JP2004010982A - 曲げ加工性とプレス成形性に優れたアルミニウム合金板 - Google Patents

曲げ加工性とプレス成形性に優れたアルミニウム合金板 Download PDF

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Abstract

【課題】室温時効したとしても、特にヘム加工などの曲げ加工性に優れ、他のプレス成形性や低温時効硬化能などにも優れたAl−Mg−Si系Al合金板を提供することを目的とする。
【解決手段】Al−Mg−Si系アルミニウム合金板において、室温時効後の特性として、板の圧延方向に対して平行方向の0.2%耐力が120〜170MPaの範囲であり、板の圧延方向に対して直角方向の r値r90が1.0以上であるとともに、このr90と板の圧延方向に対して平行方向の r値rとの平均値と、板の圧延方向に対して45度方向の r値r45との差を示す(r+r90−2×r45)/4が0.1〜0.6の範囲であることとする。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板製造後に室温時効が進んだ場合でも、特にヘム加工などの曲げ加工性に優れ、プレス成形性や低温時効硬化能などの、パネル化に際して要求される他の諸特性にも優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板(以下、アルミニウムを単にAlと言う)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車、船舶あるいは車両などの輸送機、家電製品、建築、構造物の部材や部品用として、成形加工性 (以下、単に成形性と言う)に優れたAl−Mg系のAA乃至JIS規格に規定された (規格を満足する)5000系や、成形性や焼付硬化性に優れたAl−Mg−Si系のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に5000系乃至6000系と言う)のAl合金材(圧延板材、押出形材、鍛造材などの各アルミニウム合金展伸材を総称する)が使用されている。
【0003】
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。このため、特に、自動車の車体に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、より軽量なAl合金材の適用が増加しつつある。
【0004】
このAl合金材の中でも、自動車のフード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体の、アウタパネル (外板)やインナパネル(内板)等のパネルには、薄肉でかつ高強度Al合金板として、過剰Si型の6000系のAl合金板の使用が検討されている。
【0005】
この過剰Si型の6000系Al合金は、基本的には、Si、Mgを必須として含み、かつSi/Mgが1以上であるAl−Mg−Si系アルミニウム合金である。そして、この過剰Si型6000系Al合金は優れた時効硬化能を有しているため、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、必要な強度を確保できる時効硬化能がある。
【0006】
また、これら過剰Si型6000系Al合金材は、Mg量などの合金量が多い、他の5000系のAl合金などに比して、合金元素量が比較的少ない。このため、これら6000系Al合金材のスクラップを、Al合金溶解材 (溶解原料)として再利用する際に、元の6000系Al合金鋳塊が得やすく、リサイクル性にも優れている。
【0007】
しかし、これら過剰Si型6000系Al合金材は、その優れた時効硬化能ゆえに、Al合金材自体の製造後、前記各用途に使用されるまでの間に、室温 (常温)時効が生じるという大きな問題がある。この室温時効の傾向は、本発明が対象とする過剰Si型6000系Al合金材で特に強い。
【0008】
例えば、この室温時効によって、過剰Si型6000系Al合金材自体の製造後2週間経過後でも、20%程度以上耐力が上昇するとともに、逆に伸びが10%程度以上低下するような現象も生じる。
【0009】
そして、このような室温時効が生じた場合、製造直後には、過剰Si型6000系Al合金板が前記各用途の要求特性を満足したとしても、一定時間の経過後に、実際の用途に使用される際には、前記要求特性を満足できない問題を生じる。即ち、特にヘム加工性などの曲げ加工性を著しく低下させ、また、前記プレス成形性や前記比較的低温での時効硬化性などの他の諸特性も低下させ、パネルとしての必要な形状精度や強度が得られないこととなる。
【0010】
過剰Si型を含む6000系Al合金材の、これら室温時効抑制と低温時効硬化能向上の課題に対しては、特開平10−219382号、特開2000−273567号等の公報などで、6000系Al合金板材を溶体化および焼入れ処理した後に、70〜150℃の低温で0.5〜50時間程度保持する熱処理 (時効処理)を施して改善することが開示されている。
【0011】
これらの公報では、過剰Si型を含む6000系Al合金材の低温時効硬化能を阻害している要因は、溶体化および焼入れ処理後の室温放置中に形成されるMg−Siクラスターであるとしている。即ち、この形成されたMg−Siクラスターが、塗装焼き付け時に再固溶するために熱エネルギーが消費され、強度上昇に寄与するGPゾーンの側の析出を阻害することであるとしている。
【0012】
そして、特開平10−219382号公報では、低温時効硬化能を阻害するMg−Siクラスターの生成量を規制するために、また、特開2000−273567号公報では、成形性向上には寄与するMg−Siクラスターを低温時効硬化能を阻害しない範囲で一定量の存在 (活用)させるために、溶体化および室温まで焼入れ処理した後に、前記70〜150℃で0.5〜50時間程度保持する低温熱処理を施している。そして、特開平10−219382号公報では、室温時効抑制効果として、製造後100日放置した後のAl合金パネル材の伸びが30%以上、エリクセン値が10mm以上をもって、成形性が良く、室温時効が抑制されているとしている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら特開平10−219382号、特開2000−273567号公報などの実際の低温時効硬化能は、170℃×30分の塗装焼き付け条件でも、最大でも168MPa程度である。したがって、これら公報では170℃×30分の人工時効処理条件でも、170Pa以下の過剰Si型6000系Al合金板しか得られていない。
【0014】
これに対し、近年では、前記成形後の自動車パネルの塗装焼付処理は、170℃×20分や160℃×20分などのより低温短時間となっているのが趨勢である。そして、これら低温短時間の塗装焼付条件 (人工時効処理条件)であっても、パネルとして、170MPa以上の高強度であることが求められている。
【0015】
また、プレス成形性やフラットヘム加工条件も、近年益々難しくなる傾向にあり、従来の成形加工側からの改善や素材板側からの改善では、対応できない場合が生じる。先ず、張出成形されるアウタパネル形状は、張出高さや張出面積などが大型化し、しかも形状が、伸びフランジ変形を伴うような湾曲部位を有するなど複雑化する傾向にある。このため、前記従来の成形加工側や素材板側からの改善でも、割れ、肌荒れなどの成形不良が生じ易い。
【0016】
次に、フラットヘム加工条件も、加工アウタパネルの端部形状も、直線的な単純形状ではなく、円弧形状やあるいは角部を有するような複雑形状化する傾向にある。また、アウタパネルのフラットヘム部 (縁曲部)に挿入されるインナパネルも、軽量化のために、1.0mm以下の、例えば0.5mm程度の板厚に益々薄肉化され傾向にある。これらの条件は全て、フラットヘム加工条件を厳しくしている。
【0017】
このように、過剰Si型6000系Al合金板において、Al合金板の室温時効抑制と、プレス成形性およびヘム加工性、更に低温時効硬化能などの向上は、相矛盾する技術課題であって、両立させることは中々難しい。例えば、Al合金板の耐力を下げてフラットヘム加工性を改善した場合、プレス成形性が低下したり、低温での人工時効硬化処理後の耐力が不足するなどの問題を生じる。
【0018】
このため、従来から種々提案されている晶出物や析出物の制御技術や、Cuなどを多量に添加する技術をもってしても、これらの特性を同時に達成することはかなり難しい技術課題となる。
【0019】
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、室温時効したとしても、ヘム加工などの曲げ加工性に特に優れ、プレス成形性や低温時効硬化能などの、パネル化に際して要求される他の諸特性にも優れたAl−Mg−Si系Al合金板を提供しようとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明アルミニウム合金板の要旨は、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板において、室温時効後の特性として、板の圧延方向に対して平行方向の0.2%耐力が120〜170MPaの範囲であり、板の圧延方向に対して直角方向の r値r90が1.0以上であるとともに、このr90と板の圧延方向に対して平行方向の r値rとの平均値と、板の圧延方向に対して45度方向の r値r45との差を示す(r+r90−2×r45)/4が0.1〜0.6の範囲であることとする。
【0021】
なお、本発明で言うAl合金板とは、冷間圧延後、調質処理を施した後に室温時効した板 (圧延板)を言う。したがって、上記各要件も、調質処理直後 (板製造直後)ではなく、調質処理後 (板製造後)からプレス成形乃至曲げ加工されるまでの任意の期間 (例えば板製造後から 1カ月以上経過後)における、充分室温時効したAl合金板の状態をさして言う。また、ここで言う調質処理とは、主として溶体化および焼き入れ処理を言うが、その後の任意の熱処理、例えば、後述する予備時効処理や、更に必要により施す時効処理などの種々の調質処理を含めたものを示す。
【0022】
なお、以下の説明は、特に過剰Si型6000系Al合金板を中心に行う。本発明は過剰Si型以外のAl−Mg−Si系乃至6000系のAl合金板にも、課題としては過剰Si型ほど厳しくないものの、効果はあるため、本発明範囲に含みうる。また、同じく、以下の曲げ加工性の説明は、特にフラットヘムなどのヘム加工を中心に行うが、ヘム加工性が良好であれば、加工 (変形)の機構が共通する、他のハット型曲げ加工や90度曲げ加工などの曲げ加工性も良好となる。したがって、本発明は、ヘム加工以外の曲げ加工にも適用でき、本発明範囲に含みうる。
【0023】
本発明者らは、過剰Si型6000系Al合金板の室温時効自体は抑制されることが好ましいが、例え、Al合金板の製造後に室温時効したとしても、プレス成形性およびフラットヘムなどの曲げ加工、更に低温時効硬化能に優れた過剰Si型6000系Al合金板を得ることを課題とした。
【0024】
このために、本発明者らは、プレス成形性およびヘム加工性と過剰Si型6000系Al合金板の組織との関係について、改めて検討した。この結果、過剰Si型6000系Al合金板の、圧延方向に対して直角方向の r値r90と圧延方向に対して平行方向の r値rに対する、圧延方向に対して45度方向の r値r45の差、言い換えると、圧延方向に対して45度方向の r値r45の異方性が、特に張出成形性とフラットヘム加工性との両方に密接に相関することを知見した。
【0025】
板の圧延方向に対して直角方向の r値r90を1.0以上と一定レベル以上に高くした場合、板の曲げ加工性は著しく改善される。しかし、このように、r90を高くするには、Al合金板の集合組織を等方性の組織から異方性を有する組織とする必要がある。一方、張出成形などのプレス成形の場合、この異方性を有する組織となっているAl合金板は、成形される板の0度、45度、90度の方向の材料流入量が異なるため、成形の早い段階から「しわ」が発生しやすくなる。そして、異方性を有する組織ほど、しわが深くなる傾向にあり、このしわを抑制するために、プレス成形時のしわ押さえ力 (板の金型への押しつけ力)を強くするなどの対策が必要となる。しかし、しわ押さえ力を強くしすぎると、逆に、プレス成形時に割れが発生しやすくなるという問題が新たに生じる。
【0026】
このため、本発明では、曲げ加工性を改善するために、Al合金板の圧延方向に対して直角方向の r値r90を1.0以上と一定レベル以上に高くする r値の異方性を持たせる。と同時に、本発明では、プレス成形における前記「しわ」の発生を抑制するために、前記r45の前記r90に対する異方性を制御する。具体的には、前記r90と板の圧延方向に対して平行方向の r値rとの平均値に対する、板の圧延方向に対して45度方向の r値r45の差を示し、言わばr45のr90に対する異方性の指標である、(r+r90−2×r45)/4を0.1〜0.6の範囲とし、r値の異方性を制御する。
【0027】
本発明では、このような制御した r値の異方性を持たせることで、過剰Si型6000系Al合金板が製造後に室温時効したとしても、相矛盾する特性である、張出成形性とフラットヘム加工性の両者とも改善する。なお、この張出成形性とフラットヘム加工の改善によって、更に、絞りなどの他のプレス成形性やロープドヘムなどの他のヘム加工をも改善しうる。
【0028】
また、過剰Si型6000系Al合金板が製造後に室温時効したとしても、170℃×20分や160℃×20分などの、より低温短時間の塗装焼付条件 (人工時効処理条件)であっても、パネルとして170MPa以上の高強度を得ることができる。
【0029】
なお、過剰Si型6000系Al合金板の分野においても、Al合金板自体の伸び、r値、n値などを向上させることで、プレス成形性やフラットヘムなどのヘム加工性を改善することは従来からも公知である。
【0030】
しかし、過剰Si型6000系Al合金板に、上記した、制御した r値の異方性を持たせることで、Al合金板製造後に室温時効したとしても、相矛盾する特性であるプレス成形性とヘム加工性の両者とも向上させることは公知ではない。また、同じく、低温短時間の人工時効処理条件で、170MPa以上の高強度を得ることができることも公知ではない。
【0031】
何故なら、これまでは、張出成形なども含めたプレス成形向上のために、通常の過剰Si型6000系Al合金板の伸びや耐力などの機械的性質は、本発明のような異方性を有する組織を持たさずに、板の圧延方向に対して平行方向、45度方向、90度方向の各々の各機械的性質はできるだけ等方性なり均一性を持たせる、という方が常識的であった。そして、機械的性質に異方性を持たせることは、むしろ、プレス成形性などにとって有害であるというのも、常識的であった。
【0032】
したがって、これまで常法で得られる通常の過剰Si型6000系Al合金板の機械的性質は、製造上のバラつきを除き、顕著な異方性を持たず、等方性なり均一性を有していた。このため、Al合金板の伸びや耐力などの機械的性質を言う場合、Al合金板の圧延方向に対して、平行方向または直角方向のいずれかの機械的性質で代表するのが常であった。
【0033】
また、本発明のようなr値の異方性を有するAl合金板組織を得るためには、後に詳述する製造方法のように、特別な工程条件の付加が必要である。ただ、本発明では、上記特別な工程条件の付加によっても、Al合金板の製造自体が煩雑になったり、製造コストが著しく高くなることはない。したがって、この点が本発明Al合金板の利点でもある。
【0034】
本発明では、室温時効したとしても、曲げ加工の中でも厳しいフラットヘム加工性を保証するために、請求項2のように、Al合金板の圧延方向に対して直角方向の r値である前記r90が1.2以上であることが好ましい。
【0035】
本発明では上記特性を発揮するために、Al合金板の成分組成の観点から、請求項3のように、Al合金板が、Si:0.4〜1.3%、Mg:0.2〜1.2%、Mn:0.01〜0.65%、Cu:0.001〜1.0%を含み、かつSi/Mgが質量比で1以上であり、残部がAlおよび不可避的不純物である組成からなることが好ましい。
【0036】
本発明では、従来のように、Al合金板の圧延方向に対して平行方向の0.2%耐力を140MPa以下の低強度とせずとも、特にフラットヘムなどのヘム加工性や張出成形性が優れる。この結果、室温時効後のAl合金板の0.2%耐力を前記140MPaを越える高強度にすることができ、成形後のパネル塗装工程などにおける、160℃×20分の低温人工時効硬化処理でも、170MPaを越えるような高強度のパネルを得ることができる。
【0037】
また、本発明Al合金板は、ヘム加工などの曲げ加工性に特に優れ、プレス成形性や低温時効硬化能などの、パネル化に際して要求される他の諸特性にも優れるので、請求項4のように、Al合金板が張出成形後にヘム加工される場合に適用されて好ましい。
【0038】
本発明は以上のような効果を有するため、請求項5に記載のように、張出成形後にヘム加工される用途の典型である請求項5に記載の自動車アウタパネルに適用されて好適である。
【0039】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明Al合金板の組織の要件につき、以下に説明する。
本発明では、Al−Mg−Si系Al合金板、中でも特に、過剰Si型6000系のAl合金板において、室温時効後の特性として、板の圧延方向に対して直角方向の r値r90が1.0以上であるとともに、このr90と板の圧延方向に対して平行方向の r値rとの平均値に対する、板の圧延方向に対して45度方向の r値r45の差(r+r90−2×r45)/4を0.1〜0.6の範囲とする。このような r値の異方性を持たせることによって、過剰Si型6000系Al合金板が、製造後に室温時効したとしても、プレス成形性とヘム加工性の両者とも向上させることができる。また、同じく室温時効したとしても、170℃×20分や160℃×20分などの、より低温短時間の塗装焼付条件 (人工時効処理条件)であっても、パネルとして170MPa以上の高強度を得ることができる。
【0040】
板の圧延方向に対して直角方向の r値r90が1.0未満では、板の製造後に室温時効した際の、特にフラットヘムなどのヘム加工性等曲げ加工性の向上効果がない。
【0041】
かつ、重要なことには、板の圧延方向に対して直角方向の r値r90が1.0未満では、板の圧延方向に対して平行方向、45度方向、90度方向の各々の各機械的性質をできるだけ均一とした、従来乃至通常のAl合金板の等方性組織と大差がなくなり、製造後に室温時効した際の、曲げ加工性の向上効果がない。
【0042】
また、前記(r+r90−2×r45)/4が0.1未満では、板の圧延方向に対して平行方向、45度方向、90度方向の各々の各機械的性質をできるだけ均一とした、従来乃至通常のAl合金板の等方性組織と大差がなくなり、製造後に室温時効した際の、曲げ加工性の向上効果がない。
【0043】
一方、この(r+r90−2×r45)/4が0.6を越えた場合、成形される板の0度、45度、90度の方向の材料流入量が異なるため、プレス成形における早い段階から「しわ」が発生しやすくなる。そして、このしわを抑制するために、しわ押さえ力を通常よりも強めてプレス成形する必要があり、この強いしわ押さえ力に起因する割れが発生しやすくなる。
【0044】
本発明では、また、Al合金板の結晶粒径を50μm以下と規定することが好ましい。結晶粒径をこの範囲に細かく乃至小さくすることによって、フラットヘム加工性やプレス成形性が確保乃至向上される。結晶粒径が50μmを越えて粗大化した場合、フラットヘム加工性や張出などのプレス成形性が著しく低下し、ヘム部での割れなどの不良や、プレス成形時の肌荒れなどの不良が生じ易い。
【0045】
なお、ここで言う結晶粒径とは板の長手(L)方向の結晶粒の最大径である。この結晶粒径を、Al合金板を0.05〜0.1mm機械研磨した後電解エッチングした表面を、光学顕微鏡を用いて観察し、前記L方向に、ラインインターセプト法で測定する。1測定ライン長さは0.95mmとし、1視野当たり各3本で合計5視野を観察することにより、全測定ライン長さを0.95×15mmとした。
【0046】
本発明Al合金板では、製造後に室温時効した際の、板の圧延方向に対して平行方向の0.2%耐力を120〜170MPaの範囲とする。従来、フラットヘム加工性が特に重視されるパネル用の場合には、あるいは前記厳しいフラットヘム加工条件用の場合には、溶体化処理温度をより低温側とし、前記0.2%耐力をできるだけ低耐力とするなどしていた。
【0047】
しかし、本発明では、前記低耐力とせずとも、製造後に室温時効した際の、特にフラットヘムなどのヘム加工性や張出などのプレス成形性が優れる。このため、本発明では、室温時効後の板の圧延方向に対して平行方向の0.2%耐力を120MPa以上に高めることができる。
【0048】
ただ、室温時効後の前記0.2%耐力が170MPaを越えた場合、本発明Al合金板であっても強度が高過ぎ、やはり、特にフラットヘムなどのヘム加工性が低下する。一方、前記0.2%耐力が120MPa未満では、前記低温短時間での人工時効処理時で、アウタパネルのデント特性などに必要な170MPa以上の必要強度を得ることが難しくなる。
【0049】
次に、本発明Al合金板の化学成分組成の実施形態につき、以下に説明する。
本発明Al合金板の基本組成は、上記r値や組織などの規定、また諸特性を確保するために、Al−Mg−Si系(6000系)Al合金とする。Al−Mg−Si系(6000系)Al合金の範囲でなければ、本発明で規定する上記r値の規定範囲や組織などにならず、また、諸特性が発揮されない。
【0050】
また、上記r値の規定範囲および板としての必要諸特性を確保するために、Si:0.4〜1.3%、Mg:0.2〜1.2%、Mn:0.01〜0.65%、Cu:0.001〜1.0%を含み、かつSi/Mgが質量比で1以上とした過剰Si型のAl−Mg−Si系Al合金とすることが好ましい。そして、上記組織の規定や諸特性を確保するために、より厳密には、前記規定各成分以外の残部を、Alおよび不可避的不純物とすることが好ましい。なお、本発明での化学成分組成の%表示は、前記請求項の%表示も含めて、全て質量%の意味である。
【0051】
上記合金元素以外の、Cr、Zr、Ti、B、Fe、Zn、Ni、Vなど、その他の合金元素は、基本的には不純物元素である。しかし、リサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金やその他のAl合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として使用して、本発明Al合金組成を溶製する場合には、これら他の合金元素は必然的に含まれることとなる。したがって、本発明では、目的とする本発明効果を阻害しない範囲で、これら他の合金元素が含有されることを許容する。
【0052】
各元素の好ましい含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に説明する。
Si:0.4〜1.3%。
Siは、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの、前記低温短時間での人工時効処理時に、MgとともにGPゾーンなどの化合物相を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルとして170MPa以上の必要強度を得るための必須の元素である。したがって、本発明過剰Si型6000系Al合金板にあって、プレス成形性、ヘム加工性などの諸特性を兼備させるための最重要元素である。
【0053】
また、前記低温短時間での人工時効処理時 (パネルへの成形後の塗装焼き付け処理、評価試験としては2%ストレッチ付与後160℃×20分の低温時効処理)時の耐力を170MPa以上という、優れた低温時効硬化能を発揮させるためにも、Si/Mgを質量比で1.0以上とし、SiをMgに対し過剰に含有させた過剰Si型6000系Al合金組成とすることが好ましい。
【0054】
Si量が0.4%未満では、前記時効硬化能、更には、各用途に要求される、プレス成形性、ヘム加工性などの諸特性を兼備することができない。一方、Siが1.3%を越えて含有されると、特にヘム加工性や曲げ加工性が著しく阻害される。更に、溶接性を著しく阻害する。したがって、Siは0.4〜1.3%の範囲とするのが好ましい。なお、アウタパネルでは、ヘム加工性が特に重視されるため、プレス成形性などの他の特性を低下させずに、フラットヘム加工性をより向上させるために、Si含有量を0.6〜1.0%と、より低めの範囲とすることが好ましい。
【0055】
Mg:0.2〜1.2%。
Mgは、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記人工時効処理時に、SiとともにGPゾーンなどの化合物相を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルとしての170MPa以上の必要強度を得るための必須の元素である。
【0056】
Mgの0.2%未満 (質量%、以下同じ)の含有では、絶対量が不足するため、人工時効処理時に前記化合物相を形成できず、時効硬化能を発揮できない。このためパネルとして必要な前記必要強度が得られない。
【0057】
一方、Mgが1.2%を越えて含有されると、プレス成形性や曲げ加工性 (ヘム加工性)等の成形性が著しく阻害される。したがって、Mgの含有量は、0.2〜1.2%の範囲で、かつSi/Mgが1.0以上となるような量とする。また、フラットヘム加工性をより向上させるために、Si含有量を前記0.6〜1.0%のより低めの範囲とする場合には、これに対応して過剰Si型6000系Al合金組成とするために、Mg含有量も0.2〜0.8%と低めの範囲とすることが好ましい。
【0058】
Cu:0.001〜1.0%
Cuは、本発明の比較的低温短時間の人工時効処理の条件で、Al合金材組織の結晶粒内へのGPゾーンなどの化合物相の析出を促進させる効果がある。また、時効処理状態で固溶したCuは成形性を向上させる効果もある。Cu含有量が0.001%未満ではこの効果がない。一方、1.0%を越えると、耐応力腐食割れ性や、塗装後の耐蝕性の内の耐糸さび性、また溶接性を著しく劣化させる。このため、耐食性が重視される構造材用途などの場合には0.8%以下、自動車外板用などのパネル用途などの場合には、耐糸さび性の発現が顕著となる0.1%以下の量とすることが好ましい。
【0059】
Mn:0.01 〜0.65%
Mnには、均質化熱処理時に分散粒子 (分散相)を生成し、これらの分散粒子には再結晶後の粒界移動を妨げる効果があるため、微細な結晶粒を得ることができる効果がある。前記した通り、本発明Al合金板のプレス成形性やヘム加工性はAl合金組織の結晶粒が微細なほど向上する。この点、Mn含有量が0.01%未満ではこれらの効果が無い。
【0060】
一方、Mn含有量が多くなった場合、溶解、鋳造時に粗大なAl−Fe−Si−(Mn、Cr、Zr)系の金属間化合物や晶析出物を生成しやすく、破壊の起点となり易いため、Al合金板の機械的性質を低下させる原因となる。また、特に、前記複雑形状や薄肉化、あるいはインナパネル端部とアウタパネル縁曲部内面との間の隙間の存在などによって、加工条件が厳しくなったフラットヘム加工では、Mn含有量が0.25%を越えた場合、ヘム加工性が低下する。このため、Mnは0.01〜0.65%の範囲とし、加工条件が厳しくなったフラットヘム加工では、より好ましくは0.01〜0.25%の範囲とする。
【0061】
Cr 、Zr。
これらCr、Zrの遷移元素には、Mnと同様、均質化熱処理時に分散粒子 (分散相)を生成し、微細な結晶粒を得ることができる効果がある。しかし、Cr、Zrも、0.15%を越える含有では、前記加工条件が厳しくなったフラットヘム加工ではヘム加工性が低下する。したがって、Cr、Zrの含有量も0.15%以下に規制することが好ましい。
【0062】
Ti 、B。
Ti、Bは、Ti:0.1%、B:300ppmを各々越えて含有すると、粗大な晶出物を形成し、成形性を低下させる。但し、Ti、Bには微量の含有で、鋳塊の結晶粒を微細化し、プレス成形性を向上させる効果もある。したがって、Ti:0.1%以下、B:300ppm以下までの含有は許容する。
【0063】
Fe。
溶解原料から混入して、不純物として含まれるFeは、AlCuFe、Al12(Fe,Mn)Cu、(Fe,Mn)Alなどの晶出物を生成する。これらの晶出物は再結晶粒の核となり、Feが0.08%以上含まれた場合に、結晶粒の粗大化を阻止して、結晶粒を50μm以下の微細粒とする役割を果たす。しかし、一方で、これらの晶出物は、破壊靱性および疲労特性、更には、前記加工条件が厳しくなったフラットヘム加工性およびプレス成形性を著しく劣化させる。これらの劣化特性は、Feの含有量が0.50%を越えると顕著になる。このため、含有させる場合のFeの含有量は、0.08〜0.50%とすることが好ましい。
【0064】
Zn。
Znは0.5%を越えて含有されると、耐蝕性が顕著に低下する。したがって、Znの含有量は好ましくは0.5%以下とすることが好ましい。
【0065】
(成形加工)
本発明Al合金板が対象とするヘム加工は、特にフラットヘム加工を意図している。即ち、アウタパネルの縁をポンチなどの工具により90°に近い角度まで折り曲げるダウンフランジ工程、アウタパネルの縁を更に約135°まで内側に折り曲げるプリヘム工程を経て、インナパネル端部をアウタパネルの折り曲げ部内に収容 (挿入)し、アウタパネルの縁を工具により更に180°の角度まで内側に折り曲げてフラットヘムが形成される。このフラットヘムでは、インナパネルと、アウタパネルの180度折り曲げ部とが接合、密着され、フラットな曲げ部形状を有する。
【0066】
しかし、本発明Al合金板は厳しい条件であるフラットヘム加工性に優れるので、それよりも一段緩い条件である、前記折り曲げ部が円弧状に膨らんだロープ状の断面形状を有しいるロープヘムなどの加工性にも当然優れる。また、加工 (変形)の機構が共通する、前記他のハット型曲げ加工や90度曲げ加工などの曲げ加工性や、あるいは、一般的にV曲げ、U曲げ、端曲げ、波曲げ、引張曲げなどと称される曲げ加工性にも優れる。したがって、本発明は、他のロープヘムなどのヘム加工も対象とし、ヘム加工以外の曲げ加工も対象とする。
【0067】
また、ヘム加工は、前記した、ダウンフランジ工程、プリヘム工程、フラットヘム乃至ロープヘム工程により行われる通常のヘム加工だけでなく、最終的にヘムが形成されるものであれば、ローラーヘムなど、工程や工程条件が異なるものもヘム加工として対象とするし、適用可能である。
【0068】
なお、フラットヘムなどのヘム加工が、本発明Al合金板の4周囲に対して全て行われるか、選択される辺 (側縁部)のみに対して行われか、また、ヘム加工されるアウタパネルの端部形状が直線形状か、円弧形状やあるいは角部を有するような複雑形状かは、アウタパネルなどの部材設計に応じて、適宜選択される。
【0069】
本発明Al合金板は、また、ヘム加工性と同時に、上記張出などのプレス成形を対象とする。そして、プレス成形の中でも、特に、アウタパネルなどにおける、前記した形状が大型化、複雑化した際の張出成形を対象とする。ただ、これらの張出成形性に優れることは、加工条件が比較的緩やかな、他の絞りなどの成形性に優れることを意味する。したがって、本発明Al合金板は、特に張出成形、また張出成形で代表できる他のプレス成形をも対象とする。
【0070】
(製造方法)
以上の本発明Al合金板の製造方法について説明する。
前記した通り、過剰Si型6000系Al合金板の圧延方向に対して直角方向の r値r90が1.0以上であるとともに、このr90と、板の圧延方向に対して45度方向の r値r45および板の圧延方向に対して平行方向の r値rとの平均値、即ちr値の平均値(r+r90−2×r45)/4が0.1〜0.6の範囲であるようなr値の異方性を持つ組織を得るためには、上記成分組成などの他に下記の冷間圧延条件と、必要により、冷間圧延後の焼鈍付加など、特別な工程の付加や工程条件の付加が必要である。この点、常法で得られる通常のAl合金板は、前記した通り、基本的に本発明のような r値の異方性はないし、r値の異方性は得られない。
【0071】
r 値の異方性を有する組織を得るためには、先ず、圧下率を70%以上のできるだけ高い圧下率で冷間圧延する。冷間圧延での圧下率をこのように高くすることで、冷間圧延板に十分な歪みエネルギーを蓄積できる。この結果、後述する焼鈍や溶体化を含む調質処理で、前記r値の異方性を有する組織を得ることができる。冷間圧延での圧下率が低いと、常法材と変わりなくなり、後述する調質処理で、前記r値の異方性を有する組織が蓄積できない。一方、冷間圧延での圧下率が高くなるほど、前記r値の平均値が0.6の上限を越えてしまう。また、耳割れが生じるなど加工自体が困難となるので、圧下率の上限は90%程度とするのが好ましい。
【0072】
次いで、冷間圧延板は、前記r値の異方性を有する組織を得るために、必要に応じて、300℃以下、好ましくは150〜250℃の温度で、例えば1〜50時間焼鈍されることが好ましい。この焼鈍によって、最終の溶体化処理で、前記r値の異方性を有する組織が発達し易くなり、プレス成形性とともにヘム加工性が著しく向上する。前記焼鈍温度が150℃未満では、この効果がなく、前記r値の異方性を有する組織とすることができない。この結果、従来のAl合金板結晶粒組織と大差がなくなり、プレス成形性とともにフラットヘムなどのヘム加工性の向上効果がない。
【0073】
一方、焼鈍温度が300℃ (より厳しくは250℃)を越えた場合、結晶粒が粗大化しやすく、プレス成形やヘム加工時に肌荒れが生じ易くなり、Al合金板の張出成形や絞り成形などのプレス成形性が著しく低下する。この焼鈍はバッチ炉、連続焼鈍炉を用いて行うことができる。
【0074】
その他の工程条件は常法で可であるが、アウタパネルなどとしての、フラットヘム加工性や他の特性を向上させるための好ましい条件もあり、以下に説明する。
【0075】
先ず、溶解、鋳造工程では、本発明成分規格範囲内に溶解調整された、過剰Al合金溶湯を、連続鋳造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。
【0076】
次いで、このAl合金鋳塊に均質化熱処理を施した後、熱間圧延、前記高い圧下率での冷間圧延を行い、コイル状、板状などの板形状に加工する。その際、必要により、前記した条件の焼鈍なども施す。
【0077】
加工後のAl合金板は、調質処理として、先ず、必須に溶体化および焼入れ処理される。溶体化および焼入れ処理は、後の塗装焼き付け硬化処理などの人工時効硬化処理によりGPゾーンなどの化合物相を十分粒内に析出させるために重要な工程である。この効果を出すための溶体化処理条件は、500〜560℃の温度範囲で行うのが好ましい。
【0078】
従来、フラットヘム加工性が特に重視されるパネル用の場合には、あるいは前記厳しいフラットヘム加工条件用の場合には、前記溶体化処理温度を500〜530℃のより低温側としていた。しかし、本発明では、前記した通り、従来のように、Al合金板の0.2%耐力を140MPa以下の低強度とせずとも、特にフラットヘムなどのヘム加工性やプレス成形性が優れる。
【0079】
このため、溶体化処理温度を530〜560℃の範囲の高温側で行い、Al合金板の0.2%耐力を140MPaを越える高強度にして、後の板成形後のパネルの人工時効硬化処理によりGPゾーンなどの化合物相を十分粒内に析出させるようにし、成形後の塗装工程などにおける前記低温短時間の人工時効硬化処理でも170MPaを越えるような高強度のパネルとすることが好ましい。
【0080】
溶体化処理後の焼入れの際、冷却速度は50℃/分以上の急冷とすることが好ましい。冷却速度が50℃/分未満の遅い場合には、焼入れ後の強度が低くなり、時効硬化能が不足し、前記低温短時間の低温での人工時効処理により170MPa以上の高耐力を確保できない。
【0081】
また、粒界上にSi、MgSiなどが析出しやすくなり、プレス成形やフラットヘム加工時の割れの起点となり易く、これら成形性が低下する。この冷却速度を確保するために、焼入れ処理は、ファンなどの空冷でもよいが冷却速度が遅くなる可能性が大きく、ミスト、スプレー、浸漬等の水冷手段から選択して行うことが好ましい。
【0082】
本発明では、前記した通り、室温時効自体は許容するものの、室温時効を抑制しても良い。即ち、溶体化焼入れ処理後、室温時効の原因となるクラスターの生成を抑制し、GPゾーンの析出を促進するために、予備時効処理をしても良い。この予備時効処理は、50〜100℃、好ましくは60〜90℃の温度範囲に、1〜24時間の必要時間保持することが好ましい。また、予備時効処理後の冷却速度は、1℃/hr以下であることが好ましい。
【0083】
この予備時効処理として、溶体化処理後の焼入れ終了温度を50〜100℃と高くした後に、直ちに再加熱乃至そのまま保持して行う。あるいは、溶体化処理後常温までの焼入れ処理の後に、直ちに50〜100℃に再加熱して行う。
【0084】
また、連続溶体化焼入れ処理の場合には、前記予備時効の温度範囲で焼入れ処理を終了し、そのままの高温でコイルに巻き取るなどして行う。なお、コイルに巻き取る前に再加熱しても、巻き取り後に保温しても良い。また、常温までの焼入れ処理の後に、前記温度範囲に再加熱して高温で巻き取るなどしてもよい。
【0085】
更に、室温時効抑制のために、前記予備時効処理後に、時間的な遅滞無く、比較的低温での亜時効処理を行い、GPゾーンを生成させても良い。前記時間的な遅滞があった場合、予備時効処理後でも、時間の経過とともに室温時効 (自然時効)が生じ、この室温時効が生じた後では、亜時効処理による効果が発揮しにくくなる。
【0086】
これらの効果を得るためには、Al合金材の前記組成範囲において、時効処理温度を80〜120℃の亜時効処理範囲とし、時効処理時間は必要時間、好ましくは1〜24時間の範囲とし、この範囲の中から、前記組成に応じて、時効処理効果が得られる温度と時間を選択することが好ましい。また、この亜時効処理後の冷却速度は、1℃/hr以下であることが好ましい。時効処理温度が80℃未満では、また、保持時間が短過ぎると、GPゾーンを生成させることができない。このため、室温時効抑制効果や低温時効硬化能が得られない。一方、120℃を越える温度では通常の時効処理と大差なくなり、β”相も析出して時効が進み過ぎ、強度が高くなりすぎる。この点は、時効処理の保持時間が長過ぎても同じである。なお、前記予備時効処理温度を、後述する時効処理並に高めとし、時効処理と合わせた乃至連続した熱処理としても良い。
【0087】
この他、用途や必要特性に応じて、更に高温の時効処理や安定化処理を行い、より高強度化などを図ることなども勿論可能である。
【0088】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。表1に示す、各6000系組成範囲のAl合金板について、前記r90が1.0以上であるとともに、前記(r+r90−2×r45)/4が0.1〜0.6の範囲であるようなr値の異方性を持つ組織を得るために、表2に示すように冷間圧延の圧下率と冷間圧延後の焼鈍温度を変えて、厚さ1.0mmのAl合金板を作成した。
【0089】
冷間圧延圧下率と冷間圧延後の焼鈍条件、更には溶体化処理温度以外のAl合金板の作製は、下記冷間圧延の圧下率を変化させるための熱間圧延板の板厚を除き、ほぼ同じ条件で行った。即ち、表1に示す各組成範囲の400mm厚の鋳塊を、DC鋳造法により溶製後、540℃×4時間の均質化熱処理を施し、終了温度300℃で厚さ2.3〜8mmtまで板厚を種々変えて熱間圧延した。この熱間圧延板を、更に、厚さ1.0mmまで、各圧下率を変えて冷間圧延した。
【0090】
これら冷延板を以下の条件で調質処理した。先ず、各試験片サイズに切断後、570℃に保持した空気炉に投入し、各試験片が550℃の溶体化処理温度に到達した時点で (保持時間 0秒)、70℃の温水に焼き入れする処理を行った。前記焼入れ処理の際の冷却速度は200℃/秒とし、焼入れ終了温度 (焼入れ温度)は共通して70℃とし、焼入れ後にこの温度で2時間保持する予備時効処理 (保持後は冷却速度0.6℃/hrで徐冷)を行った。各例の冷間圧延圧下率と冷間圧延後の焼鈍条件、溶体化処理温度を表2に示す。
【0091】
これらのAl合金板から試験用の幅500mm×長さ500mmの供試板 (ブランク)を複数枚切り出し、調質処理直後のAl合金板の元のAl合金板の圧延方向に平行な(L方向の)引張強さ (σ)、耐力 (σ0.2)、伸び(%)を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0092】
そして、調質処理後に十分室温時効したAl合金板がプレス成形およびヘム加工されることを想定および考慮して、前記調質処理後 4カ月間 (120日間)の室温時効後の、各供試板の、圧延方向に平行な引張強さ (σ)および耐力 (σ0.2)とAl合金板の伸び(%)、そして、前記r90、r45、rの各方向の r値を各々測定した。そして、前記 (r+r90−2×r45)/4を求めた。これらの結果を表3に示す。
【0093】
なお、引張試験はJIS Z 2201にしたがって行うとともに、試験片形状はJIS 5号試験片で行った。また、クロスヘッド速度は5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。
【0094】
また、これら室温時効したAl合金板を自動車パネルとしてプレス成形やヘム加工されることを模擬して、前記室温時効後の供試板を成形試験した。より具体的には、張出成形試験、張出成形後のフラットヘム加工試験を行い、成形性を評価した。これらの結果を表3に示す。
【0095】
先ず、張出成形試験の条件は、前記室温時効後のAl合金板から一辺が500mmの正方形の供試板 (ブランク)を複数枚切り出し、中央部に一辺が300mmで、高さが30mmと高い角筒状の張出部と、この張出部の四周囲に平坦なフランジ部 (幅30mm)を有するハット型のパネルに、メカプレスにより、ビード付き金型を用いて張出成形した。
【0096】
張出成形試験は、しわ押さえ力は490kN、潤滑油は一般防錆油、成形速度は20mm/分の同じ条件で3回行い、3回とも成形ハット型パネルの張出部角部などに割れがなく正常に成形できた例を〇、3回とも全て割れが生じて成形できなかったものを×として評価した。
【0097】
また、この張出成形の際に、割れにかかわり無く、発生した「しわ」の最大高さ(mm)を測定し、3回の成形の際の前記しわ高さの平均が1.0mm以下のものを○、1.0mmを越え2.0mm以下のものを△、2.0mmを越えるものを×と評価した。
【0098】
次に、フラットヘム加工試験は以下の通りとした。前記プレス成形されたAl合金パネルを、アウターパネルとしてヘム加工されることを模擬して、パネルの前記平坦なフランジ部の一つの端部全面 (幅500mm)を以下の条件でフラットヘム加工した。
【0099】
まず、Al合金パネルのフラットヘム加工代 (ヘム加工後のパネルの内側に折り曲げられた端部から折り曲げ部の端部までの距離)を12mmとして、ダウンフランジ工程を模擬し、Al合金パネルの縁を90度の角度となるまで折り曲げた。この際、Al合金パネルの90°曲げ半径は0.8とした。次に、プリヘム工程模擬して、Al合金パネルの縁を更に135°の角度まで内側に折り曲げた。
【0100】
その後、厳しいフラットヘム加工条件を模擬して、敢えてインナパネルを前記Al合金パネルの折り曲げ部に挿入せずに、折り曲げ部を内側に180度折り曲げ、パネル面に密着させるフラットヘム加工を行った。
【0101】
そして、このフラットヘムの縁曲部の、肌荒れ、微小な割れ、大きな割れの発生などの表面状態を目視観察した。評価は、1;肌荒れや微小な割れも無く良好、2;肌荒れが発生しているものの、微小なものを含めた割れはない、3;微小な割れが発生、4;大きな割れが発生、5;大きな割れが複数乃至多数発生、の5段階の評価をした。この評価として、ヘム加工性が良好 (使用可)と判断されるのは1〜2段階までで、3段階以上はヘム加工性が劣る (使用不可)と判断される。
【0102】
更に、低温時効処理能を調査するため、前記プレス成形されたAl合金パネルから供試板を採取して、160℃×20分の低温短時間の人工時効硬化処理し、処理後の各供試板の (元のAl合金板の)圧延方向に平行な(L方向の)引張強さ (ABσ)と、耐力 (ABσ0.2)、を測定した。これらの結果を表3に示す。なお、発明例と比較例ともに、前記室温時効後のAl合金板の前記した結晶粒径は全て50μm以下であった。
【0103】
表1〜3から明らかな通り、本発明合金組成範囲内であって、室温時効後の特性として、板の圧延方向に対して平行方向の0.2%耐力が120〜170MPaの範囲であり、r90が1.0以上であるとともに、前記(r+r90−2×r45)/4が0.1〜0.6の範囲である発明例1〜6は、前記 4カ月間 (120日間)の室温時効後で、調質直後に比して耐力が高くなり、成形性や時効硬化性に不利となった条件でも、フラットヘム加工性に優れ、割れの発生がなく、しわの発生量が少ないため、張出成形性に優れ、更に時効硬化性にも優れている。
【0104】
しかも、前記フラットヘム加工性の試験条件と評価は、自動車アウタパネルなどの実際の厳しい加工条件でのフラットヘム加工性の評価につながるものである。したがって、発明例1〜6は、実際のフラットヘムなどのヘム加工でも、十分加工できることを示している。ただ、前記(r+r90−2×r45)/4が0.6の上限である発明例1、2は、他の発明例に比べると、しわの発生量が多い。
【0105】
前記張出成形の試験条件と評価は、自動車アウタパネルなどの実際の厳しい加工条件での張出成形の評価につながるものである。したがって、発明例1〜6は、実際の張出成形や絞り成形などのプレス成形で、張出高さや張出面積などが大型化しても、しわの発生量が少なく張出成形性が優れ、十分加工できることを示している。
【0106】
更に、発明例1〜6は、160℃×20分の低温短時間の人工時効硬化処理であっても、AB耐力が170MPa以上ある。これは、自動車車体製造工程などで現在主流の170℃×20分の塗装焼き付け工程では、200MPa以上のAB耐力が得られることを意味する。
【0107】
一方、冷間圧延率が低すぎる比較例7、8は、常法により製造された板と言え、r値の異方性が殆ど無い従来相当材である。したがって、各々発明例と対応する同じ合金組成であるにも関わらず、4カ月間 (120日間)の室温時効後で、r90が1.0未満であり、(r+r90−2×r45)/4も0.1未満であり、本発明範囲から外れた結果となっている。このため比較例7、8は、フラットヘム加工性が発明例に比して著しく劣る。比較例9、10は冷間圧延率が高すぎるなどして、r値の異方性が高すぎ、(r+r90−2×r45)/4が0.6を超えている。このため、フラットヘム加工性は良好であるものの、しわの発生量が多く、張出成形性が著しく劣る。したがって、これらの結果から、特に、本発明で規定する、r90が1.0以上であるとともに、(r+r90−2×r45)/4が0.1〜0.6であることの張出成形性からの臨界的な意義が明らかである。
【0108】
【表1】
Figure 2004010982
【0109】
【表2】
Figure 2004010982
【0110】
【表3】
Figure 2004010982
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、厳しい条件でのフラットヘム加工などの曲げ加工性に特に優れ、プレス成形性や低温時効硬化能などの、パネル化に際して要求される他の諸特性にも優れたAl−Mg−Si系Al合金板を提供することができる。したがって、Al合金板のパネル用途への拡大を図ることができる点で、多大な工業的な価値を有するものである。

Claims (5)

  1. Al−Mg−Si系アルミニウム合金板において、室温時効後の特性として、板の圧延方向に対して平行方向の0.2%耐力が120〜170MPaの範囲であり、板の圧延方向に対して直角方向の r値r90が1.0以上であるとともに、このr90と板の圧延方向に対して平行方向の r値rとの平均値と、板の圧延方向に対して45度方向の r値r45との差を示す (r+r90−2×r45)/4が0.1〜0.6の範囲であることを特徴とする曲げ加工性とプレス成形性に優れたアルミニウム合金板。
  2. 前記r90が1.2以上である請求項1に記載の曲げ加工性とプレス成形性に優れたアルミニウム合金板。
  3. 前記アルミニウム合金板が、Si:0.4〜1.3%、Mg:0.2〜1.2%、Mn:0.01〜0.65%、Cu:0.001〜1.0%を含み、かつSi/Mgが質量比で1以上であり、残部がAlおよび不可避的不純物である組成からなる請求項1または2に記載の曲げ加工性とプレス成形性に優れたアルミニウム合金板。
  4. 前記アルミニウム合金板が張出成形後にヘム加工される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の曲げ加工性とプレス成形性に優れたアルミニウム合金板。
  5. 前記アルミニウム合金板が自動車アウタパネル用である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の曲げ加工性とプレス成形性に優れたアルミニウム合金板。
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