JP3766334B2 - 曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、曲げ加工性に優れたAl-Mg-Si系アルミニウム合金板(以下、アルミニウムを単にAlと言う)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車、船舶あるいは車両などの輸送機、家電製品、建築、構造物の部材や部品用として、成形加工性 (以下、単に成形性と言う) に優れたAl-Mg 系のAA乃至JIS 規格に規定された (規格を満足する)5000 系や、成形性や焼付硬化性に優れたAl-Mg-Si系のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に5000系乃至6000系と言う) のAl合金材(圧延板材、押出形材、鍛造材などの各アルミニウム合金展伸材を総称する)が使用されている。
【0003】
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。このため、特に、自動車の車体に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、より軽量なAl合金材の適用が増加しつつある。
【0004】
このAl合金材の中でも、自動車のフード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体の、アウタパネル (外板) やインナパネル( 内板) 等のパネルには、薄肉でかつ高強度Al合金板として、過剰Si型の6000系のAl合金板の使用が検討されている。
【0005】
この過剰Si型の6000系Al合金は、基本的には、Si、Mgを必須として含み、かつSi/Mg が1 以上であるAl-Mg-Si系アルミニウム合金である。そして、この過剰Si型6000系Al合金は優れた時効硬化能を有しているため、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後の焼付塗装処理などの人工時効処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、必要な強度を確保できる利点がある。
【0006】
また、これら過剰Si型6000系Al合金材は、Mg量などの合金量が多い、他の5000系のAl合金などに比して、合金元素量が比較的少ない。このため、これら6000系Al合金材のスクラップを、Al合金溶解材 (溶解原料) として再利用する際に、元の6000系Al合金鋳塊が得やすく、リサイクル性にも優れている。
【0007】
一方、前記自動車などのアウタパネルでは、Al合金板を張出や絞りあるいはトリム等のプレス成形してアウタパネル化した後、アウタパネルの縁を折り曲げて (180 度折り返して) インナパネルの縁との接合を行う、ヘム( ヘミングの別称) 加工と呼ばれる厳しい曲げ成形が複合して施される。また、インナパネルでは深絞り等の厳しいプレス成形が複合して施される。
【0008】
特に、アウタパネル用途としては、更に、高強度 (高時効硬化性) 、高耐食性、高溶接性などを兼備することも要求される。
【0009】
前記フラットヘム加工は、アウタパネルの縁をポンチにより90°に近い角度まで折り曲げるダウンフランジ工程、アウタパネルの縁を更にポンチにより約135 °まで内側に折り曲げるプリヘム工程を経て、フラットヘム工程により行われる。
【0010】
このフラットヘム工程では、インナパネル端部をアウタパネルの折り曲げ部内に収容 (挿入) し、アウタパネルの縁をポンチにより更に約180 °の角度まで内側に折り曲げてフラットヘムを形成する。このように、フラットヘムでは、インナパネルの縁と、アウタパネルのフラットヘム部(180 度折り曲げ部) とが接触して、両者が端部同士において接合されるとともに密着される。
【0011】
ただ、Al合金アウタパネルのフラットヘム加工においては、従来の鋼板パネルのフラットヘム加工に比して、形成されるフラットヘムの縁曲部には、肌荒れや割れ等の不良が生じ易くなる。そしてこれらの不良が生じた場合、アウタパネルとしての適用ができなくなる。
【0012】
このようなAl合金アウタパネルのフラットヘム加工に対し、従来から、フラットヘム加工工程側や、Al合金板の素材側で、前記ヘム部 (縁曲部、折り曲げ部) の不良発生を防止して、フラットヘム加工性を改善する技術も種々提案されている。
【0013】
フラットヘム加工工程側からは、例えば、特公昭63-2690 号公報などでは、186MPa程度の高強度なAl合金アウタパネルのフラットヘム加工において、前記ダウンフランジ工程で、アウタパネルに形成されるフランジコーナー部の曲げ半径Rd (ダイスの肩半径) を0.8t〜1.8t (但しt はAl合金板の板厚) と大きくして、前記不良の発生を防止することが提案されている。また、ローラーヘムなどの加工方法自体の改良も提案されている。
【0014】
一方、素材側からは、パネル用Al合金板の粒界析出物の規制や結晶粒内析出物の大きさの制御が行われる。また、パネル用Al合金板の耐力自体を下げる、伸びなどの延性、加工硬化指数n 値、ひずみ速度感受性指数m 値などを向上させる等々の改善する手段も種々行われている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、フラットヘム加工条件は、近年益々難しくなる傾向にある。その理由は、先ず、アウタパネルのフラットヘム加工される部分の形状 (デザイン) の複雑化である。フラットヘム加工されるアウタパネルの部分形状 (縁曲部形状) が直線的な単純形状ではなく、円弧形状やあるいは角部を有するような複雑形状となった場合、前記不良がより発生しやすくなる。
【0016】
次に、前記アウタパネルとインナパネル用のAl合金板は、パネルの軽量化のために、1.0mm 以下の板厚に近年益々薄肉化されていることが理由に上げられる。例えば、アウタパネル用のAl合金板は1.0mm 以下の、0.8 〜0.9mm の板厚などが主流である。また、インナパネル用のAl合金板も1.0mm 以下の、0.5 〜0.8mm の板厚などが主流である。これら薄肉化されたAl合金板では、特にアウタパネルの縁曲部に挿入されるインナパネルの板厚が薄くなるほど、曲げ条件としては厳しくなり、フラットヘム加工が難しくなる傾向にある。そして、前記した薄肉化されたAl合金板では、この傾向が顕著となる。
【0017】
このような厳しいフラットヘム加工などの曲げ加工に対し、前記した加工工程側やパネル用のAl合金板の素材側での従来の改善技術では、必ずしも対応しきれない場合が生じる。
【0018】
また、曲げ加工性の改善がAl合金板の前記他の特性を低下させることにもつながる。例えば、前記Al合金板の耐力自体を下げてフラットヘム加工性を改善した場合、プレス成形性が低下したり、過剰Si型6000系Al合金板であっても、板成形後のパネル塗装焼付工程などを用いた低温での人工時効硬化処理後の耐力が不足して、耐デント性が不足するなどの問題を生じる。
【0019】
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、特にフラットヘムなどの曲げ加工に優れ、他の要求特性も兼備したAl-Mg-Si系Al合金板を提供しようとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明アルミニウム合金板の請求項1 の要旨は、質量 % で、 Si:0.4 1.3% Mg:0.2 1.2% Mn:0.01 0.65% Cu:0.001 1.0% を含み、かつ Si/Mg が質量比で 1 以上であり、残部 Al および不可避的不純物からなるAl-Mg-Si系アルミニウム合金板において、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔が40nm以上であり、かつ、アルミニウム合金板表面の結晶粒内のすべり帯組織であって、アルミニウム合金板に5%の歪みを与えた際に生じるすべり帯組織同士の平均間隔が1.5 μm 以下であるものとする。
【0021】
なお、本発明で言うAl合金板とは、熱間圧延および冷間圧延後、調質処理 (熱処理) を施した後に室温時効した板を言う。この点、例え、形状が板状であっても、熱間押出されたAl-Mg-Si系Al合金形材は、圧延された本発明板とは、後述する通り、組織的に大きく異なるため、本発明で規定する組織とはならず、例え、なったとしても、特性を発揮するとは限らない。したがって、押出形材は本発明範囲には含まない。
【0022】
したがって、上記本発明の各組織要件も、調質処理後のAl合金板の状態であって、調質処理後から、曲げ加工されるまでの任意の期間における、短期間乃至長期間を問わず、室温時効したAl合金板の状態をさして言う。また、ここで言う調質処理とは、溶体化および焼き入れ処理を含め、その後の時効処理などの熱処理を示す。
【0023】
本発明者らは、曲げ加工性、特にフラットヘム加工性とAl-Mg-Si系Al合金板の組織との関係について、改めて検討した。この結果、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔と、Al合金板に一定の歪みを与えた際に生じる結晶粒内のすべり帯組織同士の平均間隔がフラットヘム加工性乃至曲げ加工性と密接に相関することを知見した。即ち、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔が大きく、前記すべり帯組織同士の平均間隔が小さいほど、前記した厳しい条件でのフラットヘム加工性乃至曲げ加工性が改善される。
【0024】
なお、Al-Mg-Si系Al合金材の分野において、前記した通り、結晶粒内のMg2Si 析出物の大きさを制御することは一般的である。また、すべり帯組織については、すべり帯組織の粗さを制御すること自体は一般的ではなく、特定分野においてのみ公知である。この特定分野とは、特開2000-128017 号公報に開示された、クラッシャブル部材 (部材の長手方向乃至軸方向に圧縮の衝撃荷重や静的負荷を受けた際に、軸方向に潰れて、その圧縮の衝撃荷重や静的負荷を吸収する作用を持つ部材) の分野のみである。
【0025】
前記特開2000-128017 号公報では、クラッシャブル部材用Al-Mg-Si系Al合金押出形材の圧壊割れを改善し、軸圧壊特性を向上させることが開示されている。このため、前記公報では、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均的な大きさを30nm以上で1000nmを越えない範囲に比較的大きくしている。これによって、前記軸方向の圧縮変形時の転位が析出粒子をせん断するのを防止し、かつ粗いすべり帯組織の形成を抑制して、粒界への応力集中と粒界破断するのを抑制している。
【0026】
前記特開2000-128017 号公報の対象は、Al-Mg-Si系Al合金押出形材である。この押出形材組織は、例え、形状が板状の押出材であっても、結晶粒が押出方向(押出材長手方向)に細長く伸長した繊維状の組織となっている。したがって、本発明が対象とする、等軸あるいは等軸から若干偏平した粒状の結晶粒組織であるAl-Mg-Si系Al合金圧延板とは、結晶粒組織が全く異なる。このため、前記変位の際の転位の挙動も、押出形材組織と圧延板組織とでは大きく異なる。
【0027】
しかも、本発明で課題とするAl合金板の曲げ加工性と、前記公報で課題とする形材軸方向の軸圧壊特性とは、変位の際の転位の挙動も大きく異なる。前記公報では、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均的な大きさを30nm以上で1000nmを越えない範囲に比較的大きくし、これによって、結果として乃至付随的に、粗いすべり帯組織の形成を抑制している。即ち、軸圧壊特性向上の組織的な手段は、結晶粒内のMg2Si 析出物の大きさの制御のみである。
【0028】
これに対し、本発明で課題とするAl合金板の、特にフラットヘム加工性を含めた厳しい曲げ加工条件では、前記公報の結晶粒内のMg2Si 析出物の平均的な大きさ制御のみでは、前記発明の解決しようとする課題の欄でも説明した通り、曲げ加工を向上できない。本発明で課題とする前記厳しい曲げ加工条件での曲げ加工性を向上させるためには、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔制御に加えて、すべり帯組織自体の独立した制御 (間隔の特定) が必須である。
【0029】
因みに、従来のように、結晶粒内のMg2Si 析出物を微細化させても、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔は本発明で規定するように小さくなるとは限らない。例えば、析出粒子で高強度を確保する過剰Si型6000系Al合金板など、このMg2Si 析出物が密に存在しやすい場合には、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔は本発明で規定するように小さくならない。また、一方、結晶粒内のMg2Si 析出物が比較的大きくても、このMg2Si 析出物が密に存在する場合には、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔は本発明で規定するように小さくなる。
【0030】
また、すべり帯組織についても、常法で得られる通常のAl-Mg-Si系Al合金板では、製造後の室温での時効硬化などにより、曲げ加工時の転位が析出粒子をせん断で通り抜ける際に、粗いすべり帯組織が形成され、この粗いすべり帯組織が析出粒子や粒界析出物などに応力集中を起こし、前記曲げ加工 (フラットヘム加工) 時の肌荒れや割れに至る。
【0031】
即ち、従来材は、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔が小さく、転位がMg2Si 析出粒子をせん断機構で切ってすべり変形する。このため、曲げ加工時に、前記粗いすべり帯組織が形成されやすく、この粗いすべり帯組織が析出粒子や粒界析出物などに応力集中を起こし、割れに至る。この傾向は、室温で時効硬化しやすい、析出粒子で高強度を確保する、過剰Si型6000系Al合金板で特に強い。
【0032】
これに対し、本発明では、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔を40nm以上とするとともに、曲げ加工の際の転位によって形成される、すべり帯組織同士の平均間隔を小さくし、前記粗いすべり帯組織の形成を困難とする。そして、これによって、すべり帯組織による析出粒子や粒界析出物などへの応力集中を緩和し、曲げ加工の際の割れを防止する。即ち、曲げ加工の転位を、前記した析出粒子や粒界析出物などをせん断しないオロワン機構へと変化させ、曲げ加工 (フラットヘム加工) 性を向上させる。したがって、前記過剰Si型6000系Al合金板であっても、曲げ加工性が大きく向上する。
【0033】
そして、このすべり帯組織同士の平均間隔を小さくするためには、後述する好ましい製造条件の通り、上記結晶粒内のMg2Si 析出物制御だけではなく、これに加えて、曲げ加工されるまでの、室温での時効硬化の抑制を行うことが好ましい。
【0034】
したがって、以上説明した通り、Al-Mg-Si系Al合金板の分野では、これまで、本発明で規定する、結晶粒内のMg2Si 析出物平均間隔およびすべり帯組織平均間隔と、曲げ加工 (フラットヘム加工) との関係については、従来から必ずしも明らかではなく、むしろ不明であったことが分かる。また、以上説明した、本発明組織による曲げ加工性向上の機構は、これまでの曲げ加工性向上の機構とは違う特徴的なものであることが分かる。
【0035】
本発明ではこのような優れた曲げ加工性向上効果を有する。このため、曲げ加工性向上の要求が厳しく、かつ室温で時効硬化しやすく曲げ加工に不利な過剰Si型6000系Al合金板に適用されの過剰Si型6000系Al合金板の組成を、Si:0.4〜1.3%、Mg:0.2〜1.2%、Mn:0.01 〜0.65% 、Cu:0.001〜1.0%を含み、かつSi/Mg が質量比で1 以上であり、残部Alおよび不可避的不純物からなるものと規定する。
【0036】
また、上記結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔制御や、Al合金板がプレス成形によってパネル化される際のオレンジピール不良などの肌荒れを防止するためには、請求項3 の通り、Al合金板の結晶粒径を50μm 以下とすることが好ましい。
【0037】
本発明Al合金板は、従来のように、Al合金板の0.2%耐力を140MPa以下の低強度とせずとも、特にフラットヘムなどの曲げ加工性やプレス成形性が優れる。この結果、請求項4 のように、Al合金板の0.2%耐力を140MPa以上の高強度にすることができ、成形後の塗装焼き付け工程などを用いた170 ℃×20分の低温人工時効硬化処理でも、180MPaを越えるような高強度のパネルを得ることができる。
【0038】
また、本発明Al合金板は、請求項5 のように、Al合金板の伸びが15% 以下と、前記高強度となって延性が低下した場合でも、通常のAl合金板とは相違して、特にフラットヘムなどの曲げ加工性やプレス成形性が優れる。したがって、延性を向上させるような特別な合金元素の含有や製造条件の付加が不要である。
【0039】
前記すべり帯組織同士の平均間隔を小さくするための、曲げ加工されるまでの、室温での時効硬化の抑制のためには、請求項6 のように、Al合金板が溶体化および焼き入れ処理後に、適切な条件で時効処理されていることが好ましい。
【0040】
本発明は以上のような効果を有するため、請求項7 のように、曲げ加工がフラットヘム加工である厳しい条件の場合に適用されて好ましい。
【0041】
この厳しい条件の一つは、請求項8 のように、Al合金板のアウタパネルとしての板厚が0.5mm 以上であり、板厚が1.3mm 以下のインナパネルAl合金板に対し、フラットヘム加工されるような場合である。
【0042】
更に、このフラットヘム加工が行われる代表的な用途としては、請求項9 のように、自動車の外板であり、本発明Al合金板は、このような自動車のアウタパネルに適用されて好適である。
【0043】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明Al合金板の組織の要件につき、以下に説明する。
本発明では、特にフラットヘムなどの曲げ加工性の向上のために、Al-Mg-Si系Al合金板において、まず、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔を40nm以上とする。これによって、曲げ加工の際の転位によって形成されるすべり帯組織同士の平均間隔を小さくする効果と相まって、転位のすべり形態が従来のせん断機構からオロワン機構に変化し、前記粗いすべり帯組織の形成を困難とし、すべり帯組織による析出粒子や粒界析出物などへの応力集中を緩和し、曲げ加工性を向上させる。
【0044】
図1 に、Al-Mg-Si系Al合金板の結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔 (横軸、単位nm) と、フラットヘム加工性 (縦軸) との関係を示す。図1 は、後述する実施例の結果を前記観点から選択整理し直したものである。なお、図1 において、フラットヘム加工性は、5 段階評価の数値で表わされており、数値が少ない方が加工性に優れる。また、数値で3 以上が実際にフラットヘム加工可能で、数値で2 、1 となるほど加工性が優れ、数値で4 、5 となるほど、ヘム部の割れが生じるとともに大きくなる。
【0045】
図1 から分かる通り、フラットヘム加工性は、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔が40nmの部分で大きく優劣が分かれる。即ち、Mg2Si 析出物平均間隔が40nm未満の領域は、加工性評価が、割れなどが生じている4 、5 レベルであり、実質的に曲げ加工できない領域である。これに対し、本発明で規定するMg2Si 析出物平均間隔が40nm以上の領域は、曲げ加工性の評価が2 レベルであり、割れなどを生じずに曲げ加工できる領域である。したがって、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔が40nmの部分に、フラットヘムなどの曲げ加工性の点から、臨界的な意義があることが分かる。
【0046】
本発明における、Al合金板の結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔測定方法につき説明する。Al合金板から測定用試料を採取し、透過型電子顕微鏡(TEM) を用いて、{100 }面を観察面とし、倍率300000倍で、[001] 方向に析出した直径1nm 以上の各Mg2Si 析出物の間隔を測定した。図4に、この倍率でのAl-Mg-Si系Al合金板結晶粒内のMg2Si 析出物を示す。図4はAl合金板結晶粒内のミクロ組織写真を図面化したものである。なお、図4において、Mg2Si 析出物は、黒点状あるいは黒棒状として観察されるが、測定対象は、[001] 方向に析出した黒点状のもののみである。Mg2Si 析出物間隔の測定は、同一の試料において4 視野実施して (合計観察面積0.16μm2) その平均値を求めた。Mg2Si 析出物間隔自体は、画像解析により、前記各視野における前記直径1nm 以上のMg2Si 析出物の測定個数から、析出物の分布密度を求めて算出した。
【0047】
次に、本発明では、Al合金板表面の結晶粒内のすべり帯組織であって、Al合金板に5%の引張歪みを与えた際に生じる、すべり帯組織同士の平均間隔を1.5 μm 以下とする。このように、曲げ加工の際の転位によって形成されるすべり帯組織同士の平均間隔を小さくすることで、前記粗いすべり帯組織による析出粒子や粒界析出物などへの応力集中を緩和する。即ち、曲げ加工時の転位のすべり形態を前記した析出粒子や粒界析出物などをせん断しないオロワン機構へと変化し、曲げ加工性が向上する。
【0048】
図2 に、Al-Mg-Si系Al合金板表面の結晶粒内のすべり帯組織(5% の引張歪みを与えた際に生じるすべり帯組織) の平均間隔 (横軸、単位μm)と、フラットヘム加工性 (縦軸) との関係を示す。図2 は図1 と同じく、後述する実施例の結果を選択整理し直したものである。また、図2 のフラットヘム加工性評価基準は、図1 のそれと同じである。
【0049】
図2 から分かる通り、フラットヘム加工性は、すべり帯組織同士の平均間隔が1.5 μm の部分で大きく優劣が分かれる。即ち、すべり帯組織同士の平均間隔が1.5 μm を越えた場合、加工性評価が4 、5 レベルであり、実質的に曲げ加工できない。これに対し、本発明で規定するすべり帯組織同士の平均間隔が1.5 μm 以下の領域では、曲げ加工性の評価が2 レベルであり、良好に曲げ加工できる。したがって、すべり帯組織同士の平均間隔が1.5 μm の部分に、フラットヘムなどの曲げ加工性の点から、臨界的な意義があることが分かる。
【0050】
すべり帯組織平均間隔の測定方法につき説明する。対象となるAl合金板から試料を採取し、採取試料に予め5%の引張歪みを与える。実際のパネル用途における曲げ加工時に生成するすべり帯組織平均間隔の大小は、この5%の引張歪みによって形成されるすべり帯組織平均間隔の大小と最も相関がある。したがって、本発明では、前記曲げ加工の際に生成するすべり帯組織の平均間隔の大小を簡易に評価するための基準値乃至条件として、引張歪み5%の値を選択する。
【0051】
この引張歪みは通常の引張試験に準じて行い付与する。即ち、Al合金板採取試料を、試験片長手方向が圧延方向と一致するように、JIS 5 号試験片形状に作製した。そして、JIS の引張試験 Z 2201 にしたがい、クロスヘッド速度5mm/分で、試験片に対し一定の速度で5%の引張歪みを付与し、すべり帯組織を生成させる。
【0052】
なお、引張歪みを付与する前に、試料表面 (元のAl合金板表面に相当する面) を電解エッチングする前処理を施す。そして、前記引張歪みを付与後、走査型電子顕微鏡(SEM) を用いて、試料表面を倍率10000 倍で観察し、各結晶粒内に、多数生じている平行なすじ状模様として観察される、すべり帯組織同士 (すじ状模様同士) の間隔を測定する。図3に、この倍率で撮影したAl合金板表面のミクロ組織写真を図面化したものを示す。図3において観察される、各結晶粒内に多数生じている平行なすじ状模様がすべり帯組織である。これらのすべり帯組織同士 (すじ状模様同士) の間隔の測定は、視野内の全結晶粒 (種々の方位を有する) について行う。また、同一の試料において複数視野実施して、結晶粒の数で合計10個以上につき間隔を測定し、その平均値を求める。なお、各結晶粒内のすべり帯組織同士の間隔自体は画像解析により算出する。
【0053】
次に、本発明では、また、Al合金板の結晶粒径を50μm 以下とすることが好ましい。結晶粒径をこの範囲に細かく乃至小さくすることによって、フラットヘムなどの曲げ加工性やプレス成形性などが確保乃至向上される。結晶粒径が50μm を越えて粗大化した場合、曲げ加工性やプレス成形性が低下し、曲げ部分での割れなどの不良や、プレス成形時の肌荒れなどの不良が生じ易い。
【0054】
なお、ここで言う結晶粒径とは板の圧延(L) 方向の結晶粒の平均径である。この結晶粒径を、Al合金板を0.05〜0.1mm 機械研磨した後電解エッチングした表面を、光学顕微鏡を用いて観察し、前記L 方向に、ラインインターセプト法で測定する。1 測定ライン長さは0.95mmとし、1 視野当たり各3 本で合計5 視野を観察することにより、全測定ライン長さを0.95×15mmとした。
【0055】
次に、本発明Al合金板の化学成分組成の実施形態につき、以下に説明する。
本発明Al合金板の基本組成は、Al-Mg-Si系(6000 系)Al 合金とする。Al-Mg-Si系(6000 系)Al 合金の範囲でなければ、本発明の上記組織規定とはならず、また、上記組織規定の意義(効果) が発揮されない。
【0056】
また、上記組織の規定や、パネルとしての必要諸特性を確保するために、Si:0.4〜1.3%、Mg:0.2〜1.2%、Mn:0.01 〜0.65% 、Cu:0.001〜1.0%を含み、かつSi/Mg が質量比で1 以上とした過剰Si型とAl-Mg-Si系Al合金とすることが好ましい。そして、上記組織の規定や諸特性を確保するために、より厳密には、前記規定各成分以外の残部を、Alおよび不可避的不純物とすることが好ましい。なお、本発明での化学成分組成の% 表示は、前記請求項の% 表示も含めて、全て質量% の意味である。
【0057】
なお、上記合金元素以外の、Cr、Zr、Ti、B 、Fe、Zn、Ni、V など、その他の合金元素は、基本的には不純物元素である。しかし、リサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金やその他のAl合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として使用して、本発明Al合金組成を溶製する場合には、これら他の合金元素は必然的に含まれることとなる。したがって、本発明では、目的とする本発明効果を阻害しない範囲で、これら他の合金元素が含有されることを許容する。
【0058】
各元素の含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に説明する。
Si:0.4〜1.3%。
SiはMgとともに、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記低温での人工時効処理時に、GPゾーンなどの相を形成して、時効硬化能を発揮し、自動車のアウタパネルなどとして必要な、例えば170MPa以上の必要強度を得るための必須の元素である。また、上記組織規定による結晶粒内のMg2Si 析出物を得るための必須の元素である。したがって、Siは、本発明6000系Al合金板にあって、プレス成形性、フラットヘムなどの曲げ加工性などの諸特性を兼備させるための最重要元素である。
【0059】
また、パネルへの成形後の低温塗装焼き付け処理後(2% ストレッチ付与後170 ℃×20分の低温時効処理時) の耐力を170MPa以上という、優れた低温時効硬化能を発揮させるためにも、Si/Mg を質量比で1.0 以上とし、SiをMgに対し過剰に含有させた過剰Si型6000系Al合金組成とすることが好ましい。
【0060】
Si量が0.4%未満では、前記時効硬化能、更には、各用途に要求される、プレス成形性、曲げ加工性などの諸特性を兼備することができない。一方、Siが1.3%を越えて含有されると、特に曲げ加工性やプレス成形性が著しく阻害される。更に、溶接性を著しく阻害する。したがって、Siは0.4 〜1.3%の範囲とする。なお、アウタパネルなどでは、フラットヘム加工性が特に重視されるため、プレス成形性とともにフラットヘム加工性をより向上させるために、Si含有量を0.6 〜1.2%と、より低めの範囲とすることが好ましい。
【0061】
Mg:0.2〜1.2%。
Mgは、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記人工時効処理時に、SiとともにGPゾーンなどの相を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルとして、例えば170MPa以上の必要強度を得るための必須の元素である。また、上記組織規定による結晶粒内のMg2Si 析出物を得るための必須の元素である。
【0062】
Mgの0.2%未満の含有では、絶対量が不足するため、人工時効処理時に前記相を形成できず、時効硬化能を発揮できない。このためパネルとして必要な170MPa以上の必要強度が得られない。
【0063】
一方、Mgが1.2%を越えて含有されると、プレス成形性や曲げ加工性等の成形性が著しく阻害される。したがって、Mgの含有量は、0.2 〜1.2%の範囲で、かつSi/Mg が質量比で1.0 以上となるような量とする。また、フラットヘム加工性をより向上させるために、Si含有量を前記0.6 〜1.2%のより低めの範囲とする場合には、これに対応して過剰Si型6000系Al合金組成とするために、Mg含有量も0.2 〜0.7%と低めの範囲とすることが好ましい。
【0064】
Cu:0.001〜1.0%
Cuは、本発明の比較的低温短時間の人工時効処理の条件で、Al合金材組織の結晶粒内へのGPIIやβ" 相析出を促進させる効果がある。また、時効処理状態で固溶したCuは成形性を向上させる効果もある。Cu含有量が0.001%未満ではこの効果がない。一方、1.0%を越えると、耐応力腐食割れ性や、塗装後の耐蝕性の内の耐糸さび性、また溶接性を著しく劣化させる。このため、耐食性が重視される構造材用途などの場合には0.8%以下、自動車外板用などのパネル用途などの場合には、耐糸さび性の発現が顕著となる0.1%以下の量とすることが好ましい。
【0065】
Mn:0.01 〜0.65%
Mnには、均質化熱処理時に分散粒子 (分散相) を生成し、これらの分散粒子には再結晶後の粒界移動を妨げる効果があるため、微細な結晶粒を得ることができる効果がある。前記した通り、本発明Al合金板のプレス成形性やヘム加工性はAl合金組織の結晶粒が微細なほど向上する。この点、Mn含有量が0.01% 未満ではこれらの効果が無い。
【0066】
一方、Mn含有量が多くなった場合、溶解、鋳造時に粗大なAl-Fe-Si-(Mn、Cr、Zr) 系の金属間化合物や晶析出物を生成しやすく、Al合金板の機械的性質を低下させる原因となる。また、特に、前記複雑形状や薄肉化、あるいはインナパネル端部とアウタパネル縁曲部内面との間の隙間の存在などによって、加工条件が厳しくなったフラットヘム加工では、Mn含有量が0.15% を越えた場合、ヘム加工性が低下する。このため、Mnは含有させる場合は0.01〜0.65% の範囲とし、加工条件が厳しくなったフラットヘム加工では、より好ましくは0.01〜0.15% の範囲とする。
【0067】
Cr 、Zr。
これらCr、Zrの遷移元素には、Mnと同様、均質化熱処理時に分散粒子 (分散相) を生成し、微細な結晶粒を得ることができる効果がある。しかし、Cr、Zrも、各々0.15% を越える含有では、前記加工条件が厳しくなったフラットヘム加工ではヘム加工性が低下する。したがって、Cr、Zrの含有量も各々0.15% 以下に規制することが好ましい。
【0068】
Ti 、B 。
Ti、B は、Ti:0.1% 、B:300ppmを各々越えて含有すると、粗大な晶出物を形成し、成形性を低下させる。但し、Ti、B には微量の含有で、鋳塊の結晶粒を微細化し、プレス成形性を向上させる効果もある。したがって、Ti:0.1% 以下、B:300ppm以下までの含有は許容する。
【0069】
Fe。
溶解原料から混入して、不純物として含まれるFeは、Al7Cu2Fe、Al12(Fe,Mn)3Cu2 、(Fe,Mn)Al6などの晶出物を生成する。これらの晶出物は、Feが0.10% 以上含まれた場合に、再結晶粒の核となり、結晶粒の粗大化を阻止して、結晶粒を50μm 以下の微細粒とする役割を果たす。しかし、一方で、これらの晶出物は、破壊靱性および疲労特性、更には、前記加工条件が厳しくなったフラットヘム加工性およびプレス成形性を著しく劣化させる。これらの劣化特性は、Feの含有量が0.50% を越えると顕著になるため、Feの含有量 (許容量) は、0.10〜0.50% とすることが好ましい。
【0070】
Zn。
Znは0.5%を越えて含有されると、耐蝕性が顕著に低下する。したがって、Znの含有量は好ましくは0.5%以下のできるだけ少ない量とすることが好ましい。
【0071】
本発明Al合金板が主として意図する曲げ加工は、特にフラットヘムなどのヘム加工である。しかし、本発明Al合金板は前記した厳しい条件であるフラットヘム加工性に優れるので、それよりも一段緩い条件である前記ロープヘムなどのヘム加工や、板の90°曲げ加工、ハット型形状への曲げ加工などの加工性にも当然優れる。このため、フラットヘムだけでなく、他の板の曲げ加工も本発明の対象とする。
【0072】
この内、ヘム加工についても、前記した、ダウンフランジ工程、プリヘム工程、フラットヘム乃至ロープヘム工程により行われる通常のヘム加工だけでなく、最終的にヘムが形成されるものであれば、ローラーヘムなど、工程や工程条件が異なるものもヘム加工として対象とするし、適用可能である。
【0073】
本発明Al合金板は、前記した通り、アウタパネルとして板厚が0.5mm 以上のものが好ましく、板厚が1.5mm 以下、特に1.0mm 以下の薄いインナパネルAl合金板に対して加工されるような厳しい、特にフラットヘムなどのヘム加工に適用されて好ましい。Al合金板のアウタパネルとしての板厚がこれより薄く、Al合金インナパネルの板厚がこれより厚いものでは、ヘム加工することは比較的容易となる。
【0074】
本発明では、前記した通り、従来のように、Al合金板の0.2%耐力を140MPa以下の低強度とせずとも、特にフラットヘムなどのヘム加工性やプレス成形性が優れる。この結果、Al合金板の0.2%耐力を140MPaを越える高強度にすることができ、成形後の塗装工程などにおける170 ℃×20分の低温人工時効硬化処理でも、180MPaを越えるような高強度のパネルを得ることができる。ただ、このような高強度が必要ない場合には、ヘム加工されるAl合金板の耐力を110 〜140MPaの範囲としても良い。
【0075】
(製造方法)
以上の本発明Al合金板の製造方法について説明する。
本発明Al合金板組織を得るためには、上記成分組成などの他に、好ましい製造条件がある。また、パネルとしての必要諸特性を確保するために、好ましい製造条件もあるので以下に説明する。
【0076】
先ず、溶解、鋳造工程では、本発明成分規格範囲内に溶解調整されたAl合金溶湯を、連続鋳造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。
【0077】
次いで、このAl合金鋳塊に均質化熱処理を施した後、熱間圧延、冷間圧延を行い、コイル状、板状などの板形状に加工する。その際、必要により、圧延間やパス間で焼鈍などを施す。
【0078】
本発明Al合金板組織を得るためには、先ず、冷間圧延の圧下率を50% 以上と高くすることが好ましい。冷間圧延での圧下率をこのように高くすることで、結晶粒径を50μm 以下と細かくでき、曲げ加工性やプレス成形性などが確保乃至向上される。また、後述する調質処理において、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔を40nm以上に大きくし、かつ、Al合金板表面の結晶粒内のすべり帯組織同士の平均間隔を1.5 μm 以下と小さくするためにも好ましい。冷間圧延の圧下率50% 未満では、結晶粒径が粗くなり、また、上記本発明で規定する組織規定から外れる可能性がある。一方、冷間圧延での圧下率が高くなるほど、耳割れが生じるなど加工自体が困難となるので、圧下率の上限は95% 程度とするのが好ましい。
【0079】
冷間圧延後のAl合金板は、調質処理として、先ず、必須に溶体化および焼入れ処理される。溶体化および焼入れ処理は、後の塗装焼き付け硬化処理などの人工時効硬化処理によりGPゾーンやβ" 相などの相を十分粒内に析出させるために重要な工程である。この効果を出すための溶体化処理条件は、530 〜550 ℃の温度範囲で行うのが好ましい。
【0080】
従来、フラットヘム加工性が特に重視されるパネル用の場合には、あるいは前記厳しいフラットヘム加工条件用の場合には、前記溶体化処理温度を500 〜530 ℃のより低温側としていた。しかし、本発明では、前記した通り、従来のように、Al合金板の0.2%耐力を140MPa以下の低強度とせずとも、特にフラットヘムなどのヘム加工性やプレス成形性が優れる。
【0081】
このため、溶体化処理温度を530 〜550 ℃の範囲の高温側で行い、Al合金板の0.2%耐力を140MPaを越える高強度にして、後の板成形後のパネルの人工時効硬化処理によりGPゾーンやβ" 相などの相を十分粒内に析出させるようにし、成形後の塗装工程などにおける170 ℃×20分の低温人工時効硬化処理でも、180MPaを越えるような高強度のパネルとすることが好ましい。
【0082】
溶体化処理後の焼入れの際、冷却速度は50℃/ 分以上の急冷とすることが好ましい。上記急冷とすることで、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔を40nm以上に大きくし、かつ、Al合金板表面の結晶粒内のすべり帯組織同士の平均間隔を1.5 μm 以下と小さくすることが保証される。
【0083】
一方、冷却速度が50℃/ 分未満の遅い場合には、結晶粒内のMg2Si 析出物が粗大となって、析出物の平均間隔を40nm以上にできない可能性が高い。また、Al合金板表面の結晶粒内のすべり帯組織同士の平均間隔を1.5 μm 以下と小さくすることも困難となる。更に、焼入れ後の強度が低くなり、時効硬化能が不足し、後の塗装焼き付け硬化処理などの、特に170 ℃×20分の低温での人工時効処理により、170MPa以上の高耐力を確保できない。
【0084】
また、粒界上にSi、MgSiなどが析出しやすくなり、プレス成形やフラットヘム加工時の割れの起点となり易く、これら成形性が低下する。この冷却速度を確保するために、焼入れ処理は、ファンなどの空冷でもよいが冷却速度が遅くなる可能性が大きく、ミスト、スプレー、浸漬等の水冷手段から選択して行うことが好ましい。
【0085】
溶体化焼入れ処理後、室温時効の原因となるクラスターの生成を抑制するために、予備時効処理をすることが好ましい。即ち、50〜100 ℃、好ましくは60〜90℃の温度範囲に、1 〜24時間の必要時間保持することが好ましい。また、予備時効処理後の冷却速度は、1 ℃/hr 以下であることが好ましい。
【0086】
この予備時効処理として、溶体化処理後の焼入れ終了温度を50〜100 ℃と高くした後に、直ちに再加熱乃至そのまま保持して行う。あるいは、溶体化処理後常温までの焼入れ処理の後に、直ちに50〜100 ℃に再加熱して行う。
【0087】
また、連続溶体化焼入れ処理の場合には、前記予備時効の温度範囲で焼入れ処理を終了し、そのままの高温でコイルに巻き取るなどして行う。なお、コイルに巻き取る前に再加熱しても、巻き取り後に保温しても良い。また、常温までの焼入れ処理の後に、前記温度範囲に再加熱して高温で巻き取るなどしてもよい。
【0088】
更に、室温時効抑制のために、前記予備時効処理後に、亜時効処理を行い、より安定な相を生成させることも好ましい。亜時効処理は、好ましくは、80〜120 ℃で1 〜24時間程度、冷却速度を1 ℃/hr 以下、で行う。なお、前記予備時効処理条件を上記亜時効処理条件範囲として、両者の処理を兼ねる乃至両者を連続させても良い。
【0089】
溶体化および焼入れ処理後に、前記予備時効処理と亜時効処理などを併用することで、Al合金材の組織を、GPIIが無い乃至少ない、主として、安定なGPII、β" 相と過飽和固溶体からなるミクロ組織とすることが出来る。このミクロ組織は前記した通り、室温での時効硬化が起きにくいという優れた特性を有する。その一方で、このミクロ組織は、170 ℃×20分の低温時効硬化処理条件など、その後の焼き付け塗装などの加熱 (時効処理) 温度が低くても、β" 相の核生成サイトとなり、低温時効処理能が高いという優れた特性も有する。
【0090】
本発明Al合金板における、すべり帯組織同士の平均間隔を1.5 μm 以下と小さくしたAl合金板組織を得るためには、溶体化焼入れ処理後、あるいは必要により更に上記予備時効処理や亜時効処理を施した後、例えば190 〜210 ℃×2 〜24時間の条件で、過時効処理を施すことが好ましい。過時効処理によって、Al合金板の上記すべり帯組織を得ることが保証される。
【0091】
但し、上記過時効処理条件範囲であっても、Al合金の成分組成やそれまでの製造条件によっては、すべり帯組織が粗くなり、上記間隔条件を満たさなくなる場合が多々ある。したがって、上記過時効処理条件によって、すべり帯組織同士の平均間隔を小さくするためには、前記した好ましいAl合金の成分組成や製造条件を採用して製造した上で、上記過時効処理条件とすることが好ましい。
【0092】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。表1 に示す、Al-Mg-Si系の各成分組成のAl合金板について、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔とすべり帯組織同士の平均間隔を種々の値に制御するため、表2 に示すように、特に、冷間圧延の圧下率、溶体化処理温度と焼き入れの際の冷却速度、過時効処理条件などを変えて、厚さ1.0mm のAl合金板を作成した。
【0093】
上記製造以外のAl合金板の製造条件は、冷間圧延の圧下率を変化させるための熱間圧延板の板厚を除き、ほぼ同じ条件で行った。即ち、表1 に示す各組成範囲の400mm 厚の鋳塊を、DC鋳造法により溶製後、540 ℃×4 時間の均質化熱処理を施し、終了温度300 ℃で厚さ2.0 〜5mmtまで熱間圧延した。この熱間圧延板を、更に、厚さ1.0mm まで、圧下率を50〜80% まで変えて冷間圧延した。
【0094】
これら冷延板を以下の条件で調質処理した。先ず、各試験片サイズに切断後、塩浴炉に投入し、各試験片を530 〜550 ℃で溶体化処理し、70℃の温水に焼入れする処理を行った 。その後、上記焼入れ後に、70〜90の温度で保持する予備時効乃至亜時効処理 (保持後は冷却速度0.6 ℃/hr で徐冷) を、選択的に行った。これらの条件を表2 に示す。
【0095】
これらのAl合金板から試験用の幅50mm×長さ50mmの供試板 (ブランク) を複数枚切り出し、Al合金板の室温時効を考慮して、前記調質処理後 4カ月間 (120 日間) の室温時効後の各供試板の特性を調査および評価した。調査した供試板の特性は、前記した測定条件での、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔(nm)、Al合金板表面の結晶粒内のすべり帯組織同士の平均間隔 (μm)、結晶粒径 (μm)、更に後述する測定条件での、耐力 (σ0.2)、ヘム加工性である。
【0096】
これらの結果を表3 に示す。なお、表3 は、Al合金板結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔が40nm以上である場合と、Al合金板表面の結晶粒内のすべり帯組織同士の平均間隔が1.5 μm 以下である場合を〇、この範囲より外れた場合を×として表現している。なお、発明例、比較例とも、Al合金板の結晶粒径は全て50μm 以下の20〜30μm の範囲であった。
【0097】
前記引張試験はJIS Z 2201にしたがって行うとともに、試験片形状はJIS 5 号試験片で行い、試験片長手方向が圧延方向と一致するように作製した。したがって、各供試板の引張強さ (σB ) 、耐力 (σ0.2)、伸びは圧延方向に平行なL 方向の測定とした。また、クロスヘッド速度は5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。また、低温時効処理能は、前記室温時効後の供試板を、2%の歪みを予め与えて170 ℃×20分の低温人工時効硬化処理し、各供試板の耐力 (σ0.2)を上記方法で測定した。
【0098】
また、室温時効したAl合金板を自動車パネルとしてヘム加工されることを模擬して、前記室温時効後の供試板を成形試験した。より具体的には、フラットヘム加工試験を行い、曲げ加工性を評価した。これらの結果を表3 に示す。
【0099】
フラットヘム加工試験は以下の通りとした。前記ブランク (前記室温時効後の供試板) に対し、まず、自動車のアウタパネルの成形加工を模擬して、10% の歪みを予め与えた。そして、ブランクのフラットヘム加工代 (ヘム加工後のアウタパネルブランクの、内側に折り曲げられた端部から折り曲げ部の端部までの距離) を12mmとして、一方の長手方向端部の幅方向全面をダウンフランジ工程によって、90度の角度となるまで折り曲げた。この際、Al合金パネルの90°曲げ半径は0.8 とした。次に、プリヘム工程によって、ブランクの縁を更に135 °の角度まで内側に折り曲げた。
【0100】
その後、厳しいフラットヘム加工条件を模擬して、敢えてインナパネル用Al合金板を前記ブランク (アウタパネル) の折り曲げ部に挿入せずに、前記ブランク折り曲げ部を内側に180 度折り曲げ、折り曲げ部を前記ブランクに密着させるフラットヘム加工を行った。なお、ブランクは、その長手方向が板の圧延方向と一致するように作製した。
【0101】
そして、このフラットヘムの縁曲部の、肌荒れ、微小な割れ、大きな割れの発生などの表面状態を目視観察した。評価は、1;肌荒れや微小な割れも無く良好、2;肌荒れが発生しているものの、微小なものを含めた割れはない、3;微小な割れが発生、4;大きな割れが発生、5;大きな割れが複数乃至多数発生、の5 段階の評価をした。この評価として、ヘム加工性が良好 (使用可) と判断されるのは1 〜2 段階までで、3 段階以上はヘム加工性が劣る (使用不可) と判断される。
【0102】
表1 〜3 から明らかな通り、Al合金板結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔が40nm以上であり、かつ、Al合金板表面の結晶粒内のすべり帯組織同士の平均間隔が1.5 μm 以下である、発明例1 〜10は、フラットヘム加工性に優れている。この実施例の結果は、アウタパネルのヘム加工部位形状の複雑化やインナーパネルの薄板化など、前記した厳しい条件でのフラットヘム加工でも、十分加工できることを示している。また、発明例4 、8 を除く発明例は、伸びが15% 以下と低い値であっても、優れたフラットヘム加工性を示しており、伸びの値にかかわらずフラットヘム加工性が向上する点で、従来の技術常識とは異なる、本発明の特異かつ顕著な効果が分かる。
【0103】
一方、発明例と同じAl合金組成であっても、Al合金板結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔か、Al合金板表面の結晶粒内のすべり帯組織同士の平均間隔かの、いずれか、または両方が外れる比較例11、12、13、14、15は、発明例に比して、フラットヘム加工性が著しく劣っている。
【0104】
以上の結果から、良好なフラットヘム加工性を発揮するための、本発明要件の臨界的な意義が分かる。
【0105】
【表1】
Figure 0003766334
【0106】
【表2】
Figure 0003766334
【0107】
【表3】
Figure 0003766334
【0108】
【発明の効果】
本発明によれば、特にフラットヘムなどの曲げ加工に優れ、プレス成形性、低温での人工時効硬化能など、他の要求特性も兼備したAl-Mg-Si系Al合金板を提供することができる。したがって、Al-Mg-Si系Al合金板のパネル用途への拡大を図ることができる点で、多大な工業的な価値を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Al-Mg-Si系Al合金板の結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔と、フラットヘム加工性との関係を示す説明図である。
【図2】図2 に、Al-Mg-Si系Al合金板表面の結晶粒内のすべり帯組織同士の平均間隔と、フラットヘム加工性との関係を示す説明図である。
【図3】 Al-Mg-Si系Al合金板表面の結晶粒内のすべり帯組織を示し、Al合金板表面のミクロ組織写真を図面化した説明図である。
【図4】 Al-Mg-Si系Al合金板結晶粒内のMg2Si 析出物を示し、Al合金板表面のミクロ組織写真を図面化した説明図である。

Claims (8)

  1. 質量 % で、 Si:0.4 1.3% Mg:0.2 1.2% Mn:0.01 0.65% Cu:0.001 1.0% を含み、かつ Si/Mg が質量比で 1 以上であり、残部 Al および不可避的不純物からなるAl-Mg-Si系アルミニウム合金板において、結晶粒内のMg2Si 析出物の平均間隔が40nm以上であり、かつ、アルミニウム合金板表面の結晶粒内のすべり帯組織であって、アルミニウム合金板に5%の歪みを与えた際に生じるすべり帯組織同士の平均間隔が1.5 μm 以下であることを特徴とする曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
  2. 前記アルミニウム合金板の結晶粒径が 50 μ m 以下である請求項1に記載の曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
  3. 前記アルミニウム合金板の曲げ加工される際の 0.2% 耐力が 140MPa 以上である請求項1または2に記載の曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
  4. 前記アルミニウム合金板の伸びが 15% 以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
  5. 前記アルミニウム合金板が溶体化および焼き入れ処理後に時効処理されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
  6. 前記曲げ加工がフラットヘム加工である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
  7. 前記アルミニウム合金板のアウタパネルとしての板厚が 0.5mm 以上であり、板厚が 1.3mm 以下のインナパネルアルミニウム合金板に対し、フラットヘム加工されるものである請求項6に記載の曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
  8. 前記アルミニウム合金板が自動車外板用である請求項7に記載の曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板。
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