JP2007077472A - 成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 曲げ加工性を劣化させること無く、優れた伸びフランジ性を有するAl合金板と、このAl合金板を確実に得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 Si:0.1〜2.5%、Mg:0.1〜3.0%を含み、残部がAlおよび不純物からなるアルミニウム合金板であって、このアルミニウム合金板の打ち抜き試験によって設けた円形穴壁面のせん断面率が50%以上であるとともに、1 μm 以上のMg-Si 系化合物の面積率が0.15%以下であり、更に、このアルミニウム合金板の耐力が135MPa以上であることとし、伸びフランジ性などの成形性に優れたものとする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高強度でかつ成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法に関し、曲げ加工性を劣化させること無く、優れた伸びフランジ性を有するアルミニウム合金板と、このアルミニウム合金板を確実に得ることのできる製造方法に関するものである。本発明アルミニウム合金板は、特に、伸びフランジ性が要求されるフランジ部を有する成形パネル用に適している。
本発明で言うアルミニウム合金板とは、冷延板を溶体化処理した後のアルミニウム合金板を言う。また、以下、アルミニウムを単にAlとも言う。
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。このため、特に、自動車の車体に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、圧延板や押出形材、あるいは鍛造材など、より軽量なAl合金材の適用が増加しつつある。
この内、自動車のフード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体の、アウタパネル (外板) やインナパネル(内板) 等のパネルには、高強度なAl-Mg-Si系のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に6000系と言う) のAl合金板の使用が検討されている。
6000系Al合金板は、基本的には、Si、Mgを必須として含み、優れた時効硬化能を有しているため、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効( 硬化) 処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、必要な強度を確保できるBH性 (ベークハード性、人工時効硬化能、塗装焼付硬化性) がある。
また、6000系Al合金板は、Mg量などの合金量が多い、他の5000系のAl合金などに比して、合金元素量が比較的少ない。このため、これら6000系Al合金板のスクラップを、Al合金溶解材 (溶解原料) として再利用する際に、元の6000系Al合金鋳塊が得やすく、リサイクル性にも優れている。
ただし、6000系Al合金板は、5000系Al合金板に比べてプレス成形性が良くないため、改善策としてMgやSi以外の第三、四元素を添加し、或いは合金元素の添加に併せて結晶粒径や晶析出物の分散状態を制御する方法が試みられてきた。
しかしこれらの方法でも、近年ますます厳しさを増している需要者の要望を満たすまでには至っておらず、更なるプレス成形性の向上が求められている。
プレス成形性の向上のために、6000系Al合金板の伸びフランジ性を改善することが従来から提案されている。例えば、穴拡げ率λ60%以上を確保する為に、板の r値の異方性を以下の条件で規定することが提案されている(特許文献1参照)。 r≦-0.722×Δr+0.5739 [ここで、r=1/4 ×(r0+2r45+r90) 、Δr=1/2 ×(r0+r90-2r45) を意味する] 。このような組織を得るために、特許文献1は、熱延後で冷延前に、昇温速度100 ℃/min以上、温度450 ℃以上で焼鈍を行い、この焼鈍後に冷却速度600℃/min以上で冷却している。そして、最終焼鈍前の冷延率を65%以上として冷延している。ただ、この特許文献1によるλは60〜70%程度のレベルである。
また、穴拡げ加工用アルミニウム合金板として、打ち抜き穴内表面より1mmの範囲内での、後述する硬化率を20%以下とすることが提案されている(特許文献2参照)。硬化率(%)=(打ち抜き穴加工部の硬さ-母材部の硬さ)×100/母材の硬さ。このような組織を得るために、特許文献2では、打ち抜き穴部を、加熱炉、誘導加熱、高温体接触及びバーナー加熱などで、200〜600℃×2 時間以下の加熱を行なっている。
更に、穴拡げ加工用アルミニウム合金圧延板及びその製造方法として、Mg量5.5〜9.5wt.%、Cu量0.3〜1.5wt.% を各々含有し、圧延方向と平行方向の結晶粒径が100μm以下、圧延方向と平行方向の平均結晶粒径/板圧方向の平均結晶粒径が2以下とすることが提案されている(特許文献3参照)。このような組織を得るために、特許文献3では、以下の式で規定した温度で熱間圧延を行った後、1回または中間焼鈍を挟んだ2回の冷延を施し、さらに最終冷延の冷延率は20%以上としている。熱延温度(℃)=凝固開始温度(℃)-25×Mg量(wt.%)+15×Cu量(wt.%)+10×Zn量(wt.%)。ただ、この特許文献3によるλの最大値は67%程度である。
一方、6000系Al合金板の曲げ加工性を改善することも従来から提案されている。例えば、Mg-Si系化合物の最大径が10μm以上、2〜10μm径の化合物数が1000個/mm2以下とし、内側限界曲げ半径が0.5mm以下とすることが提案されている(特許文献4参照)。このような組織を得るために、特許文献4では、均熱条件は1 回目が450 ℃以上の、2 段階、または2 回の均熱を行なっている。
更に、板の曲げ加工性やヘム加工性を改善する方法としては、6000系Al合金板の集合組織に異方性を持たせる方法が種々提案されている。例えば、板の集合組織を結晶粒方位差によって規定することが提案されている (特許文献5、8参照)。また、Cube方位の強度比、密度などや、 r値の異方性で規定することが提案されている (特許文献6、7、9、10、11、12参照)。
そして、6000系Al合金板の集合組織に異方性を持たせるための製造方法も、上記特許文献5、8などでは、Al合金鋳塊を、500 ℃以上融点未満の温度で均質化処理した後、500 ℃以上の温度から350 〜450 ℃の温度範囲まで冷却して熱間圧延を開始する(2段均熱) か、500 ℃以上の温度から一旦室温まで冷却し、350 〜450 ℃の温度範囲まで再加熱して熱間圧延を開始する(2回均熱) 、段階的な均質化処理方法が提案されている。
また、これに対して、熱間圧延されたAl-Mg-Si系Al合金板を、10〜50% の圧下率で冷間圧延後、210 〜440 ℃の温度で中間焼鈍し、更に70% 以上の圧下率で冷間圧延した後、溶体化および焼入れ処理して、Al合金板の集合組織に異方性を持たせることも提案されている (特許文献13参照)。
特開2003-129156 号公報 (特許請求の範囲) 特開2004-197184号公報( 特許請求の範囲) 特許第3066091号公報 (特許請求の範囲) 特開2002-356730号公報 (特許請求の範囲) 特開2003-171726号公報 (特許請求の範囲) 特開2003-277869 号公報 (特許請求の範囲) 特開2003-277870 号公報 (特許請求の範囲) 特開2003-166029 号公報 (特許請求の範囲) 特開2003-226926 号公報 (特許請求の範囲) 特開2003-226927 号公報 (特許請求の範囲) 特開2003-321723 号公報 (特許請求の範囲) 特開2003-268475 号公報 (特許請求の範囲) 特開2003-321754 号公報 (特許請求の範囲)
前記した伸びフランジ性改善のための一連の従来技術(特許文献1〜3)では、伸びフランジ性は改善されるものの、曲げ加工性の改善が十分ではない。また特許文献2では、打ち抜き穴部の加熱のために、製造コストが増したり、付随設備が必要となったりする。更に、特許文献3は、実質的には5000系合金板であり、6000系Al合金板についての開示が無い。
また、集合組織に異方性を持たせた一連の従来技術(特許文献4〜13)では、6000系Al合金板のCube方位を集積させて、大傾角粒界に比して小傾角粒界の割合を増し、粒界段差を少なく、あるいは生じなくする。この結果、曲げの際に、粒界段差が割れの起点とならず、板の曲げ加工性やヘム加工性を改善できる。
しかし、特許文献4〜13は、共通して、伸びフランジ性の開示が無いとともに、伸びフランジ性の改善が十分ではない。これに対して、前記した自動車パネルの内、ルーフ、サンルーフなどのフランジ部を有する成形パネルには、プレス成形時のフランジ部での割れを防止するために、特に優れた伸びフランジ性が要求される。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、曲げ加工性を劣化させること無く、優れた伸びフランジ性を有するAl合金板と、このAl合金板を確実に得ることのできる製造方法を提供しようとするものである。
この目的を達成するための成形性に優れたアルミニウム合金板の要旨は、質量% で、Si:0.1〜2.5%、Mg:0.1〜3.0%を含み、残部がAlおよび不純物からなるアルミニウム合金板であって、このアルミニウム合金板の下記打ち抜き試験によって設けた円形穴壁面の下記せん断面率が50%以上であるとともに、 1μm 以上のMg-Si 系化合物の面積率が0.15%以下であり、更に、このアルミニウム合金板の耐力が135MPa以上であることとする。
上記打ち抜き試験は、厚さ1mm のアルミニウム合金板に対して、ポンチ:径10.0mmφ- 肩R8mm、ダイス:径10.2mmφ- 肩R8mmのプレスを用いて円形の穴をあける。
上記せん断面率は、上記円形穴壁面の内、圧延方向に対して45°方向部分の壁面を100 倍の光学顕微鏡により写真撮影し、この写真上の任意の5 点の板厚方向に平行なせん断面の長さl を各々測定して、せん断面率= (せん断面長さl/板厚t)×100(%) により算出する各せん断面率を平均化する。
また、上記目的を達成するための成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法の要旨は、上記要旨または後述する好ましい態様のアルミニウム合金板を得る方法であって、質量% で、Si:0.1〜2.5%、Mg:0.1〜3.0%を含み、残部がAlおよび不純物からなるアルミニウム合金鋳塊を、500 ℃以上、融点未満の温度で均質化熱処理後に、一旦200 ℃以下の温度まで冷却して390 〜480 ℃の温度まで再加熱するか、または390 〜480 ℃の温度まで冷却し、いずれもこの温度範囲で保持後に熱間圧延を開始するとともに、熱間圧延の終了温度を170 〜300 ℃として熱延板を製作し、更に、この熱延板を470℃以上の温度で焼鈍を施した後に、100℃/s以上の速度で冷却する処理を行なった後に、冷間圧延を行なって冷延板を製作し、この冷延板を560℃以上の温度で溶体化処理および焼入れ処理し、この処理後のアルミニウム合金板の下記打ち抜き試験によって設けた円形穴壁面の下記せん断面率を50%以上とするとともに、 1μm 以上のMg-Si 系化合物の面積率を0.15%以下とし、更に、このアルミニウム合金板の耐力を135MPa以上とすることである。
上記打ち抜き試験は、厚さ1mm のアルミニウム合金板に対して、ポンチ:径10.0mmφ- 肩R8mm、ダイス:径10.2mmφ- 肩R8mmのプレスを用いて円形の穴をあける。
上記せん断面率は、上記円形穴壁面の内、圧延方向に対して45°方向部分の壁面を100 倍の光学顕微鏡により写真撮影し、この写真上の任意の5 点の板厚方向に平行なせん断面の長さl を各々測定して、せん断面率= (せん断面長さl/板厚t)×100(%) により算出する各せん断面率を平均化する。
本発明者らの知見によれば、6000系アルミニウム合金板の伸びフランジ性 (λ) を評価する穴拡げ試験時において、穴拡げ部分のクラックの発生方向は圧延方向に対して概ね45°方向となる。したがって、このクラックの発生方向である、板の圧延方向に対して45°方向の均一伸びを高めることによって、高い伸びフランジ性を得ることができる。
本発明では、この圧延方向に対して45°方向の均一伸びを向上させるために、先ず、 6000 系アルミニウム合金板の上記粗大なMg-Si 系化合物の面積率を規制する。この方法によれば、6000系アルミニウム合金板の伸びフランジ性を向上させた上で、曲げ加工性を低下させない。
前記した通り、通常、伸びフランジ性と曲げ加工性とは、相矛盾する関係にあり、伸びフランジ性改善のための前記一連の従来技術では曲げ加工性が低下し、曲げ加工性改善のための前記一連の従来技術では伸びフランジ性が低下するという問題がある。
これに対して、本発明のように、6000系アルミニウム合金板の上記粗大なMg-Si 系化合物を規制して、圧延方向に対して45°方向の均一伸びを向上させる方法によれば、伸びフランジ性を向上させることができるとともに、曲げ加工性を低下させることが無い。
ただ、6000系アルミニウム合金板の上記粗大なMg-Si 系化合物を規制して、圧延方向に対して45°方向の均一伸びを向上させる方法だけでは、特に、耐力が135MPa以上の高強度6000系アルミニウム合金板における伸びフランジ性を60%以上の十分高いレベルには向上できない。これは、前記した従来技術の、板の r値の異方性の抑制や、板のr値の平均値の向上でも同様である。
この理由は、伸びフランジ変形のメカニズムによる。伸びフランジ変形時には、ポンチとダイスによって、初期穴が打ち抜かれた後に、穴拡げ変形される。前記した圧延方向に対して45°方向の均一伸びを向上させることや、板の r値の異方性の抑制あるいは板のr値の平均値の向上は、上記伸びフランジ変形時における穴拡げ変形には有効である。
但し、本発明者らが知見したところによれば、上記初期穴が打ち抜かれた際のせん断面が小さくなり、クラックである破断面が大きくなるような場合には、圧延方向に対して45°方向の均一伸びを向上させても、特に、耐力が135MPa以上の高強度6000系アルミニウム合金板における伸びフランジ性を60%以上の十分高いレベルには向上できない。また、前記粗大なMg-Si 系化合物を抑制し、圧延方向に対して45°方向の均一伸びを向上させても、上記せん断面率が50%未満と小さくなり、クラックである破断面が50%を越えて大きくなるような場合は必然的に起こりうる。
このため、高強度6000系アルミニウム合金板における伸びフランジ性を向上させるための手段として、前記粗大なMg-Si 系化合物抑制の他に、上記初期穴が打ち抜かれた際のせん断面が大きくなり、クラックである破断面が小さくなるような材料特性が必要となる。
ただ、上記初期穴が打ち抜かれた際のクラックである破断面が多くなる理由は、6000系アルミニウム合金板の高強度化に伴う硬度の上昇や、Mg-Si 系化合物あるいはAl-Fe-Si系などの化合物の増加など、多くの要因が挙げられる。この要因中には、せん断面形成との具体的な相関が不明な要因も多い。このため、これら関係する (であろう) 要因を全て規定して、上記初期穴が打ち抜かれた際のせん断面を大きく制御することは、現時点では非常に難しい。
一方で、上記初期穴が打ち抜かれた際のせん断面を大きく制御することは、上記本発明製造方法によって可能である。
したがって、本発明では、高強度6000系アルミニウム合金板における伸びフランジ性向上のための要件として、伸びフランジ性の評価基準とも言える、上記穴拡げ試験、言い換えると、穴拡げ試験における打ち抜きによって設けた円形穴壁面におけるせん断面率を規定し、伸びフランジ性を保証する。
以下に、本発明の実施態様につき具体的に説明する。
(Al合金板化学成分組成)
先ず、本発明が対象とする6000系Al合金板の化学成分組成について説明する。本発明が対象とする6000系Al合金板は、前記した自動車材などとして、優れた成形性やBH性、強度、溶接性、耐食性などの諸特性が要求される。このような要求を満足するために、Al合金板の基本組成は、質量% で、Si:0.1〜2.5%、Mg:0.1〜3.0%を含み、残部がAlおよび不純物からなるものとする。
なお、その他の元素は、AA乃至JIS 規格などに沿った各不純物レベルの含有量 (許容量) とする。その他の合金元素とは、具体的には、Fe:1.5% 以下、Mn:1.0% 以下、 Cr:0.5%以下、Zr:0.5% 以下、V:0.3%以下、Ti:0.2% 以下、Zn=1.5% 以下、Cu:1.0% 以下、の群であり、これらの群内の1 種または2 種以上を含んでも良い。
上記合金元素以外のその他の合金元素やガス成分も不純物である。しかし、リサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金やその他のAl合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として使用して、本発明Al合金組成を溶製する場合には、これら他の合金元素は必然的に含まれることとなる。したがって、本発明では、目的とする本発明効果を阻害しない範囲で、これら不純物元素が含有されることを許容する。
上記6000系Al合金における、各元素の好ましい含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に説明する。
Si:0.1〜2.5%。
SiはMgとともに、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記低温での人工時効処理時に、GPゾーンなどの化合物相を形成して、時効硬化能を発揮し、自動車パネルとして必要な、例えば170MPa以上の必要強度を得るための必須の元素である。更に、本発明6000系Al合金板にあって、伸びフランジ性及び曲げ性などの諸特性を兼備させるための最重要元素である。
また、パネルへの成形後の低温塗装焼き付け処理後(2% ストレッチ付与後170 ℃×20分の低温時効処理時) の耐力を高くする、優れた低温時効硬化能を発揮させるためには、Si/Mg を質量比で1.0 以上とし、SiをMgに対し過剰に含有させた過剰Si型6000系Al合金組成とすることが好ましい。
Si量が0.1%未満では、前記時効硬化能、更には、自動車パネル用途などに要求される、伸びフランジ性及び曲げ性、あるいはプレス成形性などの諸特性を兼備することができない。一方、Siが2.5%を越えて含有されると、粗大な化合物が増加して破壊の起点になり、伸びフランジ性及び曲げ性を低下させる。更に、溶接性をも著しく阻害する。したがって、Siは0.1 〜2.5%の範囲とする。なお、自動車のアウタパネルなどでは、ヘム加工性が特に重視されるため、フラットヘム加工性などの曲げ性をより向上させるためには、Si含有量を0.6 〜2.0%と、より低めの範囲とすることが好ましい。
Mg:0.1〜3.0%。
Mgは、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記人工時効処理時に、SiとともにGPゾーンなどの化合物相を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルとして、例えば170MPa以上の必要強度を得、更に、伸びフランジ性及び曲げ性を得るための必須の元素である。
Mgの0.1%未満の含有では、絶対量が不足するため、人工時効処理時に前記化合物相を形成できず、時効硬化能を発揮できない。このためパネルとして必要な170MPa以上の必要強度が得られない。
一方、Mgが3.0%を越えて含有されると、却って、粗大な化合物が増加して破壊の起点になり、伸びフランジ性及び曲げ性を低下させる。したがって、Mgの含有量は、0.1 〜3.0%の範囲とする。また、自動車のアウタパネルなどで重視されるフラットヘムなどのヘム加工性をより向上させるために、Si含有量を前記0.6 〜2.0%のより低めの範囲とする場合には、これに対応して、Mg含有量も0.4 〜2.5%と低めの範囲とすることが好ましい。
Fe:1.5% 以下、Mn:1.0% 以下、 Cr:0.5%以下、Zr:0.5% 以下、V:0.3%以下、Ti:0.2% 以下、Zn=1.5% 以下。
これらの元素は、スクラップなど溶解原料などから混入しやすい元素であるが、結晶粒の微細化効果もあり、加工性の向上効果もある。但し、含有量が多すぎると、粗大な化合物を形成し、それが破壊の起点として作用するため、却って加工性が劣化する。したがって、各々、上記上限までの含有は許容する。
Cu:1.0%以下。
Cuもスクラップなど溶解原料などから混入しやすい元素であるが、人工時効処理の条件で、Al合金材組織の結晶粒内へのGPIIやβ" 相析出を促進させる効果もある。また、時効処理状態で固溶したCuは成形性を向上させる効果もある。一方、1.0%を越えると、粗大な化合物が増加して破壊の起点になり、伸びフランジ性及び曲げ性を低下させる。また、耐応力腐食割れ性や、塗装後の耐蝕性の内の耐糸さび性、また溶接性を著しく劣化させる。このため、1.0%以下の範囲での含有は許容する。
(Al合金板組織)
次ぎに、本発明6000系Al合金板の組織の要件について説明する。
(Mg-Si 系化合物)
本発明では、6000系Al合金板の組織における1 μm 以上のMg-Si 系化合物の面積率を0.15%以下とする。 1μm 以上の粗大なMg-Si 系化合物を、面積率で0.15%以下に抑制することによって、圧延方向に対して45°方向の均一伸びが向上する。これによって、後述するせん断面率の規定との相乗効果で、耐力が135MPa以上の高強度6000系アルミニウム合金板における伸びフランジ性を60%以上の十分高いレベルに向上させることができる。
これら 1μm 以上の粗大なMg-Si 系化合物の面積率が0.15%を超えた場合には、圧延方向に対して45°方向の均一伸びが低下し、伸びフランジ性が著しく低下する。
(Mg-Si 系化合物の面積率測定)
本発明におけるMg-Si 系化合物の面積率の測定箇所は板厚方向の直角断面とし、アルミニウム合金板の表面から板厚方向1/4部の任意の点で測定する。即ち、最終焼鈍後の板厚断面の1/4部の任意の点を通り、板表面に平行な面について、500 倍のSEM(Scanning Electron Microscope)を用いて測定する。
より具体的には、上記部位から複数サンプリングした板断面試料表面を機械研磨して、板表面から約0.25mmを機械研磨により削り落とし、更に、バフ研磨を行なって表面を調整した試料を用意する。次に、反射電子像を撮影し、写真を自動解析装置によりMg-Si系化合物の面積率を測定する。測定部位は試料研磨表面、測定領域は1000μm×1000μmの領域とする。解析画像の解像度は1ピクセル=0.65μmとする。Mg-Si 系化合物以外の、例えばAl-Fe系化合物との区別は、化合物の明暗により行い、予め点分析により化合物粒子を確認して、Mg-Si系化合物のみが検出できるレベルに検出条件を選定した後に、自動解析によりMg-Si系化合物の面積率を測定する。
(穴拡げ試験時のせん断面率)
本発明では、前記粗大なMg-Si 系化合物を抑制した上で、更に、穴拡げ試験時における打ち抜きによって設けた円形穴壁面のせん断面率を50%以上とすることによって、耐力が135MPa以上の高強度6000系アルミニウム合金板における伸びフランジ性を60%以上の十分高いレベルに向上させる。
前記粗大なMg-Si 系化合物を抑制し、圧延方向に対して45°方向の均一伸びを向上させても、上記せん断面率が50%未満と小さくなり、クラックである破断面が50%を越えて大きくなるような場合が生じる。このような場合には、前記粗大なMg-Si 系化合物を抑制し、圧延方向に対して45°方向の均一伸びを向上させても、特に、耐力が135MPa以上の高強度6000系アルミニウム合金板における伸びフランジ性を60%以上の十分高いレベルには向上できない。
図1に、上記せん断面率を求める穴拡げ (打ち抜き) 試験の状態を示す。この穴拡げ試験における打ち抜きは、せん断面率測定に再現性を持たせるために、再現性を保証できるだけの試験条件を具体的に規定する。
即ち、打ち抜きは、1辺が70mmの正方形で、厚さ1mm のアルミニウム合金板に対して、直径10mmの円形の穴をあけることとする。これに使用するプレスとしては、ポンチ:径10.0mmφ- 肩R8mm、ダイス:径10.2mmφ- 肩R8mmのプレスを用い、ポンチ(上型)とダイス(ダイ:下型)とを相対的に移動させて、上記円形の穴をあける。この際のポンチとダイスとのクリアランスは0.2mm である。
また、この円形穴壁面のせん断面率の測定も、測定に再現性を持たせるために、測定条件を具体的に規定する。即ち、図1に部分的に拡大して示すように、上記せん断面率は、上記円形穴壁面の内、圧延方向に対して45°方向部分の壁面( ミクロ組織) を100 倍の光学顕微鏡により写真撮影し、この写真上の任意の5 点の板厚方向に平行なせん断面の長さl を各々測定して、せん断面率= (せん断面長さl/板厚t)×100(%) により算出する各せん断面率を平均化する。
図2に、板の打ち抜きの状態を経時的に示すように、ポンチ(パンチ)が下降してアルミニウム合金板に接触し、更に下降すると、アルミニウム合金板のポンチおよびダイスの刃面側に、先ずダレが発生する。更にポンチが下降すると、ポンチおよびダイスの刃先よりのアルミニウム合金板にクラックが発生する。この時、ポンチおよびダイスの刃側面側がせん断面となり、上記クラックが破断面となる。そして、ポンチ側クラックおよびダイス側クラックとがつながり、打ち抜きが完了する。
ここで、図示するように、ダレ部は滑らかなR形状を有し、せん断面部は光沢を持つ縦筋を有し、破断面部は材料をむしりとった様子であり、これらは、ギザギザなバリ (かえり) とともに、互いに明確に識別できる。
(45 °方向の均一伸び)
本発明では、6000系Al合金板の組織における 1μm 以上の粗大なMg-Si 系化合物を面積率で0.15%以下に抑制することによって、圧延方向に対して45°方向の均一伸びを向上させる。
従来から、6000系アルミニウム合金板において、伸び特性が高いほど伸びフランジ性が向上することが知られている。しかし、6000系アルミニウム合金板の伸びフランジ性 (λ) を評価する穴拡げ試験時において、穴拡げ部分のクラックの発生方向は圧延方向に対して概ね45°方向となることまでは知られていない。したがって、このクラックの発生方向の板特性を改善し、板の45°方向の均一伸びを高めることによって、高い伸びフランジ性を得ることができることまでは知られていない。
この粗大なMg-Si 系化合物抑制による、圧延方向に対して45°方向の均一伸び向上の目安として、即ち、60%以上の高い伸びフランジ性を得る目安として、6000系アルミニウム合金板の圧延方向に対して45°方向の均一伸びを24%以上、好ましくは26%以上とすることが好ましい。この均一伸びが低いと60%以上の高い伸びフランジ性が得られない可能性が高い。
(r値の異方性)
本発明では 6000 系アルミニウム合金板において、伸びフランジ性を向上させるために、更に、板の r値 (ランクフォード値) の異方性を抑制することが好ましい。但し、板のr 値の異方性 (ランクフォード値の異方性) が小さくなり過ぎると、却って曲げ性が低下するので、r0とr90 に対するr45 の異方性を示す指標であるΔrを0.2 〜0.6 の範囲とすることが好ましい。
ここで、r0 は圧延方向に対して0 °方向のr値を、r45は圧延方向に対して45°方向のr値、r90は圧延方向に対して90°方向のr値である。そして、Δrは、r0とr90 に対するr45 の異方性を示す指標として、Δr=(r0 −2×r45+r90)/2で表される。
Δrが0.2 未満では良好な曲げ性が得られない可能性がある。反対に、Δrが0.6 を超えた場合、穴拡げ時の局所的な板厚減少が著しくなり、くびれの発生が促進され、伸びフランジ性が低下する可能性がある。
(r値の平均値)
なお、曲げ加工性を保証するためには、前記各r値に対し、(r0 +2×r45+r90)/4で表されるr値の平均値が0.5 以上とすることが好ましい。 r値の平均値が0.50より小さいと、r 値が小さくなり過ぎ、曲げ加工性を保証できない可能性がある。言い換えると、伸びフランジ性と曲げ加工性とを兼備できない可能性がある。したがって、好ましくは、r 値の平均値は0.50以上とする。
これらr 値の測定は、板について、圧延方向に対する角度がそれぞれ0、45および90°方向を長手方向とする引張試験片を採取し、これら各引張試験片について、各々はじめに試験片中央部の板幅及び板厚を測定し、次に、JIS5号引張試験により歪み量を15%与えた段階での板幅及び板厚をそれぞれ測定し、下記式に代入することで、r0 、r45、r90のr値を各々得る。なお、各r値については3回の試験を行った平均値とした。なお、Δr 、r 値の平均値は、これらの各r 値を上記式に各々代入することで求められる。
r=ln(W0/W)/ln(t0/t)。ここで、W0、t0:引張試験前の幅及び厚さ、W 、t :15% 引張後の幅及び厚さ。
(平均結晶粒径)
Al合金板の平均結晶粒径は50μm 以下の微細化させることが好ましい。結晶粒径をこの範囲に細かく乃至小さくすることによって、伸びフランジ性及び曲げ性、あるいはプレス成形性が確保乃至向上される。結晶粒径が50μm を越えて粗大化した場合、伸びフランジ性及び曲げ性、あるいはプレス成形性が著しく低下する可能性が高い。
なお、ここで言う結晶粒径とは板の長手(L) 方向の結晶粒の最大径である。この結晶粒径は、Al合金板を0.05〜0.1mm 機械研磨した後電解エッチングした表面を、光学顕微鏡を用いて観察し、前記L 方向に、ラインインターセプト法で測定する。1 測定ライン長さは0.95mmとし、1 視野当たり各3 本で合計5 視野を観察することにより、全測定ライン長さを0.95×15mmとする。
(製造方法)
次ぎに、本発明Al合金板の製造条件について以下に説明する。通常のAl合金板は鋳造→均質化熱処理→熱間圧延→中間焼鈍→冷間圧延→最終焼鈍の各工程を経て製造される。しかし、Al合金板の化学組成や各工程の設定条件によって得られる板の、粗大な再結晶粒や粒界における析出相の形成状況や、板の異方性の状態は変わるので、一連の製造工程として総合的に条件を選択して決定すべきである。以下に、本発明で意図する、優れた伸びフランジ性及び曲げ性を有するAl合金を確実に得るための好ましい条件について説明する。
先ず、溶解、鋳造工程では、上記6000系成分規格範囲内に溶解調整されたAl合金溶湯を、連続鋳造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。
(均質化熱処理)
このAl合金鋳塊に500 ℃以上融点未満の温度で均質化熱処理を施す。この均質化熱処理は組織の均質化、すなわち、鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくすことを目的とする。熱処理温度が500℃より低いと鋳塊の粒内偏析を十分になくすことができず、これが破壊の起点として作用するため、伸びフランジ性及び曲げ性が劣化する。また、熱処理時間は、鋳塊の厚みにもよるが、2hr 以上とすることが好ましい。2hr より低いと鋳塊の粒内偏析を十分になくすことができず、これが破壊の起点として作用するため、伸びフランジ性及び曲げ性が劣化する可能性がある。
この均質化熱処理(1回目の均質化熱処理) 後に、一旦200 ℃以下の温度まで冷却して390 〜480 ℃の温度まで再加熱する均質化熱処理(2回均熱) を行なうか、または、前記均質化熱処理後に、390 〜480 ℃の温度まで冷却し、いずれもこの温度範囲で保持する均質化熱処理(2段均熱) を行なった後に、熱間圧延を開始する。これによって、1 回のみの均質化熱処理に比して、伸びフランジ性及び曲げ性がより向上する。
これら2 回均熱あるいは2 段均熱のいずれの場合においても、上記1 回目および、上記2 回目あるいは2 段目の均質化熱処理における、前記各温度範囲での保持によって、熱間圧延前の組織が最適化される。この保持温度が低いと、粒界における析出相の形成が促進され、伸びフランジ性及び曲げ性が劣化する。一方、保持温度が高過ぎると、強度が大きくなりすぎ、伸び特性が低下する為に伸びフランジ性も低下する。
上記1 回目および、上記2 回目あるいは2 段目の均質化熱処理における、保持時間は 2〜15hrを目安とする。保持時間が2hr より短いと、強度が大きくなりすぎ、伸び特性が低下する為に伸びフランジ性も低下する可能性がある。一方、保持時間が15hrより長いと、粒界における析出相の形成が促進され、却って伸びフランジ性及び曲げ性が劣化する可能性がある。
(熱間圧延)
これらの均質化熱処理後に、390 〜480 ℃の温度で熱間圧延を開始する。熱間圧延開始温度が480 ℃を超えた場合、再結晶が生じて熱間圧延時に粗大な再結晶粒が生成し、伸びフランジ性及び曲げ性が劣化する。また、熱間圧延開始温度が390 ℃未満の場合、熱間圧延自体が困難となる。
更に、熱間圧延の終了温度を170 〜300 ℃として、コイル状、板状などの熱延板を製作する。熱間圧延終了温度が300 ℃を超えた場合、SiとMgとの質量比Si/Mg が1 以上であるような過剰Si型の6000系Al合金板は再結晶しやすく、伸びフランジ性及び曲げ性が劣化する。熱間圧延の終了温度が170 ℃未満では、熱間圧延自体が困難となる。
(熱延板の焼鈍)
この熱延板を、冷間圧延前に、470 ℃以上の温度で焼鈍 (荒鈍) を施した後に、100 ℃/s以上の速度で冷却する処理を行なう。荒鈍温度が470 ℃より低いと、粒界における析出相の形成が促進され、伸びフランジ性及び曲げ性が劣化する。また、上記冷却速度が100 ℃/sより小さいと、冷却過程で粒界における析出相の形成が促進され、伸びフランジ性及び曲げ性が劣化する。
伸びフランジ性及び曲げ性を兼備させるためには、前記2 回均熱あるいは2 段均熱とともに、この条件下での荒鈍工程が必須である。従来の伸びフランジ性向上を意図した技術が、曲げ性を兼備できていなかったのは、均熱条件が前記2 回均熱あるいは2 段均熱となっていなかったせいでもある。また、従来の曲げ性向上を意図した技術が、伸びフランジ性を兼備できていなかったのは、この荒鈍工程が無かった (荒鈍工程を省略して冷間圧延を行なっていた) せいでもある。
(冷間圧延)
この荒鈍後に、引き続き冷間圧延を行なって、所望の板厚の冷延板 (コイルも含む) を製作する。
(溶体化および焼入れ処理)
冷延後の板は、調質処理として、必須に溶体化および焼入れ処理されてAl合金板とされる。この溶体化および焼入れ処理は、6000系Al合金板の組織における1 μm 以上のMg-Si 系化合物の面積率を0.15%以下とし、更に、穴拡げ試験時のせん断面率を50%以上とするために重要な工程である。また、塗装焼き付け硬化処理などの人工時効硬化処理によりGPゾーンなどの化合物相を十分粒内に析出させるためにも重要な工程である。
この効果を出すために、本発明では、溶体化処理における化合物の固溶量を増大させることが必要である。そして、この化合物の固溶量を増すために、本発明では、冷延板を560℃以上の比較的高い温度で溶体化処理する。
通常の溶体化処理温度は560 ℃よりも低い温度で行なわれる。このように溶体化処理温度が560 ℃未満の場合、溶体化処理直後の焼入れ処理において、塗装焼き付け硬化処理などの人工時効硬化処理によりGPゾーンなどの化合物相を十分粒内に析出させることはできる。しかし、本発明のように、1 μm 以上の粗大なMg-Si 系化合物の面積率を0.15%以下とし、更に、穴拡げ試験時のせん断面率を50%以上とすることは困難となる。
この理由は、溶体化処理温度が560 ℃未満と、560℃以上とでは、化合物の固溶量に大きな差があるためである。溶体化処理温度が560 ℃未満では、1 μm 以上の粗大なMg-Si 系化合物の面積率を0.15%以下とするに十分な固溶量を確保できない。また、Mg-Si 系化合物だけでなく、他のAl-Fe-Si系などの化合物の固溶量も不足する。このため、溶体化処理直後の焼入れ処理において析出する、Mg-Si 系化合物やAl-Fe-Si系などの化合物が粗大化する。この結果、 1μm 以上の粗大なMg-Si 系化合物の面積率を0.15%以下とし、更に、穴拡げ試験時のせん断面率を50%以上とできない可能性が高くなる。
溶体化処理後の焼入れの際には、冷却速度は50℃/ 分以上の急冷とすることが好ましい。冷却速度が50℃/ 分未満の遅い場合には、焼入れ後の強度が低くなり、時効硬化能が不足し、前記低温短時間の低温での人工時効処理により135MPa以上の高耐力を確保できない。
また、粒界上にSi、Mg2Si などが析出しやすくなり、プレス成形や曲げ加工時の割れの起点となり易く、Al合金板の伸びフランジ性及び曲げ性が低下する。この冷却速度を確保するために、焼入れ処理は、ファンなどの空冷でもよいが冷却速度が遅くなる可能性が大きく、ミスト、スプレー、浸漬等の水冷手段から選択して行うことが好ましい。
本発明では、成形パネルの塗装焼き付け工程などの人工時効硬化処理での時効硬化性を高めるため、溶体化焼入れ処理後のクラスターの生成を抑制し、GPゾーンの析出を促進するために、予備時効処理をしても良い。この予備時効処理は、50〜100 ℃、好ましくは60〜90℃の温度範囲に、1 〜24時間の必要時間保持することが好ましい。また、予備時効処理後の冷却速度は、1 ℃/hr 以下であることが好ましい。
この予備時効処理として、溶体化処理後の焼入れ終了温度を50〜100 ℃と高くした後に、直ちに再加熱乃至そのまま保持して行う。あるいは、溶体化処理後常温までの焼入れ処理の後に、直ちに50〜100 ℃に再加熱して行う。
また、連続溶体化焼入れ処理の場合には、前記予備時効の温度範囲で焼入れ処理を終了し、そのままの高温でコイルに巻き取るなどして行う。なお、コイルに巻き取る前に再加熱しても、巻き取り後に保温しても良い。また、常温までの焼入れ処理の後に、前記温度範囲に再加熱して高温で巻き取るなどしてもよい。
この他、用途や必要特性に応じて、更に高温の時効処理や安定化処理を行い、より高強度化などを図ることなども勿論可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
次に、本発明の実施例を説明する。表1 に示す1 〜27の各組成の6000系Al合金をDC鋳造によって鋳造した400mm 厚の鋳塊を、表2 に示す種々の条件で、均質化熱処理 (均熱とも略記) および熱間圧延を行う。得られた各熱延板について、表2 に示す種々の条件で、荒鈍、冷間圧延、溶体化および焼入れ処理を行い、厚さ1mmの最終製品板を得た。なお、表1 中の各元素の含有量の表示において、「−」の表示は、検出限界以下であることを示す。
より具体的に、均熱処理は、表2 に示す加熱温度と保持時間の1 回目の均熱の後に、一旦室温まで冷却した後、更に表2 に示す加熱温度と保持時間の2 回目の均熱を行なう2 回均熱と、表2 に示す加熱温度と保持時間の1 回目の均熱の後に、更に表2 に示す温度まで冷却して保持を行なって、2 回目の均熱を行なう2 段均熱との2 種類とした。
この均熱後に、表2 に示す各開始温度と各終了温度で、厚さ5mmtまで熱間圧延した。この熱延板を、表2 に示す温度と冷却速度で荒鈍した後、冷間圧延を行い、厚さ1.0mmtの冷延板を得た。そして、この冷延板を、連続式の熱処理設備で、各例とも共通して、各溶体化処理温度に到達した時点で (保持時間 0秒) 、直ちに室温まで200 ℃/ 秒の急冷にて焼入れ、この焼入れ後直ちに、70℃の温度で1 時間保持する予備時効処理を行った (保持後は冷却速度0.6 ℃/hr で徐冷) 。
(供試板要件)
これら調質処理後の各最終製品板から供試板 (ブランク) を切り出し、前記調質処理後 3カ月間 (90日間) の室温時効後の各供試板の特性要件として、1 μm 以上のMg-Si 系化合物の面積率(%) 、打ち抜き試験における円形穴壁面のせん断面率(%) を、前記した測定方法により各々測定した。
また、同じく、前記調質処理後 3カ月間の室温時効後の各供試板の特性として、Δr 、r 値の平均値、平均結晶粒径 (μm)、圧延方向に対し45°の方向の0.2%耐力 (MPa)と均一伸び(%) 、更に、伸びフランジ性 (λ:%) 、圧延方向に対し45°方向の曲げ性などを各々測定、評価した。これらの結果を表3 に示す。Δr 、 r値の平均値、平均結晶粒径 (μm)は各々前記した方法で求めた。
45°方向の0.2%耐力 (MPa)は、圧延方向に対する角度が45°方向を長手方向とするJIS 5 号引張試験片を採取し、JIS Z 2201にしたがって行った。クロスヘッド速度は5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。各サンプルについて3回の試験を行い、その平均値を採用した。
(供試板特性)
供試板の成形性として、伸びフランジ性評価のための穴拡げ性(λ)、張出し成形性評価のための割れ限界高さ(LDH0)および限界絞り比(LDR )、曲げ性を各々試験した。これらの結果を表3 に示す。
穴拡げ試験は、上記せん断面率を求めた打ち抜き試験と同様に、1辺が70mmの正方形の供試板に直径10mmの円形の穴を、先ず打ち抜いた。そして、直径33mmの60°円錐ポンチを用いて、バリを上面(ダイス面)側として、しわ押さえ力3 トン、ポンチ速度10mm/minで穴拡げ試験を行い、前記打ち抜き穴の縁に破断が発生した段階でポンチを止め、破断後の穴内径(d s )と成型試験前の初期穴径(d0)から下記式によって穴拡げ率(λ)を求めた。
λ=(d s -d0)/d0 ×100(%)
破断後の穴内径については、圧延方向と、圧延方向に垂直な方向でそれぞれ測定し、穴拡げ率を各々求めた後に平均を取って、各サンプルの穴拡げ率とした。さらに、各サンプルについて3回の穴拡げ試験を行い、その平均値を最終的に穴拡げ率(λ:%)とした。
割れ限界高さ(LDH0)試験は、供試板を、長さ180mm 、幅110mm の試験片に切り、直径101.6mm の球状張出しパンチを用い、潤滑剤としてR-303Pを用いて、しわ押え圧力200kN 、パンチ速度4mm/S で張出し成形し、試験片が割れるときの高さ(mm)を求めた。各サンプルに対して3 回の試験を行い、その平均値を採用した。割れ限界高さが大きい程、張出し成形性に優れていることを意味し、例えば自動車用成形パネルに要求される張出し成形性を満足するためには、27.0mm以上であればよい。
限界絞り比(LDR )は、供試板から種々の直径の試験片を打抜きにより作製した上で、ポンチ:50mmφ- 肩R8mm、ダイス:53mmφ- 肩R8mm、潤滑材R-303Pを用いて、しわ押さえ圧300〜600kgf、試験速度20mm/minの条件で深絞り試験を行った。
そして、深絞り成形できない成形限界ブランク径を決定し、次の式により限界絞り比を算出した。限界絞り比=成形限界ブランク径/ ポンチ径。限界絞り比が大きいほど、深絞り成形性に優れている事を意味し、例えば自動車用成形パネルに要求される深絞り成形性を満足するためには、1.8 以上であればよい。
曲げ性の評価は、供試板から長さ150mm ×幅30mmの曲げ加工試験片を採取し、フラットヘミング加工を想定した曲げ性を評価した。即ち、試験片に対して、15%の歪みを予め加えた後、角度180°の密着曲げ(内側曲げ半径R=約0.25mm)を行った。曲げ性の評価は、曲げ加工後の試験片縁曲部の割れ発生程度を目視で確認し、下記基準に基づいて5 段階で評価した。
0:肌荒れ、及び微小な割れが無い。
1:肌荒れが僅かに発生している。
2:肌荒れが発生しているものの微小なものを含めた割れは無い。
3:微小な割れが発生。
4:大きな割れが発生。
5:大きな割れが複数あるいは多数発生。
上記のランクの内、0〜2段階が合格で、3〜5段階は不合格である。
表1 、2 に示す通り、発明例1 〜9 は、本発明成分組成範囲内で、かつ、溶体化処理など、本発明の好まし条件範囲で製造している。このため、表3 に示す通り、得られたアルミニウム合金板の前記せん断面率が50%以上であるとともに、1 μm 以上のMg-Si 系化合物の面積率が0.15%以下であり、更に、このアルミニウム合金板の耐力が135MPa以上となっている。
更に、発明例1 〜9 は、好ましい要件であるΔrが0.2 〜0.6 の範囲内であるとともに、r値の平均値が0.5 以上であり、更に、このアルミニウム合金板の圧延方向に対して45°方向の均一伸びが24%以上である。
この結果、発明例1 〜9 は、表3 に示す通り、伸びフランジ性λが60% 以上であり、曲げ加工性にも優れている。
これに対して、比較例10〜30は各々発明条件を外れている。このため、伸びフランジ性、曲げ加工性、成形性のいずれかが発明例に比して著しく劣る。
比較例10〜20は、本発明成分組成範囲内であるものの、製造条件が好ましい範囲を外れる。
比較例10は1 回目の均熱処理の温度が低過ぎる。
比較例11は1 回目の均熱処理の時間が短過ぎる。
比較例12は1 回のみの均熱処理であり、かつ、熱延開始温度が高過ぎる。
比較例13は2 回目の均熱処理の温度が低過ぎることに加えて、熱延開始温度が低過ぎる。
比較例14は2 回目の均熱処理の温度が高過ぎる。
比較例15は2 回目の均熱処理の時間が短過ぎる。
比較例16は2 回目の均熱処理の時間が長過ぎる。
比較例17は荒焼の温度が低過ぎる。
比較例18は荒焼後の冷却速度が低過ぎる。
比較例19は溶体化処理温度が低過ぎる。
比較例20は溶体化処理後の冷却速度が小さ過ぎる。
比較例21〜25は、製造条件は好ましい範囲内であるものの、本発明成分組成範囲を外れる。
比較例21はMg量が上限を超えて多過ぎる。
比較例22はSi量が上限を超えて多過ぎる。
比較例23はFe量が多過ぎる。
比較例24はCr量が多過ぎる。
比較例25はCu量が多過ぎる。
比較例26〜30は、本発明成分組成範囲内であるものの、ともに溶体化処理温度が低過ぎる。
比較例26、27は、更に1 回のみの均熱処理であり、熱延開始温度および熱延終了温度が高過ぎる。
比較例28、29は荒焼工程自体が無い。
したがって、以上の実施例の結果から、本発明の各要件の持つ臨界的な意義乃至効果が裏付けられる。
Figure 2007077472
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本発明によれば、曲げ加工性を劣化させること無く、優れた伸びフランジ性を有するAl合金板と、このAl合金板を確実に得ることのできる製造方法を提供できる。この結果、自動車、船舶あるいは車両などの輸送機、家電製品、建築、構造物の部材や部品など、また、特に自動車パネルの内のルーフ、サンルーフなど、フランジ部を有し、優れた伸びフランジ性を要求される成形パネル用として、6000系Al合金材の適用を拡大できる。
せん断面率を求める穴拡げ試験の状態を示す説明図である。 板の打ち抜きの状態を経時的に示す説明図である。

Claims (4)

  1. 質量% で、Si:0.1〜2.5%、Mg:0.1〜3.0%を含み、残部がAlおよび不純物からなるアルミニウム合金板であって、このアルミニウム合金板の下記打ち抜き試験によって設けた円形穴壁面の下記せん断面率が50%以上であるとともに、 1μm 以上のMg-Si 系化合物の面積率が0.15%以下であり、更に、このアルミニウム合金板の耐力が135MPa以上であることを特徴とする、成形性に優れたアルミニウム合金板。
    上記打ち抜き試験は、厚さ1mm のアルミニウム合金板に対して、ポンチ:径10.0mmφ- 肩R8mm、ダイス:径10.2mmφ- 肩R8mmのプレスを用いて円形の穴をあける。
    上記せん断面率は、上記円形穴壁面の内、圧延方向に対して45°方向部分の壁面を100 倍の光学顕微鏡により写真撮影し、この写真上の任意の5 点の板厚方向に平行なせん断面の長さl を各々測定して、せん断面率= (せん断面長さl/板厚t)×100(%) により算出する各せん断面率を平均化する。
  2. 前記アルミニウム合金板が、更に、Fe:1.5% 以下、Mn:1.0% 以下、 Cr:0.5%以下、Zr:0.5% 以下、V:0.3%以下、Ti:0.2% 以下、Zn=1.5% 以下、Cu:1.0% 以下、の群から選択される1 種または2 種以上を含む請求項1に記載の成形性に優れたアルミニウム合金板。
  3. 前記アルミニウム合金板がフランジ部を有する成形パネル用である請求項1または2に記載の成形性に優れたアルミニウム合金板。
  4. 請求項1乃至3のいずれかのアルミニウム合金板を得る方法であって、質量% で、Si:0.1〜2.5%、Mg:0.1〜3.0%を含み、残部がAlおよび不純物からなるアルミニウム合金鋳塊を、500 ℃以上、融点未満の温度で均質化熱処理後に、一旦200 ℃以下の温度まで冷却して390 〜480 ℃の温度まで再加熱するか、または390 〜480 ℃の温度まで冷却し、いずれもこの温度範囲で保持後に熱間圧延を開始するとともに、熱間圧延の終了温度を170 〜300 ℃として熱延板を製作し、更に、この熱延板を470℃以上の温度で焼鈍を施した後に、100℃/s以上の速度で冷却する処理を行なった後に、冷間圧延を行なって冷延板を製作し、この冷延板を560℃以上の温度で溶体化処理および焼入れ処理し、この処理後のアルミニウム合金板の下記打ち抜き試験によって設けた円形穴壁面の下記せん断面率を50%以上とするとともに、 1μm 以上のMg-Si 系化合物の面積率を0.15%以下とし、更に、このアルミニウム合金板の耐力を135MPa以上とすることを特徴とする、成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法。
    上記打ち抜き試験は、厚さ1mm のアルミニウム合金板に対して、ポンチ:径10.0mmφ- 肩R8mm、ダイス:径10.2mmφ- 肩R8mmのプレスを用いて円形の穴をあける。
    上記せん断面率は、上記円形穴壁面の内、圧延方向に対して45°方向部分の壁面を100 倍の光学顕微鏡により写真撮影し、この写真上の任意の5 点の板厚方向に平行なせん断面の長さl を各々測定して、せん断面率= (せん断面長さl/板厚t)×100(%) により算出する各せん断面率を平均化する。
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