圧下率(加工率)の冷間圧延で、1mm前後の所定の製品板厚の薄板にできる厚みとする。このスライスして分割された鋳塊の厚みは、圧下率との関係では、3〜50mmの範囲が好ましい。
(鋳塊スラブのスライス方法)
厚い鋳塊スラブを厚み方向でスライスして分割するためには、ワイヤソー、ガングソーなどの機械式の切断機や、レーザー、プラズマアークなどの高エネルギを用いるソーなどが適宜使用できる。
(薄板連鋳)
このDC鋳造に対して、双ロール法などの薄板連鋳により、鋳造薄板(2〜20mm厚さ)を得、同じく熱間圧延を省略して、冷間圧延を行い、所定の製品板厚と、本発明の前記した金属間化合物層状分散組織とを得る方法もある。
この薄板連鋳における、鋳造時の冷却速度は100℃/秒以下とする。上記した鋳塊における金属間化合物(晶出物)の層状分散は、通常の双ロール法などの薄板連鋳においては、鋳造時の冷却速度が100℃/秒以下の領域で生じる。薄板連鋳での鋳造時の冷却速度はもともと大きいので、鋳造時の冷却速度が100℃/秒を超えて大きすぎると、鋳塊組織(デンドライト組織)が微細化する。このため、鋳塊組織における金属間化合物の層状の分散化状態が十分でなくなる。このため、所定の製品板厚とした冷延板を本発明金属間化合物層状分散組織とすることができない。
また、この薄板連鋳において鋳造する薄板の板厚は20mm以下とする。鋳造する薄板の板厚がこれ以上厚くなった場合、鋳造薄板の圧下率が94%以下の冷間圧延によっては、1mm前後の所定の製品板厚とすることが困難となる。このため、1mm前後の所定の製品板厚とするためには、冷間圧延の圧下率が94%を超えてしまう。
(冷間加工率)
前記DC鋳造された上でスライスして分割された鋳塊か、前記薄板連鋳における鋳造薄板のいずれも、冷延での冷間加工率は94%以下とする。この冷間加工率が94%を超えると、鋳塊における組織が本発明金属間化合物層状分散組織であっても、冷延で、それらの金属間化合物(晶出物)がランダムに分散してしまい、冷延板の段階では、本発明金属間化合物層状分散組織を得られない。
図3に、前記DC鋳造された上でスライスして分割された鋳塊であって、冷間加工率が94%を超えたアルミニウム合金冷延板(後述する実施例表2の比較例13)の組織を示す。この図3に示す組織の金属間化合物(晶出物)は、板幅方向(図の左右方向)や板厚方向(図の上下方向)に均一に分布(ランダムに分散)している。そして、この図3に示す組織の金属間化合物(晶出物)は、図1と同様のサイズ、数量の金属間化合物(晶出物)であるにもかかわらず、曲げ性が劣る。
なお、冷延では、前記スライスして分割された鋳塊か、前記薄板連鋳における鋳造薄板を、1mm前後の所定の板厚の薄板にするに際し、必要により中間焼鈍を施しながら、数回の冷間圧延(パス)に分けて圧延しても良い。なお、本発明における冷間加工率は、中間焼鈍を実施した場合であっても、鋳塊または鋳造薄板からのトータルでの冷間加工率を意味する。
(調質)
冷延板は、必要により、溶体化および焼入れ処理、焼入れ処理後の予備時効処理、人工時効処理、安定化処理など、常法による調質(熱処理)が必要に応じて施される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
次に、本発明の実施例を説明する。表1に示すA〜Iの組成の6000系Al合金を溶解し、DC鋳造法と双ロール方式の薄板連続鋳造法にて、各々鋳塊を鋳造した。そして、DC鋳造法による鋳塊は厚み方向にスライスして分割した薄い鋳塊にして、また、双ロール方式の薄板連続鋳造法による薄板鋳塊はそのままで、各々冷間圧延して所定の板厚の冷延板にした。これを調質してT4材としたAl合金板の特性、BH性、プレス成形性、曲げ性(曲げ加工性)を各々評価した。これらの結果を表2に示す。
(DC鋳造法)
鋳型への注湯温度は700℃前後とした(鋳塊の冷却速度は3℃/s程度)。表2に各々示す厚みの鋳塊を帯鋸によって、表2に各々示す厚みの鋳塊に、厚み方向でスライスして複数枚に分割し、内側の鋳塊5枚を選択して、各々表2に示す圧下率で製品板厚に冷延し、調質処理した。したがって、表2に示すAl合金板の特性はこれらの平均である。
(双ロール連続鋳造)
ロール径300mmφの横型の小型双ロール鋳造機を用いて連鋳板を作製した。製造条件は、冷却速度や鋳造板の板厚を除いて共通とした。即ち、双ロールへの注湯温度は700℃前後とし、双ロール表面に黒鉛を塗布して連続鋳造した。冷却速度(℃/秒)は、鋳造速度(ロール周速)などを変えて制御した。製造した鋳造板のサイズは300mm幅×5m長さとした。これらを各々表2に示す圧下率で製品板厚に冷延した。
なお、鋳塊の冷却速度は、直接の計測は難しいので、鋳造された鋳塊の厚み方向全体にわたる複数点でのデンドライトアームスペーシング (デンドライト二次枝間隔、:DAS)の平均値から、公知の方法(例えば、軽金属学会、昭和63年8.20発行、「アルミニウムデンドライトアームスペーシングと冷却速度の測定方法」などに記載)により求めた。即ち、鋳造された板の鋳造組織における、互いに隣接するデンドライト二次アーム (二次枝) の平均間隔d を交線法を用いて計測し (視野数3 以上、交点数は10以上) 、このd を用いて次式、d = 62×C -0.337 (但し、d:デンドライト二次アーム間隔mm、C : 冷却速度℃/s) から求めた。
冷間圧延は、シングルスタンドの冷間圧延機により、パス間で中間焼鈍を施さずに、初期板厚(鋳塊板厚)にもより、3回〜5回のパスに分けて冷間圧延し、各最終製品板厚とした。
なお、表2の比較例23として、前記した常法により製造したAl合金板の例も比較のために入れた。具体的な製造方法は、DC鋳塊スラブ(500mm厚さ)を、560℃×6時間の均熱処理後、450℃で粗圧延を開始し、仕上げ圧延を260℃で終了し、厚さ2.5mmtまで熱間圧延した。この熱延板を直接冷間圧延を行い、厚さ1.2mmtの冷延板を得た。
最終製品板厚とした冷延板の調質処理は、各例とも共通して、上記得られた各冷延板を空気炉に投入し、各冷延板が550℃の溶体化処理温度に到達した時点で10秒保持し、直ちに、80℃の温水に焼き入れする処理を行った。前記焼入れ処理の際の冷却速度は200℃/ 秒とし、焼入れ終了温度 (焼入れ温度) は共通して80℃とし、焼入れ後にこの温度で2時間保持する予備時効処理を行い、T4調質材とした。
これら調質処理後のAl合金板から試験片乃至試料を採取して、これらの組織と、特性、BH性、プレス成形性、曲げ性(曲げ加工性)を各々評価した。これらの結果を表2に示す。
(組織観察)
これら調質処理後のAl合金板の組織観察は、電解研磨処理した板の圧延平行方向の断面について、電解エッチングした後に200倍の倍率の光学顕微鏡にて行った。そして、図1の発明例2の組織のように、大きな粒の結晶粒(結晶粒界)に対し、濃い灰色を示す小さな点である金属間化合物(晶出物)同士が、本発明金属間化合物層状分散組織となっていると評価した。これに対して、図2の比較例23や図3の比較例13の組織のように、金属間化合物(晶出物)が、板幅方向や板厚方向に均一に分布(ランダムに分散)している組織を、均一組織となっている(本発明金属間化合物層状分散組織となっていない)と評価した。
(As耐力)
上記調質処理直後のAl合金板から、圧延方向に対し垂直方向のJISZ2201の5号試験片(25mm×50mmGL×板厚)を採取し、室温引張り試験を行った。室温引張り試験は、JISZ2241(1980)(金属材料引張り試験方法)に基づき、室温20℃で試験を行った。また、クロスヘッド速度は、5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。この方法によって、0.2%耐力を評価し、製造直後の耐力(=AS耐力:MPa)とした(N数=5の平均値)。
(BH後耐力)
人工時効処理能(BH性)を調査するため、これらAl合金板がパネルとしてプレス成形されることを模擬して、前記JIS5 号試験片に、2%の歪みを予め与えた後、170℃、20分の人工時効硬化処理を施し、処理後の各供試板の(元板の圧延方向に平行な耐力を上記引張試験条件にて、人工時効硬化処理後の耐力(=BH後耐力:MPa)として測定した。例えば、自動車用成形パネルに要求されるBH後耐力を満足するためには170MPa以上であればよい。
(成形性)
供試板の成形性として、張出し成形性評価のための割れ限界高さ(LDH0 )と、圧延方向に対し平行方向の曲げ性を各々試験、評価した。
プレス成形性評価としての、割れ限界高さ(LDH0)試験は、供試板を、長さ180mm 、幅110mm の試験片に切り、直径101.6mm の球状張出しパンチを用い、潤滑剤としてR-303Pを用いて、しわ押え圧力200kN 、パンチ速度4mm/S で張出し成形し、試験片が割れるときの高さ(mm)を求めた。各サンプルに対して3 回の試験を行い、その平均値を採用した。割れ限界高さが大きい程、張出し成形性に優れていることを意味し、例えば自動車用成形パネルに要求される張出し成形性を満足するためには、27.0mm以上であればよい。
曲げ性の評価は、供試板から長さ150mm ×幅30mmの曲げ加工試験片を採取し、フラットヘミング加工を想定した曲げ性を評価した。即ち、試験片に対して、15%の歪みを予め加えた後、角度180°の密着曲げ(内側曲げ半径R=約0.25mm)を行った。曲げ性の評価は、曲げ加工後の試験片縁曲部の割れ発生程度を目視で確認し、下記基準に基づいて5 段階で評価した。
0:肌荒れ、及び微小な割れが無い。
1:肌荒れが僅かに発生している。
2:肌荒れが発生しているものの微小なものを含めた割れは無い。
3:微小な割れが発生。
4:大きな割れが発生。
5:大きな割れが複数あるいは多数発生。
上記のランクの内、0 〜2 段階が合格で、3 〜5 段階は不合格である。なお、前記したヘム部に挟み込まれるインナパネルの薄板化の厳しいヘム加工条件を反映させるため、インナパネルのヘム部への挟み込みは無しとした。
表1、2に示す通り、発明例1〜12は、本発明成分組成範囲内で、かつ、本発明条件範囲で、製品Al合金板を製造している。このため、表2に示す通り、製品Al合金板のBH性、プレス成形性、曲げ性が優れている。図1に示す発明例2の組織のように、本発明金属間化合物層状分散組織となっている。
ただ、表1の同じAl合金Aを用いた発明例同士での比較で、発明例1はDC鋳塊スライス後の鋳塊の厚みが比較的厚く、冷延の圧下率が90%以下ではあるが比較的大きい。発明例3はDC鋳塊の厚みが300mmではあるが、比較的薄いために、冷却速度が比較的大きくなる。発明例5は鋳造薄板の厚みが20mm以下ではあるが、比較的厚いために、冷延の圧下率が90%以下ではあるが比較的大きい。発明例6は薄板連続鋳造の際の冷却速度が100℃/秒以下ではあるが比較的大きい。
このため、これらの発明例は、本発明金属間化合物層状分散組織ではあるが、発明例2の図1に比して、金属間化合物(晶出物)の層状分散状態が弱く、図2の均一分布(均一分散)に近くなっている。このため、曲げ性が、図2の均一分布(均一分散)になっている比較例よりは優れるものの、発明例2に比べて劣る。
これに対して、比較例13〜20は、本発明金属間化合物層状分散組織となっておらず、図2の均一分布(均一分散)組織になっている。比較例13、14はDC鋳塊スライス後の鋳塊の厚みが厚すぎ、冷延の圧下率が90%を超えて大きすぎる。このため、DC鋳塊スライス後の鋳塊の厚みが比較的厚く、冷延の圧下率が比較的大きい発明例1に比べても、曲げ性が著しく劣る。
比較例15、16はDC鋳塊の厚み自体が300mm未満と薄すぎ、冷却速度が大きくなりすぎる。このため、DC鋳塊の厚みが300mmで、冷却速度が比較的大きくなる発明例3に比べても、曲げ性が著しく劣る。
比較例17、18は冷却鋳造薄板の厚みが20mmを超えて厚すぎるために、冷延の圧下率が大きすぎる。このため、鋳造薄板の厚みが比較的厚く、冷延の圧下率が比較的大きい発明例5に比べても、曲げ性が著しく劣る。
比較例19、20は薄板連続鋳造の際の冷却速度が100℃/秒を超えて大きすぎる。このため、薄板連続鋳造の際の冷却速度が100℃/秒以下ではあるが比較的大きい発明例6に比べても、曲げ性が著しく劣る。
比較例21、22はMg、Siの含有量が少なすぎる。このため、本発明金属間化合物層状分散組織であり、曲げ性が優れるものの、他の特性である、耐力(強度)、BH性、プレス成形性などが著しく劣る。
常法による比較例23は、金属間化合物(晶出物)の層状分散状態が無く、図2の均一分布(均一分散)組織になっている(本発明金属間化合物層状分散組織になっていない)。この結果、耐力(強度)、BH性、プレス成形性などが優れるものの、曲げ性が著しく劣る。
したがって、以上の実施例の結果から、本発明の金属間化合物層状分散組織、および本発明金属間化合物層状分散組織とするための、各要件の持つ臨界的な意義乃至効果が裏付けられる。
Figure 2008101239
Figure 2008101239
本発明によれば、曲げ性に優れる6000系アルミニウム合金板の製造方法およびこの製造方法で製造された6000系アルミニウム合金板を提供できる。また、近年の衝突時の歩行者や乗員保護のための厚肉化した自動車アウタパネルの曲げ加工にも対応できる。この結果、自動車、船舶あるいは車両などの輸送機、家電製品、建築、構造物の部材や部品用として、また、特に、自動車などの輸送機の部材に、6000系アルミニウム合金板の適用を拡大できる。
本発明アルミニウム合金冷延板の組織を示す図面代用写真である。 比較例アルミニウム合金冷延板の組織を示す図面代用写真である。 比較例アルミニウム合金冷延板の組織を示す図面代用写真である。

Claims (4)

  1. 質量%で、Si:0.2〜1.6%、Mg:0.3〜1.5%を各々含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を溶製して、DC鋳造により300mm〜700mm厚さの鋳塊を得、この鋳塊を厚み方向でスライスしてより薄い鋳塊に分割し、この分割した鋳塊に圧下率が94%以下の冷間圧延を行い、所定の製品板厚とするとともに、金属間化合物同士が板の長さ方向および板幅方向に層状に分散し、これら層状に分散した金属間化合物同士が板厚方向に間隔をおいて分散する板組織とすることを特徴とする曲げ性に優れるアルミニウム合金板の製造方法。
  2. 質量%で、Si:0.2〜1.6%、Mg:0.3〜1.5%を各々含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を溶製して、鋳造時の冷却速度を100℃/秒以下とした連続鋳造により、板厚が20mm以下の鋳造薄板を得、この鋳造薄板に圧下率が94%以下の冷間圧延を行い、所定の製品板厚とするとともに、金属間化合物同士が板の長さ方向および板幅方向に層状に分散し、これら層状に分散した金属間化合物同士が板厚方向に間隔をおいて分散する板組織とすることを特徴とする曲げ性に優れるアルミニウム合金板の製造方法。
  3. 前記溶製アルミニウム合金が、更に、Fe:0.8%以下、Cu:1.0%以下、Mn:0.6%以下、Cr:0.5%以下、Zn:0.4%以下、Ti:0.1%以下の一種または二種以上を含有する、請求項1または2に記載の曲げ性に優れるアルミニウム合金板の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかの方法で製造された、曲げ性に優れるアルミニウム合金板。
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